個人的に、抑止力ってそこまで絶対でも普遍的でもないと思うんですが。
　魔術師や死徒が知っているのは彼らが能動的に世界の敵たらんとしているからであって、その力を御して日常に回帰しているなら関わる事も理解する事もないはずです。
　
　多分、紫自身は「抑止力」という概念に何の感想も持っていないはずです。抑止力という単語自体、記憶しているかどうか怪しい。
　ただ単に、自分の力を無軌道に使うと世界がしっちゃかめっちゃかになる事を知っているだけであって、世界の深奥に対して能動的に興味を持っているわけでも、世界に縛られているわけでもないはずなので。
　幻想郷の人々にとって、抑止力とは「愚か者には報いが来る」というただそれだけの話であり、それに立ち向かうとか超越するとか回避するとかいう発想があるとは考えにくいはずなのです。
　
　抑止力に限らず、そもそも魔術師達の理解がどこまで正しいかは非常に疑問の余地があります。
　少なくとも魔術師が魔法に辿り着けない以上、魔法が関わる事柄や魔術の原理については根本的な所で間違っていると断言できます。
　次回以降に魔術談義とか有りそうな気配なので、一応。凛やイリヤが当然だと信じている事が、サーヴァント達にとっては全く意味のない思い込みに過ぎない、という事はままあるでしょう。重要な概念であればあるほど。
　
　あと気になる事。紫は士郎にどこまで訓えを与えてるんでしょう。
　例えば亡霊と対話させたり異界旅行に連れてったり固有結界を伝授してたりしても全くおかしくない話になるので。
　士郎の理想を知っているなら、何の訓えも与えていないのは非常に不自然です。固有結界はまだ早すぎると判断したとしても。

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