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[2497] ガンランス最強伝説(モンハン系)
Name: がんす◆3040fc60 ID:f1a0b922
Date: 2008/01/08 21:15
めちゃんこオリ設定&独断偏見てんこ盛り。
鬼人双剣乱舞舐めんな、溜め切りご機嫌、溜めハンマーでフルボッコ、片手剣こそ最強などの考えは捨てると楽。





■序文

…ガンランスは決して最強の武器ではない。
しかし、決して扱いにくい武器でもない。
我々のガンランスは、我々が扱うことによって初めて最強となる。

※ガンランサー教本 訓辞より抜粋


■□


 これまで、それには敵がいなかった。
 大岩のような巨大かつ頑強な体躯。数十を超す手下。
 その雄たけびは天まで届き、向かう者を凍てつかせ、凍える息は全てを凍らせる。
 それの名はドドブランゴ。牙獣種の中でも特に凶暴とされるモンスターである。

 そのドドブランゴにとってここの雪山は己の領地。住処だった。

 ここにあるものは全て己のもの。数十の手下の中の頂上に君臨する王として思い通りにならぬものなどない。

 一度だけハンターと呼ばれる人間に追い立てられた事もあるが、特に脅威だったとは思っていない。火を噴く武器を相手にするのは面倒だったから逃げてやっただけの事。それにどうやらその時の人間はもう、ここには来ないようだ。さらにあの時よりも成長して巨大になった体には人間の持つ生半可な火は痛くも痒くもない。己と戦うために住処に入り込んできた人間を何人も粉砕してやった。

 この雪山で己に逆らえる者などいない。

 この雪山の王に敵などいない。

 今日もそのはずだった。

 □

 おかしい。

 この人間は己の息で凍りつかない。

 おかしい。

 この人間は己の体当たりで吹き飛ばない。

 おかしい。

 この人間は己の雄叫びに怯みもしない。

 おかしい。

 この人間のもつ火を噴く武器は熱い。

 おかしい。

 己の体の中に焼け付く痛みが奔る。

 おかしい。

 敵のいないはずの己が、王が逃げ出している。

 
 己の背中で何かが聞こえた。

 何かを擦るような音。
 重い何かが動き、段々と高くなっていく音。

 そして声。

「……逃げられると思うな」

 意味は分からなかった。

 なぜか己の体が震えていた。


□■


 ジャンボ村の夜は騒がしい。

 特に酒場は昼の静けさが嘘のように人が集まってくる。集まる人の大抵はモンスターを狩り、生計を立てているハンターと呼ばれる人間だ。それ以外にはその手のモンスターの討伐を依頼する人間や、ハンターに道具や食料を納品する業者だろうか。

 ジャンボ村を興した村長の計画では村にハンターを集め、彼らの手に入れたモンスターの皮や骨、牙を買い取り、それをさらに大きな街に売りに行く。それで手に入れたお金で更に村を発展させそしてまた人が集まる……という計算なのだが、概ねそれは成功し、軌道に乗りつつあるといっていいだろう。

 パーティーを組んでいる仲間内で酒を飲み騒ぐ者達もいれば真剣な顔で次の狩りの計画を立てている者達もいる。彼らに共通しているのは、モンスターという人間よりも優れた能力を持ったモノに立ち向かい戦うためのエネルギーに、覇気に、勇気に溢れているということだ。男女を問わず、ハンターとはそんな人間ばかりだった。そんな彼らが集まれば賑やかにならないわけがない。

 そんな賑やかな夜の酒場には相応しくない少女が扉を開けて入ってきたことに気がついたのは酒場の娘のマキだった。

 賑やか=忙しいという状況な酒場でマキがそれに気がついたのは少女の後に村長がついていたからだろう。少女は村長に背中を押されるように酒場に入ってきた。

 酒場の中にいる人間で村長の顔を知らない者はいない。自ずと会話が止み、周囲の視線が村長に集まり、背を押されている少女はそれを感じて俯いた。

「ドドブランゴの討伐を依頼したい。依頼主はこの少女だ」

 奇妙な静寂の中で村長が口を開いた。

 ドドブランゴ。
 
 この辺りの雪山を統べる王である。

 討伐の標的、そして依頼主。村長の言葉にざわめきが広がった。

 今は寒冷期である。この時期に雪山に入るのはどんな熟練のハンターとて自殺行為に等しい。更にはその寒冷期に活発になるドドブランゴを相手にするとなると、とてもまともな依頼とは言えまい。

 温暖期のドドブランゴをここの地域から追い出したのは、この村に住む今は年老いたハンターだが、その彼とて追い出せただけである。

 それが討伐となると……

 さらに依頼人が少女であるという点。特産品の収集依頼ではなくモンスターの討伐依頼である。依頼料や報酬の相場はその時のレートにより様々ではあるが決して少ない金額ではない。ましてや相手はドドブランゴである。はたして少女にその大金を払えるのか。

 俯きがちな少女はそんな考えが込められた視線を強く受け、怯えるように体を縮ませた。

「報酬は……金ではない。砥石が2つにホットドリンクが1本」

 失笑。

 からかいや冷やかしの類。大人の真似事。
 
 そう、結論付けた。

 やれやれ、といったような空気が酒場に広いがった。

「本気だ」

 その空気を払拭するかのような言葉を村長は口にした。

 少女の名前はナオという。ジャンボ村から少し離れた集落に住む娘である。
 父親はハンターであるが、3年前に雪山で行方知れずになっている。おそらくは生きてはいまい。
 母親は雪山に生える雪山草という草を摘み、街に売りに出す事で生計を立てている。その母親が雪山に入ったまま3日、帰ってこない。集落の男達が総出で雪山に捜索に入った時、奥深くに入ったところに雪山草の入った籠と血の跡、そして白く太い毛が落ちていた。普通ならばそこまで奥深くには入らない。だが、今年は雪山草が不作で雪山の高い位置にしか生えていなかった。雪山草を追い求めて、知らずにブランゴたちの縄張りに入り込んだとも思われるが、雪山草を採取するために雪山に入って長い母親がそんな素人のような真似をするとも考えられず、詳しい事は不明である。

 敵討ち。

 少女の依頼はそういうことだった。敵討ちという目的の討伐依頼というのは特に珍しいものではない。ハンター同士で組むパーティーでも同じような目的を持つものもいるし、モンスター相手に力及ばず命を落としたハンターの仲間、肉親がその手の依頼を出す事もある。が、大抵は依頼料は法外なもの……とまではいかなくとも、それなりの依頼の報酬よりは高くなりがちである。そこにはハンターという職の本質――強者に立ち向かう――がある。命の危険というのはどのハンターにもついて回るのだ。そしてモンスターの命を奪い、その身を糧として生きるハンターにとって、相手の命を奪い、己の命を奪われるという事は大自然の摂理のようなもの。それを受け入れなくてはハンターの世界では生きていけないのである。だからこそ、情という面の強い敵討ち的な依頼は引き受けるものが少ない。従って、依頼主は情以外のもの――報酬に訴える。裏返せば報酬の高さは依頼人の恨み、怒りといった感情の大きさとも言える。  

 その意味からすると砥石とホットドリンクという報酬は論外。引き受けるものがいるはずがなかった。

 ハイリスク・ローリターンではなくノーリターンである。というよりもマイナスだ。

 それ以前に「寒冷期の雪山にドドブランゴを討伐しに行く」という自殺行為に等しい事をどれだけ報酬を積まれたとしても普通のハンターにやれるわけがなかった。パーティーを組んでいるハンター達も、そういう熟練のハンター達こそ情では動かない。シビアに依頼を考えるのである。

 言わんこっちゃない、と村長は少女の後で内心ため息をついた。村長にとってはこれはわかりきっていた事である。集落の長老に、この村のハンター達への口利きをと少女の事を頼まれたがこれは無理だと言うしかないだろう。これならば村長からの依頼という事にしたほうがまだ望みがあるだろう。ドドブランゴの毛や尻尾、牙は街ではかなりの高値で取引される。報酬を払っても十分におつりと儲けがでる。それを長老と少女に話しても二人は首を縦には振らなかった。

「ナオの報酬で依頼するからこそ意味がある」

 と、閉鎖され気味な集落特有の現実的ではない考えと言葉に眩暈がする思いだった。
 交渉するのは俺なんだが、と。

 
 少女に対する諦めムードというより無茶苦茶な依頼に対する呆れが多かったろう。嫌な空気ともいうべきものが漂った。

 とりあえず、長老に対する義理――ハンターへの口利きは果たした。このままここにいても少女の望みが叶う事はないだろう。もう一度現実的な話を長老としてみるかと、村長が俯く少女を連れて帰ろうとした時だった。


「………その依頼、引き受けよう」 


 酒場の奥のほうの席から静かな声が届いた。不思議と、周囲のざわめきの中でも男のそう大きくない声は村長の耳に届いた。

 そして少女の耳にも。

 俯いていた少女が初めて顔を上げた。前を向いた。
 
 その顔に嬉しさはなかった。単純に驚きだけ。

 少女にとって自分でも分かっていたのだろう、無茶で無理な依頼を引き受けてくれるハンターはいないという事を。いるわけがないという事を。ハンターである父親と母親を亡くした少女には、ある意味世間の厳しさというものを正常に理解していた。

 けれども、もしかしたら、ひょっとして。

 そんな僅かな希望ともいえないモノすらも少女は抱いてはいなかった。

 だから驚いた。

 ざわめきの止んだ酒場の奥。席を立ち、一歩づつ近づいてくる男。周囲からの視線を気にするでもない。

 背は高い。小柄ではない村長よりも頭二つ分は上だろう。灰色の髪を短く立たせたような髪型で、おそらくそれほど年を食っているわけではないないようだが、口の周りと顎に生やした髭と太い眉が妙な貫禄と威圧感を与えていた。


「あ、あんた、引き受けるっていったのか?」


 村長の驚きも同様だった。普段から依頼する機会が多い村長はそこらのハンターよりも依頼に対する計算というものに長けている。普通の一般的なハンターならばまず、手は出さないだろうと考えていたのだが。


「俺の相棒が出来上がるのが明日の明け方になる。それでいいか?」


 男は村長に答えるのではなく、少女に、依頼人に告げた。「出発は明日になる」と。それでよければ引き受けると。

 少女は小さく頷いた。まだ、驚きが抜けきっていないのかもしれない。


「ならば、先にそれを貰っておく」


 右手を少女に差し出した。大きな掌だった。

 少女は僅かに震えながら、静かに手の中の物を両手で男の手に乗せた。

 小さく歪で不揃いな砥石。市販のビンとは違うものに入ったホットドリンク。

 少女の両手はまめだらけ、そして赤くはれ上がっていた。大人ですら力のいるピッケルを使って砥石を掘り出し、自分で唐辛子を調合したのだろう。

 男の右手に簡単に納まる物に少女の感情というものが全て、込められていた。


「待っていろ」


 男は左手で少女の頭を静かに一度撫で、酒場を後にした。

 同時にざわめきが広がった。

 無理、無茶、自殺行為、馬鹿、死ぬだけ

 視線と感情が少女にも向かう。

 だが、少女はもう、俯いてはいなかった。男に想いを託した。



[2497] ガンランス最強伝説(モンハン系)
Name: がんす◆3040fc60 ID:f1a0b922
Date: 2008/01/13 20:14

 あえて言おう!! モンハンの名を借りたオリ厨ssであると!!

■序文

 竜撃砲があるからガンランスなのではない。

 砲撃があるからガンランスなのである。



 村の灯に照らされた薄暗い夜道を、家に向かって村長は歩いていた。隣には少女がいる。

 あの後、酒場の依頼所に正式に少女の件の依頼をし、引き受けた男がガンツという名前である事を知った。

 村長にとって男がわからなかった。これまで出会ったどのハンターとも違っていた。ノーリターンでハイリスクを引き受ける男。もし仮に、後々に自分に対して依頼の報酬について交渉してくるようなハンターであるならば何の不思議もない。だが、その男はその手の交渉をしてくるようなハンターには見えなかった。

 ただの情で受けたのか。

 素人のハンターなのか。

 世間知らずの馬鹿なのか。

 もし、仮にこの依頼であの男が雪山で命を落とす事があったとするならば、ハンターの命に対する鉄則――自己責任というものがあったとしてもジャンボ村の評判はマイナスになるだろう。依頼を出したのは少女。だが、その口利きをしたのは村長の自分である。責任問題というものは免れまい。ましてや、全てを失った少女に再度傷を負わせる事になる。

 胸騒ぎとも言うべき不安を覚え、隣の少女の顔を窺うと先ほどと変わらぬ顔をしていた。少女のほうはそういう恐れや不安を少しも抱いてはいないようだ。それどころか、何かを信じているかのようにも見える。どちらにしても、酒場に向かう前のずっと俯き、諦め、心を閉ざしていた状態よりかはマシかもしれない。

 せめて、せめて生還してくれ。

 少女を変えた妙な貫禄と威圧感のある姿を思い出し、無事を祈った。
 

 ■
  

 ガンツが村の宿屋に戻ってきたのは、酒場を出て2時間ほどしてからだった。工房の老婆に武器が仕上がり次第――明日の明け方にドドブランゴを狩りに雪山に入ることを告げに行っていた。

「やれやれ……今夜は徹夜かね。全く、年寄り使いの荒い……」

 迷惑そうに言いながらも、実に楽しそうな口ぶり。老婆の身でありながら、職人としての魂は微塵も老いてはいないのだろう。老いて健在。いや、盛んである。わけありな客からの無理難題を楽しむだけの腕も同様に錆びてはいない。炎を溜め込む巨大な炉の前で、身の丈ほどの大きさの槌を炎を纏わせて金属に叩きつけていく。

 その音は重く、響く。

 少しづつ、少しづつ、ガンツの相棒――武器が炎の中で姿を変えていく。

 新しく生まれ変わりつつある自分の武器を見つめながら明日のことを考える。

 ドドブランゴ。

 はたして、己の武器が通じるのか。何よりドドブランゴの速さは脅威。

 双剣や片手剣の使い手であるならば、いくらでもやり様はある。

 だが、ガンツにはガンランスしかない。

 相手に合わせて扱う武器を変えていくのがハンターとしては利巧とされる。

 だが、ガンツにはガンランスしかない。

 そこまで考えたところでやめた。敵が何であっても突き、放つのみ。何よりもドドブランゴすら倒せないようでは奴を倒す事は出来ない。生まれ変わった武器を試すいい機会、相手を与えてくれた少女に討伐成功という形で礼をする。それだけの事。

 尤も、ガンツが少女の依頼を受けたのは、標的が生まれ変わったガンランスの相手として申し分ないという理由だけではない。

 少女が哀れだった。

 別に両親を亡くした事ではない。依頼を引き受ける者がいなかった事でもない。周囲のハンター達に無茶な依頼だと責められていた事でもない。

 少女の目が哀れだった。

 俯き下を向いた目。諦めている目。

 きっと少女は下を向き、何も無いまま、全てを失ったまま、全てを諦めて生きていく。

 それが哀れでならなかった。

 だから引き受けた。いや、引き受けていた。

 
 ■


 竜人族の秘技を扱う工房が新しく開拓された村にあるらしい、というガンツが聞いた眉唾物の噂はどうやら本当だったようだ。その見たことのない技術に見入り、思考の渦に沈んで気がついたのは時が1時間以上経ってからだった。

 作業を見つめるこちらを気にもせずに、ひたすら槌を叩き続ける老婆に心の中で頭を下げて工房を後にした。

 



[2497] ガンランス最強伝説
Name: がんす◆3040fc60 ID:6a618fb0
Date: 2010/01/13 22:14

 考えるな。感じろ。

■序文

 ガンランスが鈍重なのではない。
 それを扱う者が鈍重であり未熟なのだ。
 防ぎ、避け、突き、放つの動作を自在にこなせれば、
 それは鈍重な動きではなく華麗な動きになるだろう。

 ※ガンランサー教本 心得より抜粋。



「ガンランスは動きが遅い? そんな時は逆に考えるんだ。
速く動かなくていいやと考えるんだ」

 ※あるガンサーの言葉。 



 
 夜明け前。約束の時間よりも僅かに早く、ガンツは工房の扉を叩いた。
 昨晩宿屋へ戻り、狩りの支度を終えて寝床へ就いたのが日付が変わる頃だろうか。4時間程度の睡眠である。普段は寝ても寝足りないほど体が睡眠を求めるのに狩りの前の日は、逆に体が睡眠などいらぬとばかりに昂り滾る。

「出来とるよ」

 相手を確かめることもなく返された老婆の言葉に笑みが浮かんだ。



 一面を白銀の幕で覆ったような大地。あらゆる命のエネルギーを奪い去ろうとする寒冷期の雪山を赤い何かが動いていた。ゆっくりとではあるが確実に。それが動くのに合わせて、鉄を擦りあわせるような音が響く。猛烈な勢いの吹雪の音の中でも、何故かその音は周囲に響き渡っていた。まるで己がそこにいるのを何かに知らせるかのように。

 吹雪の中を進む赤い何かは鎧だった。

 その鎧は全身が丸みを帯びたフォルムをしている。

 ザザミシリーズ。

 巨大な盾蟹のダイミョウザザミと呼ばれるモンスターの素材を使って作られる装備である。モンスターから剥ぎ取った素材は、そのモンスターが死んでもそれが持つ特性を失う事はない。火竜の素材は火に強く毒鳥の素材は毒に強い。信心のある者はそれをモンスターの魂が宿る、倒された恨みが宿るなどと言うが、その手の謎は未だ解明されていない。

 そして盾蟹の素材が持つ特性は硬さと重量だろう。

 ダイミョウザザミの甲殻や爪にマカライト鉱石を繋ぎとして作成された装備はその重量から巨大な飛竜の体当たりなどの衝撃を受けたとしても、それを正面から防ぎきるほどの頑強さを持っていた。だが、そのあまりの重量ゆえにそれを一式、頭からつま先まで揃えている者は少ない。いかに防具が優秀だとしてもそれを装備し、受けるのは人間である。一式揃えれば何十キロもの重さになる防具を身に着けて樹海や雪山、火山を駆け回り、さらにはモンスターを相手にするというのはいかに体力に優れた者が多い……というよりも体力が必須なハンターといえども敬遠しがちなものであった。

『飛竜の攻撃は受けるのではなく避ける』

 ハンター達の間ではそれが一般的なことであったため、どちらかというと頑強で重量のある装備よりも強度は低いが軽い物、軽装な物を選ぶハンターが多かった。それか頭を守る兜、心臓を守る鎧など要所だけを頑強な防具にするかである。もちろん軽くて頑強な防具というのも存在するが、古龍とよばれる存在すら眉唾物のモンスターの素材や貴重な鉱石をふんだんに用いたものであるために非常に高価であり、それらの防具を身に着けられるハンターなどほとんどいるはずもなかった。

 ガンツもそれに漏れず、それらの防具を身に着けるどころか見た事もないハンターだった。が、大多数とは違い、頑強で重量のある防具を選ぶハンターであった。

『飛竜の攻撃を避けるのではなく受ける』

 それはガンランスという武器を扱う者にとっては常識。川の水が上から下に流れる事のように当たり前の理屈である。だから頑強な防具を選ぶ。重量などは大した問題ではなかった。




 
 極寒の吹雪の中を歩きながら、ガンツは凍りかけた肉を齧った。ホットドリンクのお陰で体感的な寒さは抑えられているとはいえ、現実に寒冷期の雪山の猛吹雪の中を歩いている現状は、体力の消耗でいえば森林や樹海を歩く以上のものである。更には休息をとることも難しい。雪山の王の根城――敵地に乗り込んでいるのに相棒を降ろす事など出来るはずもなかった。

 吹雪く音に混じって、何かの叫び声。高く、天まで届かんばかりの咆哮が届く。雪山の最奥から木霊する王の叫び。

 ガンツは足を止めた。が、怖気ついたわけではない。雪山の王の尖兵が行く手を塞いだ。

 ブランゴ。

 ドドブランゴよりは二周り以上は小さいだろう。知能も高いとはいえない。だが、鋭い爪と牙を持ち、集団で行動した時の厄介さはランポスよりも上だろう。

 3体のブランゴはガンツを囲むようにして威嚇の唸り声をあげる。ここから先は通さない、というものではない。ガンツをこの場から逃がさないとでもいうように攻撃的な唸り声。さっきの王の叫びは侵入者を殺せというものだったのか、それとも偵察か。

 ガンツにしても新たな相棒である【討伐隊正式銃槍】を試す相手としてうってつけであった。

 肩に背負った銃槍を右腕に持ち替える。二つ折りにたたまれた銃槍部が真っ直ぐ伸びる。

 その体と銃槍の二つの動きを同時に行い、ガンツは前に駆けた。一体のブランゴの隙をつき、それを目がけて。


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