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[27492] とある家電と魔法少女 (なのは×禁書目録)
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/08/03 23:16
 処女作ですが頑張っていきたいと思います。
 どうかよろしくお願いします。



 <注意>

 帝凍庫は・・・好きですか?
 
 時系列がおかしい所があるかもしれません。待て、この時系列はおかしいと感じたら報告お願いします。
 
 口調がおかしいんだよ!このド素人が!!
 ごめんなさいド素人で。
 おかしい所があったらどうか報告お願いします。
 とらは板に移りました。
 感想を貰えると作者のテンションが上がります。
 めっちゃ遅くなってすみませんでした・・・8/3



[27492] 第一話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/02 00:01
 
 「お父さん、お願いがあるの。」

 なのはの父、高町士郎は耳を疑った。
 お願いがある、普通ならば別になにもおかしくない言葉だろう。
 だが自分の娘なのはは昔、とある出来事によって常にいい子であろうとするようになってしまい家族などにあまり甘えてこなくなってしまった。
 故にお願いなど、ここ数年された記憶などなかった。

 「ん?何だい?言ってごらん」

 数年ぶりに、された「お願い」 ここは多少無茶をしてでも叶えてあげたかった。

 「欲しいものがあるの」

 よし!!それを聞いて士郎は心の中でガッツポーズをした。
 ふざけた値段がするような物でなければ買ってあげられるだろう。
 
 「何を買って欲しいんだい?」

 しかしいったい何が欲しいのだろう?
 お人形さんかな? いや、かわいらしいワンピースかもしれない。
 しかし、なのはは首を横に振り、
 「ううん。ちがうの。ちょっと違うの。外で拾ってきたんだけど・・・」

 拾ってきた? という事は犬か猫か何かか?
 とりあえず見てみることにしよう。

 「わかったの。入ってきていいよー。」

 結論から言うと、それは犬でも猫でもそもそも生物ですらなかった。
 真っ白な長方形のボディに、ドアが二つ。後ろから見えるコンセントが実にキュートだ。
 どうみても冷蔵庫です。ありがとうございました!!
 しかも冷蔵庫が後ろから誰も押していないのに滑るように移動しているのが輪にかけてシュールである。
 そのありえない光景に呆然としていると、どこから声を出しているのか、さっぱりわからないが自分に話しかけてきた。

 「自己紹介は・・・ 必要か。 俺の名前は垣根帝督。 見ての通り冷蔵庫をやってる。よろしくな。」

 自己紹介の意味が全く分から無いし冷蔵庫がなぜしゃべるのかも全く分からないが、なんとなくだが一つだけ分かった事がある。
 こいつに常識は通用しなそうだ、という事だけである。



   
                 _______
                 i´ ̄ ̄ ̄`ii  i
                 |      [_!!   |   俺の名前は垣根帝督よろしくな
                 |========|{   |
                 |        ||   |   
..                 |     [_!!   !
                 |        ||  !
. .              !________jj__j
   



[27492] 第二話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/01 19:55


 高町なのはは、至って普通の少女である。
 しかし彼女には夢という夢が無い。
 彼女くらいの年ならば別に、おかしな事ではないのだろう。
 というよりも、彼女くらいの年から明確に将来何に成りたいかなんて決まっている方が珍しいのだ。
 だが彼女は夢がないことを深刻に悩んでいた。ケーキは好きだが別にプロになりたいわけではないし、現実的に可能か不可能かを抜きに考えてみても女優や宇宙飛行士などになりたいわけでもない。
 彼女の友達のアリサちゃんとすずかちゃんが年の割にしっかりとした夢や目標を持っていた事も悩んでる要因だったかもしれない。

 彼女には下校時に友達と別れて1人になった後、港に行って海を眺めるという日課があった。
 彼女は海が好きだった。 海を見ていると自分のちっぽけな悩みなんて吹き飛んでしまうような気がしたからだ。
 そうやって海をぼんやり見ていると、

 「どうした少女? なんか悩み事かい? ちょうどする事も無いし俺でよかったら相談に乗るぜ?」

 そんな事を後ろから話しかけられた。
 気持ちは、ありがたいがお父さんやお母さんがあまり外で知らない人と話してはダメと言っていたので体よく断るために後ろを向いて・・・
 絶句した。
 
 結論から言うとそれは人では無かった。
 いや、そもそも生き物なのかすら疑わしい。
 
 潔癖を表す曇り一つ無い純白、この世の全てを収納できそうな2つの扉、そしてどこにも刺さっていないぶら下がっているコンセント!!

 どこからどう見ても冷蔵庫です。わけがわからないよ。

 出会いは平凡?だが、全てはここから始まった。

 とある超能力者と魔法少女が交差するとき物語ははじまる。

 




|\           /|
        |\\       //|
       :  ,> `´ ̄`´ <  ′    
.       V            V                
.       i{ ●      ● }i                
       八    、_,_,     八     わけがわからないよ。
.       / 个 . _  _ . 个 ',    
   _/   il   ,'    '.  li  ',_




  ミ\                       /彡
.       ミ  \                    /  彡
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.         ミ   \             /   彡
.          ミ   \          /   彡
..           ミ    _______     彡
..            \  i´ ̄ ̄ ̄`ii  i  /
ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\|      [_!!   |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡  心配するな、自覚はある。
.. ミ              |========|{   |              彡
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ |        ||   | ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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[27492] 第三話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:796b28a8
Date: 2011/05/27 18:07
 
 「では、これから高町家第三十二回家族会議を始める。議題はこの冷蔵庫(?)を家に入れるかどうかだ。」

 現在高町家には父・士郎、母・桃子、兄・恭也、姉・美由希そして末っ子のなのはがそろっている。
 本来ならば、あんな怪しさが具現化したような冷蔵庫など入れたくはないが、滅多に甘えてこないなのはが珍しく父である自分に[お願い]をしてきたのである。
 [お願い]を聞いてあげたいのはやまやまだが、だからと言って自分一人であれを家に入れていいのか判断がつかなかったので家族会議を開いたのである。

 「父さん・・・その、なんだ・・それは一体何なんだ?」

 長男である恭也が、心底訳が分から無いという顔で訪ねてきた。
 気持ちは分かるがそんなのこっちが知りたいくらいだ。
 そもそも、こいつが一体何なのかすら分からないのだから会議のやりようが無い。
 まずは質問を重ねてみることにしよう。

 「えーと、君の名前は?」

 「前に自己紹介したような気がするが、まあ良い。俺の名前は垣根帝督。ていとくん、で良いぜ。」

 普通に教えてくれた。案外見かけによらず常識のある冷蔵庫なのかもしれない。

 「君は一体どこから来たんだい?」
 
 「冷蔵庫の国って所から来た。」

 前言撤回、やはりこいつに常識は通用しない。そもそも冷蔵庫の国ってなんだよ!こんな奴らがたくさんいるのかよ。嫌すぎる。

 「冷蔵庫の国ってやっぱり寒いの?」

 「いや、冷蔵庫の排気熱で温暖化が進んでて結構熱い。」

 桃子そんなとこ無いから。信じないでくれ。あと変な所だけ現実的なんだな。恭也、美由希、まだ少し話しただけなのにものすごく疲れた顔してるな。安心しろ、父さんもすごい疲れた。
 
 「と、まあ冗談はこれぐらいにしておくとして。」

 冗談だったのかよ。やっぱりコイツとは真剣に話し合う必要があるな。それと、なのはが嘘だって分かって心無しか悲しそうな顔をしている。信じないでくれよ、頼むから。

 そして垣根が急に真面目な顔?をして話始めた。

 「俺がどこから来たのか、俺が一体何者なのか、話してやることは一切できねぇ。何も自分の事を何も語らないうえに、こんな怪しさを絵に描いたような奴が、信じてくれ、なんて言っても無茶なことは分かってる。だから俺からは何もいわねぇ。決めるのはあんたたちだ。どんな決定にも従うさ。」

 いきなり真面目?になった垣根に戸惑いながらも、なのはが不安げに垣根の方を見て、一緒に暮らそうよーなどと、駄々をこねている。
 ・・・正直言うと驚いた。自分が怪しいってことを自覚していた事もそうだが、なのはがこんなにも懐いていることがだ。
 なのはは結構、いやかなりと言っていいほど人見知りだ。一回仲良くなれれば、とても仲良しになれるが仲良くなるまでが大変なのだ。
 冷蔵庫にしがみ付きながら、駄々をこねているなのはを見ながら悩んでいると桃子が口を開いた。

 「家に入れてあげたら、どうかしら。なのはがこんなに懐く人なんて滅多にいないし。それに悪い人じゃ無さそうだし。」

 そうだな、万が一のことがあっても、俺たちがなんとかすればいいだけだしな。それにこんなになのはが懐いているんだし悪い奴じゃあ無いだろう。
 いまだに、なのはに駄々をこねられている垣根に近寄り、

 「ようこそ、高町家に歓迎するよ。垣根帝督。」

 みんなが立ち上がり、垣根帝督に拍手を送る。なのはは尻尾がついていたらちぎれんばかりに喜んでる。

 「はっ!酔狂な奴らだな。こんな得体のしれない奴を歓迎するなんてな!どうなっても知らねぇぞ。」

 「その時は、恭也と一緒に叩き出してやるよ。」

 やれるもんならやってみな、と呟きながら冷蔵庫のドアを開けてきた。一瞬全く意味が分からず呆然としたが、握手をしたいという事が分かり俺はしっかりとドアを握った。




[27492] 第四話 無印突入
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/04 10:52
 
 垣根帝督が家に来てから半年がたった。意外と事件らしい事件は起きず(軽いトラブルは、百を超えた辺りで数えるのをやめた)平穏?な日々が過ぎっていった。

 現在放課後、友人のアリサとすずかと一緒に談笑しながら帰宅している所だ。

 「それでね、ていとくんが「俺の作るケーキに常識は通用しねぇ!!」って叫びながら作ったケーキがね目も眩むような金色してたの。」

 「なのは、あんたそれ食べて無いでしょうね・・・というか、あのばか冷蔵庫何してんのよ・・・」

 「まぁ、ていとくんだし・・・」

 アリサちゃんもすずかちゃんも、最初は正体不明すぎるていとくんに対して警戒してしていたがアリサちゃんが悪い人達に誘拐されかけていた時に、たまたま空を飛んでいたていとくん(海鳴市名物の天駆ける冷蔵庫、目撃できたら一日メルヘンな気分になれる)が誘拐犯をぼこぼこにした時から(この時に、悪いことをすると冷蔵庫が襲ってくるという都市伝説が誕生した。)警戒心が和らぎ今では、仲良く遊ぶような仲である。

 そんな感じでなのは達が帰宅していると突然、なのはの[頭の中]に声が響いた。

 (たすけて、だれか・・・)

 なのはは声のする方へ駈け出した。後ろでアリサちゃんやすずかちゃんが、ちょっとなのは!?と叫んでいたような気がするが今は気にしてはいられない。一刻も早く、と思いながら全力で走り、そこにいたのは

 一匹の傷だらけのフェレットだった。

 息を切らせながらも、ようやく追いついたアリサとすずかがいきなり走り出したなのはに文句を言おうとするが、傷だらけのフェレットを見て文句を言う代わりになのはに尋ねた。

 「これフェレット・・・よね?なんでこいつがここにいるのが分かったの?」

 「よく分からないんだけど・・・強いて言うならなんとなくかな?何か頭の中に声が響いたような気がしたの。でもこの子どうしたらいいのかな?やっぱりお医者さんに早く診せた方がいいかな?」
 
 そう言って横たわるフェレットをそっと両手で持ち上げて医者に連れて行こうとする、なのはだが・・・

 「いやその必要はない。この俺に任せろ!」

 ここにいるはずの無い人物?の声を聞いて振り返ってみるとそこには、やはりというべきか一台の冷蔵庫が有った。
 冷蔵庫が話しているという何度見ても、シュールすぎる光景にアリサとすずかは少しの間呆気にとられるが、すぐに我に返りアリサが半ば叫びながら垣根に訪ねる。

 「なんであんた此処にいるのよ!?いくらなんでも非常識すぎるでしょう!!!」

 そんなアリサの叫びを「心配するな、自覚はある。」と軽くスルーしてなのはの方に顔?を向けた。

 「そいつを助けたいんだろう。なら俺に任せておけ!フェレットを助けたいならばこれ!!未元傷薬〜」

 などと訳の分からないことを叫びながら冷蔵庫のドアが開き、中から〜未元傷薬〜メルヘン120%配合、などと書かれている謎の物体Xを取り出してきた。なのは達がそれを怪しげな目で見ながら、垣根に質問をした。

 「えーと?この怪しい謎の物体Xは一体何かな?」

 「これは俺の自信作、未元傷薬だ!!安心しろよ効果は抜群だぜ。気持ち悪いくらいの速度で怪我が治る優れもんだぜ!」

 いろいろ突っ込みたいところはあったが、フェレットの怪我が予想よりも結構深く時間が無くなってきた。躊躇っている時間は無いとばかりに謎の物体Xをフェレットに丁寧に塗っていく。

 結論から言うと傷薬は確かに効いた。傷口が目に見える速度で治ってきたからだ。ぶっちゃけなんか・・・ぐろかった。
 なのは達は悲鳴あげて震えてるし垣根は、まさか成功するとは、と物騒なことを言っている。

 結局、逆に治る速度が速すぎて不安になったなのは達は、フェレットを病院に連れて行ったのだった。



[27492] 第五話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/05 00:08

 幸い、お医者さんに診てもらった結果何も問題がなかった様なので、なのは達は一息つけた。(獣医は本当に怪我をしていたのか疑っていたが)

 首にアクセサリーが付いていることから、誰かのペットである可能性が高く飼い主を先生が探してくれるそうだ。
 なのは達は、その後別れて皆それぞれの家に帰った。
 家族みんなに、今日フェレットを拾ったこと、そのフェレットが傷だらけだった事、ていとくん特製の謎の物体Xの効き目が凄過ぎてグロかった事などを話した。(傷薬について語ったらなんかお父さんとお兄ちゃんが「アレを使ったのか・・・」とか呟いてたけど使ったことがあるのかな?)

 夜、なのはが今日は不思議な体験をしたなぁ、とぼんやりしていると下校中に聞こえた[あの声]がまた頭に響いてきた。

 (たすけてください。誰かこの声が聞こえる人がいたら・・・だれかか力を貸してください・・・)

 なのはは、パジャマから普段着に着替えこっそりと家を抜け出し声のする方向に走って行った。
 声の発信源にまで到着すると、そこは病院が有った所だった。なぜ過去形なのかというとそこに在るべき病院が廃墟と呼ぶにふさわしいものになっていたからだ。
 
 「・・・一体何が起きているの?」

 普段から、垣根のやる非常識な行為に慣れていなかったら、間抜けにも叫んでいたかもしれない。辺りを見回してみると、そこには昼間助けたフェレットが倒れていた。慌ててフェレットの傍まで近づき、抱きかかえると

 「ありがとう。来てくれたんだね。」

 突然フェレットが話し始めた。しかし、なのは冷蔵庫が話すのだからフェレットも話すのだろうと納得してしまった。(なんだか、なのはにも常識が通用しなくなっている気がする・・・士郎談)その時、病院(という名の廃墟)の壁がいきなり砕け散り中から[黒い何か]としか表現できないようなものが現れた。流石のなのはも、これにには驚き慌ててフェレットを抱えて全力全開で走りながらに質問する。

 「何!?何なの!?あの化け物!?家にもよく分からない人が居るけどあれは一体何なの!?」

 「君には、資質がある。僕の名前はユーノ・スクライア。僕はある探し物の為に違う世界からやってきたんだ。だけど僕だけでは無理だったんだ。迷惑だとは思っているんだけど、お願いします。僕に力を貸してください。魔法のちからを!!」

 「・・・魔法?」

 その時追いついてきた[黒い何か]がなのはに追いつき、なのはに体当たりを仕掛けてきた。なのはは間一髪で避け怪物は壁に突っ込んでもがいている。もがいてる時間を利用して、なのははユーノに何をすべきか訪ねる。

 「・・・どうすればいいの?」

 「はい、この赤い宝石を持って心を清ませて呪文を唱えるんです。」

 「なるほど。そして俺が時間を稼げばいいと、いう事か。」

 「分かったの、ってなんでていとくんが此処にいるの!?」

 「何なんですか!?あなたは!?一体!?」

 「そんな些細な事は後回しだ。とりあえずなのはは、早く呪文とやらを唱えるんだ。時間稼ぎは俺に任せろ。ほら来るぜ。」

 突然現れた垣根がそう言った途端壁から脱出した[黒い何か]がこっちに全速力で突撃してきた。それを見た垣根が叫ぶ。

 「来いや!!化け物!!」

 そう叫ぶと、垣根の背中から[三枚]の純白の羽が出現した。一瞬呆然としていた、なのはとユーノだがすぐに我に返り呪文を詠唱し始める。

 「いい?いくよ!」

 「うん」

 「「我、使「俺の未元物質に常識は通用しねぇ!!」者なり。」」

 「「契約の「異物の混じった空間。ここはテメェの知る場所じゃねえんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」を解き放て。」」

 「「風は「ナメてやがるな。 よほど愉快な死体になりてえと見える!!」の心はこの胸に。」」

 「「この「これでとどめだぁ!!!」トアップ!」」

 そうなのはが詠唱を終えた瞬間に、なのはから桃色の光が溢れ出した。

 「すごい魔力だ・・・」

 ユーノが思わず呟く程の莫大な魔力。こんな莫大な魔力がたった一人から出ているなんて信じられなかった。しかし彼女ならばあの化け物を倒せるかもしれないと後ろを振り返ってみると・・・

 「・・・ふう。意外と大したことなかったな。」

 そこには一仕事終えた感が漂う冷蔵庫一台と、さっきまで暴れていた化け物だった物が転がっていた。

 「「・・・」」

 ユーノとなのはは、解決したはずなのになんだかやるせない気持ちに成りかけたがユーノがジュエルシードを封印しなくてはならない事を思い出して、僅かだが変身した事が無駄にならずに済み、少しだけだが気持ちが楽になった。



[27492] 第六話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/06 00:25
 ジュエルシードをなのはとユーノが封印した後、あんな事が起きれば当然だが辺りが騒がしくなりなのは達は一旦その場から逃げ出した。(病院は垣根があっという間に直してくれました。)

 「では、改めて自己紹介をしましょう。僕の名前はユーノ・スクライア。スクライアは部族名なのでユーノが名前です。」

 「私の名前は高町なのは。なのはって呼んでね。」

 「俺の名前は垣根帝督。見ての通り冷蔵庫やってる。ていとくんって呼んでくれ。」

 「あの・・・ところでなんで冷蔵庫が喋ってるんですか?地球では冷蔵庫は喋る物なんですか?」

 「知らなったかったのか?地球の冷蔵庫はみんな話すんだぜ。」

 「ていとくん、適当言っちゃだめだよ・・・」

 和やかな流れで自己紹介が終わり、ユーノは急に真面目な口調になり質問をした。

 「垣根さん。あの赤い宝石はジュエルシードと言う物なんですけど、あれを封印しない限りあの怪物は無限に再生するんですけど、あの怪物はジュエルシードを封印されてもいないのに再生もせずに地面に倒れたままだったんですが一体どうやったんですか?」

 そう、本来ジュエルシードは魔法でなければ、ダメージを与えられず、封印もできない筈なのに垣根帝督は魔力の感じられない摩訶不思議な羽でダメージを与えて、更に封印をしてもいないのにあの怪物が
倒れたまま身動き一つしなかったことは明らかに[異常]だ。

 「そうだな、しかし残念ながらそれは企業秘密だ。ただそれじゃお前が納得し無さそうだから一つだっけ言っておく。」

 「俺の未元物質に常識は通用しねぇ。」

 ユーノは意味が全く分からないといった顔をしていたが、目の前の冷蔵庫からはこれ以上聞くことはできないと悟りなのはの方に振り向き話し始めた。

 「それでね、なのは。君にお願いしたいことg「残念ながら時間切れだ。一旦家に帰るぞなのは、いい加減に家に帰らねぇと士郎とかが心配するぞ。ただでさえ最近胃の心配をしてるんだから。」

 珍しく垣根が常識的な事(士郎の胃にダメージを与えてるのは大体コイツの奇行のせい)を言い出した事でなのはは最初驚いてたがすぐに納得して話の続きは家出することとなった。

 余談だが家に帰ってきた時、垣根がなのはを外に連れ出したと思い込んでる士郎と恭也が垣根に襲いかかってきたがそれはまた別の話。

 



[27492] 第七話
Name: 冷蔵庫◆9d629fe3 ID:da49a613
Date: 2011/05/06 16:21
 垣根と士郎と恭也が外で激戦を繰り広げている間に、なのは達はなのはの部屋の中に入っていった。

 「あの・・・止めなくていいんですか?」
 「大丈夫なの。いつものことだから。それよりもジュエル何とかって何なの?どうしてあんな物が地球にあるの?」

 「ジュエルシードです。簡単に言うと「願いが叶う」宝石です。」

 「願いが・・・叶う?」

 「ですが、ジュエルシードには欠陥があって歪んだ形でしか願いが叶わないんです。たまに願いが、ちゃんと叶う場合もあるんですけど大抵魔力にムラが有りすぎて失敗するんです。失敗した成れの果てが、あの黒い怪物です。」

 そこでユーノは、言葉を一旦区切り悲痛そうな顔になり、

「ジュエルシードが地球に来てしまった原因は・・・ぼくにあるんです。僕がジュエルシードの発掘作業の指揮をとっていたんですが、発掘後の輸送中に原因不明の事故により、海鳴市近辺にばら撒かれてしまったんです。お願いです。ジュエルシードを集めるために力を貸してください。」

 「そんなユーn「馬鹿言うんじゃねぇ。てめぇのせいじゃせねええよ。そんな事故はな、誰の責任でも無ぇんだよ。そんなことで、いちいち責任感じてたらこの先やっていけねぇぞ。」・・・ていとくんは人の台詞横取りするのが好きなのかな?」

 さっきまで、外で士郎達と「奥義!!神速!!」とか「俺の未元物質に常識は通用しねぇぇ!!!」などと激戦をしていたはずなのにいつの間にかに部屋の中に居た垣根に驚きを隠せないでいるユーノに、とっく慣れきってしまい、平然としているなのは。なんとなく、ユーノは思った。この冷蔵庫とうまく付き合っていくには、常識をどこかに置いて来るしかないのかなと。

 「でもね、ユーノ君。ていとくんの言うとおり、これは誰の責任でも無いんだよ。これは唯の悲しい事故で、もちろんユーノ君のせいでもない。だからジュエルシードなんて言う危険なものを一緒に[協力]して集められないかな?」

 一瞬ユーノはポカンとしていたが、すぐに笑顔になり

 「うん。ありがとう、なのは、ていとく。そしてこれからよろしくね。」

 「うん。こちらからもよろしくね。ユーノ君。」

 「そうだな。俺もお「垣根、今日という今日は許さんぞ!!スクラップにしてくれるわぁぁぁぁぁ!!!」上等だ!!!やってみやがれぇぇぇ!!!」

 そう叫びながら窓から羽を展開しながら、降り立っていく垣根を見ながらなのはとユーノが顔を見合わせてお互い年相応の子供のように笑いあったのだった。

 馬鹿三人の争いは結局、桃子が止めに入らなければ明け方まで続きそうな勢いだった。



[27492] 第八話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/07 23:14

 朝、なのはが父・士郎にユーノを飼うことを許可して貰い(士郎と恭也は昨日の激戦で疲れ果てて寝惚けていたが。)垣根にユーノの面倒を見てもらう事を頼みなのはは学校に行った。なのはが学校に行った後、部屋には垣根とユーノだけになった。
  
 ユーノはいろいろ気になる(謎の塊のような物である)垣根と話をしてみるいい機会だと思い話してみたいと思った。しかし一体全体何を話せばいいのか分からないでいると、

 「なのはの使っている技術・・・魔法とかと言ったか。[あれ]は一体何なんだ?」

 垣根の方から話しかけてきた。ユーノはチャンスだと思いとりあえず質問に答えて自分の有りすぎて困る質問にも答えてもらおうと考え、質問に答える。

 「魔法というのはね簡単に言うと、空気中に漂う魔力素って言う物を体内にあるリンカーコアっていう所に集めてそれを変換して起こす事象のことを魔法と呼ぶんだ。」

 「その変換するのは自分の頭脳でやるのか?」

 「簡単な魔法なら出来ない事は無いけど、やるメリットもあんまり無いから普通は、デバイスっていう魔法の杖を使うけどね。それが難しい計算などサポートしてくれるんだ。」

 「なるほど。あの魔法のステッキみたいなやつは、マジで魔法のステッキだったのか。」

 なるほど、と頷いてる垣根に対してユーノはチャンスとばかりに質問をする。

 「垣根さ「ていとくんで良いぜ。」」

 「垣「ていとくん。」」

 「・・・ていとくん、質問良いですか?」

 「なんだ?」

 「いろいろ聞きたい事はあるんですけど、ていとくんあの[翼]は一体何なんですか?」

 そう、これこそがユーノの最も知りたかったこと。[翼]自体は魔法の存在する世界では全く珍しくないが、ここは魔法がほとんど認知されていない管理外世界の地球である。それにあの[翼]は間近にいたユーノでさえ魔力を感じられなかった。自惚れてはいるつもりは全く無いが、自分は攻撃魔法が使えない代わりに、探知などのサポート系の魔法は得意な方だ。その自分が魔力の魔の字も感じられ無いのならばアレは魔法ではないと見た方が妥当だと思う。しかし、それでは封印しなければ、無限に再生し魔法以外の攻撃を一切受け付けないあのジュエルシードの暴走体を倒せた理由が分からない。(しかも本人は魔法に対する知識が全く無いようようだ。)

 「禁則事項、じゃダメか?」

 「ええ、流石にダメですね。あの[翼]が何なのか全く分からない以上ジュエルシードに迂闊に干渉すれば、暴走を起こすかもしれません。」

 垣根が真面目な雰囲気になり(冷蔵庫だから表情は分からないが)溜息を吐き(冷蔵庫だから以下略)

 「しょうがねぇな・・・少しだけ教えてやる。なのはには内緒だぞ。あの力は超能力って言うんだよ。」

 「・・・超能力?」

 「そう超能力だ。超能力って言うのは、魔法とは違うまた別の法則のことだよ。超能力は一人一個で俺の場合は未元物質という物質を生産するただのつまらない能力だ。」

 「生産する能力、それだけですか?」

 「そう、それだけだ。」

 そう自嘲する様に投げやりに話す垣根を見ながらユーノは思う。魔法とは違う法則、超能力。信じがたいが信じるしかないだろう。それに嘘はついてないみたいだけどまだ隠していることがあると、しかしこれ以上聞いてもおそらく「禁則事項です。」と話してはくれないだろう。ユーノは垣根に礼を言って話を切り上げ、そういえば、なのはに離れていても念話で話ができる事を伝えるのを忘れていたため、慌てて学校にいるなのはに念話で通信した。

 余談だが授業中にいきなり念話が来たせいで、びっくりして声を出してしまいみんなから何事とばかりに注目を集めたのはまた別の話。





[27492] 第九話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/09 11:40
 なのはが帰ってきて、(なのははユーノに授業中に急に話かけられたせいで吃驚して目立ってしまったことに文句をいっていた)これからのジュエルシード探索の方針を話し合った結果、なのは、ユーノチームと垣根が単独で探す事になった。垣根は自分は独特の方法で探して見せると、豪語しておりその意見に押し切られた感じだった。ユーノは半ば諦めながら、これは良い機会かもしれないと考える。垣根帝督は強い。ほとんどの敵を一人で瞬殺してしまうぐらい強い。それはそれで良いことだが、なのはが全く強くなれない。なのはは確かに莫大な才能を持っている、だが未だに魔法を封印を一回しただけだ。(垣根があっという間に倒してしまった)故に垣根に何かあった時のためなのはにも経験を積んで貰ったほうが良いと言う訳だ。

 「垣根も行っちゃったし、僕たちも行こうか。」

 「うん、行こうユーノ君。」

 そして、彼らは神社の上でジュエルシードの力で暴走した子犬と戦う事となるのだが、それはまた別の話。


 
 一方、一人でジュエルシードを探す垣根は

 「やれやれ、これで二つ目か・・・」

 そう言いながら覚醒前のジュエルシードを冷蔵庫の中にしまいながら、一人ぼやく垣根帝督。彼は、すでに二つ目のジュエルシードを見つけ出していた。彼がユーノでさえ、発見するのが難しいジュエルシードをこんなにあっさり見つけ出すことができるのには理由があった。
 彼がジュエルシードの近くに寄ると、なぜだかは分からないが胸に圧力を感じるのだ。(冷蔵庫だから、胸は無いが感覚的に。)それを利用して町のあちらこちらを動き回り胸の圧力が強くなる方に向かって探索してきたと言う訳である。(周りの人たちは、すでに冷蔵庫が動き回るという非日常に慣れてしまったようだ。)そして、探索を続けようとする垣根が見たものは、車いすに乗った暗い顔した少女だった。

 車いすに乗った少女、八神はやては不幸だった。彼女は物心つく前から親が死に、知り合いのおじさんに引き取られたが仕事で忙しくほとんど帰ってこない。それに足が動かなくなり学校も休学している状態だ。
 家にいても仕方がないので、ただ一つの楽しみである図書館に行って本を借りようと思い外出しているのだが、やはり気は晴れず暗い気持ちでいるのだが、

 「よう、嬢ちゃん一人かい?暇なら俺と一緒に散歩しないか?」

 久しぶりに、石田先生以外の人に声を掛けられた気がした。足の病気で、かかりつけになっている石田先生とは世間話をしたりするが、それも月に一回でありここしばらく誰とも話をした記憶がなかった。だが、いきなり初対面の人が散歩に誘ってくるのは非常識すぎるので名残惜しいが、涙をのんでここはやんわりと断ろうと思い後ろを振り返り・・・絶句した。
 それは人では無かった。いやそもそも生物であるかすら疑わしかった。四角いボディに、純白のカラー、百人中百人が冷蔵庫だと断言するほどの立派過ぎる冷蔵庫だった。(はやては、人との交流が乏しくこの様な情報が全くはいってこなかった。)はやてが呆然としていると、

 「ただし!!散歩は散歩でも空の散歩だけどなぁ!!!」

 そう垣根が叫ぶと、背中?から翼が出現しはやてを抱きかかえ、空に飛び立った。

 「みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」 
 
 「そうか、叫ぶほど楽しいか。ならもっと高度を上げるぜ。君はついてこれるかな?」

 「みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 「楽しいのは分かるけど、少しは落ち着けよ。ほら海がきれいだぜ。」

 その後しばらく叫び続けていた、はやてだが叫び疲れて冷静になった時ようやく景色を眺める余裕が出てきた。(やけくその心境に近い。)
 最初は怖かったが慣れると景色がえらい綺麗でここ最近の暗い気持ちなんて、どこかに捨てて来てしまっかの様だ。
 途中で冷蔵庫が喋ったり、飛んだりすることなんて気にならなくなり(脳が理解する事を放棄した)また空に連れて行ってもらう事を約束して垣根と別れた。
 
 この日、初めてはやてに友達ができた。

 余談だがこの後、垣根はなのは達と合流して無傷でジュエルシードを二個集めたことを報告したら、驚きのあまりユーノがひっくり返っていた。(なのはは純粋に驚いていただけだった。)
 



[27492] 第十話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:da49a613
Date: 2011/05/09 12:26

 垣根がはやてと友達になった、次の日なのはとすずかとアリサは士郎がコーチ兼オーナーをしているサッカーチームの応援に付いていった。(垣根とユーノもついてきた。)
 士郎率いる翠屋FCは、運動能力も比較的高いうえに精神面も強いというかなり優れたチームだ。(精神面は主に垣根のせいで。)
 最初から最後まで相手を圧倒し続けて、勝利していた。(特に何もしていなかった垣根が誇らしげにしていた。)
 その後祝勝会も何事もなく終わると思っていたが、ここでユーノと垣根は気づいた。

 「垣根・・・」

 「ああ・・・このケーキは甘すぎると思う。もう少し砂糖を控えめにしたほうがいいと思うな、俺は。」

 「そうかな、僕はもう少し甘くても、って違うよ!!!ジュエルシードだよ!!!ほらあの子のポケットの中にあるやつだよ!!」

 「ああ、あれか。そういえば確かに感じるな。そうだな、まぁ俺に任しておけ。」

 ユーノは不安になりながらも他にいい案も思い浮かばなかったため、垣根に任せることにした。垣根は非常識だがやると言った事はやるやつなので不安半分期待半分といったところか。
 しばらくジュエルシードを持っている子と話し始めたと思ったら、何かを渡した後あっさりとジュエルシードを持ってきた。

 「ほらよ、持ってきたぜ。これでいいんだろ?」

 「何を渡したんだい?」

 「あのガキ、好きな女子がいてそいつに、綺麗だったからプレゼントしようとしていたから代わりに俺の作り出したピカピカに磨いた未元物質と交換しただけだよ。全くお若いこって。」
 
 「それ、そんなにあっさりあげていいの?」

 「良いんだよ。いくらでも造れるしな。さぁ祝勝会もっとたのしもうぜ。」

 そういって、垣根とユーノは祝勝会に戻っていった。ユーノは毎日がジュエルシード集めで、なのは達が忙しいし、こういう日くらい休んでほしいなぁとユーノのは思った。

 


 次の日なのは達は、車に乗ってすずかの家に行く所だ。もちろんユーノと垣根もついてきている。(垣根は車の中に入らず,空を飛んでいる。)

 ここで彼女は、もう一人の魔法少女と出会うことになる。



[27492] 第十一話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:da49a613
Date: 2011/05/09 14:06

 なのは達がすずかの家で猫達と戯れていると(ユーノは猫に追いかけられ、垣根は大量の猫に懐かれ冷蔵庫なのか猫の塊なのか訳が分からなくなっている。)外でジュエルシードの反応があった。慌ててユーノとなのはが外に出てみると(垣根は猫のせいで気づいていない)なんと、そこには巨大化したすずかちゃんの猫がいた。どうやらあの猫は大きくなりたい、という願いがあったらしくジュエルシードが正しく願いを叶えた結果巨大化したらしい。流石に周りの家よりも大きいと、いろいろ危険なので早く封印してしまおうと考えた瞬間、

 猫に黄色い魔法弾が直撃した。猫は悲鳴をあげて倒れ、なのは達慌てては魔法弾が飛んできた方を見た。  

 そこには、黒いバリアジャケットを身に着け、長い金髪をツーテールにまとめている少女がいた。その少女は、なのは達のこと等気に掛けずに猫に向かって突っ込んできた。
 少女の持つ鎌形のデバイスで猫に追撃を仕掛けようとしたとき、なのはは杖型デバイス[レイジングハート]で攻撃を受け止めた。
 それに僅かに腹立たしそうに舌打ちをし、なのはに攻撃を仕掛ける少女。いかに魔法の天才なのはと言えども、まだほとんど魔法を使ったことの無い少女だ。ある程度場数を踏んできた様に見える彼女に、正直勝てる見込みは少ない。ユーノは慌てて加勢に入ろうとしたが、横からオレンジ色の[猛犬]が現れた。

 「あの子の邪魔はさせないよ!!!」

 そう言いながら襲い掛かってくる猛犬。ユーノは攻撃魔法がほとんど使えない。そのため防戦一方になり、なのはの援護が出来そうにない。
 ほとんど魔法を使った事の無いにしては持ちこたえているが時間の問題だった。
 
 「あなたはだれ!?なんで、こんな事するの!?」

 「・・・・・」

 なのはの質問にも少女は、ほとんど答えない。諦めず会話を続けようとするなのはだがその努力も虚しく、うまく攻撃をしのいでいたなのはだが、少女の鎌形のデバイスの攻撃に直撃してしまった。

 「なのは!!!!」

 ユーノが悲痛な声を上げ、受け止めようとするが間に合わない。
 直撃して墜落していくなのはが最後に見たのは、辛そうにする少女と
自分を抱きかかえる冷蔵庫だった。



 垣根帝督はようやく、猫地獄から抜け出しと思ったら胸に強い圧力を感じた。またどこかでジュエルシードが暴走したのかと思って外に出たら、へんてこな壁があるではないか。この壁はユーノが言っていた[結界]とか言うやつだなと思い当り壊したらいけない事を思い出し終わるまで外で待っていたのだった。しばらく待っていたのだが流石に遅いので心配になり結界を叩き壊して入って来たらなのはが攻撃を受けて墜落しているところを見て慌てて助け出したところだ。

 そっとなのはを地面に降ろし、垣根帝督は静かに言う。

 「お前らが、何者なのかは俺はしらねぇし、どうでもいい。だけど、覚悟はできてんだろうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」

 そう叫び、背中から[3枚]の翼を展開して少女に襲い掛かる垣根の姿があった。



[27492] 第十二話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:da49a613
Date: 2011/05/10 13:48

 なのはの目が覚めたら、そこはすずかの家のベットだった。

 「あれ・・・?わたし・・・」

 「気が付いた?あんたも無茶するわね。木に登って降りられなくなった猫を助けるなんて。」

 すずかちゃんも心配そうな顔でこっちを見ている。事態がよく呑み込めないが、ていとくんがごまかしておいてくれたらしい。
 
 「うん、心配してくれてありがとう。」

 「全くよ!!!今度からは誰かを呼ぶなりしなさいよ!!!」

 「まぁまぁ。アリサちゃん、なのはちゃんも無事だったんだし。」

 興奮するアリサちゃんをすずかちゃんが、なだめている。それを見ながら私はある事をかんがえていた。あの少女は誰なんだろう?訳も話さずにいきなりジュエルシードを狙ってきたけど私は、そんなに悪い子じゃ無いと思ってる。だってあの子とても寂しそうな目をしていたんだもん。私はもっとあの子のことを知りたいと思った。



 
 金髪の魔法少女[フェイト]の使い魔である、猛犬のアルフは途方に暮れていた。(現在は変身魔法で女性の姿をしている。)
 今日、最初のジュエルシードを集めようとしたら、先客がいた。その子も見る限り少女であまり魔法に慣れている感じでは無かった。だから自分は使い魔と思しきフェレットをとことん足止めしていたのだ。アルフの予測通り、案外時間は掛かったがほぼ無傷でその少女を撃墜した。そう、そこまでは良かったのだが、


 いきなり翼を生やした冷蔵庫が襲いかかってきた。
 な… 何を言っているのか わからねーと思うが(以下略

 その冷蔵庫の強いこと、強いこと。
 こちらの攻撃は全て防がれ、攻撃は防御を[素通り]してくるし。おかげでフェイトは今、部屋の片隅で「冷蔵庫怖い、冷蔵庫怖い、冷蔵庫怖い・・・」って呟き続けてるし。もうあの子電気屋に行けないよ。このままジュエルシードを集めてたら、またあの冷蔵庫とぶつかるだろうしねぇ・・・

 「・・・どうしよう。」

 



 



[27492] 第十三話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/12 17:01
 自宅で、ユーノとなのはと垣根があの金髪の魔法少女とこれからの事について話し合っていた。

 「くそっ!!!あの餓鬼!!次会ったら、あいつも冷蔵庫にしてやろうかぁ!!!」

 「ちょっとは落ち着けよ、垣根!!そもそもどうやって冷蔵庫にするのさ!?」

 「私は大丈夫だからていとくん。ほら、あの子を冷蔵庫にしても何にも解決しないよ。」

 話し合いというよりも、ほっといたらあの子を冷蔵庫にしてしまいそうな勢いの垣根をなのはとユーノの二人が全力でなだめていた。本当に垣根なら出来てしまいそうだから洒落にならない。

 「それにしてもあの子、荒削りだったけどすごい魔法小だったね。しかしあの子ジュエルシードを集めて一体何をするつもりだったんだろう。」

 「確かに二人がかりとはいえ俺から逃げ切りつつ、あの石を回収するとは。」

 「そうだね。怒り狂っていたとはいえ、非常識な君から逃げ切るなんてなかなかできる事じゃない。」

 攻撃は全て[謎の力]と[翼]で全て防がれ、プロテクションなどを破壊したり貫通するのならばともかく、そのまま[通過]してくるなんて悪夢としか言えない。今頃は部屋の片隅で震えてるんじゃないかと心配してしまうユーノとなのはだった。

 「でもね、私あんまりあの子悪い子に見えないの。」

 二人が何を言ってるんだ、こいつは頭でも打ったかとでも言いたそうな顔をして来たので慌ててなのはは説明する。

 「うまく言えない無いんだけど、何と言うかねあの子寂しそうな目をしてたから・・・」

 そう言うと垣根が一気に大人しくなり「・・・そうか、じゃあお前は次にあの餓鬼と会ったらどうしたいんだ?」なんて聞いてきた。(ユーノはまるで有り得ないものを見るかの様に垣根を見ている。)

 「私は・・・あの子とお話ししたい。なんであんな事するのか、しりたい、そしてあの子の事をもっと深く知りたい。」

 垣根はフッと軽く笑い(冷蔵庫だから以下略)

 「そうか、じゃあやってみろ。俺も出来うる限り協力してやるから。それとそろそろ早く寝ろ明日学校だろ。もし明日あの餓鬼と会ったらどうするんだ。寝不足でお話し出来ませんでした、なんて事になったらお前も冷蔵庫にしちまうぞ。」

 「あの子も冷蔵庫にしちゃダメー!!!分かったの、早く寝るね。お休みなの。ていとくん、ユーノくん。」

 「ああ、お休みなのは。」

 心配してくれたユーノくん、応援してくれたていとくんにお休みを言い、今あの子は一体何をしているのかな、何て事を考えながら私はゆっくり夢の世界に旅立っていきました。



 おまけ

 「冷蔵庫怖い、冷蔵庫怖い、冷蔵庫怖い・・・」

 「ほーら、フェイト怖い冷蔵庫は全部ポイしちゃったからねー。お願いだから早くいつものフェイトに戻っておくれよー。」

 部屋の片隅で震える少女と途方に暮れる猛犬の使い魔がいたというがそれはまた別のお話。





[27492] 第十四話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/12 23:53

 その後、少女とジュエルシードを探すが特に見つからず、そのまま時間が過ぎて行った。その後連休になり、すずかとアリサとなのはの家族、皆で温泉に行ったのだった。ユーノも垣根もなのはも、この時ばかりは羽目を外して温泉をエンジョイして気分をリフレッシュしようと考えた。
 温泉に着きみんなで早速温泉に入ることにしたのだった。

 「・・・なあ、恭也。」

 「・・・なんだ垣根?」

 風呂に入っている時、垣根から何時に無く真面目な顔をした垣根から話しかけられた恭也は警戒しつつ垣根の話に耳を傾ける。

 「・・・なぁ、俺って冷蔵庫じゃん?」

 「・・・そうだな。」

 「法律ってさ、人間を裁く物だろう?」

 「・・・まあな。」

 「って事はさ、俺・・・」

 そこで垣根は言葉を区切り、一瞬溜めて語りかけてきた。
 
 「俺ってつまり、風呂覗き放題じゃね」

 そこまで言った所で、恭也と士郎が静かにそして、だが激しく立ち上がり垣根に立ち向かう。

 「だったら、俺が冷蔵庫を壊しても問題ないよなぁ!!!」

 「ウチのなのはと美由紀に何をするだぁー!!!許さん!!!!」

 「はっ!!!やっぱりそう簡単には天国(パライソ)には辿りつけねぇか!!!上等だよ、かかって来いやー!!!」

 今ここで、とある世界の超能力者と達人の剣士二人が激突する。

 

 一方なのは達は三人が死闘(バカ)を繰り広げている内に風呂からあがり、今は宿の中を探索中の所だ。三人が宿の中をぶらついていると、オレンジの髪の女の人が疲れた顔で通り過ぎて行ったけどなんなのかな?

その後ようやく風呂から出てきた三人(二人と一台)は、なぜか風呂に入る前よりもボロボロだったが、なんとなく聞くのはやめておいた。
 恭也と垣根がなぜか始めた卓球は、まずプロでも敵わないであろう内容だった。(垣根が球を打てば垂直にカーブしたり、行き成り球が消えたりし、恭也はそれらの球をほとんど打ち返し、目にも止まらぬ速度で打ったりしている。)そんな無駄に高レベル過ぎる卓球を見ながら、なのはの頭ではあの少女の事を考えていた。

 

 そして夜、ユーノに揺さぶられ起きたなのはは申し訳なさそうな顔をしているユーノの方に向き話を聞く。

 「この近くでジュエルシードが覚醒しそうだ。そしておそらく・・・あの少女も居る可能性が高い。」
 
 



[27492] 第十五話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/15 23:50

 なのは達が、ジュエルシードの反応の有った地点まで行って見ると(垣根はまた士郎達と喧嘩していたため置いてきた。)そこには昼間会ったオレンジ色の髪をした犬耳の女性と何かに怯えた金髪の魔法少女がいた。
 金髪の魔法少女は過剰なほど辺りを警戒しており、それは簡単に言うとビビッていた。ジュエルシードは危険な物だから、警戒したり怯えたりするのは分かるが耳を澄ますとどうやら違うようだ。

 「冷蔵庫怖い、冷蔵庫怖い、冷蔵庫怖い・・・」

 どうやら前回垣根と戦った時に軽い?トラウマを負ってしまったようだ。なんとなく気の毒に思いながらもジュエルシード集めとそのもう一つの目的を達成するため、なのはは警戒しながら金髪の少女に話しかける。

 「あのー・・・」

 「ひゃあああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 後ろから声を掛けた瞬間風船が弾けるかの如く妙な声を上げた金髪の少女。なのははそれに驚きつつ彼女を安心させるべく話しかける。

 「ほら、私冷蔵庫じゃないよ。だからお願いだから話をきいて。」

 「えっ!?・・・ほんとだ・・・」

 なのはが冷蔵庫じゃ無い事が分かり冷静になる少女。さっき無様にも悲鳴を上げてしまった事をごまかすように咳払いをしてこちらを睨みつける。

 「・・・警告したよね。もうジュエルシードの回収に関わるなって・・・」

 しかし、彼女はこんな事を言ってないし、前回言おうとした所で垣根に乱入されて慌てて逃げ帰ったのだから。しかし心優しいなのはは、そんな細かい事には突っ込まない。

 「・・・だけど、それでもジュエルシード回収を邪魔するのならば容赦しない・・・」

 そう言った瞬間、少女の雰囲気が変わった。なのははそれに気圧されそうに成るがなんとか耐えて話をする。

 「何であなたはジュエルシードを集めるの?それはとっても危険なんだよ!」

 「あなたには・・・関係ない。」

 必死に何とか聞き出そうとするなのはに、話をするつもりの無い金髪の少女。埒が開かないと、判断したのか犬耳の女性がなのはに襲い掛かる。

 「いちいち、うるさいねぇ。大人しくお家に帰りな!!!」

 「させるか!!!」

 それを間一髪で防御魔法を使用するユーノ。それを合図と受け取ったのか金髪の少女が臨戦体系を取る。もう話では無理と判断したのか、

 「そう・・・じゃあ賭けよう。お互いのジュエルシードを!!!私が勝ったらあなたの名前と目的を教えて。」

 「いいよ。勝てたらね・・・」

 そして二人の、魔法少女は再び激突した。


 一方その頃垣根は、士郎たちとの激戦の後なのは達を探すがどこにもおらず、嫌な予感がしてなのは達を必死に探索する。
 なんとか、なのは達のいる場所に見当が付きそこに向かう垣根の頭には、あのなのはが戦っている時、間に合わなかった時の事だった。
 全力で飛び、何とか到着した垣根の目に映ったのは危なげながらもなんとか、喰らいつくなのはの姿があった。前回垣根は見ていなかったが、恐らくあっさりやられたであろう戦いからこんなにも成長した、はのはに目柱が熱くなりつつ(冷蔵庫だから以下略)どうやら一対一の戦いの様なので、参戦しそうになるのを必死に抑える。その後、やはり経験の差が大きかったせいか撃墜されてしまったなのはを救助するため、飛び出す垣根だった。



[27492] 第十六話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/16 23:43

 垣根がなのはを、回収しに来た瞬間金髪の少女は奇妙な悲鳴を上げながらジュエルシードを回収する事すら忘れて逃げて行った。(その後を犬耳の女性が「フェイトー!!!待っておくれー!!!」と叫びながら追いかけて行った気がするが、スルーしておいた。)気を失っている、なのはに〜未元気付け薬〜メルヘン1200%配合を飲ませ(変な悲鳴を上げながら目を覚ました。)一緒に宿まで戻った。(士郎と恭弥は垣根の奇襲で眠らせた。)

 連休が終わり、なのはが学校に行っている間垣根は家でユーノと共に二人で将棋をしている。(ちなみに垣根がユーノの駒を全て取っている)二人は次に一体どうするかなどを話し合っているが、なのはが居ないのであくまで予定である。垣根がいい加減将棋を終わりにするかと思いながら20回目の連続王手を決めようとした瞬間、なのはが帰ってきた。

 「ただいま・・・」

 帰ってきたのは良いが、いつもより元気が無い。垣根やユーノが尋ねてもお茶を濁す事から魔法関係では無いと思うがやはり気になる。しかし無理に聞き出しても良くないのでそっとしておく事にした。

 夜、ジュエルシードを探すために街に出ていたなのは達だが急にあの金髪の少女の魔力反応があり急いでそこに向かう(垣根はこっそり隠れながらついてきている。)。そこには、あの少女が居てその比較的近くに発動寸前のジュエルシードもある。今回はなのはの呼びかけも完全に無視してジュエルシードを一刻も早く封印しようとする少女と、先に自分が封印しようとするなのは。お互いが譲らず同時にジュエルシードが二人の杖の先に触れ、同時にお互いのありったけの魔力でジュエルシードの封印を実行する。

 その瞬間、辺り一帯にものすごい衝撃が走った。

 無理矢理、封印しようとしたせいでジュエルシードが暴走し、[次元震]が発生したのだ。金髪の少女が物凄い衝撃波の中、何とか封印しようとした瞬間冷蔵庫が前をよぎった。[三枚]の翼でジュエルシードを包み込む。しかしあまりの衝撃に翼にひびが入るが、そんな事気にしている暇など無い。

 「俺の未元物質に常識は通用しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」

 そう叫び暫く経つと暴走が弱まりそして、衝撃波が弱まり完全に停止した。冷蔵庫のボディはボロボロで知らない人が見たら、粗大ゴミと間違えられそうなレベルだった。少女は垣根を見て震えながら、唇を噛みそして怯えながら、しかし垣根をしっかりと見つめながら言葉を紡いだ。

 「今回は諦める。でも次は絶対に負けない。ジュエルシードを集めるのは私たちだ。」

 そう言い捨ててすごい速度で去って行った少女。なるほどなのはの言っていたとても[寂しそうな目]とはあのことか。確かにあまり争い事が好きそうなタイプには見えなかった。ではなぜあんな見るからにヤバイ状態のジュエルシードに突っ込もうとしたのだろうか?疑問は尽きないが、まあまずは自分のボロボロのボディの修復となのはにジュエルシードの封印をして貰わないといけないなと思いながら、衝撃波ですっ飛んで行ってしまったなのは達の方へ向かう垣根だった。




[27492] 第十七話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/18 16:36
 ボロボロになった垣根をなのは達が一生懸命家にまで運んだ次の日、なんとか垣根がなんとか動けるようになったのはなのはが学校から帰って来た辺りだった。

 「ていとくん、本当に大丈夫?無理しないでお家に居ていいんだよ?」

 「大丈夫だ、問題ない。それに俺もあの餓鬼と少しOHANASHIをしたくなったんでな。」

 そんな事を言いながら、背中から翼を出しながら付いてくる垣根。強がってはいるが結構限界だろう。なんせ時空震を無理矢理押さえつけたのだから。普通ならば死んでいる位なのに今も万全の状態では無いとはいえ動ける事が奇跡なのだ。

 「それにほら、無駄話している時間はあまり無いと思うぜ。」

 そう垣根が言った瞬間、ユーノとなのははジュエルシードが覚醒するのを感じた。ジュエルシードが覚醒したという事はほぼ間違いなくあの少女も居る事だろう。反応のある地点まで全速力で行って見ると、やはりあの少女と犬耳の女性がいた。彼女らに相対しているのはおそらく木を憑代に覚醒しているジュエルシードの暴走体だろう。強力なバリアを持っているのか苦戦している少女。このまま暫く待ってから出て行って消耗している少女と暴走体を倒してしまった方が簡単だろう。しかしそれでは、あの少女の心の扉を開けず閉ざしたままだろう。故になのはは少女に加勢することを選ぶ。

 「行くよ!!レイジングハート!!!」

 「All right」

 空高く飛び上がったなのはが杖の先端に魔力を集めて、砲撃をする。尋常じゃない威力の砲撃は暴走体のバリアをものすごい勢いで削っていく。今まで戦っていた少女はなのはの援護に驚くがすぐに思考を切り替えて、暴走体に襲い掛かる。硬かったバリアもなのはの尋常じゃない威力の砲撃魔法を喰らったせいで大分脆くなっており少女の戦斧の攻撃で
簡単に砕けそこに渾身の一撃を畳み込む。断末魔を叫びながらジュエルシードに戻る暴走体。それをお互い見届け二人の少女は相対する。

 「私の名前は高町なのは、私立聖祥大学付属小学校の3年生。あなたの名前は?」

 「フェイト・・・助けてくれたのは礼を言う。でもジュエルシードを集める理由は言えない。そして・・・諦めるつもりも無い。」

 そういいながら、戦斧をこちらに向けるフェイト。なのはも臨戦体系に入る。

 「・・・私はお話をしたいだけなんだけれど・・・。もし私があなたに勝てたら話してくれる?」

 フェイトは軽くうなずき、なのはに襲い掛かる。なのはもそれを返り討ちにするべく突撃をする。話がよく聞こえなかった垣根はいきなり戦い始めた(と思っている)二人を止めるべく翼を間に入れて止めようとする。その瞬間二人の間に青い魔力光が現れ一人の少年が現れた。
 その少年は二人の少女の武器を受け止めた。

 「ストップだ! 此処での戦闘「あっ、バカ!!!急に飛び出してんじゃねぇ!!!」ごっ、がァァァァァァアアアあああああああああああああああああッッッ!?」

 二人の少女の激突を止めるために、割り込もうとした垣根だが急に現れた人影に誤って攻撃してしまった。垣根の攻撃はバリアジャケットを簡単に[通過]し少年の体を容易く薙ぎ払い、圧倒的な速度で水の上を跳ねる姿は水切りを連想させた。そして少年が跳ね終わった後にはただ水の上に浮いていた。意識の有無など確認する必要などなかった。

 



[27492] 第十八話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/18 23:56

 少女たちは何が起きたのか分からず、固まっていた。いきなり少年が現れて自分たちの戦闘の妨害をして来たかと思ったら、垣根に薙ぎ払われ人間水切りをした挙句に失神したのだから当然である。

 「・・・フェイトちゃん、知り合い?」

 「・・・知らない。」

 二人は、戦う事も忘れてぼんやりと話しているだけだった。






 次元空間航行艦船アースラの中も呆然としていた。皆、自分たちの部隊でも艦長であるリンディ提督を除けば一番の腕利きであるクロノ執務管が一瞬の内に伸されてしまったのだから仕方がないと言えるだろう。

 「ク、クロノくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!???」
 
 我に返ったクロノと親しい女性でありアースラ通信主任兼執務官補佐であるエイミィが我に返り叫んだ事で、ようやく皆我に返った。
 クロノの母親でもあり艦長でもあり[アースラ最強の魔導師]でもあるリンディ艦長はクロノに呼びかける。

 「クロノ!?クロノ!?大丈夫!?意識ある!?」

 「・・・」

 返事がないただの屍の様だ。(*死んでません)完全にKOされているクロノの救助と戦闘の仲裁のためリンディは皆に出撃の命令をだす。本来ならば自分が出撃したいところだが、あくまで己は艦長なのでありそう簡単に出られる立場では無いのだ。

 海の上で思考停止しているなのは達だったが、(垣根は目?をそらしている)戦う雰囲気では無くなったためかフェイト達は帰って行ってしまった。(帰り際にこっそりアルフがジュエルシードを回収していた)

 二人が行ってしまった後にアースラの警備隊が現れ、なのは達の混乱に輪をかけたのはまた別の話。




 ひと悶着あった所で、職員たちになのは達はアースラの艦長の部屋に招待された。部屋に向かう途中でユーノが実は人間だった事が判明し驚いたり、垣根が途中で逃げ出そうとしたりとなかなか大変だった。そしてようやく、艦長の部屋に到着し(なぜか和室だった)気絶から目の覚めたクロノと微妙に顔を引き攣らせたリンディと対面した。(職員たちが垣根から全力で目をそらしているのが印象的だった。)

 「ようこそ、アースラへ。まぁ気を楽にしてください。」

 「はぁ・・・」

 柔らかい言葉遣いである程度安心したが、気まずい。なんせ目の前には垣根が(たぶん)悪気が無かったとは言えホームランして気絶させてしまった少年がいるのだ。この空気を換えるべく、なのはは話題を振る。

 「と、ところでユーノくん。この人たちは一体誰なのかな?」

 「そっそれはね、なのは多分[管理局]の人間だと思うよ。」

 「かんりきょく?なんだそりゃ?」

 垣根が心底訳が分からないと言った感じで、質問を投げかける。それに答えたのはなんとなく不機嫌そうなクロノに代わりリンディ提督だった。

 「この世界には、地球以外にもいくつもの異なる[世界]があり、それらを全てまとめたのは次元世界と言うの。その次元世界をまとめて管理するのが管理局。まぁ、あなた達の世界で言うと裁判所と警察が一緒になった感じね。」

 まあ地球は管理外世界なんだけどね、と付け足すクロノ。そこに垣根が質問を重ねる。

 「地球は管理外なんだろ?ならなんで、わざわざこんな所まで来たんだよ?」

 「さっき君達に言った、管理局の仕事内容以外にもする事があってだね。それは[ロストロギア]の回収さ。」

 何でもロストロギアと言うのは滅びた文明の発達した技術や魔法などが詰め込まれた遺産らしい。ロストロギアには危険な物も多く、然るべきところに然るべき処置が必要な物らしい。ジュエルシードもそれに該当するらしく回収しに来たらしい。

 「ところで来るの遅くね?有るの分かってるんだったら、さっさと回収しに来いよ。」

 「分かったのは最近なのよ。次元震と言う黒衣の少女とぶつかった時に発生したのが無ければ分からなったから。」

 ここで話を区切り、堅く真面目な表情になったリンディ提督はなのは達の目をしっかりと見つめた。

 「これより、ロストロギアの回収及び探索は管理局が全権限を得ます。」

 「君たちは今回の事は忘れて今までの生活に戻りたまえ。」

 そこで、なのは達は反発する。

 「でも・・・そんな・・・」

 「・・・表出ろや。久々に切れちまったよ・・・」

 今にも翼を展開しそうな垣根に、納得のいかなそうななのは(そして全力で止めるユーノ)。クロノは臨戦体系を取ろうとするがリンディになだめられる。

 「まあ、急に言われても気持ちの整理も付かないでしょうから、今晩三人?でゆっくり話し合ってね。」

 「送っていくよ。元の居場所で良いね?」

 そう言いながら立ち上がり、連れて行こうとするクロノだがリンディに少しストップを掛けられる。

 「垣根・・・さん?でしたっけ」

 「ああ、ていとくんでいいぜ。」

 「じゃあていとくん、質問良いかしら?」

 すこし垣根は少し考え、貸し一つなと言い了承した。

 「そーねー。じゃあ、あなたの翼って魔法なの?」
 



[27492] 第十九話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/20 01:11

 家に戻った、なのは達は部屋でくつろいでいた。管理局の人達に手を引けなどと言われたがこんな所で引くつもりは全く無い。あの少女と話をして見たいし、ジュエルシードなんて言う危険な物が存在する中のんびり過ごすなんて出来そうにない。明日そう管理局の人達に言おうと決心しながら、なのはは目を閉じた。




 アースラでは、クロノとエイミィが二人の少女の戦闘を録画したビデオを観ていた。二人とも、若いのに莫大な量の魔力と才能を持っており驚愕に値する。

 「すごいねぇ!!二人ともこの年でAAAランクの魔導師並だよ!!!魔力だけならクロノ君を抜いちゃってるねぇ。」

 「エイミィ、確かに二人とも凄いけれど、真に[異常]なのはこの次なんだよ。」

 そう言って、次の映像に移りそこに映ったのはクロノが戦闘を止めたのは良いがその後あのよく分からない冷蔵庫に薙ぎ払われ、気絶する羽目になった瞬間だ。

 「しかしクロノ君とんだねぇ~。世界新記録じゃないの?」

 「そんなので世界一になっても嬉しくないよ・・・」

 そう、あの純白の[三枚]の翼は自分のバリアジャケットを破壊するのでも貫通するのでも無く、何も障害が存在しないかのように[通過]したのだ。そんな魔法は聞いたことは無いし、そもそもあの翼に魔力は一切感知できなかった。

 「魔力完全隠蔽にバリアジャケット完全無視更に飛行可能ってそれなんて、インチキだよ・・・」

 「それに、冷蔵庫だしねぇ~。地球の冷蔵庫は皆ああなのかな?」

 そんな事を話していると、部屋にリンディ提督が入ってきた。

 「どう、なにか分かった?」
 
 「いえ、全く。精々こいつが非常識って事が分かった位ですかね?」

 そう、とリンディは頷き垣根が帰り際に言っていた魔法とは違う力[超能力]。最初聞いたときは、意味が全く分からずからかっているのかと思ったが、ここまで正体不明だと冷蔵庫の戯言も真実味をおびてくる。


 「・・・超能力、か。」

 「?何か言いましたか?」

 いえ、ちょっとね。と返事をしリンディはロストロギアの事、黒衣の少女の事、そして垣根の事等考える事がたくさん有りすぎてそっと溜息をつくのだった。



[27492] 第二十話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/21 00:52

 「と言う訳で、これより本艦の任務はロストロギアの回収とその捜索となります。そして特例としてロストロギアの発見者であり結界魔導師の」

 「はいっ!ユーノ・スクライアです!!」

 「そして、その協力者でもある現地の魔導師さんの」

 「たっ、高町なのはです。」

 「そして最後に冷蔵庫の国からやって来た」

 「垣根帝督だ。ていとくんでいいぜ。宜しくな!!」

 「以上、二人と一台が協力者と任務に参加します。」

 次の日、リンディを説得した後皆に紹介されたなのは達だが、案の条垣根を紹介した瞬間(紹介する前から、冷蔵庫が置いてある時点で目立っていたが)会議に参加している局員達はざわめいた。なぜ冷蔵庫が話しているのか?そういえばあの冷蔵庫クロノ執務管を一撃で倒したらしいとか、というよりも冷蔵庫の国ってどこだよ?などとぼやいていたが直接垣根に質問をするような猛者は居ないようだ。そのまま会議は終りなのは達はアースラのコックピットまで連れて行かれた。

 「それじゃあ、ジュエルシードの特定はこちらがやるからあなた達は場所が判明したら出撃してもらうわね。」

 「艦長、お茶をどうぞ。」

 そう言ってエイミィが出したのはなんの変哲もないただの緑茶。しかしその隣にはお菓子でも無く、意外!!!それは砂糖だった!!!そしてリンディはその砂糖を緑茶に入れ始めたではないか!!!

 これにはお菓子屋の娘のなのはも開いた口が塞がらない!!!

 「こいつに、俺達の常識は通用しねぇ・・・」

 流石の垣根も驚いているようだ。クロノの方を見てみると、疲れた顔をしていた。どうやら彼も苦労しているらしい。





 なのは達は現在、鳥に憑代にした暴走体と戦い終わった所だった。この暴走体は素早くなかなか手強かったがユーノがバインドで暴走体が見えなくなる位縛り付けなのはの砲撃でとどめをさした(垣根は見ていただけ)

 「凄いわねぇ~。このまま家の部隊に入ってほしい位だわ。」

 「どうだ!!!家のなのははすげぇだろ!!!」

 「・・・君は何もしていないだろう?」

 賞賛するリンディに、なにもしていないのに偉そうな垣根、そして冷静に突っ込みをいれるクロノ。なんだかんだで、意外と皆垣根と打ち解けてきたみたいである。そして艦に戻ってきた二人にリンディはねぎらいの言葉をかける。

 「ご苦労様。二人とも休んでて「艦長!!あの正体不明の少女です!!!」なんですって!!??」

 また二人の魔法少女は会合することになる。そしてこの出来事がジュエルシード事件の終わりの始まりだった。



[27492] 第二十一話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/22 00:54
 
 モニターには、海の上で儀式魔法の用意のしているフェイトの姿が映っている。どうやら強制的に海の中にあるジュエルシードを覚醒させて回収するつもりのようだ。

 「しかし、あれはどう見ても無謀だ!!どう足掻いても彼女たちは自滅する。あんな魔法は個人で扱えるような物では無いんだ!!」

 そこに、現場にから戻って来たなのは達がコックピットに駈け込んで来た。

 「あの、早く急いで、私を現場に!!!」
 
 しかしクロノはそれを否定する。
 
 「その必要は無い。彼女は勝手に自滅する。その時に叩くべきだ。仮に自滅しなくとも疲れ果てている所を襲えば一溜りもないさ。」

 それが正しい選択なのだろうが納得できないなのは。しかしクロノ達は自分を現場に送ってはくれないだろう。なのはが途方に暮れていると・・・

 (大丈夫だよ、なのは。僕があそこまで送るよ。だから自分の好きにすると良い。)

 (でも・・・それじゃあユーノ君が。)

 ユーノが念話でなのはを現場まで送ると言うのだ。しかしユーノに多大な迷惑を掛けてしまうことになってしまう。

 (僕を助けてくれた君のように僕も君の力になりたいんだ。だから僕に協力させてくれ。)

 (そうだぜ、なのは。俺も協力してやるからさ自分の好きなようにしろよ。あの餓鬼と話をしたいんだろう。)

 (ていとくん・・・)

 (というか、なんで垣根なんでに念話に参加できてるの?たしか君リンカーコア無かったよね?)

 (この俺に常識は通用しねぇ。)

 そんな事を念話で話しながら、ユーノは転送の準備を始める。それに気付いたクロノは、止めようとするが垣根に阻まれる。

 「ごめんなさい。高町なのは出撃します。」

 偶然反応できたクロノを除いて、止める事の出来たものは居なかった。クロノは阻止するのを妨害した垣根を睨みつける。

 「垣根ェ・・・」

 「おっと、悪いがこっから先は先は進入禁止だ。お前らは大人しくあの二人を見物でもしてるんだな。それが嫌なら俺と遊んでるかい?」

 「・・・どうやら君とは、決着を着けなければ成らない様だ。」

 やはりクロノも男の子と言うべきか、一撃で気絶させられてしまった事はかなり気にしているらしい。

 「決着?もう着いてるだろう?俺の勝利でなぁ!!!」

 「上等だ!!!あの時の様には行かないぞ!!!」

 垣根は翼を展開し、クロノはデバイスを起動させる。艦の中だろうと構わず戦い始めそうな雰囲気だ。まさに一触即発の空気の中、ユーノは垣根とクロノを別の場所に転移する。

 「・・・良いんですか、艦長?」

 「・・・帰ってきたらなのはちゃんも含めて皆にOHANASHIをしなきゃね。」

 リンディは笑顔でそう告げる。だがその感情の読めない笑顔が怖い。
 皆、ご愁傷様っとエイミィは思った。

 二つのモニターの内、一方のモニターには二人の少女の協力による儀式魔法を、もう一方モニターには馬鹿一人と一台が激戦を繰り広げている映像が映っていた。二人の少女の方は、儀式魔法を完成させジュエルシードを無事封印できた所だ。

 もう一方は、クロノが必要最小限の動きで飛び回り絶妙なタイミングで魔力光弾を打ち出していた。それを垣根は翼ですべて叩き落としたり、そもそも翼に触れていないのに勝手に光弾が垣根を避けて行ったりしていた。

 「どうした、どうした!!!そんな情けない攻撃じゃあこの俺の純白のボディに傷一つ付けられないぜぇ!!!大人しくママの元に帰りな。」

 「勝負はまだこれからさ!!!そもそも、お前の中身何が入っているんだ!?どうせ君の頭の中と同じように空っぽなんだろう?」

 「あっ!!!てめぇ!!!冷蔵庫ディスってんじゃねぇぞ!!!決めた!!!てめぇは俺が直々に買ったは良いけど使わない家電のファックスにしてやんよ。」

 「お断りだね!!!君の方こそ、僕がスクラップにして粗大ゴミとして出しといてあげるよ。君の場合、回収できませんって帰ってきそうだけど。」

 高度な戦闘の割に、話してる内容は非常に幼稚だった。リンディは溜息をついており、エイミィはあんなにハッチャけているクロノを珍しそうに眺めている。なのは達の方は、海中にあった、封印した六個のジュエルシードを二人で仲良く半分に分け合おうとしようとしているところだった。

 そこに突然、アースラ内部に警報が響き渡った。

 「本艦と戦闘区域に次元干渉と魔力攻撃が来ます!!!」

 「なんですって!!!」

 どこからともなく雷がアースラに直撃した。大破こそしなかったが色々な機能が暫くは使い物にならなくなってしまった。おかげで雷が放たれた場所を特定しようにも計器が使い物にならない。

 「あの子たちは!?」

 リンディが叫び、モニターを見てみるとフェイトに雷は直撃し、なのははかすりはしたが何とか直撃は避けたようだ。一方バカ一人と一台は流石と言うべきか完璧に防いでいた。
 

 なのはが、ダメージから回復し辺りを見回すといつの間にかに来ていたのか六個のジュエルシードの内二つを確保したユーノが居たが残りのジュエルシードとあの少女達の姿は無かった。



[27492] 第二十二話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/22 12:00

 現在フェイト・テスタロッサ本拠地である[時の庭園]で母親であるプレシア・テスタロッサに[お仕置き]を受けていた。だがそれは、親が子に向けて行う行為では無かった。

 「ぐっ・・・あっ・・・・」

 プレシアの鞭がフェイトの体を縦横無尽に引き裂かん、とばかりに唸りを上げる。そこに親子らしさは欠片も存在しなかった。

 「あんな,ジュエルシードがたくさんある状況で何もせずにボケッと
と立ち尽くしているなんて・・・。そんなに母さんを悲しませたいの?」

 「ごめんなさい・・・」

 プレシアは、容赦なくまた鞭をふるう。フェイトは短く悲鳴を上げうなだれる。永遠に続くかと思える、[お仕置き]とはとても言えない[拷問]。しかしそこに在る白衣を着た男が声を掛ける。

 「お、おいプレシア。その辺にしておいたらどうだ?そっそいつが使い物にならなくなったら困るだろう?」

 「うるさいわね!!人の教育方針に口を出さないでくれる!?」

 フェイトはこの男が嫌いだった。ある日、突然家に来て自分とは滅多に話してくれない母さんと小難しい話とは言え会話をしているし、いつも何かに怯えている様な感じだった。

 そして私を物としか見ていないような態度が、何よりも嫌いだった。

 「まだ、あれには働いてもらうことが山ほどあるんだ!!!こんな所でダメにして見ろ!!!もう全部台無しだ!!!」

 「分かったわよ。やめればいいんでしょう。」

 しぶしぶ、鞭打ちを止めそのまま行ってしまうプレシア。全く、と言いながらどっかに行ってしまう白衣の男。急いで駆け付けてきたアルフ以外誰もフェイトの事を心配する者は居なかった。

 プレシアは一人、時の庭園の庭でジュエルシードを眺めていた。意外と集まったがまだ足りない。もっと集めなくては目的を達成出来ない。そんな事を考えながら焦っていたプレシアに突如、襲い掛かるアルフ。その攻撃はあっさり防がれ、プレシアを説得しようとするもまるで通じず時の庭園から落下するアルフの思った事は誰でも良いからフェイトを助けて、だった。





 
 一方アースラでは、なのはとユーノの説教が終わり垣根とクロノが叱られようとしている所だった。

 「さて、あなた達。なにか言い訳は?」

 「すみません・・・」

 「この俺に常識は「黙れ」御免なさい・・・」

 あの垣根も笑顔のリンディに気圧されている。長くなりそうだなと思いながらなのは達は思いながら、エイミィは時間をもったいないと思ったのかなのは達にフェイトについて分かった事を伝え始める。

 「それで、このモニターに映っている女性がプレシア。フェイトちゃんのお母さんのはずなんだけど・・・」

 「なにか、おかしい所でも?」

 煮え切らない態度のエイミィに、なのはは疑問を持ち質問をするがエイミィは頭を振り、

 「う~ん?もうちょい調べてみないと分から無いかな?何か分かったら教えてあげるよ。」

 説明が終わった所で、二人への説教も終わった様だ。二人とも物凄く落ち込んでおりなにやらぶつくさ呟いてる。

 「めんなさいごめんなさいごめんなさいごめ・・・」

 「いませんすいませんすいませんすいませんすい・・・」

 二人ともなんか怖かったので、話しかけるのはやめておいた。この後解散になり家に帰ろうとするなのは達だった。



[27492] 第二十三話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/24 00:16

 時の庭園から何とか逃げ出せた、フェイトの使い魔アルフは海鳴市を歩き回っていた。しかし彼女は体力的にも精神的にも限界だった。プレシアから喰らった攻撃が予想以上に響きもういつ倒れてもおかしくなかった。(現在は犬の姿をしている。)
 
 だがそれでも倒れずに町を歩き回っていたのは、誰でも良いからフェイトを助けてくれるような者を探しているからだ。いい加減フェイトは限界だ。あのままだったら何時か近いうちに大怪我をするか最悪死んでしまう。だが自分ではフェイトを助けることが、出来なかった。

 (待っててね・・・フェイト、絶対あそこから助け出してあげるからね・・・)

 しかし、流石の彼女も疲労がピークに達したのかその場で倒れてしまう。薄れゆく意識の中、彼女が最後に見たものはいつ見てもよく分からん純白の話す冷蔵庫だった。


 


 なのは達は驚いてた。垣根が何かを拾ってくるのはいつもの事だが、フェイトの使い魔を持ってくるとは予想外だったからである。

 「え!?え!?てっていとくん?一体その子どこから、連れて来たの?」

 「落ちてた。」

 「そんな、落し物拾ったみたく気軽に言わないでよ・・・」

 アルフが、大分怪我をしていたので久しぶりに[〜未元傷薬〜メルヘン120%配合]を使った。暫くして、見ていて気持ち悪くなるくらいの速度で治ったアルフが目を覚ましなのは達に自分が倒れていた理由を話す。フェイトがジュエルシードを集める理由、フェイトの母親プレシアについて、自分が襲い掛かったが返り討ちに在ってしまった事など・・・

 「あんた達が聞いて居るって事は管理局の連中も聞いて居るんだろう?虫の良い話だとは、分かっている。けれどこんな事頼める相手なんてあんたたち位しか、居ないんだよ・・・。頼むよ、フェイトを・・・あの子を救ってやってくれ!!」

 なのは達は、それに微笑みながら頷き了承した。モニターの向こう側のクロノ達も同じく了承し、そのための準備に取り掛かる。垣根がアルフに話掛ける。

 「その時の庭園って所に今の所、居るのはプレシアとフェイトフェイトだけか?」

 「いや。もう一人プレシアがどこからか連れて来た科学者が居た筈なんだけど・・・正直ほとんどそいつに関して知らないんだよ・・・あたし達はなんとなく、そいつが気に入ら無いからほとんど関わろうとした事無いし、向こうからも関わろうとしてこなかったからねぇ・・・」

 正直、冴えない中年の男位しか覚えてないらしい。申し訳なさそうな顔をしているアルフを慰め、なのは達はアルフから聞いた情報を元にフェイトを助けるための作戦を話し合うのだった。





 翌朝、なのは達は家を出て海に向かう。ここでなら存分にフェイトと戦う事が出来るだろう。

 「・・・ここなら、存分に戦える。出てきてフェイトちゃん。」

 [scythe form]

 デバイスの声が響き渡り、そちらの方を向いて見るとそこには既に臨戦体系のフェイト・テスタロッサが居た。アルフがフェイトを説得しようとするが、フェイトは聞き入れ無い。なのははフェイトを目を逸らさずに、じっと見つめ言葉を紡ぐ。

 「フェイトちゃん、これで最後だね・・・決着を着けよう!!!」

 決戦の幕は上がり、二人の最後の戦いが今始まる。



[27492] 第二十四話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:da49a613
Date: 2011/05/24 13:58

 二人の魔法少女はジュエルシードを賭けて、戦っていた。二人がデバイスを振るう度に、空気が震える。とても、魔法を使い始めたのが最近だとは信じられない位だ。それを見ている垣根達はと言うと・・・

 「どうだ!!!うちのなのははスゲェだろ。この勝負なのはの勝ちだな。」

 「なに言ってるんだい、フェイトが勝つに決まってるじゃないか。見なよ!!!あのかわいらしいフェイトの余裕そうな顔を!!」

 「何言ってやがる!!!うちのなのはの方がかわいいに決まってるじゃねぇか!!!!!!なのははなぁ夜中一人でトイレに行けないんだぞ!!!」

 「ふんっ!!!家のフェイトなんかねぇ・・・」

 「何の話をしてるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 モニターで今まで垣根達の話を聞いていたクロノが叫んだ。その額には青筋が何本か立っており、相当頭に来ている事が分かる。

 「「何って・・・家のなのは(フェイト)がどれだけかわいいか、この馬鹿犬(冷蔵庫)に教えてるあげているところだけど?」」

 「後にしろ、そんなもの!!!!!」

 クロノが言っていることは至極当然の事だがそんな事を言われた位でやめる垣根で無い。

 「やかましい!!!てめぇがうちのなのはの事が気になっているって事は既に分かってるんだからな!!!このむっつりスケベが!!!」

 「なっ!?」

 「なっなんだって!!!じゃあ、家のフェイトにも手を出すつもりかい?!!えーい、家のフェイトには触らせないよ!!」

 「おい、ちょっと待てよ・・・いつ僕がそんな変態になった?」

 「はっ!女たらしは黙ってろ!!このロリコンがぁ!!!」

 「そうだ、そうだ!!!」

 ぶっち、とクロノから血管が切れる音が聞こえたような気がした。

 「言い度胸してるじゃないか、おまえら!!!今からそこに行くから逃げるなよ!!!」

 「上等だ!!!返り討ちにしてやんよ!!!」
 
 今にも、また大喧嘩が始まりそうな状況にリンディ艦長は笑顔のままポツリと一言呟く。

 「黙れ。」

 「「「はい。」」」」

  


 垣根達がリンディの鶴の一声で騒ぎも無事収まった。そして二人の魔法少女の戦いも決着が着きそうだった。バインドで完全に身動きの取れなくなったフェイトに向かい、なのはの最後の攻撃を放つ。

 「全力全開!!スターライトブレイカー!!!!!!」

 莫大な魔力を集めた一撃が直撃し海に落ちていくフェイト。海に落ちる寸前に垣根がフェイトを助け出し、意識の無いフェイトを急いでアースラにまで連れて行く垣根だった。 



[27492] 第二十五話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/25 00:58

 垣根がフェイトを助けるのを見届けた、なのはは目の前にある複数のジュエルシードをそっと見つめる。

 「よし、なのは。今のうちにジュエルシードを封印してくれ。」

 クロノからの通信もあり、ジュエルシードを封印しようとデバイスを構えた瞬間、

 轟音と共に魔力の雷がなのはを襲った。恐らくは来るだろうと思っていた攻撃になのはは防御魔法を展開出来たが、予想以上に強力な攻撃でバランスを崩し体勢を立て直している内にジュエルシードを持って行かれてしまった。

 「エイミィ!」

 「大丈夫だよ、クロノ君。尻尾を掴んだから!」

 今の攻撃でプレシアの居場所が分かった。今度はこちらから攻める番だと確信するクロノ。リンディがプレシアを確保する為の号令をだそうとしている。

 「武装局員、出撃用意。これよりプレシアの確保とジュエルシー「ちょっと待ってくれ。俺も連れて行ってくれねぇか?」理由を聞こうかしら?」

 リンディの話を遮って、話しかけて来たのは垣根だった。毎度話を遮られるのは、あまりいい気分では無いが、それよりも連れて行ってほしい訳を聞く。

 「まあ、保険だよ。こいつらに何かあった時、俺が居た方が何かと良いだろう。」

 垣根は言葉こそ柔らかいが、なんとしてでも付いて行くと言う決意が漂っていた。説得するのは難しいと考えたリンディは溜息を着きながら、了承の言葉を言う。

 


 

 武装隊がプレシアの本拠地、時の庭園に着きプレシアを確保する為と前進する。途中に研究室らしき部屋がありその奥には、

 ビーカーに入ったフェイトそっくりの少女とその隣に一人の中年の科学者がいた。武装隊があまりのショッキングな事実に呆然としていると、突然現れた武装隊に錯乱しかけている科学者の横にいつの間にかプレシアが佇んでいた。

 「何やってるの、天井。この部屋に誰も通すなと言ったでしょう?」

 天井と呼ばれた研究者は、プレシアが来たことで少し落ち着いたらしい黒髪で冴えない中年の科学者は返答する。

 「しょ、しょうがないだろう!?私は研究者なんだ。こんな奴らと戦えるわけないだろう!?」

 プレシアは溜息を着きながら武装隊の方に目を向け呟く。

 「まぁ、そうね・・・じゃあとりあえず、勝手に入ってきた客人たちにご退場願おうかしら!!!」

 そう言うと部屋全体に雷が埋め尽くした。莫大な魔力が込められている攻撃に武装隊はなすすべもなく、やられてしまったかと思われたが、

 「あぶねぇな・・・俺が防がなきゃ全員やられてたぜ?」

 三枚の翼を展開し武装隊を雷から守り切った冷蔵庫こと垣根帝督がいた。そこにエイミィから通信が入る。

 「一旦退却だよ、今から転送するね!!!」

 その瞬間、武装隊と垣根の体が光に包まれ時の庭園から脱出した。時の庭園から消える瞬間まで垣根の頭の中にはあの[天井]と言う研究者。
 垣根はなぜあいつがこんな所に居るのか考えていた。

 



[27492] 第二十六話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/26 00:38

 「邪魔者は、消えた事だし全てを終わりにするわ。アリシアが居なくなってしまってからの暗鬱な時間も、そして人形を娘扱いして気を紛らわすのも・・・」

 現在アースラでは、垣根が大部分を防いだとは言え防ぎきれなかった攻撃を受けてしまい負傷した局員の治療を急いでいた。

 「わりぃな、全部は防ぎきれなかった・・・」

 「いや、十分だ。これならばまだ立て直しは効く。君の功績が無かったらほとんどの局員は、やられていただろう。しかしそれより問題は・・・」

 クロノが、横に目を向けるとそこには気絶から目の覚めたフェイトが居た。フェイトはプレシアが何を言っているのか分からない、いや分かりたくないといった目で、モニターを眺めている。

 「聞いてるのフェイト・・・あなたの事よ?こんな量のジュエルシードでは、アルハザードに辿りつけるか分からないけれど・・・この男同様、役立たずでちっとも使えないお人形と居るよりはよっぽどマシね。」

 その言葉を聞いた天井がプレシアに、凄い剣幕で怒鳴る。

 「誰が、お前の娘の出来損ない同様に使えないだ!!!それに約束が違う!!!ジュエルシードは、必要な分以外、わたs「うるさい。」ぶぎゃ!!!」

 プレシアから軽い魔力弾を喰らい、あっさりと気絶する天井。それを興味無さげなプレシアは再びこちらを向き話し始める。

 「私がこの世界に絶望したのは、4年前だったわ・・・あの子が死んでから、私は必死に何とかしようと頑張って来たのだけどね・・・やっぱり欠陥品じゃだめね・・・あぁ[アリシア]。私のただ一人の愛する子。その中は寒いでしょう?すぐに出してあげるからねぇ。」

 フラスコの中に入っている少女に、優しく微笑み話しかけるプレシア。フェイトは、あんな微笑みを[フェイト]にしてもらった記憶は無い。ここで、エイミィが暗い表情で語り始める。

 「・・・プレシアにはね、娘がいたの。その娘はプレシアの実験中に事故に巻き込まれて死んでしまったの。その娘の名前は・・・」

 そこで一旦話を区切り意を決したかの様に言葉を紡ぐ。

 「アリシアというの。」

 フラスコの中の少女に話しかけていたプレシアが再びこちらを向く。

 「そうよ。あなたはアリシアのクローンなのよ・・・あなたにはアリシアの記憶もあるし、遺伝子も一緒なの・・・でも似ているのは見かけだけ・・・だから、捨てるの。要らないものは捨てるのが常識でしょう?」

 フェイトは、信じられないといった目でモニターを見ている。なのはは、これ以上見てられないと「やめて!!!」叫ぶ。しかしそんな事に構わず、プレシアは続ける。

 「最後に良いことを、教えてあげるわ、フェイト。」

 その言葉に、崩壊寸前のフェイトの目に僅かだが希望が灯り

 「あなたを造り出してから、ずっとね。あなたの事が、大嫌いだったのよ!!!」

 絶望へと叩き落された。崩れ落ちるフェイトを支えるなのはとクロノ。エイミィが叫ぶ。

 「大変!!!庭園内に魔力反応が多数!!!」

 「なんだって!!!」

 そう言って、モニターを観てみると傀儡兵と呼ばれる自動迎撃装置の動く鎧達が出現していた。

 「くそっ!!動ける奴は、僕に続け!!!プレシアは次元震を起こすつもりだ!時か「なぁ、クロノ俺も付いていくけど良いよな?断っても無理やりついていくけどな。」足だけは引っ張るなよ・・・」

 垣根帝督を連れ、クロノと武装局員たちは再び時の庭園に侵入する。




 



 なのははフェイトを医務室まで連れて行きベットに寝かせる。

 「御免ね・・・フェイトちゃん。私あまり頭良くないから、あなたに掛ける言葉が見つからないの・・・」

 そこでなのはは一旦話を区切り、

 「だから、あなたのお母さんを止めてくる。それだけが私にできる事だと思うから・・・行ってくるね、フェイトちゃん。アルフ、フェイトちゃんを任せたよ。」

 「ああ、ここはあたしに任せとけ!!!だから、あんたは安心して行ってきな。」

 自分の言葉が届いたのか分からないが、自分がフェイトにできる事は一つを残してすべてやった。後は最後にできる事を果たしに時の庭園に向かうなのはだった。



[27492] 第二十七話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/27 00:09

 時の庭園に再び到着した垣根は、物凄い速度でどこかに行ってしまった。結構強い筈の傀儡兵を紙の様に蹴散らす姿はまるで、いつもの垣根では無いような気がしたが今はそんな事よりもプレシアを止める事が先決だ。そうクロノは思い、武装局員に傀儡兵を任せ、自分はプレシアの所に向かおうと思った。傀儡兵は強い事は強いが、所詮は傀儡。基本動きは単純だし、連携もあまり取れていない。毎日の厳しい訓練で、相当な連携を持つ部下達に負ける道理は無いと思った。

 そう思った瞬間、隊員達の悲鳴が上がる。クロノが何が起きたのか把握するために、後ろを振り向くと増援なのだろうか新しい傀儡兵らしき物が居た。その傀儡兵は、今までの5メートルを超えるような巨大な傀儡兵と比べるととても小さく、精々2メートルと言った所だろうか。
 その傀儡兵は白いボディをしており、手にはおよそ人では撃てないような大きな銃を持っていた。

 「・・・質量兵器だと。」

 管理局によって禁止されている[魔法を使用しない物理兵器]通称質量兵器。子供でも使用でき世界を容易に滅ぼせる為、相当厳しく取り締まっている物だ。更にあの傀儡兵達の動きは恐らく、人によって遠隔操作されているのだろう。明らかに機械の動きでは無い。まるで傀儡兵達が、一人の人間の様に究極とも言える様なな連携を取っている。おそらく、あの科学者の他にも協力者が居るのだろう。とにかく自分が居なくなってしまっては、自分の部下達では勝てないだろう。歯がゆく思いながら、クロノは謎の傀儡兵達との戦いに身を投げるのだった。



 

 「あぁ・・・もう少しだわ、アリシア。もうすぐ、あなたと会える。」

 プレシアは現在大広間にてジュエルシードを暴走させていた。あと少しで次元断層が起こり、死者をも蘇らす地[アルハザード]へと到達できるのだ。そうすれば、またアリシアと会えると思っているプレシアに止まる気は毛頭ない。そんな事を考えていると、

 突然近くの壁が砕け散った。

 プレシアは、避けるまでもなく破片を全て防ぎ壁を砕いた張本人の方に目を向ける。

 そこには、純白の冷蔵庫があった。唯の冷蔵庫では無く、後ろから天使のような翼が生えていると言う輪にかけてよく分からない逸品だ。しかし、プレシアは特に反応らしき反応を取らず黙って杖を構える。

 「よう・・・てめぇが、絶望したのは4年前とか言ってたな?」

 そこで垣根の威圧感が急激に増し、

 「もう一度ここで絶望しろコラ。」

 世紀の魔導師と超能力者が激突した。







 
 クロノ達は苦戦していた。一刻も早くプレシアの所に行かねばならないのに、白い傀儡兵達に押されていた。普通の傀儡兵達は、全滅させたのだが白い傀儡兵達の連携が[凄過ぎる]のだ。明らかに人間の限界を超えているであろう行為を何度も行っているのだ。一人では、こんな大量の傀儡兵を操れる訳が無いし、複数で操っているにしては連携が常軌を逸している。

 「くそっ!!!このままではじり貧だ。」

 部下達は限界に達しようとしており、自分一人では勝てそうに無い。 せめて、自分たちに戦況を引っくり返せるような火力が有ればと思った時、

 「全力全開!!!スターライト・ブレイカー!!!!」

 桃色の砲撃が纏めて薙ぎ払った。

 「遅れて御免ね!クロノ君。私も戦うから!!!」

 地球出身の魔導師、高町なのはがいた。なのはの一撃でかなり削れ、更に何時の間に居たのか優秀な結界魔導師であるユーノが結構な数の傀儡兵を捕縛していた。しかし、不意打ちのあの一撃を何とか躱した個体も多くまだ油断は出来ないが、

 「いくぞ、反撃だ!!!」

 戦況はこちらに傾いたとクロノは確信した。



[27492] 第二十八話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:da49a613
Date: 2011/05/27 18:02
 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 プレシアが杖を振るうたびに、強力な雷が垣根を襲う。それを垣根は翼で全てを防ぐ。そして垣根が攻撃に移ろうとすれば、プレシアは、短距離の高速転移を行い距離を取る。プレシアは、垣根のバリアジャケット通過の事を知っており近寄ろうとしない。だがしかし、垣根は完璧と言ってもいい位こちらの攻撃を防いでおり、たまに直撃したかと思っても雷が不自然に曲がり結局当たらなかった。

 「いい加減当たりやがれ!!!この年増がぁぁぁぁぁ!!!!」

 「だれが、年増だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 年増と言われた事に怒りを感じながら、プレシアは考える。
 自分の勝利条件はジュエルシードの力で、次元断層を起こせば良いだけだ。暴走は既に起きているため、後は時間を稼ぐだけである。

 しかし、自分は病に侵されていて長時間の戦闘は厳しい。だが後先を考えずに戦っていれば、なんとかいけるかも知れない。そう思った時、

 「かっ・・・!!!息が・・・!」

 急に息が出来なくなった。いや、呼吸は出来ているのだが酸素を取り込めている気がしない。まるで、酸素が何かに変わってしまったかのように。

 「な・・・に・をし」

 プレシアが、苦しげにおそらくこの現象を引き起こしたであろう張本人の垣根に向かって質問する。
 
 「知ってるか。この世界は全て素粒子によって作られている。」

 「素粒子ってのは、分子や原子よりもさらに小さい物体だな。ゲージ粒子、クォーク・・・・・。
そして反粒子やクォークが集まって作られるハドロンなんてのもあるんだが、
まあ、大概はいくつかの種類に分けられるもんだ。この世界はそういう素粒子で構成されてる訳なんだよ。」
 
 「な・・にを・・・?」
 
 だけどな、と垣根は小さく呟き
 
 「俺の[未元物質]に、その常識は通用しねぇ。」

動けぬプレシアに向かって、垣根は容赦無く翼を振るいその意識を刈り取った。







なのは達が白い謎の傀儡兵を全て倒し、クロノから垣根がプレシアの所に先に行った事を聞いた。

 「僕は、プレシアの確保に向かう。あいつなら、たぶん大丈夫だろうが万が一と言う事もある。君は、この庭園にあるもうひとつのロストロギアを回収してくれ。」

 なのはが了承すると、クロノは物凄い速度で行ってしまった。とりあえずなのはとユーノはクロノに言われた通りジュエルシードとは違うロストロギアを回収しに行く事にした。

 途中に結構、傀儡兵がいたが相手にならず蹴散らしながら進んでいくと其処にはここのエンジンらしき物があった。

 「この中に入っているのかな?ユーノ君。」

 「おそらく、そうだろうね。今取り出すから少し待っててね。」

 ユーノが変身を解いて中からロストロギアを回収しようとすると、

突然足元が爆発した。

 いち早く気づいたなのはが、ユーノを抱えて回避していなければ二人とも愉快なオブジェへと変わっていただろう。後ろを振り向いてみると、

 其処には、奇妙なヘリコプターがあった。見かけは、地球の兵器のAH-64アパッチに似てるだろうか。翼が六枚あることを除けば、だが。

 とある世界の一機250億円の殺戮兵器、HsAFH-11通称[六枚羽]。殺人ヘリと魔法少女の絶望の戦いが、幕を上げた。







[27492] 第二十九話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/29 10:48
 [六枚羽]から機銃の嵐が吹き荒れ、なのは達を愉快な挽肉にしようと襲い掛かる。なのは達はそれを、なんとかギリギリで躱しきるが、[六枚羽]は即座に休ませる時間を与えない。目標が原型を保っていることを確認すると機銃では効果が薄いと判断したのか、ミサイルをぶっ放してきた。

 「くっ!でも、これ位なら!!」

 動きが直線的だったため軽い動作で避け反撃に移ろうとした、なのはだったが

 ミサイルが空中で分解し大量の小型の爆弾が降ってきた。

 突然の出来事に防御に回るのが遅れ、次の瞬間には轟音が響き渡った。







 
 プレシアが、目を覚ますとそこにはズタボロの冷蔵庫があった。自分との戦いではほとんど無傷だったくせに、なぜそんなにボロボロなのか気になっていた。

 「あぁ。これは、暴走しているジュエルシードを無理矢理押さえつけてたら、めっちゃ苦労してな。でもまぁ、なんとかなったぜ!」

 そう言いつつ、垣根の示す方向には真っ白な物質に覆われたジュエルシードがあった。暴走している沢山のジュエルシードをこんな短時間であっさりと封印するなんて、非常識過ぎると思ったが冷蔵庫が話したり動いてたりしているのだから、今さらだろうと突っ込むのはやめておいた。

 「わりぃな。まぁ、これでお前さんの目的は達成出来なくなっちまた訳だがどうする?まだやるかい?」

 プレシアは、無気力な声でそれを否定する。

 「・・・私の目的は、アリシアともう一度会う事だけ。その望みが叶わないのならば、もう全てがどうでもいい・・・」

 物凄く、疲れたような感じで話すプレシア。その姿は先ほどまで垣根と激戦を繰り広げていた同一人物だとはとても信じられなかった。そんな彼女に垣根は話を続ける。

 「なぁ・・・プレシア。」

 「何よ?もう、あんた達と戦う理由は無いのだから煮るなり焼くなりなんなりしなさい。」

 「お前は、俺を何だと思っているんだ・・・。まあいい、それよりも俺が言いたいことはフェイトの事だ。」

 「あの人形が、どうしたの?あんなのが欲しいのならばあげるから、好きにしなさい。」

 垣根は、その言葉に対して首を振り珍しく真面目な口調で言葉を紡ぐ。

 「それは、魅力的な提案だが遠慮しておく。俺が言いたいのは、あの餓鬼と決着を着けてほしいんだよ。」

 「は?」

 「だから、別れるなり寄りを戻すなりどちらにせよせめて、ちゃんと話会ってからにしてくれよ。こんな別れ方じゃあの餓鬼が悲惨すぎる。」

 「あんたは、私があの人形を捨てる事に対して何も言わないの?」

 「それは、俺が言える事ではねぇ。それに、何とかしてあの餓鬼の事を愛そうとしてた位俺には分かる。だから、何も言わない。後はお前ら親子の問題だよ。」

 プレシアは何も言わずに、黙りこくっていた。しかし言いたい事は、伝わったみたいだし、恐らく大丈夫だろう。そして垣根は、それとと続けると

 「天井以外の協力者は何処にいる?」










 轟音が収まり煙が晴れると、なのははまだしっかりと生きていた。なのはが爆発に飲み込まれた瞬間、ユーノが全力のシールドを張ってくれていたお陰で何とか生き延びられたのだ。

 「ありがとう。ユーノ君、助かったよ。」

 「ああ、でもごめん・・・僕はもう限界みたいだ・・・」

 広範囲を攻撃するミサイルであり、威力は多少低かったがミサイルはミサイル。真正面から受け止めたユーノはもう限界だった。それになのはも無傷と言う訳では無かった。完全に防げていたのでは無く、多少の爆発の余波を受け大分ダメージを受けていた。

 「大丈夫だよ、ユーノ君。私が何とかするから・・・」

 しかし、それでも一切加減をしない殺戮兵器[六枚羽]は攻撃を続ける。ボロボロのなのはは、頑張って凌いでいたがもう限界だった。またミサイルの爆風に吹き飛ばされ、体勢を崩された所に機銃を向けられた。ユーノが何かを叫んでいるが、聞こえ無い。なのはが避けようの無い中、最後まで足掻こうとすると

 いきなり、ヘリが吹き飛んだ。

 突然の出来事に目を見開くなのはだったが、我に返り[六枚羽]を吹き飛ばした者の姿を見た。そこには、ジュエルシードを奪い合い幾度となく戦った金髪の少女フェイト・テスタロッサがいた。

 「フェイトちゃん!!!」

 そうなのはが叫び、フェイトは微笑み言葉を紡ぐ。

 「話は後、まずはあのヘリを倒してからだよ。」

 見ると、即座に吹き飛ばされた筈のヘリが体勢を立て直しておりまたこちらを狙っている。話をしている暇は無さそうだ。

 「うん、まずはアレをやっつけようか!!!」

 そして、また一人魔法少女が参戦し仕切り直しとなった。しかし、今度は負ける気など微塵もしなかった。



[27492] 第三十話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/29 15:42

 垣根は翼を展開し、全力で疾風の如く飛ぶ。プレシアから聞いた話では時の庭園の最下層にいるらしい。それに垣根がプレシアの元にまで辿り着くまでに蹴散らしたあの白い傀儡兵。あれは、[学園都市の駆動鎧]だ。あんなものこの世界にあるはずなど無いし、さっき思い出したが天井の専門は遺伝子工学であり完全に畑違いだ。それに、あの自然な動きは機械の自動操縦等では無く、絶対に人が遠隔操作で動かしている。

 「・・・」

 そしてどうにか返り討ちにしたが、あの駆動鎧の連携プレーは人間の常識を超えている。凄過ぎるのだ。あれは、複数の人間が操っているというよりも一人の人間が複数居て操っていると言う感じだった。そんな事を考えながら、最下層に迄辿り着き扉を抉じ開けた。








 
 フェイトが、高速で動き回り着実にダメージを与えていく。そして[六枚羽]が機銃を撃つも、フェイトは軽く躱してゆく。避けようの無い広範囲の攻撃を放とうとすれば、

 「行くよ、レイジングハート!!!」

 「All right。」

 「シュート!!!」

 なのはからの強力な攻撃を喰らう!ついに殺戮兵器[六枚羽]の限界が来たらしく、煙を吹いている。

 「行くよ、フェイトちゃん!全力全開!スターライト・」

 「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」

 「ブレイカー!!!!!」

 「フォトンランサー ファランクスシフト 打ち砕け! Fire!」

 莫大な、魔力が[六枚羽]を貫き完全に撃破した。









 垣根の入った部屋は、薄暗く駆動鎧等の遠隔操作をするための機材が沢山あった。垣根は慎重に部屋の奥へと進んで行く。奥にには一人の少女が立っていた。その少女の年は中学生位だろうか?栗色の髪の毛に武骨な軍用ゴーグル、そして何処かの中学校の制服を着ていた。その少女は、無表情で垣根の方を向き話しかけてきた。

 「初めまして、とミサカは言葉を話すメルヘンな冷蔵庫に対して挨拶をします。」

 垣根帝督は、この少女を知っている。直接知り合った事は無いが、彼の宿敵[一方通行]の事を調べるのならば欠かせない人物だ。だが、この[ミサカ]は一体どのミサカなのだ?

 「・・・な、なぁ。お前の[検体番号]は一体幾つなんだ?」

 垣根が声を震わせながら、尋ねるも相変わらずの無表情で答える。

 「そこまで知っているのですか、とミサカは目の前の冷蔵庫に対して驚きを隠せないでいますが、心の広いミサカはその問いに答えてあげるとしましょう。」

 そう言って、言葉を区切りこちらをじっと見つめてくる。

 「ミサカの検体番号は、0000一号。 絶対能力進化計画にて被験者[一方通行]に殺害された一番最初の[妹達]です。」



[27492] 第三十一話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/05/31 00:35
 六枚羽を撃墜したなのは達はプレシアの居る、大広間に向かっていた。
 力尽きたユーノ(*死んでません)はアルフに看てもらっており、現在はなのはとフェイトだけである。

 「この扉の向こう側に居るんだね?」

 「うん。此処から、母さんの魔力を感じるからほぼ間違え無いと思う。」

 遂にプレシアが居る大広間の前まで来た。なのはがフェイトを見てみると、震えていた。また拒絶されるかもしれない、そして更に酷いことを言われるかもしれないという事もあり怖いのだろう。だけどなのはには、何も言えない。この問題は親子二人だけの問題だ。受け入れられるにしろ、拒絶されるにしろフェイトは立ち向かわなければならない。

 「フェイトちゃん・・・」

 「私は、大丈夫。・・・行こう、母さんが待ってる。」

 そう言うと、大広間の扉を開け二人は部屋の中に入っていた。



 部屋の中には、プレシアが床に転がっていた。その隣によく分からない白い物体が有ったが、恐らくアレは垣根が封印したジュエルシードだろう。という事は、ほとんど事件は解決してしまっているらしい。そこに、ボロボロのクロノがフラフラとやって来た。

 「一体何なんだ・・・この庭園は、行き成り怪物のようなヘリが襲ってきたぞ・・・」

 どうやら彼も、六枚羽と遭遇してきたらしい。あのヘリを一人で撃墜するとは流石は執務管と言うべきか、だがしかし、流石にきつかったのかそのまま地面に倒れ伏せてしまった。

 そんなクロノをスルーして、フェイトはプレシアと話し始める。

 「あなたに言いたい事があります。」

 「・・・」

 そっと、フェイトは息を吐き言葉を紡ぐ。

 「私の名前はフェイト・テスタロッサ。あなたの娘、アリシアのクローンです。でも私はアリシア・テスタロッサではありません。私は、あなたの造りだした人形なのかもしれません。だけど、私はあなたの娘です。」

 「だから何?私にあなたを愛せと言うの?」

 「それをあなたが望むのならば。私はどんな脅威からもあなたを守ってみせる。私があなたの娘だからじゃない。貴方が私の母さんだから!」

 そう言いながらフェイトはプレシアの近くまで近寄り、そっと手を差し伸べる。その目に迷いは無かった。
 それに、対してプレシアは思いを告げる。

 「無理ね。私が娘と認めるのはアリシア・テスタロッサ唯一人よ。それにクローンだから当たり前だけど、お前は娘とそっくりすぎる。お前をアリシアとは別の者として愛そうにも、不可能よ。お前が、その顔ででその声で話す度にどれだけアリシアを渇望したか。」

 そこで、プレシアは言葉を区切り差し伸べられた手を掴むことなく、

 「・・・だから、お前は私の事を忘れて好きに生きるが良いわ。私は私で、アリシアの事だけを思っ」

 そこまで言いかけた時、プレシアは先ほど気絶させた天井の目が覚めた事に気づいた。天井は気絶させる時に浴びせた電流のせいかふらついており目の焦点も合っていない。そしてその手には、銃を持っていた。

 「・い・・も・馬・・」

 何かを呟いているが聞こえない。そして自分以外の部屋の人間はこちらの方に注目しており誰一人気づいていない。そしてその銃口はフェイトを狙っている。

 「どいつもこいつも俺の事を馬鹿にしやがってっぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 そう天井が叫んだ時に、やっと気が付いた様だ。クロノが飛び掛かろうとするが連戦に次ぐ連戦で既にボロボロであり、そして何よりも遅かった。

 パン!っと乾いた音が響き渡った。









 

 「ところで、お前ら此処で何してるんだ?もしかして天井に、脅されてたりして仕事でもしてるのか?」

 垣根は、ミサカ0000一号に対して疑問を投げかけていた。確かに[妹達]が[この世界]に居る事も驚いたが、自分という例外も居る事だし後回しにすることにした。

 「いいえ、ミサカ達が此処に居るのは紛れもなく自分たちの意志ですよ、とミサカは冷蔵庫が話すというメルヘンな事態からようやく慣れつつその問いに対して否定します。」

 その言葉に対して、垣根は疑問に思う。正直言ってプレシアは犯罪者だ。更にほとんど失敗するような計画に対して自分から参加しようとする人間はほとんどいないだろう。なのに、自分の意志で手伝っている理由は何なのだろう?(単に、住む場所が無いからと言う理由も考えられるが。)

 「天井から聞いたんですが、どうやら絶対能力進化実験は中止になったようですね、とミサカは冷蔵庫の問いを無視して話題を変更します。」

 「いや、無視すんなよ。まぁいい、そうだ。確か第10032次実験で中止になったらしいぜ。」

 質問の内容を無視されて少し悲しいが、まぁこちらばかりから質問をするのもアレなのでそれぐらいは答えても良いだろう。

 「そうですか・・・ではミサカ達は何の為に死んだのでしょうか?、とミサカは疑問を投げつけます。」

 いきなり話の空気が変わったミサカに対して垣根は反応出来ない。故に何も答えられないでいると、

 「ミサカ達は、[一方通行]をレベル6に進化させるために造られました。ミサカ達の無数の屍の山は唯その為だけに築かれました。そのこと自体には後悔はありません。ミサカ達の短い一生には意味があったと断言できます。しかし中止ですか・・・」

 ここで、[複雑そうな顔]をするミサカは話を続ける。

 「実験の失敗でも成功でも無く[中止]。ならば、ミサカ達は何の為に死んだのですか?唯の無駄死にですか?成功と失敗と言う、結果も生み出せずに唯無駄に死んだだけですか?」

 そう言うと、部屋に明かりが着く。垣根が改めて周りを見てみると同じ顔をした少女が居た。それも一人や二人などでは無い。右を向いても左を向いてもミサカミサカミサカミサカミサカミs・・・

 同じ顔をした少女たちが一斉に話し始める。

 「あの深海に」「体が沈むような恐ろしい」「思いも、自分に襲い掛かるあの」「激痛も全てが」「無駄だったの」「ですか?」
 
 「全てが無駄だったのですか?」「ミサカ達が生きてきた証は、意味は全てが存在しないのですか?」「ミサカ達はそんなのまっぴら御免です。」「ミサカ達は、この世界に生きた証が欲しい。」「いかなる事をしてでも、善悪関係なく」「多くの人達にミサカ達の名前を刻みこむのです。」

 垣根帝督は、何も言い返せない。そして〇〇〇〇一号が代表して話続ける。

 「ミサカ達は、生きた証が欲しい。ただそれだけです。そしてここでプレシアに協力しているのは、ミサカ達の[計画]に必要だったからです、とミサカは返事をしなくなった冷蔵庫に対して丁寧に説明します。」

 まぁ、想定外な事が多すぎて目的が達成出来ませんでしたが、とミサカは続けたが垣根の耳には入ってこない。

 「まぁ、そろそろミサカ達も引き上げるので。ではさようなら。また会える日を心待ちにしております、と心にも無い事を言いながらミサカは撤退します。」

 ミサカ達が去っていく中、垣根は身動き一つできずにただ突っ立ていただけだった。









 血が滴る音がする。銃口を向けられていたフェイトはそっと自分の腹をなでる。だがそこには発射された筈の銃弾が存在しなかった。疑問に思い恐怖で閉じてしまった目を開けてみると、

 そこには、腹に風穴を開けた血まみれの自分の母親プレシア・テスタロッサがいた。
 気が狂わんばかりに悲鳴をあげるフェイト。精神的なショックと肉体的なダメージもあるせいかその場にへたり込む。

 「・・・の・・手を・・」

 プレシアが何かを言っているような気がするが天井は無視し怒りのままに、フェイトに向かって発砲しようとしている。そしたら、目の前に雷が飛んだ。

 「私の、私の娘に手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

 「ひぃ!?」

 天井は情けない悲鳴を上げながら、標的をプレシアに変えて乱射する。プレシアはその身に何発かの銃弾を受けながら狙いをつけて雷を飛ばす。

 「ぎゃっ!?」

 天井は、雷が直撃し気絶する。それを確認したプレシアは力を使い果たしたかのように崩れ落ち、もう二度と動かなかった。






 あとがき
 後もう少しで無印編が終わります。連載を始めて結構経ちますが、未だに小説がうまくなりません・・・
 こんな私がここまで来れたのは応援して下った皆様のおかげであります。
 と言う訳でもうすぐ無印が終了するので、記念して番外編をやりたいのですが何かリクエストが有ったら感想に書いて下さい。できるだけ頑張って書いて見ますので宜しくお願いします。

 



[27492] 第三十二話(無印完結)
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/01 00:38

 ジュエルシード事件の幕が閉じ、数日が経った。あの後管理局の局員達が気絶した天井と死亡したプレシアを運んで行った。プレシアが運ばれる時、フェイトは片時も側を離れることは無かった。そして、なのは達は地球に戻り今まで通りの生活を送っている。

 「フェイトちゃん、大丈夫かな・・・」

 なのはは、もの悲しそうな顔で呟く。目の前で母親が、自分を庇って殺されたのだ。相当精神的に堪えているに違いないだろう。事実自分達が地球に戻る時までずっと死んだように一度も目を覚ます事無く眠っていたのだから。それに、彼女が犯罪の片棒を担いでいたことも事実なのだ。

 「心配いらねぇよ。あの餓鬼なら、きっと大丈夫さ。それに犯罪の件もたぶん大丈夫だろう。クロノ達がうまくやってくれるさ。あいつロリコンだし。」

 「そうだよね・・・私たちが、どうこう出来るわけじゃ無いしフェイトちゃんの事を信じるしかないよね。それにクロノ君たちもいるし、大丈夫だよね!ところでロリコンって何?」

 「垣根!最後のセリフは余計だよ!!なのはに余計な知識与えるなよ!!!」

 そんな事をみんなで話していたら、携帯電話に着信が来た。その電話に出てみると、

 「もしもし。・・・えっ、本当!!!うんうん、ありがとうクロノ君!」

 「どうしたんだ、なのは?何か良い事でもあったのかい?」

 そう垣根が質問すると、少し待ってねと電話の相手に言いこちらを向く。

 「うん。クロノ君がね、フェイトちゃんはほぼ無罪になるだろうだって。それと裁判とかは結構長くなるから、今の内に会っておけるだって!!」

 垣根が、流石はロリコン仕事が早い、と呟いていたがなんとなく聞いてはいけなさそうなのでスルーした。

 「良かったね、なのは!早速会いに行くのかい?」

 「うん!!それにあの子自身が私に会いたいって言ってくれたんだって!!」

 なのはは、凄い喜びようであっという間に服を着替えて(着替えてる間、垣根がユーノを冷蔵庫の中に放り込んでおいた)外に飛び出していった。冷蔵庫から這い出てきたユーノが垣根に質問をする。

 「そういえば、君はプレシアを倒した後どこかに行ってたけどどこに行ってたんだい?結局管理局の人達にもお茶を濁してたけど。」

 そう、垣根がプレシアを倒した後、最下層に行ったことは確実であるのだがそこで誰に会ったとか何をしたのかなど全く分からないのだ。その質問に対して垣根は

 「なに、俺だけが一方的に知っている知り合いに会ったのさ。」

 と、良く意味の分からない事を言うだけでありユーノは聞き出すことを諦めた。









 
 なのはは待ち合わせ場所である港に行き、フェイトと再会した。この場所は垣根と初めて出会った場所でもあり、なのはの思い出の場所でもあるのだ。港で待っていたフェイトは、まだショックが抜け切れてないのかやつれていたが前有った時よりは元気そうだ。(空気を読んだのか、一緒に居たクロノは、こっそりと向こう側に移動していった)

 「久しぶり、フェイトちゃん。」

 「久しぶり、なのは。」

 その後二人でいろいろと話した。フェイトはアースラの人達が優しくしてくれる事やなんか息を荒げながら近づいてきた人がクロノに引きずられながら連れて行かれその後その人を見なくなった事、なのはは垣根が相変わらず意味の分からない行動をしてお父さんたちと喧嘩を度々する事、アリサちゃんと喧嘩してたけど仲直り出来た事など話し合った。

 「それでね、フェイトちゃん」

 「何、なのは?」

 「無理しなくて良いんだよ。」

 そうなのはが、告げるとフェイトは驚きのあまり声が出なくなる。
 
 「フェイトちゃん、聞いたよ?お母さんが死んじゃってから一度も泣いてないんだって。」

 「・・・」

 「皆に心配かけまいと、ずっと泣くのを我慢してたんだろうけど今はここに私しかいないから。」

 「・・・う」

 「思いっきり泣いていいんだよ。私が受け止めてあげる。」

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!お母さんなんで死んじゃったの!!!??」

 目からなのはの胸で大量の涙を流し、大きな泣き声を出すフェイト。ずっと泣きたいのを耐えてきたのだ。暫く泣き続けるとようやくひと段落着いたのか一応泣き止んだ。

 「あのね、お母さんがね、最後にね、私の事を[娘]って呼んでくれたんだよ・・・」

 「そうだね・・・きっとプレシアさんも優しく出来なかったけど、フェイトちゃんの事大切にしたかったんだね。」

 フェイトはなのはに問う。

 「私たちって友達?」

 「うん、そうだよ。」

 フェイトは、微笑みながら最後の質問をなのはにする。

 「また、会えるかな?」

 なのはは満面の笑みを浮かべながら、その質問に答える。

 「うん、きっとまた会えるよ!!!」



[27492] A’S第一話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/02 00:37

 「小足見てから昇竜余裕ぅ!!!」

 「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!また、負けたぁ!!」

 夜中の十二時前現在八神はやての家では、はやてと垣根が二人で格ゲーをしていた。はやても、足が不自由で学校にも行けないので家でかなりやりこんでおり、相当格ゲーを極めている筈だが垣根は格が違った。

 「なんで、あそこで反応出来るんやぁー!」

 「この俺に常識は通用しねぇ。(キリッ)」

 はやてがいくら攻撃をしても、全てを見切られ捌かれ粉砕されてしまった。おかげで、さっきの戦いで20連敗だ。

 「そろそろ夜も遅いが、大丈夫か?寝た方が良いんじゃね?」

 「まぁ、今日は私の誕生日やしね。たまには夜更かししても罰は当たらんやろ。」

 そう、なぜ垣根が夜中にはやての家に居るのかと言うと、とある出来事で知り合い友達となった二人。垣根が今日ははやての誕生日だと知り家からケーキを持って来て訪問したと言う訳だ。

 「ところで、あの鎖で縛ってある本は何だ?本に対して束縛プレイか?マニアック過ぎるぞ。」

 「そんなマニアックな趣味無いわ!!!それにあの本は昔からずっと縛ってあるんよ。解こうとしても頑丈でなぁ。」

 そんな事を話しながら二人でゲームをしていると、突然本が光だした。はやてがどんな事をしても解けなかったという鎖が千切れ本が独りでにページが捲れていく。

 「な、なにが起きてるんやぁ!?」

 「まぁ、落ち着けはやて。こんな時慌てたら負けだぜ?こういう時は早く布団被って寝るに限る。」

 「なるほど、って何の解決にもなって無いやないか!!!それ唯の現実逃避や!!戦わなきゃあかん、現実と。」

 二人がコントの様な事をしていると光が収まり四人の人影が現れた。四人はポニーテールの女性、赤い髪の少女、ボブヘアの大人っぽい女性、そして犬耳のマッチョの男性だった。彼女達(犬耳マッチョを除く)ははやてに頭を垂れて言葉を紡ぐ。

 「我ら夜天の主の元に集いし騎士」
 
 「主在る限り我らの魂尽きることなし」
 
 「この身に命在る限り我らは御身の元に在り」
 
 「我らが主、夜天の王、八ってなんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!???」

 ポニー、ボブヘア、イヌ耳、少女の順に話していたのだが、少女がセリフの途中行き成り素っ頓狂な叫びを上げた。

 「どうした、ヴィータ?主の御前だぞ。無礼は許さ、って何だ貴様は!?」

 ポニーテールの女が少女に注意しようと顔を上げたその先には、主八神はやてが冷蔵庫らしき物から生えている翼に覆われていると言う良く訳の分からない状態になっていた。
 
 「貴様、一体何者だ!?くそっ、シャマル、ザフィーラ、ヴィータ!まずは主の身の安全を確保するぞ!!」

 「おいっ!!お前ら、一体何「主!!離れてください!!そいつは危険です!!」いや、だからお前r「ヴォルケンリッターを舐めるなよ!!!似非冷蔵庫!!」話をk「行くぞ!!主を守るのだ!!」・・・」

 ぶちっ!!!っと本来ならば聞こえないような音が垣根から聞こえたような気がした。

 「上等だよ、てめぇら!!人の話を聞こうとしなかった事を後悔させてやるからなぁ!!!」

 話を聞かない夜天の騎士と切れやすい冷蔵庫もどきが迷惑な事に、はやての家の中で激しく激突した。(はやては呆然と見ているだけだった。)










 大分時間が経った頃、ようやく決着が着いた様だ。隣の部屋に避難していたはやてが自分の寝室に戻ってくると、部屋の中は案の条滅茶苦茶だった。その滅茶苦茶な部屋の中で、唯一人立っている垣根もボロボロだった。そして床を見てみると、これまたボロボロの自称騎士達が四人とも倒れていた。どうやら垣根が勝ったらしい。

 「ところで、この人たち誰やねん?」

 「俺が知るか。」

 「ところで、部屋の中ボロボロなんやけど?」

 「・・・ごめんなさい。」

 この後垣根は自称騎士達が目を覚ますまで、はやてのご機嫌取りをしていたそうな。

 



[27492] A’S第二話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/04 23:11
 「つまり、あんたらは私の持っている[闇の書]って言う本から出てきた私に仕える騎士と言う訳やな?」

 「はい、そう考えてもらって結構です。」

 現在、目の覚ましたヴォルケンリッター達は戦闘で酷い有様になってしまった寝室では無く無事だったリビングではやてに事情を説明し終わった所だ、正座で。

 「あの、ところで正座を崩して「だめや。」・・・はい。」

 慣れない正座でかなりきつく感じてるヴォルケンリッターであったが、結構お気に入りの寝室をエライことにされてはやても相当怒っており正座を解く気は無さそうだ。

 「ぷっ、小学生に怒られてやがる。」

 「貴様、騎士を愚弄するか!!!表出ろ!!!叩き潰してくれる!!」

 「さっき、叩き潰された人はどこの誰かなぁ?覚えてな「ていとくん、黙ろうな?」・・・ごめんなさい。」

 はやての醸し出す謎のプレッシャーに素直に謝ってしまう垣根。垣根が黙ったのをはやてが確認すると、

 「取り敢えず話をまとめると、あんたらは私の騎士であって、衣食住は主が提供せなあかん。つまり・・・家族が四人増えましたって事やな?」

 「Exactly(その通りでございます)」

 はやてが結論に達すると垣根は素早く返事を返す。ヴォルケンリッターが話の展開に付いて行けず呆然としていると、

 「じゃあ、まずは服を買わなあかんな。サイズを測るから「はやて、はやて俺がやりt」ていとくんは外に出てような?」

 垣根がトボトボ外に出て行ったのを確認すると、はやては素早く体のサイズを測り服を買いに皆で服を買いに行った。

 
 


 デパートで服を買い(何度か垣根が試着を覗こうとしてたが、しようとする度にはやてに叱られていた。)ヴォルケンリッターが家で着替えていると主、八神はやては笑っていた。わざとでは無いとしても、寝室を滅茶苦茶にした奴らの着替えを観てて楽しい物なのか?そう思い尋ねてみると、

 「ん~、確かに寝室を再起不能にされたのは腹が立つけどそれ以上に嬉しいんや。私はなぁ幼い頃に両親が死んでしまってな、今まで一人暮らしやったんよ。足も悪いから学校にも行けず、友達も家族もおらんかった。」 

 今はていとくん、っていうメルヘンな友達がおるけどな、とはやては付けたす。
 
 「念願の友達が出来た上に、家族まで出来たんやで。楽しいに決まっとるやないか。」

 ヴォルケンリッターの将、シグナムは今までの闇の書の主は自分達ヴォルケンリッターを文字通り[道具]の様に扱ってきた。そこに不満は無かったし、当然だと思ってきた。しかしこの主、八神はやては違う。自分達を[道具]では無く[家族]と言ってくれた。リビングで着替えてる騎士達シャマル、ヴィータ、ザフィーラ(ザフィーラは犬モードなので着替えていない)同じ気持ちだろう。

 「・・・ありがとうございます、主。」

 「礼なんかいらんやろ?家族なんやから。」

 騎士達は口には出さぬが、それぞれ心の中で固く誓う。闇の書など関係ない。我らは八神はやてという少女を絶対に護り切って見せる、と。



[27492] A’S第三話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/05 01:01

 高町なのはという少女は、現在町が見える山の上に居た。まだ朝早く、結構な人が寝ているであろう時間に何をして居たのかというと、

 「うん、最後はレイジングハートのを使って軽く流してみようか。」

 「All right。」

 彼女は、魔法の訓練をしていたようだ。一通り終わったらしく最後に軽く流して終わりにするようだ。いろいろ、シールドを出したり軽く砲撃魔法を発射していたりしている。(加減を間違えたのか木を何本か、すっ飛ばしてしまった。)

 「うん、木も元通りにしたし大丈夫だよね?それにしても、レイジングハート、ていとくんに調整してもらってから調子良いよね。」

 「Yes ,condition green」

 そう、垣根がメンテナンスをしてからやたらと性能が上がっている気がするのだ(デバイスの仕組みやメンテナンスの仕方やユーノに聞いて居たらしい)。具体的には、やたらと頑丈になった気がするし、なんだか前と比べて少しの魔力で済む様な気がするのだ。

 「まぁ、ていとくんだし問題無いか。じゃあ帰ろうか。」

 なのはは、もう垣根のする事に突っ込むのをやめたみたいである。









 「え!ていとくん、まだ帰ってないの?」

 「あぁ、全くあの腐れ冷蔵庫どこをほっつき歩いているんだか・・・」

 食卓でいつも垣根と喧嘩している父、士郎は少し寂しそうに話す。なんだかんだで寂しいのだろう。どうやら、昨日出かけたきり帰っていないらしい。まぁ気の向くままにフラフラしているのだろうから、心配はいらないと思うが。

 「フェイトちゃんの裁判も終わるから、もうすぐ会えるのになぁ。」

 そう、なのはの友達であるフェイト・テスタロッサの裁判もほぼ終わり近いうちにこちらに来るらしいのだ。ちゃんと垣根に伝えておいた筈だが忘れてないか心配である。探しに行きたいが学校があるのでまた帰ってこなかったら考える事にした。






 夜、なのはが学校の宿題をしていると、行き成り結界に包まれた感覚があった。一体何者かは分からないが結界を張った人を無視する訳にも行かないし、こちらに向かってきている。

 デバイスを展開して建物の屋上で何者かを待っていると突然、誘導弾がなのはを襲った。なのははシールドを張り防ぐが、結構重い。誘導弾に手こずっていると、

 「もらったぁ!!」

 死角から燃える様な赤い髪の少女が、ハンマーの形をしたデバイスを振りかぶって襲い掛かってきた。あまりに突然過ぎたためシールドの展開が間に合わない。なのはが襲い掛かる衝撃に恐れ目を閉じた。

 「なっ何なんだよ、これは!?」

 いつまで経っても自分を襲うはずの衝撃が来ず、代わりに聞こえたのは死角から襲い掛かってきた少女の戸惑いの声だった。恐る恐る目を開けてみると、

そこには自分の杖型のデバイス[レイジングハート]から、[白い翼]の様な物が生えており少女のハンマー型のデバイスをしっかりと受け止めていた。なのはには、この非常識な現象の元凶がなんとなく分かっていた。この天使の様な純白の翼は、自分の家族の一員垣根帝督の翼そっくりなのだから。
 



[27492] A’S第四話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/06 23:25
 赤髪の少女は無理矢理、なのはのレイジングハートから自分のハンマーを引き離し距離を取る。どうやら得体の知れない翼を警戒しているようだ。なのはは、話かけるチャンスと考える。

 「あなたは誰!?なんで私を襲うの!?」

 「・・・」

 しかい赤髪の少女は全く返事をしない。どうやら聞こえていない訳では無く、単純に会話をするつもりが無い様だ。そして、少女は埒が開かないと判断したのか前回と同じ様に、こちらに全速力で突っ込んでくる。

 「グラーフアイゼン!!」

 「Jawohl。」

 ただし、前回と違うのはグラーフアイゼンと呼ばれるハンマーの形をしたデバイスが変形した事だ。ハンマーヘッドの片方がの片方がスパイクにもう片方に噴射口となり貫通力がかなり増したようだ。あまりの速さに回避は不可能と判断した、なのはは受け止めようとシールドを展開する。

 「レイジングハート!!」

 「protection。」

 ハンマーとシールドが激突する。なのはの展開したシールドとレイジングハートが展開している翼は恐ろしく頑丈で突破力に秀でてるであろうグラーフアイゼンも突破出来ないでいる。焦りを感じたのか少女は、

 「グラーフアイゼン!!カートリッジロード!!」

 「Jawohl。」

 デバイスが水蒸気みたいな物を噴出し、カートリッジを吐き出す。その瞬間今までよりも強力な負荷がなのはを襲う。なのはだけのシールドならば既にやられていただろう。しかし今回は、なのはに軍配が上がった。

 「ちぃ!!」

 シールドを粉砕出来なかった少女が、なのはから一旦距離を取ろうとするがそれを見逃す程なのはも甘くは無い。

 「バインド!!」

 「なっ!?」

 かなり強力なバインドで縛られ身動きの取れない少女。何とか解こうとはするが、先程かなりの負担を己に掛けたためにうまくいかない。

 「くそっ!離せ!!」

 「少し…頭冷やそうか…。スター・ライトォ!!!」

 莫大な魔力がなのはのデバイスに集まってゆく。フェイトにぶっ放した時よりもデバイスの調子が良いからやりすぎてしまうかもしれないが、今は考えないでおく。

 「ブレイ「ヴィータ!!!させるか!!!」えっ!?きゃ!!」

 最凶の一撃を見舞おうとしたその瞬間、これまた赤い髪をしたポニーテールの女性がなのはに向かって剣の形をしたデバイスで薙ぎ払ってきた。完全な不意打ちなためレイジングハートの翼でも完全に防ぐ事は出来ず、吹き飛ばされビルに突っ込んでしまうなのは。

 「大丈夫か?ヴィータ?」

 「あぁ、わりぃ。助かった。」

 吹き飛ばされてしまっている間に、バインドで縛っていた少女は拘束を解いてしまったようだ。これで2対1。強大な魔力を持っているとは、未だ小学生。そもそも一人相手でもかなり手こずっていたのに、そこに一人増えては絶望的だ。

 「それでも、戦わなきゃね・・・行くよ、レイジングハート。」

 「All right my master。」

 じりじりと近寄ってくる二人。しかし、それでもなのはは引かない。ここで逃げてしまえば、誰かが彼女たちに襲われて怪我をしてしまうかもしれない。その事が分かっていながら逃げるだなんてなのはに出来る筈が無かった。なのはが覚悟を決め、あの二人に挑もうとした時、

 目の前に、金色の閃光が走った。

 近寄ってきた二人を攪乱し、その金色の閃光の様な少女は自分の目の前で止まった。突然の乱入者に対してポニーテールの女性が警戒しながら尋ねる。

 「貴様、何者だ?」

 金髪の少女は臆することなく答える。

 「フェイト・テスタロッサ。この子の・・・友達だ。」

 



[27492] A’S第五話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/08 23:38

 「フェイトちゃん・・・」

 「大丈夫だよ、なのは。私だけじゃ無い、ユーノだってクロノもアルフだって来てるんだから大丈夫。」

 そうフェイトが言うと、外にクロノとユーノが立っており襲撃者達の方と向かい合っていた。どうやら彼女たち以外にも襲撃者が居たらしく、アルフとの戦闘音が聞こえる。そしてリーダー格と思しきシグナムと呼ばれたポニーテールの女性は厳しい顔をしている。なのは一人でも厳しかったというのに、ここに来てかなりの増援。戦況が大分厳しいのは明らかだった。

 「シグナム、どうする?」

 「・・・引くぞ。一人も欠けるな、シャマルサポートしろ。」

 どうやら、引くことにしたらしい。自分たちが作った結界を解除し逃げようとするが、だがしかしここに居るのは皆かなりの使い手ばかり。早々逃げられるものでは無い。

 「逃がすか!!結界を展開s」

 ユーノが、逃さん!!とばかりに結界を張り逃げられないようにしようとするが、

 突然ユーノ胸から手が生えてきた。

 突然の出来事に固まるなのは達。その隙を見逃すヴォルケンリッターでは無い。皆が固まっている間に、逃走し始めた。追うべきなのだろうが、苦痛に顔を歪めるユーノをこのままにしておくわけにもいかず、このまま逃げられてしまうかと思ったが、

 「舐めるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 ユーノ、魔力が体から抜けてゆく脱力感に耐えながら無理矢理結界を展開させた。ユーノは力尽きたのかそのままゆっくりと倒れる。倒れた時手も引っ込んだ。

 「良くやった、ユーノ!君の頑張りは、」

 クロノが珍しくユーノを賞賛し、逃げる者たちを追いかけようとした時、

 雷が降り注ぎ、ユーノが作った結界を粉々にしてしまった。

 無茶して作った結界があっという間に壊され、皆呆然としている間にもう奴らに追い付く事は不可能と判断したクロノはなのはに話しかける。

 「とりあえず、アースラで話を聞こう。」







 「つまり、話す間もなくいきなり襲い掛かって来たと。」

 「うん、レイジングハートが改造されてなかったら危なかったかも。
」 

 現在なのははアースラでクロノ達に自分が襲われた経緯を話してるが、なのは自身にもなぜ襲われたのか分かっていない。ユーノは医務室で深く眠っている。

 「彼女達は、恐らく[闇の書]と呼ばれるロストロギアのプログラムだ。」

 「闇の書?」

 クロノがなのは達になのはを襲った者たちの素性を憶測だが話す。なのはは[闇の書]と言う聞いたことのない単語に首を傾げる。

 「闇の書と言うのは、第一級ロストロギアでとても危険な物だ。特徴として、生物のリンカーコアから魔力を蒐集する事が出来るという事かな。魔力を蒐集する事によって闇の書が完成されていくという事なんだ。」

 ユーノが寝込んでるのも蒐集されたからさ、とクロノは付け足す。しかし完成とは一体どいう事なのだろうか?

 「簡単だよ、闇の書は不完全なんだ。だから、人を襲って魔力を蒐集する事で完成しようとするんだよ。そして、完成してしまうと融合事故が起きて闇の書の持ち主もろとも吹き飛ぶという厄介な性質を持っているんだ。」

 さらに自爆した後転生し、また他の人間に憑りつくのだから始末が悪い。つまり完成する前に何とかしないといけないという事らしい。

 「所で、なのは。垣根は何処にいった?」

 クロノがかなり重たい雰囲気でなのはに聞いてくる。隠す事でも無いのでなのはは最近家に垣根が帰っていない事を伝える。

 「・・・そうか。なのは、最近地球に来ていた管理局員が殺害される事件があったんだ。」

 なのはから垣根が最近家に帰っていない事を聞いたクロノは厳しい顔になり最近起きた事件について語ってくる。

 「それでだ、その局員の死体に奇妙な点があったんだ。体は見事に真っ二つだったんだけど・・・バリアジャケットは[無傷]だったんだ・・・」

 クロノが何を言いたいのか理解したなのははクロノに対して反論をする。

 「そんな訳無い!!!ていとくんが、そんな事をする訳無い!!なんでそんな事を言うの!?」

 クロノは頭を抱えながら話を続ける。

 「・・・僕だって疑いたくなんて無いよ。だけどバリアジャケットを貫通でも破壊でも無く[通過]する攻撃が出来る奴なんて垣根ぐらいしか知らないんだ!!!だから垣根とあって疑いを晴らしたかったんだけど・・・」

 どうやら、管理局の上層部にはバリアジャケットを通過する垣根の存在が知れ渡ってしまっているらしい。ユーノはその疑いを晴らしたかったらしいが肝心の垣根が不在。お陰で随分とやりづらくなってしまったらしい。

 「ていとくん・・・今、何をしてるの?」

 なのはが、ぽつりと悲しげに呟いた。









 「喰らえぃ、はやて!!これが幻の十六連鎖だ!!!」

 「ぬぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!また負けたっぁぁぁぁ!!!」

  現在垣根ははやての家で二人でぷよぷよをしていた。と言っても実力に差があり過ぎて最早苛めのクラスだ。

 「いやぁ、いい勝負だったなぁ!!またやろうぜ、はやて。」

 「ギギギ・・・強すぎや・・・と言うか、ぷよの動きが人間業じゃないわ・・・」

 垣根の操作の速度が速すぎて最早残像が見えるのだ。挑むはやてもはやてだが、小学生相手に大人げない垣根も垣根である。

 「それにしても、みんな遅くね?みんなでこっそりカラオケにでも行ってるんかね?」

 「ええなぁ・・・カラオケ。私も行って見たいなぁ。行った事無いんよ。」

 「え!?なんで?」

 「一人カラオケって何か寂しくないん?」

 「俺が悪かった。」

 そんな事を話していると、皆帰って来たようだ。はやてははち切れんばかりの笑顔になり車椅子で玄関まで迎えに行く。垣根は微笑み?(冷蔵庫だから以下略)ながら玄関まで付いてゆくのだった。


 



[27492] A’S第六話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/09 23:28

 現在、なのは達ユーノを治療するために時空管理局の本局に居た。垣根の事で重い雰囲気である。

 「ところで、なのはちゃん。そのデバイス一体どうしたの?」

 エイミィが雰囲気を変えようと、話題をデバイスの方に向けようとする。

 「そうだな。確かにそのデバイスは一体何なんだ?前見たときはそんな変な翼は付いて無かったと思うが。」

 続いてクロノがなのはに質問すると、なのははうじうじしていても仕方が無いと考え質問に対して返事をする。

 「・・・うん、これはねていとくんがちょっと前にメンテナンスをしたらこうなったの。」

 なのはが言うにはユーノからデバイスの調整の仕方を教わった垣根が暇だからと言う理由でメンテナンスをしてからこうなったらしいのだ。

 「それででね、なのはちゃん。私の知り合いのメンテナンススタッフのマr」

 「こんにちはー!私マリーって言うんだけど、あなたがなのはちゃん?所で、私なのはちゃんの持ってるデバイスの映像見たんだどあんな不思議なデバイス見t」

 「ちょっとは落ち着きなよ、マリー。なのはちゃんが話に付いて行けてないよ?」

 なのはの方を見てみると急に現れ嵐の如く言葉を紡ぐマリーに対して目を白黒させている姿があった。


 ようやく現実に帰ってきたなのはに説明をするマリー。何でも、あんな現象はいろいろなデバイスを見てきたが初めてで興味が湧き知的好奇心に大いに刺激されたらしい。

 「見るついでに、いろいろメンテナンスもしてあげるし、いろいろ改良できると思うけど。だめかな?」

 垣根にメンテナンスしてもらってから、大分経つ。先程戦闘もしたしそろそろメンテナンスをしてもらう頃だと思っていたし、ちょうど良いかも知れない。

 「・・・良い?レイジングハート。」

 「OK。」

 レイジングハートからも了承を得たし、なんでもマリーさんはエイミィさんの友達でもあるらしいし信用しても大丈夫だろう。

 「こちらこそお願いします、マリーさん。レイジングハートを宜しくお願いします。」

 「うん、ありがとう。じゃあ何か分かったら連絡するからねぇ~。」

 マリーにレイジングハートを預けるなのは。とりあえず垣根の事は今考えても仕方が無いし、あんな事をする訳が無い。どうせ、どこかでまたメルヘンな事をして遊んでるに違いない。

 「それとね、なのはちゃん。アースラの調子が悪くて。明後日まで帰れないと思うけどごめんなさいね。」

 リンディが言うには、最近アースラをいろいろ酷使しすぎて限界が来たらしく、メンテナンスが必要になったらしい。代わりの船を用意するのに少し時間が掛かるらしい。(プレシアの雷や、垣根の暴走、クロノと垣根の喧嘩、アルフと垣根の喧嘩、etcなどが主な原因)

 「分かりました。じゃあお母さんたちに連絡しておいてください。」

 「ええ、分かったわ。明日はここの見学でもして過ごしてて頂戴。」










 




 「これやぁ!!!これこそが、私の勝利への道や!!!」

 「だが残念、それはババだ。そして俺がカードを引いて、2と2で上がりと。はやて、お前ババ抜き弱すぎ・・・」

 「また負けたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!なんでババ抜きで十回も負けるんや!!」

 現在垣根ははやての家で、ババ抜きをしていた。守護騎士達もいれてやっていたのだが、一度もはやてが勝利しないのだ。と言うよりも毎回ビリである。なにか呪いでも掛かっているのだろうか?

 「たったまたまですよ、主。このゲームは運なのですから負けが続く事もありますって。」

 「そっそうよ、はやてちゃん。たまたま調子が悪かっただけですって。」

 「そうやな、私はやれば出来る子なんや!!!これはたまたまや、たまたま!!!」

 シグナムとシャマルの必死の励ましにより元気を取り戻したはやて。しかしそこに垣根が口を挟む。

 「まぁ、確かに十連ドンケツはやろうしてもかなり難しいしな。凄いじゃないか!!!はやて、お前には敗者の才能があr」

 「お前はちょっと黙ってろ!!!」

 傷口に塩をすり込む垣根にたいして、ヴィータは全力で突っ込む。はやてを見てみれば、また落ち込み始めている。

 「そうや・・・私は敗者の天災や~。ふははは・・・皆ひれ伏せ~」

 「はやてー!!!帰ってきてくれー!!!」

 なんか変な世界に行ってしまったはやてを連れ戻そうとするヴィータを垣根は眺めながら考える。いい加減帰った方が良いかも知れない。流石になのは達も心配してるかもしれない。一旦帰って、なのはをはやてに紹介すればお互い友達も増えるだろうし。では早速、今日にでも帰ってまた明日来ることにしようと考える垣根だった。



 



[27492] A’S第七話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/11 13:21
 「どうだい、マリー。何か分かったかい?」

 「あっ!クロノ君。いや~、全然分からないね~。というかこの物質何?初めて見たんだけど。」

 調査をしているマリーに、クロノは何か分かった事は無いか質問に来たようだ。しかしあまり調査の結果は芳しくないよう様だ。

 「しかし、これ一体何?こんなに、非常識な物質どこから持って来たのこれ?」

 「まぁ、持ち主が非常識だからなぁ・・・」

 本人が居ないところで、酷い言われ様である。しかしマリーでも分からないとなると、管理局が本腰を入れて徹底的に調べるか又は垣根本人に聞くしかない。

 「そういえば、クロノ君がホームランされた映像を見たんだけど。」

 「あまり、思い出させないでくれ・・・」

 転移で出現した瞬間に垣根に一撃で、ホームランされ人間水切りをした挙句無様に失神した事は、クロノ・ハラオウン一生の不覚。故にその話題をあまり掘り返してほしくないのだ。

 「いろいろ実験して見たけど、あの物質にバリアジャケットを通過するような特性は付いて無かったよ。」

  「何・・・だと・・・?」

 マリーが言うにはいろいろ実験して見たが、バリアジャケットを通過するどころか貫通すら出来なかったらしい。クロノが疑問に思っていると、

 「おそらくだけど、その垣根とか言う人しか知らない使い方とかあるんじゃないかな?」

 どうやら、マリーの考えでは垣根しか知らない使い方があると言いたいらしい。しかし、当の本人が行方不明なのだ。

 「まぁ、そろそろレイジングハートのメンテナンスをしなきゃならなしい忙しくなりそうだから良いかな?」

 「あぁ、ありがとう。マリー。またなにか分かったら教えてくれ。」

 そう言いながら部屋を出て行くクロノ。出て行く時クロノが思った事は、一体垣根とは何者なのだろうと言う単純な疑問だった。

 クロノはなんだかんだで垣根と付き合いがあるが、自分は垣根の事を全くと言っていいほど知らない。自分の知っている事と言えば精々、なのはの家に住んでいてメルヘンな翼を使い冷蔵庫なことくらいだ。いい加減そろそろ垣根の事をもう少し知っておく必要があるかもしれない。次にあったら、さっさと垣根にかかっている疑いを晴らしてOHANASHIをしなくちゃならないなと思った。










 「やれやれ、久しぶりに帰って来た気がするな。」

 現在垣根ははやてに一旦家に帰る事を伝え(もの凄く渋っていたが、すぐに戻ってくるからと何とか納得させた。)高町家の前に居た。

 「なのはは元気かな~。そろそろレイジングハートのメンテナンスもしなきゃならないしな。」

 そう呟きながら家に入ろうとした垣根だが、

 「かぁ~きぃ~ねぇ~!!!!」

 あぶなーい!上から襲ってくるッ!上から襲ってきたのは高町恭弥!!鋭い一撃をなんとか回避すると垣根。回避した瞬間を狙って疾風の如く遅いかかってきたのは高町家の大黒柱、高町士郎だっ!!

 「殺ったぁ!!」

 しかし、垣根は翼を展開しそれを何とか躱そうとする。そして、当たってしまったがなんとか直撃は避けられた。翼を展開しても避けられない攻撃をしてくるこの親子は本当に人間なのだろうか?

 「行き成り何すんだぁ!!!俺じゃ無かったら大怪我してぞ!!」

 「うるさい!!一体どこに行ってたんだ、貴様は!!なのはに心配させやがって!!絶対に許さん!!」

 士郎の方も見てみると恭弥と同じように、殺気があふれ出ていた。このままでは殺されると判断した垣根は臨戦態勢を取り翼を展開させる。

 「このシスコンと親バカが!!上等だよ!!やれるもんなんなら殺ってみやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 達人と超能力者が再び激突した。その(くだらない)戦いは桃子が止めるまで続いたという。




 

 


 「それで、戻って来たと言う訳か・・・」

 「あぁ・・・あいつら人間じゃねぇよ・・・」

 久々に帰ってみたら自分以上に非常識な二人に襲われるわ、なのはは居ないわで踏んだり蹴ったりだった。結構本気で戦っていたのだが、だんだんあの二人、人間の常識を無視し始めてきているような気がする。

 「しかし、恐ろしい者たちもいるものだな。我らでも敗北した貴様に対して魔法も無しでここまで肉薄するとは・・・」

 「そいつら本当に人間か?」

 シグナムとヴィータが高町親子を人外扱いしている様な気がするが、あながち間違ってないので訂正はしない垣根。

 「凄い人たちもいるもんやねぇ・・・世界は広いもんやなぁ・・・。私、ストレート。」

 「そうだな、世界はメルヘンでいっぱいなんだぜ、はやて。それと俺ロイヤルストレートフラッシュ。」

 「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!また敗北やぁ!!なんで勝てんのや!!」

 何度も垣根に挑むが一度も勝てないはやて。運用素の強いポーカーならばと思い、やってみたら結果は惨敗。これで記念すべき100連敗だ。

 「ドンマイ・・・」

 「私をそんな目で見ないでぇぇぇぇ!!!」

 「垣根!!てめぇ、少しは手加減しろよ!!!はやてが可哀そすぎるだろう。」

 ヴィータが垣根に対して文句を言うが、垣根だって手加減してる。さっきのポーカーだって手札を全とっかえしたら、ああなってしまったのだ。

 「まぁ、なんだ・・・はやて、お前は確実に神に愛されてるよ。ただし貧乏神にな。」

 「ちくしょー!!!ていとくんなんて、腐ったプリン食べて腹壊してしまえ!!!」

 「残念、俺に飯は食えない!!」

 ぬぐわぁー!!!と髪を掻き毟るはやてを守護騎士達が止めようとして居るのを眺めながら、垣根はのんびりとするのであった。

 「平和だなぁ・・・」

 「お前も和んでないで、主を止めろー!!!」



[27492] A’S第八話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/23 21:31
 
 リンディが代わりの船を調達しなのはを家まで送り届け、現在なのはは自宅に着いたところだ。そして、謎の騎士達の襲撃を重く受け取った管理局は地球に対策本部を設置する事にした。その対策本部の責任者がリンディであり、メンバーにはフェイトにもクロノもエイミィ居る。その対策本部の場所がなのはの家の近くであり、リンディが今なのはの母桃子と挨拶をしている所だ。そして、なのははお父さん帰って来た事を報告しようとリビングまで来たのだが、

 「えぇっ!!ていとくん帰ってきてたの!!!」

 「ああ・・・。昨日ぶらりと帰ってきて、直ぐにどこかに行ってしまったけどな・・・」

 そこで、なのはは垣根が昨日帰って来ていた事を知った。なのはが遠出をしている間に垣根が家に帰って来たらしくすれ違いの様にまたどこかに行ってしまったらしい、なぜかボロボロの士郎と恭弥が教えてくれた。

 「あの野郎、逃げやがって・・・おかげで後片付け全部俺達がする羽目になったじゃいか・・・」

 なんか、恭弥がぶつぶつ文句を言っているがなのはは華麗にスルーして父、士郎に尋ねる。

 「お父さん、なんかていとくん私に伝言みたいなの無かった?」

 そこで、士郎は思い出したかの様にポケットを手を突っ込み中から何かを出した。

 「ほら、たしか垣根が(逃げる寸前に)なのはに渡しておいてくれと。」

 そう言って士郎が持っている物は、白い銃弾のようなものだった。どこかで見たことの有る様な物になのはは首を傾げるが、

 「あっ!!これ[カートリッジ]じゃない!!」

 いつの間に居たのか後ろから、エイミィが声を上げる。

 「カートリッジですか・・・?」

 「うん。カートリッジって言うのはね、圧縮魔力を込めたカートリッジって言うその弾丸のような物をデバイにをロードすることで、瞬時に爆発的な魔力を得るシステムの事なんだけど・・・なんでなのはちゃん持ってるの?」

 エイミィは心底訳が分からないよと言った顔でなのはに疑問をぶつける。(士郎たちはあまり聞くものでは無いと判断したのかどこかに行ってしまった。)

 「ていt」

 そうなのはが言おうとした瞬間リンディがこちらにやって来た。何だか慌てているような顔をしている。

 「なのはちゃん、エイミィ。ヴォルケンリッターを発見しました。これより直ちに出撃します。」




 
 




 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、紫電一閃!!!」

 なのは達が出撃するよりも少し前、シグナム達はとある次元世界にて魔力蒐集をしていた。地球での蒐集が管理局にバレたため厳しくなり、他の次元世界で魔獣を相手にしている理由だ。

 「これで、7匹め・・・」

 しかし、幾ら歴戦の騎士であろうと凶暴な魔獣相手に連戦して無傷では済まない。特にシグナムとヴィータは特にボロボロだった。二人ともこの前の地球での失敗の責任を感じているのだろう。大分無茶をしている様に感じられる。ザフィーラとシャマルが幾ら注意しても一向に改善するつもりが感じられない。
 
 「まだ、大丈夫だ・・・次に、!!!」

 シグナムが言葉を切り、警戒態勢に入った。言葉には出さないが皆分かっているのだろう。管理局に見つかり、自分たちを捕まえにやって来たいう事が。こんな所で捕まるわけにはいかないので、ここは逃げるべきだろう。しかし

 「この魔力・・・あいつか!!!」

 どうやら、ヴィータを追い詰めたあの少女も来ているらしく静止する間もなく行ってしまった。シグナムは仕方が無いと言った風に、

 「私が援護する。シャマルとザフィーラはそろそろ主の元に戻れ。全滅だけは何としてでも避けなければならん。」

 どうやらシグナムはヴィータを冷静にさせた後自分が援護しつつ連れ戻すつもりらしい。当然その作戦にはリスクが大きいため全員で行けば全滅する危険も大きいため二手に分かれるらしい。

 「・・・ご武運を。」

 ザフィーラとシャマルはどちらかと言うと援護タイプだ。強硬突破などにはあまり向いていない。ここは、シグナムに任せるしか無い。

 「ああ、絶対に戻る。」

 そうシグナムは言い残しヴィータの後を追って行った。



[27492] A’S第九話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/06/24 00:18

 なのは達は魔力蒐集を続けるヴォルケンリッター達を追って、別の次元世界まで来ていた。砂漠の真ん中でなのはは艦に居るリンディに通信で確認を取る。

 「ここに彼女たちが居るんですか?」

 「ええ、確かに此処から彼女たちの魔力反応があったのよ。逃げてしまった可能性も有るけど優秀な魔導師達でもある管理局の局員を危険を承知で襲ってくるかもしれないから気を抜かないでね。」

 リンディが質問に答え、なのははヴォルケンリッター達の襲撃に対して気を引き締める。前回は何とか撃退出来たとはいえ[あのレイジングハート]が無ければほぼ間違いなく敗北していただろう事から気は抜けない。この次元世界はほとんどが砂漠であるが故に大変見晴らしが良い。前回の様に不意打ちされる事は無いだろう。

 「それじゃあ、なのはちゃんはこの周辺を捜索して見て。クロノとフェイトちゃんは少し離れた所を捜索してみるから。」

 「分かりました。フェイトちゃん達に気を付けるように伝え解いて下さい。」

 リンディは微笑みながら通信を閉じ、なのはは辺りを探索しようと行動を起こそうとした。

 その瞬間砂の中から赤い服を着たヴォルケンリッター、ヴィータが現れた。不意打ちは無いと考えていたなのはは完全に虚を突かれ行動が遅れた。その隙を見逃す訳の無いヴィータは前回の奇妙な翼に阻まれてしまった事も考え全力でハンマーを振りぬこうとしている。翼を展開しようが、翼ごと粉砕しそうな勢いである。

 「行き成りで悪いがこれで終いだぁ!!!グラーフアイゼン!!!」

 「Jawohl。」

 彼女のデバイスから水蒸気が上がり更に威力が上がったような気がした。レイジングハートから純白の翼が展開され、なのはがシールドを展開するが出だしが遅れた事もあって押し切られてしまいそうだ。

 じりじりと迫ってくるハンマーに対してこのままでは破られると感じた、なのはは魔力を更に篭めシルードを頑丈にするのではなく、敢えて吹き飛ばされた。吹き飛ばされた事によりかなりのGが幼いなのはの体に掛るが何とか彼女の攻撃を凌げた彼女は少し距離を取る。

 「くそっ!!逃げられちまったか!!まぁあの奇妙な翼が絶対防御って訳でも無いって事が分かっただけでも収穫か。」

 「・・・ねぇ、なんで貴方たちは人を襲ってまでそんなに魔力を蒐集しようとするの!?」

 ヴィータが悔しそうにしつつだが収穫があったような顔で呟やいた。 そんなヴィータに対してなのはは疑問を投げつける。しかしヴィータは敵と語る言葉など持ってはいないといった態度でなのはの言葉を無視し臨戦体系を取る。

 「私はなんでこんな事をするのか聞きたかっただけなんだけどなぁ・・・。じゃあ、[後で]ゆっくり話を聞かせてもらうよ・・・。」

 そうなのは言い更にヴィータから距離を取る。ある程度距離を取った所でなのはは

 「行くよ!レイジングハート!!!」

 「All right。」

 魔力を杖の先に集中しだした。それを見てヴィータはチャンスと思う。多少距離が離れているにせよ、自分にとってほとんど近距離である位置で最大級の魔法を使用しようとしている事だ。最大級の魔法を使う時にはかなりの魔力のコントロールと集中力がいる。つまり放つまでは殆ど無防備なのだ。

 「ベルカの騎士に対して、それは愚策だぜ!!!」

 恐らく魔法の構築が恐ろしく早いのか、または最初の不意打ちの時に焦りでもして勝負を急ごうとしたのだろう。ヴィータは自身に出せる最高速度でなのはにまで接近する。

 「スターライトォ!!!!!」

 「おせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 睨んだ通りかなり構築が速い。ほとんど呪文が完成してたがヴィータの方が少し早い。ヴィータが無防備ななのはに対して決着を着けようとすると、

 突然なのは物凄い速度でヴィータの後ろを取った。目的がいきなり目の前から消えた事でハンマーを空ぶってしまう。慌てて後ろを振り向くとレイジングハートに生えていた翼が羽ばたいていた。つまりさっきの高速移動はレイジングハートがやっていたのだ。なのはは完全に呪文に集中することで詠唱を早め、レイジングハートは一切魔力を使う事無く高速移動をすることでヴィータを罠に嵌めたのだ。

 「くそぉ!!!」

 何とか回避しようとするヴィータだが、おまけに翼がヴィータに絡みつき動きが取れない。それでも足掻いていると、

 「ブレイカァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」

 「ごっ、がァァァァァァアアアあああアあああああああああああああッッッ!?」

 前回は邪魔されたが全力全開のスターライトブレイカーが直撃した(更にゼロ距離)。

 そのまま砂漠に墜落していくヴィータ。意識の有無の確認などする必要もない。

 



[27492] A’S第十話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/08/03 23:15

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!紫電一閃!!!!」

 「サンダースマッシャー!!!!」

 なのはが、ヴィータに対してOHANASHIをしている頃もう一つの戦いが繰り広げられていた。

 ヴィータを連れ戻すべく全速力で追っていたシグナムだが、彼女は運悪く砂漠を巡回中だったフェイトとかち合ってしまったのだ。

 フェイトの高い魔力は大変魅力的だったが、今回は残念ながら相手にしている暇は無く一刻も早くヴィータの元に駆けつけなければならなかった為、そのままスルーしようとしたのだがそうは問屋が卸さなかった。

 フェイトは苛立っていた。この間、我が真の心の友と書いて親友であるなのはに対して襲い掛かかった事がある上現在進行形でなのはがヴォルケンリッターと矛を交えており心配で堪らないからだ。

 なのはを襲ったという事実となのはを心配するあまり頭の血管が根こそぎ千切れそうな気分なのに、自分の事はまるで眼中に無いと言わんばかりにスルーしようとしてきたのだから・・・フェイトは切れた。

 親の敵と言わんばかりに猛攻を仕掛けてくるフェイトに対して何とか、この場を逃れようとするシグナム。

 一進一退の攻防が続きシグナムが多少のダメージを覚悟してフェイトと交戦しようとした瞬間、

 「フェイトちゃん、ヴォルケンリッターの一人を捕まえたよ!・・・だからフェイトちゃんも負けないでね!!」

 なのはから、フェイトに通信が入った。その内容を聞いたフェイトは自分がこんなに苦戦している相手(シグナムは防御に集中している為、未だにダメージを受けていない)と同格と思われる奴をあっさり倒してしまっている事に驚きを隠せなかった。

 そこでフェイトは一旦距離を取り、心を落ち着かせる。いままで自分は一体何をしていたのだろうか?怒りと不安で己を見失い、ただ単純に攻撃を仕掛けていただけでは無いか。心配の種も無くなったことで本来の自分の実力が出せそうだとフェイトは思った。

 シグナムは、通信が入ったと同時に冷静になったフェイトを見て悟った。どうやらヴィータは敗れて管理局に捕まってしまったようだと。

 いままであの少女は一刻も速く敵を倒さなければといった焦りが生じていたため、あの無茶な猛攻も何とか凌げたが今はなぜか落ち着きを取り戻している。

 なぜか?答えは簡単だ。急ぐ必要が無くなったからだ。彼女が焦っていた理由は誰かの援護に駆けつけたかったからだろう。こんな辺境の次元世界で援護に駆けつける必要がありそうな敵と言ったらヴィータ位だろう。

 「くそっ、遅かったか・・・」

 つまり、ヴィータはもう捕まっている可能性が限りなく高い。本音を言うならば今すぐにでも管理局に殴りこんで救出したかったが、まだまだ闇の書は未完成。今はまだ自分まで捕まるわけにはいかない。

 「・・・貴様の名前は?」

 急に今まで無口だった敵から話し掛けられた事により、少し驚いたフェイトだが警戒したまま質問に応答する。

 「・・・フェイト。フェイト・テスタロッサ。」

 「そうか・・・。ではフェイト・テスタロッサよ。この勝負預ける!!!決着はまた次に着けるとしよう!!!」

 そう言いながら、もうここには要は無いと言わんばかりに全速力で逃げ出すシグナム。当然行われた敵前逃亡に呆然と見ていたフェイトだが、我に返り追跡しようとした時にはもう既に見えなくなっていた。




 めっちゃ遅くなって、すみませんでした!!!!!
 テストやらバイトやらサークルなどが重なりまくって更新をする暇が全く無いという目の回る忙しさだったんです。
 これからは取り敢えず定期的に更新していけたらいいなぁと思っているので応援お願いします!!!



[27492] A’S第十一話
Name: 冷蔵庫◆17606d94 ID:e853a10f
Date: 2011/08/07 23:35
 ヴィータとの戦いを制したなのはは、現在アースラの中に居た。アースラに到着した後、零距離スターライトブレイカーを喰らい失神したヴィータを艦員に引き渡した後クロノ執務官に報告するべく艦内を探索していたのだが、

 「クロノ君、どこにいるのかなぁ?」

 さっぱり見つからなかった。と言うよりも本当にアースラに居るのか不安になるくらい影も形も無い。なのはが途方に暮れていると、

 「あら、なのはちゃんじゃない!さっきはお手柄だったわね。ところで誰か探してるの?」

 「あっ、リンディさん!」

 リンデイが微笑みながら此方に近づいてきた。なのはは、彼女にクロノが居るのか尋ねることにした。

 「ええと、クロノ君に報告しようと思ってたんですけど何処に居るか分かりませんか?」

 そうなのはが尋ねると、リンディの表情が僅かながら曇った。

 「・・・クロノはね、ちょっと所用で出かけてるわ。」

 「え?でも私が、出発する時までは居ましたよね?・・・もしかしてフェイトちゃんの事ですか?」

 なのはが不安そうに質問をするがリンディは静かに首を振る。

 「いいえ、彼女に関してはもう大丈夫よ。そうね、なのはちゃんには知っておいてもらった方が良いかもしれないわね。」

 リンディは少し暗い顔で

 「・・・実はねクロノの魔法の師匠とも言うべき人達が襲われて危険な状態なの。」

 それでね、とリンディは続け

 「現場に垣根帝督の羽が見つかったの・・・」









 
 垣根帝督は夢を見る。

 そこは、店に囲まれた近代的な都市。しかしそこに買い物を楽しむ人も綺麗な洒落た店も存在しなかった。代わりにそこに有るのは、何の面白みの無い瓦礫と銃を構えた大人達だった。

 そして、そんな場所に場違いにも二人の少年が立っている。

 一人の少年はまるで茶髪でホストの様な格好をしており血塗れで立っており、この場所の異常さを際立てていた。

 もう一人の目は紅く、女性と見間違えてしまいそうな真っ白な体をしていた。

 しかし、この場で何よりも異常な存在は二人の背中に有った。

 ホストの様な少年からは天使の様な純白の翼をしておりまるで此処がメルヘンなおとぎ話の世界にまで来てしまったかの様に錯覚してしまう。

 そして、もう一方の白い少年からも翼が現れていた。だがその翼は白い訳でなく黒。世界の全てを真っ黒に塗りつぶしてしまうのでは言うくらいそれは黒かった。目の前で存在しているだけで自分という存在が分からなくなりそうなくらい圧倒的な力を感じた。

 その全てを塗りつぶしてしまいそうな、翼の前でホストの様な少年は言葉を紡ぐ。
 
 「は、スゲェな・・・・・スゲェ悪だ。やりゃあできんじゃねぇか、悪党。確かにこれなら[未元物質]は[第二候補]だよ。」

 ただし、と少年はつづけ

 「そいつが勝敗まで決定するとは限らねぇんだよなあ!!」

 突如少年の背中から現出していた白い翼が、先程までとは明らかに違う[質]と[量]を持ちあふれ出てきた。だがそれでも目の前の黒い翼には見劣りをする。

 しかし■■■■は正気を失っており、こちらはちゃんと正気を保っている。今ならば自分はあの■■■■を越えられる、そして殺せる。

 恐怖は無かった。少年は目の前の化け物を粉々にしてやろうと翼を振り、そのままあっさりと粉砕された。







 「・・・とくん、ていとくん!!!」

 自分を呼ぶ声が聞こえ、垣根帝督は目を覚ます。目の前にちんちくりんな女の子(はやて)を確認しさっきの出来事が夢あることを理解する。

 「どうしたん、ていとくん?いきなり動かなくなってもうたから、心配したんよ。あっ!!!もしかして寝てたんか?そうやったらすまんなぁ。ていとくん冷蔵庫やから寝てるのかどうか、よう分からんくてな。」

 どうやらはやては行き成り動かなくなった自分を心配していたようだった。まぁ、確かに冷蔵庫が行き成り動かなくなったら(普通は動かない)不安になる。

 「あぁ、悪かったなはやて。ちょっと昔の夢を見ててな・・・」

 「ていとくんの昔?どんや夢みたんや!?聞きたい、聞きたい!!」

 垣根はちょっと肩を竦め(何度も言ってるが冷蔵ry)

 「それは聞くだけ野暮ってもんだ、なぜなら冷蔵庫は秘密を着飾って美しくなるもんなんだぜ。」

 「美しい冷蔵庫ってどんなや?」

 そんなくだらない事をはやてと話ながら垣根は思う。

 高町家、なのは、はやて、ユーノ、あとついでにクロノとヴォルケンリッター。こいつらが居て、いつまでもずっと笑い合える日々が続けば俺は満足なんだ。虫の良い事を言ってるのは分かっている。

 だが、それでも俺からこの[日常]を奪おうっていうのならば、

 誰であろうと容赦はしない、と。


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