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[35864] 【ネタ】ソードアート・オンライン二週目はじめました
Name: 転葉転◆ad5bbbcc ID:e00c4ab9
Date: 2012/11/18 17:12
ゲームをクリアした時に達成感を感じた事があるだろうか、これまでプレイしてきた時間を見れば感慨深いものがこみあげてくるかもしれない。

終わったという気持ちとまだ終わりたくないという気持ち、ユーザーはその想いを抱えることになる。それを解消するために作られたのが引き継ぎシステム、所謂周回プレイだ。装備とレベル、一部のアイテムを引き継いで初めからスタートする。正に無双状態、昔のゲームにはこんなシステムがあった。ならばこの仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム――ソードアート・オンラインにもそれが実装されていたら?

これは仮想現実を実現したゲームハード《ナーヴギア》が巻き起こす一つの奇跡、開発した茅場明彦さえ知らないシステム或いはバグが今、起動する。


但しとある黒の剣士とラスボスには適用されない――っ!


彼らの受難が始まった。


ソードアート・オンライン二週目はじめました。


リンゴーン、リンゴーンと鐘のような大ボリュームのサウンドが鳴り響く。同時に全てのプレイヤーが転移する、転移された場所はスタート地点である《はじまりの街》の中央広場。キリトは先程まで戦闘指南していたクラインと顔を見合わせる、何故かクラインの顔は真っ青になっていた。慌ててメインメニュー・ウインドウを開き何かを確認して叫び出す、そんな彼に引きつつも周囲を見渡すキリト。

気付く、皆が皆クラインと同じ反応だ。不審に思ったキリトはウインドウを開く、何も変わってない。装備品も戦利品もちゃんと整理されている、ログアウトボタンがないのは何かの不具合だろうと推測、じゃあクラインは何を騒いでいるんだと声を掛けようとした。

ちなみに「おいおいゲームはクリアされたはずだろ?」「ログアウトボタンがない……っておいいいぃぃっ!?」「また最初からかっ、ふざけんな」「今度こそ血盟騎士団音頭を」「キリトくんキリトくんキリトくんキリトくんキリトくん」などという言葉が響いていたがキリトの耳には届かなかった、そして全てが始まる。


真紅のフード付きローブを纏った人物が空中に浮かぶように出現、それを見たプレイヤー達は叫んだ。


『またお前かっ俺ツエーさん!』


「えっ」


『プレイヤーの諸君、私の……は?』


困惑するキリトとローブの人、それに構わず事態は動き出す。プレイヤー達はいくつかのグループに別れゲームをクリアするべく動いた、中にはとある意中の人物を射止めようと乙女達の戦いが起こっていた。取り残されたのはキリトとローブの人、沈黙。


『……説明を聞くかね?』


「あ、ああ頼む。正直何が何だかさっぱり分からない」


そうしてキリトは知る、このデスゲームとなったソードアート・オンラインの正式サービスを。はっきり言えば驚愕と恐怖、この世界で死ねば現実の死と同じ。この状況を引き起こした茅場明彦に思うところはあるが不思議とキリトは落ち着いていた、ぐっと手を握りしめる。

何としても帰らなくてはならない、母と妹の直葉が待つ現実へと。そうと決まれば行動あるのみ、と考えて他のプレイヤー達の行動を思い返す。彼らにはこれが分かっていたのだろうか、ベータテスト時には何の情報もなかったのだが。クラインを探すがいない、頭をがしがしとかじる。気づく、メッセージがあった。


《ちょっとギルド作ってヒースクリフぼこってくる》


「誰だよヒースクリフって、いやギルド?」


あのクラインがギルドを作る、まぁそれもありと言えばありだろう。しばらくはレベル上げに集中するかとキリトは指針をたてる、さて歩き出そうとした所でくいっと引っ張られた。振り向く。そこには――


「キリト君だぁ、えへへ」


にこりと笑う少女だが目が笑ってない、というか光を映していないのは気のせいか。何故かキリトは嫌な予感がした、少女は笑顔でキリトにパーティーを組もうと提案。断ろうと口を開きかけるキリト、ちかっと走る閃光。鼻先にナイフ、冷や汗が出た。拒否権はない。


「ずっとずっと一緒だよ……」


「……」


虚ろな声で呟く少女に沈黙することしかできないキリト、こうして彼らの冒険が始まった。





[35864] コペル「Mobが強すぎるっ……!」
Name: 転葉転◆ad5bbbcc ID:e00c4ab9
Date: 2012/12/10 20:13
コペルは戸惑っていた、デスゲームと化したソードアート・オンラインを生き抜くために他者を蹴落とし犠牲にしようと決意し《先程》知り合ったキリトというプレイヤーにモンスター・プレイヤー・キル通称MPKを仕掛けた所までは覚えている。

ホルンカで受諾出来るクエスト《森の秘薬》、報酬はアニールブレード。片手剣使いには是非とも入手しておきたい性能を誇る、最も使えるのは三層の迷宮区までだが。そしてキーアイテムとなるリトルネペントの胚珠は花つきのリトルネペントしかドロップしない、コペルは一人より二人と同じ目的を持つキリトを誘い隠蔽スキルを発動させMPKを仕掛け――

気が付けばはじまりの街にいた、という訳だ。正直混乱したが何時までも呆然としているわけにもいかない、宙に浮かぶ真紅のフード付きを纏った人物が語ろうとしているチュートリアルを無視しホルンカへと駆け出すべく草原フィールドに出た。

因みにその時耳にした喧騒「いたぞー! ヒースクリフだあああっ!」「俺ツエーさん、ちーっす!」「不死持ちに最強スキル《神聖剣》なんて中二っぽいですよね! マジかっけえっス」「大人になっても持ち続ける少年ハート、尊敬するなー(笑)」等と周囲から騒ぎ立てられるヒースクリフ、効果はバツグンだ。何の効果かコペルは知る由もないが。自分には関係ないかとスルーした、実はこれある意味で最終決戦。ラスボスに精神的ダメージを与えようぜ、みたいな。

草原フィールドを少し駆けた先、青イノシシが一匹POPした。無視してもよかったがレベル上げのたしにはなるかと簡素な直剣を放つ、単発ソードスキルを発動。ターゲットされたことに反応する青イノシシ、正式名称フレンジー・ボア。非攻撃的モンスターで他のゲームだとスライムに相当する強さ、詰まる所雑魚モンスター。

それでも油断はせずにコペルは斬撃モーションを繰り出し……吹き飛ばされた。突進攻撃が早すぎる、ついでに強烈なダメージだ。今のでHPゲージがイエローゾーンになった、次を食らったら間違いなく死ぬだろう。0、即ち死。


「う、うわわああああっ!?」


それを認識した途端コペルは逃げ出した、形振り構わずにフレンジー・ボアに背を向けて駆け出す。チラッと後ろを見る、何故か追ってきている。


「ちょっ」


しかもそれに興奮したのか数が増えていた、三匹POP。基本的にSAOのモンスター涌出《POP》はエリア毎に数が決められている、全部が集まっているわけでもないがこの数はコペルにとって脅威。迂闊に手を出すんじゃなかったと後悔しても遅い、前方に人影。声を掛けようとして気付く、二人の内一人は自分が殺そうとしたプレイヤーだ。

ここで彼に会えるとは思わなかった、許されるとは思わない。一度殺そうとした相手、謝るのは後回し。今はこの危機を切り抜ける、その後で謝ろう。許されなくてもいい、謝るだけで自分の心は前を向ける。こちらに気づいて目を丸くする彼、キリトに――

流星が煌めく、或いは閃光のように眩しく。

それが細剣で最初に習得出来る単発突き攻撃《リニアー》だと気づいたのは全てが終わった後だった、突進してくるフレンジー・ボアにリニアーを撃ち込む。下手をすれば自分にもダメージがいくにも関わらずキリトの傍に居た細剣使いはフレンジー・ボアの間合いに入りその上で回避して背後からリニアー。一撃、一撃、一撃! 明らかにダメージが過剰すぎる、さっきの強烈な突進攻撃は何だったのか。

もしかして実はそんなに強くなかったり? と細剣使いの戦闘を見てコペルはよろよろと動きが鈍いフレンジー・ボアに一撃をあてる、回避されて突進、吹き飛ぶ。


「ちょっと邪魔しないでくれる?」


「は、はい……」


「大丈夫か?」


細剣使いの冷たい目で睨まれキリトの心配そうな声に涙し思った。


(女の人って怖い……)


細剣使いは女性プレイヤーだ、珍しいがコペルにはやけに強いモンスターに立ち向かう女性に頼もしさよりも恐怖を感じる。そのコペルに何かを感じたのかキリトは同情するかのように肩を叩いてきた、これがコペルとキリトとアスナの出会い。コペルにとっては二度目の、キリトとアスナにとっては初めて。この出会いが何をもたらすのか、それは誰にも分からない。


その頃のヒースクリフさん。


「何故だ……」


突然見知らぬプレイヤー達に囲まれ自身のスキルを露呈され挙げ句にはからかわれる。俺ツエーさんと、確かに自分でも神聖剣はどうかと思った。だが最強を目指すならスキルは見栄えがよいものがいいだろう、尚且つラスボスたる風格を漂わせるならこれくらいがいいと判断したが中二っぽいと言われるとは。

だからSAOを製作していた時に部下が微笑ましいような顔をしていたのか、止めてほしかった。彼らは何者だったのだろう、まさか自分の正体に気づいて……? そこまで考えヒースクリフは思考を止める、今は自分もゲームに集中しよう。他人のRPGを傍から眺めるほど詰まらないことはない、幼き日の思い出に涙する。

自分の家でRPGに集中する友達、他のゲームをしようと誘う自分。「今いいところなんだよ邪魔すんな!」「えー」瞳から流れる心の汗、POPしたゴブリンに八つ当たり気味に斬撃。回避されて斧を食らう、吹き飛ぶ。


「ぐふっ!?」


HPゲージが危険域になる、持ち直す。冷や汗が流れた、何だこの強さは。何故雑魚レベルのモンスターが中ボスに、奇しくもその感想は一週目のクラインと同じだった。


「何故だ……」


答えは出ない。




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