第一話
となりに猫耳美少女が眠っています。
これだけ聞くと世の大きなお友達に爆発させられそうな状態だがチョット待ってほしい。まず場所が問題だ。なにかの繭の中にいるような状態。意識は朦朧としていて体を動かすこともできない。そしてとなりの猫耳美少女は俺の想像が正しければ猫耳至上最悪のネコ耳の予感。
俺は確かスマホをいじくりながら街中を歩いているときに眩いライトとともにとんでもない衝撃を受けたところまでは覚えているのだが……これはやっちまったな、お約束のトラックにはねられて転生か?
やっぱりながらスマホはダメ絶対!!
「王直属護衛軍をやってるんだが何か質問ある?」
『おまえの名は ジェトノワローだ』
マジで直接頭に内容が伝わるんだな。
これだけでももう俺が元いた世界では無いと実感させられる。
結局繭みたいな中ではあまり意識が保っていられず次に目を覚ましたときには繭は破れた状態で目の前には気持ち悪いでっかい虫。んでもって隣にはネコ耳美少女。
完全にH×Hの世界です。ありがとうございます。
てゆーかありえねー転生するならもうチョットましな世界にしてくれよ。死亡率がマッハなH×H世界のさらに死亡率が高そうな位置づけかよ。
しかも俺っていったい何? 王直属護衛軍てネフェルピトー・シャウアプフ・モントゥトゥユピーの3人(3匹?)じゃなかったのか? 俺自身もネコ耳はえてるし(触って確認した)手とかも肉球ついてるよ。
4人目の護衛軍(この時点ではまだ2人だけど。)とか原作にはなかったよな。
しっかりと確認したわけでは無いけどこの体はたぶんメスだ。ネフェルピトーよりもビックなおっ○いが体についてるし。
繭から出た瞬間2人して素っ裸だったわけだから確認できたけどやっぱりピトーはメスだったんだな。
ネットじゃあ男か女かでかなりの論争が巻き起こっていたわけだが俺はみんなを差し置いて一人シュレディンガーのネコの箱を開けたみたいだ。
まー俺自身は断然メス派だったわけだからこの結果には満足なんだが、なんで俺までメスになってんの? 前世じゃバリバリの魔法使い秒読野郎だったのに、魔法使い秒読どころか一生転職不可になっちまったじゃねえか。
「んじゃあ行こうかニャ、ジェトノワロー」
そういってネフェルピトーが先に歩いていく。
とりあえず、こんなきもちわるい虫といっしょにいるのも嫌だし、何よりここがH×Hの世界のネフェルピトーが生まれたタイミングならポックルからの脳みそクチュクチュ念能力講座が始まるはずだ。
あんなグロそうな場面は見たくないけどこの世界でちょっとでも生存確率を上げるには念能力の習得が必須!!
「わかった」俺はそう返答してネフェルピトーの後ろについていった。
他人のドヤ顔の後の落胆顔は非常に飯ウマでした。目が覚めてからようやく気分がいい状況に出会えた。
モヅのキメラアントであるラモットのシュンとした顔は笑ったわ。ネフェルピトーも絶対わかっててラモットに声かけて頭に手を置いてるよな。不穏なこと考えている三下に身の程を教えてやったってやつ?
念能力に目覚めて全能感に包まれている状態なら自分自身が王になるとか言う馬鹿な夢の1つや2つ見るものなのかね。
ネフェルピトーもそうだったように俺も最初から念能力が使えるみたいだ。ただ、ラモットのように俺Tueeeeeeeeeeeとなるわけでもなく、転生した体とセットにオーラ自身も自分の一部と無意識に把握しているみたいだ。自分の腕や足のようにあるということを意識することがないのと同様に、当たり前に存在している。もちろん意識すれば、自分自身の体を包んでいるのも感覚で理解できる。もし念能力が使えなかったら死亡率がさらに伸びたんだろうな、使えてもほとんど死ぬかもしれないけど。
その後、ネフェルピトーはあっさり食料にされた人間の骨の下にいるポックルを発見し頭蓋骨をご開帳。念能力の使い方やモロモロの情報を引き出していた。グロイ。
ただこの時びっくりしたのがグロイで済んでる自分自身の精神状態。普通、一般人が人間の脳みそを生きたまま空けられるのを見たらゲロの1発や2発なんてスグのはずなのにそれもなく、そもそもこの場所にはキメラアントの食料にされた人間の骨がわんさかつんであるわけですよ。
とてもじゃないけど普通の人間なら発狂しそうなぐらいスプラッタなシーンが目白押しな状況。キメラアントとして転生した体に精神が引っ張られたりしているのか?
そんなことを思考している間にネフェルピトーはペギー(ペンギン型のキメラアント。こいつ虫っぽい部分がまったく無いよな……)と水身式で自身の系統が何かを調べようとしていた。
ついに来たかこの時が!
やっぱりH×Hを呼んだことがあるやつなら一度は自身の系統が何かとか、俺だったらこんな能力にするなーとか考えるよな。
んでもって俺はネフェルピトーと同じ繭から生まれた王直属護衛軍なわけで。
ネフェルピトーと同じ特質系とかならこの世界で普通の人間として生きていくトンでも能力でも作って、さっさとこの状況からおさらばすることも天空闘技場とかで俺Tueeeeeeeeeeeやりながら適当に生きていくこともできそうだしな!!
……そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
俺が水見式を試そうと水を張りその上に葉っぱを乗っけたグラスにオーラを送り込んだ瞬間ドバ! っと水の爆発が起こったわけですよ。
来たコレ特質系!! これで勝つる。と内心歓喜していた俺を傍目にネフェルピトーの一言。
「ニャハハ、ジェトノワローは強化系だニャ」
え? このクソネコは何を言っとるんだ?
爆発が起こったんだから特質系だろ?
「俺とは比べ物にならねえくらいの水の増量。さすがジェトノワロー殿」
ラモットが言った瞬間俺も気づいた。水が瞬間的に増えて爆発したようになったということに。
ふざけんなよラモット、てめーの時は老人のションベンみたいにちょろちょろグラスから溢れただけだったじゃねーか。
てめーのしょぼい水見式のせいで盛大にぬか喜びをしてしまったじゃねーか!!
てゆーかまじかよ強化系かよ……クラピカは強化系じゃなかったことを悔やんでやがったけど、俺が今ほしかったのは戦闘力じゃなくて適当に暮らす為の特殊な能力だったのに。
そうして俺がぬか喜びからの落胆→放心状態(今ココ)になっている間に、ネフェルピトーはさっさと円(オーラの覆っている範囲を広げる。オーラに触れたモノの位置や形状を肌で感じ取ることができる。)を使って獲物(そういえばこの時点でゴンとかキルアとかカイトが近くまで来ているんだった)を見つけたらしく、いつの間にかいなくなっていた。
気づいたときには狩りは終了。カイトが死んだらゴンさん登場フラグが立ってしまうのにも気が回らずあっさりとフラグを建築し終えたネフェルピトーだった。
このクソネコは自分がとんでもない死亡フラグをおったてたことも気づかずボクって強いかも、とドヤ顔をする始末。
てめーは勝手にゴンさんにでもボられてろ!!
どうせなら俺も一緒に出てカイトだけでなくゴンとキルアも殺してしまえばゴンさん登場は阻止できたわけだし、若干主人公組み参入と2次創作によくある展開を考えなかったわけでもないが自分自身の生存確率を考えればあの二人を捕獲・殺害がベストだったか?
いやいや、俺の今のアドバンテージは原作を知っているということ。
ただでさえ王直属護衛軍4人目というイレギュラーが出てきたことによって原作から離れていっている状況でゴン・キルアがいなくなるのはまずいな。
ネテロ会長が突入班の戦力が不足と判断して無理して十二支んを引っ張り出すことも考えられるし、そうでなくてもゾルディックの他の金で雇われる強いやつというのはこの世界にはいくらでも居そうだしな。
ナックルのハコワレやメレオロンのパーフェクトプランのように格上に勝つための念能力を持っているやつが増える可能性というのはできるだけ除外したい。
相手側の念能力が全てわかっているっていうのはそれだけで後出しじゃんけんみたいなもんだし、ひとまずは原作に沿った動きを行うのが得策か。
とりあえず、王が生まれてくる前までがひとつの分岐点になりそうだな。王が生まれてしまえば護衛という名の完全拘束が待ちうけているわけだし、その前までに人間側に着くか虫側につくかの判断を行わなければな。
いや待てよ、俺が転生していることによって精神状態の変化からシャウアプフに怪しまれるこry「冷蔵庫ニャ!!」
せっかく考えをまとめようとしているのに、狩りの戦利品であるカイトの死体を保存するための冷蔵庫をあの馬鹿姉はご所望ですか……姉?
そういや同じ繭から出てきたわけだからネフェルピトーとは姉妹になるわけか?俺自身も無意識のうちにネフェルピトーを姉だと認識していた。
姉はネコ耳美少女で語尾にニャをつけます。
誰か俺と入れ替わってくれる人募集中!!
※ただし、スプラッタ・ブラック会社(24時間拘束)・嫌な上司・嫌な同僚・部下は虫・余命数十日がセットでついてきます。