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[4647] テスト?黒い犬がアリスの世界に迷い込みました[ランス6×fate]
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2009/02/28 19:56
テストですから。


繰り返される世界。

俺が見ることが出来なかった日常。
そのなんでもない日常を過ごしていた。
しかし、何事にも終わりがあり。
永遠に続くことはない。
だから自分の手で終わらせることにした。
なにもないと知っていたのに。
終わりが見たいと嘘をつき。
歩むに連れ暗くなる道は、より冷たく感じた。

だが、その終わりの向こうには
青い空が広がっていた。


「あれ?」

間抜けな声が出る。
おかしい、バゼットを説得してあの世界を終わらせたことで、
俺は消滅し、座に帰るはずだったのだが。

なんか生きてます。
それも、なんか右手になんか気色悪い、肉の皮を持って。

「どこだよ、そしてこれなんだよ」
持ち上げたものは。

「気色悪――!!」

手には繰り返される四日間で、着続けた衛宮士郎の殻。
中身が入ってないことで、ダルダルのゴム人形みたいなその物体。

「うわー、俺こんなの着てたのか、姿借りといてなんだけど」

広げてみると、嫌に少し重くてリアルだ。
そして、風でピロピロしてるのがシュール。

「捨てるか、気色悪いし。なんか持ってると呪われそうだし」

適当にポイッすると、視界にファスナーらしきものが見えたが、気にしない方向で。

「それより、此処どこだ?前の世界にしては、空気が変だし」

本当にどこだろう、座に戻った記憶もないし、俺が守護者として呼び出されることなんて
ある分けがない、自身は最弱だしアンリマユとして呼び出したとしても。
反英霊の親玉のような俺に助けられたら、世界も迷惑だろう。

「いや、マジでここどこだよ、あれか最弱過ぎて捨てられたとか、長い間帰らなかったから居場所が抹消されたとか、まあ確かに住居料金出した覚えねーけど」

そんなくだらないことを考えていると、スーと力が抜ける。

「あれ?」

力なく座り込み自分の手を見てみると、腕が透けている。

「まー当然か、別に受肉したわけでもなし、魔力の供給もない」

突然この世界に来て、突然消える。
なぜ?

さあ?帰る途中でしょんべん我慢できなくて、バス止めたんじゃない。
そんで、十分後に出発。

本当なんで俺、此処に出てきてんだ。

意味が分からん。
出てきた当初は結構元気だったのに、物の数分で消える。


説明を要求する。
「我々はー、事の発端の説明を要求するー」

世界に対して「助けてくださーい!」と叫んでやろうか。
こんな意味の分からない状況で、説明がないなんて。
夜に気になって眠れなくなったらどうすんだ。

此処に来てした事といえば、あの膨れていない士郎をポイしただけ。
地球を汚すなってことか、しょうがないな拾ってやるから。
ちゃんと説明を。


「・・・あれー」

やる気のない声が漏れる。

なんで、この世界に留まれるのかなー、消えそうだから適当にした善行に神がサービスしたのか。
良いのか神、暇なのか。

「しょうがねー、持ってくかとりあえず説明有るまで」

アンリマユは士郎の皮を手に入れた。
この装備は呪われている。

「そうなったらやだなーー」








留まっていても、しょうがないので適当に歩き出す。
地平線が見える荒野。

その逆には町。
荒野に繰り出すには、やる気が足りないので町の方に向かって。

てくてく歩くと、ズリズリ音が続く。
士郎(仮)は擦り切れ寸前で俺に引きづられていた。

面倒くさそうに、歩く姿は人の皮を持ってることも手伝って異様だ。

「疲れる。なんでこんなに疲れるの早いんだ。しかも気づいたんだけど口調が前のままだし」

殻をまだ持ってるから、それに伴い性格が抜け切ってないのか。
それなら、体力も付いてきて欲しい。


「はーどうすっかなー、これ着れば体力戻るかもしれんが」

ぼやきながらの歩行。
やる気のない気持ちが、さらに歩みを遅くする。
でもこれ気持ち悪いしなー、出来れば着たくない。

「俺は絶対着ないぞ、これでも過去の人間だし現代人より体力あるだろうし」

歩き出し五分。
「ア、 足がだるい」

十分。
「・・これくらい、なんとも」

十五分。
「・・・・・・・・」

十六分。
「考えてみたら、俺そんなに歩いた記憶ないな」

現代人の体力に負けた俺は、士郎スーツを着ることにした。
肉の感触がキモイ。


着てみた感想は後ろのチャックが最後まで上がらねー。








「あれ?何かきた」


この世界の神。
鯨の形をしたその神は、最弱な英霊に脅威を感じることもなく。
子供がおもちゃで遊ぶように、世界を見ていた。

アンリマユ、魔法の国ゼス近くに出現。
あまりに人間過ぎて、神にスルー。



[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/02 01:49
テストやから



タタターターータッタタター。

士郎スーツ、それは無駄にしぶとい生命力と正義の味方分で出来ている。
俺にとっての良識が毛の先ほど取得できる。

攻撃力が13上がった。
防御力が24上がった。
体力が50上がった。

回避率が35上がった。
逃げ足が43上がった。
しぶとくなった。

小物臭くなった。
態度が悪くなった。

家事のレベルが1から3にあがった。


「わーい、二周り以上強くなった」

欝だ。
へっぽこより最弱。
泣いてやろうか。

歩く力は格段に強くなったが、気持ちがガタ落ちだ。

「つーより、此処どこだよ変な生き物がいるし、女が居たから犯して殺そうとしたら、無駄に強いしよー」

三十分くらい前に、バニー姿の変態がいたから、此処どこーと聞いたのだ。
人の趣味にとやかく言う気はないが、突然襲ってくるのはいただけない。
歪んだ短剣を出現させ軽く首を掻こうとしたら、避けられ。
アレ?と思う間もなく蹴られ、押し倒された。
どっちかと言うとSもM行けるが、やられっ放しは性に合わん。

勝ち誇る顔がムカつくので、オッパイ揉んで驚かし。
その隙に逆に押し倒し、殴り合いになった。

お互いボコボコに成りながら、最終的には

「ケッ!テメエやるじゃねーか!」
と青春風に別れた。

歩いて行く最中、なんであの女、人間ぽいのに殺せないんだ?
とも考えたが。

気にしてもしょうがないと止めた。
一々戻るのもメンドイ。

次に人に会った殺して試そう。


歩く先に町らしき物が見える。
ボロボロの石で出来た家。

それが立ち並ぶその集落は、
え?どっきり?
と考えてしまう。

その風景から、前の世界からまったく違うとこに来たと。

帰りたい。
テレビとゲームとコンビニがない生活はやだ。

あの身体に悪い合成調味料の出来合いモノは、
バゼットの缶詰、牛丼、レーション攻撃の救いだった。

コンビニのおでん、肉まん。カップ酒。つまみにイカ。
うまかった。

士郎スーツ脱ぐか。
昔の生活に戻るくらいなら、座に帰る。

でもなーー、何で此処に来たのか気になるし、チャックが噛んで脱げないし。

せめて、なんで来たのか知りたい。
そして、独り言が多くなるのが欝だ。

「えーアンリ君は迷子になった、寂しいと死にます」

気色悪!





町に入り。
物珍しそうに、周りを見ていると。
視線が俺に向いているのに気がつく。

考えて見れば、赤い布を巻いただけのその姿は。
目立つ。

黒髪に肌に書き込まれた刺青。
どこの部族が紛れ込んだのかと、奇異な目だ。

進むに連れ。
物珍しい目から、哀れみに満ちた視線になった。

イラつく。
これは金がなくて着てんじゃねーよ!出てきた時にはこれだったんだよ!

何かヒソヒソと話し合う俺よりボロを着たビンボー人の。
何かもう「残念だけど明日はお肉なんだよね」的な視線。

この野郎。サクッと刺すぞオイ!

鬱な気分だからしないが。

しかし、何でこんなに動くのが苦痛なんだ?
頭が働かないし、腹が痛い。
あのウサミミに殴られた痕は治ってるが、何か違和感がある。
まるで、空腹過ぎて胃の辺がムカつくように。

・ ・・・?あれ?ただ腹減っただけか?
俺ハラペコキャラになった記憶はないが。

飯屋がないか探していると、目の前にボロボロの家があり食いもんの匂いがする。
しょうがないから食わしてもらおう。
駄目だったら襲って奪う。金が有るわけないしな。

そんな物騒な考えをしってると、匂いの先は武器屋だった。

「・・・・・よし」

まあ、あれだ。
強盗は良くない、出来るだけ穏便に行こう。
別にウサミミと引き分けだったのが、まだ気になるわけではない。


軽く5、6本作ろう、ここで作らないでなんの力だ。





結構売れた。

袋いっぱいの金が入ってて重いが、心は軽い。
武器屋のおっさんは、魔法使いの常連がいるらしく、金回りがいい。
適当に作った刀を売ろうとしたら、異国の剣に興味があるらしく上機嫌で金をくれた。

しかも自宅兼用の店で二日分の食いもんをくれたので、どんぶりで三杯流し込む。
礼に呪いの剣を消しとこう、抜いたら自分の家族殺すやつ。


ゲップ
腹が膨れて、動きにくい。




結構楽しいなここ、金に困らないし。

道を歩くことで食後の運動をしてたが、人の気配が近づいていた。

気にしないでいたら、三十人くらいの浮浪者が俺の周りを取り囲むまでになった。

手には刃毀れのナイフと剣、棍棒、石。

口元に下種な笑みを滲ませたその面を見ながら。

こちらも獰猛に口が歪む。
頭に栄養が回ったことで、気分が高揚する。

くくくっと我慢できず笑いがこぼれ出した。


「ははは!!なんだテメーら、そんなに殺気滾らして!俺の食後の運動に付き合ってくれんのか!」

じりじりと寄ってくる生贄は、獣の食事になることを知らない。
そんな馬鹿達にもう一度笑い。

「ケケケッ!しっかりと付いて来いよ!ここに来て初めて殺すんだからな、できるだけ意地汚くもがけよ!!」

この世全ての悪は、世界に自分の存在を咆えるのだった。




ここで負けたら笑い話にもならないが。



[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/03 11:13
テストだし




血の海。
首を裂かれた物体、
腹を壊した物体、
普通の状態からかけ離れた物体。

土に染み込んだ血が赤黒く周りに広がっている。

腰の赤い腰布以外にも、黒い肌に付いた赤はべったりと付着している。

「は!はははっははっはっははっははっははっはははは!!!」

狂おしいほどの咆哮。
その凄惨な情景に映える遺物。
総てが倒れ付したその場所で、一人立つその悪魔は声が枯れるまで、

黒い獣は世界を犯すのだった。



「よし!殺したい放題だな!」

顔に付いたもの気をせず、楽しそうに叫ぶ。
前に戦ったウサミミは、着いたばかりで調子が出なかったのだろう。

「やっぱいいなこの世界。食いもんがある女がある、壊すものがある!」

そして、すべてを容認してるようなこの世界は、まさしく自身が暴れられる場所だろう。

「何でこんな場所にいるか知らんねーが、いい場所だ。気に入ったぜ!!」

全てに叫ぶその声を身体いっぱいで表していた。



といっても、傍目からはただのキチガイ。
壊れた玩具のように笑う、ただの変質者だが。



道をプラプラ歩く。
三十分前のことなど俺に関係ねえ的な歩き方だが。
まだ、身体は血の跡がある。

血が乾き、カビカビになって気持ち悪そうだ。

「うへーー、気持ち悪!」

殺し事態に嫌悪感はないが、少しやりすぎたかとも思う。

前は気にするほどやれなかったし、サーヴァントとの戦闘はやられる側。
そんな事を考える前に死んでました。
そう考えると俺、負けっぱなしじゃね?

今度会ったら殺してやる。返り討ち確実だが、
ケケッ!



身体を拭く物が欲しくて、周囲を探していたのだが進むに連れ建物がなくなり殺風景になった。
途中で襲い掛かる異形のもの。

それをザリチェとタルウィで捌く。
と言っても、アンリマユに唯一ある特権。
人に対する絶対的な殺戮権は、モンスターである眼前のコスプレ集団と変な生き物には
関係ない。
その結果薄皮を削る戦い、
相手の攻撃は全力で避けるが決定打が入りにくい。
モンスターの頑丈さも手伝い、腕、足、その他諸々。
すでに原型が残らない姿にして倒した。
普通に殺すより凄惨に骸を晒すことに。

恨みが篭りすぎて、死んでいるのに気づかず包丁でメッタ刺し。
そのまま解体しちゃいました。エヘッ的感じに。

「ハアハアハアハアハア・・・きょ、今日はこの位で、ハア、勘弁してやる・・」
まあ、そんなの今の満身創痍な状況で言えたもんじゃないが。

前に殺し捲くった余韻で目の前に現れたカエルコスプレの女に特攻し。
アレ?なんか先とは様子が違うぞと、考えている内にさらに八体の集団に襲われ。
一時的に蛸殴りに合いながら、何とか倒した状況だ。

そう言えば、武器屋のおっさんが女の子モンスターの話をしていたのを思い出す。
あの時はメシに集中しすぎて聞き流したが、言っていたはずだ。

あの時ちゃんと聞いとけば良かった。
「あれはいいぞー、かなりエロい格好で、こうワシの最近元気がないのも立ってくれ・・」
ちゃんと聞くべきか?

ともかく、空が闇に染まりきる前に寝床を探さないと。



探す内に暗くなり、完全な闇に取り囲まれているが何とか寝れそうな小屋を見付け。
その中には生活の後らしきものが見えていたが、
疲れすぎて倒れこむように眠りに落ちていた。

倒れ込むと同時に少し甘ったるい女の子の匂いがして。
それに包まれるように深い眠りに。




そして少し後に現れたこの小屋の主は、突然の訪問者に対する第一声が。

「・・・・だれ?」
だった。



[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/05 19:52
テストだけど



「知らない天井だな」

まあ、お約束。

身体を伸ばしながら、周りを確認すると。
周りが廃墟なわりに確り掃除が行き渡っていて、結構住みやすそうだ。


辺りに目を向けると扉の辺りにバスケットに入った、パンと野菜が入っている。
よく判らんが貰えるものは貰う主義なので、美味しくいただいた。
ここぞってときのエミヤシロウの家事能力は偉大だ。

朝起きると、食べ物が一食分用意されていたことで、飢え死にすることもないだろうと、
この小屋に住むことに勝手に決定。

たまに置いてこないときもあるが、其の時寝て過ごすことにして。
大体三日に一回はくる事に気がつき、見ず知らずの奴に感謝と共に呆れをやる。

腹が減りすぎて自分から狩をすることも有るが、俺の弓は二発に一回は外す、身体が覚えている仕草を、メンタル面の俺が駄目にし、一発で仕留められる一矢は数発にしてしまう
ことから。

取れることが偶だ。
本来弓は狩猟で生活する民族にとって、かなり重大な意味を持つ。
動物は危機を感じれば逃げるものだし、それにおい付くためには、遠距離からの攻撃が必要である。

その弓が達者なこの肉体で、ここまで差が広がってしまいと、結構堪えるな。
一秒。



居座ることに決めた俺もなんだが、食い物をくれる奴もバカだ、
水が入った桶とタオルに続き、食い物、薪。

大概用意してくれて、俺の働く意欲を削ぎまくる。

最初部屋でやる事等、取った肉を燻製にしてご近所に配ったくらいだ、

しかも、勝手に取ってくださいと、書いて玄関に置いただけの
簡単なモノだったが、それが呼び水となりエミヤシロウの身体は動き出してしまった。

燻製を作ったことを始めに、料理、洗濯、掃除、その他諸々。
染み込んだお母さん属性に引きづられ、気がつくと完璧な主夫として動いていた。

ご近所との円滑な生活のために、料理を作り玄関先に置くなど。

主夫生活を楽しみまくってしまった。
料理の換わりに野菜をくれたりと姿を見たことはないが関係は良好だ。

ときに本来の身体の所有者は、ホントに正義の味方を目指していたのだろうか?






〈???〉

ゴハンうまうま。
家を追い出されたと言うか、住み着かれたというか。
帰ってきたら、知らない男の人がぐーすー寝ていた。
身体に掘り込まれた刺青、黒い肌と、見た時は仲間が帰ってきたのかとも思ったが。

顔立ちが前いた皆と違うし、この年では顔立ちが幼い。
がっかりしたが、
身体に染み込んだ血に気がつき、ケガをしているのかと心配して近づくと。
かすり傷と軽い裂傷があるだけで、ほとんどが返り血らしい。

そういえば、帰り道で血が染み込んで土が黒くなっている場所を見た。
それは一帯に広がっていたが、その血の元となる物がなく骨が数本落ちている場所。

この人がそれをしたと考えると少し怖い。
起こして出て行ってもらうわけにも行かず、途方に暮れていると、
みんなが、関わって何かされても嫌だから、放っておこうといってくるので、
大事な物を持って、どこかに移動することになった。

大事なもの。食べ物、薬草、服、パンツ、家族との思い出のもの。

作業をしていると、ベットの上の男の人が呻いた。
ビクッとして恐る恐る見ると、寝返りをしただけで起きたわけではないらしい。
仕度もある程度終わり、まだ寝ているか様子を見ると血が自分のベットに付いて汚くなっていた。
せっかく何日か前に干したのにこれ以上汚れても困るから、水で濡らしたタオルで拭いてあげる。
拭き拭きすると、少しくすぐったそうにして悶えていた。
うんしょ、うんしょとしていると、身体にある刺青が出てくる。
身体全体に施されているその刺青は、よく分からないが自分にも施されている物とは違う
言葉のようだ。
よく見ようと頑張っていると、視界に大きく聳え立つモノがあることに気づく。
赤い布を押しのけるように立ったそれに、最初は気がつかなかったが。
よく考えれば、この人は布を巻いただけの格好でそれを脱げばすっぽんぽん。
男の人のアレが捲ればすぐ見えてしまう格好だった。

ほっぺが熱くなるのを感じて、作業をすぐ止めて出て行く。
少し考えゴハンを持ってなさそうなので、少し置いてってあげた。


それから数週間、最初にゴハンを置いたのが悪かったのか。
今だ居座り続けていた、其のうち出て行くかなと思い見ていたが、家から出て行く様子もなく、お腹減ってたら可哀想だとゴハンを分けてあげている。

そして、一週間ふらっと出て行ったので、
帰るため荷物を纏めていると、
またふらっと帰ってきた、ウサギさんと鳥さん持って。
見た感じ弓を持ってないけど、どうやって取ったんだろう?

その後、燻製にしたお肉とか、それを使った料理とかが玄関の前に置いてあり、勝手に持ってってくれと書いた紙まであった。

最後の方にご近所の人へと書いてあり、最初は警戒してたが、
ついには出来立ての匂いに誘われて食べてしまった。

最近は美味しくて、毎回結構楽しみにしていたのだが。
昨日はご飯を作ってくれなかった。

二日目に作ってくれたスープを温めて食べているのだが、もうこれで食べ切ってしまう。
この野菜のピリピリ感が利いていて美味しい。

少し毒性があるけど、このくらいなら逆に刺激があっていいというものだ。
小さい頃からの毒に対する耐性があるのでこのくらいなら。
お腹ピーピーにも、頭ガンガンにもならない。

けぷ。
ごちそうさま。




[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/06 19:42
テストどす





腹が痛い、頭が痛い、手足が震える。
上下とも大洪水。


どうしてくれる、この野郎。

何かにあったたのか、絶賛食中毒。
出すもん出してもう何もでねー。

調子こいて解析もしないで食い物を探していたつけか。
調子が悪いすぎる。

考えてみれば、現代の人間は昔の人間より免疫力が弱い。
山で取れた茸や肉、それには数多くの雑菌が含まれていて。
塩で殺菌したりしないと、すぐに身体に変調をきたす。

お母さんモードで料理を作り、そのまま食べてしまった。
最初の頃のように。
その辺のモンスター、近所の人を使い毒見をさていればここまでの苦しみを味わうこともなっかただろう。

お湯を沸かし、湯たんぽや飲み物で腹の調子を整えながら。
苦痛に耐えるため今日もゆっくり休むことにする。

ここに来て訪問者など誰一人来ないことも手伝い。
のんびりと過ごすことにした。

そう、何事もなく過ごせるはずだった。




ガチャゴン!!!

無遠慮な訪問者が現れるまでは。




「む!誰かいるな、おいお前ここに住んでいるとゆうことは、お前がムシ使いか」

突然の来訪者。
緑の服に甲冑、そしてものすごい口のでかい男を先頭になだれ込んできた集団。
毛布に包まって湯たんぽ持っている俺に視線が集中する。

「行き成り人の小屋に入ってきて、突然なんだよ」

「うるさい、俺様はムシ使いに会いに来たのだどっちか早く答えろ」

急に現れて、問答無用な質問。
ハッキリ言って答える気もなければ、ムシ使い云々知らない。

考え込んでいると相手がじれてきたのかイラついた口調で。

「早くしろ!すぐ答えんと切り捨てるぞ!」

問答無用な殺気にこちらも、高揚しかけるが腹の痛みで萎える。
すると、こちらが怖がって喋れないと思ったのか、
ピンクのモコモコがバカ口を宥めようとする。

「ランス様、もう少し優しく聞いたほうが」

「うるさーい、俺様に意見するな!」

「ひゃん、す、すいません」

下手な漫才でも始まるのかよ。
漫才でさらにやる気がなくなり。
早く出てかないかなーと、適当に話す。

「あのー、アンタムシ使いなんだか?」

「いや、そんなのになったこともないし、水虫になったこともねーよ」

「じゃあ、なんでいるんだここに!」

「俺が勝手に住み着いてるだけだ」


「えと、ここって他の人たちから、嫌われているのになんで?」

「そんなの、お前らが勝手に考えてることだろ、俺に関係ねーよ」

「怖くないだか?」

「さっきからなに言ってんだ?お前らが何しに来たかしらねーけど、用がすんだならとっとと帰れよ」

「クソ!無駄な時間を過ごした、女の子でもないし、不愉快だ!」


突然現れ、突然怒り出て行く。
なんなんだあれ?
最後に残った一人が頭を下げて出て行った。

ドア開けっ放しで。
あの野郎、頭ぶち抜いてやろうか。

夜になる。
嵐の後の静けさ。
ほとんどの音が消える中、神経が過敏になり外の様子までわかる。

静かになればなるほど、腹の痛みに気が行く。

丸くなり、痛みに耐えていると、玄関先に物音がした。
がさごそと玄関の前をオロオロしている。


今朝の奴らかと、玄関を開けるとちっこい色黒の少女がいた。

「・・あの、カロリア・クリケットです」

「腹が痛いから、茶は出さん」

ご近所さんだった、相手をするのが面倒なのでドアを閉める。

玄関先からは、締め出されちゃった、でもカロのせいだしと声が聞こえる。
なんなんだ?


〈カロリア〉
町に入ってきた人たちの様子を観察していると、どうやら仲間が毒に犯されているらしい。
話を聞いているうちに、その毒に思い当たりがあったので、
朝までに作ってあげようと思う。

話が進むに連れ、私のお家に住み着いた人の話になった。
内容は小ばかにしてるのがムカつく、病気のようだから穏便にしてください、なのだ
どうやら、上半身裸の人は病気らしい。

やはり、お腹出しっぱなしではお腹を壊すのだろう。

なので、近頃料理を作ってくれないのかな。
少し寂しかったが病気なら仕方ない。

帰って薬を調合しよう。
帰ってからの、手順を考えているとスープの具に使ってあった。
草がないことに気がつく。

結構そこら辺に生えているから、この時間でも見つかる。
毒性も的確な分量を守れば薬となる。
病人じゃない人がそのまま飲んでしまうと、ピーゴローになるが。
病人なら効く。

もう少し前に来てくれれば、すぐに薬を作れたのに、
ご近所にあげちゃったから。


あれ?あげちゃった?
もしかして、カロのせい?

どうやら料理が出来ないのは、私のせいらしい。
ごめんちゃい。


緊急だろう、人たちに薬を置いてきた帰り。
もはや、元お家に来た。


どうしよう。自分のせいだからといって、怒られるのは怖い。
しかし、このままにしておくのもなんかやだ。

しっかり、気を張り。
ドアを開けようとすると。
突然その人が出てきた。

隈が出た顔に罪悪感が出てしまうが、しっかり謝ろう。

「・・あの、カロリア・クリケットです」

「腹が痛いから、茶は出さん」

開けて、また閉められた。

・・・どう反応したものか困る。
どうしよう。









[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/08 20:24
テストなんだぜ。





お腹が痛いのはカロのせいといったら。

すごい顔された。
その後に、腹痛に悶えていたが。

自分のせいで、こうなってるのは分かっているのだが。
どこかゴハンをお預けされて、困っている犬に見える。
絶対、八の字になったマユが似ていると思うのだ。


待てを。してくれなそうだけど。



〈アンリマユ〉

糞苦い。

口に未だある苦味と青臭さ。
こんなもん飲んだら返って腹壊しそうだ。

薬が苦いのは、気持ちの面でこれだけ苦ければ効くはずだと。
気持ちが身体に働きかける意味もある。

精神と肉体に綿密な関係があるということで。
ただのビタミン剤で病が回復したことさえあるしな。


このちっこいのが家に来たときは、毒見させてたのがバレたかと思ったが。
実は俺が毒殺されそうになってたらしい。

ご近所付き合いがうまくいってると思っていたが。
やはり、きちんと挨拶周りしないと、
新参者の風当たりが悪いらしいな。


「で、俺を毒殺しようとしたお前が、何しにきたんだ」

「あの、あのね」

「弱ってるからって、勝てると思ってるんじゃねえーだろうな」


「えーとね」

「なめんなよ、こちとら人間と戦って負けたことないぞ、偶にしか」

その後、一方的な愚痴タイム。
「・・うーー」

「というか、あれはもう人間じゃないから除外しても良いと思うし」
人間凶器、赤い悪魔、黒桜。
人に付いていい称号じゃない。

「すん・・」

「兎に角、用がすんだら俺の家からさっさと出てけよ」

「誰が俺の家じゃーーー!!」

少女の前に甲虫の外皮の盾が出てきて、こちらに怒鳴りだす。
トーテムポール模様のようなそれは、
じーさんぽい口調で喋りだしてきた。

「聞いておれば言いたい放題、勝手にこの子の家に着いた分際で、よくもそのように言えるもんじゃ」

「うっわ、なんだこれ」

口もないのに喋る爺盾。
頭からにゅーとでる、ムシ。
腕に出るトゲトゲ。

人の肉体にあるはずのない器官。
異様なその姿は自分たちに近いからこその怖さがある。

人は自分と違う物に恐怖し、それを自分から遠ざける。
未知なものに対する情などあるはずもない。
原種的なものだからこそ、
傍目からみたこの光景は、より心に深く刻まれ恐怖に彩られるだろう。
ムシ使いという、昔から伝えられし異形の名とともに。

まあ、それは良いとして、頭から出てるあの虫。
卑猥だと思うのだがどうだろう。

触手なんだろうか?
チンコ蟲の一種だな。
勝手に認定していると、これまた勝手に悲壮感に包まれている少女が変な顔をしていた。

「あの、薬が効いてくればお腹も治るから、じゃあね」

頭で変なこと考えているうちに、出て行こうとする少女。
謝罪だけで済まそうとするなんて。

「おい待て、卑猥少女」

「?」

「お前な薬くれたくらいで、全部解決したみたいに出てくなよ」

なぜか、自分の後ろを探す動作をしてるのは無視して。


「そう簡単には帰らせねーよ。
悪いと思ってるなら、菓子折りと慰謝料も用意するべきだろ」

少女だけど、18歳。
二つとも用意できないなら、身体で払え。



「もしかして、カロに言ってるの?」

「お前意外に誰がいんだよ」

そんな、ぶっといの持ってていまさら女の子しても無駄だ。

いや、実は出て行ってもらったほうが良かったか?
受けはやってないぞ俺。



〈カロリア〉

「うっわ、なんだこれ」


その言葉は拒絶に聞こえて、
怖かった。
自分達の習慣は、外からは異様に映る。
自分の普通をすることで、他者からは怯えられる。

その、怯えからムシ使いの虐殺が始まったのだから。
自分に対する拒絶は何時も心に寂しさが襲う。

やはり、自分は受け入れられないと思ってしまう。


早く出てこうとすると、後ろから卑猥少女と呼ばれた気がした。
卑猥。
それはえっちだということだ。
そんな人、他に居たっけ?


その後三十分に亘る口論。

私だったらしい、カロはそんなことないといったのだが。
この触手!うたまろ!後ろは絶対守りとうすと話を聞いてくれない。

そして、卑猥扱いのアゲハはへにょっとしていて、二人とも私同様掛ける言葉がない。

「この野郎俺を視犯し終わって、ぐったりしてやがる」

ますますへなへな。
可哀想だからよしよしすると、少し元気になった。

「やっぱり、卑猥だ!」

喧嘩になった。

グダグダになりながら最終的には日を改めて謝れだって。
話の中に家に関する話も合ったが、
それはそれ、これはこれだそうだ。
一度、話し合うために日時を言うと。
私の家の場所を聞いてきた。
自分の居場所ばかり分ってると卑怯だそうだ。
皆、怒鳴りすぎて考える気力もなく答えると。

今の家の場所を教えて。
バイバイする。




アンリマユと名乗ったその人は。
変な人だ。
話してる内容から、ムシ使いに対する嫌悪はないようだが。
卑猥、えっち、等。
ムシ使いに対する変な認識がある。

チンコ蟲なんてそんなのあるわけないし。
養子が黒くなるとか。
長男がヘタレとか。
爺にヘルパー付けとけなどなど。
変なことばかり言ってくる。だから変な人だ。

話していると、総ての物事を認めているようにも感じるし。
総ての物に喧嘩売ってるようにも見える。

人との久しぶりの会話。
それも拒絶ではなく、自分をそのままに認識してくれる
その人は。


やっぱり、変な人なんだと思う。










[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/11 19:12
テストの時間ですよー






虚無感。
ここに来てから、やる気がザクザク削られ。
無気力になりすぎる。

最初は着いたばかりで気にせず暴れたが、考えてみればここには目的がない。
相変わらず説明もなく過ぎる日常。
終わりさえないループ。


ぶっちゃけ、暇でしょーがない。





そんなわけで、あのちっこいのを苛めることにした。
何回か約束すっぽかしたが、茶くらいだすだろう。


餌付けしてきた効果か、
ご近所の関係は良くなった。

リクエストされた料理も作ったし、燻製もやった。
茶飲み友達くらいには、関係も深まったはず。


ムシ達とは、もはやマリアナ海峡ほど離れたが、
気にする気もないので。
暇つぶしにな。



カロリアは俺の家からそんなに離れていない場所に住んでいった。
今まで気づかんかったとは。
やはり、引きこもりに成りすぎた。


向かう途中に祠がある、そこはムシ使いにとって神聖な場所。
魔術師にとっての工房。
なんでも、ムシを入れる場所らしい。
蟲蔵だったか。

そこに、前会ったバカ口がいた。
100メートル位離れた場所。
どうやら戦っているらしく、相手は身体から多彩なムシを出して、応戦している。

バカ口の剣は大陸の戦い。
日本の切るものではなく、剣自体の重さと丈夫さで相手をたたっきる戦法だ。
馬鹿力に頼るだけでなく、
偶に見せる直感に任せる攻撃は、
この殻。
衛宮士郎にはない才能を垣間見せる。


「ランスアタッーーーク!!」
どの変がランスか知らんが。
周囲を巻き込む、気迫と剣風。

相手の男は唐竹に近い感じに切られた。

倒れ伏した奴に目も向けず、勝利宣言。
信じられないと驚く女に近づき衣服を毟り取っていた。

心底嬉しそうにしていて。
周りに目がいかないのか、切られた男が起き上がるのに気がつかない。

残心。
相手の反撃に備える心構えなのだが。

要するに止め刺すまで気を抜くなの真面目版だ。

それを怠ったばっかりに、全身から出るトゲに刺さり。
倒れた。


その後、高笑いして女はその場を去る。
それを横目で見送りながら。

この試合の締まらなすぎる結果に、呆れが出る。
両方詰めが甘い、
勝者だけの特権でいつ殺すか自由だが。
せめて、周りを見とけよ。

バカ口は男を。
金巻きはその馬鹿を助けようとしてる、そのまた馬鹿を。





小屋を開けると、小さな神殿の前に馬鹿口と卑猥少女がいた。

「お前、何してんだ?」

「ほえ?あほり、んグッ、あ、飲んじゃった」

ほんとに何してんだ、口から垂れる、緑の汁がホラーだぞ。

「で、なにしてんの」

「この人の、解毒しようとしたんだけど薬飲めないらしくて」

「へー、こいつそんなに弱ってるの?」

「うん、早くしないと毒が回りきって・・」

「ほうほう」

ゴソゴソ。

「もう、身体の痙攣がはじまってる・・」

キュッポッ!
フンーフフッフフーーー。
キュッ、キュッ、キュキュッ。


「治っても後遺症が・・・何してんのアンリ?」

「なにしてるか、分んないのか」

「いたずら書きしてる」

「うん」

「えっと、早くしないと」

「はいはい、貸してみ」

渡されたビンを馬鹿口の前に差し出し、口を無理やり開け流し込む。
最後には口と鼻を塞いで、終わり。
気を失うと共に薬も飲んだ。

「よし、解決」

「いいのそれ?」

「死なないなら良いんじゃない?」
前、腹痛で苦しんでいた時に、なだれ込んできた仕返しはこんなもんでいいだろう。










〈ランス〉

クソ!!
俺様としたことが、こんなことで死んでたまるか!
しかし、身体の感覚はなくなり、手足が冷え声さえも上がらない。
小屋に放り込まれて、息が苦しくなってくる。

ここで死んでしまうのかと思っていると、ここの廃墟であった女の子が
俺様の所に近づきビンに入った液体を流し込む。

しかし、力が入らなくてそれは口から零れてしまう。

可愛い子だ。
そう思って、目の端に入る、スカートの中身を鑑賞していると。

「しょうがないよね、かろ初めてだけど」

と言ってきた。
初めて・・初物か。

さすが俺様。
死に掛けだからといって、こんな姿でも女の子を落としてしまう。
ビンの中身を口に含みこちらに顔を向ける。

ぐふふふ、よし!来い。

力が出なくてこちらからは動けないが、
確実にこちらに向かってくる顔。


数秒後に、俺様の口に来たものが、ガチャ!
無粋な音で邪魔された。


あれ?
なぜ、いつの間に貴様が俺様の横にいる。

なんで、腰布からペン出してる。

なぜ、女の子にしてもらう口が貴様に、緑の汁流し込まれて鼻と共にを塞がれている。


ふっ
ふ、ふふっ

ふざけんなーーーー、貴様!!!
俺様の楽しみをじゃましてくれたこと
絶対後悔させてやるーーーーー。


不愉快だ!!!!!
目の端に見える赤い布の中身と共に!!!!!!






[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/11 19:11
テストである




顔に書き込まれた、紋様。
それは決まった形をもたず、まるでのた打ち回った蛇のように
黒い後を残した。


油性マジック。
まあ、其のうち落ちるだろう。




小屋から出て、なぜここに来たのか聞かれたので。
正直に暇だったと答えたのだが、家に帰って欲しいと言われた。

何でも、馬鹿口に毒針を吐いたのは、ムシ使いの一族の生き残りらしい。
それも、そのおっさんがもうすぐ死んでしまうかもしれないそうだ。

ムシ使いに操れる虫の量は限りがあり、それを超えると身体に異常を来たし。
最終的には人を止めることになる。


もうアレは後戻りできないまでのムシを、身体にぶち込んだらしい。
異常を来たす直前、
もはや壊れるカウントダウンは始まっている。


それを、止めたいそうだこのガキは。
同じムシ使いとして
人としての一生を迎えてもらうために。
人をやめる前に。



「だからね、帰って」

「やだ」

「・・・・帰って」

「あー、はいはい」

「帰る気まったくないね、アンリ」

「暇だからな」

カロリアを気にしないで
歩き出す。

そろそろ、金巻きが帰ってくるだろうし、
適当に見物してくか。


金巻きとおっさんの前に出てきたカロリアの後ろのほうで
足をぶらつかせながら、
三人の様子を見ている。

馬鹿口の毒の件がカロリアの仕業だと分ると。
カロリアにムシ使いの子供を産せるという話になった。

懸命に説得しようとしているが、
男は女の命令に逆らえないらしく、無理やり連れてこうとする。
それを横目で見てるのだが、

「・・・ちょっとまちなさい、今更ですが誰ですか、この者は」

「ただの見学者だ」

「・・・・ドルハン、片付けときなさい」

「わかりました」


のっそりと歩む寄る男。
出された手を切断するように、歪な剣を振るい、そのまま首を薙ぐ。
決められた道を歩くように、最短での殺しができるはずだった。

しかし、腕も首も健在。
鋼鉄を叩く音と共に腕が痺れる。

「チッ!硬てーな、おい」
まだ、カテゴリー的には人間らしいが、ムシの侵食が激しく。
外皮は硬質かして切り裂けない。


もとからムシ使いとは相性が悪い。
人に分けられるが、こいつらはムシを身体に入れることで
少しだけ人間の枠組みからずれる。

ムシを自分の身体として扱い、ムシに身体を食われないようにする。
それが守れているうちはいい、

しかし守れない奴は、人を辞めてしまい。
目の前のおっさんのように半分以上蟲に侵食される。


「まあいいや、喧嘩売るなら買ってやるぜ」

「怨みはないが、自分の不幸を嘆いてくれ」
完全に異形に変わることで、臨戦態勢に移る。


こちらもザリチェとタルウィを両手に持ち。
本来の剣の形を逸脱した形、ソードブレーカーにも見えるそれを
握り、前傾姿勢のまま駆け出した。









殺戮衝動に任せた戦い方。
獣が二本足で暴れているというのが
この動きの簡単な説明だろう。

切り裂こうとするが。
外皮に拒まれ出来ない。
なら、もっとやわらかい所を刺そう。
首、腹、目、間接。
急所を狙え。
できない?
なら、殺せるまで動け。
動いて刺さるまでやり続けろ。


最初っから全力な動きで、ペース配分を考えずに動いてきたツケか。
狂った犬のように、舌を出し息を吐き続ける。
しかも、限界に近づけば近づくほど、
かえって早く動こうとするオマケつきで。

「ひゃは!!」

眼前に飛び込み、腹にぶち込んだのだがやはり外皮が硬く、剣が途中で止まる。

戦っているうちに毒針が体中に刺さり。
手足が痺れ、力がなくなる。

通常なら体の異常に恐怖するはずだが、
それさえ、無視して動き続ける。
最後には口でのど元を食いちぎりそうな目をしながら。


ドテッ!

力尽き、地面に顔から倒れこむ。
それを、見ている勝者。


「惜しかったな、もう少しだったのに」

「・・・・・」

「いや、本当に惜しかった、最初にコケなかったら俺の方がやばかった」

「・・うるせーー」



前傾姿勢取りすぎて、初っ端からコケました。
その隙に毒針出されて、
動きが鈍った。
運動不足がここに出てくるとは、



「アンリ、大丈夫?」

慰めるな、悲しい。


「それに何時まで時間を割いてるのですか、早くその娘を犯しなさい」

「・・・わかりました」

ドルハンがカロリアに手を出そうとすると。


「がはははは!!ランス様参上!!」

馬鹿口が出てきました。

意識が途絶える前の様子が、あれだと夢見が悪そうだった。


















[4647] テスト
Name: kuro◆affc74bf ID:fbbd0cb3
Date: 2008/11/16 11:05
テストってことで




暗い闇。星の輝きしか光がないこの場所で。
腰が痛くなりながら起きあがる。

エミヤシロウの殻を着ているが。
英霊に毒物などは効かない、
それが最弱を自任する俺でもわかっている。

だが、死なないだけで、体の麻痺位残ると思っていたが。
結構大丈夫そうだ。
対毒でも持ってるのだろうか?

口を拭う。

空を見上げると、
黒い闇に星が輝いていた。


体が硬直しまくってるので、解しておこう。





〈ランス〉

がはははは!!

俺様に毒針を吐いた奴を倒し、
俺様の顔に落書きをして男は毒で苦しんでいる。

笑いが止まらない。
しかも、初物は刺青の横で何かしているが。
怪我はしてない。

目の前のエミちゃんは、腰が抜けて動けないらしく。
やりたい放題。


大満足で、アイスフレームに帰ってきた、
カロリアといった、女の子をお持ち帰りして、
俺様の新しい部下ということで、ウルザちゃんにも認めさせた。


そして、夜。
俺様の時間となった。

お待ち兼ねの、夜這い。
ウキウキ気分で、カロリアの部屋の前に来る。

ぐふふ。
ちゅーはアレのせいで逃がしたが。
あの娘は俺様にメロメロ、
あふれ出すカッコ良さにドキドキだ。

俺様が来ることを、首を長くして待ってるに違いない。

笑い声が廊下に広がった。
何百人が寒気を訴えた。




ノックもなく開かれた部屋の中は誰もいない、
誰かが使った様子もない。

逃げ出したことに気がつき。
夜道を爆走する。

追いつき、ここに居ろ。
もし、イジメられたら俺様が許さんと言って説得しているのだが。

頑なに話を聞かない。
理由を聞いたら、なんでも里に置いてきた奴が居るそうだ。
餌をあげないと死ぬらしい。

アンリ。
女かどうか聞いたが違ったので。
興味がなくなった、
犬かなんかだろうと連れて来ていいと認めて。


部屋に帰らせた。
襲っても良かったのだが、
下手をして逃げられたり、迎えに行ったまま帰って来ないなんて事もありえる。

ささっと、部屋に向かう背中を見送りながら
襲いに行くか迷っている。

結局。
悩んでいるうちに見えなくなった。

うむ。
今日はシィルで抜かずの三発だ。


朝になって、そのアンリを連れてくるように、
何人かに命令
昼ごろにデカイ袋を背負って帰ってきた。
それを窓越しから見やる

デカイな大型犬か?







〈アンリマユ〉


ドナドナ


家に帰って寝ていたが、定期的に揺れる暗闇の中で目が覚めた、

狭すぎて身動きが取れず
数分暴れて、諦め気分になったころ。


足元に光が見え、
行き成りの浮遊感。
受身も取れない状態で頭をしこたま打ち付けた。

目からスター。




「てーな、なんだよ」

頭を擦りながら周りを見渡すと、何十人の目が周りを取り巻く。

何人かが嫌悪の視線を送る中、立ち上がり身体を解していると、
見知った顔がこちらに駆けてきた。


「アンリ、大丈夫だった?」

「よお、ここどこだ?さっきから人を客寄せパンダみたいに見やがって」

「えーと、ここは」


「アイスフレーム、この国の魔法使いの圧制からの解放を目指す集団じゃ」

人で出来た道を歩いてきたハゲ。
どうやらお偉いさんのようで、騒いでいた連中も静まる。


「ふーん、でなんで俺を荷物感覚で誘拐しやがったんだハゲ」

「・・別にわしが命令したわけじゃない、あの馬鹿が勝手にしたことじゃ」

本人に聞いたほうが早いと、そいつの居場所を聞いたがその前に
会わせる奴が居るらしい。


隣のカロリア共々、付いて来いといって、歩き出す。

従う気はなかったのだが、腰布を引っ張って行こうとする
しょうがなく付いて行く最中、カロリアは視線から逃げている感じがする。


部屋に案内されドアを開けると、車椅子座る女が居た。
ハゲが横に着き、こちらに来いと言ってくる。

横に居るカロリアに、話しかけているので、俺は部屋の中を見渡す。
何か面白いもんでもないかと、探しているのだが。

せいぜい変な置物しかない。



「歓迎します、お二人とも今からこのアイスフレームの仲間です」

勝手に話を進めていたらしく、本人が知らない間に
このアジトの仲間に入れられていた。

本人の承認がない契約は違法です。




[4647] テスト
Name: kuro◆5524a3f7 ID:f696a119
Date: 2008/11/23 16:21
テストと書いて試しと書く、その心はテストですから





ヒモとニート

これまでの生活を思い出すとそれにしか見えない。

少女に養ってもらう俺。

結構らくで楽しかった。





〈アンリマユ〉

「こんな奴はいらん!!そっちが引き取れ!」

「お前が連れてきたなら、お前で面倒を見ろ!」

「カロリアは要るが、男はいらん!!!」

「知るかそんなの!!」


馬鹿口と女顔の奴が俺をお互いに押し付け合ってる。
どうでもいいが本人の前で口論するなよ。



勝手に入団させられた。
俺はそんなことする気はないと言ったのだがここが隠れアジトらしく
出て行くなら殺す。
役に立たないなら殺す
この場所から出ることは否定され、
働かざるもの食うべからず。

ものすっごい嫌な顔をしているのだが、
おっさんは無視。
ボスらしい女は苦笑い。

逃がす気も養ってくれる気もない。
拉致っといて勝手な言い分だな。

しゃーねー皆殺すか。
等考えていたのだが。

今更、あの場所に帰っても暇でしょうがないし
頑張って狩りに勤しむのもメンドイ。

それなら、適当に働いて養ってもらおう。


勝手に決めといてと言って、踵を返した。

後ろの方で。
「あの、アンリ、ゴハン作るのうまいし狩りも出来るから、ちゃんと働いてくれるなら
役に立つと思うよ?」

「そうなのですか?カロリアさん」

「そんな風にはまったく見えんが」

「うん、ちょっと薄味で美味しいのを作ってくれたし、狩はカロくらいの獲物を引きずってたの見たことある」

「それは、キムチさんが喜びそうだけど、
今は人手不足なので戦闘員もやってもらうことになると思いますよ」


「でもアンリ、家に何日も出て来なかったり
ゴハンは届けないと三日位ゴハン食べないし、
引きこもってて、レベルは下がってると思う」

隠す気がない陰口を聞きながら部屋に帰った。


回想は兎も角。

二人が俺を押し付けようと争っている。
馬鹿口の所にカロリアと共に配属されることになったのだが、
男は嫌だと大暴れ。
押し付ける側は、俺のやる気がない様子と馬鹿口に反発を持ってるのか拒否。
結果これ。

「俺の為に争わないでー」(棒読み)

そう言ってこの場を茶化したいが、二人して本気で切りかかってきそうだ。

「そもそも、俺様はこいつがいることが気に入らない、
俺様の顔に落書きしやがったんだぞ!」

「気にすんなよ、ちょっとヒゲと目玉書いただけだろ?」

「このカッコいい顔に落書きすることが重大なのだ!」

「ドンマイ、ドンマイ」

「うがーーー!!やっぱり殺す!カロリアが連れてきてと頼んだから
我慢してやってるのに!」

「へいへい、どっちも引き取りてないなら、家事手伝いでもしてるから
勝手にしとけよ」

「貴様!!キムチさんに手を出す気だな!」

「いや誰だよ?」


俺を追い出したり、殺すとカロリアも出て行くと考えているのか、
剣に手を掛けて抜くのを一生懸命我慢している。

別にそんなこともないだろうが。
カロリアが連れてきてと頼んだ時に、
面倒は俺が見てやるから此処に居ろと約束していて。

それを持ち出され。
こんな奴捨てて来い。
飼っていいっていった。

知るかそんなの。
お父さん嘘ついたんだね。

い、いやそうじゃなくて。
そんなお父さん嫌い!!

なにーー!!


こんな親子喧嘩の劣化版が展開して。
手は出せないらしい。

まあ、殆ど脚色だが、それっぽかったしな。


「ぐ、ぐぬぬぬ・・」

歯を食いしばり、我慢している。
体中から気迫が垂れ流しなんだが、

後ちょっとで血管が切れるところで、それが止んだ。

「うむ、そうだ。俺様のグリーン隊は精鋭部隊だからな、入る為には資格がいる
よって貴様には試験をしてもらうぞ」

取って付けた感じの話を進め。


「貴様はこれから俺様と戦ってもらう!」

その宣言は白々しくて、ドサクサに紛れて殺す気満々だった。

せめて、独り言は聞こえないように言えよ。





[4647] テスト
Name: kuro◆77050d7b ID:f696a119
Date: 2008/11/28 22:09
テストなんよ






二つの剣。
それは一度も打ち合わずに終わった運命。

渡された錆び付いた剣。
人で作られたリング。

始め!!
その掛け声で始まる戦い。


ランスと言った緑の男。

「始めから、ランスアタック!!!」

全身から吹き出る気迫が周りの大気を巻き込む。
振り下ろされる剣
剣風を発する腕の奥に入り込み。
振り上げるように胸の鎧に叩き込んだ。

別に速い訳でもない。
ただ決まった道を歩くように近づき斬っただけ。
武術をやったような精錬さが漂う動きでもない。

ハッキリ言って町のチンピラの方が
もう少しマシな動きをするだろう。

現に斬った剣はすっぽ抜けて、周りに居たおっさんの足にブッ刺さっていた。



あーーー、めんごめんご。




〈アンリマユ〉


はあ?なんで?

剣が抜けた手を見つめながら、首を傾げる。

力が入らない
剣自体も重いと感じていたが、
手から抜けてしまう重さでもない。

馬鹿口も
両断する気で斬ったし
転げまわっていられる痛さでは済まない筈なんだが。

何で生きてんの?

見た感じ人間のはず。

前のムシ使いのように
毒で力が入らないわけでもなし。

殺せるはずが殺せない
身体が重くてたまらない。



英霊は不変にして永遠。
基本的に成長も鈍りもない。


「貴様~~~よくもやりやがったな!!」

なんで?




雄叫びを上げて襲ってくるので逃げる。

「ちょっと待て!剣が飛んでったんだけど!」

「知るか~~!!」

「てゆうか、これ俺の勝ちじゃねえのかよ!」

「違う!俺様以外の勝ちなどない!!」


「お~か~さ~れ~る~」(適当)

「誰がそんな気色悪い事などするか!!」



周りを巻き込むように走り回るので
見物気分から一転、殺伐空間に早変わり。
蜂の巣突いた大騒ぎだ。

「死ね~!!」

後ろから大声と共に剣が迫り。
それを振り向きざま歪んだ短剣で防ぐのだが。
相手の馬鹿力に押し切られ、肩口に刃が食い込み血が滲んでしまう。


剣を押し上げることさえ出来ず。
瞬間的に力を抜くことで相手のバランスを崩し
二三歩、間合いを取る。


「痛ってな~待てつってんだろ」

「知るか!俺様に恥を欠かせおって」


短剣を持ちながら、アメリカンにため息。
「気にすんなって、死んでねーんだし儲けもんだろ?」

ダンダンと地面を踏みまくる馬鹿口。
「俺様を馬鹿にする気だな、絶対殺してやる!!」


血が上がっていて試験だという事は
完璧に明後日の方向だ。

ま、身体の不調の解明に付き合ってもらうには丁度良いか。








〈ランス〉

くそ!
何なんだこいつは。

目の前の刺青に彩られ基本黒の身体に、巻かれた赤い布。
風呂上りにしか見えないそいつは。

俺様の邪魔をする奴。
始めの合図で腕の二三本切る気だった
しかし、相手に当たるはず剣は外れ。

気づいた時には胸を強打されていた。

起き上がり、今度は本気で戦う。

こいつは弱い。
力がない、速さがない、技術さえない。
いつもなら、
指先一つでも殺せる相手。

しかし、さっきから防戦一方。

まるで殺されるのが当たり前のように
俺様の身体を傷つける。

英雄である俺様じゃなかったら、一撃で死んでいただろう。

このままではジリ貧。
万が一、いや一億分の一。
の確立で負けるなんて事があるかもしれない、

こいつの好き勝手にするわけには・・・・
お?おおお!!

よしこれで行こう。
これが決まれば、隙を突いて一気に逆転できる。

正面の刺青。
馬鹿の一つ覚えで突っ込んでくる。
腹を両断するために横に構えて。

動きが単調なのでやられる寸前で防御が追いつく。
次の動きが分るからこそこの必殺が冴えるのだ。
この天才のランス様が
たった十秒で考えたこの技。
その名も。


「ラ~~ンス、リンボ~~~~!!!」

黒いバナナみたいな短剣は鼻先を通りすぎる、
避けた時の、あのポカーーンとしたアホ面は笑える。

よし!一気にあの面に剣を叩きつけて、つけて?

ぬ!くそ!剣が地面に刺さったちょっとたんまだ!!

あせって抜こうとしてる間に、もう片方の短剣で刺そうとしてくる。
眼前に迫る剣を見て、
まだ手を出してない女の子のために死ねるかと足掻くが
もう短剣は喉を裂く手前だった。

俺様の死に際は、男に殺されるのか?

ふざけるな!ランス様の死に様は腹上死ときまっている。

瞬間的に動いた足に
ものすごい気持ち悪い感触が伝わった。






だああ~~!!変なもん蹴った!!!

刺青は股間を押さえて、
声のない叫びを上げている。

俺様もあまりの気持ち悪さに、転げ回りたいが。
不快な気分にしてくれたこいつに、引導を渡すため
殺さなければならない。

決闘の結果死んだのだから、カロリアも帰るまい。
ぐふふ、悲しみにくれるカロリアを慰めてやろう。





「・・偽り・写し示す・・万象・・・・・」




楽しい妄想をしていたら、激痛の後、視界が黒くなっていた。



え?バットエンド?




[4647] テスト
Name: kuro◆a667f2e5 ID:f696a119
Date: 2009/05/16 18:24
テストだって言ってんでしょ!(ツンデレ)




痛み
それは千差万別だが
男が感じる痛みの中で

あれ以上のものはあるだろうか?

あの腰の辺りがキューとする感覚
思い出したくもない

だからあの時に
馬鹿口のにやけた顔がムカついて
宝具持ち出したのは間違いなんかじゃない。




〈アンリマユ〉


だ~~!くそ!!

まだ何か違和感があるぞ
潰れてなかったから良かったものの、

両者が股間を押さえて付いた決着は
その異様な見た目とあいまって、何とも言えない感じになった。

引き分けになったことで
馬鹿口は不満そうだったが勝てなかったのは事実。
永遠の補欠として採用になった。

まあ、そこに行き着くには、
本気の殺し合いが何回かあったのだが
それは気にしない方向で。


偶にしか会わないが。
幽霊部員に近いし

さて
何時ものように散歩しながら、食い物を集りに行こう。

あいつに養って貰うのは癪だが。
楽だしな。



孤児院。
家族が死別したり、捨てられた子供たちが育てられる場所。
家の周りを馬鹿みたいに飛び回るガキ共。

そこから少し離れた場所で日向ぼっこしながら、
飯の報せを待つ、

自然にガキ共に紛れ込んでテーブルに座ることが
ここで集るコツだ。

下手にやりすぎると手伝わされるので、
週に三回が限度だが、

他の場所で集るよりマシな飯と、待遇が期待できる。



大口を開けながらの欠伸。
だるいな~。
前に英霊は永遠に不変な存在だと言ったが、
ここではそうでもないらしい。
俺も此処に来て決まった。

レベル。
才能限界。
技術の上限。

生まれながらにそれらは決まっていて、
それから逃れることはできない。

100までの奴や、
30までの奴。

世界がそれを決める。

誰かが決めたルール。
玩具のように、プレイヤーが世界で遊ぶために遣り易いように。

整理され最適化された、作られた世界。

言うなればゲーム。
うん、よくやったなポ○モン。
リザー○ンを100にして、リーグを制覇したり、バッチ集めや資金集めに明け暮れたんだよな、さすがにパズルばかりだと飽きたし。

世界の意思や神様の力も随分と気安くなったもんだ。


まあ、何でこんなことを話したかというと、
世界は不公平だということだ、
レベル1は無いだろう、才能限界20もなんだが
こんなのだと上げる気がしない。
前回は魔力で誤魔化していたらしいが、
毒や投影で使い切り、今は
レベルにあった魔力の精製量で弱体化しきっている。

英霊は普遍。
しかし、魔力を溜め込むことで、タフになったり
エンスト起こさなくなったりと。
自身を強化する手段が多種多様にあって。
不利を感じさせるはずはないのだが。

魔力が少なすぎて何も出来ません。
しょうがなく
ゴロリと横を向いたら、目に包帯したガキが居たので、
両手を挙げて嚇した。

ビクッ
全速力で逃げていく姿を笑っていたら殴られた。

韓国風漬物。
キムチ
名字忘れたが、ここの保母さんぽい事をしている奴だ。

「貴方ねえ、子供を嚇してなにしているのよ?」

「いや、目の前に居たから」

「はあ~、いいから食器を出すのと、食後の食器洗いを手伝ってね?」

「え~~、やだ」

「はいはい、分かったから早く来てね」

「ういーーっす」

立ち去る女の匂いに、特徴的なものが漂っていた。





「なんで、貴様が居るんだ!」

「お前、毎回叫んで疲れないか?」


馬鹿口登場。
お互い思い出して腰を引きながら、話すのは彼是十何回になるか。
いい加減免メンドイ。



机の端と端に離れながら、赤い鍋を挟んで食卓を始めた。
キムチ鍋。
あの紅さからマーボー位辛いと考えていたのだが、
さすがにそれは、食いもんに対して失礼だった。

不満だらけの馬鹿口だが、
俺の特権と数回の闇討ちで攻略法がまだ見えないのか、
苦虫を噛み潰した顔で我慢している。
鍋食い始めたら機嫌直るんだがな。

それはともかく
なぜか俺の横にいるカロリアに気づいたらよそっていたが、
衛宮士郎はロリコンの気があるからしょうがないのだろう。

馬鹿口は馬鹿口でこっちはこっちで美味しく食べている。




食後。
食器を洗い終わって、見た目裸エプロンから脱すると。

人に洗わせといて、呑気に食後のお茶をしてやがる、
漬物女にガンをくれることにした。

「あ、アンリ貴方もお茶飲む?」
無視された。

ドカッと椅子に座り、隣でお茶啜っている奴を睨みながら、
穏やかな、午後を過ごした。

日本茶飲みたいな、今度それらしいのがあるか聞いておこう。









[4647] テスト
Name: kuro◆a667f2e5 ID:f696a119
Date: 2008/12/12 21:23
テストは私だけのテストなんだから!(義妹?)






ある~~日~~~~
森の中~~~~

怖い着物女に~出会った~~~

目線が切れてて怖い。



昼間から、遣ることもなく散歩に勤しむ俺の前に。
馬鹿口と
地域が違うぞの着物女が話していた。

征伐のミト。
世直しと称して、その辺を放浪している。
おっさんの自慢話に
着物は喜び。
馬鹿口は不満そうだ。

最初は褒めていた馬鹿口もだんだん気を良くして
はしゃぐ着物に
面白くないような顔をしている、

「おーい、何してんの?」

「アンリさん、実はですね征伐のミトの活躍がまた新聞に・・」

長くなりそうな話は聞き流し。
新聞に目を向けると。

征伐のミトまたもや、悪徳魔法使いに天誅!!!
その煽り文句と共に見開きの紙面を埋め尽くす記事が書いてあった。

またか、の思いと共に
どこにでも、馬鹿は居るもんだと呆れてしまう。

「やはり、討伐のミトは正義の味方なのです!」

「そうだな、どこにでも居るんだなこんな偽善者・・」

ポロリと出た言葉に気づかず。


気づいたら目の前にガンくれる着物女が立っていた。

黒い瘴気を垂れ流すそれは、
どこの魔王なのかが気になる。

どうしよう、逃げられない。




俺のライフは限りなく少ない。
手加減してください。



「どう言うことです、世のため人のため動いているミトのどこが偽善なのですか」
微笑で覆わない、無表情な怒り。

横に居る馬鹿口が、
苛立ちを忘れて少しビビる殺気を受け流しながら。


その正義の味方に対して話してやることにした。

ファンだという、こいつに。
紙面上で語る。

正義の味方は、偽善しか語られないし、
善も悪もないということを。



はあー、変なのに係わっちまった。

「偽善って言っただけで、そんな怒んなよ」
てか記事に感じるもの何て、人それぞれなんだから
考えを押し付けてはいけません。

「ですから、なぜそんなことを考えるのか聞いているのです、
征伐のミトがそのような謂れを受ける必要はないはずです」

「見たまんまそうだろ?アンタもファンなんだから、極端な思考に囚われるのは
しょうがないとして、新聞に書かれる記事は煽り撒くって真実を一方的に変えるのは
当たり前、今読んでいるやつも魔法使いを嫌っている奴が書いたもんだしな」

「たしかに魔法使い側の新聞には良いことは書かれていませんが、
それを踏まえたって彼が遣っていることは称賛されるに・・」

「そう、アンタの言うように称賛されている偽善だ、悪徳魔法使いに捕らえられた二級市民を救う正義の行い。しかし、本当にそうか?
魔法使いは悪と断ぜられるべき証拠になるのか?
そう断ぜられた悪の総てを背負える高尚な行いか」

「確かに罰することで、その者の人生も家族も狂わすには十分な出来事でしょう、
しかし、そうしなければ採集され続ける人たちはどうなるのです」

「そう、結局正義を語る奴はそこに辿り着く、
私たちがしなければならないと、独善的な思考に囚われて自身の行為を肯定する」

「違います!あの方はその様な方では・・・」

「違わねーよ、本人がなに考えてるか知らねーが、
アンタが感じた正義は偽善だ。
救いようのねえ、一方的なエゴだ」

「・・では、魔法使いに市民はどうすれば良いのです、救いを求める者を見捨てろとでもいうのですか」

「いやそこは助ければ?
俺は偽善だって教えてやったに過ぎないし
この集団は魔法使いを殺すためじゃなく、二級市民を解放するためにやってんだろ?
俺はただ、あんたの言った正義の味方に対して説明してやったに過ぎない」

「・・正義の味方?」

「ああ、好きだろ正義の味方?
悪に対して正義を行う、都合のいい存在。

好意に感じようが反吐に感じようが偽善は偽善。
アンタも表面だけ見ないで、内面も見とけよ
それを真似する気なら理解しな
偽善で人は救えない
救うなんてのは唯のエゴだ」










否定したいのに返せる言葉が見つからない着物を置き去りに。
言うこと言ったので二人に背を向けて歩く。
少し早足なのは後ろからさくっと刺されるのを避けるためだ。

離れると後ろの方から

「・・・展開が急すぎて乗り遅れた・・」

そんな声が聞こえた。










〈ランス〉

面白くない。
機嫌をとって一気に押し倒そうと考えていたのだが、
俺様以外の男がモテるのは
ものすごく、気分が悪い。

ムカムカが噴出する手前で、
刺青がいつの間にか横に居た。

はしゃぐカオルの勧めで新聞を読み出すこいつに。

気に食わないが、こいつの空気の読まなさを期待した。

ふらっと現れて。
物事を煽り。
かき回し、勝手に帰る。

アジトの中を何時も散歩していて、
暇つぶしと称して。

アジトの中を荒らしに荒らしまわる。
こいつの来た場所では、
中途半端な結果はなく。

殺し合いになるか、和解か、再起不能か。

極端な結果を残すので。
いい加減ちゃんと首輪をしとけと。
爺に言われるほどだ。

男に首輪をしても気持ち悪いだけなので、放っておいたが。
この場をかき回すには、ちょうどいいだろう。


結果アレ、喧嘩になるなら俺が仲裁して高感度アップをしたが、
まさか口の達者なカオルが負け気味になるとは思わなかった。

あんな馬鹿の言うことなど気にするなと言ったが。

すいません、少し考え事をさせてくださいと背を向け歩いていく。

クソ!結局どちらも不愉快だった。
いや、刺青が来なかったほうがマシだったか。










〈カオル〉

なぜ、言い返せなかったのだろう。

ガンジー様の思いを踏みにじるあの言い草に怒りを覚えるのに、
言葉が出てこなかった。

まるで子供に言い聞かせるかのような、
真実だという彼に私の心が共感でもしたのだろうか。


有り得ないと首を振るが心に湧いた疑念に答えてくれる相手が此処にはいない。


ガンジー様、私はどうすれば?




その後。

アンリさんに会い、もう一度あの話を聞かせてくださいと言ったら。

え?
まだ、あんな事気にしてんの?

と爆笑された。



とりあえず、人体というものが、
どれだけ脆いかということを教え込んであげた。

ふふふふふ。
ほうら。腕が逆方向になるんですよ?






[4647] テストからチラ裏
Name: kuro◆32a76c29 ID:f696a119
Date: 2009/02/28 19:53
チラ裏・・・・ですか?





痛みで咽び泣く少女。
その痛々しい姿にごめんなさいという気持ちが湧き上がってくる。

ランスさんに何度も止めるように言っているが。
その言葉は届かない。

奥に進むにつれ湧き上がる、焦りと苛立ち。
アンリさんが偽善と称した私の行いは、
歩み進めるにつれ心の奥に渦巻いていく。


マジック様の声が聞こえたことで、
ガリガリと押さえ込もうとしている、気持ちが削られていく。


もう駄目かもしれない。
ランスさん達の前に両手を広げて願う気持ちは。

ガンジー様の任務と
マジック様の安全

そして、見捨ててしまった少女の鳴き声で埋め尽くされる。

涙を堪え、感情が抑えられなくなり。
爆発と共に意識を失った。







〈アンリマユ〉



骨折とは骨が折れることを言う。
脱臼とは間接が外れる事を言う。


では、両方だとなんていうんだ?
複雑か?
それとも別々の症状なのか?


右腕が持ってかれました。
俺なんかしたかよ。



包帯で腕を吊りながら、不慣れな左手でお茶を啜りながら。
何時ものように漬物もとい、キムチの愚痴を聞いている。

最初の内は文句も言わず飯やお茶や、三時のおやつをくれたんだが。
仕事もせずぶらつき、腕が使えなくなり家事手伝いも出来なくなると

日々の愚痴もとい、
家事の大変さをクドいくらい話すようになった。

ガキ共も手の掛かる時期だし。
捌け口見付ければ濁流のように流れるのは。

聖女でもない限り人間には我慢できないのだろう。



日本茶。
それが手に入ったといった甘言に騙され部屋に連れ込まれ。

かれこれ1時間ほど、聞かせれている最中だ。

聞き流すにしてもいい加減耳障りになったころ
乱暴に扉が開かれ、ドカドカと緑の甲冑が入ってきた。

「・・・おい、刺青。貴様本気でキムチさんを狙っているんじゃないのか?
此処に来るたび貴様の面を見るのだが」

「それはない」

「私もその気はないけど、即断はやめて欲しいわ」





「え!?カオルさんが?」

「そうだ、俺様の邪魔をしてきたのだ」

ティーポットから緑茶を入れながら、
腕を折った着物が今、
牢屋に居ることを聞いた。

「なんでそんな、カオルさんが私たちを裏切るなんて」

「知らん!試験場に入る前から様子がおかしかったが、
おかげでマジックちゃんと犯し損ねた」

「それが原因じゃないの?」

「そうだとしても、そこまで余計な口出しは今までなかった
実力行使されるなんて一回もない」

「そうなる前に何回も止めてはいたのね」

「ふん!俺様の邪魔をするのが悪いのだ!」


お茶がうまい。
ふーー、日本の心だな緑茶は。
茶菓子にクッキーは合わないかとも思うが、
ここに煎餅やたくわんないだろうからな。


「それでどうするの?カオルさんが抜けてランスの隊は人数が減ったんでしょ
隊に復帰できるか分らないし、補充できる人は居るの?」

「問題ない、そのために此処に来たんだしな」

「?それって・・」

「ああ、補充はこいつだ」

「ランスが女の子以外に自分の隊に入れるなんて、どうかしたの?」

「別に入れたくて入れるんじゃない。
俺様も一緒には居たくないが、これ以上キムチさんの所に置いときたくないし
腕の折れた状態、モンスターが居る場所なら勝手に自滅して俺様が止めをさせるからな
邪魔臭かったから今度こそ殺す」

「本人の前で言うことじゃないし、八つ当たりにしか見えないわよ?」


「がはははは!!首を洗っておくことだな!貴様は絶対殺す!!」

笑うランスの横で、キムチが苦笑している。


空気になった時点で普通に孤児院から出て行った。
俺に気がつくのは此処から5分後のことだ。




ベッドに入ってゴロゴロする。

丸まりながら、毛布に包まっていると。
実は夢の中にいて、永遠に寝ていていい気分にされる。

二度寝は人間が求める理想郷だな。

「アンリ早く行こう、ランス達が待ってるよ?」

その理想郷の守りが鉄壁なら良かったんだが、

「今日は仕事休む・・・」

「アンリ何時も仕事してないよ?五分過ぎてるから早く」

引っぺがされる毛布を見ながら、
理想郷は無いからこその理想郷だと知った。

どっちでもいいが、腰布引っ張るな取れるというか飛び出る。




「死ねーー!!ランスあたたっーーく!!」

「ブハッ!!」




目の前で吹き飛ぶ俺を睨み付ける馬鹿口が。
剣を収め立ち去っていく、
後ろからさっくり殺ろう。


後ろに飛んで衝撃を抑えたが、
痛いものは痛い。
背中が直なので、石で皮膚がズタズタになる。

小鹿ちっくに立ち上がりながら、
残りが微妙な魔力を回す。

そして作り出すのは今時カーボンじゃない竹の弓と矢。

矢の先が震えるが
意識を埋没させ、それすらも許容し当たることが確定された
結果を導く、矢を放・・・

「早く行こう?みんな先に行ってるんだから」


「・・・へ~~い」





[4647] チラ裏
Name: kuro◆32a76c29 ID:f876e5ed
Date: 2009/04/25 01:30
チラ裏始まるよ。




馬鹿口がハッスルしている、
他人の盛ってる姿なんて見ててもつまんねー。

我が物顔で歩く馬鹿口を先頭に、魔法使いたちが作った擬似的な
ダンジョンを進んでいく。

馬鹿口は、
女が見つかると襲う、食べる(性的)、逃げる(犯り逃げ)。
それしかやる事がないかのように5,6人。

集団の進行を止めている原因は、馬鹿笑いをしながら。
ぐふふふ、待ってろよマジックちゃんとまだ襲う奴を探している。


・・・なんて言うかサル?

盛ってるな~~赤玉出んじゃね?


そして、ハッスル!ハッスル!してる緑を。
とんがり帽子とニンジャの二人がGを見る目で見る。
止める様子もなく、ただ傍観。

逆に襲われるのが嫌なのか、もうこの状況に慣れまくってるのか。
まあ、どっちでもいいんだがな。
馬鹿口の行動に付きやってやる義理もないし、泣き叫ぶ女に興味もない。

正義感を出すほど壊れちゃいない、世間一般的に悪だと断ぜられる行為だろうと。
責め立てる奴が居なければ一時的な正義にさえなってしまうだろう。
そんな腰を振っているだけの行為だ。



アンリは背に馬鹿笑いを聞きながら。
大あくびをしながら、奥に進んだ。





前に進めば進むほど、出てくるモンスターが増えていく。
基本的に尻尾巻いて逃げる趣味はないので、
折られてスジがやばい左を無理矢理使いながら、
俺の名前と同じで大層な名前の癖にランクが底辺の歪な剣を
緑のたらこ唇に叩き込んでく。

足元の、
苦悶の表情のそれに蹴りを入れながら。

だらんと両手を下げ、ギョロギョロと次の獲物を探しだそうとする。
結果。
粗方倒し切ったらしく。

目につく範囲では殺せる存在がいない、


「ひゃっは!!なんだよ!!
俺に殺されるためにケツ振って襲ってきやがったのに
もうギブアップか?
人が着物女に折られた腕を無理矢理動かしてやってんのに、
早えんだよ!!この野郎!ちょっと痛てえんだぞ!」



痛みでハイになりながら、大笑いして吠える。


あれだな?
余りにも俺無双だったから、ビビッて逃げたんだろ。

手負いの俺を、獲物だと勘違いした雑魚どもは。
飛び掛ってきた緑だるまを赤く染めてからは、
まるで借りてきた猫のように縮こまった。

手負いの獣が危険だということは、一方的に捕食を出来るものには判らない。
首を掻っ切って、虫の息の奴だろうと過剰な攻撃を加えて殺す。
生死など気にせず刺された箇所を何度も何度も抉り出す。
死の概念など元から持っちゃいねえ俺だが。
薄笑いしていた集団から恐怖のどん底の顔に変わった瞬間。

実は中身入ってるんじゃないかと呆れたほど。
平和ボケした、馬鹿が多い。
お前らやられる為に集められてるの知らねえのか?

この場所に来たときから感じているが、
モンスターや化け物だと。

恐怖の対象として名指しされる物にしては、随分と脆弱だった。

化け物ってこう、宇宙船で卵が孵って、人間を捕食しまくったり。
シリーズ進む毎に進化したり恐怖を煽る登場したりする。
やつじゃないのか?

もうちょっと頑張らないと、B級やC級負けるんじゃないかという、
人間臭さ。

化け物具合なら“正義の味方”にも負けるんじゃね?

姿がデカかろうが、キモかろうが。
精神が化け物になっていなければ、ぬいぐるみにも劣る。

まあ、そんなアホな事を考えながら進み始めていたのだが。

さっきから妙に静かなんですけど。
戦闘中に放送が入ってから、後の方で聞こえていた馬鹿口の笑いが
聞こえないのは何でなんだ?








〈ランス〉


マジック達のグループが一番で合格した放送が入ったことで、
本来の目的であったマジックと犯れなかったランスは
悔しがりながら。
脱出ようの盆栽を折ろうとしている。

ちっ!
せっかく此処まで来たってのに、肝心なマジックちゃんと
出来ないなんて、付く前に余計なのをつまみ食いするのを止めとけば!

最後のポニーの娘と、二三人そのぐらいにしておけば。
ちょうど良い計算だったのに。


此処に来ての収穫は赤ポニーと他8人。

得も損もしていないこの状況は、
まだ間に合うと思う気さえ起きない。

「おい!撤収するぞ!近くに集まれ!」

苛立ち、荒げた声に集まる仲間から外れて
他二人が何かを探すようにキョロキョロしている。

「シィル!なにやってんだ!」

キャンと変な声を上げる彼女の横で、同じように何かを探していたカロリアが。
ランス達の所に寄ってくる。

「ランス、アンリがまだ居ないよ」

少し困った顔のカロリアとシィルが説明しようとする。

「あのランス様、アンリさんがまだ来ていないそうなので、もう少し待ってくれませんか?」

「はあ?知るか、団体行動ができない奴は置いてかれる運命なのだ、いない奴が悪い!」

「団体行動って、あんたが言えた義理じゃないでしょう」
「うるさい!メシ時にでも帰ってくる。よし!行くぞ」

「犬や猫じゃないんだから、帰ってくるわけが・・」

そんな当たり前の話を無視して。

「うむ!集まったな帰るぞ!」

最後まで言葉を聴くことなくランス達の周りを光が包み込んだ。





アンリが置いてかれた。
ランスはまったく気にしていません。
カロリア余りに自信がある態度に、え?そうなの?と納得しかけています。

ランス達はダンジョンの攻略を中断しました。



その日の夜

ランスはシィルとズッポリし終わり、賢者タイムに突入した後に。
アンリを労せず排除したことに気がつき、さすが俺様と納得した。



[4647] チラ裏
Name: kuro◆c9a3b44a ID:f876e5ed
Date: 2009/05/16 18:21
チラ裏です


殺しまくってたら、置いてかれた。

あれか?
遠足中のガキみたいに、帰るまでが遠足ですを守れない奴らなのか?

帰りのバスの中で隣に友達がいないか確認しろよ。
PTAが騒ぎ出すぞ。



しょうがねえなーと出口に向かいながら、呆れるアンリ。
普通に
迷子になった奴が言うことではない。



ゴールに向かうチームや警備の奴を歪な短剣で威して出口に向かっているが。
たいがい変態扱いで、叫ばれたりジロジロ見られたり、

沈黙したあと、ムシ使いがなぜ此処に?汚らしい!
などボソボソほざいていた奴もいたので、
ヤンキーのように睨んで短剣をチラつかせながら早くしろと威していく。

途中に現れた警備隊を殺して。
ダンジョンから出たのだが。


どうにも
帰り道が判らない。

しょうがないので、
ちょうど居た、がに股気味で歩いていた赤ポニーに。
レジスタンスの居る場所どこ?

とフランクに聞いたのだが、突然切れて燃える剣で切りかかってきた。


切れやすい若者の現状がここにも。

「死ね!死ね!!」

「ちょっ!おま!!」


駄々っ子のように、炎剣を振り回す赤ポ二―。
暴れ疲れて、息を荒くした後。

怨みの篭った目で睨み歩き難そうに歩いていく。


余りに理不尽な赤ポニーにムカついたので、
1キロ位離れた場所に移動して、

がに股赤ポニーへ
“馬鹿口に犯されて気持ち良かったか?”

という、矢文を放っておく。

赤ポニが発射方向に向けて魔法を連発していて、爆笑を誘う。
イジメがいがあって、中々面白い奴である。

笑い飽きたので、
目的のレジスタンスのアジトに帰るため、空が暗く霞む平野を
ぶらぶらと歩いていく。

2,3日でほどで帰れるだろう。
たぶん。








一週間後、イタリアという、二級市民の町で、
異常者のナースを退治しに来たランス達にあった。

数人しか憶えていなかった。

ははは・・・殺す。




「ヒャハーーー!!!!!」

「この刺青!!殺す!!!!」


町にいた間は碌なものが食えなかったので、
孤児院に直行して、適当なスープと卵焼きとパンを作り、腹にぶち込み。
一息ついた後、すぐに出て行って。

歩いていたランスに向かって、投影で作った剣を放ち、
抜き放った剣で打ち落とされたが、気にせず自前の短剣で首を落としにいく。

数度打ち合い

何するんだ!この刺青!!
うっせ~!とりあえず死ね!
お前が死ね!!!

簡単に話し
アンリ達は今のような殺し合いに突入していった。

最初の戦いでは、アンリの一方的な蹂躙戦になるはずだった戦いを。
ランスが馬鹿力と直感で切り抜ける。

そんな、戦闘だったが。
今回はある意味良い勝負。

一方が一方を攻めるのではなく、
アンリの殺害権利が働いて攻撃するヒット&ウェーに対して。
ランスが冷静に攻撃を対処し剣風を撒き散らして攻撃する。

攻撃を受けて傷だらけのアンリに
疲労困憊のランス。

アンリの特性を考えれば、こんなことはあり得ない。
しかし、ランスとの圧倒的なレベル差では、
この世界での理に逆らえないでいる。
前の世界での権利がこの世界でのレベル差に屈する。


アンリ自体魔力による強化、体のリミッターを無視して、
攻撃をしているのだが、
それこそ傷つきすぎて一般人が動けない状態で殺しに掛かっているのにも係わらず。
攻撃が届かない。

舌をだらんと垂らして狂犬のように、ギラギラとしたその目つきを見返しながら。

ランスが苦しそうに笑う。

「がっははは!どうした前みたいに攻撃せんのか、蠅が止まって見えるぞ!」

「・・・うっせーよ、つうより何で死なねーんだよお前・・」

ものすごく嫌な顔をしているのだが、まったく気にされてなさそうだ。



「俺様は英雄だからな!!お前みたいな雑魚に負けはせん!」

「いや、そんなアホな事じゃなくて、お前人間だよな?」

「当たり前だ!俺様がいくら魔人並みに強くても人間に決まってるだろう!」

「そうなんだけどよ~、何で殺害権が気かねえんだろ?」

「殺害権?なんだそれは」

「俺には人間の一方的な殺害の権利ってのがあんだよ」

「なんだ、お前マンハンター許可書を持ってたのか、どうりで最初戦ったとき
芥子粒ほどだが、苦戦したはずだ」

瞬間アンリはポカーンとするが、すぐに叫ぶ。

「いやおい!そんなもんあるのかよ!!」

「あるに決まってるだろ、お前も持ってるんだから」

うわーー
なにそれ俺の唯一の強みって、ここだと簡単に手に入るの、
モノスゲー鬱だ。

「がはは!!種も判ったしそろそろくたばれ!」

「いや、俺帰りたいんだけどやる気なくなったし」

「知らん!兎に角死ね!!」

はあーー、やるっきねーー。

馬鹿でかい声を聞きながらアンリはまた戦闘に巻き込まれた。


その後。

最初に飛ばした剣を爆発して
気絶させたランスを無視し、部屋に帰った。


最近、存在が空気化している最弱な英霊は
消滅しようかなーと
天井を見ながら思ったそうです。




[4647] チラ裏
Name: kuro◆32a76c29 ID:f876e5ed
Date: 2009/06/05 07:04
チラ裏ですたい




「ランス、アタタック!!」

デジャブーが現れた。

気迫と剣風。

砂塵を撒き散らす剣戟に、アンリは投影した中華風の鉈。
干将・莫耶で冷静に対処する。
剣から流れ込む戦闘技術を使い、獣の戦いから人へ。
力任せではなく確りとした戦闘技法で対処する。

剣を弾き、流し、攻撃の隙を突く。
感情を押し殺すその戦い方は泥臭く見栄えのいいものではないが。
だからこそ人が上り詰められる到達点のように。
その戦い方は。
鋼のように鈍く光るのだろう。



たとえ、やる気がなくてタルウィとザリチェを飛ばされ。
それでも、やる気が起きず。
相手との相性のいいアーチャーの守りの型の真似事だとしても。
鉄壁どころかドーナッツだったりしても。

まあ、見た目そう見えるんだから良いんじゃね?




ランスがアンリの攻略に目処がたったころから。
怒涛の攻撃を続けている。
目が合えば仕掛けてくるそのしつこさは、アンリのやる気をガリガリ削った。

元からアンリはランスに興味がない。
ランスが世間一般的に鬼畜だろうと。
アンリから見れば普通でしかなく。
自分の思うがままに、他者を巻き込み自分勝手に生きる。
そんな自分勝手なランスは、
アンリから見て、ごく平凡の奴にしか見えず。
殺意は持つが敵意や嫌悪を持つ気にさえならない。

平凡過ぎて、興味が湧かない。
人らしく人を食らって行く性格が、
今時、珍しい位にしか感じないのが原因かもしれない。

ランスが息を上がってるうちに、アンリは適当に身体を解す。

「いい加減止めね~?腹減ってきたしさ~~」

「刺青!貴様今まで手加減してたのか!!そんな技今まで見てなかったぞ。」

「まあそれは、どうでも良いとして、今日はコレで解散な、はい!撤収~」

「うがーー!納得できるか!!」

「はいはい、うっさいーよ~、そんな細かい事気にしやがって、
ハイパー兵器なんていっても、
実は小指くらいじゃね?お前」

「なんだと!俺様のハイパー兵器を馬鹿にするのか!貴様こそ実は爪楊枝くらいだろう!!」

「なんだと!!これは臨戦態勢になってねーからだよ!
なれば、どーんだ、どーん!!」

アンリが大げさに
股間の前で両手で輪を作り上下すると。

「はん!!自身ない奴ほどそんな言い訳をするのだ!」

ランスが、さらに大きく腕を使って上下する。

「見栄は張るんじゃねーよ!!おもしれー
どっちがでけーか勝負してやるよ!!」

「ほざけ!!後で泣きを見るのは貴様だ!!」


その数分後。
お互いに野郎同士で見せ合う気がないので、通りかかった。
魔想志津香に比べて貰おうと近づいたら、炎の矢がダース単位で打ち込まれた。

結果、審判の職務放棄でドロー。




男は膨張率なんだよ!!
とはアンリの言葉。






まあ、そんなアホなことは兎も角。

前日に
イタリアでランス達と合流してから、

アンリは無事。
隠れ里に帰ってきた、
しかし
どうにも前には居なかった、
軍服らしき物を着た集団が屯って居るのが見えた。

その集団を無視して歩き
ウルザに報告したランス達は。

陰湿な顔で屯している集団をまったく気にしていない。
そんな、日常に入る異物。

その数日後。
恒例の作戦会議に気まぐれで参加したアンリは
いつもの車椅子の女とじーさんだけではなく、
ヒゲ面のおっさんが、話している場面に出くわした。

陰気な顔を少し向け、見知らぬ者がいるのだがという質問に
ウルザがランスさんの部下ですと答えている。

暗い表情のウルザとは違い、ヒゲ面は仰々しく。
祖国の解放 大作戦などという、中二臭のする作戦を大事そうに喋っていた。

終始話しの内容に不服の表情を崩さなかったウルザだったが、

ランスとヒゲ面(ネルソン・サーバー)は気にせず話を進め。

ウルザは止めることもできず、この作戦は実行される事に決定する。









〈ウルザ〉


ランス達が去り、静まり返る部屋。

・ ・・どうして、こんなことになったのだろう。


私たちが目指した、ゼスの二級市民開放。
亡き両親と兄。
皆と目指した理想の世界は、現実という重さに潰される結果となった。
自分の不甲斐なさが痛い。
家族は殺され、総てを失った。
そんな私に、ゼスの皆を救うなどという。
夢を語る資格があるのだろうか

悲しみが溢れ、涙が滲む私に、ダニエルは優しく手を置いてくれる。

ダニエルが出て行くことで、塞き止める物がなくなり、
情けなく涙を零してしまう私の前に。

椅子にだらしなく座る影が見える。

それはまるで、泣き出しそうな私を珍しい動物のように
キョトンとした瞳で見つめていて。

その緊張感のない瞳が。
まるで、自分の葛藤など塵に等しい出来事と突き飛ばされるようで。
流れ出した涙を止めることができなかった。


恥も外聞もなく泣いた後、顔を上げると。
影の正体。
アンリさんは暢気に机に足を上げながら、本を読んでる。

泣きはらした顔で、なぜ、まだ居るのですかと聞くと。
いや、あんたが面白い顔してたから暇つぶしにと。
世間話のように喋りだす。

「・・・」

「まあ、私は不幸です。助けてくださいって
泣き言が垂れ流しだったから、途中で本読んでたけどな」

「・・・違います私はそんなこと」

「あっそ、じゃあ俺帰っから」

「ま、待ってください」

読み終えた、全国美味いもの選手権全100店前編を戸棚に返して。
二三冊新に持っていこうとしている、アンリを呼び止める。

「何だよ、めんどくせーから図書カードは書かねーぞ?」

「そうじゃありません」

「じゃあ、なに?アンタの悲劇ごっこの邪魔でもしたか?
気にすんなよ、ギャラリーが居た方が盛り上がって楽しかっただろ?」

「貴方は私が悲劇に酔ってるって言いたいんですか・・・」

「そうじゃねーの?一生懸命。私は不幸です!助けてください!!って
馬鹿みたいに叫んでたろ?
良かったな。爺は慰めてくれたし、もしかしたら他の奴も慰めてくれるかもよ?」

「・・・違います・・・」

「帰ってやっから、楽しい楽しいヒロイン役を続けていいぜ」

「・・・違い・・」

「好きなんだろ?絶望して誰かに助けてもらうのが」

「違います!!私は本当にゼスの未来のことを!!」

「そういう設定が好きなのか?随分とまあ、いい趣味してんだな
今の状況だと最高の条件なわけだ?」






言葉の濁流。
心の奥底からの叫び。

それを目の前の相手にぶつける。

溜め込んだ。
自分への苛立ちと、絶望感。

何も出来ない、出来ないことを正当化してしまう自分自身。
その総ての気持ちが。
膨らみ過ぎた風船のように、針で刺されて割れた。

「はあ、はあ、はあ・・・」

「くそ!!馬鹿声出しやがって、耳が逝かれる・・」

耳に指を突っ込んで、調子を確かめているアンリ。


「もう、話しすんだか?俺はアンタの愚痴を聞いてやるほど、
やる気ねーんだけど?」

「・・・」

アンリはウンザリしたように、部屋から出て行った。

その後、ウルザの大声で爺が超スピードで掛けて来るのを無視して。




[4647] チラ裏
Name: kuro◆32a76c29 ID:f876e5ed
Date: 2009/06/10 19:13
チラ裏の方から来ました。



爺が鉄球を持って襲い掛かってきた。

鉄球が、バゼットの情け容赦ない拳の嵐や宝具を脳内チラつかせて、
威してくる人間凶器の影と共に爺が迫ってくる。

爺の無駄に早いダッシュ!
そのうち剣が生えて来るんじゃないかと思ってしまうほどの、鉄球の軍。
アンリはバゼットの幻影が消えるまで、全力で逃走するしかなかった。


すまん!!寝ている内に、胸もみ捲くってたのは謝るから!!
ちょっ!掠った!!
タイムだ!タイム!!








爺に蜂の巣にされるとこだった。

訳が分からんが
足くらいの木をへし折る攻撃は止めてくれ。
普通に死ぬ。

前の世界みたいに、無限増殖しねえーんだぞ。


まあ、そんな些細なことはともかく。

始めの作戦。

琥珀の城を目指して、ランス達はテテの沼地という、
湿地帯を進んでいく。

その道中には馬鹿口がもこもこピンクをけり落として、ずぶ濡れにしたり。
琥珀の城に架ける橋を下ろすために、
かなみという
へっぽこニンジャを向こう岸の所まで飛べと命令して。
自分の限界に挑戦させたりと。
碌なことをしなかったが。

まあ、何だかんだで無事、目的の場所にたどり着き。
琥珀の城に侵入していく。

今回の作戦の内容は、マナバッテリーの場所を詳細に聞き出すこと。
ゼスの上層部で重大な役割にいる、
ラドンは。

馬鹿口が以前、奴隷として飼われていた経緯もあり。
ランスは楽しそうに進んでいる。
まあ、楽しそうなのは他の原因だろうが。

警備の物を切り捨て。
進んでいくと、部屋の奥に機械が備えられていて。
通信機らしく定時連絡が聞こえてきた。
応援を呼ばれる危険性を考え、ランスの手により叩き壊される。

道を進み。
その後、相手側の通信機破壊による慌てようを聞き。
馬鹿口が喜んでいたのもつかの間。

探しても探しても。
ラドンのらの字も見つからない、
さらに、悪いことに城内に流れる、放送から。
雷の将。カバッハーンの到着情報も流れ。
ますます、事態が最悪になっていく。

そんな、慌てようを横目に見ながら、
アンリがいい加減飽きてきた頃。

突然の尿意を感じて、
カロリアに小便してくると言い渡して。
トイレ向う。

カロリアのいってらっしゃいに
適当に軽く手で答えながら歩きだす。









う~~~トイレ、トイレ。

今俺はトイレに向かって歩いている。
ごく普通の反英霊、
違う所は、
最弱なとこか?

名前はアンリマユ、

そんな訳で城内のトイレに向かっているんだが。


ふと気がつくと、目の前から巨大な魔力の爺がやってくる。

「お主、ここに入り込んだ賊か?」

「ああ、違う違う」

「うむ、そうか・・・」

「おう、それよか爺さんトイレどこ?結構探してて見つからねえんだけど?」

「確か、もう少し進んで右に曲がった所じゃ」

「おう、ありがとよ」

「うむ、ではな」


すっきりして、
・ ・・いや、別に変なことはなかったぞ、
アー!!な展開はない。

暢気に
前の部屋に帰ってくると、そこには大勢の警備隊が取り囲んでいる。
その集団にさりげなく、入り込みランス達の苦戦ぶりを見ていたんだが。

気づかれ、取り押さえられた。
そして、ランス達の前に連れ出されたのだが、
ランス達はさっき会った爺の攻撃で行動不能に追いやられ、
まともに反応できるのは、ランスと他に数名。

「ん?お主さっきの」
爺さんが、今気づいたと顔を向けるので

「おう、さっきぶり」
こっちも気軽に応える。

「何じゃ、やはり仲間だったのか、此処の主人に変な趣味があるのかと思えば」

「アンリ!!」

「ちっ!足で惑いが」

殆どの者が感電して、行動不能に追いやられ。
捕らえられた、アンリに逃げる方法はない、

「ふむ、これは勝負有りか?そちらの譲ちゃんを帰してくれんかの」

雷の将軍は
人質が両方にいることから、ランス達が降参するかと思っているのか。
腕を降ろして、ランスの様子を見る。
しかしランスはアンリに目線も向けずに

「そいつに人質の価値はない!!」

「一秒くらい考えろよ」

「ほう、交渉決裂か」

「がはははっ!!そいつなど好きにしろ、さらばだ!!」

お帰り盆栽の枝を折りランス達は逃げていった。








あまりに
簡単に切り捨てられたので残された警備隊とカバッハーンは
沈黙するしかなかった。

そして、さすがにかわいそうになったのか、取り押さえている、
魔法使いもアンリから手を離し。
アンリは前に出た。
それを見て、カバッハーンがこちらに寄ってきた。
「お主の仲間は逃げたようだぞ?」

「そうみたいだな、いい加減なれたけど」
特に気にしてないと返したのに、
返って強気に振舞っているようで、空気がしんみりした。

「そうか?まあ、帰してやるわけにはいかんし、大人しくしとれよ」

「へいへい」



そうして、アンリの初めての祖国解放大作戦は
閉まらない状態で
幕を閉じるのだった。


三回目にもなると、いい加減諦めというか飽きる。
いや、マジで気にしてないから、可哀想な目で見んな。


そして、ゼスの警備隊に最低の奴らと認識されてしまった。
ランス他何名かは。
今、ランスを絶賛断罪中だ。

「ランス!!アンタいい加減にしなさいよ!!
幾ら、気に入らないからって、コレで何度目よ!!」

「そうですよ!幾らなんでのこれは」

「がはははっ!!問題ない!これで万事okだ」

比較的、軽症なモノたちがランスが詰め寄っているが
上機嫌のランスには意味がない。
気に入らなかったから排除した。
それでしかない。

気分よく帰ろうとしている、ランスの前に
カロリアが悲しそうな顔でランスのことを見上げているが。

ぐっと顔を引き攣らせるランスはカロリアが何かを言う前に
さっさと部屋に帰っていく。

ランスはしまった!カロリアのこと忘れてたと考えたが。
それでもランスは悪いこととは考えていない。
それというのも、
ランスはアンリがウルザを泣かしたのを
ダニエルから聞いていた。

ウルザが泣き、暴れる。
そんなのはランスがウルザに会ってから一度もない出来事。

自分の女と認識したウルザを泣かした、
アンリを痛い目に合わしてやると、
最初から、琥珀の城に置いていくように計画を立て。

大成功に終わった結果なのに、思わぬ結果が現れ。
ランスは苛立ちながら、部屋に帰るしかない。

あいつがいると、
俺様のまだ見ぬ女の子たちが奪われそうでイヤだ。






そして、ランスの思惑で置いてかれたアンリは
今、絶賛拷問中だ。

警備の者とカバッハーンはやる気がないが、
娘を連れ去られた、ラドンとしては
そんなことは関係ない。

飼っている、拷問のエキスパートによる、三時間の拷問。

城内は静寂の中に包まれる。






そして、アンリの絶叫が響くはずの地下では。
狂わしいいほどの、笑いと恐怖が充満していた。









[4647] チラ裏
Name: kuro◆32a76c29 ID:f876e5ed
Date: 2009/06/20 10:42
チラ裏なんで





狂気。

狂った感情、流れ出す憎悪。
それは、誰の中にもある、当たり前の感情。

今、琥珀の城の地下、拷問室ではそれが溢れかえっている。
ドロドロとしたヘドロのように、部屋に流し込まれた狂気。

その中で、アンリは楽しそうに笑っている。

世界には悪も正義もない。
正しい行動がすべて報われると。
そんな事を信じているのは子供か頭が終わっている奴だ。
そして、この部屋の空気を吸って、
まだ、そんな絵空事を吐けるのなら。

精神を狂わした狂人しかいないだろう。



アンリの拷問は、最初こそ順調だった。

鎖で腕を縛りつけ、ムチを叩きつけながら、
拷問を続ける皮の服を着た男たちは。

心底楽しそうな顔をして、轡は嵌めるな最高な音楽が聞こえなくなると
楽しそうに語っていた。

何度も何度も鞭で打つ。

ムチは拷問の世界では、
殺傷力の高い武器として広まっている。
よく言われる鞭打ち百回は
その途中で受けているモノが死ぬ。
鞭で受けた痛みに身体が耐え切れないのだ。
人の体の中で、その表面を覆っている皮膚に受ける痛みは
たとえ、数千の兵と戦える物でさえ、痛みにより息絶える。
しかも現代のように、安全を計算された物ではなく
手加減などと、考えていない殺傷力の備わった鞭。


大の男だろう、ものの数発で少女のようにわめき出す、
その鞭がアンリの体に赤黒い線を何度も入れている。

最初は、喚くアンリに笑いを絶えなかった、奴らだったが。
アンリが途中から、笑い出してから。


総てが狂気の渦に飲み込まれた。
笑い出したアンリに、気でも狂ったかと目を向けるが

黒い獣がこちらを見ているだけで、
さほど変わっていない。

黙らすために殴るのだが、それさえ獣の笑いを止めることは出来なかった。
拷問をしている、二人が顔を引きつらせて
その嘲笑を止めるように叫ぶが
アンリのそこから滲み出る、狂気に押しつぶされる。

絶対的な優位に立っている者たちが怯んだために、
その場を支配していたモノは。

狂気を司った
この世すべての悪。

そのアンリマユの狂気の器となった。


この世の最悪を総て煮詰め、際限なく湧き出る
悪意の器。

衛宮士郎の殻が砕かれると共に
滲み出る黒。


殺意ともいえない
憎悪ともいえない
狂気とさえいえない

泥。


アンリの嘲笑。

エミヤシロウの殻。
そこから、垂れ流されるモノは血ではない。

黒く染まる部屋のなか、
アンリマユは話すことも出来ず、ブルブルと震えるしかないものたちに。
優しく語りかけた。


どうした?
そんなものか?
絶望だろう?

爪を剥ぎ、指を落とし、足を砕く。
目玉を繰り抜き、首を裂く。
それぐらいするかと、思っていたんだが。

名を剥奪して、世界の悪と祭り上げた奴らと比べて。
随分と生温い。


お前たちはプロなんだろ?

平凡な村人が考え付いた。
純粋な悪意くらい
簡単に超えて見せろ。

アンリマユから発せられる
嘲笑以外の圧力。



それを、受けた二人は
泡を吹きながら、その場で倒れこんだ。








いってえーなー

笑いすぎて、喉がからからになった、アンリが
暢気に倒れたものたちに目線を向ける。

ビクンビクンしている
気持ち悪い、
アンリはどうにか鎖が切れないか試しているが。

どうにも、うまくいかない。
魔力を体の再生に使いきり、
鎖に魔力を流して、壊すことも出来ず。
吊るされた状態で
暢気にブラブラしている。

倒れた二人は、起き上がってこない。

それに嫌々ながら目を向けたんだが、
なんで?気絶してんの?

絶望を見せてやると息巻いてたので、
どんなことをするのかと、思っていれば。
単調な攻撃と大声。

段々、痛みにハイになった俺は
笑えてきて。

大爆笑をしていたのだが、そのうち
糸の切れた人形のように二人が倒れていた。

変な奴らだな、
考えるのを止めて、またプラプラして魔力の回復を待ち
暇なので欠伸をしていると。


部屋の天井から
アンリの前に
赤髪のポニー女が天井から降りてきた。






その少し前。



「救出ですか?」

「うむ」

誰もいない丘の上で。
世直しおっさんことゼス王ガンジーとその共ウィチタが話している。

「しかし、あの者達の仲間を救出しても意味はないと思いますが」

「そんなことは在るまい、アイスフレームの者達はよくやっている
ウルザを中心にゼスの未来のために働いておると言ってよい」

「ですが・・・」

「最近どうもこの国がきな臭い。
それに、お前が気にしていたカオルの安否も聞き出せるかも知れんぞ?」

「・・・わかりました」

ガンジーの命を受けて、ウィチタ琥珀の城に忍び込んでいく。






一刻ほどたって、ウィチタが黒い肌の少年を引き連れて帰ってきた。
ギャンギャンと喚きあう二人はガンジーに気づいて
ウィチタが駆け寄ってきた。

「お待たせしました」

「うむ、ごくろうだった」

二人の所にのそのそと来たアンリが

「で?このおっさんだれ?」
とメンドイそうに話しかけた。

「な!貴様なんて口を!!」

「まあ、よい。ところで君はアイスフレームの団員でよいのか?」

耳に指を突っ込んみながら、適当に流しているアンリは
ガンジーの質問を
まったく聞く気がない。
ガンジーは再度語りかけるようにするが。

「ところでお主、今、アイスフレームに変わったことはないか?」

「さあ?シラネ」

やる気もなく返された。

「・・・正体の判らない者に、仲間の情報を言いたくないのは判る
しかしな。私たちも急ぎなのだ。
済まないが、教えてもらわんと
君を仲間の下に帰すことは難しいと・・・」

「俺帰るから、どこ行けばいいか教えてくんない?」

「いやだからな・・」

「いいか、そのうち帰れるだろう」

背中を向けて歩き出すアンリに
もう一度説得しようとするが、
その身体に刻み込まれた傷跡に話す言葉が無くしてしまう。

「・・・」

「ガンジー様・・・」

「あの傷では、私たちに心は開くことは無理か
ウィチタと一緒に騒いでいたから、軽症ですんだと思っていたのだが
傷が癒えるまで、もう少し様子を見よう」

アンリの背中には、鞭による跡と、何か熱せられた棒状のもので
付けられたような、焼け跡がある

「特に酷いのは、背中に押し付けられた剣のような跡
あのまま、死なれても適わん、話してもらうまで行動を共にしよう」

「そ、そうですね・・・」

ガンジーは知らない
その背中に付けられた火傷は
隣にいる、ウィチタがアンリにからかわれて付けたモノだと。







[4647] あれ?
Name: kuro◆fc4a2ba8 ID:77755e35
Date: 2010/12/15 15:48
そんな更新で大丈夫か?
テスト版だから、忘れていて完結できるか判らんが
どうにかする!!









何日か、ガンジー達と行動を共にして。
アンリの傷が癒えた頃
三人はアイスフレームの隠れ家の密林に到着した。

「ほれ、付いたぞその先に進めば付くはずだ」

「へいへい」

手を頭に組みながら、適当に話していくアンリ。
その様子にガンジーはしょうがなさそうにしているのだが。

ウィチタは不満一杯の顔をしながら。
魔法剣の柄に手を置いていた。

それに、苦笑をしながらガンジーは話しかける。

「お主のペンタゴンの話とカオルの情報は役になった、感謝しているぞ」

「そりゃどうも」

「ああ、さらばだ」

アンリの後姿を少し眺めて少し考え深い顔をしていたガンジーは
ウィチタを連れて去っていった。



〈ガンジー〉


琥珀の城から救い出した。
アンリマユという男と何日か旅をしたが、
最後までアンリという存在は理解できなかった。


一日目の朝を迎えて、様子を見に行くと。
アンリは暢気に寝ていて。
その態度には前日に返すわけにはいかないと
情報漏えいのために脅しをかけられた、捕虜の自覚は感じられない。

その姿に、随分と肝が据わっていると感じたガンジーは
中々にいい青年だと思っていた。

その後の、ウィチタが口を滑らせ、私がゼスの王だとわかっても一向に態度を変えない
その豪胆さにも驚いたが。
それは、好ましい方だろう。

前日に拷問を受けたにも係わらず、仲間に恨み言を漏らすこともない。
そんな人が思う感情さえも押しとどめて。

元凶でもある私を責めるわけでもない。

そのことに、申し訳なさが出てくるが
ガンジーはそれ以上にアンリマユという、
青年の底の深さに感動していた。


しかし、それはガンジーの感じた勝手な印象でしかない。

三日目

歩きを進めて、
周りが黒く染まる頃。

疲れたと文句を言うアンリの言葉を無視して。

私とウィチタは取り囲んでいる、
者たちと話していた。

ミトである私が邪魔なのか、
王である私が邪魔なのかは言わなかったが。

魔法使い五名
警護の者二十名
浮浪者四十名
ハニー十体が襲いかかってくる。

ダルそうにしている、アンリの警護はウィチタに任せて
拳と魔法で蹴散らす。

一瞬の隙。

なるべくアンリを守るようにしていたのだが、
私が魔法使いたちを。
ウィチタがハニーと浮浪者を担当していると。

戦意を喪失していると思われた者に、意識を割かなかったツケか
アンリに群がっていく浮浪者たちを見逃してしまう。

その様子をぼけっとして見ていたアンリには、武装はおろか、
護身用の短剣さえ与えていない。

しまったと思う直後。

邪魔くさそうに
アンリの手には見慣れない歪んだ短剣が握られ。
切りかかったものは、首を落とされていた。
その雑草を刈る動作にはこれといった感情は感じない

歩き出す。

まるで、散歩のように前に進んで。
ウィチタの前にいる。
浮浪者と護衛の者が。
一瞬で命を断たれる。

それが理解出来ない者達は、自分たちの最後を理解できぬまま。
容赦なく赤くなっていた。

そして、呆然とした私を横切り。


慌てながら、詠唱をしているそれに。
アンリは歩みを変えず、

首を裂き、腹を抉り、決められた結果を作っていく。

少し離れて、様子を見ていた魔法使いに
投影という言葉を唱え。
串刺しにして。

一方的な斬殺が起きた、
後には逃げ出してしまったハニーたちの声しか響かない。

アンリはダルそうに、剣を消して。
死体の上に座り込んでいた。




一方的な死。
人が抵抗の意思を示そうとも、それすら凌駕して死を迎える。

ガンジーたちには彼ら殺す気はない。
しっかり更正もらい、新しい生活を送ってもらう気だった。
しかし、その思いは一匹のケモノによって簡単に潰される事となった。



死体を埋葬して。
その後、焚き火に当たりながらアンリに少し前の事を問いただすが。
それを、耳を掻きながら無視。

ウィチタも喋るように言っているが、
それすらも流して、
要していた携帯食料に味付けが濃いとしか真面目な答えを出さない。


その後も、
まるで、進展もなく
三人は歩を進めるしかなかった。

変わらない朝。
ガンジーが起きると、すでにアンリは目覚めていて、
食料の入っている袋を漁りながら、
どこからか、出した料理器具と鍋。
そして、ウィチタの魔法剣である炎剣で料理をしている。

匂いにつられて、起き出したウィチタが
自分の剣が無残にも料理に使われている事に気がつき怒り出すが。
自分の剣は、
目覚めた時に確認していた事に気がつき混乱を深くしている。

朝食が出来上がり
アンリの性格からは予想できないほどの、
しっかりとした、料理の数々に
ガンジーが驚いているうちに、
朝っぱらから、この数日で見慣れた喧嘩が繰り広げられていた。


昼ごろ。

なぜか、やる気になっているウィチタに料理を任せながら。

アンリが喋りかけてくる。

そちらからの、初めての会話。
どんな言葉が出て来るかと思えば。

あんたら魔力余ってそうだから、くれ。
だそうだ。

こちらの知りたい情報を喋ってくれるなら良かろうと、
交渉すると気軽に、いいぞと返された。

基本的に等価交換なんだろ?魔術師はと返され。
どうやら、魔法に詳しいか、あるいは魔法使いだと考えられた。

うむと、立ち上がりそのパスとやらを繋ぐように、
言えば。

いや、あんたはかんべんと返され。

ちょうど出来た、料理を食べ。
アンリが料理に評価を付けるのを見ながら。

考えを纏めていく。


食後。
ウィチタに事情を説明し魔力の補給の話を進める。

最初は渋っていたウィチタだが、
カオルの安否も気になり了承していた。

ウィチタの前に、出てきて。
いつの間に手に持った簡素な短剣で自分の指に傷を付け、
血を滴らせる。

驚いている、ウィチタを無視して
パスの説明をしていく、

ぶっちゃけ体液交換だが、簡易なやつだから血でも出来るだろうと。
指を口に突っ込んだ。

最初に、驚いたウィチタが指を噛み千切ろうとしていたが、
それを、アンリがこれで成功しないと。
俺とやることになるけどいいのか?としゃべり
前の言葉に体液交換という、文字を見つけて嫌々ながらそれに従う。


ちゅぷ、ちゅぷと響く水音。
指が口内を蹂躙する。

ウィチタの少し、艶のかかった、吐息がなにも遮ることのない
荒野に響いていた。

少し、調子が出てきたのか、
楽しそうに、にゅるにゅると動く舌と格闘している
アンリは指を増やして、攻め立てた。

ウィチタはガンジーの前で行なわれる。
変態ちっくな行為に少し酔ったのか、アンリの思うがままになっていた。

「・・・んっ」

その後、やっと思い出したアンリが呪文を唱え、
指を抜き出すと、指はふやけて白い湯気が立っている。

終わったのか?
と聞かれ、確認してみるとどうにもまだ繋がっていない。
少し考えウィチタの頭を引き寄せようとしたが
それは、途中で止まっている。

その後でアンリはガンジーの前に出て結果を話しだした。



「うむそのパスとやらは出来たのか?」

「うんにゃ、やっぱり知識はあっても、俺自身へっぽこだからな、
ピクリとも流れてこない」

「そうか・・・では聞きたいことは・・・」
ほんの少し残念な顔をしてしまった

「いや、それはちょい待って」

振り返り、ウィチタの前に行くアンリは
楽しそうに話しかけ。

赤い顔をしているウィチタに
その様子に、にやっとしとしながら

「案外、いい具合だったぜお前」
と楽しそう話しかけ。

それに

「この変態が~~~!!」

と叫んでいた様子が面白かったのか
さらに笑みを深くケタケタしている。




その後、ひと騒動あったが
ウィチタをそのままにガンジーは喋りかけた。

「笑わせて貰ったから、少しはしゃべってやるぜ?」
その時は何を考えていたのだろう



ガンジーから聞かれたのは、アイスフレームの状況。カオルの生存確認。
そして、アンリマユという個人の説明だ。

他何個か聞かれたが、気にせず答えていく。

はっきりいって、アンリのこの世界での始めての
自身に対する説明であろう。

その説明に耳を疑うガンジーだが、
それすら今まで見たアンリの異常性で信じてしまいそうだ。

現に、投影も傷の修復も背中のチャックの存在も教えられて。
納得するしかなかった。


ガンジーは
余りにもあっけらかんと自分の事を言った、
アンリに対して。
自分の事に対して質問があるかと聞いた。

アンリマユは
たいした、感想は抱かなかったのだろう。


精々、働けよ、王様くらいだ。

ガンジーはアンリにとって面白みのない存在だった。
例え、王としてのあり方も、ゼスのあり方に対しても
全部含めて認めていて、それすらも許容している。

もはや完成している、馬鹿な王様。

進むこともないが、下がることもない。
ゼスの衰退がこの男の、現実だ。


理想を目指して進み、国が衰退した王。
財を求めて国を滅ぼした王。

それと同じ。

王は王として、国を蝕んだ。

それすら、認めて受け入れるこの男には。
ゼスが滅んだとしても、それを認めることを止めない。


王の存在の意味なんて、高尚な考えはないが。
完成してしまった王に
進み出した、崩壊の音は止められない。

さあ、足掻いていこうぜ。
終わりの時まで、アンタは完成された王様なのだから。






そして、今アンリに背を向けて歩いていく。

ガンジーはこの数日間を思い出していく。
アンリマユは、少年との会話は私という存在を
再確認する、機会になった。



投影や考え方、未だに判らない正体。
その異質なあり方は。

私が考えている以上に暗く深い。

アレは鏡だ。
自身を写す鏡。
より、鮮明に写すことで自分の醜い所まで見させる鏡。

そして、どん底に落としたにも係わらず。
気まぐれに助ける。
ひねくれ者。

落ちた者を救い出す。
都合の良い、存在。
総ての生贄

人の悪。









〈ランス〉

最近視線が刺さる。

刺青を置いてきてから、
カロリアの訴えかける視線が絶えない。

本当に嫌だが。
カロリアの高感度を上げるため。

これから、刺青の救出作戦をすることとなった。

カロリアに助けたら、一発やらせろと言っても
他のムシ達が邪魔をして、それすらも出来ない。

しょうがないので、渋々隊を編成して向かおうとしたのだが。
その助ける、馬鹿は普通に帰ってきた。

その姿に、

はあ~~~
とため息がでた。


こいつが来てから、碌なことがない気がする。

やる気のない体を動かしながら。
ランスはシィルを連れて帰っていった。









[4647] ・・なんだと
Name: kuro◆fc4a2ba8 ID:77755e35
Date: 2010/12/16 04:41
そんな原作未読だと判らない話で大丈夫か?
ホロウとランス読んでいる前提で頼む。

調子こいてすんません・・・・・・・・・・・・・・・テスト




アンリが帰ってきた。
ランスが嫌そうな顔をしている。

好き勝手しているようだが、カロリア攻略の
最大の壁と認識されたらしい。



弾倉の塔

王者の塔

跳躍の塔

日曜の塔

アンリが居ない間に、進んでいた
祖国解放 大作戦

アイスフレームとペンタゴンの連合軍は
マナバッテリーの破壊に全力を尽している。

ゼスの隣にある魔物の領地。
それを、守護しているのはマジノラインという防衛要塞だ。
その最強の守りの動力源である。
マナバッテリーは
ゼスの誇る、四天王が守っている。

作戦の内容はその力を弱めて、魔物の進行を許し。
混乱に乗じて、ゼス国内に二級市民よる組織を作り。

ゼス王国と対等になり平等な世界を作るといった。
お粗末なものだった、しかし、
ペンタゴンの奴らは、涙を流しながらペンタゴン万歳と大合唱したらしい。

そんな、しょうもない事は気にせず。

アンリはもう一度ランス隊に入らされ
作戦を開始する。



普通に見捨てられた奴を同じ所に入れるのどうなんだ?
普通は反乱フラグだと思うのだが。



跳躍の塔の作戦に行った、
サーナキアという自称ランスの女、その安否を確認するために。
パパイヤ・サーバーの守るこの塔を進んでいる。


途中にサーナキアを名乗るヤンキーという、モンスターと遭遇して。
一緒に行動することとなった。

その涙が滲んでいるヤンキーが言ったことが正しいなら。
ヤンキーの心が入っているらしい、

そのサーナキアの体を見つけた。
ヨダレを垂れ流して。
うがうがと、咆えているサーナキア。

倒したが逃げられ。
サーナキアは落ち込んでいるが、コレで二人の体が入れ替わったことの証明になった。

ランス達は入れ替わりの元凶。
魔法の国ゼスの強さの化身
四天王パパイヤの元に向かっていった。

バリアに阻害された。場所に行こうとしても。
四天王が守るこの塔は大きく。
それを支える柱が、部屋の変わりになっている。


ランスはアンリにそのバリアは走り抜けるように超えるのだと。
嘘を教えるが。

限定付きの守りが有ろうと
元から、バリアの対象外である、魔術師のアンリには意味がない。
地団太を踏むランスに嘲笑を向けるアンリだったが。

アンリが魔法使いだったと認識していなかった、
者たちには寝耳に水だろう。

そもそも
アンリは両手に剣を持ち、
たまに、弓を使っている様しか見ていなかったので。
近接戦闘に専念する。
剣士タイプにしか見えなかった。

それに対して疑いの目を向ける、奴らに。
殻である衛宮士郎の数少ない魔術。
投影を見せてやる。

アンリ魔力を編みこみ、形を形成する。
構成は気にしなかったので、
瞬間的に出た、平凡な剣に転移を使える高位の魔法使いだと認識されそうになるが。
投げ捨てた剣が、砕け元の魔力に返るの見た志津香は
さっきまでの、驚きを全速力で抜き去り。

アンリに詰め寄っていた。

そんなことできるはずがないと
ブッチギル!!と殺意さえ発動する、
魔法使いを適当に無視しながら。

アンリは中を進んでいった。

そういえば、この魔術は異端。
モルモットにされること前提のイカサマだった。



・・・まあ、いいか。面倒だし気にすることもないだろう。



そんな、ひと悶着がありながら、中のエレベーターでパパイヤがいる。
部屋に向かったのだが。

そこから先に進むには、パパイヤが設定した。
パスワードが必要となっていて。

進むことが出来ない。


さらに、ランス達を襲ったのは。
壁の向こうから、響く。
女のか細い声。

何人かが不気味がるが、
ランスが女の声に反応してその発生源を探そうとしている。

その後、視認阻害の魔法が掛かっている。
入れ口を発見して。

部屋の中に進入するが。



そこにはひもじーひもじーと呻く生首が鎮座するだけだった。
おっかなびっくりしながら、要求されたにんじんを生首に食べさせると。

繰り返し、同じことをしゃべるしかなかった、
生首がしゃべりだす。

パパイヤが撒き散らす狂気の行動。
生首もといキャロット・シャリーはおかしくなったのはパパイヤが持つ。
魔道書が関係していると訴え。

上に行くパスワード

“アベルト・セーフティー”の言葉を最後にまた、
繰り返すことしかしない、肉の塊に戻ってしまった。

ランス達はアベルトの名前がパパイヤのパスワードか気になっているが。

この作戦の後に本人である、アベルトに問いかけたが偶然だとしか言わなかった。
そんな偶然があるものかと、首を捻るが
今はパパイヤの所に進むのが先だと、
最上階に進んだ。

部屋の中で寛ぐ。
パパイヤは寝起きで頭が回っていないの、ランスに砂糖を大量にぶち込んだ
コーヒーを執拗に頼んでいた。

あまりに女王様体質なのか、ある意味傲慢であるランスが気がついたらコーヒーを入れていたほどだ。

頭が働きだした頃、
ランスがパパイヤにえっちの要求をするが。
パパイヤは私とするより、もっといい。
究極の美女とやらせてあげると。
ランスをつれだす。

嬉しそうに付いていくランスだったのだが、
ランスはその瞬間記憶の外にはじき出した。
下の部屋にいる、生首の少女を思い出すべきだった。



現れたのは肉の壁。

何十、何百ともなる女性の集合体。

喚き、叫ぼうとも。
変わらない現実。
その地獄の中で、
憎しみを叫ぶことも出来ず。
女たちは助けを呼ぶことしか出来なかった。

ランスがこの状況に驚き、狼狽いしているうちにパパイヤは逃げ出していた。
その当初は
パパイヤとやれなかったランスが暴れたが
本来の目的らしい、サーナキアを助けるために。
実験場の場所を、キャロット・シャリーに聞き出し。
淡々と喋る生首の最後の願いで
キャロットを殺すことにしたランスだった。

その後は、サーナキアを戻すため意外にランスが遊んでいたが。
無事、体を戻して。

その後
ランス達はアイスフレームの村の帰ってくる。


そして、その数日後。
アンリの知ることの範囲外で
ランスはウルザに呼び出される。

このままでは、ゼスは滅んでしまう。
その第一声が。
やって犯ってやるぜ!!!と
ランスの期待である楽しい行為との違いに
急速にランスはやる気をなくしていた。
ウルザの訴えかける仮初の言葉に、行動してやろうとも思わず。
その思いすら、ペンタゴンの誘いで逃げる口実を作ってしまった。

その自分なりの真剣な感情に
ウルザは取り残され、自分の動かない足を何度も何度も叩くが、
それは、意味のない行動だった。

それはそうだろう。
ウルザの足は死んでいた。
そもそも、少女は光だったのだ

前の強い主と共に歩いた足は。
今の、弱りきり他者に頼ることでしか生きていけない主人に。
対して足は歩くことを止めてしまっていた。










そんな、シリアスな状況の中での出来事

「そんなもん食えるか!!」

「配給に文句言われても困るよ・・・」

「キムチの所行くぞ、もう少しマシなもんが食える」

「え・・うん」

カロは年齢的には上のアンリに振り回されていた
そんな蟲使いは
案外、お姉ちゃん体質かもしれない。





























[4647] テスト
Name: kuro◆fc4a2ba8 ID:77755e35
Date: 2010/12/16 04:44
テストでげそ






人間どうしても嫌な奴というのは居るものだ。
性格が合わない、生理的に受け付けない。
存在が嫌。

そんな訳で、絶賛威嚇をしている
アンリ。


目の前に居る、赤髪の男。
ニヒルに笑いながら、隣の女性に話しかけている。

その姿に
よし殺そう。
そんな答えが簡単に出てきて
その余裕の顔を崩すため、アンリは突っ込んでいった。




ランス達一行は
再び跳躍の塔の攻略に向かった。
前回は、目的がサーナキアの救出だったので
忘れていたが、あそこには国の極秘であるマナバッテリーが存在している。

マナバッテリー

魔王軍が隣にあるゼスにとって。
最終防衛ラインともいえる最強の砦
今の平和に甘え切っている者達が覚えているか
疑問に思えるほどの当たり前を齎した盾である。

それを攻略をしていくランス達。

隠されている、マナバッテリーを目指し地下に向かうランスは
他の塔の破壊に成功した事を報告に来た男と合流する。

まあ、破壊したといっても、その塔を守護する山田千鶴子の部下である。
へっぽこが下手をこいて、自爆しただけなのだが。
結果として、成功したのだから文句も出るはずがない。
アベルト・セーフティー。

常に笑顔を絶えないその優男は。
アイスフレームの初期からのメンバーで
ウルザ達仲間からも絶対的な信頼を受けている。


ランス達はマナバッテリーを破壊して。
脱出を開始するが。

この塔を守護している、パパイヤの元に、
マナバッテリーを守りに来た。
ゼスの主力を司る、二人の将軍が駆けつけていた。

炎の将軍と氷の将軍。
サイアス
ウスピラ

アニスの馬鹿魔力に巻き込まれて、
傷を負い、赤黒い痕を白い包帯で隠しているウスピラに
優しく声をかけている、炎の将サイアスだが。

心配されたウスピラは持ち前の真面目さで、傷を負いながら任務を続けようとしていた。
その生真面目さに呆れた顔をしながら。
ウスピラの後を付いていく。

マナバッテリーを壊して、意気揚々と帰っていたランス達の進行を遮るために。
二人が現れた。


その姿を見るや
ウスピラに一発やろうと。
しゃべりかけてくるランスに、
飽きれを通り越し腹を抱えて笑っているサイアスだったが。
ウスピラは少し呆れ顔でサイアスを嗜る程度の考えしか浮かばなかったようだ。

その笑いが終わりまだ、引きつっているとき。
そんな、変な緩みの中で空気を読まず
アンリは首を刈るために走り出していた。

我武者羅な強化
魔力の無駄使い。

前回ウィチタと魔力のパスが出来ていれば、驚いているだろう。
そうはいってもアンリの低燃費振りを見れば。
まだましなのだが。

セイバーや金ぴかなど。
一瞬で、一般的な魔術師の魔力をすっからかんに出来る奴と
比べるのもなんだが。

人類に対する殺害権を行使しようとも、
この世界での補正なのか剣は皮を裂くだけで終わる。

アンリが1に対してサイアスは40近くで才能限界も高い。
それなら、レベルアップ神に会って上げてもらえよと感じるだろうが。
ランスがアンリのレベルアップを邪魔して、アンリの居ないときにしか。
呼ばないのが問題でもある。

アンリは剣の戦闘経験と肉体の強化で。
誤魔化しているので、レベルの差を感じさせない戦いにできるが。
そもそも、異界の英霊で有るアンリに一般的なレベルは意味が在るのだろうか?

まあ、それは知らんが
本当の強者、人間でない存在に会ったとしたアンリは瞬殺される。
それは、聖杯の争奪戦で偉大なる英霊
狂戦士の一太刀で腸をぶちまけた、当たり前の出来事を見れば
納得できるだろう。

権利の対称でさえこの体たらく。
最弱の英霊の名は伊達じゃない。

アンリなりにがんばっているが
サイアスに距離を取られ、間に肉の壁ともいえる奴隷兵士の盾で
後方に押しやられてしまう。

そこに急な行動から少し呆けた、ランス達が流れ込んだので。
双方入り乱れて
サイアスに近づくことが出来ない。

しょうがなく、虚空から弓と矢を作り出して。
遠くからサクッと殺そうとしてみたが。

それは、もう一人の将軍。
ウスピラにより邪魔されてしまう。

傷つきながら、魔法を詠唱して。
その女将軍は息も絶え絶えにランス達に挑んでいく。

その姿に視線を向けたアンリは
よくもまあ、そんな怪我で戦えるもんだと考えながら。
邪魔なウスピラに

タルウィとザリチェで切りかかった。
魔法を放ち、周囲の大気を氷結させる。ウスピラに
アンリは歪んだ短剣を投げつける。

歪な短剣は
首に向かい飛んで蛇のように、空気をかき乱して。
その病的なまでの白い首筋に噛み付こうとした。

杖で防ぎ事なきをえたように見えたウスピラだったが。
剣に気を取られて、対処に専念したためか。
アンリに組み敷かれ、首に刃を当てられて勝負をつけた。

ランスに切られた前衛
一般的な差別が薄くても、その不甲斐なさに悪態を付きたくなる。
ウスピラの敗北にサイアスが慌てているが、
近づこうにもランスが邪魔で行くことができない。

アンリがウスピラを倒したことで、戦況は一変してサイアス達の
不利になった。
傷つこうとウスピラはゼスの誇る将軍。

それが、戦闘不能になったのなら、戦力の大幅な減退だ。
アンリがウスピラを押し倒している姿にムカツキを隠さないランスだが。
気を取り直して、こいつを倒せばやれると。
速攻で倒すと

攻撃を加速させる。



そして、大金星のアンリはウスピラの上に座りながら
その女の胸を揉んでいた。












「・・・なにをしている」

「胸を揉んでる」

戦闘中にも拘らず、暢気に観戦しているアンリに。
静かに問いをしてくるウスピラ。

その感触に
む!中々いいおっぱいだと満足げに楽しんでいるアンリ。
嫌悪を顔に滲ませているウスピラ

目線を向けるアンリは戦闘中に血が滲み出てきた腕を
抵抗されたやばいなと突き
痛そ~と遊んでいる。

痛みに顔を歪ませるウスピラにケケケ!と笑いが漏らしていた。

その、勝ち誇るとも見える姿に
「くっ!!賊に遅れを取るなんて」

と自分の失態を苛立てるしかなかった
「気にすんなよ、まあ、お前は馬鹿口にやられるだろうが死にゃあしないしな」

「他の者やサイアスはどうなる?」

「あ?何だ、お前そのサイアスとか言う奴の女なのか」

「そうではないが、サイアスの死はゼス全体の損失だ」

「へー、アンタ自分より他の奴が大切なのか?」


その言葉に迷いもなくそうだと答えるウスピラを見て。
アンリは
呆れた顔をして剣を抜きウスピラの上から退いた。

その急な行動に困惑していたウスピラは

「・・・なんの真似だ」
意味の無い行動に、戸惑いしか出ない

「一個借り作っといてやるよ」

「賊に受けた借りなんて返すと思うのか」

「いや?結構楽しそうだからなアンタ」

さっきまでの、子供のような残虐性は見えない

「なにを・・・」

「じゃあな消毒臭いの」

後に向かって歩いていくアンリ。
その後姿にとりあえず放ったウスピラの氷が矢で打ち抜く。

アンリの薄っぺらい魔力抵抗では
身体全体が凍る魔法に対抗することはできなかった。


そんな事は有ったが。
マナバッテリーの破壊を成功させ。
ランスに氷付いた身体を壊されそうになりながら。
アンリの今日の仕事は終了した。









「アンリ、大丈夫?」

「・・・次は・・らめ~~て言わす・・・」






アンリさんは今日も平常運転です。



[4647] チラシ
Name: チラシ◆32a76c29 ID:77755e35
Date: 2010/12/29 22:36
チラシ・・・
すいません、読者に嫌われる道を進み出しました。
これからは痛い人です




隊員が規定数を超えたので、アンリが解雇されました。

ランスはニヤッとして大爆笑している
他の数人は申し訳なさそうにしている
そして、少し離れた場所で満面の微笑で新しい仲間を歓迎している奴らが3人
まあ、気にすることも無いだろう。


元々、意味が在ってこの世界に来たわけでも、誰かのために働いてやるような
奉仕の心に目覚めている分けでもない。
前の世界で求めていた平凡な日常。

それが眼の前にあるのに、
求めれば手が届く位置にあるのに。

アンリは飽きていた。

意味も無く殺す、それさえやる気がない。

ある女の顔が浮かんで消えたのは何を思ったからか。
それすら判らないほどに。







その心に波紋を作った第一声はアンリをやる気に出来るのだろうか?

「アンリ、カロ大人になったよ!」


・・・無理かな?



ゼスに関係ない日常。

本来の流れ道理に進んでいた。

ムシ使いは身体にムシを飼っている、
独自の技術でムシの協力を得て、
普通の人間ではできない数多くの能力を行使する。

ゼス唯一の使い手、カロリア クリケットも
身体を硬くして、防御力を上げたり
毒針を飛ばしたりと、
広域な物音や、動いているモノの視認が出来たりといった。
一般人とは区別が見えるように
アンリより高スペックだ。

しかし、それだけの力を持とうともムシ使いとしてはまだ未熟。

ムシ使いとして成人になるには、計四匹のムシを身体に入れなければならない。
だが、その代償が酷い結果になることも、前に見た一人の男が証明している
それを振り払っても
カロリアは自分がランス達に対しての不安を拭えず

自分が住んでいた
集落の廃墟で四匹目の家族。
蟲の火の子を自分の中に住まわせた。

自分の居場所をランス達と同じにするための暴挙。
自分が弱いと考え、ランスも求めていない独りよがり。

その報告なのだろうが、
全く違う事にしか聞こえない。

変な風に聞こえた人は、手をあげなさい。



まあ、そんな外の混乱など知らないと
無視した日常。


ゼスに響いている足音がより近くに聞こえている
今の現実を無視した一日。





そして、こちらはゼスに関わる
一人の少女の日常。


アイスフレームの近隣で二人の少女が話していた。
「では、これを氷溶の者たちにお願いします」

車椅子の少女ウルザは手紙の束を、
郵便の女の子に渡してた。

氷溶の者たち。

ゼスの未来のため、魔法使いと二級市民の間を
繋ぎ、この動乱の状況を少しでも助かる者がいるようにと願う集団、

ウルザと両親、兄との活動の結晶である
希望の光。

自分が出来る、最高の一手として
それを眼の前の少女に手渡す。

ウルザは願っている。

根拠のない大丈夫だ!と言ったランんは、総て任せろと言ってくれたし
私の思いはこの手紙により、ゼスの全域に広がってくれる。

笑顔で駆け出す少女の後ろ姿を見送りながら。
ウルザはただ願うことを止めなかった。
惨めったらしく、人に縋る愚者


それを近くでそれが見ていたらどう写っただろう・・・



これは珍しく同時に起こった一幕である。
方向性のまったく違う二つの意思。

その両方に居たとしても、選ばれたのはこっちだろう。

それは神での悪魔でもない。
贄。
ただの、世界を見続けた一般人なのだから・・・







<アンリマユ>

俺の眼の前で、うーうーと悶え死に掛けているのがいる。
人が発するには考えられない高熱で、ムシ使いが着るワンピースのような
民族衣装は汗で肌に張り付き、カロリアのまだ少女の姿態は
変な艶かしさを出している。

その薄っすら浮き出ている先っぽを見ながらアンリは、
犯そうかな?でもこいつが死ぬと飯を持ってくる奴がと
アホ考えを
無駄に真剣に考えていた。




カロリアの気の抜ける第一声から、
珍しく年相応の無邪気な笑みを受け流し。
今日なに食うかな~と考えていると、
糸の切れるように肉塊が崩れる音がする。

さっきまで、赤く火照っていた頬は青く。
風邪でも引いたかと?いつの間に動いていた身体に呆れながら。
カロリアを寝かしつける。

アンリの意思とは関係なく動くこの化け物にはいい加減大人しくして欲しいと思いながら。
そう、眼の前の少女は赤いあくまや黒い後輩でも
ましてや、白い少女、騎士でもないというのに。









<カロリア>

暖かい手
優しさを感じない乱暴な動き
は幼き日に感じた、
父と母とは違う手抜きしか感じない手だったが。


なぜか、心地よくて引き寄せるように深い眠りに落ちていった。







目が覚め。
まだ夜も深く。
寝るべき時間だが今寝てしまったら。
今度は起きれないと考えてしまうほどにムシは身体を蠢いている。

だが、それをなくしても今目の前にいる
それから目を離せられない。


何時も見ている総てを傍観している人物、

それは手伝ってやると顔を寄せ、口内を鉄臭くしていた。

その数分後。
身体が裏返り、口から変なのが飛び出る感覚に襲われ私は意識を失った






その行動は
それにしては、珍しい一方的なものだ。

カロリアは寝ている間に何があったか知らない、
ムシ達がアンリの抜けた穴をカロリアが埋めようと無理をしていると、
話していたのも知らない、それの何に触れたのかも判らなかった。




しかし、それはいつか結ぶかもしれない先行投資として
カロリアの身体を無理やり治していく。







やっと黒い犬が動きだした。

この世界で始めて自身の意味を吠えよう。

とある神の対極。
この世総ての悪として、

今、反英霊がここに居るぞと・・・




化け物の皮を被った悪魔が
世界の対になると。














最後の揺れ
魔法王国ゼスは

マジノラインの魔力を大半失っていた。

アニスのよる暴走とランス達が行なった、
マナバッテリーの破壊。

前日にガンジーとの会話で、マナバッテリーの破壊の情報を受けて。
ガンジーはマジックの守る
弾倉の塔に向かってこれ以上の混乱を阻止しようと。
動き出すが。

皆がガンジー様が失敗するわけがないと、信頼していたとて。
この身を襲う寒気にも似た悪寒が止まることがない。

そして、魔力の急激な減少とマナバッテリーの破壊が報告されて。
この空間に絶望が支配していく。



四天王山田による魔力の強制注入はゼス全体に広がる。
それは今まで国を守っていた、軍の停止を意味し、
ゼスは魔物からの進行防ぐために
国の内乱を無視する最悪な形で現れていた。









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