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[43717] 見逃さなかった感情の機微(1)
Name: 彷徨荒也◆c68d3e0e ID:5020bc4f
Date: 2021/03/05 21:26
夕立の後。暗くなり始めた空は雲に覆われてその雲の隙間からは晴れ間と夕陽が差し込む。辺りにはぬるりとした水気の含んだ重い湿気と雨の香りが漂っている。
第3新東京市にある市営住宅の一部屋にエヴァンゲリオン零号機パイロット・綾波レイは居を構えていた。
この日彼女はNERVにて赤木博士からサプリメントの錠剤と機能性ゼリー飲料を受け取り帰宅したのだった。
美しい人形のような容姿に無機質な佇まいではあるが、白いうなじに流れた一筋の汗がかろうじて彼女が人間であると証明した。
汗を流そうと制服のリボンを解きシャツのボタンを途中まで外した所で誰かがこの部屋のドアをノックした。

(誰?)

淡々と扉のほうに行き彼女はドアを開けた。

-

「やっほー。こんちわ〜。」

「弐号機予備パイロットの人」

「その呼び方呼びにくくない?」

「…メガネの人?」

「うーん。まぁそれで勘弁してあげようかな!零号機パイロットさん?」

真希波・マリ・イラストリアス。NERVユーロ支部から日本支部へ弐号機予備パイロットとして彼女はやってきた。
物怖じしない飄々とした態度と赤縁のメガネが印象的な女性である。

「……。」

解けたリボンとはだけた胸元から白雪のように色素の薄い肌とそこに通る青い血管がうっすらと見て取れた。

「何か用?」

疑問に満ちた深紅の眼が上目遣いにマリを見た。
対してマリの視線は彼女の胸元を捉えていた。

ゾクりとした感覚が走るのを感じてマリはレイにこう言った。

「今日はちょっと君と親睦を深めようと思ってにゃ〜♪」

-

打放しのコンクリートの壁と最低限の家具。薄暗く机すらもないこの無機質な空間が彼女の心の中を表しているかのように思えた。
レイは来客をもてなす為に紅茶の用意をしていた。
その姿を椅子に腰掛けたマリが見つめていた。

「はい。」

「ありがとー!」

「…」

「あれ?レイの分は?」

「私はいい。」

「ふーん…。」

部屋には紅茶を啜る音だけが響いていた。
碇シンジと式波アスカラングレーの出会いは彼女の心境に大きな変化を与えていた。彼等の温もりが彼女に通うことによって人間的なモノが彼女の中に芽生え始めていた。
その為か彼女は彼女なりにこの無言の雰囲気に気まずさを感じていた。

「それ…。」

「うん?」

-
レイはマリの荷物に目をやった。バッグの口の間から何か棒状のものが飛び出している。

「あーこれ〜?これはね〜♪」

マリは鼻唄を唄いながらソレを取り出してみせた。

「これをね〜、ここをこうしてこうやってっと…」

どうやらソレはスマートフォン用の三脚であった。
アタッチメントにスマートフォンを取り付け何やら画角の調整を行なっている。

「こんなもんかな〜?ちょっと薄暗い気もするけど、まぁ、それくらいの方が雰囲気あるか。」

レイは彼女のやっている事をキョトンとした表情で見ていた。
なぜ何故三脚を持ち込んだのか。雰囲気があるとはどう言う事なのか。

「レイ〜?ちょっとそこのベッドに座って見てくれない?」

そう言われ彼女は素直に従った。

「おっけー!よーし!じゃあ……。」


「本番と行こうか、    ニャ?」
-





[43717] 見逃さなかった感情の機微 (2)
Name: 彷徨荒也◆c68d3e0e ID:5020bc4f
Date: 2021/03/05 21:18
マリはスマートフォンをインカメラに設定し、レイの横に座って画面の中を確認していた。
レイはその様子を不思議そうにまじまじと見ていた。
マリはスマートフォン画面内の赤い録画ボタンをタッチした。
レイはその瞬間、彼女の雰囲気が変わったのを感じ取った。

「もうちょっとこっちおいでよん♪」

そう言うと彼女はレイのくびれた腰に右手を回した。
掌に柔らかな肉の感触を感じながら彼女の身体を引き寄せた。
驚いた表情を見せるレイにマリの可愛がるような視線が甘く絡んだ。
戸惑いから不安そうに握られたレイの右手をマリの左手があやすような手つきで解き指を絡めた。

「何……?」

驚き、戸惑い、不安、恐怖…。感じた事がない感情の波に彼女は当惑していた。
そして絡んでくるマリの不気味に甘い視線が彼女の発育途上の身体を縛りつけた。
密着した身体からマリの体温が感じられる。レイにとってそれは彼女からの侵蝕のように思えた。
他者からぶつけられた事のない歪んだモノ。それが愛情なのかそれともたんなる動物的な欲望なのかは分からない。
-
マリの足がレイの足に絡み、腰に回していた右手は制服のシャツに伸びて器用にボタン一つ一つを下から外していった。

「っ! やめっ…。」

マリは、はだけた胸元から首筋に向かって舐った。
逃さんばかりにレイの身体を抱き寄せてさらに密着させ、お前は自分のものだと言わんばかりに首筋を吸う。
身を捩って拒否する彼女を宥めようと手は彼女の胸を侵入する。滑らかな肌触りとその細身からは想像し難い豊かな膨らみ、そして香りたつ甘い匂いに彼女はさらに興奮した。
絡めた指に力が入る。

「あっ…! んん…っ! ぃやぁっ!」

「んへへ。良い声で鳴く子じゃん?もっとも〜っと鳴かせてあげよっかにゃ?」

耳元でそう囁くとレイの身体は諦めたように力が抜け始めていった。
-
マリは本能の赴くままなりふり構わずしたいようにレイの身体を弄んだ。

「………。」

シャツ、リボン、スカートに下着…。完全に脱がされずに絡んだようにされたのはマリの性癖からだろうか。
嬲られた身体は力なく本当の人形のようにベッドに横たわっていた。

「ふふっ。良かったよ、レイ♪」

「………。」

「反応無しかよ〜?まぁ無理もないか?ごめんよ〜。でも我慢できなくてさ〜。」

「あの人に似ててね…♪」

「まぁ悪いようにはしないからさ!安心しにゃ〜♪」

そう言って服を着ながらマリは上機嫌に古い歌謡曲を口ずさんだ。
その後手早くスマートフォンと三脚をしまい、レイをそのままに部屋を後にしたのであった。

-



[43717] 見逃さなかった感情の機微(3)
Name: 彷徨荒也◆c68d3e0e ID:5020bc4f
Date: 2021/03/05 21:26
放課後の校舎には部活動に励む生徒らの熱気と遊びふざける男子の笑い声、女子の談笑が響く。
その校舎の屋上には2人の女子の姿があった。

互いに肩を寄せ合い赤縁の眼鏡を掛けた女のスマートフォンを茶色掛かった金髪の女が覗き込んでいた。

「………。」

「な、何よ…これ…?」

屋上に艶やかな嬌声が響く。画面には良く知っている水色掛かった髪の女がおもちゃのように嬲られる様が映し出されていた。

「し、信じられない!こんな…!!」

「姫?」

「最っ低…!!エコヒイキにこんな事するなんて…!!」
「エッチ!!馬鹿!!変態!!……」

-
「コネメガネがそんな人だとは思わなかったわ…!!」

「いくらエコヒイキが可愛くて大人しいからって…最低…!!」

そう言いながらアスカは画面から目を離さなかった。
マリに向かって放つ言葉もそう言う事で何か言い訳しているかのようであった。
初めて見る人間の生々しい欲望の発露。まだ14歳という年齢のウブな女子にはいささか刺激が強すぎるものであった。

「でも見ちゃうんだね…姫…?」

「ちがっ!違う!違う違う!これは…!!」

「姫も試してみたい?」

期待と不安が混ざり合った表情。そんな彼女の感情の機微をマリは見逃さなかった。

終劇


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