決意と旅立ち
全てが死に絶えた赤い海…それは地獄そのものだった。そこに一人の少年がいた。
彼の名は『碇シンジ』。
一握りの大人達の下らない計画のために幼い頃からじっくりじわじわと心を完膚無きまでに叩き壊され、生け贄にされた結果、全てが滅んだ。彼は自殺を図るために赤い海に入った時、あらゆる人間の思考を知った。彼は激昂した。手当たり次第、見当たり次第に暴れ狂った。泣き叫んだ。泣いて、泣いて、泣き止んだ。復讐のために武術・戦闘術・暗殺などを独学で徹底的に学んだ。しかし、冷静さを取り戻すと、復讐自体がバカみたいになってきた。それに、何でわざわざ過去に戻ってまであいつらの面を見なければならないのか。それなら一年中昆布眺めてた方がマシだ。それに、フルスペック所謂、アダムの力で神様気取りの状態で戦っても因果率で使徒がパワーアップするのがオチだ。ならどうすればいいか?考えた結果「第二の人生を楽しもう♪」この少年、今までの反動なのか、一通り暴れたせいかは知らんが、かつての内罰思考は完全に消え失せ、はっちゃけた性格に変貌したようだ。それでも両親・知人に対する憎悪と嫌悪感が消えたわけではない。しかし、既に眼中にもない。償いの対象でもない。完全にエンガチョしたのだ。
「レイ…幸せに生きてね…」
綾波レイ
碇ユイのクローン、リリスの分身、計画のためだけに創られた無を望む感情のない少女。
「俺の罪はこんな世界にしたことではない…君を拒絶してしまったことだ。」
アルミサエル戦での自爆後に明らかになった正体…何人目だろうと変わり無
いのに…怖くて拒絶してしまった。
確かにあんな光景をまざまざと見せつけられて簡単に受け入れろと言われても難しい。しかし、命を拒絶したことに変わらなかった。だからシンジは持てる力を全て使い、魂を綺麗に洗い流し、何の脅威もない平和な世界へと転生させた。
これで彼女に対する罪は償った。後は旅立つだけだ。
「さてと、行きますか。テレポート!」
瞬間移動とともにシンジは赤い世界から消えた。 旅の途中ふと疑問に思ったことがあった。
「そういえば…どうしてマナはあの海にいなかったんだ…?」
霧島マナ…初めて自分を好きだと言ってくれた少女…戦自のスパイだった少女…駅で別れた少女…全てが滅んだとき、彼女も無に還ったはずだった。しかし、いくら探してもマナの魂はどこにもいなかった。こればかりはシンジでもわからなかった。そんなことを考えている間に目的地に辿り着いた。
ああ…地球は蒼かった…
自然と涙が出ました…
すでにこの世界の神レイラ様(結構美人な姉ちゃん)に住み込み許可は貰っているため、因果率に作用されずに安心して力を使える。
最近では、許可なく勝手に並行世界に介入しては力を乱発する輩が多く、怪人や怪獣が強くなって困っているらしい。僕はレイラ様からこの世界について教えてもらった。
曰く、プリキュアと呼ばれる中学生がメインの女の子が戦っているらしい。
ちょっと複雑な気持ちだ…
曰く、近い未来に彼女達では手に負えない怪人がやってきて、このままでは全滅するらしい。
ほんで、僕に住み込み許可の条件として、彼女達を助けて欲しいというわけ。
勿論、僕は引き受けた。
レイラ様は僕をえらく気に入ったのか、新しい力を授けてくれた。仮面ライダーの力と、どっから持ち出したのかは知らんが、かつての相棒だった初号機を滅茶苦茶強力にしてくれた。ちなみにLCLはなくしてくれた。ありがたい。
余談だが、髭・妄想女・シナリオ電柱・ジジイ共は神界史上最も惨たらしい無限地獄を延々と味わっているらしい。いい気味である。そんなこんなで僕はレイラ様に重ね重ねお礼を述べて地球に降り立った。頑張ります。
「何の心配もいらないわ。あなたには最高の出会いが待っているから………」 続