<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ナルトSS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[37328] もしもオレとお前が逆だったら
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/19 19:00


「12年前の事件以来、里にはある掟が作られた」

ミズキはそう続けた。

「ある、掟…?」

金髪蒼目の少年、うずまきナルトが不安そうにミズキに尋ねる。


「―――それはナルト!お前にだけは決して知らされる事の無い掟だった」

「オレにだけ?何なんだ、その掟って!?」


12年前の事件。木の葉の里を襲った九尾のバケモノ。そいつが木の葉の里を滅茶苦茶にした。
あまり過去の出来事に興味を持たず、イタズラばかり考えているナルトでも、その位の事は知っていた。
だが、その事件で出来た掟と自分が何の関係があるのか?
言い様の無い不安感だけがナルトを襲っていた。


「やめろ!!!ミズキ!!!!!!」


―――イルカ先生。何をそんなに焦っているんだってばよ?
この話は、オレには聞かせてはいけない事なのか?
…なんでそんなに苦しい顔をしているんだってば?

「…ナルトの正体が化け狐だと口にしない掟だ!」






――――――――――――え?


…………オレが、化け狐?

どういうことだってばよ。何を言っているんだ、このヒトは。
オレが、九尾…?
そんな筈はない。ありえない。オレは、うずまきナルトだ。
………なにをいっているんだ、このひとは。


でも………

――――でも。
だとすれば、今までの里の大人達の態度にも納得がいく。
ナルトは、幼少期から、里の人達に暴行や暴言を与えられてきた。
幼ないナルトには、何故こんな酷いことをされなければならないのか、全く
見当がつかなかった。
里を歩けば周囲の人から、買い物に行けば店の人から。

(あいつが…例のガキか)
(あの子が…関わっちゃダメよ)
(里から出て行け)
(消えちまえ)


何故会ったことも話した事もない筈の人達から蔑まれ疎まれなければならないのか…
その原因が…こういう事だったのか。

追い打ちを掛けるかの如く、ミズキが続けた。


「つまりお前が!!イルカの両親を殺し里を壊滅させた九尾の妖狐なんだよ!
お前は里の皆にずっと騙されていたんだよ…可笑しいとは思わなかったか?
あんなに毛嫌いされて…」


ドス黒い感情が、ナルトを支配していく。


「オマエなんて誰も認めやしないない!!イルカだってお前が憎いんだ!!」


ナルトの中で何かが壊れた。
虚ろな表情のまま、その場を駆けていく。



「ナルトォ!!お前は化け狐じゃない!!!!俺の話を聞いてくれ!!
ナルト!!ナルトォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」


―――イルカの声は届かない。






















「九尾の…ガキか。こいつは使い物になりそうだな」

全てを見ていた赤い眼が闇の中に浮かんでいた。











あとがき


SS初投稿してみます。書くのって難しいですね~。
補足ですが、ナルトはアカデミーの卒業試験には受かっている設定です。
ミズキにすごい術を教えてやる、と言われ封印の書を持ち出し、冒頭に至る訳ですね。
途中で何書いてるのかわからなくなりそうで怖いな…(笑)
ナルトは闇堕ちさせます。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 2話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/22 19:32

いつかは、何時かは。ずっと信じてきた。
いつかは、オレをちゃんと見てくれる人が現れる事を。
友達が欲しかった。家族が欲しかった。
生まれつき両親の居ないナルトは家族の愛情を知らない。
親子が店で幸せそうに話しながら買い物をしているのを見ると、幸せそうだという事しか想像出来ない。
オレも家族が欲しい、でもそれは叶わない。だったらせめて、友達が欲しい。

アカデミーに入ったのは、強い忍となり、沢山友達を作るため。
自分を理解してくれる人を、出来れば同じように苦しんでいる人と分かち合いたい。
だが、アカデミーでの成績は下から数えてトップ、ドべとなってしまった。
手裏剣や体術は人よりも出来るつもりだ。強くなるため、修行を重ねたから。

でも、忍術が上手くいかない。
チャクラを練ろうとすると、または印を結んで術を発動させようとすると…
何かドス黒いチャクラが溢れ出してきて、術の発動が上手くいかない。
チャクラコントロールが上手く出来ないのだ。
アカデミーの卒業試験として出題された分身の術も、練習を積み重ねやっと出来るようになった。
サクラちゃんもサスケも、シカマルやいのも、分身の術はすぐにコツを掴んで発動していた。
オレだけだ、こんなに苦労しているのは。
ナルトはずっと考えていた。オレには忍術の才能が無い、つまり忍者の才能が無いのではないか。


――――今にしてみれば、あのドス黒いチャクラが化け狐の物だったなら説明がつく。


忍術の成績が悪かったナルトは、代わりに皆に注目される様な事をするようになった。
語尾に「だってばよ」を付けるヘンな口調やオレンジを主体とした妙ちくりんな格好。
そして、数々のイタズラ。
全て、皆に注目してもらう為にやっていたものだ。あんなのは本当はやりたくなかった。

だが、無駄だったわけじゃない。
授業中に馬鹿な事をすれば、一時的にみんな笑ってくれる。
イタズラをすればイルカ先生が怒ってくれる。
幼少期を嘲笑や悪態の中で過ごしてきたナルトにとって、自分を怒ってくれる、それだけで嬉しかった。
怒ってくれるという事は、自分の事を見てくれているという事だ。
昨日も、歴代火影の顔岩にラクガキした時、とんでもない剣幕で怒ってくれた。



――こらぁナルトォ!!!!!授業中に何やってんだ!!――

そして、一楽へ連れて行ってくれた。


――ダメダメ!これは学校を卒業して、一人前と認められた証だからな。お前は、明日!――



イルカ先生だけは、オレをしっかり見てくれる――――――



――お前が、イルカの両親を殺し里を壊滅させた九尾の妖狐なんだよ!!




筈だった。



イルカだってお前が憎いんだ、か。
当然だろう、両親を殺された相手を憎いと思わない訳が無い。
憎んでいる事を悟られたく無いから、だからミズキ先生に必死な顔で叫んでいたんだ。

結局は、イルカ先生も皆と同じだった。唯、隠していただけだったんだ。
裏切られた気分だった。最も信頼していた人が結局は他と同じだったなんて。
もう木の葉の里に自分を見てくれる人はいないだろう。
全て無駄だったのか。



もうオレには……誰もいない。






気がつくと、夕日も完全に沈み、辺りを月光だけが薄明るく照らしていた。
どのくらい走ったのか、もう覚えていない。
考え事をしていたので此処が何処かも分からない。
それでいい。今は木の葉には戻りたくない。

そのまま移動していると、突然目の前の空間が歪み、何か人影が現れた。
暗くてはっきりとは見えないが、どうやらお面の様な物で顔を覆っている。
無表情で、ナルトは面の人物に尋ねた。

「……オレに何か用かよ」

「うずまきナルト。お前を迎えに来た」


よく通る男の声だ…迎えに来た?まさか、木の葉の追っ手か。だったら…


「そう身構えるな。オレは木の葉の追い忍ではない…オレはお前に何もしない」

「木の葉の忍じゃないのなら…誰なんだ?」


何が目的なんだ、この面の男は。オレを何処に連れて行くつもりなんだ。


「悪いが、さっきの一件は見せて貰った。皮肉なものだ…本来なら九尾をその身に閉じ込

めて封印している里の英雄、木の葉の里の救世主であるお前が、里の者達から憎悪の対象

になっているとはな」


オレが、里の英雄…?どういうことなんだ。
英雄ならなんでオレはみんなから酷い目に合わせられなければならないんだ。



「…オレが、英雄だって?冗談は止してくれってばよ」



「冗談などではない。お前は里の英雄だ…

九尾をその身に宿し、暴走する事を防いでいる。立派な事だ。

お前が九尾を封印している事によって、12年前の惨劇を繰り返さずに済んでいるのだか

らな。

本当ならば、お前は里の者から感謝され、称えられなければならない筈だ…だが、実際は

どうだ?

お前は一度でも誰かから感謝された事があったか?九尾を抑えてくれてありがとうと。

お前は…誰にも理解されていないだけの、英雄なのだよ」


「誰にも…理解されないだけの、英雄…?」

「そうだ。もっとも、その事を理解しているのは恐らく、三代目火影だけだろうがな…

何故お前が里の者達から認めて貰う事が出来ないのか?それは一見難しい様に思えるかも

しれないが、至って簡単だ」


面の男は続けた。



「それはな、ナルト…。今の木の葉の里がクズばかりだからだ」



―――そうだ。この人の言う通りだ。


「オレもかつては木の葉の忍だった。オレも今のお前と同じなのだよ…里の者から理解さ

れず、迫害された…

誰もオレを認めようとはしない。かつて仲間だと思っていた奴等から裏切られ、オレは里

を抜けた。

今のお前と、何も変わらん」

「アンタも、オレと、…同じ?」


救われた様な気分だった。オレと同じ憎しみを持った人が、他にも居る事に。
この人も、木の葉に絶望している。今のオレと、全く同じだ…


仮面の男がオレに手を差し出して来た。


「オレについて来い、ナルト。お前も復讐したいのだろう?自分を散々苦しめ続けた

あの忌々しい木の葉の里に・・・。オレと一緒に来れば、お前を強くしてやろう。

全てを滅ぼせる[力]を、お前に与えてやる。そして・・・

オレと共に木の葉へ復讐するのだ―――――――――――――」


やっと、出会えた。同じ苦しみを持つ本当の[仲間]に。


オレは目の前の面の男にしがみついて大声で泣いていた。


「うっく、グスッ…うぁ、うぁぁぁぁあああああああああ!!!!」

やっとだ。やっと、オレと同じ思いの人に出会う事が出来た。同じ憎しみを背負うこの人なら、本当の意味でオレの事を理解してくれる。
そんな気がした。

「兄ちゃん…」

何故かは分からないが、いつしかそう呼んでいた。家族は居ないが、兄がいたらこんな感じなのかな…と思った。
面の男は少し驚いた様にすると、言った。


「クククッ…兄ちゃん、か…いいだろう、うずまきナルト!お前は今日からこのオレ、

うちはマダラの弟として、オレが育ててやろう!」

兄ちゃんはそう言うとオレの頭を撫でながら、初めに使った空間を歪ませる術を発動した。


「行くぞ…お前にオレの仲間を紹介してやろう」






見ていろ。オレは強くなる。誰にも絶対負けないくらいに強くなる。


そして、オレは・・・







(・・・木の葉を、潰す)








あとがき


オ○トさんにはナルトの兄になって貰いました。
原作で十尾復活の際、八尾のタコ足一本分のチャクラで足りていたみたいなので、このSSではナルトの九尾は抜かれる事は無いです。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 3話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/21 10:57


此処だ、と兄ちゃんの声が聞こえた。
ゆっくりと目を開くと、尖ったものが幾つも見下ろせる。
それが機械の様な形をした建物だ、と気づいた時、ナルトは自分が今かなり高い所に居る事に気がついた。
真っ暗な雲からは雨が降り注いでいる。


「此処は…?」

「雨隠れの里だ」


雨隠れの里…聞いた事もない里だ。
雨が降ってるから雨隠れなのかな、だとしたら安直なネーミングだな、等とアホな事を考えていた。


「雨虎の結界でも現れる瞬間まで感知出来んとは…相変わらず便利な術だな。それに、そいつは・・・」

「マダラ…その子は一体?」

何処からとも無く二人の男女が姿を現した。
一人は耳、口、鼻と黒いピアスを開けた橙色の髪をした男の人。
もう一人は頭に薔薇の様な花を乗せた紫色の髪をした女の人。
二人共、兄ちゃんと同じ黒い衣に赤い雲が浮かんでいるマントを着ている。
どうやら兄ちゃんの仲間は皆同じマントを着ているらしい。

「九尾の人柱力、うずまきナルトだ…オレと同じく木の葉の里に裏切られた哀れな子供だ。木の葉と砂の国境付近で見つけたので連れて来た」



兄ちゃんがオレの事を説明する。オレも無言では失礼だと思い、挨拶をした。

「う、うずまきナルトだってばよ…宜しきゅだってば」

噛んだ。しかも緊張してヘンな口調で喋ってしまった…。


「そう・・・この子が、九尾の人柱力・・・ふふ、そう緊張する事は無いわ。私は小南…今日からアナタも私達の仲間よ。宜しく頼むわ」


綺麗な声で笑われてしまった。うぅ、恥ずかしいってばよ…じゃない!恥ずかしい…。


「九尾だと!?こいつがか・・・フン、また世話の焼けそうなガキだな。俺はペイン。この雨隠れの里の長だ」


橙色の髪の男の人がそう言った。どうやらこの雨隠れの里で一番えらい人らしい。
ふと、ペインさんが近づいて来た際に気づいてしまった。
目が、普通ではない。
紫色をした波紋を描くような両眼…
じっと見ていると吸い込まれる錯覚を覚えそうなその両眼を見て、オレは悲鳴をあげてしまった。


「……ひっ!!」

反射的に兄ちゃんの後ろに隠れる。
失礼だ、と頭ではわかっていても、何故か本能的にそうしてしまった。


「あら……ペイン。アナタ、随分と怖がられたものね」


「フン、言うな、小南……傷つく」

やはり傷つけてしまったらしい。無表情なその顔の中に、少しだけ悔しそうな感情が浮かんでいた。
謝るついでに訊いてみる。

「ご、ゴメンってばよ…でも、なんなんだ、その眼は??」


「これは輪廻眼。白眼、写輪眼と並ぶ三大瞳術の中で、最も崇高な瞳術だ」



―――――んん?
全く分からない。
リンネガン?ビャクガン??シャリンガン???
…??
誰がどう見ても頭にハテナマークが浮かんでいるオレを見て、兄ちゃんが助け船を出してくれた。

「ペイン。お前のその説明は、解っている奴にしか分からん。―――ナルト。アカデミーで受けた授業の中に、幻術があったろう。
幻術の授業の際に、瞳術について習わなかったか」

「う…。オレ、座って受ける授業は苦手で…ほとんど寝てたから、あんまり覚えてないよ」


マダラと名乗っている、否、マダラと騙っているその男は理解した。


―――コイツ、アカデミーの頃のオレと同じで実地授業しか真面目に受けてこなかったな。

座学をよく寝ていたこの男も、かつては良く同じ班の仲間に叱られたものだ




(―――へん!カカシもリンもわかってねえな!!座って強くなれるんだったら、俺だってちゃんと授業受けてるってーの!!)


まあ、そんな過去の出来事は今更どうだっていい。
いくら思い出しても、あの頃へはもう二度と戻れないのだから・・・

―――だからこその、あの[計画]だ・・・。
最も厄介だと思っていた木の葉の九尾が、まさか自分からオレの手中に収まってくれるとはな――


思った以上に上手く行っている自身の計画を考え、マダラは仮面の中で笑みを浮かべた。



「・・・まぁ、瞳術やその他についてはこれから教えるとしよう。今のナルトには知識が足りん・・・それと経験もな。
今のままでは他里のクズ共に誘拐されかねん。まずは修行させる事にするか・・・
ナルト。下忍として任務が始まるまであとどのくらいの期間がある?」


「あと一ヶ月ってとこだけど・・・まさかオレ、また木の葉に戻らなきゃいけないの・・・?」


「そんな泣きそうな顔をするな。お前には、木の葉の忍として、木の葉の里の情報を集めて貰う必要があるのでな。
木の葉の里を潰す為だ。協力しろ」

「・・・わかったってばよ。まあ、そーいうことならオレに任せてくれって!!!」


自分が誰かの役に立てる事に気づいたナルトは一転嬉しそうな表情になる。


―――全く。コロコロと表情が変わる・・・昔の、馬鹿だったオレにそっくりだ・・・
あと一ヶ月か・・・一ヶ月でナルトを何処まで強く出来るか。
まぁ、九尾の人柱力だ。チャクラなら腐る程有る筈だ。やりようは幾らでもある。
すぐにでも修行をさせたいが、このままナルトが行方不明のままだと木の葉から追っ手が来るだろう。
まずはナルトを里に戻し、安否を確認させる。頃合を見て、オレがナルトをこっちへ連れて帰るか。


「ククッ・・・元気な事だ。ナルト、お前には今すぐ修行をつけてやりたいところだが、まずは先に木の葉へ帰ってお前の無事を里の奴等に確認させに行くぞ。
お前が消えたと知れば、里は血眼になってお前を連れ戻しに行くだろうからな・・・それでは邪魔になる。
里の・・・三代目にでも顔を見せて来い。その後、タイミングを見計らってオレがお前を迎えに行く」

行くぞ、と言われてナルトがマダラにしがみつく。

「行ってくるってばよ・・・また後でね!小南さん、と・・・・・・・・・ペインさん!!」



なんだ今の間は、とペインが言い終わる前に空間が歪んで移動が始まった。




「・・・全く、嵐の様なガキだな」

「ええ・・・でも、昔の弥彦にそっくりだわ」


残った二人は遠い目をしていた。






あとがき



ペインがネタキャラみたいになっちまった!
なんでだ!?どうしてこうなっちまう!?



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 4話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/22 19:11


行ってきます、と言うと
ああ。また後でな。と返ってくる。

こんな他愛も無い言葉のキャッチボールが出来る事が堪らなく嬉しい。


「よっしゃあ!さっさと面倒事を終わらせてしゅぎょーしゅぎょー!俺ってば強くなっちゃうもんね!」

・・・ヘンな口調はもう諦めよう。
そう決めたナルトだった。





――明け方になり少しずつ昇り始めた朝の光が、優しくナルトを照らしていた。









―――――――――――――――――――――――――――――――――――







「今まで何処におったのじゃナルトォォォォ!!朝になっても戻らなかったら、捜索隊を組むつもりだったのじゃぞ!!」


「ごめんなさいってばよじっちゃん・・・オレってばミズキ先生に凄ェ術教えて貰えるって事で、ミズキ先生に教わった巻物を
ちょーっとだけ借りちゃっただけなんだってばよ~・・・おねがい!ゆるして!!このとーり!!!!ね??」


努めて明るく、今まで道理振舞う。三代目火影は安心したようにすると、直ぐに暗い顔に戻った。


「・・・ミズキの件はイルカから聞いた。それに、ミズキから・・・お主の中に九尾が封印されていると知らされてしまった事も」

三代目は辛そうな表情のまま続ける。


「済まなかった・・・ナルト。お主に隠し通すつもりは無かった。今のナルトはまだ幼ない、故にこの事を知ってしまうとショックを受けてしまうと
思ったのじゃ。だから、もう少し大人になってから教えるつもりだった」


「だいじょーーぶだってばよ!!」

オレが可能な限り明るい笑顔で答えると、三代目は驚いた表情に変わる。


「オレの中に九尾が封印されてたって、オレはオレ!他の誰でもないってばよ!!!
いつかオレがオレの中の九尾を従えて、里の皆の前で九尾をドゲザさせてやるってばよ!!
だーから!!じっちゃん!楽しみにしててくれってばよー!!」

じゃ、そういうことでねーーー!と言い残し、凄いスピードで屋敷から飛び出して行った。


―――ナルト。いつの間にか、お主も成長しておったのじゃな。
自分の中に自分の里を壊滅させた化け物が居ると知って、ショックを受けていないハズは無いのだ。
それでも、ナルトは前を向いている。
赤子の頃からナルトを世話してきた三代目は、熱い感情が込み上げるのを感じた。


「やれやれじゃわい・・・ワシも歳をとるわけじゃのう」

あの子が、あんなにも明るいのだ。
この里の未来もきっと明るいものに違いない。


―――ミナトよ。お主の子供は真っ直ぐに成長しておるぞ。

三代目は、今は亡き四代目火影にそう語りかけた。



ナルトは一人、暗い顔をしていた。







ありがとう。じっちゃん。この里でオレの事を分かってくれるのは、ちっちゃい頃から
ずっと世話をしてきてくれたじっちゃんただ一人だろう。
お世話になったじっちゃんを裏切るのは心が痛む。
でも、オレはもう・・・








―――――もう、木の葉は信用できない――――――







先を急ぐオレの前に、一人の男が立ちはだかった。
・・・イルカ先生だ。


「ナルトォ!!!今まで何処にいたんだ!!心配したんだぞ!!!!」



「イルカせんせーー!!そっちこそ何処にいたんだっての!オレだってさっきじっちゃんと話し終わってイルカせんせーを探してたんだってばよ!」

「オレを・・・探してた?」

「そー!!昨日は話も聞かずに居なくなっちゃって悪かったってばよ!オレってば昨日びっくりしちゃって!!」

ニコニコした顔でそう言う。

「そうか・・・ナルト。昨日は言いそびれちまったが、オレはお前を憎んでなんかいない。むしろお前は俺にとって弟の様な存在だ。
オレが憎んでいるのは九尾で、九尾はナルトじゃないからな!お前は木の葉の里のうずまきナルトだ!」




・・・よく言うってばよ。イルカ先生だって、本当はオレのことが憎くて仕方ないんだろ?
あんたにとってオレは、両親を殺し里を滅茶苦茶にした化け物なんだ。

だったら。

里のみんなみたいに、オレに辛くあたってくれればいいんだ。暴力をふるってくれればいいんだ。
自分の本当の気持ちを隠してオレに優しくなんかするから。

・・・だから、以前のオレは簡単に信じまったんだ、あんたの事を。


イルカ先生。もう・・・



「えっへへへ・・・イルカせんせー、オレの兄ちゃんにしては歳をとりすぎだってばよぉ・・・あっははは!!!」

「あーっ!!ナルト!お前!人が折角慰めてやってんのに!な・ん・だ・と・ぉーー!!」


「だーーーっはっはっは!!ごめんってばよーーー!!!じゃあねーーーーーーーー!!!」




もう、オレの事は放って置いてくれ。





――――良かった。ミズキの話を聞かせてしまった時はどうなるかと思ったが、ナルトはオレが考えるような弱い子じゃ無かった。
里の人たちに疎まれても、あんなにも真っ直ぐに育っている。イルカはたまらなく嬉しくなった。


――――四代目、ナルトは・・・強くなりますよ!!アナタを超えるくらい!






















あとがき


原作のナルトの性格とは真逆の路線を突っ走ります。
サスケやサクラはもう少しで出せるかなー?



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 5話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/21 20:02


木の葉から帰って来たオレは、兄ちゃんにすぐに修行をつけてくれと頼んだ。

ちなみに、オレの家には兄ちゃんが作ったオレの分身体が住んでいる。
チャクラ切れや大怪我を負わない限り消える事は無いスグレモノらしい。
一ヶ月も木の葉を留守にするので、怪しまれない様にする、という事だった。



その前に聞きたいことがある、と兄ちゃんは言った。


「ナルト・・・お前は恐らく有り余るチャクラを上手く使いこなせていないだろう」


図星だった。やはり兄ちゃんは何でもお見通しなのか。
オレは素直にチャクラコントロールが上手くいかない事を説明すると、


「有り余るチャクラのコントロールならオレよりも輪廻眼を持っているペインの方が上手く教えられるだろう。
ペイン、お前は小南と共にナルトのチャクラコントロールの修行を手伝ってやれ」


驚いた。てっきり兄ちゃんがオレの修行を教えてくれるものだと思っていたのだが。
兄ちゃんも何か用事があるのかな?


「フン・・・世話の焼ける奴だ」


「いいでしょう・・・コントロールなら私も教えられるわ」


ありゃ?小南さんはともかく意外とペインさんも優しいんだな。
でも・・・ペインさんって本当に強いのかな?
雨隠れの里の長が弱い訳が無いのはわかるけど、なんか顔色があんまり良くないし、眼は奇妙だし。
修行の時にペインさんの力を見せて貰うってばよ!!


「ありがとだってばよ・・・でも、兄ちゃんは?」


「オレは少しやる事があるのでな・・・ナルトのチャクラコントロールが上手くなったらオレの火遁の術を教えてやる」


やった!俄然やる気が出てきた!!さくっとコントロールをマスターして火遁の術を教えて貰うってばよ!









雨隠れの里から少し離れた海の上に小さな島があった。
どうやら、此処で修行をするらしい。


「さて・・・始めるぞ」

「その前にさ!!」


始める前に聞いておこう。


「修行の前に聞いておきたいんだけど!ペインさんって本当に強ェの?顔色悪いし、あんまりそうは見えないってばよ」


「・・・。」


(この子は・・・長門が幼ない頃から気にしていた事を・・・!)



あれ、怒らせちゃった?そんなに失礼な事言ったっけ??



「・・・いいだろう。其処まで言うなら見せてやろう。このオレ、ペインの・・・神の力を」




戦う事になった。














「いつでも来い、ナルト・・・お前ではオレに指一本触れる事は出来ん」


自信満々に言うペインさん。確かに・・・オレ一人ではまず隙を作る事は出来ないだろう。
だったら!あの時の巻物に書いてあったアレを使ってみるってばよ!



「影分身の術!!!」



ボン、という音と共に、実体を持ったナルトの分身がペインを取り囲む様に現れる。その数、数百体。




「チャクラ量が多いとは言っていたが・・・まさか、これほどとはな」


ペインさんも若干驚いた顔をしてる。まーそれほどでもあるってばよ!成功したのはラッキーだけど!!


「これなら流石に全部は防ぎきれないってばよ!いっくぜェ!」


掛け声と共に、分身1体につき2つの手裏剣をペインさんに向かって投げる。
これなら全てを避ける事は絶対に不可能だ。なにせ、全方位からの手裏剣なのだから。


絶対に不可能な、筈だった。



―――よっし!当たる!!



そうオレが確信した時。ぼそり、とペインさんが言った気がした。








「―――――――――神羅天征」









一瞬、何が起きたのかオレには全く理解出来なかった。

全方位からの手裏剣も、何百体も出した影分身も、本体のオレも。
すべてが、[何か]によって吹き飛ばされてしまった。


「うぁああああああッ!!!」


恐らく、術の威力はかなり手加減をしてくれたのだろう。吹き飛んだ衝撃はさほど大きくは無かった。
吹き飛んだ衝撃は少なくとも、オレが受けたショックは大きかった。


絶対に当たったと思ったのに、すべてが一瞬で弾かれちまった。
なんなんだってばよ!あの術は!


アカデミーで習った(気がする)五大属性である、

火遁・風遁・雷遁・土遁・水遁。

そのどれにも当てはまるような術では無い気がする。
火遁や雷遁や水遁なら体に火が付いたり、痺れたり。びしょ濡れになったり。
風遁にしては風で吹き飛ばされた感じではないし、土遁で壁が出来たわけでも無い。

珍しく頭を使って考えるナルトだったが、さっぱり分からない。

――――オレが寝てる時の授業でこんな術も教えていたのかな?でも、オレは五代属性の授業はちゃーんと受けてたよな。


多分――――ペインさんだけのオリジナルか。




「印も何も結んでないのに!一体何なんだ、今のは!?」



「言ったろう、オレは強い。神なのだからな。人間は神には勝てはしない」



確かに、ペインさんはすっげェ強ェ。次元が違う気がする。
・・・でも。



「あんまり・・・、その、[神]って言うの、カッコよくないってばよ・・・」



つい、言ってしまった。見ると、小南さんが頭を抱えている。



「―――――――地爆天星!!」



やっちまった!またペインさんを怒らせちまった!
今度はさっきの弾く術とは正反対で、黒い球にすさまじい力で引っ張られた。



「ごめんなさいってばよぉぉぉぉぉおお!許してェェェェェェェエエ!!!!・・・・・・・・・・」



この人は怒らせないようにしよう。












あとがき



下忍になるまではだいぶ先になりそうだなぁ・・・



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 6話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/21 19:59





「お遊びは此処までだ・・・さっさと修行を始めるぞ」



謎の引っ張られる術を解いたペインさんは、相変わらずな無表情でそう言った。
オレをあんなにひどい目に合わせといて・・・お遊びかよ!


オレがめっちゃくちゃ強くなったら覚えてろ~、と思うナルトだった。









「―――ナルト君、アナタはチャクラを集中させる時に力みすぎる癖があるわ。だから水面に浮かぶ事が出来ない」


あれから修行を始めたオレは、チャクラを足に集中させて水の上に浮く練習をさせられている。
なんでも水面歩行は基本中の基本、これが出来なければ忍術もロクに使えないらしい。
影分身の術はチャクラ加減を間違えても分身が失敗したり分身体の数が多過ぎる様になるだけで、オレにはもともとのチャクラ量が多いので
分身の作り過ぎでチャクラ切れを起こす事はそうそう無いらしいのだが、問題は攻撃系の術だという。
火遁の術にせよ水遁にせよ、過剰なチャクラを用いて攻撃術を用いると、術が暴走を起こすことがあるらしい。
最悪の場合、自分が放った術で自分が命を落とすという情けない死に方をしてしまう。

そんなのは嫌だなー、と思いながら小南さんに注意された事に気を付けてもう一度水に浮いてみる。



じっと、足の裏に送るチャクラの量を一定に保つ。言うのは簡単だけど、実際に行動に移すのはとんでもなく難しい。
何度やっても途中で送るチャクラの量を多くし過ぎてしまう。




集中、集中――――――――――。







集中――――――――――――――――











――――あ、チョウチョだ。



ざぷん、という音と水飛沫と共に、ナルトの体が水に沈む。


「うわぁっぷ!!ま、また失敗だってばよぉーーー!」


「――――万象天引」



ペインさんがまたオレを水から引っ張り上げてくれた。さっきから、オレがこうして水に沈むと術を使って引っ張り上げてくれる。
なんだかんだで優しい人なのだろう。眼は、おっかないけど。


「・・・集中しろ。もう一度だ」


オッス、という声と共にナルトが再び水に浮き始めた。

















ナルトがペイン達と共に修行をしている同時刻、仮面の男――うちはマダラと名乗る男は考えていた。


(ナルトは元々のチャクラ量が多い。それに、九尾のチャクラが自由に使えるようになれば、その量はとんでもなく多くなる。

あいつは、長門と同じうずまき一族だからな・・・生命力は伊達では無いだろう。

写輪眼の移植、柱間の細胞の移植、それにあのジジイから預かった[アレ]の移植・・・

どれも無理な事ではないな。むしろ、全て可能かもしれん・・・

長門もあのジジイからあれを秘密で移植されてあそこまでなったからな。

九尾のチャクラにあの眼が加われば・・・九尾を無理矢理従わせて戦い敗れたあのジジイ以上になるだろう。

そうなれば、あの計画の為の最強の兵器になる)




ククククク・・・という男の声だけが、薄暗い建物の中に反響していた。







「ようやく立つ事は普通に出来る様になったか。次はその状態から水の上を歩いてみろ」


やっと浮かぶ時のチャクラのコントロールは出来る様になった。
ここまででもうヘトヘトだってばよ~。


「立つのは簡単だが、歩くとなると話は別だ。片足を浮かす時はもう片足に送るチャクラの量を多くする。

浮かした片足をまた水面に戻す時はまた最初のチャクラ分配に戻す。骨が折れるぞ」




ええええええええ!むしろ今までの簡単だったのーーーー!?




勘弁してよーーーーーーーーーー、というナルトの悲痛な叫び声が響く。















あとがき






トビの人格はいつ登場させるかな・・・
トビの人格の説明ってちょっと難しいですね~



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 7話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/01 00:17


神経を集中させる。


両足に分配するチャクラの量に気を取りながらも、目の前の無数の紙に意識を集中する。



どれだ。次はどの紙が飛んでくるんだ―――?



視界に映る紙の吹雪の中から、4つ。
手裏剣を象った紙、所謂紙手裏剣が飛んでくる。
紙手裏剣を回避する事に集中しながらも、両足に送るチャクラの量も決して忘れない。
4つを回避すると、次は8つ。
8つも何とか回避すると、今度はそれ以上。
数え切れない数の紙手裏剣がオレに向かって飛んでくる。


―――これを全て避けきるのは無理だ


そう本能的に察知したナルトは、術を発動させる。勿論、その間も足に送るチャクラの事は忘れない。



「多重――――」


ペインが驚愕の表情を浮かべる。


(まさか・・・水に浮かびながら影分身を発動する気か?今のナルトにはそんな芸当が出来る訳――)



「影分身の術!!!」


ボン、という音と共に現れた無数の分身体が、オリジナルのナルトを庇う様に取り囲む。
刹那、無数の紙手裏剣がナルト達を襲った。
ぐあ、イテッ、くそっ、等の様々な悲鳴が聞こえる。
数の暴力に成す術なく消えていくナルトの分身体。
吹き上がった水飛沫と消えた分身体から出た煙が舞い上がり周囲が真っ白に染まる。



「・・・合格だ」


「へへッ、やったっ・・・て、ばよ・・・」



煙幕が晴れると、中に居たオリジナルのナルトは未だ水の上に浮かんでいた。
疲れ果てたナルトが陸地に戻ると崩れ落ちる様に膝をつく。
しかし、その表情は満足そうな顔だった。


「・・・しかし、よくあの状況下で影分身を使う事が出来たな。火事場の馬鹿力という奴か?」



「馬鹿に・・・すんなっての・・・!オレだって修行の後、諦めないで一人で練習してたんだってばよ・・・!」



―――諦めない、か。先生に良く似ているな・・・


「あの数の紙手裏剣を全て防ぎきるとは予想していなかったわ・・・成長したわね、ナルト君」


紙吹雪の術を解いた小南がナルトの傍に来る。


「小南さんも・・・さっきのアレは死ぬかと思ったってばよぉ・・・」


「当然よ。当てる気で攻撃したもの。じゃないと修行にならないわ」


このおねーさんも・・・厳しいってばよ・・・
まぁ、おかげで大分チャクラコントロールも上達したし良しとしよう。


「さてと、ナルト。これでチャクラコントロールの修行は終わりだ。

今日はもう戻ってゆっくりと休むといい。明日からは俺達では無くマダラが修行をつけてやる筈だ。

明日までしっかりとチャクラを練っておけ」


「・・・おう!小南さんペインさんもありがと!!」



―――全く、あれだけ頑張っても元気な事だ・・・








次の日、早起きしたオレは考え事をしているらしい兄ちゃんをとっ捕まえて修行を開始させた。
早く火遁の術を教えて貰うってばよ!


「さて、ナルト・・・ペインから聞いたが、水上で影分身を発動させる事が出来るまでにはチャクラコントロールの

技術が成長した様だな。今日からあと3週間は火遁と雷遁、そして風遁の術を習得してもらう。

お前は人柱力・・・狙われる可能性も無くはないからな。引き出しは多い方が良い」


ヤッター!いろいろ教えて貰えるみたいだってばよ!
これでオレも強くなれる!


「と言っても、お前一人で3週間という短い期間で多彩な術を覚えるのは無理がある・・・」



「えー!!じゃあ教えてくんないの!?」



ブー、と不機嫌な顔をしてナルトが文句を言う。


―――やれやれ、昔のオレと同じく話を全く聞かない奴め・・・



「話を最後まで聞け、ナルト。オレはさっき、お前[一人]では無理と言ったろう・・・

つまりだ。一人じゃなければ良い」


「えー?どういうことだってば?」


「・・・影分身だ。影分身は消える時、その時に得た経験をオリジナルに還元する事が出来る。

この事を利用して、大勢に影分身し、一度に大量の分身体に練習させる。

チャクラ量の多いお前ならではの強引かつ無茶苦茶で最高の修行方法だ」


すげえ、影分身にそんな使い方があるのかー!!と感動したナルトだった。


「すげー!これでオレも一気に強くなるってばよ!!じゃあさ、じゃあさ!!

さっそく教えてくれってばよ!!」


せっかちな奴め、と思いながらも男はナルトを宥める。


「まあ落ち着け、ナルト。その前に、お前にこれから教えてやる術を見せてやる」


と、男が言った途端に、おー見せて見せて!!とはしゃぎ始めるナルト。
仮面の中でやれやれ、といった表情を浮かべた男は印を結び始めた。



「――――火遁」


すげえ印のスピードだ・・・目で追えねェ・・・!

印を結び終えた男は空へ向けて術を発動する。


「豪火球の術!!!」


刹那、凄まじい質量の火の球が空へと発射される。青空を覆い尽くす様な炎が空へ広がり、消える。




―――すげェ。これがアカデミーで先生が使ってた火遁の術と同じなんて。規模が桁違いだってばよ・・・


「・・・これはうちは一族でも使えてやっと一人前という基本的な術だ。使用チャクラは決して少なくは無いが、

威力は強力なものだ」


「すげえ・・・オレにもこんな凄い大きさに出来るの?」


「それは修行次第、と言ったところだな。最初は小さいサイズしか出来んだろうが、練習すれば相応の大きさを

作り出す事は出来るだろう・・・他にも、火遁を極めていくとこんな術も使えるようになる。

これは以前オレがあるうちはの男に教わったものだが・・・威力も使用チャクラも異質なものだ。

豪火球の究極系、と言ったものか」


言い終えると、兄ちゃんがチャクラを貯め始める。
さっきの豪火球の時とは比べ物にならないチャクラを貯めている。


すっげえ量だってばよ・・・何が始まるんだ?


三角形に作った印を結ぶと、兄ちゃんはそれを発動した。


「・・・・・・・・・火遁!」


発動する瞬間、凄い勢いの風が通り過ぎるような感覚がオレを襲った。

―――この術は、凄い。
本能で察知したナルトだった。





「――――――――――豪火滅却!!!!」




瞬間、ありえない規模の火の嵐が空を真っ赤に覆い尽くした。












あとがき


忙しくて中々更新出来ず・・・
連休を使います!



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 8話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/28 17:05


「「「「「「火遁・豪火球の術!!」」」」」」




・・・。






くっそー!影分身も大量に使って練習してるのにたまにしか成功しないってばよ!
印は間違ってないはずなんだけどなぁ・・・。
もう一回!!



「「「「「「「火遁・豪火球の術!!!!!」」」」」」」



ボフ、という音と共に何処からか小さな炎が上がった。


「あー!?また誰か成功したってばよ!」

「誰だー!誰が成功したんだ!」

「このナルト様に決まってるってばよ!!」

「みんなナルトだろ!!」




わーわー、ぎゃーぎゃーと喧しいナルト達の声が響く。
面の男は少しうんざりした様子だった。


―――少ない時間の中でナルトを強化するなら影分身を使うこの方法が一番手っ取り早く済むのだがな・・・

1人でさえ騒がしいナルトが数十体も居ると煩くてかなわん・・・



「ナルト、一度影分身を解いて一人でやってみろ。今なら出来る筈だ」



オッス、と元気な返事と共にナルトが影分身の術を解く。
ボフ、という音がすると、分身体が全て煙に消える。



「・・・ッ!!!はぁ・・・はァ・・・なんか・・・急に、疲れが来たってば・・・ッ」


「分身体が体験した出来事や疲れは全てオリジナルのお前に還元されるからな・・・

一気に経験値が得られる代償と言ったところか。

さてナルト、一度やってみろ」


「わか・・・った、ってばよ」


疲労困憊した様子のナルトだが、かなり慣れた手つきで印を結び始める。



「火遁・・・豪火球の術ッ!!!!」



ナルトの口から拳大の火の球が放出される。



「おー!!ホントだ!出来たー!・・・ショボイけど」


オレもいつかは、さっきの兄ちゃんみたいな凄ェ火遁を使いたいってばよ!



「上出来だ。大きさはどうあれまずは炎が出せれば良い・・・オリジナルがやり方を覚えれば次に出す影分身も

全員が方法を理解した状態で出てくるからな」


――と、言ってもナルトはもう限界か・・・



チャクラを使い果たし、汗だくになったナルトを見て、面の男は言った。



「今日はもう終わりだ、ナルト。お前のチャクラも無いだろう・・・

明日は豪火球を更に大きくする修行をするぞ・・・豪火球のやり方を忘れるなよ」



じゃあな、と言って兄ちゃんは空間を歪ませて消えた。
確か・・・じくーかん忍術とかなんとか言ってたっけな?オレもあんな便利な術が欲しいってばよ!















夜、与えられた部屋で印を結ぶ練習をしていると、何処からともなく大量のカラスが部屋に入ってきた。
真っ黒なカラスが一点に集まると、少しずつ人の形を模していく。
現れたのは・・・黒い衣に赤い雲が浮かぶマントを着た、男。ってことは・・・兄ちゃんの仲間か。
それに、あの赤い眼・・・たしか、写輪眼って言ったっけ。あれを持ってるってことは、兄ちゃんやサスケと同じ
うちは一族の人だって事だ。


万が一の事も考え、少し警戒しつつ、その男に尋ねる。


「・・・誰だってばよ」


「そう警戒しないでくれ、ナルト君。オレはうちはイタチ・・・君に頼みがあって来た」


「オレに・・・頼み??」


こんなに強そうな人がオレに頼み事?オレに出来る事なんてそうないってばよ・・・


「そうだ。君はもうすぐ木の葉隠れの里で下忍として動く事になっているんだろう?

そこで、頼みがある・・・他でも無い、うちはサスケの事についてだ」



―――うちはサスケ。アカデミーでは成績トップで人気もダントツ。
ただ・・・以前に川辺で見たサスケは、オレと同じ目をしていた、それが強く印象に残っている。
確か、噂では・・・うちはイタチとかいう奴にうちは一族を皆殺しにされて・・・その時生き残ったただ一人の
うちは一族だとか聞いた事がある。・・・?うちは、イタチ・・・って事は、この人が!?



「うちはイタチってことは、あんたが・・・うちは一族をみんな殺した人なのか?」


「・・・そうだ。その辺の事情は、口で説明するよりも視て貰った方が早いな・・・。

ナルト君、オレの眼を見てくれ」

言われた通り、イタチさんの赤い写輪眼を直視する。


―――幻術、写輪眼!!














あとがき


イタチさん登場!



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 9話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/04/29 22:21

「わかんねェ・・・」


あれからイタチさんの幻術によってオレはうちは一族がイタチさんに滅ぼされた理由を知った。
全ての原因は、うちは一族が木の葉の里に争いを仕掛けようとしたから。
だから、イタチさんは木の葉の里を護るために、自分の家族を含めたサスケ以外のうちはを殺した。



「オレにはわかんねェってばよ・・・なんで、そうまでして・・・」




イタチさんは自分の一族を犠牲にしてまであの里を護った。
オレにとっては憎しみの対象でしかないあの里を・・・。



「なんでそうまでして、あんな里の事を護るんだってばよ!?」



オレがいくら望んでも手に入らなかった両親を、この人は自らの手で殺している。
あんな絶望しかない木の葉の里の為に・・・。
そう考えると、何故か怒りが湧いてくる。オレは、イタチさんに向かって叫んでいた。




「自分の家族まで殺して!!大切な人だっていたんだろ!?

親も兄弟も居ないオレにはわかんねぇけどさ!!

とーちゃんの強さだって!!かーちゃんのあたたかさだって!!オレにはわかんねェ!!でも・・・あんたにはいたんだろ!?

羨ましくてしょうがなかったんだ!!両親が居るやつらが!!」



何時しか、涙が堪えられなくなった。
オレは泣きながら、目の前の男に向けて叫び続ける。
体の奥からドス黒いチャクラが浮き上がっていく気がした。


「オレだってとーちゃんやかーちゃん達と一緒に暮らしたかった!!

手ェつないで歩きたかった!毎日アカデミーの事で話をして褒めて貰いたかった!!

毎日ゴハン作って待ってて貰いたかった!!とーちゃんに修行をつけて貰いたかった!!

けど・・・だけど!!!オレには・・・生まれた時から、いねーんだ!!!!

それなのに!!あんたは、自分で・・・自分でその両親を殺したんだ!!!

オレにはどうやっても得られなかった愛情ってやつを!!

あんたは、あんな・・・あんな里の為に、あんな里を護る為に手放したんだ!

なんでだ!!なんで、あんなクソみたいな奴らしかいない木の葉の里の為に・・・

なんでだってば――――――――」


「落ち着け・・・・・・!」



イタチさんが手裏剣に見える模様に変わった写輪眼のような眼をオレに向ける。
何かを発動しているのか、真っ赤な二つの眼を見ていると、昂った感情が鎮まっていく気がした。
同時に、ドス黒いチャクラも体から消え去っていく。



「・・・っ、ゴメンだってばよ、イタチさん・・・オレ、なんか興奮しちまったみてーだ」

「構わないさ・・・溜め込んだ感情を吐き出すのも大事な事だ。あのままではナルト君の中の九尾が暴走しかねなかったから

止めさせて貰ったがな」



(―――ナルト君の中の九尾、普段は出てこない様だが・・・ナルト君の感情に呼応して暴走しようとする様だな。

今のままならオレの万華鏡でも抑えられるみたいだが・・・九尾が出かかってくると特殊な封印術でも無ければ抑えられなくなるだろうな)


それにしても、どの里でも人柱力の扱いが酷い事は知っているし、ナルト君が普段どんな噂をされているのかも木の葉の里にこっそり忍ばせた
諜報用のカラスによって知っていた。
だが・・・ナルト君が此処まで木の葉の里を憎んでいるとは。
人間は、憎しみを糧にした時にとんでもなく強くなる。
このままでは、ナルト君はマダラの手によってとてつもない力を手にしてしまうかもしれない。
その力をマダラが何の為に使うのかは明白だ。なんとしてでもそれは阻止しなければならない。
しかし、此処で下手に動けば・・・あの男の事だ。サスケに何をするか・・・



「イタチさん?」


「――――――!」


ナルトの声により、イタチは我に還った。



「なんで木の葉の里を護ったのかはまた今度じっくりと教えて貰うってばよ。

それより・・・オレへの頼み事ってやつを、教えてくれ」


「・・・あ、あぁ。さっきも言ったが、サスケの事についてだ。

サスケは・・・ナルト君がオレの幻術で視た通り、うちは一族抹殺の際にどうしても殺せなかったオレの大切な弟だ。

その弟が・・・とある危険な男に狙われるかもしれない。その男から、木の葉の忍である君にサスケを守って欲しい」


「ある、男・・・?」


「大蛇丸と言ってな。力を持った忍を誘拐しては実験にするといった事を繰り返す危険な男だ。

その大蛇丸が、写輪眼とうちは一族の体を狙っているという情報が入ってな・・・

今現在生き残っているうちは一族はオレとマダラとサスケの三人しか居ない。

その中で一番容易に狙う事が出来るのは・・・サスケだ」


オロチマル・・・聞いた事もない名前だけど・・・つまり、イタチさんは、サスケを狙う男からサスケを守って欲しいのか。
理由はどうあれ、家族を失ってしまったサスケは絶望を味わっている筈だ。
種類は違っても、サスケもオレと同じく憎しみを持っているかもしれない。



―――もしかしたら・・・友達になれるかもしれない


木の葉の里へ復讐する事を忘れ、ナルトは初めて得られるかもしれない友達というものを考えていた。



「事情は分かったけど・・・オレにサスケを守るほどの力は無いってばよ。今だって多分、サスケの方が強さは上だ」


「いや・・・ナルト君はマダラに忍術を教わっているのだろう?

奴は強い、それもとんでもなくな・・・恐らく奴に教われば強くなれるだろう。

それに、もしこの頼みを聞いてくれるのなら・・・オレもナルト君が強くなるのに手を貸そう」



手を貸すって・・・いいのか、イタチさん?オレは、あんたが一族を滅ぼしてまで護った里の事を潰す気で居るんだってばよ・・・

―――でも、イタチさんがどう思おうと関係ない。今は、どんな手を使っても、どんな手を借りてでも、強くなりたい。

それに・・・サスケとも友達になってみたいしな。



「・・・わかったってばよ。サスケの事はオレに任せてくれ」



「助かる・・・。それとな、これはその一件とは関係の無い事だが・・・

マダラは――――――ッ!?」


イタチさんは突然目をカッと開いた。・・・どうしたんだ?


「イタチさん?どうしたんだってばよ?」


「・・・いや、何でもない。じゃあ、マダラとの修行が終わったらナルト君の部屋へ行く。そうしたら休憩してオレと修行だ。・・・それではな」




そう言い終えると、イタチさんはまたカラスになって飛び去っていった。
あの術もかっこいいなあ、と思うナルトであった。








――――マダラめ、何時の間にオレに呪印を・・・ナルト君に絶対に九尾事件の犯人を教えない為か・・・!厄介な事になったな・・・




その出来事を地中から気配を消し観察していた緑色の物体がいた。


「イタチ・・・あの九尾の人柱力に何かを言おうとしたみたいだけど、言えなかったみたいだね」


「オソラク・・・マダラガイタチニナニカヲシタノダロウ。トニカクマダラニホウコクダ」











あとがき


このSSの設定での難関・・・木の葉の里が嫌いなナルトに木の葉の里の忍を守らせる、というもの・・・
なんか上手く文章にできませんでした・・・。後で修正するかもしれません。
次からはナルトを木の葉に戻して原作スタートです。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 10話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/01 00:32




「久しぶりだな・・・12年振りといった所か」



薄暗い空間の中、仮面の男が語りかける。男の目の前には、巨大な鉄格子が。
鉄格子には[封]と大きく書かれた紙が貼り付けてある。
暫くすると、鉄格子の中の巨大な何かがピクリ、と動きを見せた。



「キサマは・・・」


巨大な物体が姿を現す。
その姿は、九本の尾を纏った狐・・・九尾の狐。



「あの時ワシを操った仮面のガキ・・・!!」



悍ましい程の殺気を身に滾らせながら、九尾は目の前の男を赤い瞳で睨みつける。





「あの時はワシが自由になれる絶好のチャンスだったものを、キサマの所為で台無しだ・・・!!

ナルトを眠らせてワシの目の前にノコノコと姿を現しおって・・・ワシを舐めているのか!!!

此方へ来い!!クソガキが、八つ裂きにして喰らい尽くしてくれる!!!!」




グァァアアアア、と九尾は怒り狂った様子で叫ぶ。
仮面の男は、圧倒的な九尾の圧力に臆すること無く、続けた。



「残念だがな、九尾。お前はあの時、オレが操っていなくてもどの道四代目の死鬼封神によって封印されていた筈だ・・・

むしろ、オレはお前が大嫌いな木の葉の里への復讐の手伝いをしてやったと言ってもいいのだがな・・・

まぁそんな昔の事はどうでもいい・・・九尾。オレは今日、お前に話があって此処へ来た」


「ワシに話だと・・・?クソガキめ、ワシがキサマの話を聞くとでも――――」



「聞かないというのなら!」



九尾の言葉を遮る。その眼には写輪眼が浮かび上がっていた。





「聞かないと言うのならば、12年前同様、お前をこの眼で大人しい純情な子犬として操ってやる事も出来るが?」


「―――――ッ!!キサマ・・・」


流石にもう操られたくは無いのか、怒り狂っていた九尾が少し冷静になる。
体中から目の前の仮面の男に向けた殺気を放ったまま、九尾は男に話し始める。





「――チッ!あのうちはマダラといいキサマといい・・・これだからうちはのガキ共は好かん!!

まぁ、良い。キサマはナルトをワシ好みの憎しみの化身へと仕立て上げてくれそうな事もあるからな・・・

話だけは、聞いてやる・・・だがな、下らない話ならキサマをなんとしてでも殺してくれるぞ」



―――やはり、と仮面の男はニヤリとした。

やはり、この九尾の化け物は憎しみの塊で出来ているようだな。だからこそ、自分の母体であるナルトが憎しみに染まる事はこの化け物にとっては都合の良い話なのだろう。
写輪眼をかなり警戒している事もあるが、これは思ったよりも簡単に計画が進みそうだな・・・。



「話というのは他でもない。九尾・・・お前に取引がある。オレとお前、そしてナルト。全員にメリットがある取引だ」


取引、と聞いた九尾はさらに男へ対する殺気を増幅させた。


「取引だと・・・!?笑わせてくれる!!」



九尾は高笑いする。体からとんでもない量の殺気と赤いチャクラを放出しながら。


「クッハッハッハ!!!!キサマ、いつからワシにそんな事を持ちかけられる身分になったというのだ!

やはり所詮は身の程知らずのただのガキだったという事か!!」




どいつもこいつも、オレの周りには話を聞かない奴ばかりだ、と仮面の男はげんなりしながらも語り続ける。



「―――話を最後まで聞け、九尾。お前の目的はなんだ?」




「ワシの目的、だと・・・!?そんなもの、決まっておる!ワシをずっとこんな所へ閉じ込め続けた憎き木の葉の小僧共を片っ端から喰らい尽くす事!!

それと・・・もう1つ、このナルトをもっとワシ好みの憎しみの化け物として狂わせてやる事だ・・・!!!」



―――やはりな・・・!この化け物は思った以上に今のナルトを気に入っている。これならば話は早い・・・!




「そうか・・・やはりお前は憎しみの塊の様だな。オレもお前と同じ、憎しみに囚われた亡霊だ・・・!

オレの目的はな、このクソの様な今の世界を破壊し尽くし、一尾から九尾までの尾獣の力を使い、十尾を復活させる!

そして、オレは復活した十尾の人柱力となり、世界を征服する・・・!」




九尾が一転、驚愕の表情を浮かべた。




「十尾復活だと・・・!?キサマ、六道のジジイと同じ力を手に入れるつもりか」



「そうだ・・・オレは、六道の力を手に入れ、月にオレの眼を投写させる。

そして、月から[全世界の人間へ向けて幻術を掛ける]・・・!

今の腐れ切った世界をオレが新しく作り直してやる。これが、オレの・・・」














―――――――――――――――月の眼計画だ――――――――――――――――










「この計画達成の為には九尾、お前とナルトに協力してもらう必要がある。

取引と言うのはその事だ。オレの計画に力を貸せ。その代わりとして、木の葉を潰し、

お前を夢幻の幻術の中で永久に自由な身にさせてやろう」



話を聞き終えた九尾は暫くの間、沈黙を続けていると。


クックック・・・・・・・・と、静かに笑い始めた。


「ククク・・・ハッハッハ・・・ハーーーーーーーーーーーッハッハッハ!!!!!!!!

面白い!!!面白いぞ小僧!!!こんなに狂った小僧を見るのは久しぶりだ!!!!

面白いぞォ!!キサマはただのガキでは無かった様だな!!

フッハハハハハ!!!いいだろう!!!退屈ばかりの毎日だったが、久しぶりに面白い事になりそうだ!!

キサマの言いなりに成るのは腹が立つが、まぁいい!!ワシの力をお前に貸してやろう!!!!」








―――――勝った。









勝ったぞ。







オイ、ジジイ。否・・・[うちはマダラ]。








この計画、オレ達の勝ちだ――――――――――――

















あとがき


原作スタートと言ったな、あれは嘘だ。
すいません、先に書きたくなってしまったので・・・(汗)
原作でもキラービーと滝で修行した際のもう一人のナルトは九尾に気に入られていたので、こっちの九尾もナルトにデレデレ状態に
しようと思います。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 11話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/06 16:54








「ハイ、チーズ!」




忍者登録書の写真を撮り終えたナルトは完成した書類を三代目火影に見てもらっていた。




「・・・変な写真になるかと警戒しとったが・・・意外と真面目にとったんじゃのぉ、ナルト」



「あったりめーだろ!オレだって今日からは下忍なんだ、もうイタズラなんてしねーってばよ」




ホッホッホ、と三代目が微笑む。





(それにしても・・・この一ヶ月で随分と髪が伸びたようじゃの・・・可笑しな服装も変わって、まるで幼ない頃のミナトを見ているようじゃ)



「似合っておるぞ・・・その赤いマント。何処で買ったのじゃ?」



そう三代目が言った通り、今のナルトは服装も随分と変えていた。以前修行中に、そのマントオレも欲しい!と仮面の男に言ったところ、





―――これを着ているとオレたちの仲間だと言いふらしてまわるようなものだ。これはお前には渡せん・・・代わりにこいつをやる


そう言われて渡されたのが今の赤でフード付きの長いマントだった。ナルトのお気に入りである。





「あぁ、コレ?カッケーだろ」



木の葉の服屋に売ってたんだってばよ、と言い終わる前に誰かが乱入してきた。





「じじィ!!勝負だァコレ!!」




・・・変な格好のチビが手裏剣を持って叫んで入ってきた。その後また一人、男が入ってくる。




「ああ!また何てことを・・・あ!」



どて、ゴン、とチビがコケた。いってェェーーー!と喧しい声でまた叫ぶ。





「くっそぉおトラップか、コレ!?」



「だ、大丈夫でございますか!?お孫様!!ちなみにどこにもトラップはありません!!」






なんだ・・・こいつ等ってば・・・、と考えていると、二人がオレに気づいたらしい。
チビの方は分からないが、男の方はアカデミーで知っている。確か、エビスとか言ったはずだ。




「こ、・・・こいつは確か・・・」


(・・・フン!九尾のガキか・・・私の大嫌いな落ちこぼれだ・・・)




―――また、あの目か。オレの事を落ちこぼれのクズだとしか見ていない。嫌になってくる。





「そうか!!貴様が何かしたんだな、コレ!!」



暗い事を考えていると、突然チビから言いがかりを付けられた。つーか、テメーでこけただけだろ!!
人のせいにすんなっての!




「てめェが一人でこけただけだろーがコラァ!!!だいたいお前誰だってばよ!」



怒鳴ってチビの胸ぐらを掴むと、すかさずエビスがオレに向かって怒る。



「コラ!!ナルト!!手を放さないか!その方は三代目火影様のお孫さんの木の葉丸君だぞ!!」




じっちゃんの・・・孫?こんなのが?












「なぐれるもんならなぐってみろ!!」




木の葉丸は自分の胸ぐらを掴んでいる赤いマントを着た金髪の男にそう言った。
どうせオレの事なんか殴れっこない。どいつもこいつも、おんなじだ。この人だって、固まって・・・火影の孫って分かったとたんコレだもんな。
こいつもしょせんめがね教師やみんなと同じに決まってるんだ・・・



そんな事を考えていると、ゴチ、という音と共に頭に鈍い痛みが走った。





「ンなの知るかってばよボケ!!!」





・・・え?



「いってェェェェェェェェェェェェェェエエエエエ!!!!!!」














同時刻、仮面の男と何かが話をしていた。





「・・・ナルトの様子はどうだ?――――――ゼツ」






ズズズ・・・と、地面から生えるように出現したソレは、仮面の男と同じマントを着ている。

体の左右で白、黒と色が分かれている。




「ああ・・・今のところは上手くやってるみたいだよ」




「トッサニボロヲダサナイカガモンダイダガナ・・・」



左右によって人格が違うのか、全く違う声で二体がそう喋った。
仮面の男はフン、と一息入れると空間を歪め始めた。






「・・・引き続きナルトを見張っておけ。オレは少しやることがあるのでな」









あとがき



亀スピードで更新。
やっと原作入りできました・・・







[37328] もしもオレとお前が逆だったら 12話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/06 21:25








次の日、下忍試験合格者説明会の会場へと到着したオレは指定された席に着いた。あ、サスケが隣か。
しっかし・・・昨日は大変だったってばよ。なんでブン殴った相手に懐かれたんだ?





「アレ?ナルトォ!なんでお前がここにいんだよ!今日は合格者だけの説明会だぜ」



名前すらも覚えていない同期の一人に馬鹿にした様子でそう尋ねられた。
こいつ・・・受験したのはオレが最後だったから知らないのも仕方ないが、ハナっからオレが落ちるとしか考えていなかったみたいだな。
どいつもこいつも・・・ムカつくってばよ。



「お前さ・・・この額当てが目に入んねーのかよ」



苛立ちを出来るだけ抑えつつ返答する。




「なんだ・・・落ちこぼれのオマエでも合格出来たんだな!!まぁ試験簡単だったし当たり前だろ」




・・・こんなとこでつまんねー話をしてるくらいだったら、さっさと帰って兄ちゃんと修行したいのに。
もっと修行して色々な術を身に付けて・・・オレはあいつらにも苦しみを教えてやるんだ。

あと、イタチさんにも頼まれたのもあるし、オレ自身の為もあるし。偶然席が隣になったサスケとも仲良くしねーと。



そんな事を考えていると、何時の間にか目の前に少女が居る事に気がついた。
こちらへ向かって何かを話している。




「―――――ルト!ナルト!!!ちょっと!聞いてるの!?ねえ、ナルト!!そこをどけって言ってんの!」



キーキーうるせえってば・・・確か、春野サクラだったっけ。アカデミーでオレを異様に嫌っていた女の子だ。
この一ヶ月で色々な事が有り過ぎてアカデミーの同級生の名前もうろ覚えになってしまった。



「・・・せェってばよ」




「え!?何?聞こえないんだけど!!そんな事より早く―――」




「うるせェってばよ!サクラちゃん!!」




少しイライラしてしまい、キツい口調でそう言ってしまった。サクラちゃんが驚いた顔をする。


オレたちが裏で何をしているのかを悟られないため、なるべく今まで通りに皆と接しろ、と兄ちゃんに言われていたのだが、さっそく
失敗してしまった。
オレのひどい台詞に、サクラちゃんの周りの女子とサクラを好いている男子達が怒り始める。




「オイ!!ナルト!サクラちゃんにその態度はねーんじゃねぇのか!謝れよ!!」



「ナルト!あんたってサイッテーね!イライラしてるからって人に当たるなんて!」



「ドべの癖に調子に乗ってんじゃねーよ!」



「や、やめなよ・・・ナ、ナルト君がかわいそうだよ・・・」



「お前は酷い目に合わせてもいいってとーちゃん達が言ってたんだ!!いっぺん痛い目みせてやろうか!」







・・・あぁ、兄ちゃん。やっぱりこの里はダメだってばよ。
大人も、子供も。みんな・・・腐ってる。何言われても我慢するように言われてたけど・・・そんなの、無理だってば。
オレがもっと・・・強ければ。すぐにでもこんな里ぶっ潰してやる・・・





「・・・やってみろ。千倍にして返してやっからよ」



真紅の狐のような目に変わったナルトが鋭い目付きで相手を睨みつけた。
騒いでいた連中が一斉に静まり返る。




・・・この一ヶ月、オレは必死に修行して強くなったんだ。前とは比べ物にならねェくらいに・・・。
今のオレは落ちこぼれじゃねェ!お前らを倒す事だって簡単に――――



「やめてよ!!!」



突然誰かがそう叫んだ。・・・サクラちゃんだ。



「ナルトも落ち着いて!みんなも!なんでそんな酷い事言うの!?」



サクラちゃんに言われた連中が、でも・・・とか言い始めるが、サクラちゃんが遮る。


「私は別に気にしてないから!皆もうやめてよ!!」



アカデミーの頃からサスケサスケうるさいただの女の子だと思ってたけど・・・
どうやら違うみたいだってば。・・・オレも冷静にならねーと、兄ちゃんに言われてんだから。





「・・・ゴメンだってばよ、みんな。オレ、ちょっとイライラしちゃっててさ」














良かった。ナルトも皆も落ち着いたみたい・・・
それにしても・・・


(あれがナルトなの?・・・一ヶ月前とはなんか、雰囲気が違う・・・)


なんだか、凛々しくなったというか。
服装もダッサイ格好から赤いマントになってるし・・・


(・・・ちょっと、ほんとにちょっとだけど)



――――カッコイイかも・・・。












サクラが熱い眼差しでナルトを見つめている頃、サスケもナルトを見ていた。


(・・・なんだ?一瞬だが、ナルトから・・・凄い量のチャクラが放出された様な気がしたが・・・いや)


あいつはドべだ。そんな訳あるか、と考え直すサスケだった。











あとがき




モブキャラには原作より酷いキャラになって貰いました。
まぁモブだしいいよね!



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 13話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/12 20:44






「今日から君たちはめでたく一人前の忍者になったわけだが・・・しかしまだまだ新米の下忍

本当に大変なのはこれからだ!」



あれからしばらくして、イルカ先生が教室に入ってきた。
説明会はイルカ先生が説明するらしく、さっきから説明を続けている。



「えーーー・・・これからの君たちには里から任務が与えられるわけだが、今後は3人1組の班を作り・・・

各班ごとに一人ずつ上忍の先生が付き、その先生の指導のもと任務をこなしていくことになる」


イルカ先生がそう説明すると、教室がざわつき始めた。
この辺は兄ちゃんから聞いていたので知っている。出来れば・・・イタチさんの頼みもあるし、サスケと一緒の
班だったらいいってばよ・・・



―――ちィ、スリーマンセルか、足手まといが増えるだけだな・・・


とサスケ。



―――絶対!!サスケ君と一緒になるわよ!!


とサクラが考えていた。



「班は力のバランスが均等になるようこっちで決めた」


えー!!と皆からのブーイングが教室に響く。











「じゃ次!第七班、春野サクラ、うずまきナルト!それと・・・」


お、オレの名前が出たってばよ。
・・・サクラちゃんと一緒か。まあ他のうるさい女の子たちよりはマシだってばよ。
あと一人は誰だ?


(ん・・・?そういえば、さっきイルカ先生がバランスがどーたらこーたら言ってたような気が・・・)



だとしたら、成績がドべだったオレの班に入るのは・・・




「うちはサスケ!以上が第七班のメンバーだ!」



やっぱりだってばよ!ドべにくっつけるなら成績1位しかいないってば。
これで、イタチさんの頼みもオレの目的も達成しやすくなる。
サクラちゃんもしゃーんなろー!とか言って喜んでいる。ヘンな喜び方だな・・・



「ちょっと先生!どうして成績優秀なサスケくんがナルトと一緒なんですか!?」



当然のようにサスケの事を好いている女の子達がつっかかる。
ちょっと考えればわかるだろ・・・オレだって分かったんだから。
どうせ、自分が一緒になれなかったからイライラしているんだろう、あほな女だってばよ。



「・・・サスケは卒業生27名中1番の成績で卒業、ナルトはドべ!班の力を均等にするとしぜーんとこうなんだよ」




イルカ先生があほな女を落ち着かせると、珍しくサスケが話かけてきた。



「フン・・・せいぜいオレの足を引っ張ってくれるなよ、ドべ!」



「へッ・・・サスケェ、今のオレの力を知ってもびびって腰抜かすんじゃねーってばよ!」




ずびしっ、と自信満々に指を指して挑発をする。
すると、予想とは違い驚いた顔をする。・・・なんかオレ、驚くような事言ったか?
まぁいいってばよ。さっさとサスケにオレがもうドべじゃないってとこを見せてやんなきゃな。
・・・もちろん、兄ちゃん達の事は絶対に喋っちゃダメだけど。







ナルトの挑発を受けたサスケは、内心では動揺していた。


(この自信の持ち様に、さっきの一瞬感じた膨大なチャクラ・・・まさかな)



ナルトはもしかしたら強いのかもしれない、とは認めないサスケだった。


















「遅せえってばよ・・・」


「遅いわね・・・」


「チッ、ウスノロが・・・」





オレたち第七班のメンバーは口を揃えて愚痴をたれていた。
なんでこんな事になっているかというと、午後から来るはずのオレたちの担当上忍がなかなか来ないのだ。
他の班はもうみんな担当上忍が来て外へ出て行ってしまい、残るはオレたち第七班だけだ。
というか、もう予定時刻2時間過ぎてんだけど・・・。やっぱしこの里の大人はクソばかりだってばよ。




「このまま待ってても仕方ねぇってば・・・オレがじっちゃんに早く来させるよう言ってくる」



「言ってくる、って・・・アンタ、ここで待ってるように言われてんのよ?出かけてるうちに来たらどうすんのよ」




サクラちゃんの問いには答えずに影分身の術を発動する。ボン、という音と共にオレの分身体が1体だけ登場する。
こうすんだってばよ、とサクラちゃんに言うと、サスケとサクラちゃんが驚いた顔をする。
・・・オレが影分身の術を使うのがそんなに驚く事なのか?


「じゃ、オレの分身。じっちゃんに文句言ってこい」


おう、と言ってオレの分身は部屋から出て行った。・・・待つのは退屈だってばよ。















「おーい、じっちゃん!いるかー」


「なんじゃいナルト。お主なんでここにおる?」


なんじゃいとはなんじゃいってばよ。それはこっちのセリフだってば。
二時間もあれば修行が出来たのに・・・もったいない。



「オレたちの班の担当上忍がぜんっぜん来ないんだけど!どうなってんだってばよ!」



「ナルトの班というと・・・第七班。担当は・・・カカシか」



じっちゃんがゲンナリした顔をする。なんだ・・・?ひょっとしてなんか問題でもあるやつなのか?



「ふむぅ・・・ナルトよ。スマンが、もう少し待っていてくれ。あやつは少し遅刻癖があるのでな」



少し!?2時間待たせて少しだってば!?
もう我慢ならねえってばよ!その上忍が来たらひでェ目にあわせてやる!








じゃあね、と言ってナルトが煙となって消えた。・・・影分身だったのじゃのぉ。



(しかし・・・事情があるとは言え、少しカカシにも遅れぬよう言っておかねばな・・・)



フゥ、とため息をついて三代目火影は窓から空を仰いだ。





[37328] もしもオレとお前が逆だったら 14話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/18 18:44





「いやー、みんなゴメンねー。ちょこーっとだけ遅れ―――――」


「うらあッ!!!水遁・水浴びせの術!!!」




バッシャアアアア!とマスクを被った銀髪の忍者、はたけカカシの全身に水が襲いかかる。
ドアを開けたとたんの突然の出来事に成す術なく頭から水を浴びるカカシ。
びしょびしょに濡れたカカシが、ナルト達へと問う。


「・・・おーい、お前達。これは、どういうことかな?」



ニコニコしながら少しの怒気を含んだ口調でナルトへ言った。
突然理由も無く(と、彼は思っている)水を掛けられたのだから、当然だろう。
ちなみに先ほどナルトが使ったのは術では無く唯のバケツの水である。



「3時間も遅れて来たくせにオレがなんもしねーと思うなってばよ!これはイタズラじゃねェ、セイサイだ!」



イライラした表情と口調でナルトが叫んだ。


(まったくよー、3時間もあったらどれだけ修行出来んだと思ってんだってば!あーあ、兄ちゃんのとこに帰りてェってば」




「先生、ごめんなさい。私は止めたんですがナルト君が・・・」


申し訳なさそうな顔でサクラがカカシに説明するが、内心ではガッツポーズをしたい気分であった。


(しゃーんなろー!!!あんだけ私たちを待たせて置いて反省も無しだもの、ざまあないわね!!)




「・・・チッ、ウスノロが」



(・・・これで本当に上忍か?頼りなさそうな奴だな・・・)



三人の子供達のうち二人から辛酸な言葉を投げかけられ、少しガックシとなったカカシ。
尊敬していた四代目火影の息子がいる班だと聞いて三代目から担当上忍の任務を受けたが、早くも後悔していた。


――――まさか、あの四代目の息子がこんなやんちゃ坊主だとはね・・・。



「ん――――――・・・なんて言うのかな、お前らの第一印象は・・・・・・嫌いだ!!」


アンタに言われたくねぇ、と第七班の三人は同じことを考えていた。








場所は移って忍者アカデミー屋上。
ナルト、サスケ、サクラ、そしてカカシの4人は対面して話を続けていた。
ナルトの機嫌も、サクラに何度も宥められたので現在では元に戻っている。
さて、とひと呼吸おいてカカシが三人へと言った。



「そうだな・・・まずは自己紹介してもらおう」



「・・・どんな事言えばいいの?」



「・・・そりゃあ好きなもの、嫌いなもの・・・将来の夢とか・・・ま!そんなのだ」



―――自己紹介か。兄ちゃんに言わてるし、あんまし下手な事は言えねーってばよ。


何故かは分からないが、俺が兄ちゃん達の組織へ入っている事が万が一木の葉の里へとばれてしまうと大変な事になるらしい。
まー、オレが強くなって木の葉へ復讐するその時までは絶対に隠しておくってばよ。
それにしても、夢か・・・とりあえずこの場では火影になりたいとか言っておくか。
一番妥当で安直な夢だし、変には思われないだろう。と、その前に、このカカシ先生について聞いておくってば。
担当上忍の事も兄ちゃんには報告しないといけないし・・・。


「あのさ!あのさ!それより先に先生、自分のこと紹介してくれよ!」



「そうね・・・見た目ちょっとあやしいし」



あやしい、と言われたカカシがまたガックシする。



「あ・・・オレは[はたけカカシ]って名前だ。好き嫌いをお前らに教えるつもりはない!将来の夢・・・って言われてもなぁ・・・

ま!趣味はいろいろだ・・・・・・」



・・・おいおい、なんだってばよその自己紹介は。名前しかわかんねーぞ。
この人は自己紹介ってもんを知らないのか??



「ねェ・・・結局わかったの、名前だけじゃない・・・?」



ぼそり、とサクラちゃんがオレが考えていた言葉を呟いた。
こんなんじゃ・・・兄ちゃんになんにも報告できねーじゃねェか・・・。



「じゃあさ・・・カカシ先生、忍術とかは何が使えんの?」



「忍術か?ま、いろいろとな・・・あとで分かる」



また答えになってねーってばよ・・・後で分かる、ってのはどーいう事なんだ?
どんな術使うのかも気になるし、一度でいいから戦ってみたいってば。


「じゃ、次はお前らだ。左から順に・・・」



「はい、私は春野サクラ。好きなものはぁ・・・ってゆーかぁ、好きな人は・・・えーとぉ・・・

・・・将来の夢も言っちゃおうかなぁ・・・キャーーーーーー!!」


サスケの方をチラチラ見ながら頬を薄桃色に赤らめるサクラを見て、カカシは思った。



(・・・この年頃の女の子は、忍術より恋愛だな・・・)



「なるほどね・・・次!」



カカシが次を催促すると、中央に座っていたサスケが自己紹介を始める。



「・・・名はうちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが好きなものは別にない。それから・・・

夢なんて言葉で終わらす気は野望はある!一族の復興と、ある男を必ず・・・・・・・・・殺す事だ」



サスケの自己紹介を聴き終えると、カカシは顔をしかめる。



――――――やはりな。サスケ・・・あの事件の事をかなり・・・。




ナルトもカカシと同じ事を考えていた。


―――――サスケェ。やっぱりお前、イタチさんを・・・。悪いのはイタチさんじゃねェ、木の葉のやつらなのに・・・。


教えて誤解を解いてやりたいが、あいにくイタチさんに口止めをされてしまっている。
・・・なんでイタチさんは、そうまでして全部自分で背負うんだ・・・。









「・・・・・・最後、お前だ」



・・・おっと、いよいよオレの番か。だいたい言う事は決まってる。
火影になりたいと言っておけばいい事と、あとは考えていることと逆の事を言えばいいんだ。




「オレはうずまきナルト!好きなものは火影のじっちゃんやイルカせんせーみたいな優しくて強ェ忍者!

嫌いなものは勉強と野菜!」


(・・・オレはうずまきナルト。好きなものは力と兄ちゃん達組織の皆。嫌いなものは木の葉の里)




努めて明るい表情で自己紹介を続けるナルト。しかし、内心では黒い感情が渦巻いている。




「将来の夢はァ、火影になる!!そして、今までのどの火影よりも強くなる!ンでもって、里の奴ら全員にオレの

存在を認めさせてやるんだ!!!」




(将来の夢・・・兄ちゃん達ともっともっと修行して強くなる。この里のどの忍者よりも・・・そして・・・

木の葉の里を・・・・・・・・・潰す!)





ナルトの本当の心の内が読めないカカシは、素直に、


(なかなかおもしろい成長をしたな・・・こいつ)


と、そんな感想を持つ事しか出来なかった。



ナルトの心の内が読める人間は、この里には存在しなかった。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 15話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/18 20:31




「よし!自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ」



「はっ、どんな任務でありますか!?」


ずびしっ、と素早く敬礼のポーズを取ったナルトがカカシに問う。



(班ができてからいきなりの任務か・・・どうでもいいけど早く帰って修行したいなぁ・・・)





「まずは、この四人だけであることをやる」


「なに?なに?」


「―――サバイバル演習だ」



・・・サバイバル演習だって?なんだそりゃ・・・アカデミーでやってた演習と何か違うのか?
まぁでも、もしも強くなれるのならなんだって素直にやってやるってばよ・・・



「なんで任務で演習やんのよ?演習なら忍者学校でさんざんやったわよ!」


当然の質問がサクラちゃんから出る。この子はオレが聞きたい事を直ぐに聞いてくれるから便利だ・・・



「相手はオレだが、ただの演習じゃない」


「じゃあさ!じゃあさ!どんな演習なの?」


と聞くとカカシ先生は、ククク・・・と笑い始めた。あ、この笑い方・・・兄ちゃんにすげー似てるってばよ。
なーんか、なんというか・・・このカカシ先生と兄ちゃんは似てるところがあるってば・・・。
ま、兄ちゃんはこの人と違って遅刻したりはしねーけどな!



「ちょっと!何がおかしいのよ、先生!?」



「いや・・・ま!ただな・・・俺がこれ言ったらお前ら絶対引くから」



サクラちゃんの問いに対し、更に笑いを深めるカカシ先生。
引く・・・?何を言うつもりなんだ・・・?

まさか、6時間ずっと幻術に耐え続けるとか、攻撃が全部弾かれる人と戦うとか、紙を手裏剣にしてすげェ沢山
投げてくるやつを全部かわすとか、習ったばっかりの術を一日で実践に使えるようにするとか、そんな事か・・・?


うっへぇ、思い出すだけでぶるぶるするってばよ・・・。
この一ヶ月ですっげェ大変な事してたんだなぁ・・・オレってば・・・。



「―――卒業生27名中下忍と認められる者はわずか9名、残り18名は再び学校へ戻される。

この演習は脱落率66%以上の超難関試験だ!」




・・・ってなんだ、何をいうのかと思ったらそんな事か。
兄ちゃん達と修行してたオレはちょっとやそっとじゃ驚かないってばよ!
って、あ・・・サクラちゃんとサスケがドン引きしてる。オレも一応引いた顔をしとかないと・・・。


「ハハハ、ホラ引いた」



「ンなバカな!!あれだけ苦労して・・・じゃ!なんのための卒業試験なんだってばよ!」



「あ!あれか・・・下忍になる可能性のある者を選抜するだけ。とにかく明日は演習場でお前らの合否を判断する。

忍び道具一式持って来い。それと朝飯は抜いて来い・・・吐くぞ!」



カカシ先生との演習って事は・・・カカシ先生と戦うのか!?
という事は・・・この一ヶ月でオレの実力がどれだけ木の葉の上忍に届くのかを試せる絶好の機会だってばよ!
カカシ先生を倒せれば木の葉の上忍に届くって事だし・・・。
怪しまれない程度で思いっきり戦うってばよ!!



「くわしいことはプリントに書いといたから明日遅れて来ないよーに!」



カカシせんせェ・・・アンタには言われたくねーってばよ・・・。
9時に集合か・・・11時くらいに来ればいいってばよ。

じゃあ明日な、と言ってカカシ先生は一瞬で消えた。確か・・・瞬身の術、だったっけ。
あれをやられたら反応できなそうだってば・・・ホントに明日まともに戦えるかな・・・。










次の日、予定時刻より二時間遅らせて集合場所に行くと、案の定まだカカシ先生は来ていなかった。・・・やっぱりな。
サクラちゃんには遅い、と文句を言われちまったが寝坊しちゃったーと言ってごまかした。
それにしても・・・なんでこんなに来るのが遅いんだってばよ・・・。





それから10分程すると、やっとカカシ先生がやってきた。


「やーーーーー諸君おはよう!」


「「おっそーい!!!」」







「よし!12時セットOK!!」


時計をいじっていたカカシ先生がそう言った。何なんだ・・・?



「ここにスズが2つある・・・これをオレから昼までに奪い取る事が課題だ。もし昼までにオレからスズを

奪えなかった奴は、メシ抜き!あの丸太に縛り付けた上に目の前でオレが弁当を食うから」



ナルト、サスケ、サクラの三人のお腹がぎゅるるるるる、と鳴った。


朝飯食うなってはそういうことだったのかってばよ・・・



「スズは一人1つでいい。2つしかないから・・・必然的に一人丸太行きになる・・・で!スズを取れない奴は

任務失敗って事で失格だ!つまり、この中で最低でも一人は学校へ戻ってもらうことになるわけだ・・・」



下忍になれなきゃオレ達の計画が上手くいかなくなっちまうってばよ・・・
これで全力出したことへの兄ちゃんへの言い訳も出来るし、思いっきりやるってば!


「手裏剣使ってもいいぞ。オレを殺すつもりで来ないと取れないからな」



「でも!危ないわよ先生!!」



「そう、そう!バケツの水を頭から被った先生に手裏剣なんか投げたら本当に殺しちまうってばよ!」



「そう強がるなよ。世間じゃさぁ・・・実力のない奴にかぎってホエたがる。ま・・・ドべはほっといて

よーいスタートの合図で」



こいつも・・・オレをドべって呼びやがって!オレの苦労も何も知らねェ癖しやがって・・・ムカつくってば!
こうなったら、目にもの見せてやる!



オレは腰のホルスターからクナイを取り出すと、印を結び始める。
サクラちゃんが、え!と驚いた声を上げるが、気にせず術を発動しようとする。

――――――が。


「多重・影分身の―――ッ!?」


印を結ぼうとした手を掴まれた。何時の間にか、カカシ先生がオレの真後ろに立っている。



―――速ェ・・・。



「そうあわてんなよ、スタートはまだ言ってないだろ」



(うそ・・・まるで見えなかった!)


(・・・これが上忍か・・・)


サクラとサスケも、ナルト同様に驚いた顔をする。



「でも、ま・・・オレを殺るつもりで来る気になったようだな・・・やっとオレを認めてくれたかな?

ククク・・・なんだかな、やっとお前らを好きになれそうだ・・・」



・・・そうか。カカシ先生・・・わざとオレを怒らせて、オレを、いや、オレたちを本気で来させるようにしたのか。
この人・・・やっぱりやり方が兄ちゃんに似てるってばよ・・・。




「・・・じゃ、始めるぞ!」




さぁ、木の葉の上忍と戦うのは初めてだ・・・オレがこの一ヶ月でどこまで強くなったのか
どこまで今の実力がこの人に通用するのか・・・それを試す絶好のチャンスだってばよ!




「・・・よーい・・・」



グッ、とナルト、サスケ、サクラの三人は緊張した表情でスタートを待つ。
ナルトとサスケは少し嬉しそうな表情をしている。




「―――――――スタート!!!!」





ザッ、という音と共に全員がその場から散開した。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 16話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/19 11:58




「忍たる者―――基本は気配を消し、隠れるべし」



カカシは全員が隠れたのを確認すると、周囲に聞こえる様大きな声で言った。


―――よし、みんなうまく隠れたな。

さて・・・誰が最初に動き始めるかな・・・?まぁ、十中八九あいつだろうけど・・・




「いざ尋常に、勝~~~~~~~~~負!!」




・・・やっぱりか。全く・・・見た目は先生にそっくりだけど、中身は完全にガキんちょだな・・・。
さぁて、オレが少しお灸を添えてやりますか。


「あのさァ・・・お前、ちっとズレとるのォ・・・」




カカシが呆れているその頃、物陰で様子を伺っていたサスケも同時に呆れていた。


(・・・あのウスラトンカチ・・・・・・。やっぱりあのとき感じたのは気のせいだったか。

まぁいい。あいつがカカシの気を引いている間にスズを奪い取るか)







カカシ先生にはズレてるとか言われちまったが、オレも考え無しにとびこんだ訳じゃない。
まずは様子を見るってばよ・・・。
と、走って近づこうとすると、カカシ先生はホルスターへ手を伸ばした。
・・・何を出すんだ??




「忍戦術の心得その1・・・体術!!・・・を、教えてやる」



・・・体術、って・・・武器取り出そうとしてないか・・・?それとも、何か別のものを出すのか?

オレがカカシ先生の出方を伺っていると、カカシ先生は[それ]を取り出した。


・・・・・・・・・は?イチャイチャ・・・パラダイス?
なんだアレ・・・本か?本だってばよ、どう考えても・・・。どういう事だ?



「・・・?どうした、早くかかって来いって」



「・・・いや、そうしたいのはやまやまなんだけど・・・なんで?なんで、本なんか・・・」


「なんでって・・・本の続きが気になったからだよ。別に気にすんな・・・お前らとじゃ、本読んでても関係ないから」




・・・・・・。



コイツ・・・コイツ!!!!


オレの事思いっきり舐めてやがるってばよ!!!


くっそ・・・ここまで舐められるとすっげェムカつくってばよ!もう容赦しねェ!!




「ボッコボコにしてやる・・・!」





一発目の右手でのパンチがカカシ先生の左手で簡単に受け止められる。
すかさず、二発目のキックを出すがこれも簡単に躱されてしまった。
くっそ・・・やっぱり体術は全然当たらねぇってばよ・・・。
次の一発を出す前に、カカシ先生に裏に回り込まれてしまった。




「忍者が何度も後ろ取られんな、バカ」








ナルトが戦っている光景を離れたところから見ていたサクラとサスケは、カカシが印を結んでいる事に気がついた。


(・・・え!?あの手の構えって、虎の印!?・・・え?・・・うそ・・・ナルト相手にいくら何でもその忍術は!!)


(まさか・・・あの印は火遁の・・・。教師のヤロー、逃げ回るだけじゃないのか・・・)



ナルトを心配したサクラが物陰から抜け出して大声で叫んだ。



「ナルトーーーーーー!!早く逃げなさいって!!!アンタ死ぬわよォ!!!」


ナルトが、え?とサクラの方を見るが、既にカカシは準備を終えていた。




「――――――遅い」



ナルトが振り返る、その前にカカシは[それ]を発動した。



「木ノ葉隠れ秘伝体術奥義!!!千年殺し~~~~~~っ!!」



と、それを喰らったナルトが、ぎいやああああああああああああああ、と叫んで飛び上がる。


それを見ていたサクラはボソリ、と呟いた。



「なんだァ・・・忍術じゃないのかァ・・・何が奥義よ・・・ただのモノスゴイ[カンチョウ]じゃない」


そう、ナルトが食らったのは、忍術などではなく、ただの浣腸だった。ただし、そこは上忍、腕のスピードが
桁外れなので、浣腸も凄い威力を発揮する。



さすがのサスケも少し汗をかいて見ていた。


「・・・・・・・・・。ウスラトンカチが二人・・・フン!」













その瞬間、その場に居合わせた三人が誰もが考えていない事が起こった。
浣腸を喰らい空高く飛んでいたナルトが、ボン、という音と煙と共に消えたのだ。
カカシ、サスケ、サクラの三人は、ナルトが影分身でずっと戦っていたとは全く考えていなかった。




(――――――!?影分身、だと・・・?まさか、あんなに長時間を影分身で戦っていたのか!?あのナルトが・・・)



(・・・え!?ナルト、今まで影分身だったの!?全然そんな風には見えなかったのに・・・!)


(・・・あのウスラトンカチ・・・!)




予想外の出来事に固まったカカシだったが、直ぐに思考を復活させると、実体のナルトを探し始めた。



(・・・まさか、あいつがあんなに影分身を長く使えるとは思わなかったが・・・本体はどこ――――)




考え終える前に、突然近くの川の中から小さな青白い球が3つほどこちらへ向かって飛び出してきた。
なっ・・・!!あれは、雷遁・小雷弾・・・!初歩的な雷遁忍術で使用チャクラもそう多くはない・・・が!
何故、ナルトがアレを使える・・・?


驚く間も無く、ナルトが水中から飛び出してきた。




「カカシせんせェ!!散々オレをバカにしてくれたお礼はしっかりしてやるってばよ!!」



そう言うと、ナルトがまた印を結び始める。あれも、雷遁か・・・!今度はなんだ!?

印を結び終えたナルトがこちらへなかなかのスピードで近づいてくる。
そのまま、術を発動した。



「雷遁・電磁波の術!!」



そう言うと、ナルトの周囲から微弱な電気がこちらへ流れて来た。・・・なんだ、あの術は?
距離をとってその電擊を避けると、ナルトが悔しそうにする。



「・・・ちぇっ!やっぱ、単体じゃあ全然当たらねェってばよ・・・なら!!多重!影分身の術!!!」



ボボボボボボン、と数十体のナルトの影分身がオレの周囲を取り囲む。
なんだ・・・!?ナルトの奴、影分身をこんなに・・・!こんな量の影分身を出したら、あっという間にチャクラが切れる筈・・・!
やはり・・・九尾の人柱力・・・!チャクラ量は半端ではないという事か・・・!!




「「「「「雷遁・電磁壁の術!!!!!!」」」」



今度は周囲の影分身全体から微弱な電気がこちらへ放出された。
くッ・・・こうなったら、仕方ない!


「――――――――風遁・真空渦!!」


オレを取り囲んでいたナルトの影分身達が風の渦によって消えていく。




「ああああぁあぁあぁあ!!!あとちょっとで当たったのに!!」


ナルトが悔しそうに叫ぶ。しかし、弱い雷遁とは言え、ナルトが雷遁を使えるとは・・・。
このままじゃずっとナルトの相手をする事になってしまうので、ここらでナルトには退場してもらおう・・・。



ナルトが悔しがっている頃、いつの間にか術を発動していたカカシが地中からナルトの足を掴む。
うわぁっ、と驚くナルトをそのまま地中に引きずり込むと、頭だけを出させてそのまま放置した。



「・・・土遁・心中斬首の術、っと・・・。ま!ナルト!お前は良くやったが、ここで大人しく埋まっといてちょーだい!」



出せ!出せェェェェェェェエエエ!と叫ぶナルトを一瞥すると、他の二人を探し始める。




(―――――まったく、何がドべですかね・・・・・・)





――――四代目火影・・・やはり、先生の血は確実にこの子に受け継がれている様です・・・。














あとがき


久しぶりのあとがき。雷遁の忍術が原作だと凄いのしか無いのでオリジナルをやっちゃいました。

というか、雷遁以外の術でもナルトって初歩的な5遁忍術ほとんど無いよね・・・。



[37328] もしもオレとお前が逆だったら 17話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/20 01:01

ナルトがカカシ先生にやられてしまったので、私はひとまずその場から撤退する事にした。
・・・それにしても、さっきのナルト・・・いつの間にあんな術を覚えていたのね。
ちょっと・・・カッコよかったな。


それより、サスケ君は何処にいるのかな・・・まさか、もう今頃先生に・・・。
イヤ!サスケ君に限ってそんなことないわよねっ!

そんな事を考えていると、前方に先生がいる事に気がついた。
・・・しめた!本に夢中でこっちに全く気づいてない!!
今のうちに・・・腰についてるスズを何とかして取らないと――――――



「サクラ、後ろ」



――――え?



振り向くと、そこにはカカシ先生がいた。・・・え!?さっきまですぐそこにいたのに・・・!
まさか、最初から気づかれていたの・・・!?


と、驚いて固まっていると、いつの間にか意識がぼやけていた。
朦朧とした意識の中、後ろから声が聞こえた。



「―――――サクラ・・・」




・・・!この声は、間違いない!愛しのサスケ君だわ!!



「・・・サスケ君!!」


はっきりとしない意識の中、パッと後ろを振り返る。
振り向いた私は、自分の目を疑った。



「・・・サ・・・・・・・・・サク・・・ラぁ・・・た・・・助けて・・・くれ・・・」



・・・・・・・・・え?



確かに、その人はサスケ君に違いなかった。
でも・・・体中がボロボロで、左手が切断され、手裏剣やクナイがいたるところに刺さっており、血だらけだった。
大好きな人の、満身創痍なその状態を見て、私の意識は飛んでいった。






「―――あぎゃああああああああああああああああ!!!」










ナルトが捕まった後、オレは一旦その場を離れて作戦を考えていた。
しかし・・・まさか、あのナルトが雷遁を使えるとは。
やはり、あの時感じたモノは勘違いでは無かったのかもしれねェな・・・。



ふと、遠くから下品な叫び声が響いてきた。
・・・今の声、サクラか・・・。あいつ、やられた様だな・・・まぁ、当然だろう。
くの一トップだとはいえ、所詮は恋愛にうつつを抜かしているバカな女だ。





「・・・・・・少し、やりすぎたか・・・・・・」





カカシの呟く声が聞こえた。フン・・・やっと、オレの番って訳か・・・。






「忍戦術の心得、その2。幻術・・・。サクラの奴、簡単にひっかかっちゃってな・・・」



チャリン、と目的の物であるスズの音色が静かに鳴り響いた。

―――幻術か・・・、一種の幻覚催眠法・・・あいつならひっかかるのも無理ねーな・・・。
しかし・・・。




すぐ背後で呑気に本を読んでいるであろうカカシへと言う。



「――――オレはあいつらとは違うぜ・・・」



「・・・そういうのはスズをとってからにしろ」




フン・・・そのつもりだ。残念だが、カカシ。アンタは此処で無様にスズを奪われる事になるんだぜ・・・。



振り返り、想像通り本を読んでいたカカシと対峙する。




「里一番のエリート、うちは一族の力・・・楽しみだなぁ・・・」




相変わらずののほほんとした口調でカカシが言う。フン・・・余裕でいられるのも今のうちだぜ・・・。
アカデミー卒業から一ヶ月、オレはひたすら修行の日々を送った。
あんな忍者学校でやっていたヌルい授業とは違ェ・・・!オレは一ヶ月でかなり成長した。



それでは、ご希望通り見せてやろう・・・!うちは一族の、このオレの力を・・・!!













ホルスターから取り出した数本の手裏剣をカカシへ向けて投げる。
当然、真正面からの手裏剣など当たるハズも無く、全てがひらりと躱された。



「バカ正直に攻撃してもダメだよ」



フン・・・甘い。このオレが何の考えも無く手裏剣を投げたと思ったら大間違いだぜ・・・!


投げた手裏剣は、寸分の狂いも無く、オレがこっそり草むらの間に張っておいたロープを切断する。
ロープが切断された事により、あらかじめセットしたトラップが作動し、カカシの立っている場所へ向かって千本がいくつも襲いかかる。
驚いたカカシだが、すかさずジャンプする事により千本を回避した。




――――――かかった!


ジャンプからの着地の際はどうしても硬直する時間が生まれる。
そこへあらかじめ待機しておき、着地の瞬間に背後から左足で蹴りを入れた。
その蹴りもガードされてしまい、更に左足を掴まれた。



(・・・チィ!流石は、上忍といったところか・・・ここまでの多重トラップを全てガードされるとは・・・だが!)


左足を掴まれたまま、右手をカカシへ向けて振り下ろす。当然、その手も掴まれてしまうが、その体制から右足で蹴りを放つ。
その蹴りもカカシの右手によってガードされた。・・・へっ!甘い・・・・・・!
オレは右手、両足をカカシに阻まれている。対するカカシは、両手を防御へ使ってしまっている。
この状況・・・もう回避する手段は無ェ・・・!
かなり辛い体制ではあるが、大した問題ではない。唯一自由な左手をカカシの腰についているスズへ向けて伸ばした。




――――チャリン!




スズが奪われる、寸前のところでカカシが腰を引いてサスケの伸ばした左手を回避する。
サスケは悔しそうな顔をするが、カカシもかなり焦った顔をしていた。




(・・・なんて奴だ・・・・・・!イチャイチャパラダイスを読むヒマがない)









――――チィ!!クソ・・・あとほんの少しだった!
あとほんの少し手を伸ばしていれば届いた筈なのに・・・流石、あんなナリでも木の葉の上忍って訳か・・・。




「―――ま!あの二人・・・いや、一人とは違うってのは認めてやるよ」





一人・・・・・・ナルトとは違わねェ・・・そういう事か。
チッ!確かにあのナルトは何処か凄ェところがあるのは認めてやるが、オレがあいつと同じだってのは死んでも認めねェ・・・!






(・・・こうなったら・・・アレを使うか!)




フン、と鼻で笑うと、バババッ、とサスケはかなりのスピードで印を結び始めた。





(―――――馬!虎ァ!!)




「なっ・・・なにィ!!」




カカシが驚愕の表情を浮かべる。・・・へッ、もう、遅ぇ・・・・・・!!





(―――――火遁!豪火球の術!!)






刹那、ボウ!という音と共に特大サイズの火の球がカカシを目掛けて放出される。
地面を抉るほどの威力の火球は、サスケの前方全てをその火で焼き尽くした。




(・・・・・・フン、やったか・・・?)



モク、モク、と豪火球によって上がった煙が晴れていく。
煙が晴れていくと、そこには焼け焦げたあのマヌケな上忍が・・・・・・いない!?

―――後方!?いや、上か!?・・・どこだ!?



目の前から突然消えたカカシを探してサスケが周囲をキョロキョロするが、全く見つかる様子は無い。

探し続けるサスケの、すぐ近くからカカシの声がした。






「―――――――下だ」



・・・!?まさか・・・ッ!!


驚いて直ぐにその場から離れようとするが、すかさず地面から生えてきた手がオレの左足を力強く掴んだ。




「土遁・心中斬首の術・・・」




チィ、やはりかッ・・・!ついさっきナルトに使った術とおなじ技だ・・・!
オレとした事が、一度見た筈なのに、冷静さを失って完全に忘れていた・・・!


掴まれた左足が、さっきナルトがやられた様に体ごと地面へ引きずり込まれる。
クッソ・・・!情けねェ・・・。




「忍・・・戦術の心得その3!忍術だ・・・にしても、お前はやっぱ早くも頭角を現して来たか・・・でも、ま!

出る杭は打たれるって言うしな、ハハハ」




オレを小馬鹿にしたようなその耳障りな笑いが無性に腹が立つ。
だが、頭以外を地面に埋められてしまったこの体ではアイツに反撃してやることも出来ない。



「・・・くそ!!」



ちくしょう・・・、ここまでの差が・・・。
あんだけ一ヶ月死に物狂いで修行をしたが、やっぱそう簡単に上忍を出し抜く訳にはいかねェか・・・!







悔しがっていると、目の前にサクラが現れた。チィ・・・こんな無様な姿を他の奴に見られるとは・・・。

サクラはオレを見ると、突然動かなくなった。・・・なんだ?




「あぎゃあああああああ!!今度は生首ィーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」




いきなり叫び出すと、ドサ、とその場に倒れ臥した。・・・ワケの分からない女だ・・・。






「・・・。よく分からないけど、これでもう第七班は全員戦闘不能、かな?・・・ま!良く頑張ったけど、残念だったな」



カカシがニコニコした顔でそう言った。クッソ・・・悔しいが、今の状態ではどうする事もできねェ・・・!
スズは取れないまでも、一発はこの目の前のムカつく男に喰らわせてやりてェが・・・。





「・・・それじゃ、ちょっと早いけど、お昼休みってことに―――――――――ッ!?」




その瞬間、カカシのいた場所へ大きな火の球が飛んで来た。
地面へとその火球がぶつかると、周囲が橙色に明るく輝く。
寸前の所で回避したカカシが、そしてその光景を見ていたサスケが、目を疑った。





(・・・・・・なっ・・・!!!サスケの影分身か・・・!いや、あいつにそんなチャクラは残っていないはず・・・いったい、誰が!?)



(あれは・・・。間違いねェ、火遁・豪火球の術・・・さっきオレが放ったやつと同じ技だ。オレより威力は低いみたいだが・・・そんなことはどうでもいい!

誰があの術を使った!?)





驚いて固まる二人。



そして、サスケの目の前に、その術を放った張本人であろう人物が、スタッ、と着地した。
その人物を見た二人が更に驚きを深めた。









「――――――カカシせんせェ・・・、まだ、オレはやられちゃいねーってばよ!!!」










―――――黄金に輝く髪に真紅のマントをその身に纏った、うずまきナルトがそう言った。




[37328] もしもオレとお前が逆だったら 18話
Name: さしみ◆cba47cda ID:a451a433
Date: 2013/05/31 18:44




「なぜだ・・・ナルト!何故お前が火遁の術を使える・・・?」



おお、驚いてる驚いてるってば。カカシ先生、マスクの上からでも今なら表情が丸分かりだってばよ。
しかし、この豪火球の術ってそんなにスゲーのか?まぁ、兄ちゃんに教わらないとオレも一生出来なそうな術だけど・・・。


まぁいいや、いまはこの術が使える事について言い訳もとい説明をしないと・・・。




「あぁ、これ?これってば、じっちゃんの部屋に置いてあった巻物をこっそり借りた事があったんだけど、

そんときの巻物の中に書いてあったってばよ!・・・じっちゃんにはこっぴどく叱られたけど」



「・・・なに!?巻物を読んだだけで使える様になったってのか・・・!流石は、先生の・・・やはり天才か・・・!」




そう、この言い訳はオレが兄ちゃんに出会うまでに散々イタズラを繰り返していたから出来る言い訳だ。
これなら特に兄ちゃん達と繋がりがあるなんて疑われる心配も無いってばよ。・・・カカシ先生はなんかオレが天才だとか言っちゃってるけど。
・・・ん?先生の、って・・・どういう意味だってば?まぁ、細かい事はいいか。



「それにしても、火影様の持ち物に手をだすとはね・・・イタズラ小僧だとは聞いていたが、あんまりやりすぎるなよ、ナルト」




「だいじょーぶだってばよ!オレさ、もう下忍になったんだから、イタズラは卒業だってばよ!!」




・・・正しくは、[下忍になったから]じゃ無い。・・・[そんな事をしている暇は無い]からだってばよ・・・。
本当なら、オレはこんな忍者ごっこなんかしてないでもっと修行をいっぱいして、強くなりてェけど、兄ちゃんの頼みだから仕方ない。
・・・っと、こんなのんきに会話してる場合じゃ無いってば。さっさとカカシ先生からスズを奪わねェと、試験に合格出来ないってば。








「サスケ!・・・おい、サスケェ!!聞いてんのかってばよー!!」



「―――――――!!・・・なんだ」



「カカシ先生からスズを取らなきゃならねェのはわかってるよな!!オレに協力しろってばよ!」




悔しいけど、今のサスケの方が体術も手裏剣術も戦法も忍術の使い方も、全てがオレより断然上だろう。
・・・悔しいけど、今のオレがサスケより優れているのは、多分チャクラの量だけ。
だから、オレ一人でもサスケ一人でもスズを奪えないと言うのなら、二人で協力すればいい。
もちろん、サスケが素直にこの申し出を受けてくれるかどうかだけど・・・、いざとなったら・・・。



「・・・協力、だと・・・?フン、なんでオレがお前に協力しなきゃならない・・・・・・断る!」




「なんでだってばよーーー!!オレとお前で一緒に戦えば、もしかしたらカカシ先生からスズを奪えるかもしんねーんだぞ!!」




・・・やっぱり、サスケってば無駄にプライドが高いからな・・・。素直に聞いてくれるやつじゃないってばよ・・・。
こうなったら、あんまりやりたくねーけど、サスケを怒らせて無理矢理協力させるってば!
オレってば、人を怒らせるのは得意だからな・・・!




「あれ、あれあれあれ~~!?もしかして、サスケちゃぁん、カカシ先生に1回やられちゃったぐらいで、びびっちゃってんの~?」




サスケの眉がピクリ、と分かりやすいほど反応した。






「あ~あ・・・アカデミーのトップが聞いて呆れるってばよー・・・、これじゃあオレがトップだってば!」



「・・・・・・・・・!!誰がびびってるだと・・・!このウスラトンカチ・・・、調子に乗りやがって・・・!!

―――チィ、仕方ねェ!協力してやる・・・が!邪魔なんかしやがったら後で容赦しねェからな」


・・・いよっし!やっぱりサスケってば、挑発に弱いってばよ!!前にアカデミーでオレがサスケに突っかかったとき、からかったら怒ったから
いけると思ってたけど・・・。よし、これでカカシ先生にも太刀打ちできる!
時間があんまり無いから、さっさとスズを奪って昼メシを食べる!



地面に埋まったままのサスケを引っ張り出すと、再びカカシ先生と対峙する。
サスケはホルスターから手裏剣を取り出した。オレも影分身の印を結び始める。
・・・すると、カカシ先生が片目を隠している額当てに手をかけた。




「お前たち二人が相手だと・・・あんまりオレも呑気にしてはいられないね・・・オレも少し」




額当てが上がると、左目が姿を現す。その目には、縦に大きく、傷ができていた。
カカシ先生は左目をカッ、と開く。すると、オレにとっては見慣れた、・・・・・・赤い瞳が見て取れた。




「―――――――本気を出さないとな!」




その目を見たナルトとサスケが声を上げる。



「・・・カカシ先生!!なんなんだ、その左目ってば!!」



「カカシ・・・!!うちは一族でもないアンタが、なんでその目を持っている・・・!?」




ハハハ・・・と、乾いた苦笑いをしたカカシだったが、直ぐに真剣な表情へと戻った。
カカシも懐からクナイを取り出すと、ナルト達へと言った。






「・・・ま!オレからスズを奪う事が出来たら、教えてやるよ!!―――さぁ、かかって来い、二人共!!」













サスケが幾つかの手裏剣をカカシ先生へ向かって投げつける。が、カカシ先生が投げたクナイによって全て空中で撃ち落とされてしまった。
間髪を入れず、サスケが次の手裏剣を投げるが、カカシ先生が術を発動した。



「―――――土遁・土流壁!!」



カカシ先生の前方に、大きな土の壁が現れた。その壁によって、サスケの投げた手裏剣が全てガードされてしまう。
・・・よし、サスケだけに戦わせてらんねェ!オレもやるってばよ!!




「多重・影分身の術!!」



ボボボボン、とおなじみの分身体がカカシ先生をとり囲むように姿を現す。分身体一体一体から、サスケに当たらないように注意しながら手裏剣を投げる。
以前、ペインさんのなんとかてんせいで全部弾かれてしまった時の戦法だけど、カカシ先生にはあんな無茶苦茶な術は無いはず。



「多重・分身手裏剣の術ーーー!!」




オレが術を使うと同時に、サスケも印を結び始めた。あの印は、オレにとっては馴染みが深い印だ。




「フン・・・・・・火遁・豪火球!!」



発動と共に、さっき発動した火球よりも更に大きな豪火球がカカシ先生へ向けて襲いかかる。
しかし、やっぱりサスケの放つ豪火球はすげェってばよ・・・。オレもあんなに大きな火球を撃てるように修行をしねーと。




「・・・くっ!!」


全方向からの手裏剣と、サスケの豪火球が一度に迫ってきたからか、カカシ先生が少しだけ焦った表情を見せる。
さっ、さっ、と目に見えない程のスピードで印を結ぶと、あろうことかオレたちの放った術へと向かって走り出した。
・・・!?カカシ先生、何をやってるんだ・・・?当たりにいってどうするんだってばよ・・・?



術が当たるその寸前、カカシ先生が術を発動した。



「――――風遁!大突破!!!」



凄まじい勢いの風によって、前方向にあったオレの影分身と、手裏剣、それにサスケの豪火球が全て消し飛ばされた。
そのまま、カカシ先生はぐるりと一周すると、オレの影分身達を全て消してしまった。
・・・またか!!なんだか、影分身を出すと直ぐに消されちゃってる気がするってばよ・・・!!


術の発動後、一瞬の隙を狙ってサスケがカカシ先生の懐へと突っ込んで行った。
すごいスピードでサスケが蹴りを打ち込むが、カカシ先生の右手によって防がれてしまった。
直ぐにパンチを食らわせようとするが、カカシ先生が後ろに下がって距離を取る。後ろに下がった瞬間、ガチッ、とカカシ先生の足が何かを踏んだ音がした。
刹那、カカシ先生の足元から千本が幾つも飛び出て来る。
・・・!そうか!!サスケの奴、あらかじめ罠を仕掛けておいて・・・、そこまで誘導したって事か!すげぇ頭がいいってばよ・・・。



「―――――!!また罠か・・・!ま、でもオレには通用しないよ!」



カカシ先生が千本をいつの間にか手に持っていたクナイで全て弾いてしまった。
まるで、全ての千本の動きが見えているかの様に・・・・・・・・・あ!!




・・・そうだった、カカシ先生は今、左目の写輪眼で見えているのか!兄ちゃんが言っていたけど、写輪眼はチャクラの色や種類、次の動作などいろいろな物が視える
らしい。だったら、カカシ先生には全部サスケがやろうとしていることも見えちまうのか・・・!


サスケもそれを知っているのか、なるべくカカシ先生の死角を突くように攻撃しようとするが、
やっぱり上忍、なかなか死角を突かせてくれない。


・・・いや!今のカカシ先生はサスケにばかり注意を向けてる!だったら、今はこのオレが死角になっているはずだってばよ!
今がチャンスだ!!





カカシ先生とサスケが戦っている中、なるべく音をたてないようにこっそりと二人に近づく。

・・・お!サスケがオレの作戦に気づいたのか、カカシ先生をこっちに向かせないように体術で意識を向けてくれてる!
さすが頭いいだけあるってば!




サスケが蹴りを放つと、カカシ先生がそれを軽々とガードし、カカシ先生が反撃すると、ギリギリでサスケが姿勢を低くして回避する。


・・・サスケもすげー体術が強いけど、やっぱ写輪眼じゃどうしようもねーってばよ・・・。

でもあともうちょい!持ちこたえてくれってば!



もう少しの所で、サスケの両腕がカカシ先生に掴まれ、抑えられてしまった。



よっし!両腕がふさがっててオレに気づいてない今がさいっこーのチャンス!
これで貰ったぁああああああああああああああ!



「―――――いただきぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!!」






バッ!!とカカシ先生の腰についている二つのスズを目掛けて手を伸ばす。
カカシ先生が驚いて後ろを振り向く。・・・もう遅ェってばよ!!!
・・・・・・・・・もらったああああああああ!!!!






―――――――チャリン。


小さな鈴の音が、虚しく鳴った。






「いやったぁああああああああああああああああああああ!!スズいただきぃぃぃ!!」




「ヘッ・・・下忍にまんまとしてやられるとは、情けねェ上忍だな・・・」




サスケも酷ェ事を言ってるけど、ちょっと嬉しそうな顔をしている。
カカシ先生は呆然と立ったままオレたちへ向けて言った。












「まさか・・・スズを取られちゃうとはね・・・・・・ま!でも、残念」





へ?残念・・・ってどういう事だ?スズは貰ったんだぞ?






――――――――ボン!!



カカシ先生、それと手にしたはずのスズが白い煙となって消えてしまった。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・えええええええ!?」



「チィ・・・・・・!影分身だったのか!」



さっきとは逆に呆然としているオレたちへ、木の上からのんびりとした声が聞こえた。




「・・・・・・ま!ナルト・・・影分身を使えるのはお前だけじゃない、ってことだ!よーく身に染みたろ」




くっそ・・・!後ろからこっそり近づくオレに全然気づかないからなんだか変だとは思ったけど・・・ワザとスズを取らせるような真似をしたのか!
ちっくしょー・・・!やっと奪えたと思ったのに!



スタッ、と木の上から地面へ着地したカカシ先生は、間髪を入れずに印を結び始めた。
毎回同じくほとんど見えない様なスピードで印を結び終えたカカシ先生は、片手を下に向け、もう片方の手を下に向けた手に添えた。
・・・?なんだ・・・?あんな構えの術見たこと無いってば・・・?




「・・・オレもそろそろ写輪眼でチャクラがギリギリだからな・・・悪いが、これで終わらせてもらう!」




下に向けた手から、青白い光・・・いや、雷が放出される


放出された雷は、放たれる事は無くそのまま手の中で雷鳴を立て始めた。



―――――ジジジジジジジジジジジジジジッ!!!!!!




鳥が煩く鳴いているかの様なその音を鳴り響かせ、カカシ先生はサスケに向けて突進する。



・・・・・・は、えェ・・・・・・!!早すぎて全然見えねェってばよ!









「――――――――――雷切!!!」





感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.019928932189941