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[40157] 殺人鬼と忍者【NARUTO☓月姫(メルブラ)】
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/07/06 10:41
処女作ですがよろしくおねがいします


この作品には著しい原作崩壊がございます。アレルギー反応を起こされる方はプラウザバックを推奨します


主人公は七夜さんです



[40157] 第一話「始まり」
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/07/06 11:11
ハーーー何も残らない。
もとから存在しないモノ、得るものもなければ失うモノなどありえない……
そう思っていたんだが、まいったねどうも。
このまま消え去るのはいただけない。死を恐れるとは思わなかった。
ああ、なんてこった―――
死んだら誰も殺せない。あっちにいるのは亡者ばかりだ。
なんの楽しみもないんだが……まあ、これが相応の罰ってヤツか。
いいぜ、このまま無残にちぎれて消えるさ。

==================================

事の終わり…いや、
始まりはあの夜の事だった。
俺はあの夜、紅赤朱との死闘を制し、一族の誇りを取り戻した。まあ、代償としてその命を失ったんだが。やれやれ、一体全体どういうわけか俺は生きているようだ。見覚えのない森、動かない肉体

ーーーそして

辺りを包む死の証
一度はタタリとして宿った力だが、どうやら本格的に俺の浄眼も変化してしまったようだ。

ーーー直死の魔眼

二度の死を経験したあいつの浄眼が変化したもの
。触れるだけでその物体に死を迎えさせる厄介な目。それがあの死闘により、目覚めてしまった。

まあ、それは今考えても仕方あるまい。生憎とタタリの影響かはわからんが死を見ていても頭が痛む事もない。かといっていつまでも死を見るという訳にもいかない。早いうちに手は打つべきか...っと、少々脱線したか。何はともあれ、まずは現状把握だ。


現在地は森の中
精神は七夜志貴の者で間違いがない
肉体は何故か思うように動かない
服装として、何かに包まれているのはわかる
俺の視界には星と月。つまり仰向けの状態か
声は…


「あぶぅ(あんぱん)」


…ん?


「ぶぁ(直死の魔眼)」


ハーーーまさか、こんな事になろうとはな
この肉体、器は間違いなく赤子の物だ。時間逆流でもしたといえばいいってか?
だがしかし、この森は七夜の里の物ではない。ならば一体どういう事か…

あの蛇のように転生したか?
バカバカしい。

今は何を言っても仕方あるまい。ただこれではいけない。
自身で動けないというのは、即ち誰も殺せないという事だ。これは大問題だ
なんとか出来ないものか…

ん?人の気配。随分と隠遁が旨いな


「…こんな所に赤ん坊が?」



なんだ、その髪と格好は。色々とズレているぞ。今日日忍びの格好など流行るまいし


「…どうするべきか」


…こいつ出来るな。身のこなしからして幾つもの戦いを経験しているな。そのコスプレは伊達じゃないってか


「…連れて帰るか」


お?何処かへ運んでくれるのか。それは助かる。まあ、俺としては美人に運ばれる方が喜ばしいが…贅沢も言ってられないだろう


「お前、名前はなんて言うんだ?」

「あだ(七夜志貴だ)」

「……」


やはり伝わらんか。まあ仕方あるまい
お?持ち上げられた

ってちょっと待て。お前は赤子の一つも満足に運べないのか。首元を掴むな。俺は猫じゃないぞ


く、苦しい。くそ、こんな所で死んでたまるか


==================================


導入はこんな感じです。凄く短いですがご容赦下さい



[40157] 第二話「里」
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/07/06 20:25
これにて上映は終了にございます。お客様、お忘れ物のないようお帰りください、か。
観客は一人もいなかったが……まあ、満足できる内容だったさ……
望まれない役者は、このまま消えるとしよう……
========================================

首も座っていないのに雑な持たれ方のお陰で何度目かの死を迎える前になんとか目的地についたようだ。まったく、何度死の線をなぞってやろうかと考えたぞ。とまあ、そんなこんなでたどり着いた場所は酷く歪だった。少なくとも日本の街の風景ではなく、海外ならありそうな建物。しかし、行き交う所には日本語が使われている。更に文明のレベルも曖昧である。一体これはどういった所だ?仮に俺が転生していたとしても、寧ろ文明が上がっている筈だ。ならばこの光景は…

深く考えていても仕方がないか。郷に入っては郷に従え、少しばかり使い方が違うがここの生活に俺自身が慣れるのが先だろう。
そう考えながら俺は未だに苦しい思いでこの里を闊歩する男を見る。額当てというべきか、額にある鉄製の板がついた布。その板にはうずまきのようなものに出っ張りが付いた印が刻まれている。それをこの男は片目を隠すように付けている。マスクと相まって殆ど顔が見えないな。辺りを見ると、他にもこの額当てをつけた人間がちらほらと。この額当てをつけている者とそうでない者の違いとしてはその力量か…つけている者同士でも差はあるが、つけていないものは
基本的に強さが感じられない。

やれやれ、どうやら今俺を持っている男はコスプレではなく本物の忍者らしいな。そしてこの街、いや里は忍者の里だと思われる。七夜の里のように多少なりとも全員が力を持っているわけでもなく。すくなからず一般人は存在しているようだ


ん?何か視線を感じるな…
いや当たり前か。赤子を片手にぶら下げて歩く男、否が応でも目立つ。っと殺気が近づいてくるな


「なにしてるってばね!」


赤い髪がうねうね動いているな。秋葉のように炎でも出しそうな勢いだ。そして腹が膨れている…どうやら妊婦のようだな


「何って、任務の報告に火影様の所に行く所ですよ。クシナさん」


この女性(クシナというらしい)がそれを聞いて憤慨した様子でこちらに指を刺した。おいおい、いくら女性だと言っても人に指を指すのはいただけないぞ。幼少時に教わらなかったのか?さすのならナイフだろう。


「そんな持ち方じゃあ子供が苦しむってばね!」

「そうなんですか」


そう言って男は俺を女性に差し出した。何か生贄にされるような気分なんだが、外れていることを祈ろう。女性は俺を受け取り抱きかかえる。はぁ、やっと開放されたか


「その子も火影様の所に連れて行く所だったんですよ」

「どういうこと?」

「任務帰りに森で拾いまして。恐らくは捨て子だと」


む…心外だな。俺は捨てられた覚えなどないのだが。まあいい、この男がいう火影とやらが恐らくはこの里のトップ。そうでなくとも上の位置にいることは確実だろう。つまりはだ、ここにどういった風習があるかは知らんが俺の命はその火影の判断で決まるということだろう
…面白くないな。殺すか?
いや、満足に動けぬ身体で出来もしないことは言うべきではないな。他者に生殺与奪を預けるのは不本意だが仕方がない…か


「そうなのね。とりあえずミナトの所には私が連れて行くから、行くわよカカシ」

「はぁ…」


いつの時代、どんな場所でも女性というのは強かというのがよくわかるな。将来尻に敷かれるのではないか?この男。女性というのは扱いが難しい故に味方につければ円滑に物事を動かせるというのに







俺が連れて来られたのはある建物だった。この里内でも大きい方の物で、その内部にいるであろう火影という人物は重要人物であるのは間違いない…のだが


「この子は私達で育てましょ。ミナト」

「それはいいんだけどね。まずはその子供が安全かどうかくらい確認を…」

「ん?」

「…なんでもないよ」


まさかこの女性が火影との夫婦だったとはな。正直驚きを隠せない。俺を連れてきた男は入り口付近でため息を吐いて立っている。


「とりあえず、少なからずチャクラはあるようだし。後で色々と調べるよ?」

「わかったわ。それは仕方ないわね」


さて、いったいどうなることやら



[40157] 第三話「九尾」
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/07/09 11:25
俺が拾われてから二週間といったところか。最初の二日は思い出したくはない。歩けないせいで世話を他人に任せる始末。軽く死にたくなった。いや一度死んでいるけれども
まあ、それも三日目にはなんとか歩けるようになった(無理矢理)おかげでトイレは自分で行い、食事は用意された離乳食を自分で食べている。その様子を危うげに見ている夫婦、波風ミナトとクシナは今日はいないようだ。


「あぁ(王手だ)」

「うぬ…少しばかりまってくれないか?」

「あだ(断る)」


代わりにいるのは三代目火影なる猿飛ヒルゼンというご老体だ。今は二人で将棋をしている。傍目から見ると異様な光景だろうな。老人と赤子が縁側で将棋をしているのは。人格が形成されているのは波風夫妻に目の前のご老体には知られている。五十音表を見つけて指を指すことで意思表示を示した。その時に俺が七夜志貴だと伝えた


「なんというか、お主の打つ手は尽く異様でな。相手をするのはちと骨が折れるんじゃよ」

「だぁ(そんな事は知らん)」

「…はぁ、儂の負けじゃよ」

「だぶ(そうか)あぶぅあ(所で、波風夫妻は何処へ?)」

「…何を言っておるかわからんのぅ。少し待っておれ」

「あぁ(あぁ)」


三代目火影が席を立ってあるものを取りに行ったので俺は駒を片付ける。その際にふと考える。俺自身を駒と称するのならどうなるか…まあ歩が無難だろう。相手陣地で縦横無尽に動くほうが性にあっている


「ほれ、何を言いたいのじゃ」


丁度駒を箱に入れた所で三代目火影が五十音表を持ってきて俺の前に広げた。


「な、み、か、ぜ、ふ、さ、い、は、ど、こ、へか。ふむ、あやつらは出産のためにある所に向かった所だ。帰ってくるのは深夜を過ぎるだろうからお主が弟と会うのは明日になるだろう」


通りでクシナの方が苦しそうだったわけだ。しかし弟か。俺としてはある程度育ててくれれば後は自分で生きていくつもりなのだが、それをさせてくれる夫婦ではないのはまだ短い付き合いの俺でもわかる。

さて、どうすべきか…まあ、なるようになるか


「なになに?は、ら、が、す、い、たか。わかった。今用意するから待っておるのじゃ。それと、お主は赤子の身なのじゃからあまり無茶はせぬようにな」

「あぶ(わかっている)」


取り敢えずは明日になってからだな



==============================================


目を覚ます
異様な空気を感じる
騒がしい

なんだ?この嫌悪感は


そう感じたと同時に部屋の襖が開かれた。いきなり誰だ?騒々しい
っと、忍びのようだな。木の葉の額当ての力量は大したことのない男、その男があわてたような顔で俺に近づき抱え上げた


ーいきなり掴むな。驚くだろう


そのまま男は家から飛び出して走りだす。里の光景を見て俺は絶句した。

大きな狐が暴れているのだ。尾は九本、その身体はとてつもない。そいつを忍び達が攻撃していた。その光景はまさしく蹂躙。強大な敵を前に人は為す術もないのか。


ーそれよりも


驚いたのはこの身体だ。何故反応しない?あのような化け物に反応しないのは一体全体どういうことだ?


俺は狐に襲われている里の光景を眺めてただ疑問に思っていた


=====================================


それから、九尾の襲来を木の葉は乗り切った。波風夫妻と大勢の犠牲を伴って…



[40157] 閑話 火影日記
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/07/16 07:01
?月?日
カカシが子供を拾ってきたそうだ。なんとも珍しいこともあったものだな。その子供は四代目であるミナトとその妻のクシナが預かることとなった。大方クシナが言い出したのだろう。まったく、危険要素であるかも知れぬのに不用心な夫婦だ。明日、色々と調べさせてもらおう



?月*日
驚いた、まさか自我を持った赤子とはな。日向ヒアシにより、術を使っていない事もわかったのだが、まさか意思を持っているとは思わなんだ。話す事は出来ぬし書く力もないが、文字を指さして考えを伝えることは出来るようだ。それによると、あの赤子の名前は「ななやしき」というらしい。どう書くかはあやつが成長してから聞けばわかるだろう。だが、自我があって赤子の身とは随分と不憫だな。



?月☓日
あやつには驚かされる。まさかもう歩けるようになるとはな。なんでも暇があれば歩こうとしていたそうだ。やはり、他人に色々なことを任せるのは不満だったのだろう。これなら、話すことはすぐ出来るかも知れぬな



?月+日
隠居した筈なのに仕事をしなければならぬとは、これ如何程に



==========================================
!月?日
四代目火影波風ミナト、その妻波風クシナ、その他大勢の者の葬儀が終わった。彼らが守ったのは里であり、ある子供だ。その子供の今後をどうするかがよく議題にあげられているが、いい加減腹が立ってきたので儂が預かるといった。しかし、里の者としては面白く無いようで金銭面の面倒は見るが、ある程度成長すればそれ以外は関与しない事となった。四代目火影の守ったものをそう扱うのは納得はいかぬ。



!月*日
あやつがとうとう言葉を口にした。「ななやしき」とはっきりと口にした。格好つけたのか立ち上がってそう言ったのだが、その後コテンと転んだのは中々に滑稽だった。あやつも九尾襲来には思う所があるらしく、ナルトの頭をよく撫でていた。それは傍から見れば兄弟のように見えるのかもしれんな。




!月☓日
正式に儂が火影の座に戻ることが決まった。これまで以上にナルト達の面倒を見ることができなくなってしまうが、仕方あるまい。一刻も早く里の復興を急がねば。
しかし、あやつのいうあんぱんとはそこまで美味しいものなのか。是非食べてみたい




!月+日
今日は、帰ったらあやつの姿が無かった。心配していたが少ししたら帰ってきた。その手に大量の団子を抱えて。どうやら、里で会ったくの一に買ってもらったそうだ。赤子が一人で歩いていたなら声をかけるのは普通か。そう考えていたら、団子を3本差し出していた。普段世話になっている礼らしい。ありがたく受け取った。その後、ナルトの目の前まで行き、「お前にはまだ早いな。話せるようになるまで我慢しろ」と言い隣りに座って団子を食べていた。ナルトの事をよく思ってくれているのは安心できる




!月・日
あやつはいつの間にあれほど動けるようになったのか。火影室で仕事をしていると、里の屋根を跳んでいるあやつの姿が見えた。あの身体で下忍レベルに動けるとはな。一度誰かに修行付けさせてみるのもいいかもしれぬ













後書き

ふと思いついたネタ。



[40157] 閑話 暗部
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/09/14 12:40
彼らには驕りがあったのかもしれない。彼らの主から言い渡された任務はある赤子の確保。護衛が付いている可能性はあるかもしれないが、暗部5人でかかれば容易いと思っていた。それこそが、彼らの寿命を縮めたのだ

=========================================

彼らが任務を開始したのは日が沈んでから暫くしてから。里の活気は収まり、皆が既に床についている中行動を開始した。

向かう先は三代目火影の自宅。目標はそこで保護されている「九尾」が宿った餓鬼。彼らの主であるダンゾウが木の葉の里の戦力として育てる為に確保せよとの事だった。「根」と呼ばれる暗部達はダンゾウ直轄の暗部であり、彼らはその任務に対してなんら疑問を持たなかった。否、疑問を持つという事自体がありえない話だったのだ。彼らは感情を持たぬように訓練されてきた忍者達であり、任務ならば平気で子供をも殺めるであろう。

彼らは音を立てずに気配をも消して火影宅へ向かっていた。現在三代目火影は他里へ出向いているために自宅へはいない。その隙をついて誘拐後、ダンゾウ様と上層部の根回しにより他里の忍が誘拐したという情報を流す手筈だ。その為にこの任務は目撃者を一切だしてはいけない。戦闘はないだろうが、最大限隠密に気を配る必要がある任務だった。


彼らは火影宅から少し離れた場所に集う。今のところは誰かに見られたり気づかれたりしたという形跡はない。ここからは5人が散り散りになり、3人が辺りを警戒、2人が九尾を確保するという旨を確認し、彼らは行動に出た


【アシオトガキコエタ】

『!!!』


彼らは足を止めざるを得なかった。彼らの耳に入った砂利道を進む音。その音源に目を向けた瞬間異様な雰囲気を感じ、その後にある疑問が浮かんだ。


【何故、気配を感じなかった?】


彼らは幼少時より暗部として訓練された忍者たちだ。その自身らが気づかない内にここまで接近を許すというのは通常ありえないことだ。即ち、それだけ相手が手練という事…暗部達は臨戦態勢に入る。


【何にしても目撃者を生かしておくわけにはいかない。ここで始末する。】


足音の主は暗闇に紛れているためか姿は見えない。だが、少しして雲の切れ間から射す月光がその姿を照らした。


歩き方を覚えたばかりのような赤子だった。それを見た瞬間5人の暗部は拍子抜けする。赤子なら問題もない。寧ろこの赤子も連れ帰り、新たな「根」の一員として育てる事で目撃者としての役割を奪うことが出来る。ならば確保するべきだ。そんな考えが頭をよぎった。

しかし、それはとんでもない間違いであった


彼らは仲間の眉間にクナイが刺さっている光景を見た

『っ!!』


4人は距離をとる。あまりにも自然だった。油断もあった。それらが重なり、子供の投擲したクナイに反応することが出来なかった。

クナイが命中した仲間は既に事切れている。それほどまでに精度がよかったのか。それすら考える余裕を奪われた。彼らはようやく気付いた。この子供はただ夜に出歩いていたわけではない。自分たちに気付いて迎撃しに来たのだと….


「ーーーああ」


子供が口を開く。その様子はとても眠たげであり気怠さを感じさせていた。暗部達は一挙一動を注視して警戒する。

月光が子供の顔を照らす

子供は笑っていた。その顔を見て暗部達はゾクリと背中に冷たいものを感じてしまう。年端もいかないただの子供が人を殺して笑っているのだ。普通の者から見れば恐怖以外の何物でもない。


「随分と物騒な気配がすると思えば、まさか木の葉の忍者とはねぇ…目的はナルトか?」


恐らくは確信しているのだろう。子供は面白そうに答えを問う。しかし、暗部達が答えるわけもなく、子供はやれやれと首を振り、再度笑みを浮かべた


「ま、言いたくないんなら構わないさ。俺はただ、あんた達を殺すだけだからな」


その立ち振舞は到底子供には見えずに、底が見えない穴を除いているようだった。
暗部達は隠密の任務のため、派手な忍術は使えない。そのため、1人が瞬身の術で近づき、手に持った刀で子供に襲いかかる


「おっと」


しかし、子供はそれを後ろに跳ぶ事で避けた。どうしても的が小さいために暗部達が刀を振るう為の誤差が発生する。まあ、いくら誤差といえど子供が避けれるものではないのだが、それでも子供は避けた


「おぉら!」


子供がクナイを投擲する。子供の身であるためか、投擲速度はそこまで速くはなく、暗部は特に苦労もせずに避けた。しかし


「前だ!」


仲間の声を聞いた瞬間に目撃する。先程までいた場所に子供はいなく、自身の目の前に現れていたのだ。


「2人目」


あっけなく、暗部は腹部を刺された。そしてそのまま倒れ、事切れた。

それを見て3人の暗部達は戦慄する。おかしい、1人目は頭部への攻撃故に即死は不思議ではなかった。しかし、2人目はどうだ?腹部への刺傷は致命傷にはなれど、即死にはならない筈だ。忘れさせられた感情が蘇る。『恐怖』という感情が3人を支配していく


「さて、次の標的はっと」


子供は新しい玩具を貰ったかのように笑った。それは更に暗部達に警戒心を持たせる


「貴様は、何者だ…」


震える声で1人の暗部が問う。それをケラケラと笑うように子供は首をかしげ答えた


「殺人鬼さ。弟を守るために尽力しているな」


それだけを答えて殺人鬼は駆ける。暗部達は震える腕を意思で抑えこみ、刀を振るう。殺人鬼が接近してくる速度は驚くほどでもなく、問題なく迎撃出来る程度。しかし、叶わない


「3人目」


殺人鬼がノーモーションで急停止した為に刀は空を斬り、そのまま飛び上がった殺人鬼により首を狩られた。残った2人の暗部は飛び上がった殺人鬼へその凶刃を振るう。しかし殺人鬼は身体を捻るように2刀を躱すと、クナイを一人の頭部へ突き刺す。それにより事切れた仲間を見ることもなく、再度攻撃。今度は身体をひねる程度で避けれる物ではなく、その刃は殺人鬼の肉体へと突き刺さった。


しかし、その瞬間に煙をあげて殺人鬼は木の丸太になっていた


「変わり身の術!?」


初歩的な忍術。だがそれの汎用性も高く、忍と戦う上での基本的な物だった。しかし、印を結んでいた様子もないのに、何故忍術が発動したのか…その疑問もすぐに解くことが出来た


「やれやれ、随分と物騒な連中だな」

「……はたけ、カカシ」


片目を額当てで隠し、覆面により口元を隠している人物。元暗部であり現在は木の葉の上忍として他里にまでその名を轟かせている人物が殺人鬼を小脇に抱えて立っていたのだ


「……邪魔をしないでくれよ。折角の楽しい楽しい殺し合い(遊び)の」

「……お前な、それが助けてくれた相手に言う事か?」


軽口でいい合う二人を見て絶望する。自分たちは殺人鬼を殺そうとするあまり、目立ちすぎたのだ。そのために、自分たちよりも確実に強いであろう忍、はたけカカシが現れ、目撃されてしまった。

任務失敗。その4文字は「根」の彼らには重く、それイコール死とも言える。更に、ここで捕まり、情報を与えてしまっては更に良くはない。少しでも多くの情報を残さないためにも…


「あれくらいならばなんとか出来た」

「……」


カカシ達は気づかない。残った暗部が火遁の印を結んでいるのに。印を全て結び終え、彼は唱えた


「火遁、華炎!」

「!!」


それを仲間の死体へ放ち、自身にも放った。

この術は死体焼却に用いられる術だ。その特徴として、まず身体の表面。次に経絡系を燃やす特徴があり、忍の死体という情報の塊を消す役目を持っている。


カカシがそれに気付いた時にはもう遅く、水遁をかけ、消化したがそこには炭化した5つの死体が残っているだけだった


「くそっ!」


嫌な匂いが漂う中、カカシが悪態をついて死体を確認する


「完全に燃やされている。見事なもんだよ。まったく」

「ふわぁぁ」


殺人鬼はそんなカカシを見て欠伸をし、踵を返して火影宅へ向かった


「何処へ行く気だ?」


カカシは少し気が立っているのか、少し不機嫌そうに問う。それに対し殺人鬼は興が削がれたように頭をかいた


「寝るんだよ。既に子供は寝ていなければおかしい時間だろう?」


お前が言うか。というカカシの言葉を無視して殺人鬼は火影宅へ歩を進めた


「ったく、とんでもない奴だな」


カカシは炭化した5つの死体を運ぶための応援よ呼ぶために鳥を飛ばした



[40157] 第四話「七夜志貴」
Name: 夢歩◆fa91049d ID:ef524b6e
Date: 2014/12/16 23:48
3度めのアカデミー試験の前日、三代目火影に呼び出された。
12歳となった俺は特に危うげなく2回の試験も合格。卒業は決まっている為に3回目の試験にはあまり力もいれていない。
その為、何の躊躇もなく俺は三代目の執務室へと足を運ぶ。もう住んで10年以上の建物故に迷う事無くたどり着いた俺は思案する。今日は何故呼び出されたか…理由としてはいくつか考えられる。


1.ナルトがとんでもないイタズラをしたための愚痴を聞かされる
 これはあまり考えていない。ナルトは現在卒業試験に向けて特訓中のためイタズラをしている余裕はないだろう。もっとも、今回の試験はあいつの"得意"忍術なので特に心配はしていない

2.先日少しばかり自然破壊をしたお咎め
 これもない。どちらかと言えば俺よりもカカシ上忍の方が破壊していた。確かに部屋からはカカシ上忍、三代目火影、後は1人の忍の気配を感じるが、カカシ上忍のチャクラの乱れも無い所を見るとそう言った話ではないだろう。

3.新しい任務の通達
 これもないか。3歳の時から暗部の仕事に触れてきたがこういった任務通達は密書にて行われる。


ならばどういったものか…いくら考えてもわからない。まあ、そこまで酷い話でもあるまいし、俺は何事も無く部屋の扉を開き入室する


「よく来たな。七夜」

「ええ、本日はどういったご用件で?」

「ふむ…」


腕を組んだ三代目はカカシとは別のもう一人の忍(面を付けている所を見ると暗部だろう)に目をやった
それにつられて目を向けると暗部は徐ろにその面を外した。


「お主は明日アカデミーを卒業するじゃろう?そうなれば下忍として活動せねばならん。だが、お主はアカデミー生という前に暗部という存在じゃ。だからこそ、通常の下忍や上忍を付けることはできん」


まあ、流石に普段は抑えてはいるが、任務ともなればふとした拍子に本気を出しかねないからな。


「じゃあ、そこの暗部の人が俺の担当上忍となるわけだ?」

「そうだよ。僕の名はテンゾウ、カカシ先輩の後輩にあたる者だけど、詳しくは後日話そうか」


ふむ、血継限界持ちか。色は緑、何の血継限界かは知らないが中々の実力を持っているのは間違いないだろう。


「本当は俺が担当する予定だったんだがな」


そう言って頭をかくのはカカシ上忍。ふむ、何故予定は狂ったのか…


「お主たちは度々修行という名の破壊活動をするからじゃろう。そんな危ない者たちを組ませれる訳がない」

「……ところで、下忍は基本的に三人一組に担当上忍という編成のはずだったが…」

「ふむ、お主にはテンゾウと二人一組の班として行動してもらう。」

「それは怪しまれるんじゃないのか?」

「何、此度のアカデミーの卒業試験はナルトを含めて三人編成にすると一人余る。それがお主だったと言えば怪しまれることも無いじゃろう。」


ま、俺としてもその方が動きやすいからいいか。


「了解した。最後に一つ聞きたい」

「なんじゃ?」

「俺の身分を知る者の大まかな範囲を知りたい」

「ここの3人以外には数人はいるが」


つまりは、他の班の担当上忍も知らないという事か。


「基本的には内密というわけだ」

「そうじゃ。お主の立場的にあまり目立つ事は許されないのが痛い所じゃよ」

「今に始まった事じゃない。表向きは"ナルトの兄"裏向きは暗部ってのは変わらないさ」


俺はそう告げ、火影室を後にした


==================================================



「まったく、変わっておらんの。あやつは」

「そうですね。少し殺しに走りがちですが、基本的にはあいつはナルトの味方だ」

「ふむ、その殺しにしてもあやつの場合は護る事からきているやもしれん。それにあの忍としての才能はうちはイタチに劣ってはおらんな。」

「ええ」

「そんな凄い才能を持っているのですか?」

「なにしろ、独学で"影分身の術"を覚えただけでなく、従来の影分身の術も習得しているからな。」

「それはすさまじい。」

「だが、厄介なのは。ナルトに影分身の術を含め、様々な忍術を覚えさせたという点か」

「……」

「以前のアカデミー卒業試験の時はナルトのチャクラコントロールが下手なせいか落第しているが、今回の試験の"分身の術"の卒業試験はまず間違いなく合格するさ」

「…ははは、さっきカカシ先輩の言っていたナルトの味方ってのがわかりました」









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アカデミーの卒業試験ですが、1年に3回あって、その中で一度でも合格したら卒業できるといった設定にしました。理由としては1年に1度ではナルトは他のみんなよりも2年早く入学しないといけなくなるためです。


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