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[40912] 俺は弱い。だけど、木の葉の忍だ!
Name: 海坊主◆49908de9 ID:f6f890e9
Date: 2016/08/02 07:50
初めてSSを投稿します。
いろいろと至らない点もあると思いますが、頑張ります!


~注意~

オリジナル主人公男。

チート、ハーレム無し。

ナルトとサスケが孤独を感じた時に共通の友達がいたらこんな感じかなっていう具合に書きます。

主人公は基本的に弱いです。少しずつ強くなります。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



夕暮れ時
木の葉の里にある公園。



今日、初めて遊んだヤツ。
いつも一緒に遊んでいるヤツ。
名前は知らないけどそんなの気にしないで遊べるのは子供ならではだ。

このぐらいの時間になるとみんな帰りだす。

(俺もそろそろ帰ろうかな…。)
雪のように白い髪をした少年も帰ろうと思ってた。

遊んでた仲間にあいさつしているとブランコに一人座っているヤツがいた。
金髪に額にゴーグルの同じ年ぐらいの子供。
さっきまでニコニコしていたのに暗い顔をしている。

(アイツ、いつもみんな帰ると暗くなるな…。)


いつもなら真っ直ぐ家に帰るけど、気になって話しかけてみた。


「お前、帰らないのか!?」と遠目から言ってみる。

「………。」
(無視かよ。)
「オイ、お前に言ってんだよ!」
「う、うるせーってばよ!」
「なんだと!」

(話しかけただけなのに、うるせーは無えだろ。)

腹が立って、近づくとソイツはうつむいてしまった。
その態度にイライラして、ちょっとからかってみた。

「あー!まさか泣いてんの?だから下向いてんだ!」
「泣いてねーってばよ!」

泣いてはいないが怒らせたようだ。
だが、こっちのイライラは止まらない。

「泣くなら家に帰って泣けよ。」
「泣いてねーってばよ!さっきからお前、お前ってうるせーってばよ
この、白髪ジジイ!」
「てめぇ…。人が一番気にしていることを…。
俺は白髪ジジイじゃねぇ、“竹取オウギ”って
名前があんだよ!泣き虫野郎!」
「泣き虫野郎じゃねー!“うずまきナルト”だってばよ!」

「泣き虫の間違いじゃねぇの。調子乗んな!」
「上等だ。ボコボコにしてやるってばよ!」


……………。


…………。


……。

…。



ボロボロのオウギ。
「明日もこの公園に来いよ!また来るからな!
もう遅いから帰るだけだからな!
俺は負けてねぇからな!」

かすり傷程度のナルト。
「なんだってばよ……。」







[40912] アカデミー
Name: 海坊主◆49908de9 ID:8b6c9d00
Date: 2015/01/23 05:43
「準備はいいか?ナルト。」
「いつでもいいってばよ!」

廊下に立つ二人の手には水の入ったバケツ。

「「せーのッ!」」

廊下に水をぶちまけた。

「ホースで蒔くぜ。」
「洗剤もぶちまけるってばよ!」
「スベる!スケートみたいだ!」
「競走するってばよ!」

「よーい、ドッぐはッッ!」

首根っこを掴まれた。恐る恐る振り向くと鬼の形相をした…
「「イルカ先生ー!!」
ゴゴンッッ!!

タンコブができた。

公園の一件以来、ナルトと居ることが多くなった。


そしてここは忍者アカデミー。俺達は入学して“忍”になるべく勉強をしている。

「何をやっているんだお前達!早く片付けろ!他の生徒が転んだら危ないじゃないか!」
この人はイルカ先生。俺達の担任だ。怒ると怖いが、たまにラーメンを奢ってくれるし、分からないことがあったら熱心に教えてくれる。

「まったく…。教室で遊ぶから反省の意味も込めて廊下に立たせればコレだ。」
イルカ先生が呆れ返っていた。
「まあまあ、イルカ先生。廊下がキレイになっていいじゃないですか。」
「お前は反省しろ!」
「ハハッ!オウギのヤツ、イルカ先生にまた怒られてるってばよ!」
「ハァー!そもそもナルトがちょっかい出してきたから立たされたんだろーが!」
「オウギだって、“水をぶちまけよう”とか言い出すからだってばよ!」
「んーだと!ヤんのかコラ!」
「上等だ!ボコボコにしてやるってばよ!」
「やれるもんならやってみろ!」
「ああ!やってやるってばよ!」

「うるさーい!!」
ゴゴンッッ!!

新しいタンコブができた。



廊下を片付けて教室に戻るとナルトと俺は離れて三人掛けの左端の席につくと後ろから
「またメンドクセー事しやがったな。お前ら。」
本当に面倒くさそうに話しかけてきた。
こいつは奈良シカマル。マイペースで“メンドクセー”が口癖なヤツ。いいヤツなんだけどな。
「面白かったからいいんだよ。」
「静かに。また先生に怒られるよ。」
シカマルの隣りから話し掛けてきた。こいつは秋道チョウジ。自称ポッチャリ系。見た目どうりで優しいヤツ。“デブ”は禁句だ。
「確かに面白かったぜ。特に先生に怒られている所はな」
前の席から話し掛けきたこいつは犬塚キバ。何かと俺に噛みついてくる。愛犬の赤丸といつも一緒に居る。男気はあるが、基本的に犬だ。
「うるせーよ。ってか、アカデミーが終わったら遊ばねえ?」

「お前がメンドクセー事しなければいいぜ。」
「僕もいいよ。」
「赤丸の散歩が終わってから合流するぜ。」
「よし。決まりだな!いつもの所に集合な。」
「おい。」ボソ
「うわっ!ビックリした。」
「そんなに驚くことはない。なぜなら最初から隣りに座っていたからだ。」
忘れてた。こいつは油女シノ。影が薄かったから気付かなかった。成績がいいし、頼りになるけど何かと忘れそうになる。
「そ、そうだな…。後何人か呼びたいな。」
まわりを見わたすと通路を挟んで左側の席に座っていたうちはサスケと目が合った。けどすぐに目をそらされた。

サスケは遊ぶどころかしゃべったことすら無い。成績がいつもトップで女子に人気がある。何かと話し掛けずらいヤツだけど…。

「サスケを呼ぶのか?止めとけ断られんぞ。」
「誘ったことあんのか?キバ。」
「無えけど、アイツは俺達と遊ぶタイプじゃねぇぜ。」
「メンドクセーけど、俺はどっちでもいいぜ。」
「僕はいいよ。誘ってみようよ。」
「うーん。どうしよう。」

答えは決まってるけどな!


休み時間

サスケが次の授業の準備をしていた。
今しか無い。

「オス!」
「あっ。お、おう。」
「俺、竹取オウギってんだ。」
「うっ…うん。」
「さっきの話し聞いてただろ。」
「な、何のことだ。」
ちょっとキョドってる。友達いないのかも。
「とぼけんなよ。さっき目が合っただろ。今日、俺達と遊ばねえか?」
パッと嬉しそうな顔をした。意外と話してみると面白いヤツじゃねぇか。弄りがいがある。
「ダメだよ。今日、兄さんと修行をするんだから。」
「ホントは遊びたいんだろ。」
「べっ、別にそんなことねえし。それに兄さんみたいな凄い忍になりたいし。」
このお兄ちゃん大好きのツンデレ王子。顔に遊びたいって書いてある。
「そうか分かったよ。じゃあな。」
誘えないなら仕方無い。そんな悲しい顔するなよサスケ。




「また誘うからその時は遊ぼーぜ!」
またパッと嬉しそうな顔をした。やっぱり面白れぇ。普段はそんな顔するんだな。


なんだかんだで毎日楽しかった。
充実はしていた。


だがこの日、サスケの運命を変える出来事が起こる。

うちは一族殺害事件

生き残りがいた
犯人の“うちはイタチ”
そして、弟の“うちはサスケ”の二人だ。


里で大きな話題となった。エリート一族の壊滅状態で犯人は同じうちは。衝撃的な事件だった。
アカデミーでも話題になり、しばらくサスケは休んでいた。

サスケはどうしているんだろう?
事件からしばらく経ってしまったが俺は気になって、サスケの居る木の葉病院に向かった。

すると、もう退院しているとのことだった。


どこに行ったんだ。けど多分行く所は一つ。
里の外れにある元うちは一族の集落に向かった。
集落に向かうと閉鎖されていた。仕方ないから閉鎖区のまわりを探してみる。すると湖を見つけた。
湖の中央に向かって足場がある。その先に誰かいる。

サスケだ。


ゆっくり近づくとサスケの服が濡れているのが分かった。湖にでも飛び込んだのか?
「誰だ。」
「俺だ。オウギだ。」
「何の用だ。」
用という用はなかった。ただ心配になったからだ。
「特に何もないけど…。そうだ、今から遊ぼーぜ。みんな読んでさ。
「そんな暇はない。やらなければいけない事ができた。」
「やらなければいけない事?」
「兄を、うちはイタチを殺すことだ!」
サスケが振り返ると前に話した時からは想像の出来ない顔をしていた。
顔はやつれて、目は疲れて切っていた。俺は言葉を失った。

「用が無いなら帰れ。目障りだ。」
「そこまで言うことねえだろ!俺はお前を心配して…。」
「必要無い。帰れ!」
胸ぐらを掴まれ凄い剣幕にまた言葉を失った。
「お前なんかにオレの何が分かる!一番尊敬していたたった一人の兄に親を殺され、一族を殺され、何もかも失った。いつもヘラヘラしているお前に何が分かる!」
サスケからそう言われた時、初めて言葉が出てきた。
「確かに、確かに分からねえ…。けど俺は…。俺はサスケを見ていると悲しくなってな、ほっとけねぇよ。前に同じような顔していたヤツがいてな、ケンカをしたけどいつの間にか一緒に遊ぶようになってそいつはよく笑う所を見るようになったんだ。」
「だからなんだ。」
「サスケ。お前だって笑える。初めてしゃべった時はいい顔してたぜ。もう一度笑う所が見てみたいし、お前と遊びたいんだ。アカデミーに来いよ。すぐにとは言わないが、待ってるぜ!」
言いたい事を素直に言えた。
「じゃあ帰るわ!早く着替えろよ。風邪引いてアカデミー休みましたじゃあカッコ悪いからな。」

俺はその場を去った。



「…フンッ。ウスラトンカチが…。」




次の日

サスケは学校に来た。

────────────────
あとがき

サスケのキャラを崩さないのは難しい。エピソードも思い通りに書けない。もどかしい。
そろそろ原作に入ります。ストーリーと術はうろ覚えです。
ただ頑張ります。作者もオウギも。



[40912] 卒業試験から忍へ
Name: 海坊主◆49908de9 ID:413944d3
Date: 2015/02/08 06:57
書き直し終了

 ────────────────────  


卒業試験の迫ったある日のアカデミーの授業

「今日は男女合同で組み手をやって貰う。名前を言われた者から前に出てこい!」
イルカ先生が授業を始める。
「まず、うずまきナルトとうちはサスケ!」
サスケの名前が呼ばれると女子から黄色い声援が聞こえてくる。
「キャーッ!サスケ君よ!」「サスケ君。かっこいい。」「サスケ君頑張ってー!」
(サスケは相変わらず人気だな。ここはナルトを応援してやるか!)
「ナルトー!サスケなんか倒してやれー!」
「任せろってばよ!オウギ!」
ナルトが元気良く返事をすると、まわりが口々に言った。
「ナルトなんかサスケ君に勝てる訳ないでしょ。」「ナルトうざい。」「落ち子こぼれめ。」
(何かみんないつもナルトには冷たいよな。)
「そう言えばオウギもうざい。」「黙ってなさいよ」「白髪ジジイ」「ザコ」「しゃべるなオウギ」「空気読みなさいよ」「本当にサイテー」
(何か、俺の悪口多くねぇ?さすがにヘコむ。)
オウギが凹んでいる時にイルカ先生が
「よし!始めッ!」
組み手が始まったが、勝負は一瞬だった。
ナルトが殴りかかると避けてそのまま背負い投げをするとと眉間に拳を構えて、ピタッと止まる。
「止めッ!」
イルカ先生が止める。
「やっぱりサスケ君かっこいい!」「ステキ!」「すごーい 」
いつも通りの黄色い声援が起こる。
(やっぱ、トップのサスケにはかなわないか。)
「次、犬塚キバと日向ヒナタ!」
(おっ!ヒナタじゃん!相手はキバか。犬っころめ、ヒナタに要らんことするなよ!」
日向ヒナタは大人しいタイプ。引っ込み思案でいつもウジウジしているがオウギ曰わく、『だが、それがいい!』だ。
「始めッ!」
開始と同時にキバがスピードを生かし、攻撃をしていくが、ヒナタは上手く避けている。次第にヒナタが押されて来て、ついには押し切られる。
(オイ、犬っころ!何しやがる!)
「次、山中いのと油女シノ!」
(イノか…。実力があるからな。何でも出来るイメージあるな。)
山中いのは明るくて男女共に人気があって、誰とでも平等に接する。成績も女子の中のトップだ。因みにサスケファンクラブの一人。
「始めッ!」
始め二人は組み合うようになり、そこから蹴りや拳を出すがお互い当たらない。二人共、実力があるからまるで踊っているようだ。だが決着がつく。
(あー。シノが勝ったか。)
「次、秋道チョウジと奈良シカマル!」
二人は前に出るがシカマルが、
「先生。メンドクセーからオレの負けでいいですよ。」
イルカ先生は困った表情をしている。
「そ、そうか。次、浦島ミヤと熊野キンタ!」
(俺の出番はまだ先のようだな。ナルト達の所に行くか。)
「よっ!ナルト、あっさりとやられちまったな。」
「くそぉー!何で勝てねぇってばよ!」
「成績のトップとドベだから今は仕方ないぞ。」
「それにサスケのヤツ、オレとやり合っているのに、オレの事を意識してない感じだったってばよ。憎しみみたいのも感じたし…。」
(ちょっと何言ってるか分からないな。兄貴を殺すとか言ってたしな。)
「サスケだからな。」
と、適当な言葉で返す。
「最後に竹取オウギと春野サクラ!」
オウギの出番が来た。
春野サクラは目立った特徴はない普通の女の子。座学はトップらしい。因みにサスケファンクラブの一人。
「やっと俺か!やってやるぜ!」
「いつもみたいにやられんなよ。まあ、負けた方が面白いけどな
。」
「うるせー!キバ!」
「頑張ってね。オウギ。」
「必ず勝て。何故なら、男が女に負けるのは恥ずかしいからだ。」
「メンドクセーけど、同感だな。」
「オウギ。サクラちゃんには…手加減しろってばよ。」
いつもの仲間達からあったかいのから冷たい声援をもらい、前に出る。
(サクラか。しゃべったことないな。女の子だから殴らないように投げ技か関節技をキメるか。)
「始めッ!」
オウギは間合いを詰めるため突っ込むがつまずいた。とっさに何かを掴む。まわりの空気が凍りついた。オウギはサクラの胸の辺りを掴んでいた。
「キャーッ!」
サクラが悲鳴を上げる。顔が真っ赤だ。オウギは混乱して慌てて謝る。
「ご、ごめん。まな板みたいだし許して。」
(やべー!とりあえずフォローはしたから大丈夫だな。…アレ?空は晴れているのに雷でも落ちそうな音がす……。)
「しゃんなろー!」
オウギの頬に衝撃が走った。
「なにしやがる!誤っただろ!コノちっパイ!」
「しゃーんなろー!」
オウギは宙を舞う。やっぱり空は晴れている。
(し、死ぬ……。)

遠目でサスケが、
「ウスラトンカチが一人。」


  ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

飛び起きる。もうこんな時間。
「今日は卒業試験でしょう!頑張りなさい!」
母親のシキがオウギに声を掛ける。
シキは中忍。任務はあまりやらず、デスクワーク派だ。因みに父親はオウギが産まれる前に死んだらしい。

「うん!行って来ます!」
体が軽い。勢いよく飛び出す。
今日は卒業試験。


アカデミーの教室

オウギが教室に入るとナルトを見つけた。
「今日は頑張ろうぜ!」
「オウ!火影になる第一歩だ。絶対に忍になってやるってばよ。」
(火影はお前の夢だからな。俺も負けねぇぞ。)
イルカ先生が教室に入って来た。
「お前達、静かにしろ!これから卒業試験を行う。順番に教室に入って“分身の術”をやって貰う。」
(ヤバい。分身の術か!出来るかは二分一なんだよな。)

生徒たちが一列に並び試験が始まった。
(サスケは俺の前、ナルトは少し後ろか。)
オウギは順番が近づくたびにそわそわしている。
(サスケはもうすぐだな。汗が止まらねー!)
サスケの順番が来て、あっさりと分身の術をする。
(やべえ!次じゃねぇか!神様、仏様、火影様!どうか俺に力を貸してくれ。)
「次!竹取オウギ!」
オウギは一度、深呼吸して印を組む。
「分身の術!」
煙と共に分身が出て来た。
「よし!合格だ!」
「ウオォォー!やったぜ!」
雄叫びを上げながら木の葉の額あてを受け取った。すぐに額に着けもとの教室に戻って来た。喜びを爆発させている。
(そうだ!ナルトは!)
ナルトが教室に戻って来る。
「ナルト!お前はどうだっ……。」
初めて会った時と同じ位、暗い表情をしていた。


アカデミー前の広場

合格した生徒たちが親に額あてを見せびらかしている。オウギもその中にいた。
「オウギおめでとう!」
「ああ、母さん。」
「どうしたの?浮かない顔して。」
「友達が落ちたんだ…。ちょっと行って来るね。」
オウギはナルトを探しに行った。すぐに見つけたがなんと言っていいか分からなかったが、声を掛けた。
(落ち込んでいるだろうな。)
「ナルト…。」
「オウギ。ちょっと手伝ってくれってばよ!」
「?」
オウギの予想とは裏腹に意外と元気だった。

 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─


───本当だってば。火影様の部屋にある巻物を持ってくればミズキ先生が忍達してくれるって、ミズキ先生が言ってたってばよ。
夜になったら集合しようぜ。

火影の家

(本当に大丈夫なのか?火影様の部屋に入って。っていうか俺も落ちたらこれをやっていたんだな。ナルトの為に一肌脱ぐか!)

ナルトとオウギは忍び込み、巻物を探す。
「ナルトこれじゃねぇ?」
「違うってばよ。ここらへんじゃ……ん?…オウギ!これだ有ったってばよ!」
「おお!見つけたか!」
(あれ?禁って書いてあるけど)
「お前達、何やっとるんじゃ。」
後ろから三代目火影のヒルゼンに声を掛けられた。
「ヤバっ。行けーナルト!」
オウギはヒルゼンに突っ込むがカウンターをくらい、気絶した。
「ナルト!それは…。」
「お色気の術!」
煙と共に若い裸の女の子が出てくるとヒルゼンは鼻血を出しながら気絶した。

「……ウギ!オウギ!起きろ!」
オウギはイルカに起こされる。少し慌てているようだ。
「どうしたんだイルカ先生。」
「どうしたじゃない!大変な事になった!ナルトが禁書を持ち出したんだ。今、里の大人達がナルトを探している。お前はナルトがどこに行ったか知らないか?」
(あれかー!やべーじゃん!)
周りで大人達が集まり口々に「あの化け物が」「もう許さん」「どうせ生きていてもロクなことねぇんだ。見つけ次第殺せ!」「「おおー!」」といった感じだ。クラスのヤツとか里の人達はナルトに冷たいが少し異常だった。オウギは答えた。
「知らない。分からない。」
イルカはオウギの目を見つめていた。
「そうか。何でお前達が禁書の事を知っているんだ。」
「それはミズキ先生が持って来たら、額あてをくれて合格にしてくれるってナルトが言ってたから。」
「ミズキが…。分かった。ちょっとナルトを探してくる。」
「俺も探す!」
オウギとイルカは別々に探しに行った。
(やべえぞナルト!早く見つけないと!)


森の中

オウギはナルトを見つけた。急いで駆け寄る。
「ナルトー!」
「おお!オウギ!任務完了だってばよ。」
「そんなことより早く巻物を返しに行くぞ!」
「何でだよ!コレをミズキ先生に渡さないと忍に成れないってばよ!」
「いいから行くぞ!今、里で大変なことになっているんだ!いいから戻るぞ!」
「ダメだってばよ!まさかオウギ。オレが忍に成るのが気に入らないんだな。」
「違う!もういい!渡せ!」
「ダメだ!ミズキ先生に渡すってばよ!」
言い合いになってしまった。するとミズキが姿を表した。
「そうだナルト。巻物をオレに渡せ!」
イルカが猛スピードで表れる。
「ナルトー!巻物を絶対に渡すな!」
ミズキはナルトにクナイで切りかかるがイルカが割って入り、背中を切られる。ナルトとオウギは驚いて動けない。するとミズキが語り始めた。
「ナルト。いいこと教えてやる。12年前の事だ。」
「止めろ!ミズキ!」
「オウギ。お前にも関係のあることだ。」
「止めろ!聞くなナルト!」
(12年前?何の話しだ?ミズキ先生は何を言おうとしている?)
「12年前。九尾の化け物が里を襲った。多くの人が死に化け物を恨んだ。」
「言うな!ミズキ!」
「化け物は封印され、里にある掟が出来た。それは
ナルトに化け物を封印されていることを言わないこと。
ナルトー!お前はイルカの両親、オウギの父親を殺した化け物なんだよ!」
オウギは混乱した。思いあたる所はある。里の人がナルトに冷たいの
知っていたからだ。
ナルトと目が合う。青いキレイな目から赤い憎しみに満ちた目をして体からおびただしいチャクラが漏れ出していた。
その時、ナルトに手裏剣が投げられる。イルカがすかさず庇い、背中に刺さる。
「里の人に訳も分からず冷たくされて辛かったよな。みんなに構ってもらえなくて寂しかったよな。ナルト。」
「くそぉー!」
「待てナルトー!」
イルカの呼びかけにも応じずナルトは森の中に逃げ出した。
オウギはあまりのことに固まっていた。自分の母親が寂しそうに父親の写真を見ていたし、自分も父親が居ない寂しさを感じたことがあったからだ。
「オウギ!ナルトを追ってくれ!今、アイツを一人にしたらいけない。」
イルカの呼びかけにやっと我にかえるとオウギは迷っていた。
「オウギ!お前も見ただろ!アイツは化け物だ。」
「オウギ。お前はナルトの友達だろ。頼む。」
心は迷っていたが、体が動いた。気がついたらナルトを追いかけていた。
(ナルトに会って何を言うんだ!クソ!分からねえ。ただ、立ち止まるのは良くねぇのは分かる!)

ナルトが立ち止まっている所にオウギが追いついた。
逃げられまいとオウギはナルトに飛びかかる。
「待てナルト!」
「離せってばよ!オウギ!」
「落ち着け。…とにかく……落ち着け!」
オウギはそれ以上の言葉を探すが見つからない。ナルトはオウギの目を見つめて言う。
「オウギ!お前だってオレを恨んでいるんだろ!違うか!」
言われて黙るオウギ。心配な気持ちもあるが恨んでいると言われると分からなくなってしまう。
すると、近くで話し声が聞こえて来た。
「…やっぱりそうなんだろ。ハッキリ…「ナルト静かに!」」
反射的にナルトの口と腕を抑え、木に押し付けた。
どうやらイルカとミズキが話しているみたいだ。
「ナルトは化け物だ!イルカ!お前も分かっているだろう!」
「確かに化け物なのかもしれない。」
オウギは動揺した。ナルトはオウギを睨んだ。
「だが、ナルトは違う!ナルトはバカでイタズラばかりして、みんなに認めてもらいたくて、努力して、失敗ばかりして、それでも努力して、
オレの大切な自慢の生徒だ!」
イルカが言い終わる頃にはナルト涙を流していた。
それを見てオウギも貰い泣きをした。
(さっきまで、自分の気持ちが分からなかった。イルカ先生の言葉を聞いて、ナルトの顔を見て気付いた。…俺はナルトの友達だ!)
さっきまで言い合いになっていたが、仲直りの言葉は要らないみたいだ。
「バカが…。もういい。死ね。」
ナルトは飛び出し、言い放った。
「待て!イルカ先生に触れてみろ。殺すぞ!」
「フンッ。下忍でもないヤツが何を言う。お前から死ね!」
「多重影分身の術!」
煙りと共に数百人のナルトが出てきた。
オウギは呟くように
「すげぇ…。」
「いくってばよー!」
「う、うわーっ!」
ナルトの波にミズキが飲み込まれ、ボロ雑巾のようになった。

「よくやったなナルト。」
イルカは優しく微笑み、ナルトは照れているようだ。

「そうだ渡したい物がある。目を瞑れ。」
ナルトは言われた通りに目を瞑り、イルカが自分の額あてをナルトに着ける。優しく雰囲気が漂う。
「もう、目を開けていいぞ。ナルト。」
ナルトは額あてに気づき、
「合格おめでとう。ナルト。」
「イルカ先生ー!」
ナルトはイルカに飛び付き、喜びを爆発させている。

こうして一人の忍が誕生した。




[40912] 演習
Name: 海坊主◆49908de9 ID:ef6b7658
Date: 2015/02/04 21:02
演習がき

タイトル「俺は…。」から変更。

早く書きたい所があるからテンポ良くいきたい。

サイトの使い方にあたふたしながらやってます。

ここからオリジナルの術出していきます。


───────────────
「はぁ~。」オウギはため息を一発。
「行ってらっしゃい。」母のシキが笑顔で送り出す。
「行ってきます。」
オウギは演習場に向かいながら昨日の事を思い出す。

 ─ ─ ─ ─ ─ ─

アカデミーの教室に新人の下忍達が集まっている。
今、これから任務をこなしていく班分けが発表されようとしている。
「班分けを発表する。班はアカデミーの成績を考慮して組んだ。
まずは──。」
(知らないヤツとはなりたくないな。)
「七班。うずまきナルト、春野サクラ、うちはサスケ。
八班。山中いの、奈良シカマル、秋道チョウジ。
九班。熊野キンタ、浦島ミヤ、竹取オウギ。
十班。日向ヒナタ、犬塚キバ、油女シノ。
──。」
(二人共知らないヤツか。俺だけ仲間外れだ。)
「──以上!担当上忍の方が来た所から班で行動してくれ。それまで教室で待機。」
発表が終わると早速、一人の上忍が教室に入って来た。
ボウスに髭面。体は大きく、強面。下忍達が若干怯えている。
「九班!集合!移動する!」
(うわっ。マジかよ。恐ええ。)

建物の屋上に三対一で座る。
「自己紹介をするか、まずはワシから
名前は“桃川キビ”。趣味は釣りじゃ。好きな食べ物は蕎麦。よろしく頼むわ!
そんなら夢や目標とかも加えて、白髪のガキんちょから頼むわ。」
「オウ!俺は竹取オウギだ。好きな食べ物は一楽のラーメン。嫌いな食べ物は特にない。夢は最強の忍になる事だ。よろしく!」
少しだけキビが笑った気がする。
次は隣りの女の子。
「私は“浦島ミヤ”といいます。趣味は散歩で好きな食べ物はもずくです。夢とかは特にありません。」
ミヤは小柄で髪は綺麗な深い赤のストレートロング。小動物のような子だ。額あてを左肩に着けている。誰にでも敬語で話す。
最後に男の子がぽつぽつしゃべり出した。
「オレは…“熊野キンタ”…。好きな食べ物は…納豆…。夢は…家業の鍛冶屋を継ぐこと…。」
キンタは同期と比べて体が大きい。存在感があるが無口なタイプ。髪はうなじまであり、ボサボサだ。額あてはバンダナにして頭に巻いている。
「よし!自己紹介はこれで終わりじゃな。明日から演習をやるけぇ。詳しいことはプリントを配るけぇ読んどいてな。」
キビはプリントを配る。オウギは不満があった。
「なあ。キビ先生。演習なら山ほどアカデミーでやってるし、任務がやりたいんだけど。」
「まだまだ新人の下忍じゃろうが。それに結果次第でアカデミーに戻って貰うけぇの。皆、始めはこの演習をやるんじゃ。まあ、お前みたいな生意気なヤツはアカデミー戻りじゃな。ワシがルールじゃけぇ、せいぜいワシの機嫌を損ねんよう頑張れや。ワシは用事があるけぇ。」
キビは煙と共に姿を消した。オウギは釘を打たれた気分だった。

「早く忍として活躍したいってのに下手したらアカデミーに逆戻りかよ。明日は頑張ろうぜ。」
「オレは…別に落ちても…いい。」
「私も別に立派な忍になりたいわけじゃないですから、ケガしない程度でやります。」
「って!なんでだよ!俺はアカデミーに戻るのは嫌だからな。」
「そういえばあなた組み手の授業でサクラさんと揉めてた方ですよね。演習で変なことしないで下さいよ。“変態”さん。」
「しねーよ!」
キンタが二人から離れていく。
「どこ行くんだ!」
「帰る…。」
「私も帰ります。」
「おい!」オウギの呼びかけに二人は応じない。
「くそぉー!俺は意地でも忍になってやる!」

 ─ ─ ─ ─ ─

(が、昨日までのこと。)

演習場

三本の丸太と森があり、川があり、開けたところあり。アカデミーでも何度か来たことがある。
現在、朝の6時前。少し眠い。オウギが来た時には二人共いた。しばらくして、キビも来た。
「少し早いが始めるけぇ。これから二時間以内に2つの鈴を取って貰う。取れなかった場合はアカデミー戻りじゃな。」
「必ず一人は落ちるって事ですか?」
「そうじゃ。まあ全員落ちることもある。審査基準は他の上忍と比べて低いから頑張れや。まぁ、出し惜しみせず本気でこいや。」
「あたり前だ!」オウギは気合い十分みたいだ。
キビは目覚ましをセットして、
「威勢だけはええみたいじゃの。それじゃあスタートじゃ。」
スタートと同時に4人は隠れる。

(あの二人より早くキビ先生を見つけてやる。サクッと決めてやる。)
オウギがそんなことを考えているとキビを見つけた。
(見つけた!先手必勝ー!)
鈴を目掛けて飛び出した。死角から飛び出したにも関わらず簡単にかわされる。すかさず拳を繰り出すが当たらない。オウギは胸ぐらを掴まれ投げ飛ばされた。
「考えも無く飛び出すなや。やり直しじゃ。」
物影からキンタが飛び出した。印を組む。
「擬獣忍法。」
獣のような動きで攻撃をするが上手くガードされる。
「隠れとる時から殺気が漏れ出しとったで。スピードはなかなかじゃけど、まだまだじゃな。」
「…火遁・鳳仙花の術。」火の玉を数発吐き出した。
「ワシも使うか。土遁・土流壁!」土の壁で防ぐ。
それを飛び越えて殴りかかるが蹴り飛ばされるとオウギの所まで転がった。
「土遁・土津波!」大量の土砂が二人を襲い生き埋めにした。
「さて、散歩でもするかのう。」
「…まだだ!」オウギが土から這い出た。印を組む。
「いくぞ!土遁・流石弾!」握り拳ぐらいの数十の石がキビに放たれた。
「出て来るのは分かっとったわ!土遁・流石弾!」オウギよりも多くの石がオウギを襲う。術の物量押し。
「うわーっ!」
オウギは伸びてしまった。キビはその場から去った。

しばらくするとミヤが現れ、キンタを掘り起こした。オウギも起き上がる。
「くそぉー!次は取ってやる!」
「大人しくしたらどうです。力の差を見せられたでしょう。」
「そんなワケには行かねえ!俺は忍に成りてぇんだ!」
「…力の差が激し過ぎる…。戦うというより遊ばれていた…それはお前も分かっているだろう…。」
それはオウギも分かっていた。相手にされてない感覚。無理なんじゃないかと思うくらい。
「そうですよ。諦めましょうよ。卒業試験も簡単だったでしょう。また来年頑張りましょう。私は別に忍に成れなくてもいいです。どうしてそこまで必死に頑張るんです?」
「…卒業試験は難しかった。俺は忍術がヘタでな、なんとか受かったんだ。……俺の友達が試験、一度落ちたんだ。けど、ソイツすげー術を使って悪いヤツを倒したんだ。その時のソイツ、カッコ良くてな…俺もああなれたらいいなって思ったんだ。
……頼む二人共俺に力を貸してくれ!俺は忍に成りたい!」
「…分かった……。いいだろう…。」キンタが答えた。
「ちょっと!私は無駄なことしたくないです!」
「頼む!お前も力を貸してくれ!」
オウギは真剣な眼差しで見つめる。ミヤは軽く息を吐いて答えた。
「…分かりました。」
「ありがとう。」オウギはニコッとした。
「あと、浦島ミヤって名前があるので名前で呼んでください。」
「分かった。ミヤ、よろしく。竹取オウギだ。」
「…熊野キンタだ…。」
キンタは手を差し出すと三人で手を重ねる。

遠くでキビが見ていた。サッと姿を消す。

二度目の自己紹介が済んだ所でオウギは口を開いた。
「キンタはスピードがあるからメインで行くとして、俺は陽動でもやるかな…。ミヤは何が出来る?」
「そうですねえ…。二人共クナイと手裏剣を少しの間、貸して下さい。」
「「?」」

 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

キビは森の中を散歩していた。何かを感じ、しゃがむ。クナイが飛んできた。飛んできた方向を見るが何も無い。手裏剣も三枚ほど微妙に違う角度で飛んで来る。クナイで弾く。
(協力してかかってきたか。上手く場所がからんようにしとるようじゃのう。じゃが、大体の場所は分かる。)
予想した場所に向かったけど何も無い。するとクナイと手裏剣が飛んできた。いずれも違う角度キビはやっと気づいた。
(始めは三人かと思っとったけど、一人でやっとる。クナイは木々で軌道を変え、手裏剣はブーメランのように軌道を曲げて木々を縫って投げとる。移動もしとるようじゃのう。)
普通、手裏剣は目標に目掛けて真っ直ぐ投げるように修行をするが特殊な軌道で投げている。
すると、左右からオウギとキンタが飛び出した。二人は拳を繰り出すがまだキビには届かない。ミヤは数本のクナイを投げる。それに合わせて二人共、接近する。
「やるな!土遁・浮石弾!」キビの周囲から岩が飛び出す。
クナイを弾き、オウギとキンタも飛ばされる。
すると、キンタが煙と共に消えた。
(何!?影分身か!)
キビは驚いた。下忍レベルで影分身の術は珍しい。一瞬、隙が生まれた。
「擬獣忍法…。」
隙を見逃さない。キンタは死角から鈴を目掛けて突っ込んだ。
指が鈴に微かに触れる。ギリギリでかわされる。キンタは蹴り飛ばされる。
「影分身とは驚いたわ。誰に教わった?」
「友達から習った。くそぉー。上手くいくと思ったのに!」
「二人共、突っ込んでください!サポートします!」
手裏剣を数枚取り出し投げる。それに合わせて、オウギとキンタは突っ込む。二人の足や脇の間、首の横からクナイと手裏剣が飛び出し、二人の隙を埋める。手数で三人が押し始めた。
(チームワークがしっかりしてきたのう。)
『ジリリリリリッ!』遠くで目覚ましが鳴る。
「終了じゃ!コレはオマケじゃ!土遁・奈落穴!」大きな縦穴が出来て三人まとめて落ちる。

「畜生!最後まで鈴を奪えなかった。」
「アカデミーに逆戻りですね。とにかくここから出ましょう。」
オウギはかなり悔しがっている。とにかく穴から出ることにした。
「お前達、よくやった!合格じゃ!」
「へ?なんで?鈴を取れなかっただろ?」
「何キョトンとしておる。ワシはお前達を認めたんじゃ。」
「…通りでギリギリで手を抜かれてたわけだ……。」
「鈴を2つしか用意しなかったのは、仲間割れさせようとしてですか?」
「そうじゃ。本当はもっと仲間割れさせようと考えておったんじゃが、昨日ワシが帰った後、お前達は気持ちがバラバラじゃたから何もせんでおった。本気でやらんかったのは一人でも取れると思わせるためじゃ。まあ、最後の方は本気で逃げとったけどのう。」
「やったぜ!」オウギは喜びを爆発させている。
「最後に一つ、必ず任務の時はチームワークを大切にするんじゃ。困難な任務ほど仲間と協力し、任務に当たれば、成功する。そしていつかは一人でやらんといけん時もある。そん時は木の葉を思え。火影という幹、死んでいった者達という根、そしてワシら忍達が木の葉じゃ。木の下の者達を守れ。木の葉を思え。どんな時もすべての心は大樹と共にある。」
オウギは目を見開いて聴いていた。
「よし!まだ8時過ぎじゃ。せっかくじゃけぇ修行をするか!」
「そんなことより腹減ったぜ。飯食おうぜ。」
「そういえばそうですね。」
キンタも頷く。朝早くからの演習でお腹が空いていた。
「そんなこと言うな。ワシがお前達に教えんといけん事じゃし、我慢せぇ。」
三人はテンションが下がっていた。
「そうじゃな。出来たら飯でもおごってやる。…朝飯前ってヤツじゃな。」
「ハァー。」ミヤとオウギがサブいオヤジギャグに呆れている。
「…ミヤ、オウギ、ヤるぞ!」キンタはキラキラしていた。
「キンタはチョウジみたいだな…。」
「先生。何をするんですか?」
「さっき、木の話しをしたから“木登り”じゃな!」
「ハァー。さっきの話し、台無しです。」

コノ後、ナルト達もこの演習場に来るがそれは別の話。


 ─ ─ ─ ─ ─ ─  ─ ─ ─


あとがき

いろいろあって不定期更新です。
ごめんなさい。 



[40912] 12年前
Name: 海坊主◆49908de9 ID:6731314c
Date: 2016/07/21 05:49
『卒業試験から忍へ』を一度間違えて消してしまいました。
若干、書き直しました。

過去編を書きます。


──────────────────

蕎麦屋

オウギ達はキビに連れられて、蕎麦屋に来ていた。
「キビ先生。俺、一楽のラーメンがいい!」
「ワガママ言うなや。それに、ココの蕎麦は旨いで!」
「キビ先生がせっかくご馳走して下さるんだから文句言わないで下さい。」
「…オウギ。大切なのは『何を食べるか』じゃない…『どんな気持ちで食べるか』だ。」
「ワガママや文句は“木登り”が出来るようになってからじゃな。」
4人は先ほど、演習をして木登りの修行をしていた。キンタは2、3回挑戦したら出来て、ミヤは始めは上手くいかなかったものの、最後の方はなんとか登れるようになった。オウギは一度も成功していない。
「くそぉー!明日までにはなんとかしてやる。」
「そうじゃな。まあ、頑張れや。…蕎麦も来たことじゃし、食うか!」
4人は食べ始める。オウギはしぶしぶ食べ始める。
「う、旨い。」
「本当に美味しいです!」
「…旨い。」
3人は自然と言葉に出した。
「そうか!良かったわ!」
キビはニコッとして話し続ける。
「この蕎麦屋は昔から来ていてな、よくシキ達とも来たんじゃ。」
「え?母さんと?何で?」
「お前、知らんのか?お前の両親とワシは同じ班だったんじゃ。」
「えー!年、離れ過ぎだろ!」
「失礼じゃな。ワシとシキはタメじゃ。」
キビは四十代に見える。だか、老けて見られる。
「その様子じゃと父親の事は何も聞いとらんみたいじゃな。」
「…そう言えば知らない。」

「そうか………。時間がある時、聞いてみるとええ。ワシよりシキの方が詳しかろう。」

二人がしゃべっているとキンタが完食したみたいだ。
「…ご馳走さまでした。」
「速っ!しかも、めちゃキレイに食ったな。」
「…昔から親父が厳しくてな……何か悪いことするとご飯抜きにされたり、『キレイに食べるように』と言われてたからな。」
「ハハッ!こりゃあ気分がええ!キンタ、もう一杯食ってええぞ。」
キンタが頼んでいるとミヤが半分残した。
「お腹いっぱいです。」
「…残った分、……食べていいか?」
「いいですよ。」
「よかったら、デザートも頼めばええぞ。ここのお菓子は格別じゃからな。」
ミヤは目を輝かせている。
「お菓子!…でも、残したら悪いですし…。」
「…食べればいい……残すようならオレが食う。」
「本当ですか!じゃあ、お言葉に甘えて。」

そんな感じで、食事が終わり。
4人は店の外に、

キビは忍者の登録があるからと言って、早々と居なくなる。
三人も少ししゃべって解散した。

オウギは家に帰ってきた。
そう言えば、父親の事をほとんど知らない。知りたかったけど、父親が居ない寂しさは母親が一番感じていると子供ながらに感じていたから、今まで聞かないでいた。
「ただいま。」
「お帰りなさい。どうだった?」
「忍者に成れたよ。」
「やったわね!お祝いしなくちゃ。」

「その前に、さ…。
聞きたいことがあるんだ。父さんの事と12年前の事。」

シキはオウギの目を見つめる。
静かに口を開いた。
「…分かったわ。」
そう言うと、シキは自分の部屋に行き桐の箱を持ってきた。
その箱を机の上に置き、開ける。すると、中から立派な“扇”が出てくる。
シキが広げて見せてくれた。
それはシンプルなデザインであるが、素人の目から見てもとても高価な物だと感じさせるほど美しく、不気味な存在感を漂わせる。
(まるで生きているみたいだ。)
オウギはそう思った。
シキは2枚の写真を持ってきて机の上に置く。
オウギは二枚とも見たことがある。
「これ、お父さんが下忍になりたての写真だろ?」
一枚は真ん中にオウギとソックリの男の子。左には髪が瞼の辺りまで伸びている内気そうな男の子。右側には髪が気合いが入っていて、ヤンキーにしか見えない女の子。
「うん。昔の私達。」
「へぇー。…え?これが母さん!?もしかしてこっちがキビ先生?」
「そうよ。驚いた?」
「驚いたぜ。キビ先生はなんか家で本とか読んでいそうな感じだし、母さんは恐い人と“夜露死苦”してそうな感じで…。」
「ンンッ!キビは昔から性格は変わらないし、私はいろいろと変わったわ。」
シキは言葉を遮るように咳払いをして言った。

(そう言えば、ナルトと喧嘩をして帰るのが遅くなった時、母さんにめちゃくちゃ怒られて、あまりにも怖すぎてトラウマになったな…。納得した。)
「っで!お父さんはどんな感じ?」
オウギの心を読んだみたいだ。慌てて思考をもとに戻す。
「と、父さんは…
俺がニコニコしているように見えて気持ち悪い。」
そう言うとシキはお腹を抱えて笑い出した。
「確かに。お父さんは昔からよく笑っていたからね。
もう一枚の写真はアナタがまだお腹の中にいる頃の写真。
ここから話すわ。お父さんの事、12年前の事を、ね。」

シキは優しい表情で語り出した───。


木の葉の墓地

キビが墓石に語り掛ける。
「今日、お前の息子が忍になったで…。しかもワシの班じゃ。
お前とシキの息子なのに性格が全然似とらん。
じゃけど優秀じゃない所はソックリじゃな。
後、お前よりやる気はあるみたいじゃな。お前みたいにボサッと
せんし。」

キビはポケットからコインを取り出す。

「ワシは自分の意思で選んだんじゃ。」
コイントスをする。静かに目を閉じる。
『キビ。目を閉じて。───。』
「………表。」

キビはコインをキャッチして昔を思い出していた───。



 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─


木の葉の里

よく晴れた空。
心地よいお昼過ぎの時間。
人々は眠気をガマンして働き出す。

が、
ただ一人、眠気に負けた男がいた。

白い髪、木の葉の額あて、忍のようだ。
四代目の火影岩の上で気持ち良さそうに寝ている。

そしてもう一人、怒りを噛み締め走る。

黒髪短髪、木の葉の額あて、忍のようだ。
体格のいい男で怒れば鬼のような顔立ち。

白髪の男に近づき、腹部を踏みつける。
「起きんか!集合時間は過ぎとるぞ。オキナ。」
「っぐふ…!ぐっグットモーニングだね。キビ。」
「バッドアフタヌーンじゃ。ボケ。」
「出来れば優しく起こして欲しかったな。」
「大ボケか!お前は毎回毎回……。ハァ~。行くぞ。先輩方はもう見回りに行っとる。」
キビは毎度のやり取りに疲れたようにため息をこぼし、任務の話をする。
オキナはおもむろに扇を取り出すとパタパタと仰ぎだす。
「行くか〜。まだ眠いな。次は家の布団で寝ようかな!」
「……次か。」
少し空気が重くなる。
「?」
「ワシは少しだけ土遁と火遁が使える…。」
「…?知ってるよ?」
キビがオキナの頭を握り、
「寝てぇなら今寝させてやる…。」
「‼︎‼︎ォ‼︎‼︎‼︎」
オキナは気付くのが遅かった。

「土葬と火葬、どっちがええ⁉︎」

「(怖っ!)」
鬼のような親友に。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

木の葉の大通り

店は賑わい、子供達ははしゃぎ、多くの人が行き交う。
その中の男二人。
一人は怒りの余韻で話し、一人はパタパタと扇を仰ぐ。


「………ったく、ホンマに自覚が足らんわ。」
「分かった分かった!もう止めよう!」
「何が分かったんか説明してみろや」
ピシッと扇を閉じて答えた。

「……んー…わかんない!」
キビの鋭いチョップが炸裂する。
「アホかー‼︎間の抜けた事を…!お前はもう少しで親になるんじゃろーが。」

そんな二人にお腹の大きな女性が声をかける。どうやら妊婦さんのようだ。
「おーい!そこの漫才コンビ!」
「「シキ!」」
「道の真ん中で何してるの。見回り中でしょ。」
シキが二人を止めに入るやいなやオキナが駆け寄る。
「シキ~。聞いてくれよ〜。キビがイジメて来るんだ。」
「いい歳して泣き付くなや!みっともない。」
「ハイハイ。どーせオキナが悪いんでしょ。」
「そうなんだよ。俺が悪いんだよね〜。」
「分かっとるなら反省せぇ!」
三人が喋っていると子供達が集まって来た。
「白髪のおにーさん」「白髪おにー」「白髪ジジ」「遊んで」「肩車して」「お馬さんになって」
「いいよ!ほら行くぞ〜!」
オキナは子供達に付いて行く。
「オイ!オキナ!任務中じゃろが…!」
「まあいいじゃない。落ち着いて。」
「ハァ~。お前はいつもオキナに甘い。そんな事じゃお前らの先が思いやられるわ。」
「ハイハイ。」
シキは和かに話を聞き流す。それを察してキビは大きなため息を吐いた。
その頃、オキナは子供達だけではなく、大人達も集まり始めた。
定食屋のおじさん、集まった子供の母親、八百屋のおばあちゃんなどオキナは一人一人にあいさつをする。
「白髪のあんちゃん!モテるね!飯、食ってくかい!サービスするよ!」
「本当ですか!あっ。でもさっき食べたので次の休みにC定食の特盛食べに行きます。」
「オウ!いつものかい!まってるよ!」
「お買い物中にすみません。いつも構ってもらって。」
「いや〜。構ってもらっているのは僕の方ですよ。本当にいい子だ。」
「冗談がお上手ね。」
「この間はありがとうね。重たいもの持ってもらって。」
「あの時のですか?本当に重たかったから僕の腰が壊れそうでしたよ!」
「カッカッカ!そりぁ悪かった!お詫びに形は悪いが新鮮な野菜をあげよう。」
「おお!こんなにたくさん。シキ貰っちゃった!」
オキナが大きく手を振るのに対し、シキは小さく手を振り返した。

「何だか子供のまま大人になったみたい。」
「もう少しで子供が生まれる親には見えんわ」
「そうかもしれないけど、ああいう所はオキナのいい所じゃない。」
「……。……そうじゃな。」
「…?あら意外。そんな事いうとは思わなかった。」

「…ガキの頃はアイツの事、嫌いじゃった。」
「うん…知ってるわ。いつも喧嘩を吹っ掛けてたわね。」
「ああ…。いつもアイツは逃げとるように見えて、益々ムカついたわ。」
「任務中にいつも周りを困らせていたわね。」
「…。ある日、気付いたんじゃ。ワガママのように見える行動も、忍として欠けるような行動も、誰よりも”誇り高い”心を持っとるからなんじゃと。
そんな心には自然と人が集まる。ワシもその一人じゃ。
アイツのそういう所に命と心を救われたことがある。
気が付いたらオキナと大親友になっとった。」

シキは少し驚いた表情を浮かべながら、

「本当に意外だわ。そこまでオキナの事を褒めるなんて…。嵐でも起りそうだわ。」
「余計な事言うなや。ワシもええ所は素直に認めるわ。オキナの事を少しだけ尊敬しとる。子供が出来てから少し様子がおかしい気がしてな。」


「まるでオキナの親ね。

人のことばっかで自分は子供は欲しくないの?」

シキの言葉にキビは咄嗟にビクッとして、
「…!…大きなお世話じゃ。」
周りはほとんど結婚し、子供までいるのに自分は独り身な事が頭に過ぎった。
「そう言えば、いつも私達三人で行く蕎麦屋の娘さんいるじゃない!あの娘がキビのお嫁さんになりたいって言ってたわよ!」
「ホンマか!…って、歳が一回り下のガキんちょじゃろが!」
「あらあら…恋する乙女をガキ呼ばわりなんて最低ね。だから結婚どころか恋人もいないのよ!」
キビは胸にクナイのような物に刺されたような痛みが走り、うつ伏せに倒れこんだ。
「…ホ…ンマに…大きなお世話じゃ……。」

「好きな人はいないの?」

「やかましいわ…。」
苦し紛れに言葉を絞り出した。
「まぁいいわ。出来たら教えなさいよ。

約束よ!」



「おーい!大丈夫かー!」
少し離れた所から男の人がやって来た。すぐ後ろに女の人もいる。
シキは気付いて手を振る。
「クジラさん!それにシャチさん!大丈夫です。すぐに起きますから。」
クジラと呼ばれた男が安堵の表情を浮かべ、言い直す。
「いや〜。良かった。近くで見ていたら、いきなりキビくんが倒れたから何かあったのかと思ったよ。見回りの責任者だし、大事なら報告や周りの対応をしなきゃいけないから驚いたよ。」
続いてシャチと呼ばれた女の人が優しく話す。
「だから大丈夫って言ったじゃないですか…。シキちゃん久しぶり。お腹も大きくなったね。後、どれ位?」
「後、一月ちょとです。」
「まあ!後、少しね。思い出すわ…。うちの子がお腹にいた時のことを…。お腹、触っていい?」
「いいですよ。」
「…。凄く元気そうね〜。そのまま元気に産まれておいで。」

優しく語り掛けていると人だかりからオキナがやって来た。
「分かるんですか。」
「分かるわよ、うちの子よりもよく動くわ。」
そう言われてオキナもお腹を触る。
「う〜ん。わかんないけど元気だ。」

キビが静かに起きるとクジラがそれに気がつく。
「おお。キビくん!大丈夫か?」
「はい。少々、おふざけが過ぎて、ご心配をお掛けしましたが大丈夫です。
オキナ!クジラさんに一言無いんか!」
「任務に遅刻してすみませんでした。以後、気を付けます。」
「そうだね。罰として任務の後二人は荷物運びを手伝ってね。」
「「はい!」」
「そろそろ解散しよう。任務の途中だしね。」
クジラの一言で人だかりが消える。
オキナは一人一人にあいさつをしていく。

「じゃあ、私も失礼します。クジラさん、シャチさん、失礼します。」
「産まれたら抱かせてね。」
「もちろんです。」
「じゃ、またね。シキ。」
「うん。
キビはさっきの約束だからね。」
「知らんがな。」
「コラ!それなら今晩は一緒に御飯を食べましょうよ!ご馳走するから。」
「…ああ。」
「久しぶりに三人で御飯ね。気合い入れて作るから。
さっきの約束、忘れないでね。」
シキが手を振り、キビも応える。
「さっきの約束って何?」
オキナが聞いてくるとキビは少し考えて呟く。

「…知らんがな。」

「?」
オキナは訳が分からないから考え込む。


頭の中でキビはシキの言葉を思い出していた。
『好きな人が出来たら教えなさいよ。』
『約束よ。』


「……(ホンマに)大きなお世話じゃ…。」


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一年ちょいぶりに更新

コメントを頂いてたのに無視したみたいになりすみません。




[40912] 銅盤と嘘の約束
Name: 海坊主◆49908de9 ID:b63bf987
Date: 2016/07/21 05:48
「このような日に紅い月とは粋なものよのう。」


静かに闇に消える。



_____
___
__


「だから行かんって言っとるじゃろーが!」

「キビが行かないと俺がシキに怒られるんだよ!」

「気が変わったんじゃ!」

「分かった。だけど俺も引けないし、キビも行きたくない。
それならコレで決めよう。」

おもむろにコインを取り出す。

”八咫烏の銅盤”と言われ、面に八咫烏の彫り物に中央に”八咫烏の涙”と呼ばれる水晶が埋め込まれている。
知識はオキナの受け売りじゃが一族の宝らしい。

「ソレでワシは勝ったこと無いんじゃが。」

「僕たちが意見が割れたらコレで決めるのがルールでしょ。」


ワシはアレで一度も勝ったことがない。特にオキナに。

「止めとくわ。帰る。」

「あー!そんなこと言うんだ!じゃあみんなにキビが”逃げた”とか、ルールも守れず”逃げた”とか、勝負がイヤで逃げたとか、シキにはキビも逃げたって言っておく……。」

「分かったわ!やりゃ良いんじゃろーが!」


乗せられたのに気付いたのは少し後じゃった。



___
___
___

「来てくれたんだ。良かった。もう少しで出来るから中で待ってて。」

「シキー!お腹が空いたよ〜!」

「ウルサイ。待てって言ったでしょう。」

「(恐い。)座ってます。」

シキが恐いから大人しくしておいた方がいいらしい。

テーブルには食器が三セット並んでいる。
適当なところの座る。

「久しぶりに来るから知らなかっただろうけど、シキは毎日食器を用意しているよ。いつ来てもいいように毎日だ。」


胸の中がざわつく。
二人がいっしょになってから出来るだけ来たくはなかったが、それから毎日のように用意していたとは胸が痛い。
「そうか。」と返事をしたが自分でも驚くくらい乾いた言葉が出た。

「出来たわよ。」
シキは盛り付けた皿を運んで来た。

「俺も手伝うよ。」

「ワシも…。」

「キビはいいから座ってて。」

「そうそう。お客さんなんだから待っててよ。」


少し浮いた腰が行き場をなくし椅子に落ちる。
「ああ。」また乾いた返事をした。

二人の姿を見ていると何故かガキの頃に家出したことを思い出し、拳を握り下を向く。
今度は恥ずかしい気持ちで一杯になる。

「何してんのよ。まっ、どうせ家出した時のことを思い出したんでしょう。」

「うっ。違うわ。」

「へぇー。そんなことがあったんだ。
シキ、運び終わったよ。」

「うん。面白いのがさあ、キビが泣きベソかいて…。」

「アーッ!メシ食おう!そうしよう!早う食べんのか!冷めるで!」

「そうね。話す時間も一杯あるし。」


二人には敵わん。昔の話だけは阻止する。

「「「いただきます。」」」

食卓に三人揃うのは久しぶりな気がした。
ワシは無言で食べるとシキが見つめてくる。

「どう?おいしい?」

「ああ。美味い。」

「良かった。」

「…そうだ。キビにお願いがあるんだけど。子供の名前を決めて欲しいんだ。」

「いいわね。お願いしちゃうわ。」

「何じゃ?お前らが決めんでええんか?」

「キビに決めて欲しいんだ。」



少し考えてみたが本当にワシでいいのか。


オキナは扇子を眺めている。
いつもひょうきんな態度をとる奴なのに本気になる瞬間がある。
その仕草は空気を変えた。



「…オウギ。
喜び。怒り。哀しみ。楽しさ。辛さ。侘しさ。信念やプライド。
その様々な感情や思いがお前の相棒に向けられている姿は美しさがある。
無情なこの世ならば常に困難が待っている。
困難に向き合えるように”竹取オウギ”
どうじゃ?」

「いいわね。気に入ったわ!」

「うーーん。そうかなぁ」

「何じゃ、人に決めてくれって頼んだのはお前じゃろが。」

「んー保留かな。」

「何でよ。」

「自分のことを言われたみたいな恥かしさかな?」

「何よそれ。いつにも増して意味分かんない。」

「家出で恥ずかしい思い出ポロポロよりかはマシかな。」

「オイ、ちょっと待たんか!」

「待って!もっとヒドいのはお寝ショ木の葉マークよ!」

「話し変わっとるぅぅ!」

「それ知らない!聞かせて!」

「ストップじゃ!お前ら子供に名前はどうしたんじゃボケェ!」

「…………。」
「………。」


「「…あちゃー。」」

「あちゃーじゃないわ!大ボケ共!」


から買われに来たんかワシゃあ。

にしても今日は来て良かったのかもしれんわ。
いつの間か壁を感じておったがどうやらそんなことないらしい。
歳を食って身体が大きくなろうと心はなかなか変わらん。

良かったわ。

本当に良かったわ。





ソレはあまりにも突然だった。



ズドーーンッ!
爆音。
ウオォォォーー!
何かの咆哮。
キャァー!
女の叫び声。


「!!!……何だ。」


咆哮は続く。

「外に出て見よう!シキは少し待ってて!」

「ワシも行く!」

屋上に飛び出して咆哮の主を探す。

始めは疑った。
アカデミーの教科書や歴史の文献でしか見たこと無い怪物がいる。

「避難だ!アレがもし僕たちの知っている怪物ならココは危険だ。」

「オウ。とにかくシキを連れて行くか!」

生まれて初めて見るが間違えねぇ。
アレは伝説の化物”九尾”だ。

禍々しさと咆哮で恐怖する。

畜生が。
紅い月が不気味でムカつくわ。

速く避難しねぇと。

オキナが立ち止まっている。

「何ボサっとしとる!急ぐで!」

「………。」

仕方が無いから肩を掴み引っ張ろうとするが動かない。

「…ゴメン。先に行っててくれないか?」

明らかに先ほどと違う挙動をしている。

「アホか!ホンマにどうしたんじゃ!」

「用事が出来た…から。」



分かりやすいヤツめ。
何隠しとる。

「たわけた事吐かすな!ホンマの事を言わんかい!」

「…人影が見えたんだ。街の外れに向かう影が。」

「放っておけ!シキといっしょに避難じゃ。」



「キビ。シキの事好き?」


一瞬、心臓を掴まれた気がした。

「…仲間として、親友としてじゃ。」

「そう…。」

苦しい嘘だった。
初めて言われたわ。
隠せなかったかもしれん。


「僕は人が死んで行くのが辛いんだ。特に人間の殺し合いとかね。
でも、どうしようもない時ばかりで自分に腹が立つ。
だからせめて戦争はしたく無い。今、木の葉が弱ればまた戦争が始まる。
シキにもキビにも死んで欲しくない。」



オキナはワシを見つめて、おもむろに銅盤を取り出す。
そして、月のように八咫烏の涙も紅い。


「昔、僕の婆さんが”八咫烏の涙が紅い時がある。その時は只の銅盤から本物の銅盤になる”って。初めて見たよ。」




オキナは目を閉じ、銅盤を弾く。

足元に落ちて”表”になる。

「次はキビだよ。目を閉じて強く想い描くんだ。声に出していいからね。」


銅盤を渡されて見つめる。
本当に紅い。

「お前は何を考えたんだ?」

「秘密。」

「……。表ならいっしょに来い。裏なら好きにせぇ。」

親指に乗せて、弾く。
足元を転がり、止まる。






”裏”







「遅いよ!二人共!騒ぎになってるよ。早く逃げよう。」

シキが屋上にやって来た。
長話が過ぎたらしい。

「ゴメンね。少し用事が出来たから先に行ってて。」

「そう…。分かったわ。すぐに戻って来てね。」

シキがオキナの顔に触れる。

すると、オキナが強く抱き締める。
シキが動揺している。月明かりのせいか少し顔が赤い。


「ちょ、ちょっと!」

「すぐ戻る。約束だ。だから僕の扇子を持ってて。

それと、”オウギ”って名前いいよね。それにしよう!」



扇子を渡し、オウギは離れて行った。


「ワシらは避難しよう。」

足元の銅盤を拾う。
まだ紅い。

「ねぇ。それって。」


先ほどの動揺を忘れたように落ち着いている。

「行くか。」

シキを抱え避難所へ向かう。

最短で安全な道を行く。


「ねぇ。」

「何じゃ。」

「銅盤が紅かったわ。何かやったの?」

下手に嘘を付くのは返って不安にさせる。
すぐにバレるから正直に答えんとな。

「ワシらと行くか、用事を済ませるかじゃ。」

「正直ね。はぐらかされるかと思ったわ。…ねぇ聞いて、いつも大事に持っている扇子を今日は渡されたわ。何でだろう。」

「知らんわ。」

「じゃあ何で抱き締めたのかしら。普段は余程酔ってないとしないわ。」

「…知らんわ。」

「そう…。抱き締めて離れる寸前を少し震えていたわ。何で?」

「……知らんわ。」

「お願いがあるんだけど、送ったらあの人を追って。このお腹を抱えては行けないわ。」

「分かった。」

妙に落ち着いているように見えるのが怖い。


避難所に付くとシキを降ろして直ぐに向かおうとするが、袖を掴まれる。

「戻ってこないかもしれない。」

「…あいつがそんなこと行ったか?」

「…。」

「オキナはな、ワシがどんな約束をしてもよく破るんじゃ。
『シキとの約束があるから』ってな。
早くから約束してても後からの約束もお前を優先するんじゃ。
『戻る』と言ったんじゃ。待っとればええ。」

「…うん。」

「ワシも約束する。アイツと必ず戻る。」

「うん。」


そうじゃ。
アイツは必ず戻る。
地獄のような戦場もどんな強敵の前でもワシらは生きて返ってきた。
急ぐか。

不安を拭う為に。


___
___
___


クソッタレ。


この世には神様も仏様も閻魔様も居るんじゃろうな。



森の中に開けた場所がある。
オキナはいた。


血だらけで。

急いで傷を確認しようとする。

「…来てくれたのか…。」

「喋んでええ。医療忍者の所に連れてってやるけえ。」

「傷…、どう…?」

背中に乗せる。

「見た目ほど大したことないわ。ええから喋べんなや。」

「嘘…だね。」

「…。」

とにかく歩き出す。

「お願いが…あるんだ。」

「…何じゃ。」

「オウギを見守るって欲しい。少しでもいいから…一緒に居たかった。
それと…シキに『愛してる』って…伝えて欲しい。後…約束守れ…無くて…ゴメンって…伝えて欲しい。」

「知らんがな。ええから戻るで。シキとの約束は守れや。アイツがキレたら怖いのは知っとるじゃろうが。」

「うん…。約束だよ…。」

「戻って自分でやらんかい!そうじゃな、戻って今の話を笑い話にしたるわ。」

「…っと。」

「お前のギャグは聞き飽きたわ。ホンマにつまらんのう。」

「…。」

「お前は地獄のような戦場も生き残ったじゃろうが!」

「…。」

「お前のガキんちょはどうする!親父のお前が面倒見んでどうするんじゃ!」

「アホか!ガキは苦手じゃ!」

「お前のガキに今のお前を笑ってもらうかのぉ。ええ?」

「シキの事が好きかって?大好きじゃ!!」

「お前と会う前から惚れとるわ‼︎‼︎」

「お前がボサっとしとる間にシキを口説くぞ!この大ボケ‼︎‼︎」

「アイツの幸せとワシの気持ち、どっちが大切じゃ!ワシはアイツの幸せじゃ!覚えとけ‼︎」

「たまには言い返さんかい!一人で喋っとるみたいじゃろうが‼︎」

「アホ。叫び疲れたわ。どアホ。」

クソ。

クソクソ。

クソッタレ。

「!!クソッタレエェェー‼︎‼︎‼︎」


___
___
___


里襲った九尾は四代目火影を始めとする多くの忍び達の犠牲によってまた封印された。
竹取オキナはその内の一人として数えられ里の英雄の石に名を刻むこととなった。


オキナの墓石の前

「お前の約束は守らんわ。ワシは自分の意思でオウギの師となった。
才能の無いワシが上忍になるのは半端無い努力が必要だったわ。」

「お前には出来んじゃろ。」

銅盤のコインを取り出すと親指に乗せる。

「ワシが選んだんじゃ。」

銅盤を弾く。

”裏”か。

__
__
__


「おーい!キビ先生!」

オウギとシキがやってきた。
オウギの手にはあの扇子がある。

「シキ。話したんか。」

「うん。」

「先生。家出のことはみんなに黙っておくから。」

「シキ!要らんことも吹き込むなや。」

風が吹く。
不意に空を見上げる。

「アイツ笑っとるな。」

「そうね。」


________________

あとがき

書き出すのはいいが疲れた。



[40912] 強さと弱さ
Name: 海坊主◆49908de9 ID:071536b7
Date: 2016/07/29 02:27
男なら一度は憧れる強い忍。

この世はそんないっぱい居るんだ。

本の中の英雄や生きる伝説
それだけじゃ無い。

いっぱい居るんだ。
とにかくいっぱい。


俺はそんな忍になりたい。




俺は木の葉の忍だ。
憧れに近づいている。

そして今も
立派な忍になるため任務に明け暮れている。



” 村を襲う山賊の討伐”だ。

後一人、山賊の頭を捕まえるだけ…。




「グヘヘッ。てめぇらよくもやりやがったな!」


「はぁ?何じゃそりゃ?」

キビは唖然としている。

「人質を離してください!…えっ⁈」

ミヤは困惑している。

二人のリアクションも無理も無い。

「ぐっ…。そうだ離せ!」

俺も声を上げる。

「何やってるんですか!」

「黙ってな。クソガキ。てめぇらの仲間なんだろ!殺すぞ!」

「っ…はい。」


俺は強くて立派な忍になるんだ!

だから、


助けてくれ。




「アホタレが。」

「お前ら振り返ってさっさと消えろ!道を開けろ!」

(先生。どうしますか?)

(刺激してもええ事無いわ。言う事聞いとくかのう。)

「どうした!早く失せろ。」

二人は振り返って歩き出す。

「ちょっ…は……。え?」

見捨てるのかよ。
えー。

やべー。


(ミヤ。キンタが動いたらワシも動く。援護頼むわ。)

ミヤは無言で頷いた。

「それでいい。てめぇも運がねぇな。グヘヘ。」

ガサガサ。

木の上からキンタが飛び出し拳を顔に振り抜いた。
山賊は転がりながらも体勢を立て直し刀を構えた。

ミヤがクナイを放り、手に当たった。

「てめぇ…ブッ殺してや…いでえ。」

「そこまでじゃ。大人しく捕まってくれんか?」

キビがクナイを首に当てた。


「ほんっっとに何やってるんですか!オウギさん!」

「ちょっと油断しちゃって…。」

「『しちゃって』じゃ無いですよ!正直、足手まといです。」

「山賊さんもなかなか強くて。」

「あのなオウギ…普通は山賊程度の者に…忍は負けない。」

「そうです。常に訓練をしている私達の方が強くて当たり前なんです。」

「ま、負けてねぇし…。」

「うつ伏せで、片腕を封じられ、背中を踏まれ、首に刀を突き付けられて、
オウギさんの負けの定義は何処からですか?」

「うっ…。」

「流石に…弱過ぎる…。」

「鈴取り演習の時は良かったのに今は…。」

「あーあー。止めい。止めんか。早くとにかく山賊達を縛って引き渡すまで村に行くで。まだ任務は終わっとらんからけえ。」

「…分かりました。人数も多いので私は村から人手を借りてきます。」

「俺は…向こうで伸びている山賊を縛って来ます…。」

キンタとミヤが離れて、キビが聞こえるくらいのため息を吐く。

「何じゃお前ら、仲良うやっとるかと思っとったんじゃが?」


畜生。

何も言い返せねぇ。

心と身体がイタイ。

ーーー
ーーー
ーーー


村長さんのご好意で村に一晩過ごすことになった。

「どうぞ。豪華とは言えませんがお召し上がりください。」

「ご馳走してもろうて、ありがとうございます。」

「いえいえ。直接お礼が出来るのは今日ぐらいなので。」

女村長さんに促されて汁椀を口に運ぶ。

何だろうか味がしない気がする。

「………。」

「………。」

気まずい。
さっきの言い合い(一方的に言われて)から気まずい。

「なあ……。」

か細い声で二人に話し掛ける。
無言。


誰でもいいから話しがしたい。



「いやー。村長さんはお若くてベッピンさんで村長を務めていらっしゃるとは。」

「お世辞が過ぎますわ。
出来て数年しか経っていませんので、若くて女だといろいろと舐められる事が多いのですよ。」

「いやいや。村の男は村長さんの言う事を嫌な顔一つせずに聞いている様で、
村長さんの人柄と信頼が思います。ガハハハッ。」



コッチは別の意味で話し掛けれない。

外に行くか。

「オイ!何処に行くんじゃ。」

「外で食べようと思って。」

「行儀が悪いわ。それに村長さんに失礼じゃ。」

「いいんですよ。まだ沢山あるので足りないようでしたら戻ってらっしゃい。」

村長さんに会釈をして部屋を出た。

「なんか気を使って頂いてありがとうございます。このご飯もアイツが凹んどるからじゃろうかのう」

「気付いてましたか。直接お礼がしたいのもそうですが、子供が元気がないのは見ていて辛いです。多分あの子も同じくらい辛いんでしょう。辛い時はお腹いっぱい食べるのが大事だと思います。少なくともお腹が空いて辛い事はないですから。」

「…。村長さんも……。
いや、ワシも変に気を使って恥ずかしいばかりです。
今回ばかりはアイツ自身の問題じゃけえの。忍びの世界は弱けば生きて行けんのですわ。
とにかく見守るしかないんですわ。」

「…。それなら彼自身の強さを信じましょう。」



ーー

内襖を開け、廊下へ。
更に雨避けの襖を開けると外に山賊達と見張りの青年がいた。

村に牢屋は無く。仕方がないので村の中心で見通しのいい村長の家の前に木で出来た錠を手足に付け、鎖で繋いでいる。

「どうした白髪のボウズ。中で食わないのか?」

「ちょっと…外で食べたくて。」

青年は分かりやすく息を吐いた。

「分かってねぇな。白髪のボウズ。」

「ボウズじゃない。オウギって名前があるんだよ。」

「イヨタケだ。よろしく!」

自己紹介のつもりはなかったが、右手を差し出される。
仕方がないから握手すると腕をブンブン振られる。

とにかく悪い人じゃないらしいけど、不思議なタイプだ。

「イヨタケは何がいいたいんだ。」

「分かんねーか。良いだろう。教えてやる。とにかく座れ。」

言われるがままに座る。
何だろう。

「そのご飯はな。お前の為に作ったんだ。」

俺たちじゃ無く。俺の為?
何で?

「よく分かってねぇみてーだな。お前、帰って来た時にショゲてただろ。
この村ではな。そんな子供がいると決まって姉さんがこの汁をご馳走するんだ。
『少しでも元気になるように』ってな。
分かったか。もう一度食ってみな。」

汁椀を口に運ぶ。
身体に芯から温かくなるようだ。


「美味しい…。」

「だろうが。姉さんの料理は世界一だからな。
分かったら。味の感想を姉さんに言ってくれよ。」

「うん。ありがとう。」

「だから、姉さんに言ってくれって。」


悔しくて凹んでいた。
今は頑張ろうって思える。
それでいいじゃないか。



「ガキは単純でいいぜ。」

山賊の頭がダルそうに言葉をこぼす。

「何だヒゲ山賊。自分の立場を分かってんのか。」

「ヒゲじゃねぇ。タナザって名前があんだぜ。糞ガキ。
大体その白髪のガキが弱えからだろうがよ。でけぇガキ(キンタ)とちっこいガキ(ミヤ)に弱えって言われてたから凹んでた。甘ったれで、めでてぇ理由だぜ。そんでもって、飯食って元気出ました?忍者様が飛んだ茶番だぜ。」

「オイ、糞ヒゲ。姉さんのご飯を愚弄するな。」

棒で小突くがタナザにあっさり受け流される。

「茶番だ。茶番だぜ。てめぇらのやっている事は偽善以下だぜ。」

「何だと!」

山賊達が睨みを利かしてくる。
内一人は気が抜けるような声を発する。

「頭〜俺…。」

「いいから黙ってろ!
どうせ俺達は死刑だろうよ。それぐらいの事をやって来た。」

「頭ァ〜…。」

「黙ってろって言っただろう!
…俺はなぁガキ共。
代々国を守る武士だった。そんな家柄だけが取り柄だった。
だがある日突然クビにされたんだ。一族で国と主に尽くして来たってのによう。
何でか分かるかガキ。
てめぇら忍者に仕事を取られたんだよ。強くて使い勝手のいい忍者様によう。
国を追われ、今までひたむきに守ってきた信義と忠誠じゃあ腹も膨れねぇ。
金もなければ人も寄り付かねぇ。
似た境遇を持つ奴らが集まりゃ山賊一味結成よ。
どうだ?甘ったれでめでてぇガキにはツマんねぇ話だろ。
忍者の世は糞だ。まるで”地獄”だ。
てめぇら忍者が憎くて仕方がねぇ。
弱えぇ俺達が泣くしかねぇこの世がな!」


そうか…。

でも、


「タナザさんは強かった。」

「はぁ?何だガキ。」

「タナザさん武士だったんだ。通りで身のこなしが良い訳だ。
武士の時からの習慣で訓練を怠らなかったんでしょ?
それにタナザさんの刀、とても綺麗だ。
武士の魂って言うくらいだ。
仲間を何をしても守りたかったんじゃない?」

「ガキが知った口を…。」

懐からオウギを取り出し広げて見せた。

「俺の一族は大昔の戦でほぼ殺されたらしい。生き残りの末裔が俺なんだと。
それに俺は一族の使命を背負って居る。
「会いに行きなさい」って、意味分からないけど。」

「何が言いてぇんだ。」

「んー。
俺は強くなりたくって、修業をしてる。
それにこの扇子はタナザさんの言う所の刀かな。それに守りたいものなんてまだ分からない。
タナザさんの言ってることも半分くらいしか分からない。
落ち込んだり、悔しがったり、これからも繰り返してばかりかもしれない。
ただ今日はご飯が美味しかった。
今日はそれでいいかなって思えたんだ。」

タナザの表情が和らいだ気がした。



「頭ァ〜。俺、腹減った!」

そういえば山賊達はご飯を食べてない。
子分の一人が騒いだ。

仕方がない。

「俺のやるよ。食い掛けだけど。」

「いいのか!うめぇえ!」

「ったりめーだ!姉さんの料理は宇宙一だ!この料理を旨いって言った奴は皆兄弟だ。」

山賊達が俺の行動を見て騒ぎ出した。

「すまねぇが俺にもくれねぇか?」「俺もだ。」「腹へってんだよ。」

「喧しいぞてめぇら!」

「だって頭も腹へってんでしょ。」

「うるさい!黙ってろ!甘ったれた女の飯なんか食えるか!のうのうと生きて来たんだろうよ!」

「言わせておけばこのヒゲ。姉さんの何処がのうのうとだ‼︎」

イヨタケが怒りに声を荒げて、顔を赤く染め、目から涙が溢れる。
尋常じゃない怒りに山賊達が怯む。

「村の仲間も知らない事だけどよ!
昔、旦那と娘が居たんだ!若くして産んだから村の周囲の大人は変な目で見ていたがスゲェ幸せそうだった。
けど、戦で旦那を亡くし、戦で食料が足りなくなった村は食い扶持減らしに俺か娘を棄てて来いって言われたんだよ!
どうしたか分かるな!?ええ?
ドン底だった姉さんは悲しむ間も無く俺を養った!
俺も分からないぐらいの苦労を重ねてやっとココに村を構えた!
そんな経験から捨てられた子供や売られた人、住む場所を無くした夫婦をどんな状況でも向かえ入れた!
食べ物に困らぬよう作物を育てて皆に
ご飯を食べさた!
スゲェだろ!
やっとだ。やっと昔みたいに笑えるようになったのに娘のことを思い出して泣くんだ。
俺は姉さんを悲しませたくない。
何がのうのうとだ?次にそんなことは言ったらブン殴るぞ。」

そんなことがあったなんて、誰にでも優しくできる訳だ。
とても強い。

そうだ!

「今から山賊達にご飯を食べて貰おう。」

「待てオウギ。そしたら姉さんに怒られる。」

「お代わりして良いって言ってたからそういう意味でコッソリ持って来る。
村長さんに悪いけど黙っててくれないか。」

「男同士のお約束だな。分かったぜ。」

俺は立ち上がり、襖を開けようとすると先に開いて目の前に村長さんが立っていた。
先生やキンタとミヤも居る。
話を聞いていたみたいだ。

「話は聞かせて貰いました。
この方達にも料理を食べて頂きましょう。」

「村長さん!それは甘くないですか?」

ミヤが口を挟む。

「人は方法を間違えると簡単に過ちを犯します。
この人達はまた間違えます。」

「そうかもしれません。ただ信じたいのです。一つ一つの甘さからこの村が出来ました。間違えなら間違えで良いのです。」

「そうですか…。」

「イヨタケ。器が足りないの。集めて来て。」

「了解。行って来る。」

軽く返事をして、向かったが村人達が先に器を持って来た。

「俺たちも山賊達を家から見張っていたんだ。これで足りるかい?」

「話を聞いた。村長さんの昔の話も。」

「手伝える事があれば言ってちょうだい。」

集めに回るまえに器が集まり、食事が行き届く。

山賊達は余程お腹が空いていたのかペロリと平らげる。

「うめぇえ。」「お腹いっぱいだ。」「ご馳走さんです。」

「差し詰め、最後の晩餐って所か。」

タナザが諦めたように言った。
少し空気が重くなる。
その位罪を犯しているのは知っているが、なんか納得出来ない。

「村長さん。
この人達を逃がしてやってくれませんか?」

「オウギさん何を言ってるんですか!」

「このままこの人達が処刑するのは正しいことかも知れない。けどタナザさん達と似た境遇の人はどうだろう?また処刑か?じゃあいつまでたっても変わらないんじゃないか。」

「そんな事して繰り返して、犠牲を増やすだけですよ。」

「そう…だよな。」

何か違うと思う。
けど、言い負かされて言葉が出ない。

「そうですね。解放しましょう。」

村長の言葉に村人が動揺する。
タナザがヘラヘラと笑い出しながら言った。

「やっぱり甘ちゃんだな。スパっと死んでそれで終わりだろうがよ。」

「そうかもしれません。ですが、この人達が死んだら解決するでしょうか?
私はそうは思いません。
私は昔、娘を見捨てました。その時は正しいと思いました。
けれど、時が経って思いました。娘を見捨てなくても良かったんじゃないかと。
何かいい方法があったんじゃないかと。
その答えは今も分かりません。
ですが思うのです。何時まで経っても同じことを繰り返してそれでは救われない。人が多過ぎます。」

「仕方がないないじゃないですか。」

「『仕方がない』、そう何度思って子供を見捨てる。もうそれを理由にしたくはないんです。」

「逃がして、また盗みをする。そしたらどうするんだ。」

「戦います。奪われようと壊されようと何度でも戦います。
私達は戦闘は出来ません。けれど、戦います。私なりに。」

「殺されたらどうする。無駄じゃねぇか?」

「構いません。コレが私の戦いです。そういうこともあるでしょう。
ただ、死んで諦めるなんてもう沢山です。生きて戦って償いなさい。
世の中の理不尽と”戦いなさい”。」

「分かったぜ姉さん!俺も戦うぜ!」

「ありがとう。他の村の方はどう思いますか?」

「村長、俺も戦います。」「私も!」「従います村長!」「何度でも何度でも戦いましょう!」

村が一つになる。

「キビ先生。依頼内容と少し違いますが大丈夫ですか?」

「問題ありません。依頼人の意思こそ依頼内容だと思っとります。木の葉には上手く伝えておきましょう。」



ーー



山賊達を村の前まで連れて行き、錠と鎖を外した。

「この先の道を1時間ほど歩けば街に着く。」

「ボウズ、礼は言わねぇぞ。」

「俺はいいけど、村長さんに御礼してよ。」

タナザは村長の前に立ち、丁寧にお辞儀をする。
続いて他の者も頭を下げる。

「迷惑を掛けました。ご飯、美味しかったです。」

ぎこちなくそう言うと去って行く。

「タナザさん!これ。」

そう言って渡したのはタナザの刀。

「大事な物なんだろ。返すよ。」

「チッ、余計な事をするから負けんだよ。」

「ま、負けてねぇ!」

「…。ボウズ名前は?」

「…。竹取オウギだ。」

少し微笑んだ気がした。
タナザは振り返ることなく歩いて行った。




ーーー
ーーー
ーーー


翌日、俺たちも帰還することになった。

「村長さん。ありがとうございました。」

「お前達も挨拶せえよ。」

キンタは無言で挨拶をする。
ミヤは不機嫌そうに会釈する。

「タナザさん、また盗賊みたいな事しないよな。」

「お前はそう思うか?」

別れる前の表情を思い出す。

「うん。大丈夫だな。
まあでも、あの人をクビにする国って何処の国だろう?」

「最近出来た里があるんじゃ。音の里って言って、その国は木の葉などの大国の側で此処からほど近いんじゃ。その国の領主は大国からの圧迫に対抗し、国を守る為に忍と手を組んだんじゃ。領主も必死なんじゃろ。」

「そうなのか。」

国を守る為に力を付ける。
古い物を切り捨てる。
誰が悪いって無いのか。


「それにしてもオウギくん、元気になって良かったわ。
またいらっしゃい。その時は女の子を連れて来るのよ。」

「え、うっ、また来ます。」

顔が熱くなるのを感じる。
早歩きにその場を離れ先に歩いていた二人に合流する。

「それにしても、オウギくんの次はミヤちゃんが元気ない、心配だわ。
あのぐらいの年の子は少し気になります。女の子なら尚更です。」

見捨てた娘を思い出しているのだろうか。
親の表情を見せる。

「これ以上は迷惑を掛けれません。彼女自身の生まれや生い立ちに関係ありますけえ。
ではこれにて、失礼します。」


ーーー



三人の帰り道

「付いて来ないでください。」

「帰り道こっちを何だけど。」

「先に歩きます。」

ミヤは歩調を早めていく。

「ちょと、何なんだよ!」

追いかけようとしたがキンタに肩を掴まれる。

「何だよ!」

「ミヤは…焦っている。」

「はぁ?」

「もう直ぐ…中忍選抜試験があるからな…。
ミヤは…受かりたいんだ…。どうしてもな。」

「それは俺も同じだぜ。」

「…お前が山賊に遅れを…とってしまったからな。…同班として苛立ちが…あるんだ。」

「うっ、それは本番の時はしっかりするぜ。」

「説得力がないな…。」

「くっ、」

「…。いいかオウギ…。アイツの足だけは…引っ張るなよ…。アイツの手を見てみろ…手袋をしているだろ…。」

「それがどうした。」

「…その下は…皮膚がボロボロなんだ。ミヤは…俺と違って体格が良くない。体術では…当たり負けを…する。だから…普通の忍なら忍術を磨くが…チャクラの総量が…少ない。体力的に不利…になる。
だから…手裏剣術や…忍具の扱いを…極めている。
それ故…その手は…マメが割れ皮膚が裂けボロボロなんだよ。」

「そうなのか…。でも何で其処まで。」

「中忍になる為…、それだけじゃ無い…その次の上忍になる為だ。
ならないといけない…。一族を変える為に。
俺も同じだ。」

「何でお前がアイツの事詳しいんだ。」

「さあな…。とにかく…毎回の試験の内容は…不明だが…合格率から…して、一人の能力で受かるとは…思えん。
だから、頼むぞ。」

「オウ…。」


やっぱり何でもいいから強さって必要なんだ。
村長さんやミヤのように。


俺に出来るだろうか。
やるしかないな。それだけだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき

ナルトやサスケが主人公なら壁にぶち当たるとそれを乗り越えていく楽しい話が出来るが、オウギはそうは行きません。
ナルトやサスケが強敵と戦えば一発で勝てますが、オウギは10回やって勝てるかどうか分かりません。
これはそんな物語



[40912] 中忍選抜試験
Name: 海坊主◆49908de9 ID:071536b7
Date: 2016/08/02 07:47
中忍選抜試験当日

俺は少し浮かれたいた。

久しぶりに同期のメンバーと顔を合わせることになるからだ。
会場に向かう途中にナルトとサクラを見つけた。

「オイ!ナルト!久しぶりだな。」

「オウギ!」

「お前とサクラだけか。サスケは?」

「まだ来てねぇってばよ。」

「そうか。」っと適当に返事を返し、辺りを見回す。
サスケの姿はない。
ぼーっとしていると背後から気配を感じる。

「さっきサスケって言ったじゃん。」

「な、何だってばよお前。」

背後から全身真っ黒で顔に隈取りの男が俺の肩に腕を掛け、ヌッっと現れる。
いきなり過ぎたから身体がビクっとした。

「うちはサスケってお前じゃん?」

「ちっ違げーよ!俺は竹取オウギだ。お前こそ何者だ!」

「カンクロウって言うじゃん。お前がサスケじゃないのは知ってたじゃん。で、サスケってヤツは何処にいるじゃん?」

「さっきから俺の名前を呼んでいるようだが、何の用だ。」

サスケがカンクロウの背後の木の陰から現れた。
カンクロウは少し動揺しているようだった。

「おいカンクロウ何をしている。」

「が、我愛羅!」

我愛羅と呼ばれた男は背中に瓢箪のような物を背負って髪は赤く、額に”愛”の文字があり、不気味なオーラを漂わせていた。
背後の木の枝から声を掛けて来る。

ってか、お前ら背後好きだな。
心臓に悪ぃ。

枝から降りて来てゆっくりと歩きだす。

「何だお前達。殺すぞ。」

周りに殺気を飛ばし、俺と目が合う。
身体がビクっと反応し、頭の中に「ヤバい」の文字が浮かぶ。

「我愛羅、ここで問題を起こすのはマズいじゃん。」

「カンクロウ、お前が死にたいか?」

かなり殺気立っている様子だ。
周囲に緊張が走る。

「砂の忍か人様の里で何をしている。」

背後の木の枝の上に立ってこちらを見ている男がいた。
白い目に木の葉の額当てをして、髪は黒で長く背中の辺りで結んでいる。

ってか、本当に背後好きだな。
戦術の基本だけど。

「お前達、試験前から問題を起こすんじゃない。」

我愛羅が静かに長髪の男を見て口を開く。

「…。カンクロウ、行くぞ。」

「分かったじゃん。」

そう言うと我愛羅とカンクロウと女が先に行ってしまった。
長髪の男が降りて来て、サスケに話し掛ける。

「お前、名前は?」

「人に名前を聞く時はまず自分からじゃないのか?」

「フッ、日向ネジだ。覚えておけ。」

「うちはサスケだ。」

「また何処かで会うかもな。…。リー、テンテン行くぞ。」

そう言うとネジとリーとテンテンが行ってしまった。

「彼奴ら、化け物か。」

「サスケくんが来てくれて良かったわ。一時はどうなるかと思ったもん。」

サクラが笑顔でサスケに言い寄るとナルトが声をあげた。

「サスケ、てめぇ目立ってんじゃねーってばよ。」

「ウスラトンカチが…。」

二人が言い合いをしている側でサクラが笑顔で見守っている。
そのやり取りを見て俺も緊張が解れ、サクラに話し掛けようとする。

「なぁサクラ…。」

「あん?私に話し掛けないで。」

汚物を見るようなひと睨みに妙な汗をかく。
そう言えば、あの事件から俺に対しての態度は最悪だったのを忘れてた。
そのせいで他の女子からも酷い目で見られ、ばい菌扱いされてたっけな。

「…すみません。」

驚くほど小さな声で言葉を絞り出した。




「俺達も行くぞ。」

「オウ。オウギ、またな!」

そう言うとナルト達も行ってしまった。

ぼーっとナルト達を見送ると遅れて、キンタとミヤが到着した。

「何やっているです、オウギさん。」

「ああ、何でもない。」

「…。…さっきのヤツら…強いな。」

「そうですね。この試験のレベルが高いのが分かりますね。」

背後取り合戦のやり取りを見守り、俺は完全に蚊帳の外だった。
少し自身を無くした。

「それでも私は絶対に中忍にならなければいけません。」

「そ、そうだな。」

「私達も行きますよ。」

ミヤはそう言って、歩いて行く。
俺も付いて行こうとするがキンタに引き止められる。

「何だよ。」

「前に言った事を覚えているか…。」

「あっああ。」

気持ちの乗らない返事をしてしまった。

「俺とミヤは…、特にミヤは…中忍にならないと…いけない。だから…、
アイツの足だけは…引っ張るな…。」

「お、オウ。」

弱々しく返事をした。

なんか俺、かっこ悪い。
俺だってやってやる!

ーーー
ーーー
ーーー

一次試験は筆記試験だった。





まだ時間ある。
一問でいい。
解ければ次に繋がる。

「それでは、最後の問題を言う前に
これが解けなければ中忍になる資格はない。貴様らは永遠に下忍だ。」
試験官の言葉に周りがざわつきだす。

「最後の問題を受ける者は残れ、受けない者は同じ班の者とこの教室から出ていってもらい、即刻失格とする。」

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
問題は分からない。
時間はない。

一次試験からピンチじゃねーか。

『私は絶対に中忍にならなければいけません。』

分かってる。
俺も成りてぇし。

『足だけは…引っ張るな…。』

分かってる。
けど、分からねー。
問題が‼︎



不安で落ち着きを無くし、机に塞ぎこむ。
こんな時はどうすればいいんだ。
正直、失格になってもいいから教室から出たい。
けど、キンタとミヤが何て言うか。

不意に扇子を取り出す。
これは忍になった時に母さんから貰った。

机の下で広げて、無地の扇子の見る。
なぜか分からないが不安が消えた。

そうだ、俺は忍になったんだ。
ビビってんじゃねーよ。

もう一度問題の見直してみよう。
一問でも分かればいい。

「舐めんじゃねー‼︎」

ナルトがいきなり大声で叫ぶ。

「…一生下忍だってかまわねぇ!意地でも火影になってやる‼︎」

ナルト、お前は。いつも真っ直ぐで迷いがない。困難にもいつも前向きに立ち向かう。失敗したって関係ない。

よし、俺もやり通そう。キンタやミヤの言葉で不安になっていたがもう迷わない。


「そうか…お前達に…。」

強面の試験官が口を開く。

鼓動が高鳴り、手に力が入る。
クソッ。もうどうにでもなれ!

「…お前達に一次試験の合格を申し渡す。」

ん?

ん?

マジか!


ーーー
ーーー
ーーー


「いやー!一次試験は楽勝だったな。」

一次試験はあえて下忍レベルでは分からない問題を出して、カンニングをさせて情報収集能力を見る試験だったらしい。
最後の問いこそ、一次試験のミソで不安を煽り、失格者を出して振るいにかけることだった。

「そんなこと言って…オウギ、お前は…大丈夫だったのか?」

「あ、あったり前よ!全部解けたぜ!」

「じゃあ聞きますけど、記号問題の答えは?」

「…”B”かな。」

「”C”です。私は隣の方が”当たり”だったので答えは知っています。」

「まぁいいじゃあねぇか、通ったんだからよ。」

「…そうですね。二次試験に進めただけいいとしましょう。」

トゲのある言葉をもらい少し落ち込んだ。
一次試験は内容はどうであれ、大人しく座っていたら受かる試験だった。
だが、二次試験はそうはいかない。


通称『死の森』と呼ばれる森で5日間のサバイバルをしなければならない。
各班に”天の書”か”地の書”が配られ、期間以内に二つの書を揃え、三人で森の中央にある塔まで来ること。

当然、奪い合いになる為、戦闘は避けられない。

ゲートの前に到着した。試験官が一人立っている。

「君!」

突然、試験官に声を掛けられた。

「竹取オウギ君だね。」

「そうだけど…何か?」

「僕の名前はカワキって言ってね、昔、君のお父さんに助けて貰ったことがあるんだよ。息子さんがいるのは知っていたけど初めましてだね。お父さんとそっくりだから直ぐに気付いたよ。」

「はあ…。」

「あっ、ゴメンね。試験頑張ってね。応援しているよ。」

さっきのミヤとのやり取りで落ち込みかけた気持ちが立直った。

考えても仕方ないだろ。
試験中だ。
後でいっぱい考えてやる。

試験開始時間が来てゲートが開く。

「よし、行くぞ!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき

主人公のオウギがカッコ悪いですね。
彼の活躍はもう少し後になります。

数少ない読者の方へ
読んで頂きありがとうございます。
メリハリが無く、読み応えを感じないと思いますが、彼らの物語はこれからです。
もうしばらくだけお付き合い下さい。


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