僕の名前は柊葵(ひいらぎあおい)。トラックに吹き飛ばされて気付けば森の中。そして目の前には金髪美少女、ではなく非常に面倒くさく煩い少年。名前を『うずまきナルト』と言っていた。うずまきナルト。それはNARUTOと言うマンガの主人公の名前だ。ならばここはNARUTOの世界なのだろうか? いや、アホか。ただナルトのコスプレした少年のはずだ。
「姉ちゃんってば誰だってば?」
そして無邪気な笑みを浮かべて詰めよって来るうずまきナルトなるコスプレイヤー。
いやちょっと待て。いまこのナルトなるコスプレイヤーは何て言った? 姉ちゃん? 今ここには僕とコスプレイヤーしかいない。ならば、
「この、僕は男だ!」
そう、自分は美人の部類に入るであろう母親に似たれっきとした日本男児だ。決して女ではない。何度か自分を知らない男に告白されたが吐き気がして全て蹴り返してやった。
「え? えぇえええ!? お、男!? 姉ちゃんが!?」
「姉ちゃん言うなぁああああああ!」
そしてナルトコスの少年に拳骨を叩き込む。
「で、でもぉ、姉ちゃんってば女っぽいってばよ」
「へ?」
気付き急いで体を見てみる。そこには血に汚れた自分の着ている藍色のパーカーとそしてジーンズに白いシャツ。女でも男でも着る服じゃないか? って、何だよこの胸の微妙な膨らみは···
恐る恐る胸に手を掛け触る。それは男なら夢見て止まない女性の胸だ。だが、僕は男のはずだ。
「ごめん、どっか行って」
かなり困惑しているがそれを言うと急いで森の奥へ走り出す。ずっと走り続けふと小さな洞窟を見つけ恐る恐る入ってみる。中には何も居ない。ここなら、大丈夫。
「ま、まさかね···」
胸を触り、そこらの同い年の娘よりも出ている胸。そしてかなりキツイが下も見てみる。興奮しても立つ物が“無い”。
「う、嘘···」
これはあれだ。よく考えよう。まずは仮説1、これは夢だ。いや認識してるなら起きろよ! ってことで却下。続いて仮説2、催眠術。いや何だよそれ。次! 仮説3、実は産まれた時から女だったとかそれこそ有るわけない! トラックに跳ねられる前はちゃんと男の秘部があったのだ! 仮説4は、死んで神様が性別を間違いNARUTOの世界へ飛ばされた。有り得ないがこれが一番納得だ。何せコスプレイヤーが居たし、里まで有ったら完璧だな。
「それよりも、性欲ってどうやれば良いんだろ···」
何故そんな事を心配するかと言うと僕は一応高校一年生だ。性欲もあるさ。今の体はかなり幼いがまぁ大丈夫と信じてどうにかしよう。