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[42374] NARUTO 白蛇忍法帖
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:609f2de3
Date: 2016/10/13 12:08


男のオリ主ものです。


【注意事項】

*オリ主が嫌い。男主が嫌いというお方は今すぐブラウザバック。

*基本オリジナルで、オリキャラ満載。原作が徐々に崩壊していく。

*オリ主は最強じゃない。けれど、少し頭がいい。

*駄文、駄作になる可能性が高い。(て言うか、なる必ず。)

*更新は不定期になります。思い付いた時にちょこちょこっと書いていきます。

*誹謗中傷(悪コメ)を感想には書かないで頂きたいです。よろしくお願いします。

*私が嫌いと言うお方はブラウザバック。


以上の事を許せる、守れるお方はこのままお進み下さい。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー01ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:609f2de3
Date: 2016/10/13 13:39


初めまして。水分オウミと言います。今きっと大勢の方がすいぶん?と思ったと思いますが、“みくまり”と読みます。水分と書くと必ず間違われるので、みくまりと平仮名で書く事にします。

僕たち家族の家は、木の葉の里の外れにあり家の近くには小さな小川が流れています。よく父さんが魚を釣ってくれます。美味しいです。

あ、因みに僕の家族は父さんと母さんと僕の3人家族です。父さんは上忍で母さんは中忍で両親ともかなり優れていると言う訳では有りません。両親とも平均的な上忍と中忍です。

あ、僕たちみくまり一族について話していませんでしたよね。みくまり一族の歴史はかなり古くて、父さんや母さんに聞いても「分からない」としか返ってきませんでした。なので僕は、自分なりに調べてみる事にしました。

木の葉の里には人はあまり来ていないけれど、結構大きめの図書館があります。僕はその図書館で自分の一族について調べあげました。そして分かった事が何個かありました。

まず1つ目に、みくまり一族は元は忍者の家系では無かった事。忍術を使える様になったのは、木の葉の里が出来た頃らしいです。その前までは、雨乞いのために祈りを捧げたり、自分たちの一族から生け贄を出したり。

そして次が重要です。みくまり一族には代々、人語を理解し神の遣いとされる水神(スイジン)を従える者がいるそうなんですが、忍術を使える様になってからというもの水神を従える者は居なくなったんだそうです。あ、水神と言うのはそのまんま水の神様で主に白蛇(シロヘビ)の姿をしていると僕の読んだ本には書かれていました。

そして、何故僕がここが大事だと言ったと思いますか?何故なら……………、










「お主、みくまり一族の子孫じゃな?久しぶりだのぉ」

シューシューと、舌を口から出し入れしているのは全長4、5メートルはある大蛇でした。図書館からの帰りに小川の傍を通っていたら、何故かいきなり目の前に大蛇が現れたのです!!

しかもこの大蛇、色は白くて人語を話していてまるで本で読んだ通りの水神でした。ですが1つ吃驚したのがこの大蛇“透けている”んです。

大蛇の後ろの景色がぼんやりと見えており、まるで大蛇が幽霊みたい何です。

「さて、みくまり一族の子孫よ。名はなんと申す?」
「……みくまり、オウミ……」

僕が自分の名前を名乗ると大蛇がフムフムと何故か頷き、僕の方にズイッと顔を寄せてきた。蛇は小さければ平気だよ?大きくても少し距離を取れば大丈夫だけど、ここまで近寄られるとかなり怖い。

「お主には、忍の才能が殆ど無いんじゃな」

はぅっ!!!!!
いきなり不意打ちで痛いところ突かれた!!何この大蛇!!

そうですよ、僕には忍の才能が無いんですよ。体術のテストでは一番下ですし、いいところなんて座学くらいしかないですよ!!しかもその座学も上から5番目くらいとなんともアレ~な成績です。

「お?図星かまぁよい。お主にはちと頼みたい事があるのだが……。どうじゃ?私の頼みを訊いてはくれんか?もし私の頼みを訊いてくれれば、お主に私直々に修行をつけてやろう!!どうじゃ?」
「修行とかいいので、せめて普通の忍の力が今すぐ欲しいです」
「なんと、欲深な小僧よ」

欲深じゃないよ。これでも僕は修行してこの強さなんだよ。

「なら、私たち水神に伝わる秘術をお主に授けよう!!」
「分かりました、その頼み聞き入れます」

僕自身もちょろいなぁって思いましたが、秘術ですよ?!僕たちみくまり一族に秘術はあるにはありますが、そのどれもが雨を降らしたりなど「これ、秘術?」という感じのものばかりなんです。なので、この大蛇の頼み事を聞いてあげて秘術を授かる!!僕にも使える術だといいなぁ……。

「さて、ではついて来なさい」























小川の傍を歩きながら、森の中まで入っていくと辺りは何故か一気にどんよりと空気が重くなっていきました。チラッと後ろを振り返ると、木々に覆われていてよく見えませんでした。今更ですが、僕これ騙されてませんかね?あの大蛇は相変わらず透けていて、森の景色がぼんやり見えています。

「さて、着いたぞ」

大蛇が僕の前から退くと、そこには苔がビッシリとはびこった小さな祠がありました。祠は洞窟の様な場所にひっそりとたたずんでおり、洞窟の壁にはお札がビッシリと貼り付けられていました。

……………これ、絶対ヤバい。

秘術なんてものに釣られてやって来ちゃったけど、この大蛇きっと何かヤバい事を僕にやらせるつもりだ。お願いです神様!!今だけ僕を助けて下さい!!

「この祠には、私の身体が封じ込められている。その結界を解き私をここから出してくれ」

キュッと眼が下がった気がして、僕はつい「分かった」と言って、頷いて仕舞ったんです。

「やはり、お主に頼んで正解じゃった!!では、よいか今から言う印を……………」

そこから先、僕は淡々と大蛇の話を聞いて結界を解くための印を頭に叩き込んでいた気がする。





「秘術・結界封解」

気が付いた時には、祠の結界を解いていました。大蛇は大喜び。僕はただでさえ少ないチャクラを使い果たしその場に座り込んで仕舞いました。

「やはり、お主に頼んで正解じゃった!!今日は有難の。明日、私直々に秘術を授けてやろう」

その大蛇の言葉を最後に僕の意識はプツンと途絶え、気が付いた時には自分の部屋の布団の中で眠りについていました。父さんと母さんに聞くと、家の前で倒れていたそうです。

きっとあの大蛇に会った事も、あの祠の結界を解いた事も全部夢なのだと思い、何時も通りご飯を食べてお風呂に入り歯を磨いて、布団の中で眠り朝を起きたら、

「おはよう。お主、昨日いきなり倒れて吃驚したぞ。」

あ、夢じゃ無かったみたい。
あれだけ大きかった大蛇は何故か子蛇の姿になっていて、小さな舌をチロチロ出しながら僕の腹の上正確には布団の上にいた。

朝一番に叫び声をあげた僕は悪くない。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー02ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:609f2de3
Date: 2016/10/13 13:39


お久しぶりです。みくまりオウミといいます。え?お久しぶりじゃないだって?僕にとってはお久しぶりなんです。







あの大蛇が朝起きた時目の前にいたため、僕は吃驚し過ぎて叫び声をあげて仕舞いました。僕の叫び声を聞いた父さんと母さんが跳んできて、僕の放り投げた布団によって身動きが取れなくなった白蛇を見て、父さんと母さんはおお慌ててでした。

後からきちんと話を聞くと、あの大蛇(今は、小さな白蛇)は大昔ご先祖様が白蛇に命じられて祠に封印したもので決して悪いモノじゃなかったみたいです。ここでちょっと気になる事が、なんで“命じて”封印させたのか。

これを白蛇に訊いたら、「水神としての力が落ちてきていたため。封印され、眠る事によって力を回復していた」そうなんです。そして何故僕が白蛇に封印を解くために頼まれたのかと訊いたら、「探してたら、すぐ近くに居たから」という何ともアレ~な答えが返ってきた。

そう言えば僕が図書館でみくまり一族について調べている時に、“水神を従える者がいなくなった”てきな事を読んでいた事を思いだし白蛇に訊くと、その水神こそが自分らしく本当は“水神を従える者がいなくなった”のではなく“従えるはずの水神が眠りについたから”が正解らしいです。

まぁ、そんなことは置いておいて。父さんと母さんは僕が白蛇の封印を解いた事に対して大喜び。僕の頭を撫で回し今日の晩ご飯は豪華にしなきゃ!!と2人して盛り上がっていました。その時、母さんが僕に

「水神様に、名前をつけてあげたらどう?」

と言われ、白蛇も尻尾を揺らしながら僕からの命名を待っていたので、

「……それじゃ、ハクジャで」

その後、父さんと母さんそして白蛇もといハクジャから「そのまんま?!」とツッコミを貰いました。ハクジャに至ってはいきなり指先に噛み付き、「名を改めよ!!」と言われたけれど名前は覚えやすいくてシンプルなのが1番と言えば、ハクジャが何故か肩を落とした様に見えた。肩無いのにね。

それから後は何時も通り、朝ご飯を食べて勿論ハクジャにも母さんがご飯をあげてた。生卵を。朝ご飯を食べ終わってから忍者アカデミーに行って、体術の時間に散々な結果を出して帰ってきたら何故か玄関のドアを開けた瞬間に、ハクジャが飛び掛かってきて「私は嘆かわしいぞ!!」といきなり説教が始まり、そこから僕が思い出すのも嫌な修行が始まった。因みにこの修行にはハクジャが言っていた秘術も入っていました。この秘術が会得するのに1番時間が掛かりました。

あ、なんでハクジャが嘆かわしいと言ったかというと僕の体術を眺めていたそうだからです。……………眺めてるんじゃなくて、せめて助言くらい頂戴よ。こう言ったらハクジャが思いっきり右手の人差し指に噛み付いてきた。普通の蛇とあんま変わんないのに、なんであんなに痛かったんだろう。























ハクジャとの修行を始めて、5年たった今。僕は5年前よりは強くなっていると思いますが、相変わらず体術がド下手。ハクジャが前に僕に「お主は、うんどーおんちと言うやつか?」と訊いてきたのでその場で焼いて食ってやろうと思った僕は悪くない。そんな僕は今、大ピンチです。

「ほれ、どうした?このまま締め殺して仕舞うぞ?」
「うっ……グッ……」

僕の身体を締めあげるのは、“変化の術を解いた”大蛇ハクジャ。普通の民家よりも太いその胴体に、締めあげられ僕は今やっとの事で意識を保っている。

「どうした?このままでは、本当に死んで仕舞うぞ?」
「酷い……奴……」

僕がそう零せば、更にキツく締めあげるハクジャに僕は呻き声を零しながら、睨む事だけは忘れない。ハクジャに締めあげられている今、辛うじて動かせれるのは首と右の手首だけ。右手には苦無を持っているけれどこの状況で刺すことは難しい。でもこのまま締め殺される訳にはいかない。なので、

「水遁・水断波!!」
「?!」

口から吐き出されるのは直線状の水でできた水圧カッター。水は高威力で1ヶ所に勢いよく出されると、鉄をも切る事が出来る。それを人間が受ければ骨まで綺麗に切られるはず。やったこと無いから分からない。て言うかやりたくない。

水断波のおかげでハクジャの拘束が緩んだので、するりと抜け出す。ハクジャに僕の力じゃ掠り傷1つ付けられない。多分ハクジャはワザと僕を抜け出させたんだろう。表情が愉しそうだもん。

「オウミよ、お主にしては上出来じゃ。じゃが、後ろには気を付けるもんじゃぞ」
「え、?」

ドォン!!!!!という大きな打撃音と共に僕の身体は、森に生えている巨大な木に激突した。背中が痛い……。喉の奥から血が登ってくる。ゲホゲホ咳き込むだけで背中は痛いし、喉は焼けたみたく熱くて痛い。ゴシと口元を拭って、苦無を木に突き刺し手すり代わりにして立ち上がる。

「フムフム。木に激突する前に頭を庇ったかよいぞ。じゃが、木に激突する前に体勢を整え激突を避けんかバカタレ」
「五月蝿い……」

ぎゅっと苦無を構え、ハクジャと睨みあう。ハクジャはかなり大きいくせに動きが素早い。しかも蛇だからなのか隠れてもすぐに場所を特定されて仕舞う。確か蛇は舌で熱を感知し獲物を見付けるって本に書いてあった気がする。せめて、水の中に隠れるなりしなきゃな。

「来ないのなら、私から行くぞ」
「勝手にして」

速い。スピードもそうだけど加速が早すぎる。口を開いたハクジャの獲物にはなりたくないので、直ぐに避ける。避けて、避けて、避けきれずに左腕をハクジャによってくわえられて仕舞った。そのまま、ブーンと放り投げられ地面に背中を打ち付けるまえに体勢を立て直し、足から着地する。

「うむ。よいぞさて今日はここまでにするかの」

その言葉を待ってました!!脚が震え、後ろにパタンと倒れる。疲れきった頭は上手く働かなくて、だんだんと目蓋が重くなってくるけれど気力でどうにかして上半身だけ起こすと、普通の蛇と変わらない姿に戻ったハクジャが地面を這う様にして僕の元へとやって来た。

「今日も秘術を使わなかったの」
「あれ使うと、かなり疲れるんだよ。それに、ハクジャに使ったってあんまり効かないでしょ?」
「それもそうだが、やはり使わなければいざとなった時使えなくなっているかも知れんぞ?」

ハクジャの言葉にハクジャの頭を撫でる事と「ははは……」と曖昧に笑う事によってスルーした。ハクジャはチロチロと舌を出しながら僕の腕を伝い肩に登ってくると、

「今日の晩ご飯は確か、かれーじゃったかの?」
「……ハクジャ、蛇でしょ。カレー食べないでしょ。ハクジャが食べるのって基本、鳥類の雛とか卵でしょ。後ネズミとか小型の哺乳類」
「旨いぞ?」

卵は分かる。けれどネズミとか小型の哺乳類ってなんなんだよ。いくら水神でも食べ物だけはまんま蛇なんだなぁ。























森の中、仮面をつけた男が2人。男たちの視線の先には、肩に白蛇を乗せた少年がいた。少年は白蛇と話をしているのだろう口がパクパクと動いているのが分かる。

「もう、いいだろう。退くぞ」
「何をしておる、小僧共」
「「?!」」

バッと男たちが辺りを見回すと、一際大きな木に生えている枝に体を絡ませながらシューシューと舌を出している、大蛇がいた。大蛇といってもオウミが戦っていた程の大きさの大蛇ではなく、胴体が太い所で30センチ程の大蛇だった。だがその大蛇の色は白くあの水神ハクジャと同じ色だった。

「前々から、オウミと私を監視して……不愉快じゃ。食われたくなければ、今すぐここから立ち去れ」

ハクジャの言葉には並々ならぬ威圧感があり、男たちは仮面の下にある額に冷や汗を浮かべた。それでも男たちは立ち去ろうとはせず、

「根は、貴様等が危険物資と成りうる可能性があると見て貴様等を監視している」
「特にあのオウミという餓鬼は、貴様の封印を解いたそうだな」



「それが、どうした?」
「「?!」」

ハクジャから発せられるのは、“殺気”。それもこの男たちの目を見開き、呼吸が乱れる程の殺気。

「よいか、小僧共……。オウミにもし手を出そう言うものなら、










食らうぞ」























「?」
「どうしたのじゃ、オウミ」
「今、なんか……叫び声が聞こえてきた気がする……」
「気のせいじゃろう」























「全く、耳はよいのかオウミは。やれやれオウミの方にいるのが影分身だと勘づかれていなければよいがな」

さて、どうしたものかこの亡骸は……。苦悶の表情で生き絶えている男たちを一旦変化の術を解いて本来の大きさに戻ってから呑み込み、死の森にでも行って吐き出してくるかの。

ゴクンと男を2人呑み込み、変化の術を掛けて中の男たちごと小さくする。時間は掛かるがまぁ、仕方ないからの。さて、行くか。




















その日、2人の根の忍が行方を眩ませたという。これでもう6人目になるという。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー03ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:609f2de3
Date: 2016/10/13 13:40


今日は、確かナルト兄ちゃんたちの試験の日。この試験に合格すれば、晴れてナルト兄ちゃんたちは下忍になれる。けどナルト兄ちゃんが合格できるか心配……かなり。

「そんなに、心配ならば見に行けばよいじゃろう?」
「そうなんだけどさぁ……」

僕が、こう渋るのはナルト兄ちゃんとの約束があるんです。「絶対合格して額宛をお前に見せてやる!!だから、家で待ってろってばよ!!」なんて言われたら、僕から行こうにも行けないんだよなぁ。

「あのナルトという小僧は嫌いじゃ」
「前から言ってるけど、それどうして?ナルト兄ちゃん、いい人だよ?」

前から、ハクジャはナルト兄ちゃんを嫌っていて話題に出しただけでよくキレられる。最近じゃそれも無くなってきたけれど、この間道でばったり会った時なんか凄かった。いきなりナルト兄ちゃんの指先に噛み付いたんだから。

あ、ハクジャは最近僕の左手首にミサンガとして居ます。このミサンガの状態になったら僕にしかハクジャの声が聞こえないから、僕は1人で喋っているように見えます。恥ずかしいです。

「オウミよ、あの小僧の腹に住まう狐を知らんのか?」
「狐?」

狐……確か聞いた事がある気がする。確か、九尾の狐っていったけ?昔、里に現れて4代目火影様が封印したって聞いたはずだけど……。

「あの小僧の腹の中には、その狐が住んでおる。私はあの小僧は嫌いではない、むしろ好いておる。だがな、あの狐が気にくわないんじゃ」
「どうして?」
「あの、狐ときたらことあるごとに私を馬鹿にしおっての。大昔の話じゃが私がまだ子蛇の頃食われそうになった時もある。それ以来私は、狐が大嫌いなのじゃ」

……ハクジャが子蛇……。今よりも小さい頃……………あ、駄目だ。想像できない。変化の術を解いた時のあの大きさしか想像できない。どうしよう。

「まぁ、そんな大昔の話はどうだっていいのじゃ。それにしてもあの小僧、来るのがちと遅くはないかの?」
「うん、でも明日かも知れないし」

ぼんやり玄関のドアを見詰めるのをやめて、アカデミーで出された宿題に目を移して宿題を終らせ様と鉛筆を手に取って問題を解き進めて行く。これでもクラスでは上から3番目くらいなんですよ!!

1番じゃないのかよ。とか、そう言うの……やめてくださいね。













ザワザワしてる。何が?って聞かれたらよく分かんないんだけど。何かが、ザワザワしてる。獣……木々……人間?何なんだろう……?でも、多分後者の人間がザワザワしてるんだと思う。

「分かるか?オウミよ。人間たちがざわついておる」
「うん。かなりの人数がそこかしこにいる。しかも全員凄い強いよね?」

ザワザワしてる。これは気配がザワザワしてるんだ。ハクジャと一緒に修行してるせいか、僕は気配を探るのは上手になった気がする。流石に何人いるとかそこまでは分かんないけど。

「オウミよ。寝たふりをせい」
「?うん」

ハクジャに言われた通り、布団の中に潜って寝たふりをしながら布団の中から外の様子をうかがうと何故か、父さんが僕の部屋に入ってきて頭をよしよし撫でて部屋の外へと出て行って仕舞った。その後母さんが僕の部屋に入ってきて、父さんと同じ様に僕の頭を撫でて部屋から出て行った。階段を降りる音を聞いて、母さんが1階に降りてから僕はもぞもぞと布団の中から出た。

「何なんだろう……?」
「さての……何かあったのだろう」

布団から出た僕は、窓から外の様子を眺めるとたいして何もない様に見える。けれどハクジャが「フムフム」と何かを目で追っていたから僕の目には映らない、もしくは映ってはいるけれど速すぎて見えないだけなのかも知れない。

「ハクジャ。何が見えてるの?」
「やれ、オウミよお主には見えんのか?やれやれ」
「……蛇の蒲焼き……って美味しいんだっけ?」
「待て、待て、待て!!」





「つまり、ハクジャの目に映ったのは全員、上忍かそれ以上の実力者なんだ」
「そうじゃ、そんな奴等が集まり出したという事は……」



「何か、住人にはバレてはいけない事が起こった」
「その通り。まぁ、私たちには関係は無いじゃろう」

ハクジャはそれだけ言うと、母さんがハクジャにあげた、布を敷き詰めた籠の中で丸まり寝はじめて仕舞った。

「関係は無い……。なんか関係ある気がするんだけど……僕だけなのかな……」

眠気が襲ってきた僕は、のそのそ動いて布団の中に入ると直ぐに目蓋を閉じて寝むりについた。

……明日の朝早くにナルト兄ちゃんによって叩き起こされるだなんて僕は知らない。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー04ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:ba1aac55
Date: 2016/10/13 13:41


「ふぁぁ……」

大きな欠伸を1つ零す。実は今日の朝(というより夜中)、僕の部屋の窓からナルト兄ちゃんが登場してきた。いきなり来ていきなり、「どうだってばよ!!」とか言いながらいきなり額宛を見せ付けられても「あ、うん。凄いね」しか言えない。後、何故夜中に来た。せめて空が明るくなってから来てくださいよナルト兄ちゃん。しかもそこから始まるナルト兄ちゃんの合格までの道のり。途中で色々ツッコみたい所もあったけど睡魔には勝てない僕は、適当に相槌を打ってた。空が明るくなってから「それじゃあな!!」と言い残して窓から飛びたって行ったナルト兄ちゃんを見送ってから、僕はもう1度眠りについた。その後すぐに、母さんの声によって起きないといけなくなったけど……………。そんな訳で僕は今、とても寝不足なのです。多分、ナルト兄ちゃんも。





「そんな訳で、ってアンタ……大丈夫なの?」

僕を心配してくれのは、同じクラスの女の子の友達火杓(ヒシャク)アカネちゃん。怒るとちょっと所かかなり怖いけど、姉御肌でかなり良い人です!

「お前、あの問題児ナルトとその仲間たちと仲良いもんな」

ナルト兄ちゃんに問題児をつけたのは、僕と同じクラスの男の子の友達若草スズム。基本疲れる事が嫌いで、何時もラクしたいと口走ってはアカネに「それが忍の言う事?!」なんて怒られてる。

「そう言えば今日って、ナルトさんたちって班決めする日よね?」
「あ、うん。サクラ姉ちゃんと一緒になりたいって、言ってたよ」
「あぁ、ナルトさん。サクラさんの事大好きだもんね」

歳上の人にはきちんとさん付けをするアカネちゃん。だけど最後に「でもサクラさん、ナルトさんの事ウザがってるけどね」は、ナルト兄ちゃん聞いたら怒るよ……。いや、まぁナルト兄ちゃん女の子に暴力はふらないけど怒るよ。確実に。

「アタシたちも、来年卒業だけど班決めとかってどうなるんだろう?」
「さぁ?一応、それぞれの班が一定の力量になるように調整するんじゃない?まぁ、俺は卒業せずにのんびりダラダラと……………」

あ、そんなこと言ったらアカネちゃんまた……あ、怒った。アカネちゃんの背後に般若と烈火が見える。これが見えるのは僕だけかな?あ、スズムが冷や汗垂らしてる。なら多分スズムにも、般若と烈火が見えてるんだろうなぁ。

『オウミよ、お主の友人は相変わらず感情豊かじゃの』
「うん、そうだね。見てて飽きないよ」

ミサンガになった状態のハクジャに、言葉を返すとハクジャがちょっとだけ笑った気がする。待って……蛇って笑うのかな?いや、でもハクジャは嬉しい時に尻尾揺らすし笑ったりも……………多分、する……よね?

「あ、終わったみたい」

アカネちゃんの、説教により小さく縮こまるスズムはアカネちゃんの最後の「返事は?!」と言う声に「はい!!」と勢いよく(反射的に)返事をした。アカネちゃんも、もうちょっと手加減してあげたら良いのに。

「大丈夫?スズム」
「……助けろよ、オウミ……」

無理。僕がスズムに助け船を出したら、アカネちゃんにまた怒られる。前に助け船を出して、「甘やかさないで!!」と言われながらスズムと一緒に説教された。主に、体術がド下手だからあっという間に死んじゃうだとか……………心が折れそうになったけどハクジャが励ましてくれた。ハクジャは、たまに良い人……良い蛇?

「あれ?そう言えば何で集まったんだっけ?」
「オウミ、忘れたの?今日はナルトさんたちがいるクラス以外、他のクラスは休みだから一緒に修行しましょうって言ったじゃない」

そう言いながら、アカネちゃんは縮こまっていたスズムの肩をベシリと叩いた。……………痛そう。

「修行……そうだったけ?忘れてた」
「修行じゃなかったら、演習場になんて来ないわよ」

あ、ここ演習場だった。
広い敷地には、木が何本か植えられている他に何もないこの演習場。死の森みたく危険じゃないから、結構使ってる人は多い。今日もちらほらと人がいる。

「さて、じゃあそろそろ始めましょう?演習場に来たのに、修行しないで帰るだなんてアタシは嫌よ」

スズムは渋々といった感じで脚についた汚れを、パンパンと払って立ち上がった。僕も汚れを落としてアカネちゃんとスズムと向き合った。

「ねぇ、アカネちゃんルールはどうするの?」
「最後まで、残った人が勝ち。簡単でしょ?」
「アカネ、忍術は使ってもいいのか?」
「他の人もいるから、迷惑にならない範囲で」
「うし、分かった」

スズムの纏う空気が変わる。何時もは疲れる事が嫌いとか言ってるけど、修行の時とかは雰囲気が一変するんだよなぁ。アカネちゃんはあんまり変わらない。手は抜かないし、ビシバシやられるとこも変わらない。でもそれ以上に僕は修行であっても全く雰囲気が変わらない。一応これでも気を張ってる方、何だけどな。

「それじゃ、始め!!!!!」





アカネちゃんの掛け声によって始まった修行は、やっぱり僕が押されぎみ。スズムは何時もはラクしたいって言ってるけど、体術をすればクラスの中でスズムに敵う人は1人もいない。アカネちゃんは、チャクラのコントロールが上手い。忍術も基礎を教えただけですぐにこなして仕舞うし。……………あれ?僕この2人より、遥かに劣ってない?

『劣っておるの』
「ちょ、ハクジャ」

スズムによる右から来る、頭への打撃を右腕を使って庇う。腕が痺れるけど、頭を揺さぶられて脳震盪(ノウシントウ)でも起こしたら嫌だかね。

「火遁・鳳仙花の術!!」

アカネちゃんが印を組んで、スズムに火の球を当てる。スズム体術は凄いけど、忍術は僕と同じ位しかできないからなぁ。

って、僕の方にも飛んで来てる!!前方から来る火の球を、左に移動する事で直撃を避ける。

「当たらなくても、熱いなぁ」
「そうだ、な!!!!!」
「?!」

ゴッ!!と背後から、後頭部に強烈な一撃が襲う。グラリと視界が傾いて、頭から地面へ激突しそうになったけど何とか手をついて顔と地面の激突は避ける。でもまだ視界がぐわんぐわんする。立とうにも、視界が定まらないから立とうとしても立てない。

「ちょ、スズム!!オウミは体術はド下手何だから気を付けなさい!!」

アカネちゃん……。お願いだからド下手って言わないで……。結構グサッて来たから。

「ん?あ、ごめんオウミ。立てるか?」
「待って……………。多分、大丈夫だから」

ぐわんぐわんする視界を治すために、もうちょっと待つのもいいんだけどさっさと治したいんだよね。この感じを。だから、

ゴッ!!!!!

「「?!」」

あ、2人共吃驚してる。まぁ、そうだよね。いきなり“地面に頭を打ち付けた”ら吃驚するよね。でも痛みによって視界が段々と定まってきたし、大丈夫かな?

「もう、大丈夫。立てる」
「いきなり、頭を地面に打ち付けるから吃驚したわよ?!」

ゴシゴシとアカネちゃんが赤くなった額を袖で撫でてくれた。ちょっとヒリヒリするけど、血とかを拭ってくれたみたい。対してスズムは僕のやった行為に大爆笑。アカネちゃんに怒られるまで、笑い続けてた。























「やはり、あの子供に力があると思うのか?」
「力があるのは、あの子供ではなくあの子供が従えている白蛇の方だ」

演習場内で、輪になって話している3人の子供。そのうちの1人みくまりオウミを監視するために、変化の術で子供の姿になった男たちがいた。男たちは、意識をオウミに向けたままヒソヒソと自分たちにしか聞こえない声で、話し合っていた。

「だが、その白蛇は何処にもいないぞ?」
「多分、変化の術か何かで姿を変えているんだろう」

チラリとオウミに視線を向けた男は、仲間と話しているオウミを注意深く尚且つバレない様に、怪しまれない様に見詰めるとオウミの左手首に白いミサンガがつけられている事に気付いた。

「なるほど、白蛇はミサンガとしてあの子供の左手首に居るのか」
「どうする?ダンゾウ様はあの子供を連れてこいと言ったが、白蛇が居るならそれは難しいかも知れないぞ」

組手をしながら話す2人に、ヒヤリと悪寒が走った。2人はバッと辺りを見回すが、何処にも悪寒の原因はなく少したつと悪寒もおさまった。2人が辺りを見回すのをやめ、もう1度組手を組もうとした次の瞬間ゾクリと殺気が2人の背後から突き刺さった。

「まさか、」
「そのまさかかも、知れないな」

恐る恐る、後ろを振り向くとオウミから正確にはオウミの左手首についているミサンガ、ハクジャから殺気が送られていたのだ。それもオウミとその友達を上手に避けて。男たちはまさに“蛇に睨まれた蛙”となって額から冷や汗を流し始めた。

『オウミと私に近付くなよ、小僧共……この忠告を守らんかったら、食ってやろ』

耳元で聞こえた、重低音のハクジャの声を最後にプツリとハクジャからの殺気が無くなった。ドッと噴き出した汗をそのままに、男たちは演習場を飛び出した。























「?どうしたの、ハクジャ」
『いんや、何でもない』
「?そう」
「アンタ、またそのミサンガになってる白蛇と話してるの?」

アカネちゃんや、スズムにはこの状態になったハクジャの声が聞こえないから僕が1人で話している様に見えるんだろうな。かなり恥ずかしい。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー05ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:ba1aac55
Date: 2016/10/13 13:35


【イルカ side】


ナルトたちが卒業した後、担当になったクラスに上忍たちも一目置いている、みくまりオウミと言う少年がいた。話によると僅か6歳で、水神の封印を解いたんだそうだ。確かみくまり一族はさほど強い訳ではなく、強いのは一族が代々従えさせていた水神なんだそうだ。その水神はたった一夜にして、1つの大国を潰せるだとか言われているが本当の所は、オウミかその水神に訊くしかない。

ガラッと教室の扉を開けると、騒いでいた連中が「ヤベッ」と言いながら、座り出す。その中にオウミと仲がいい、若草スズムがいた。アイツは基本無気力で座学の時はずっと寝ている。シカマルと似ている。

「ほら、出席取るぞ」

順々に名前を呼んでいると、オウミの番になった。みくまりオウミと名前を呼んでも返事は返ってこず代わりに、オウミと仲がいい火杓アカネの声が聞こえてきた。

「オウミ、ほら先生呼んでる!!」
「え、あ……」

視線を動かし、アカネを見るとその横でわたわたしているオウミがいた。オウミと俺の視線が合うと、オウミは小さく「すみません」と零した。

「次からは、ちゃんと返事するんだぞ」
「はい」

オウミは返事をすると何故か、ギチギチと左手首に着けている白いミサンガをこれでもかと引っ張っていた。何故か幻聴で「痛い!!」と聞こえたが何故だろう?













職員室に戻り、自分の机の上に今日やったテストの置くと隣から「なぁ」と声を掛けられた。

「何ですか?」
「この間居なくなった暗部の忍を合わせると、合計で6人も暗部の忍が居なくなったっていうあれ」
「あぁ、聞きました。暗部の忍が6人も居なくなっただなんて、不気味ですよね」
「そうだよな。でだ。これ風の噂で聞いたんだけど、暗部が居なくなったのって









みくまりオウミのせいじゃないかって」

耳を疑った。何でそこでオウミの名前が出てくるんだ?放心している間に同僚はどんどん話を進めていく。

「まぁ、仕方無いよな。オウミに掠り傷1つでもつければ、その次の日に倍以上になって返ってくるって噂されてるし」

ケタケタ笑いながら、「そんじゃ、仕事戻るわ」と言い残し机に向かった同僚を見てやっと我に返って、テストの丸つけをしようと赤ペンを手に取った。けど、どうしても同僚の言った言葉が頭から離れなかった。

「あ、オウミのテストか……」

アイツはクラスで1番では無いが、頭がいい。アイツ自身は座学くらいは上位に入ってなきゃと言っていたが、アイツは体術以外はみんないいんだ。それこそ忍術は2、3個できるらしいし。

あぁ、いや今はそんな事を思っているじゃなくて丸つけをしなければ。赤ペンでクルクルと丸を書いていく。下までいくとテストの端の方に小さく何かが描かれていた。それはまるで、

「蛇?」

落書きだからか、適当に描かれていた蛇の様な生き物は此方をジッと見ているだけの、ただの蛇だったがふとある事を思い出した。確か水神は、白蛇だと聞いたことがある。オウミは水神の封印を解いたと聞いたことがある。まさかとは思いながら、その考えを頭の隅に寄せクルリと最後の問題の答えに赤い丸を書いた。























【オウミ side】


今日のハクジャによる、迷惑なこと。

その1, ハクジャが仕切りに話し掛けてきたせいで、イルカ先生に名前を呼ばれているのに気づけなかった事。

その2, テストの問題を書き終えた時にハクジャがいきなり「私の絵を描いてくれんか?」としつこく頼んできたので渋々、(落書きなので)適当に描いてやったら落書きを消す前に、テストの用紙を集めなければならなくなった事。





「これ、みんなハクジャのせいだから」
「何故じゃ?」

コテンと首を傾げたハクジャは、本当に何故自分が悪いのか分かっていないみたい。だから何とか分かって貰おうと1から説明しても分かって貰えなかったので、最終手段として、

「水神である、ハクジャなら分かってくれると思ったのに……」

ここでちょっと、ポイント。
肩を落として、目線をハクジャから外して「はぁ……」と聞こえるか聞こえないか位の声で溜め息をつく。これでも駄目ならもう1押しとして、眉を下げ「あぁ、いいのいいの」と自分の前で手を振りあくまでもハクジャを誉めつつ、ハクジャにとっては精神にくるように、

「いいのいいの、ハクジャは高貴な水神様だもんね。僕たち人間のルールに縛られるだなんて嫌だもんね。ごめんねハクジャ、無理な事言って」

こんな感じに言えば、大体ハクジャは堕ちます。今も分かった、分かったと言って焦っているハクジャがいる。ハクジャって意外と単純なのかも知れない。

「うん、分かってくれて有難うハクジャ」

よしよしと頭を撫でてあげると、普通の蛇のサイズになったハクジャは尻尾を振った。可愛い可愛い。

「あ、そう言えばね。ナルト兄ちゃんが長期の任務が入ったから、暫く帰って来られないんだって」

そこまでニヨニヨと目元を綻ばせていたハクジャが、尻尾を振るのをやめ「何?」と呟いた。聞こえて無かったんだと思い、もう1度教えてあげるとハクジャは、

「そうか、あの狐暫くは帰って来れないのか。そうかそうか。これでのんびりできるの」

そう言ってグリグリと僕の掌に頭を押し付けてきたハクジャの頭をちょっとだけ強く撫でながら、「そう言うこと言わないで」と注意した。注意するとハクジャは「……………ウム」と頷いた。

クスクス笑いながら、窓の外を覗くと休み時間もあってか僕のクラスの人たちは皆外に出て遊んでいた。外を眺めていると、ハクジャが「オウミよ」と話し掛けてきた。「ん、何?」とハクジャに視線を移すと、

「外へは行かんのか?」
「皆、あんな風に忍者ごっこしてるの見てるとさ、体術最下位の僕が敵役に成りそうでさ」

自分で言っておいて、だけどちょっと悲しい。

「本音は?」
「……………後1年で僕たちは本物の忍になる。遊びじゃない、……………」

僕はそこまで言って自分が何を言おうとしていたのか気付いて、頭を掻いた。そんな僕に気付いたのかハクジャが「よしよし」と僕を慰めにくる。





「……忍となり、人殺しをするのが怖いか?」
「……………うん」


「……忍となり、仲間の死を見るのが怖いか?」
「……………うん」


「ならば、人を殺さないほどの力を手に入れて仕舞えばいい」

ハクジャの言葉に、「え、?」と声を零して仕舞った。

「まぁ、お主にはさいきょーという言葉は似合わないがな」

そう言ってシューと舌を出し、笑った(様に見えた)ハクジャを見て僕はつられて笑って仕舞った。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー06ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:26806936
Date: 2016/10/13 13:38


「あ、あれって……」

ハクジャと一緒に修行した後の帰り、ハクジャにお礼として甘味処に行ってお団子を奢ってあげていると、視界の端に金髪が映り込んだ。

「ナルト兄ちゃんだ!!任務終わったんだ」
「にゃに?!(なに?!)」

口いっぱいにお団子を詰め込んでいたハクジャが喋った事によって、口の中に入っていたお団子の欠片が飛び散った。それにしても蛇がお団子なんて食べて良いのかね?ハクジャは水神で忍術を使えるって事以外、他の蛇と変わらないのに。ま、いっか。

「ナルト兄ちゃん!!」
「あ、オウミ……………よぉ」

あれ?なんか元気ない?何時もだったら、ニッコニッコ笑いながら話掛けてくるのに。何かもの凄い違和感がある。

「ナ、ナルト兄ちゃん?何かあったの?」
「え、……いや……何でも……ないってばよ……」

いや、あるだろ。













ナルト兄ちゃんを甘味処に無理矢理連れて行くと、お団子を口いっぱいに詰め込んだハクジャが待っていた。そのハクジャがナルト兄ちゃんを視界におさめた瞬間、眼をキラーンと光らせナルト兄ちゃんへひとっとびした。

何時もならナルト兄ちゃんは吃驚して逃げようとしたり、抵抗したりするんだけど今のナルト兄ちゃんは逃げるどころか、抵抗すらしようとせずただされるがまま。これにはナルト兄ちゃんの手に噛み付いていたハクジャも、驚いたのかナルト兄ちゃんの手から口を離して、地面に降りるとシュルシュルと僕の脚から肩へと登ってきた。

「小僧の奴ど、どうしたのだ?」
「に、任務の時に何かあったんだと思う……」

コソコソとハクジャと話しているとナルト兄ちゃんの雰囲気が、どんどん暗くなっていった。これは絶対何かあったなぁと思って、ナルト兄ちゃんを椅子に座らせて甘味処で働いているお姉さんにお団子を追加注文する。……………さてと、

「ナルト兄ちゃん。任務の時に何かあったの?」
「……………何もないってばよ……」

いや、だからあるだろ。この暗い雰囲気。鈍感な人でも分かると思うけどなぁ。じゃあ、質問を変えよっか。

「ナルト兄ちゃん。サスケ兄ちゃんとか、サクラ姉ちゃんとかと何かあったの?」
「違う!!何もないってばよ!!」

あ、あるねこれは。反応が1番大きい。ナルト兄ちゃんはサクラ姉ちゃんが好きだから無いとして、てことは……………

「サスケ兄ちゃんと、何かあったんだ」
「ないってばよ!!!!!」

大きな声を出したせいで、甘味処に居たお客さんたちが僕たちの方に振り向いた。お団子を運んで来たお姉さんは吃驚して、お盆に乗せていたお団子を落としそうになっていた。

「ナルト兄ちゃん!声もうちょっと低めて!」
「あ、悪かったってばよ……………」

しゅんとナルト兄ちゃんが大人しくなると、お姉さんがお団子を置いてさっさと奥へ引っ込んで仕舞った。甘味処に居るお客さんたちも僕たちから視線を離して、お団子を食べ始めた。

「それで、サスケ兄ちゃんと何があったの?」
「……………これ、誰にも言わねぇ……?」
「当たり前だよ。僕こう見えて口固いから」

ちょっとだけ微笑んで言えば、ハクジャがブフッと笑ってナルト兄ちゃんは少しだけ暗い雰囲気が和らいだ気がした。













「へぇ~。波の国でそんな事が……そっかそれで」

ナルト兄ちゃんの話を聞く所によると、C級の任務が本当はB級でそれでもナルト兄ちゃんたちは任務を続行。途中で桃地っていう凄く強い忍と出会(デクワ)したけれど追い忍のおかげで倒したんだけれどその追い忍が敵の味方で……………あ、これ説明してると長くなる。だから要点だけ言うと、

「なるほど、ナルト兄ちゃんのせいでサスケ兄ちゃんが死にかけた、と」
「(グサリ)」

何故かナルト兄ちゃんの方から、心に何かが刺さる音がしたけれど気にしないでおこう。ハクジャも無視してるし。

「でもさ、サスケ兄ちゃんがナルト兄ちゃんを庇ったせいで死にかけたんなら、それはサスケ兄ちゃんが駄目なんじゃない?」
「え、?どういう意味、だってばよ」

あれ?僕なんか変な事言ったかな?ハクジャもナルト兄ちゃんに向かって首を傾げてるし。

「だって、任務を遂行するためには命がまず1番大事じゃない。それなのに、ナルト兄ちゃんを庇うだなんて、サスケ兄ちゃんはよっぽどナルト兄ちゃんを信頼してたんだねぇ」

あ、何かナルト兄ちゃんの雰囲気が明るくなっていってる。そりゃあもう見違える位に。キラキラしてる。

「し、信頼されてるぅ?!」

あ、顔真っ赤。顔を真っ赤にしたナルト兄ちゃんは、ガタッと立ち上がると僕の手をガシリと握って「それじゃあな!!」と大きな声で言って、立ち去って行った。何か、あったのかな?

「あれは、勘違いするじゃろうな」
「え、何が?」

追加注文していたお団子に口をつけたハクジャは、ナルト兄ちゃんの後ろ姿を眺めながらムシャムシャとお団子を食べた。口がリスみたいに膨らんでいる。可愛い、可愛い。

「あんな風に言うのでは、あの単純な小僧では直ぐに信じて仕舞うぞ?」
「僕知らない。僕はただそう思ったから口にしただけだから。サスケ兄ちゃんがナルト兄ちゃんを信頼してるかどうかは知らない」

ジトッとした視線を感じるけれど、無視しよう。って、あぁ!!ハクジャがお団子全部食べてる!!!!!













「うぅ、ハクジャが僕の頼んだお団子全部食べたぁ……………」
「良(ヨ)いではないか。オウミよ、お主には何時も修行をしてあげておるのだから」

肩に乗ったハクジャは、口元にアンコをつけながら話すせいで僕の肩にアンコがつく。やめて。母さんに怒られちゃう……………。

「あれは、ナルト兄ちゃんに頼んだお団子でハクジャにはあげたでょ!!」
「小僧が食わんかったらよいじゃろう」

僕とハクジャが話していると、フッと僕たちの上に影がさした。

「「?!」」

バッと飛び退き、脚の太股につけているポーチから苦無を取り出し、影に向ける様にして構える。

「あ、ごめんね。吃驚させちゃったかな?」
「え、?」

この声、聞いた事あると思い影の顔を確認すると、

「カカシさん?」
「や!」

右手をあげて、挨拶をしてきたので慌てて僕も頭を下げる。頭を下げると同時に肩も下がるので、ハクジャが慌てて僕の首に絡み付いてくる。苦しい。

「ちょ、ハクジャ苦しいよ」
「お主がいきなり頭を下げるからじゃろう?!」
「あ~、なんかごめんね?」

ハクジャのせいでカカシさんに気を使わせて仕舞った。シュルシュル首から離れるハクジャにちょっとだけ殺意を込めた視線を送る。

「あ、そう言えばカカシさん。どうして僕たちに話し掛けて来たんですか?何か用ですか?」
「ナルトの事なんだけど」





カカシさんの話してきた事はナルト兄ちゃんから聞いた事と一緒で、カカシさんはナルト兄ちゃんと仲が良い僕がたまたま視界に入ったからこれ幸いにと、ナルト兄ちゃんを何時もの状態に戻して欲しいから僕に何か良い案がないかと訊いてきた訳です。

「それなら大丈夫だと思いますよ。ナルト兄ちゃん、何時もの状態に戻ったと思いますから」

へへんと得意気に笑って言えば、カカシさんは「そっか」とやけに反応が低かった。何でだろう?

「あ~、それとね」
「はい、何ですか?」










「その白蛇。強い?」
「え、?」

ポカンとして目を丸くして仕舞った。カカシさんはマスクで口元を隠しているし、表情がよく分からないから何を考えているのかたまによく分からない事がある。

「その白蛇、どれくらい強い?」
「あ、あのカカシさん?」

僕が困惑して焦っていると、何故だか首の後ろがピリピリと針に刺されているみたいに痛み、額から冷や汗が垂れてきた。これは多分、










殺気。

カカシさんが、眉間に皺を寄せていた。首の後ろから発せられる殺気の正体はきっと、ハクジャ。










「小僧。お主に私の事をオウミに訊く資格など無い……。私の事が知りたいのであれば、私に話し掛けい……。そして何よりオウミから私の情報を聞き出そうとしてみろ、










 殺 す ぞ 」

ハクジャの殺気がかなり強いものに変わった。カカシさんだけに当てているつもりなんだろうけれど、僕まで殺気が当たってる。“何時もは”ここまで強く、無いんだけどなぁ。

「ハクジャ。駄目だよ。カカシさんは、ナルト兄ちゃんたちの班の先生なんだから」
「……ムッ、すまん」

ちゃんと謝ったハクジャは、頭を下げる。

「あ、そう言えばアカデミーの宿題まだだった。カカシさん、今日はすみませんでした行こうハクジャ」

ポンッと軽い音を経てて白い煙が左手首に現れる。白い煙が晴れると、ハクジャだったミサンガが僕の左手首に現れた。

「それでは」

カカシさんにペコリとお辞儀して、家へと帰る。晩ご飯までに終わらせないと、母さんが怒る。























【カカシ side】


あの白蛇……………。かなり強いなぁ。あのみくまり一族のオウミとか言う子には殺気を当て様としてはいなかったけど、あまりにも強すぎてあの子にも当たってたな。ごくわずかだけど。

「火影様にどう説明しよっか」

ポリポリと頭の後ろを掻いて、あの子が走って行った方向とは逆の方向を向いて歩き出す。あの白蛇、確か名前はそのまんまのハクジャだったけ?あの白蛇はかなり強いと思う。けれど、性格には大分難あり、だな。

そうじゃなかったら、暗部の人間が6人も居なくなったりしないよね。しかもその6人全員、










元の形状が分からないくらい、グチャグチャだったらしいし。

まぁ、死の森に放置されてたのもあるけどあれは多分胃酸のせいだ。骨が溶けてたし。それにしても、性格難ありの白蛇を彼処まで手懐けるだなんてあの子凄いな。もしくは、みくまり一族に何かあるのかもしれない。

けれど、調べれば調べる程さして強くもなければ弱くもない普通の一族としか結果は出て来ないらしいし。

「どうしよっか」

曲がり角を曲がった瞬間、何か違和感が身体全身に走った。脚を一歩踏み出したまま、動けない。なんだこれ?まさか、幻術か?いやでも、さっきまで何も……………。

それに幻術から脱け出そうにも脱け出せない。身体が全く動かない。これじゃあ、幻術返しはできない。それどころか、印も組めそうにない。

「全く、お主等には呆れて物も言えん」
「?!」

目の前に現れたのは、巨大なそれこそ死の森にいる大蛇とは比べ物にならない位大きな大蛇がそこに居た。なるほど、

「この幻術、ハクジャのモノか」
「私の名を呼ぶな小僧」

あ、怒らせちゃったみたい。それでも、幻術に抜かりはない。身体を動かそうにも動かない。

「小僧……お主は、オウミの知り合いのようじゃからな。生かしてやろう。しかし、次は無いぞ?」

こいつは……………随分と、

「死する時は、ゆっくりと締め殺してやろう。この様にな」
「?!」

動かない身体に、白蛇の大きな身体がグルリと絡み付くとゆっくりと力を込められる。ボキボキと骨が折れ、息ができなくなり遂には意識が飛んで仕舞った。最後に聞こえてきたのはあの白蛇の声で、

「オウミに傷を付けたら問答無用で殺すぞ」

と言う、白蛇の言葉だった。

ハッと目を開けると、俺は呆然と立ったままだった。これ、火影様にどう説明すりゃいいのさ……………。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー07ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:ba1aac55
Date: 2016/10/13 13:29


何だか里中がソワソワしている様に感じます。母さんも、ワクワクしながら「オウミも、後もうすぐなのよねぇ」と、何処かしんみりした感じで言っていたのを覚えています。

「それはお主、中忍になるための試験が始まるからじゃろう?」
「え、?あれそうだっけ?」
「忘れておったのか?」

ハクジャの言葉によって、イルカ先生の言っていた事を思い出しました。確か、アカネちゃんが「楽しみ」って言いながら、苦無を磨いていました。そこだけ見るとやまんばっぽいよね。

「てことは、ナルト兄ちゃんたちも出るのかな?」
「さぁの……訊いてみればどうじゃ?」













ナルト兄ちゃんたちを見付けました。何故か木の葉丸君まで居ます。いえいえ、そんな事はどうだっていいんです。あの……ですね。ナルト兄ちゃんたちの前にいる人たちって……。

「……………他国の忍じゃな」
「……………だよね」

何やってんのぉぉぉぉぉ?!ナルト兄ちゃんたち?!まさか喧嘩売ってるの?!他国から中忍になるためにせっかく来たのに、喧嘩売るだなんて!!アワアワしながら、ナルト兄ちゃんたちを見ていると物凄い隈がある赤髪の男の子とパチリと目が合って仕舞った。これもしかしてヤバい?!

「……其処にいるのは、誰だ」

あぁ?!皆一斉に此方見てきた!!どうしようハクジャ!!

「出、出ていくしかないじゃろう?!」
「じゃ、じゃあハクジャ先行って!!」

肩に乗っていたハクジャの胴体をガシリと掴み、ポイッと放り投げる。ハクジャがシューと威嚇してきたけど僕知らない。ペシッと地面に落ちたハクジャはシューシュー言いながら、僕の方をジトッと見詰めてきた。やめて、やめて。

「あ、お前!!オウミんとこの白蛇じゃねぇか!!」
「あ、あれ?本当だ……てことは……?」

さ、今のうちに逃げようか。





ガ ブ リ

へ、?恐る恐る足元を見ると、口を大きく開き僕の脚に噛み付くハクジャの姿が。や、ちょっ、それより、

「いったぁぁぁぁぁ?!」

ガシリとハクジャを掴み、目の前に持ってくるとハクジャは誇らしそうな顔をしながら「逃げる方が悪い」と言い放ってきた。

「ハクジャ、人の脚に噛み付くだなんて……」
「それよりもホレ。良いのか、狐の小僧に何か訊きたい事があったのではないか?」

今、それ言う所じゃないくらいハクジャにも分かってるでしょ?!

「……白蛇……」

あぁ、何か本能的に危機を感じてます!!それは多分、ハクジャも同じ事みたい……。何か物凄い隈がある赤髪の男の子が僕たちをジッと見てくる。何故かそれだけで危機を感じるのはなんで?!

「た、狸じゃ」

「え、?狸」とハクジャに聞き返そうと思ったら、赤髪の男の子とその後ろの人たちから物凄い殺気が放たれた。此処まで本格的な殺気を当てられたのは初めてで、殺気だけで脚がすくんでしまう。けどそんな僕と違ってナルト兄ちゃんたちは、しっかりと前を見ている。

「オウミよ、大丈夫か?……………まさか、狐と狸が鉢合わせるとは……これほど運が悪いとはな……」

ハクジャが何か言っているけど、僕は今この場に立ってるだけで精一杯なんだよ……。木の葉丸君はへたりと座り込んじゃったみたいだけど……。

「お前」

物凄い隈の赤髪の男の子が殺気を放つのをやめると、その後ろにいた女の子と男の子も殺気を放つのをやめてくれた。あのままだったら僕も木の葉丸君と同じになってたかもしれないしね。

「お前!!」
「え、?え、?僕、ですか……?」
「そうだ、名前は?」

へ、?な、名前、これは名前を訊いているんだよね?名前を名乗ればいいんだよね?

「み、みくまりオウミと言います!!」

ちょっと、噛んじゃったけど名前はちゃんと名乗った。物凄い隈の赤髪の男の子は、ジッと僕を見ると、

「お前、案内しろ」

何をですか?!何処までですか?!

「おい、待つってばよ!!まだ、話は終わってねぇってばよ!!」
「ナ、ナルト兄ちゃん、この人たちと何かあったの?」

ナルト兄ちゃんに訪ねると、「おう」と返事が返ってきたため話を聞いて見ることにしました。













「……………それ、ナルト兄ちゃん悪いじゃん。ぶつかったのに謝らないだなんて……」

話を聞く限り、物凄い隈の赤髪の男の子とその仲間の人たちは悪くはないと僕は思います。ジトッとした目でナルト兄ちゃんを見詰めると、ナルト兄ちゃんの目があっちこっちへ泳ぎます。

「……後で、ちゃんと謝るんだよ!!ナルト兄ちゃん!!」
「う、分かってるってばよ……」

うんうん。ちゃんと反省したっぽいし、いいかな?

「ナルト兄ちゃんが悪いのに、ごめんなさい」

きちんと謝って、物凄い隈の赤髪の男の子以外からは許してもらって、この人たちが泊まる宿まで案内する事になったので、サスケ兄ちゃんとサクラ姉ちゃん、木の葉君に手を振って前を歩く。













「……なんか、気まずい」
「……私に訊いてくるな」

宿まで案内している間、後ろを着いてくる3人の人たちはずっと無言。とくに大きな扇子と、黒子みたいな格好をした女の子と男の子はずっとピリピリしてる。

「あの……えっと3人は、兄弟か何かですか?」

僕が何気なく問い掛けたら、ハクジャが「地雷を踏んだな」と何処か遠い目をしながら言ってきた。何故地雷?と思ったけれど直ぐにそれは分かる事になるのです!!

「何で俺たちが、兄弟だって思ったんだじゃん」

“じゃん”?ナルト兄ちゃんもそうだけど、何か不思議な語尾をつける人多くない?

「あ、いえただなんとなぁく、勘で兄弟っぽいなぁって……」

あ、何か物凄い隈の赤髪の男の子(長いから赤髪にしよう)の雰囲気がまるで氷みたいに変わっていった。あ、これ地雷踏んだ。

「……………コイツらを兄弟だと思った事はない」

ギラギラ光る目は、暗闇に光る動物の目みたいでさっきハクジャがこの子を見て「狸だ」って言ったのが分からなくもない。ハクジャと長い事一緒にいるせいなのか、感覚は鋭くなっている感じはする。主に、危機感が。

「僕、兄弟居ないのでよく分からないんですけど……










少なくとも1回くらいは、兄弟だと思った事はあるんじゃないですか?」

その言葉に更に気を悪くしたみたいだけど、何もしてこないので宿に向かって歩く。後ろからチクチクと殺気を当てられてるけど無視します。

「さて、着きましたよ!」

案内を終えて、今来た道を戻ろうとすると後ろから「ちょっと、待て」と女の子の声が聞こえてきた。振り返ると、背中に大きな扇子を背負った女の子が背を屈めながら、「悪かったね」と謝ってきた。

「?何がですか?」
「我愛羅の殺気の事だよ……。私たちも当てて仕舞ったし、ごめんよ」

あぁ、それなら。

「平気ですよ。ハクジャが、ちょっと緩和してくれたので」
「え、?」
「それじゃあ、中忍選抜の試験頑張ってください!!」

今来た道を戻っていく途中、ハクジャが「あれは言ってはならんかったじゃろう」と言っていた。




[42374] NARUTO 白蛇忍法帖 ー08ー
Name: kuro-S◆f2917b35 ID:ba1aac55
Date: 2016/10/18 00:11


中忍選抜の試験が始まりました。ナルト兄ちゃんが「絶対中忍になって来るってばよ!!」と言われました。そう言えば試験が始まる前キバ兄ちゃんが「ナルトにだけはぜってぇ負けねぇ!!」って言いながら僕の家の近くにある森(僕とハクジャが何時も修行してる場所)で赤丸と一緒に修行してるのを前に見ました。

……そう言えば、赤丸がハクジャを見付けた時物凄い吠えてたんですけど、その時ハクジャ震えながら「ははははは!!来、来てみろ!!犬っころめ!!」と大きく口を開いて叫んでいましたが、震えながらなので怖くもなんともなかったです。

あと、イルカ先生が木の葉丸君たちのクラスの担任の先生になって仕舞いました。僕たちのクラスの担任の先生が(彼女さんと喧嘩して負けた時)怪我を負い暫く入院していたんですが、退院と共にイルカ先生は木の葉丸君たちのクラスに行くことになりました。













最近あった事と言えばこのくらいですかね?あぁ……ナルト兄ちゃんたち今頃二次試験やってる頃なのかなぁ。ゴロゴロ自分の部屋で転がりながら、ぼんやり考える。アカデミーで出された宿題にはあんまり手をつけてない。だから、まだ半分位残ってる。

「あぁ、ナルト兄ちゃんたち大丈夫かなぁ……………」
「それほど気になるのなら、行ってみればよいじゃろう?」
「……へ、……?」

ガバッと起き上がると、くるりと体を丸めながら欠伸をしているハクジャと目が合った。欠伸していた口を閉じたハクジャはシュルシュル滑る様にして僕の目の前まで来ると、「行(ユ)かんのか?」と頭(?)を傾げながら再度訊いて来た。

「え、?ナルト兄ちゃんたちの所に?」
「そうじゃ。……それにかなり胸騒ぎがあっての……」

?????
ハクジャが何言ってるのか最後よく聞き取れなかったけど、ナルト兄ちゃんたちの所に行けるはずがない。確かに今ナルト兄ちゃんたちが何してるのか気にはなるけど、行こうとは思ってない。

「さて、行くぞ」
「え、?ちょっ、ハクジャ!!!!!」

僕が声を掛ける前に、ハクジャはピョンとどうやったのかは分からないけど飛び上がり、僕の部屋にある窓を尻尾を使って器用に開けるとそこから飛び降りた。

「あぁ、もう!!!!!」













どぉぉぉぉぉん!!という効果音が着きそうな程、威圧感満載の第44演習場。通称、





「……死の森っ……!!」

遠目に見るだけでもちょっと、本当にちょっとだけ脚が震えてくる。あの森の中から何か得体の知れないモノが飛び出して来そうで本当に怖い。最近目に見える程、動物的な本能が鋭くなっている気がする。だから、あの森の中に居るであろう得体の知れないモノが怖くて堪らない。

「……オウミよ、あの狐の小僧に会いに行くのではないのか?」
「僕は、会いに行きたいだなんて一言も言ってない!!」

ハクジャはやれやれと頭を振ると、先にシュルシュルと行ってみれば仕舞った。「ちょっと!!」と声を掛けてもハクジャはチラリと僕を見て「早く」と急かすだけ。うぅ……………ハクジャ嫌い。

「さて、此処等で良いか」

ハクジャが演習場を囲む金網の前で止まると、金網にあるほんの僅かな隙間に体を捻込み演習場の中へと入って仕舞った。

「ちょっ、ハクジャ!!駄目だって!!戻って来てよ!!」
「やれ、オウミよちと待て」

「そんなこと言ってる場合じゃない!!」と言おうとしたけれどその言葉は金網が吹き飛ぶ音によって掻き消された。だって、少しだけ変化の術を解いて巨大化(10メートル程、胴体の1番太い所は40センチ位)になったハクジャが金網を頭突きで壊したから。

「な、何やってんのぉ!!ハクジャの馬鹿!!」
「早く来ぬか!!上忍たちが来るぞ」
「うぅっ……………」

僕は渋々、泣く泣く金網が吹き飛んだ場所から死の森へと脚を踏み入れた。後ろから男の人の声が聞こえたけど、捕まるのだけは嫌!!捕まえるならハクジャにして!!













「は、ハクジャァ……少し休もうよぉ」

休むより早く帰りたいけど。僕の声を無視してシュルシュルと移動し続けるハクジャに僕はガックリと肩を落とした。死の森に入ってからハクジャはずっとこんな感じ。ずっと真っ直ぐ真っ直ぐ進んでいます。疲れました。

「ね、ねぇハクジャ……休「静かに……」……?」

ハクジャがいきなりピタリと止まると、変化の術を完全に解いて見上げるのが億劫になるほど大きくなると、僕を尻尾で痛くない様に絡め取りちょこんと頭の上に乗せてギラギラ光る紅い目で、辺りをうかがい始めました。チラッと下を見下ろすと僕がさっき立っていた場所に黒く光る物が突き刺さっていました。多分あれは……苦無……。

「は、ハクジャ?どうしたの?」
「……蛇が来るぞ……」

「蛇?」と訊こうとした瞬間、“何か”がシュンッと頬掠めた。あれ?と思うと同時にチクリと頬に痛みが走り、指先を痛む部分にあてがうと赤い血がついていた。

「は、ハクジャ!!!!!」
「オウミ、良いか?そこで大人しくしておれ」

何が何だか分からなかったけれど取り合えず「うん」と頷いておき、ハクジャのスベスベ?する鱗を傷付けない程度に握る。

「あら、貴方たち……水神とみくまり一族じゃないかしら」

……………何か今、背中がゾクッてした。2つの意味で。1つは勿論、殺気とかそういったのに当てられた時のゾクッ。そしてもう1つが、じろ~りじろ~り舐める様に見詰められた時に感じるゾクッ。

「やれ、懐かしい臭いがすると思ったら、あの子蛇と口寄せの契約を交わした者か」

何処か、ガッカリしたハクジャの態度に髪の長い男……………(え、男の人だよね?)がフフッと笑った。ひぃっ!!笑い声だけで、背筋に氷水を掛けられたみたいにゾクッとくる!!

「ハクジャ!!この人、結構色々ヤバい!!」
「ん?まぁ、ヤバそうではあるが何故色々?」
「だって、だってこの人










オカマだもん!!!!!

それに、何か視線がねっとりしてて気持ち悪い!!」

僕の言葉に男の人は何故か震え、ハクジャは「ぶはっ」と吹き出して笑い始めた。僕は何か間違った事を言ったのかも知れない。そう思って、ハクジャに訊いてみたら「オウミよ、お主は正論を言っておる」と言って更に笑い出した。けれど、

「貴方たち、ぶっ殺してあげるわ!!」

キレた男の人が、苦無を持って襲い掛かって来た。けれどハクジャが自分に変化の術を掛け、何時も通りの姿になったから僕とハクジャは落下する。勢いをつけていた男の人は、途中樹を蹴って方向転換をして僕たちに襲い掛かかる。

「あ!!ま、マズい……えっと、水遁・霧隠れの術!!」

使える様になってからまだそんなに経っていない、霧隠れの術。けれどこれで視界を奪うこと位はできる。流石に全方向濃い霧に覆う事はできないけどね……。地面に着地すると、ハクジャは僕の脚から肩へと登ってきて口を開いた。

「さて、小僧よ。幾つか貴様に訊きたい事がある。まず、狐の小僧等に手を出したな?」

ハクジャの言葉にフフッと笑い声が聞こえて来て、あの男の人の声が聞こえて来た。

「えぇ、うちはサスケ君。後、うずまきナルトだったかしら?彼等は良いわね」

ひぃっ!!やっぱりあの男の人オカマだ!!

「……また、失礼な事考えてるわね。いいわ、まずみくまり一族の子から殺してあげるわ」

その声が直ぐ、後ろで聞こえたらきっと大抵の人は振り向くか、固まったまま動けなくなると思う。けれど、僕は、









「(あ、これ後ろじゃない)」










       …前だ…

グッと身体を逸らして、飛んできた苦無を避ける。と、同時に霧の中から飛び出してきた男の人の多分本気じゃない蹴りを左腕でガードする。本気じゃないのに、左腕が痺れる。

「やれ、オウミよお主は本当に体術が成っておらんな」

……………五月蝿いよ。今はそれどころじゃないのに。

「さてでは、もう1つ。小僧、貴様。何故、木の葉に居(オ)る。私は随分長いこと封印されておったが、決して外の様子について知らなかった訳ではない。貴様は、木の葉を里抜けしていたはずだ」

え、?里抜け?この男の人、木の葉の忍だったんだ。

「そうであろう?」



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