<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ゼロ魔SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[37657] 東方への脱走
Name: 文吉師匠の弟子◆3bee1ccd ID:07eaa397
Date: 2013/05/22 16:45

前話のPASSがわからなくなってしまい、このような形をとったことを管理人に謝罪します。申し訳ありません。

 そして、月日は流れ召喚当日。秋葉原じゃないのに目の前に現れた鏡に足元に現れた訳じゃない事にホッとしている。だからと言って素直に召喚される気もなけりゃその義理も義務もない。だからこそ、その鏡に対して呟いていた。

「召喚される義理はないって」

 鏡を避けようとすると、突然後ろから押されて鏡に突っ込んでしまった。不思議なことに押されながら反転して後ろを見るけどそこには誰もいなかった。

「どういうことだ?ちぇっ。…やっぱりだめか。行きはよいよい。返りはダメだってか?」

 ペタペタ触って確認したけど、一方通行みたいで戻ることは不可能だったみたいだ。戻ろうにも一方通行みたいで入ったところから出ることはできなかった。仕方なくまっすぐ歩いて通り抜けると、

「………アンタ、誰?」

 鏡を抜けた先でバカリエール筆頭の桃色髪のクソ幼女に声をかけられた。周りの連中はそれを見てゲラゲラと笑うのを見て良い気味だと内心で笑った。人のことを拉致っておいてその程度で済んで御の字だろ?クソ貴族どもに見られないように隠すのがしんどかったぜ!つうかむしろクソルイズにはもっとひどい目にあってほしいぜ。

「アンタ、感謝しなさいよ?平民がこんなことをされるなんて滅多にないんだからね?」

 クソ幼女が言って杖を突きつける。どうやらコントラクトサーヴァントをするつもりらしい。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つを司るペンダゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」

 一通りルーンを唱えると唇を重ねる。

「ッ!!あ、アアァァァァッ!!!!」

 唐突に左手に熱さが襲ってきた。

「大げさね。使い魔のルーンを刻んでるだけじゃない。」

 それは、原作読んで知っている!だけど、想像を絶する熱さが神経をむしばんでいる!尋常じゃない熱さだ!まるで、左手に熱したはんだを押し付けられたようだ!!その熱さが収まると左手に使い魔のルーンが刻まれていた。

 その日の内はクソ幼女に従順なフリをして欺いた。

「今日はもう寝るわ。それと、着替えは明日の朝にメイドに渡しといて。」

 そう言って、クソルイズは自分の服を脱いで、パジャマに着替え、脱いだ服は俺に渡した。

「はい。かしこまりました。ルイズ様。」

 内心、寒気がするけどクソルイズを欺くためにはこんなこともしなければならない。ホントにつらいけど、これも安全にトリスティンを脱出するためだ!気をよくしたクソルイズが寝静まった時を狙い行動を開始した。明日の朝にはクソルイズが俺がいないことにすぐに気づくだろう。俺は黒目に黒髪と、ハルケギニアには珍しい色をしている。そんな人はかなり目立つ。金色だけの絵に黒い落書きを書き加えるようなものである。だからこそ、騒ぎを起こして安全に脱出するべきだな。予め作った時限爆弾を男子寮に恐らくは日の出はこれぐらいだろうと仮定してそれより後に爆発するようにセット、次の日の出とともに出発する荷馬車に頼んで乗せてもらいトリスタニアに到着した。やっぱり、脱走の極意は極力静かに!それが無理なら、極力混乱させよ!大騒ぎを起こしてそちらに注意をひきつけて、その隙に脱出すべきだな!

 俺が仕掛けた爆弾は想定した時刻に爆発してコチラを探す余裕はなくなっただろう。今のうちにトリスティンを脱出しないと!荷馬車の手綱を握っていた人に礼を言い、街を歩き回り目当ての店を見つけた。その骨董品店に入って自分のサイフを差し出して中身を換金してもらうと日本円が珍しいのか、予想外の高額になった。そのエキュー金貨が沢山詰まった袋を片手に次に向かったのは武器屋だ。店の中を見回り、目についたのは一振りのボロ剣だ。

「おっちゃん。この剣を買いたいけど、いくら?」

 ぼろっちい剣、ガンタールヴの相棒、デルフリンガーを指さして問いかけると、それに怒鳴り声が返ってきた。

「おいクソガキ! 俺を買いやがる気か! やめときな! そのほそっちい腕じゃ、棒っきれでも握ってた方がお似合いだ! って、使い手じゃねえか!すっかり俺の目も節穴になっちまったみてえだな! なら、文句もねえや。コレからよろしくな!」
「おいおい。本気でそのうるさいだけの駄剣を買う気なのか?なら100エキューだ」

 店主のおっちゃんにデルフリンガーの代金の3倍の300エキューを渡し、デルフリンガーを受け取り、タングルテールの虐殺は疫病ではなくトリスティンの魔法学園の教師、コルベールが宗教弾圧で焼き払ったと情報を流してもらった。やっぱ安全に脱出するなら、情報を流して混乱させるのが一番だよな? 次の一手として、『魅惑の妖精亭』に赴き、食事とワルドはレコンキスタの一員だと情報を流してもらった。そして、なぜか気に入られたスカロンに見送られながらトリスタニアを後にすることにした。気に入られるようなことを何かした覚えはないんだけどな?

「アラン?泊まっていかないのかしらん?」

 くねくねさせるな。スカロン。キモいわ。そのおぞましさにひきつった笑みを浮かべその言葉に首を横に振った。

「泊まりたいのはやまやまだけど急いで行かなきゃならないのでコレで失礼します」

 コレは本当だ。いくら爆発騒ぎと情報を流して混乱させたとしても落ち着き取り戻したら俺がいないことなどすぐに気づくだろう。そうなったら、あっという間に包囲網を完成させられて脱出することもできなくなるだろう。だから、今のうちにトリスタニアを脱出する必要があるのだ。

「そう。残念だわ。何処に行く気かしら?」
「ロ・ラシェールからアルビオンに行く気です」

 もちろんこれは嘘だ。みんなの視線がアルビオンに向いていればその間に俺は比較的安全にトリスティンを脱出して東方に向かうことができる。手品師の常套手段、視線を別のほうにむかせて、その間に手品のタネを用意せよ!だ!

「そう。お元気で。トリスタニアに来たらまた寄ってくれるかしらん?」

 その言葉とヒラヒラと振り回すハンカチを背に、トリスタニアを出た。そのまままっすぐに歩いて海にその海岸をそって歩いて、港街にたどり着いた。さすが、ガンダールヴだぜ!デルフを持って走ると、軽いぜ!

 街中を歩き回り、予想通り、東方に向う船を見つけた。確か、シエスタがサイトに東方から来た緑茶をふるまった事があった。陸路からはエルフが住む地を通らなければならないため無理。となると海路からと睨んでいたがその通りだった。その船の事務所に大金を渡し、船に乗せてもらった。おかげで持ち金の半分を使っちまったけど、脱出出来ると考えたら安いものだ。ここまでの間に持っていた荷物を自室としてあてがわれた部屋に置き、看板で待っていると時間が来たらしい。ゆっくりと遠の来つつある港町を見て何とも言えぬ満足感に震えていた。

「さらば! トリスティン!」

 船の上から遠退きつつある陸を見ていた。これで、クソルイズからこき使われずに済むと笑いがこみあげてくるぜ!まあ、バカリエールを滅亡させれなかったのは残念だが、トリスティンなんか、サイトがいなくなっちまったらすぐにつぶれる烏合の衆みたいなもんだからな。ほっといてもトリスティンと心中することになっちまうかな?それならそれでいいか。

「よう。坊主。嬉しそうじゃねぇか」
「えぇ。まぁ。ホントに大変でしたよ。いきなり拉致られて、奴隷宣言でしたからね。それがイヤしかたないからで脱走しましたし」
「アッハッハ!そりゃめでたいじゃないか!一杯やるか?」
「良いですね?」

 差し出すグラスを受け取り、中にワインを注ぐ。すでにだいぶ飲んでいたらしく、グラスの半分程に注いだら無くなり、船長さんは自室からワインを一本取って残りを注いだのでお礼にワインをグラスに注ぎ返した。ワインをグラス並々に注いでからワインを高々にあげて軽くぶつけ合った。

「坊主の脱走成功を祝して、」
「俺の幸せな将来を祝って、」
「「乾杯!」」

 そう言ってグラスを鳴らし、ワインを飲んだ。

「ふぁ。眠いな」

 脱走成功に気が弛んだ所に酒が入ったのが原因だろうか?眠く眠くて仕方ない。自室まで戻るのもしんどい。

「船長。寝ても良いですか?」
「ウン?構わねぇよ。着いたら起こしてやろう」

 その言葉に、床に横になり目を閉じた。そして、それが破滅の瞬間だった。


 ▲△▼▽

 熟睡している才人に近づく人がいた。その人は才人のそばにたたずむ船長に近づくとそれに気づいて報告した。

「ああ。頼まれた通り睡眠薬をしっかりと飲ませやした」
「ご苦労。良く寝てるな?」
「へぇ。強力な睡眠薬を飲ませたので暫くは起きません。トリスタニアにつくまでは何があろうと絶対に起きやしません」

 船長の答えに彼の雇い主は満足そうに結構と頷いた。

「では、彼は連れていくとしよう」

 雇い主は才人の所持品から武器の類を没収して動けないように縛り緊急時の脱出船に乗せてトリスティンに戻った。

「悪く思うなよ?坊主。これも仕事なんでな。せいぜい、スパイなんてっていた坊主自信を恨むんだな」

 船長は呟きながら、脱出船が見えなくなるまで見続け、見えなくなると鍵で彼の部屋を開け荷物を自分の物にした。才人が港町についた時にはすでに船員含め、その船の乗り組みは雇われていた。船長を雇ったのはトリスティンの人間だった。魔法学園の爆発騒ぎの時に姿を見せなかった彼を怪しみ、トリスタニアで公式の情報を偽物だという情報を流していたという話を聞いてオスマンは彼がスパイだと判断。そして、コルベール協力のもと似顔絵を作成し、王家に報告した。トリスタニア捜索のもと、彼がアルビオンに向かっているという情報を入手したけど、オスマンはそれを嘘だと判断した。何故なら、才人が安全なルートで逃げようとしていると判断したからだ。となると、ロ・ラシェールへは向かわない。陸路か海路で、ガリア、ゲルマニア、ロマリアに向うのでは?そう判断した。そして、陸路だともしバレたら国境まで辿り着く前に封鎖され、逃げ場を失う恐れもあるだろう。その点、海路なら、港街に辿り着けばいいのだから、人の足でも十分に逃走可能。故にこそ、海路で逃げると判断して港街を捜索させた所、彼が東方に向う船を探していることが判明した。これはオスマンも意外だったが、後は、船長を金で雇い、睡眠薬を飲ませれば完了。縛ってトリスタニアまで安全に護送できる。

 ▲△▼▽

「起きろ!!」
「グアアアッッッ!!!!」

 その声とともに鞭を振り下ろされ服が破れ、体に激痛が走る。

「さて、今日こそは貴様の情報を話してもらうぞ?」
「何のことだよ?」

 俺の言葉に看守は俺の指に手を添えて、ゴキンという音で指の中に新たな関節を作った。

「~~~ッ!!!!」

 その激痛に声にならぬ悲鳴を上げていた。

「とぼけるな。貴様に拒否権はないぞ?どうやってタングルテールの残虐の様に知りようもない情報を知っていた?そして、どうやって神聖なサモンサーヴァントに干渉して自分が呼び出されるようにした?貴様はどこの国の犬だ?貴様は他にも何を知っている?」

 その問いに、沈黙していたのだが、もう別の指に手を添えて骨を折られてしまった。

「言わなかったか?それとも貴様の記憶能力は皆無なのか?すでに貴様には拒否権はない」

 その問いにペッと唾を吐きかけると、全身に鞭を振り下ろされ傷だらけに塩水をぶっかけられる。

「~~~!!!!」

 全身に出来た傷に塩水がしみて痛い!!

 クソ!どうしてこうなった?トリスティンのクソ貴族に捕まった俺を待っていたのは拷問の日々だった。ヴァリエールのやつが、鞭打ちや、文字通りの骨折りで苦痛を与え俺から情報を絞り取ろうとしている。どうやら、俺が知るはずの無い情報を知っている事からスパイか何かだと判断したらしい。どうも、俺がやった策はほとんど効果を発揮しなかったらしい。寧ろトリスティンにとっては大助かりだったらしい。例えば、タングルテールの虐殺の情報を流した結果コルベールは確かにアニエスに詰め寄られたが、彼の苦痛と後悔深い懺悔の念を聞き、彼を許さずとも、彼の償いを見定めることにしたらしい。そして、その計画を引き受けたものは反意の恐れがあり、処断された。
例えば、ワルドは確かにレコンキスタの一員であったが、ヴァリエールの手で捕縛。反ヴァリエール派の貴族の人達は王家に反意を抱く恐れありと投獄される事を期待したのだが、どうやら、ワルドの捕縛、処刑した事でその可能性はないと判断され無罪放免であった。クソ!ホントにどうしてこうなった?

 ………俺の心臓の鼓動が止まったのはそれから一週間後だった。とうとう、故郷の地を踏むことは叶わなかった。



[37657] 終幕
Name: 文吉師匠の弟子◆3bee1ccd ID:07eaa397
Date: 2013/05/22 16:49

「………フン。また失敗か。いつになったら成功するのか?」

 誰もいない空間で人からは神と呼ばれる存在がつぶやいていた。人よりはるかに高次元に立ち、人の運命さえも操る存在。そんな彼が行なっていることは、
ただの暇つぶしである。貴族に対して愚かしい事を考えている人間を選び、適当にその人の運命を操り、魂を抜き取り、平賀才人の存在に憑依させる。そして、召喚される時、どうあがこうと召喚されるように運命をいじくり、平賀才人となったものがルイズに従うなら、それでよし。従わず反逆する、あるいは反旗を翻すならどう足掻こうと彼が破滅するように運命をいじくる。

「まったく彼らは愚かなことだな。もう少し、人の心を思いやることができないのか?」

 貴族の中にも善良な人間もいる。例えば、ルイズ。彼女は虚無の担い手でありそのため、コモンマジックも系統魔法もまったく使えない。どの魔法も爆発してしまう。魔法がだめなら、座学、教養を磨く、あるいは、『爆発』を一つの魔法とみなしそれを極めるのもよかった。しかし、彼女がいるのは魔法主義が蔓延しているハルケギニア。魔法が使えない。魔法成功率が0。『ゼロのルイズ』 それこそ彼女につけられた二つ名だった。それは彼女にとって屈辱的な二つ名だった。彼女もそれを払拭しようと足掻いたけど何をやっても無理だった。足掻いて、足掻いて、結局爆発しか起こせず、公爵家のプライドにすがり自分を保つしか彼女に残されたものはなかった。ルイズが虚無でなかったら?そして、自分が送り込んだ平賀才人達がもし、ルイズの心を理解することが出来たらもっと違う結果が見えたかもしれない。貴族達にしてもそうだ。彼らは幼いころから、教育として、貴族主義、魔法主義を叩きこまれてきた。もちろん賢い人たちなら、平民をなめた目で見ることができないと理解している。もし彼らが、平民をなめた目で見れるような存在ではないと、たとえ魔法学園にいる人たちだけでも教えることができればトリスティンは全く違う世界に変質していただろう。彼はそれが見たいのだ。

「さて、次はこいつだ。」

 愚かしい考えの持ち主を見つけ、殺害して平賀才人として送り込んだ。

あとがき
自分のお目汚しにつき合わせてしまい申し訳ありませんでした。ここに出てくるがろうでんという方の作品を見て書く気になりました。これを読む皆さんも作品執筆がんばってください。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.012903928756714