放浪バスがツェルニに着き、目を覚ましたレイフォンは一目散にある場所を目指した。
それは場所と言うよりも人が正しい。だけどそんな事、今のレイフォンにはどうでもよかった。
ただ、一刻も早く彼女に会いたかった。声をかけたかった。声を聞きたかった。
都市外装備を脱ぎ捨て、着替え、ハーレイに使った複合錬金鋼の報告すらせずにレイフォンは走る。
もし、剄を全開で流したら複合錬金鋼が負荷に耐え切れず爆発したと言ったら、どのような顔をするのか?
そう思いながら、そんなどうでも良い思考は即刻排除する。
本当に今はどうでも良い。それよりも、その何倍も重要な事があった。
彼女の念威の誘導に従い、レイフォンはとある場所に辿り着いた。
そこは、養殖科の牧場であり、羊の柵が近くにあった。
ここにはフリーシー(仮)がおり、そして何より、彼女と初めて出会った場所だ。
その事を懐かしく思いながら、レイフォンは視線の先にいた人物に声をかける。
「フェリ」
彼女の名前を呼ぶ。
たったひとつだが年上なのに呼び捨てで、だけどとても親愛を込めた声で、最愛の人に送るような声で、レイフォンは彼女の名前を呼んだ。
「フォンフォン……」
彼女もまた、レイフォンの事を同じように呼ぶ。
だけど親しさと言う点ならば、愛称でレイフォンの事を呼ぶフェリの方が少し上だろうか?
だけど、気持ちでは負けるつもりはない。
自分はフェリを、心から愛しているのだから。
「フェリ……」
もう一度彼女の名前を呼び、レイフォンはゆっくりと近づいて行く。
さて、なんと言おう?
愛しています?
大好きです?
付き合ってください?
結婚してください?
さまざまな考えが脳裏に浮かび、流石に最後のは早すぎるなと小さく笑う。
なんと言えばいいのかはわからない。だけどひとまずは、赤くなる頬を掻きながら、レイフォンはフェリに微笑むように言った。
「ただいま」
ちゃんと、自分は帰って来た。
約束を守り、ここにいる。彼女の顔をまた見て、声を聞いている。
何気ない事だが、先ほどまで戦場にいたレイフォンにとってはとても重要で、とても嬉しい出来事だった
そんなレイフォンを見て、無表情なフェリの表情が崩れ、少しだが確かに笑みが浮かぶ。
誰から見ても嬉しそうな表情で、誰から見ても美しいと思える表情で、フェリは言った。
「お帰りなさい」
レイフォンを迎え入れる、何気ない言葉を。
だけどこの2人には、とても、とてもとても重要な言葉だった。
あとがき
短っ!!
以上、エピローグでした(汗
なんにせよ、これで原作2巻分のSSは終了!次回は3巻分です。
して……予定ではリーリンやガハルトの部分は大幅カット予定。
いや、だって、主役はレイフォン×フェリですし、ぶっちゃけてそこのところは原作とあまり変わりませんし。
ただ、手紙の内容は変わる予定。
レイフォンはフェリと付き合う事になったので、手紙を受け取ったリーリンはそれはもう、この作品の2巻分の冒頭みたいに……
まぁ、何にしても、3巻分を書く前に間に外伝を何話かいれようと思います。
フェリが喫茶店でバイトする話とか、漫画版レギオス(深遊先生の書いたもの)に出てきたツェルニに似た少女を見て、オリバーが暴走する話とか、何気に大好きなレオを出してみようかなんて予定があったりします。
もはや外伝ではなく中編?なんて話になるかも……(汗
未だに原作は12巻途中まで、しかしクラリーベルは出て来た!な、状況の作者です。
早く読まねば……しかし、ゲームが……誘惑に負けてしまいそうな作者です。
最後に一言。かなりどうでもいいですが、今週のジャンプを読みました。
そして思った事、死ねや黒ひげぇぇ!!
……関係ない事を言い、申し訳ありませんでした。それでは。