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No.16004の一覧
[0] ― 閃光の後継者 ― 【ギアス一期再構成】[賽子 青](2012/08/30 12:44)
[1] Stage,01 『白い騎士』[賽子 青](2012/08/29 01:54)
[2] Stage,02 『はじまりの合図』[賽子 青](2012/08/29 01:46)
[3] Stage,03 『黒い仮面』[賽子 青](2012/08/29 01:50)
[4] Stage,04 『一対の炎』[賽子 青](2012/08/29 01:53)
[5] Stage,05 『空からトラブル』[賽子 青](2012/08/29 01:50)
[6] Stage,06 『嵐の前』[賽子 青](2012/08/29 01:51)
[19] Stage,07 『粛清』[賽子 青](2012/08/29 01:54)
[20] Stage,08 『皇女』[賽子 青](2012/08/29 20:43)
[21] Stage,09 『嘘と真実』[賽子 青](2012/09/06 21:31)
[22] Stage,10 『7年前』[賽子 青](2012/08/30 20:08)
[23] Stage,11 『リリーシャ』[賽子 青](2012/09/01 13:43)
[24] Stage,12 『新しい決意』[賽子 青](2012/09/06 21:30)
[25] Interval 『再会』[賽子 青](2012/09/06 21:27)
[26] Stage,13 『介入者』[賽子 青](2012/09/05 21:50)
[27] Stage,14 『サイタマゲットー』[賽子 青](2012/09/06 21:26)
[28] Stage,15 『不穏な影』[賽子 青](2012/09/11 22:26)
[29] Interval 『騒乱の種』[賽子 青](2012/09/12 00:31)
[30] Stage,16 『奪われた剣』[賽子 青](2012/09/13 22:41)
[31] Stage,17 『交錯する閃光』[賽子 青](2012/09/15 13:42)
[32] Stage,18 『ゼロを騙る者[賽子 青](2012/09/20 20:54)
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[16004] Stage,06 『嵐の前』
Name: 賽子 青◆e46ef2e6 ID:2c000750 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/29 01:51

「おいしい。エリア11の人って器用なんですね」

 政庁近くの公園にある屋台でアイスクリームを買い、歩きながら食べる。
 移動型の店舗で商売をしているのは名誉ブリタニア人―――――市民権を認めれらた旧日本人だった。
 露天とは思えないくらい丁寧に作られたそれは、租界のブリタニア人を唸らせるに十分な味に仕上がっている。値段も安い。

「よくこの国の名誉ブリタニア人の方々を見下す人がいますけれど、それは間違いだと思います。
 私もまだ数ヶ月しかこのエリアにいませんけど、みんな真面目だし手先も器用なんですよ」

 イチゴ味のアイスを食べながら、アーニャもそれに頷いた。
 スイーツならば、大味なブリタニア人の作ったものよりも路上で店を出しているイレブンの物の方が美味しいことが多い。
 もちろん、本国の一流パティシエのものならまた別だけれど。
 なんといったかな? ひと手間かける美味しさ? ともかくそんなもの。
 エリア11の人はものづくりに真剣で繊細なのだ。

「ユフィが望むなら、他にもいい店を知ってる。今度行こう」

「はい、是非」









コードギアス
    閃光の後継者

Stage,06『 嵐の前 』









「それにしても、こうしているとブリタニアにいるのと変わりませんね」

 周りを見回し、素直な意見をユーフェミア口にする。

「それは当然。この街は本国をモデルに造られた」

 少なくともここだけは、と付け加えようとする衝動を、リリーシャは呑み込んだ。
 相変わらず、旧首都圏を含む旧日本の国土は荒廃したままだ。
 イレブン側の抵抗活動が激しいというのも原因なのだろうが、シンジュクなどのビル群はいまだに瓦礫の山で、『ゲットー』というスラムを形成している。
 もはやかつで世界有数の経済大国だった頃の面影はない。

 そう、感傷を孕んだ眼で辺りを見回していたリリーシャの視線が一点でフリーズする。
 不思議に思ったアーニャが視線の先を追って、そこに明るい銀色の髪を揺らす青年の姿を見つけて納得した。

「あれ、リリーシャちゃんとアーニャちゃん?」

 彼女の視線に青年も気付いたようで、手に下げていたポーチを肩にかけ直してこちらに走ってくる。

「ライ、すごい偶然」

 隣で固まるリリーシャをよそに、アーニャは最近出来た異性の友人の登場を歓迎した。
 ライは中々の美形な上に童顔なので高校生に見られがちだが、貿易関係の会社に勤めるれっきとした社会人であるらしい。
 リリーシャの兄であるジェレミアとヴィレッタは友人とうよりも知人という感じなので、恐らくアーニャの友人の中では最も年上なのが彼だろう。
 黒いジーンズとジャケット、その下に来た真っ白いハイネックのインナーが、美しい銀髪をもつ彼によく似合っていた。

「こんにちは。リリーシャちゃん、アーニャちゃん」


「ん。ライも今日は休み?」

「うん。このところ土日も仕事だったからね。その代休だよ」

 実は今日は平日である。
 彼の言うには、あのゼロの一件から始まる行政の混乱のせいで空港やコンテナ港は機能停止に陥り、入ったばかりの新人である彼ですら休日も出勤しなければならないほどの忙しさだったようだ。
 最近になってようやく、コーネリア殿下のエリア11総督就任が決まり、休暇がとれるくらい事態が落ち着いたのだとか。

「リリーシャちゃんも――――ってどうしたの?」

「えっ、あっ、お久しぶりです、ライさんっ!」

「ひさしぶりって、4日前に一緒にコンビニで会ったばかりじゃないか」

「あっ、そうでした」

 ごめんなさい……とごにょごにょ言いながら、リリーシャははぅ、と頭を伏せてしまった。
 そこに、ライの掌が乗せられる。
 ふわふわと頭を撫でる大きな手に、彼女は気持ちよさそうに眼を細めた。
 ライの方もまるで妹にそうするように、穏やかな顔でリリーシャの頭を撫でている。

 そうなると、面白くないのはアーニャである。
 ツカツカとリリーシャの背中に近づくと、そのまま彼女の腰に抱きついてベイっとライの掌から引き剥がす。

「だめ、リリはわたしの」

 そう言って、ぎゅうとリリーシャを抱きしめながら自分を威嚇するアーニャを、ライはやはり穏やかな表情で見つめている。
 降り注ぐ太陽の光の中に美しい銀髪を遊ばせながら微笑む彼の姿は、一枚の絵画のように嵌っていた。

「ところで。
 はじめまして、ライ・ヴィクトルです。貴女は?」

「えっ? あ、わたしはユフィといいます」

 先ほどまで三人のやり取りを傍観していたユーフェミアは、不意に言葉を向けられたことで一瞬戸惑ったが、次の瞬間には持ち前の明るさで返事を返した。

「ユフィさん? よろしく」

 それに応えるように、ライも頬笑み、右手を差し出す。
 思いのほか大きく、ところどころが固い彼の手にユーフェミアも手をかさね、ゆっくりと握って離す。
 この時、リリーシャが感じている不思議なシンパシーをユーフェミアも少しだけ感じていた。

「それで、これからどうするの?
 買い物も終わったし、よかったら僕もついていっていいかな?」

「いいよ。その代わり、次に行くところはライのおごり」

「イエス、ユア ハイネス アーニャお嬢様」

 おどけた様子で、しかしずいぶんと様になる礼をしたライに、一同はまず虚を突かれ、次に噴き出した。
 やり過ぎです、とはリリーシャの声で、面白い方ですね、とはユーフェミアの言葉である。
 ともあれ一名の男子を加えた一向は、再びトウキョウの街を歩き始めた。





 / / / / / / / / / /





 投入口にコインを一枚滑り込ませ、アーニャは静かに銃を構える。

「観てて」

 4人がアーニャの案内で連やってきたのは、近くにあるゲームセンターだった。
 リリーシャもよくアーニャと来る休日の定番コースにある店である。
 店に入るなり目当てのゲームの前に仁王立ちになる。
 ジャンルは、拳銃型のコントローラで操作するシューティングゲーム。

「すごい。全然外しませんね」

 後ろで見ていたユーフェミアの口から感嘆の声が漏れる。
 ディスプレイの両サイドに埋め込まれたスピーカーからは、絶えず銃声と悲鳴を模した音が流れ続ける。
 アーニャが普段使っているものよりも数倍軽い銃が滑る様に動き、腕で画面上で次々と出てくる標的を撃ち抜いていった。
 感の眼、つまり此処の標的ではなくディスプレイ全体を俯瞰して動きの中で標的を設定し打ち抜く様は、彼女の無表情と相まって薄ら寒い。
 瞬く間にファーストステージをクリアしたところで、ハイスコアを叩き出した彼女の隣に立つ勇者がいた。

「僕もやっていいかな?」

 ライである。
 彼はアーニャが頷くのを待ってコインを投入し、銃を手にした。
 このゲームは途中参加可能で、2人になると標的の数の多いスペシャルステージの選択が可能になる。
 迷わずそちらを選択したアーニャは、挑戦的な眼をライに向けた。

「負けない」

「うん、僕も負けるつもりは無いから、勝負だね」

 GAME STARTの赤い文字が画面上に現れる。
 その後は、正に圧巻だった。
 倍に増えた画面上のモンスターを、それ以上に増えた銃弾が駆逐していく。

 片や、踊る様に銃弾をばら撒くアーニャ。
 片や、正確無比な銃撃で敵が動く前に脳天を貫くライ。
 不規則に動いてプレイヤーを翻弄するはずの敵が、何もできずに次々と沈んでいった。
 結局ハイスコアでゲームを終えた彼女には、いつの間にか出来たギャラリーから惜しみない拍手が降り注ぐ。

「ん……」

「ふう」

 結局、二人のスコアはほぼ同じ。
 撃退数ではアーニャが上回るが、連続Hitボーナスはライが勝っている。
 カチンと二人は銃をぶつけ合い、無言で引き分けを受け入れた。

「二人とも、やりすぎです」


 そんな少し顔を赤らめるアーニャを右手で引っ張って、やっちゃったと髪をいじるライの腕を引っ掴んで、リリーシャは強引に人ごみから連れ出した。
 その後ろでは二人の記録を破ってやると筐体に人が群がっている。

「はぁ、びっくりしました。
 お二人とも、凄くお上手ですね。アーニャさんは、やはり軍で訓練されたのですか?」

 人ごみから抜け出した4人は、自販機で飲み物を買って次のゲームを物色している。
 特に前の二人が眼を輝かせているので、姫のエスコート役はもっぱらリリーシャの役目だった。

「はい。私もアーニャも軍に身を置いていますから。
 これでも二人ともナイトメアに乗っているんですよ。ライさんは、こういうゲームをずっとやっていたら、いつの間にか、だそうです」

「まぁ、そうなんですか!?
 ――――ああ、思い出しました。お名前を伺った時から何か引っかかっていたんです。
 アーニャ・アールストレイムさんといえば、確か現在最年少のナイトメアパイロットですよね?
 そしてその前の最年少ナイトメアパイロットが、リリーシャ・ゴッドバルトさん」

「はい。ご存知頂いて光栄です」

 リリーシャは若くして力を認められ、母や兄と同じパイロットに抜擢されたことを誇りに思っている。
 それを未来の上官に褒められれば、嬉しくないはずがない。
 武家の名門であるアールストレイム家に生まれたアーニャもそれは同じの様で、嬉しそうに口元を緩めていた。

「そういえば、皆さんは学校には行かれているんですか?」

「私はこれでも16歳なので、士官学校は卒業しました。
 今は任務の合間に、基地内の教育機関に通っています」

「私はまだ中等教育が終わってないから、任務以外は学校」

「僕は去年高校を卒業して今年から社会人だけど、もっと勉強がしたくて今も大学の夜間部に通っているよ。だから半分学生かな?」

 ライの様に、さらなる知識を求めて働きながら私立大学に通う者も多く、その為の環境も整っている。
 徹底した実力主義を敷くブリタニアでは、己を磨く事こそ至高への近道だからだ。

 またリリーシャとアーニャの二人は、共にエリア11のトウキョウ租界にある軍の教育機関の生徒である。
 実力主義のブリタニア軍内においては、就学年齢でありながら実務に従事している者は少ないながら存在する。
 流石にアーニャのような15歳未満は例外的ではあるけれど。

「そうでしたか。じゃあ私も時々お世話になりますね」

「ええ、歓迎します」

 内心、マズいんじゃないでしょうか? と思うリリーシャだが、善意100%な皇女さまの提案を無碍には出来ない。
 まあ彼女が来たら、同級生の男子たちが俄然張り切りそうだからまぁいいかとスルーする事にした。
 その際の教師陣と教育係の心労は考えない。心の平穏の為に。
 今度差し入れに何か持っていこう。クッキーと胃薬がいいだろうか?

「そういえば、リリーシャは何かゲームをやらないんですか?」

「え。私ですか? えっと、一応格闘ゲームた得意ですが、あまり見ても面白いものではないですよ?
 それよりユフィさん。これをやって見ませんか? 私のお勧めです」

 リリーシャが指差したのは、ペンタブを使った頭脳系のゲームだった。
 これなら普段ゲームに触れない人でも十分に楽しめる。

「わぁ、面白そうですね。あら?」

 ふと、大きな音がしてユーフェミアは顔を上げた。
 様々な筐体から出る音で賑やかな店内で、ひときわ大きな打撃音と歓声。
 どうやら誰かがパンチングマシーンでハイスコアを叩き出したらしい。
 見れば、どこかの学校の制服を身につけた赤い髪の女の人が拳を振るっている。

「はぁ、女性なのに凄いですね」

「カレンはここでは有名だから。たぶん影で鍛えてる。リリ?」

「え? 私!?」

 いつものように猫をダース単位で被り直した赤い髪の少女が去った後。
 唖然としているユーフェミアを尻目にアーニャはリリーシャの袖を引っ張る。

「わたしとライはさっき見せた。
 今日、リリは何もやってない」

「いや、でも絶対――――」
「まぁ、是非お願いします!」
「――――はい……」

 断ろうとして、満面の笑みの皇女殿下に押し切られました、マル。

 ともあれ、リリーシャも女性とはいえ軍人。
 標準女性から比べればそれなり以上に鍛えているし、筋力トレーニングなどはナイトメアの操縦には欠かせない。
 ただでさえ人より余計に動き回るのだ、身体にかかるGも半端ではない。密かに首が太くなってしまうことが悩みのタネである。

「ふぅ……」

 観念したリリーシャはパーカーを脱ぐと、コインを入れてパンチングマシーンの前に立った。
 赤髪の少女の次は三つ編み娘の登場に、周囲がいっそう盛り上がる。
 それらへの対応とか文句とかを一切合財をまとめて放り投げて、リリーシャは両腕を曲げて構えた。

「やっ!」

 蹴り足と共に強く踏み込み、同時に左手を内側に締めながら右拳を突き出す。
 腰の回転を重視した右ストレート。
 基本に忠実でこれ以上なく正確に打ち込まれた拳はミットの中心を真っ直ぐ打ち抜く。返るのは、パァン、という乾いた音。
 ほどなくしてファンファーレと共にスコアとランキングは発表された。
 ダインキングは、女性・本日9位。歴代ランクは無しだった。

「まあまあ?」

「ううん、上出来。一応自己ベストまであと2kgだから」

「それでも凄いことです。
 9位って出てますけど、この記録は残るんですか?」

 平淡な顔で預けていた荷物を渡してくれるアーニャの隣で、ユーフェミアが無邪気にはしゃいでいる。
 彼女のような地位の人間なら、パンチングマシーンはおろかゲームセンターも初めてだろうなぁ、とリリーシャは他人事のように思った。

「ん~、たぶん無理じゃないでしょうか。
 歴代記録はずっと上ですし、こういう所は夜が本番なので」

 渡された上着を着なおしながら、ユーフェミアの質問に答える。
 ちなみに本日の女性の歴代ランキング1位は『KAREN』。歴代トップは『MARIA』だった。一方男性の総合一位は……

「あ、総合一位が変ってる」

 この間までは確か『HARRY』というブリタニア軍人が持っていたハズだが、彼は二位に落ちて、その上に『SUZAKU』という名前が上がっている。
 しかも結構ぶっちぎりだった。

「その人なら知ってる。
 カラテの右ストレートで記録を出してたって聞いた」

 リリーシャはくらりと来るのを必死に抑えた。ぐりぐりと眉間を親指で揉み解す。
 何をやってるんだろう、あの人は。
 もしかしなくても『SUZAKU』は彼だろう。テロリストがこんな所でそんな事をしていてでいいのだろうか?

「あら? 『SUZAKU』ってあの―――――」

 横から覗き込んだユーフェミアが何かに気付きそうだったので、あわてて名前の入力画面を開く。
 あまり時間も無いことだし、リリーシャは少し悩んだか結局いつもの名前を打ち込んだ。

「『NUNNA(ナナ)』ですか?
 確かにLILECIA(リリーシャ)では入りきらないようですが、それなら『LILY』でいいのでは?」

「『NUNNA』はリリのあだ名。
 私たちは一応軍属だから、こういう所で本名は使わないほうがいいって。私もそうしてる。
 ハリー中尉は堂々と使ってるみたいだけど」

「まぁ、そうでしたか」

 手をポンと合わせて納得したという表情のユーフェミアに、リリーシャはあいまいな笑顔を返す。
 彼女の気を逸らそうとあわてて慌てて打ち込んだが、ちょっと軽率だったかもしれない。

「じゃあ、次に行こう。ユフィは今日しかないんでしょ?」

 そこへすかさずアーニャが声をかけ、ゲームセンターからユーフェミアを連れ出した。
 一声かけて周りに潜むSPに知らせるあたりはそつがない。
 いつもより退参が速めなのは、平日で人が少ないとはいえ流石にこの場所はマズイと気づいたのだろう。
 もっと早めに気付いてほしかった、とはリリーシャとSPの心の声である。


 ゲームセンターを出た後、適当な通りでウィンドウショッピングをした後、近くのファストフード店で休憩をしていた。
 支払いは、約束どおりライのおごり。
 普段は決して体験できないオープンカフェスタイルに、ユーフェミアは嬉しそうにホットコーヒーを飲んでいる。
 邪念のかけらもないないその様子を見ていると、こちらまで幸せな気分になってしまうのはなぜだろう。
 リリーシャの携帯が鳴ったのは、そんな時だった。

「はい。どうしました、ヴィレッタさん?」

 電話の相手は兄と同じ純血派のヴィレッタ・ヌゥだった。
 兄に紹介されて何度か会ったことがある、淡く青い髪が綺麗なちょっとキツめの女性士官である。
 まあ、その、兄とは個人的な親交があるようだけれども。むぅ。


『緊急事態だ。単刀直入に言う。
 君の兄上、ジェレミア卿のお命が狙われている』


 その、リリーシャがちょっと複雑な感情を向ける彼女の口から伝えられたひと言に、リリーシャは言葉を失った。



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