見誤っていた。本当の意味で理解していなかった。
最悪だとおもった、この繰り返しも捨てたもんじゃないかもな、なんて考えてた数時間前の自分を殴りつけたい。
例えば、「最強の使い魔」と称される平賀才人を壊すのに虚無の魔法も七万の兵隊もいらない。
ほんの少しの幸せ、夢のような幸せを見せてあげればいい。
痛みも苦しみも乗り越えられる人間はいても、幸せを拒絶出来る人間なんてそうはいないのだから…。
泡沫の夢、幸せだったあの日。
ヴェストリの広場、俺は戻ってきた。俺だって幸せになれるんだ。
誰かを護ることが出来るんだって、そんなことをお決まりの爆風の中で思ったんだ。
サイトはある意味何も考えてなかった。自分は未来を知ってるから何とかなる。
今回は、どんな人生になるのかな、まあ本質が楽観的なサイトの本領発揮でもあった。
だから、そう、昼間にあの人を見かけたときに、にこやかに手を振りながら近寄っていた。
「フー、ぁー、マチ、ぁー」
フーケでもないし、マチルダでもないし、ミス・ロングビルだった。やっかいだなーと思いつつ
一瞬こちらを怪訝そうにみたミス・ロングビルは興味がないとでもいうように自然に学院室に向かうために歩いて行った。
無理からぬことだった、このミス・ロングビルはサイトと幸せの時間を過ごしたマチルダお姉ちゃんではないのだから。
「あー、あはは、あははー」
ごまかすように両手を空回りさせながら走り去る、一寸恥ずかしい感じのサイトだった。
サイトは、夜になってヴェルダンテに掘らせた穴で、酒瓶をぎゅっと握りしめ一口も飲まずにマチルダを待った。
出会いの始まりは重要だよね、っといくつも最初に交わす言葉を考え健気に待った。待った。待ち続けた。
勿論激しくむせび泣かないサイトにマチルダが気がつくわけもなかったのだが。
無情にも虚無の曜日が過ぎ、フーケはまんまと破壊の杖を盗み。
サイトは皆を守りつつも最後には結局フーケを捕まえることが出来なかった。逃がしてしまった。
そしてやっぱり、昼間からテントで飲んだくれるサイトだった。
キュルケは、持ち前のお姉さん気質で実は以外にも面倒見がいいので、飲んだくれたサイトが心配になってみにきたのだった、
しかし中に入ろうとしたら「テントに入りたいならおっぱいを要求するー」なんていうから、炎で酔いを醒ましてあげて、まあ優しく抱きしめてあげたのだった。
キュルケからしてみれば、サイトは可愛いところが多いし、強いし、他の男と違って媚びない、
それに不倶戴天のヴァリエールの所有物なのだ、今一番情熱を燃やしている相手でもある。
サイトはルイズは可愛いけど面倒だし、シエスタは本気で求愛してくるし、
男に慣れたキュルケみたいな、遊びでつきあえるような女がいいかもと不謹慎ながらもおもった。
孤独が辛かったし癒してほしかったのだ、でももう本気で人を好きになるのが怖かったのだ。
そうだ、キュルケで行こう!身勝手な男の性だった。
夜豊かな紅い長髪を指先で弄びながら、ベッドに気だるげに体を投げ出し窓から差し込む双月を眺める。
今キュルケの微熱は緩やかに燃え上がっている、昼間見たサイトが気になるのだ。
からかえば純朴な反応をするし、鍛えているのか逞しい体をしている、気遣いもできるしそれを押し付けない正直一緒にいて楽しい。
そして時折みせる深い悲しみの瞳が気になるのだ。なんとなしに考えていると部屋をノックする音が聞こえた。
「あら、誰かしら?」
最近は、サイト以外に興味がないので今までの恋人達と夜逢う約束はしていなかったはずだが。
「え、ダーリン来てくれたの?」
少し遠慮がちにこちらを窺うその顔は、つい先ほどまで思考の中心にいたサイトだった。
そそくさと招き入れると、ドアの扉を閉め鍵を掛ける。
「今日は月が綺麗よ、いいワインがあるわあ、一緒に飲んで語りあかしましょう?
それともベッドの上で語り合ってみる?」
そういって悪戯っぽい笑みでしな垂れかかると、案の定サイトは真っ赤になってあたふたしている。
キュルケとしては、自分の色気になびかない男なんていないし、こちらが主導権を握ってしまえばいい。
ガチガチになった男が無謀な行為をしようとしても、杖であしらう自信があった。サイトなんて可愛いものだ。
「こんな夜に悪いかなとおもったんだけど、キュルケがいうように月が綺麗だろ?
一人で飲むのは少し寂しい気がしてさ」
「謝ることなんてないわよ?お相手にツェルプストーを選んでくれるなんて光栄ね」
薄手のベビードールを盛り上げるように、たゆんと押しのけるように胸が揺れたのだった。
「「綺麗な月夜に…乾杯」」
そういって、チンッとグラスを鳴らす。取り留めのない話をしながら、
ゆっくりとワインを廻し、手練手管でサイトを酔わせることはキュルケにとって造作もないことだった。幸いキュルケは酒にも強い。
キュルケとしては、このままサイトを酔いつぶして、半裸にでもなってサイトをベッドに寝かせてからかえば
サイトはことさら勘違いするだろうし、絶対ヴァリエールが乗り込んで、それはそれは楽しいことになるはずだった。
いい感じで酔い始めたサイトはこれ以上は拙いと思い、飲みかけで少なくなったワインをキュルケの胸元に手が滑ったとかけたのだ。
「ひゃ、何するのよ。ダーリンったら酷いわあ
ほら、着替えるから、無粋な目線を向こうにむけてくださる?」
そういうと怒るでもなく見せつけるように煽情的に立ち上がり着替えようとする。
それを無視するかのようにサイトはキュルケの手を押さえ、するりと胸元の杖を抜き取ってドアのほうに投げ捨てた。
「あ、あら?」
あまりの素早さに反応できなかったキュルケは、気が付いたらサイトに押し倒されていた。
「ごめんな、粗相しちまって、綺麗に拭いてあげるから大人しく、な?」
「ちょっと、まって、まってサイト。自分でできるわあ、いいのよ、気にしないで自分でふくわあ」
「遠慮するなよ、でも拭くのだとワインが勿体ないな」
そういうと胸元に口づけをしようとする。キュルケは慌ててそれを両手で押しのけた結構凄い力だ。
「駄目、だめよお、違うのよお。落ち着いてサイト。まずは落ち着きましょ?」
だだだだだだめよお、サイトおちついて、それは、そういうのはだめよお?
これいじょうは、いけないわあ、そうだ、誰かいいタイミングで、…こないわあ!?
誰が相手でも一時間おきに邪魔がはいるはずなのに、きょうは、だれも予定にいれてなかったわあ
そう、杖よ。いつものように炎のまほうで…つ、つえがないわああああ。もう先ほどの余裕なんてかけらもない。完全にぱにっくをおこすきゅるけだった。
「…駄目か?」
悲しそうな深い目でキュルケを見つめる。気になっているその深い悲しみの瞳。
心臓がきゅんとなって体から力が抜けていく、了承の意とみなしサイトは胸元にキスをしようとする。
きゅん、きゅんじゃないわあ、きゅるけ。て…ていそうのききよおぉお!?
あ、さいとやさしい…。ちがう、ちがうのお、だめなのよお
じたばたと暴れるキュルケを抱きしめキスの嵐を服の上からふらせる。
薄手の生地はワイン以外にも湿り気を帯びていた。
どんどん大人しくなるキュルケのすらりと長い脚や、くびれた腰つき、そして大きなメロンのような美乳にキスをする。
お願い、止まってとギュッと胸元にサイトの顔を抱きしめて息の根を落とそうとしたものの痕がつくほど胸を吸われ、キュルケは手を緩めてしまった。
サイトはこれ幸いと褐色の反応のいい肌を蹂躙していくのだった。キュルケは頬が紅潮し、目が潤んでいる。
サイトはベビードールを脱がせ、たぷんとゆれるその胸に目を奪われる。
マチルダの胸は大きいけどひたすら柔らかくてしっとり包み込むような胸なのに対し、
キュルケはどこまでも張りがあってゴムまりのような感触がありはじくように瑞々しい胸だ。
「え?あ、はぁ、はぅん…」
脱がされ正気に戻りそうなキュルケの胸を口に含み、舌で乳首を潰しながら、もう片方は遠慮なく手でもみしだいていく。
脇に近い胸、下乳にも傲慢に痕をつけていく、臍のまわりも丁寧に愛撫し太ももに到達する。
紫のパンティーを下ろすと銀の橋が出来あがる。
「ぁ、そこ、駄目ぇ…それ以上はだめよお」
キュルケが内またを閉じようとするが、一瞬早くサイトの指が濡れそぼった部分に触れる。
それだけで、堅く閉じることが出来ず優しく柔らかくサイトの指を包むだけだった。
くちくちと筋をなぞるように刺激しながら、太ももと膝横に痕をつけていく。
サイトはキュルケの弱くて良い部分をねちっこく探っていく。流石マチルダに仕込まれただけはある。
「キュルケの唇とキュルケの言葉、どっちを信用したらいいのかな」
サイトの変態発言に若干引きつつも、上手くものを考えられないキュルケ。
あるときは舌で筋をなぞり、あるときはあふれる汁をじゅるじゅると子宮まで吸い込む勢いで吸い、
30分、1時間と執拗に続けられる愛撫は、キュルケをバターのように溶かしていくのだった。
そして頃合いかと我慢できなくなった剛直を入口に押し当てる、
サイトとキュルケの性器がキスしていて、とろけ切ったそこは少し押し出せば中に入ってしまう危うさで保たれていた。
「キュルケいいよね?」
確認事項でもなんでもない、ただの声かけだった
「らめ、まって、サイト、まってえ」
「否!待たない!」
サイトは快感をむさぼるように、正常位で一気に腰を推し進めた。
快感でとろとろに溶け切った中も、ぎゅうぎゅうと締め付けて狭い。
肉のひだがせり出したて狭くなって部分も特に考えずぐっと押しこみ貫いた。
ぶちぶちぶちっ、肉を破る感覚。
「えっ?」
みると、キュルケは痛そうにしている。少し引き抜くと肉棒に血が付着している。
サイトは混乱していた。え?なんで?キュルケ…処女?
ぇ?ウソだろ?でも血が出てる…でもあのキュルケが?
それでも腰を動かすのをやめられないサイト。
ぬるぬるがからみついて、しかも中が独特のいやらしい動きをして搾り取る様に動いている。
ずりずりと中を膜をかきむしる感触がかり首に引っかかる。
「熱ぃ、なかが熱いわあ……んっ、ゆっくり、お願い、ゆっくり…サイトぉ」
ふっ、ふうと息を整えているキュルケ。少し顔をしかめている。
キュルケの意志と反し、中がぐにぐにと動いているいやらしい体だ。
サイトはゆっくり動く代わりに、腕を掴んで胸を強調させる。
たゆんたゆんと揺れる乳は眼福だった。
「ん、ふぅ…慣れてきたかも。サイト…キスはしてくれないの?」
「いいのか?」
これだけしといて、今さらだがサイトはキュルケの唇にキスをした。
軽く小鳥のようにキスを交わし、どんどん大胆に舌を絡めていく。
唾液と唾液を交換し、口内を舌でなぞっていく。ぞくぞくとした快感がキュルケの体をめぐっていく。
「んあっ、また、おっきくなったわあ」
キュルケの中は微熱にふさわしい熱をもち、ぬめり絡みつきサイトを包み込んでいた。
本能なのかゆっくりと腰をこね回し、あふれ出た愛液とこすれあう粘着質な音が卑猥だ。サイトはどんどん追い込まれていく。
もうサイトにはキュルケを気遣う余裕はなかった。
「キュルケ、ごめん」
ギシギシとベッドをゆらし、形のいい肉にパシンパシンと腰を打ちつける。
キュルケの胸が勢いよく揺れ、ばいんばいんと揺さぶられている。
キュルケはシーツを掴み何かを耐えるようにしている、脚は優しくサイトを包んでいる。
全身でしっとりとサイトを受けとめ、全てを迎え入れようとしていた。
サイトの陰嚢がキュッと胡桃状に縮こまり、脊髄から脳天に射精感がこみ上げる。
ドクッ!ビュグ!ビチャビチャ!ビュッ!ドクドクッ!
間一髪でサイトはキュルケの中から、引き抜き形のいい胸に射精していく。
久しぶりで溜まりに溜まった黄ばみがかかったような白いゼリー状の液体が、
キュルケの褐色の肌、褐色の胸にぶちまけられる。
はぁ、はぁと荒い息を整え、くてりとキュルケは寝転がる。
サイトも息を整えながらベッドの端に腰かけキュルケに問いかける。どうしても聞かなきゃいけないことがあったのだ。
「キュルケって、処女?」
そんなデリカシーのない一言に、キュルケは顔を真っ赤にし、シーツに顔をうずめ枕やクッションをサイトに投げつける。
「ばか、ばか、ばか、ばかぁ…!!」
ぐずぐずと涙を流しながら、抗議するように物を投げつける。
なにこの可愛いキュルケ、いや、こいつはもうきゅるけだな。
「はっはっはっはっはっ」とどこからともなくヒーローが現れて、「すり替えておいたのさ」と言われてもおかしくない。
今や年相応の少女のような反応しか返さないきゅるけなのであった。
そして、きゅるけは衝撃のツェルプストー家の習性について話し始めた。
「知ってる?サイト、ツェルプストー家の女はね。ナイフやフォークの持ち方より先に流し眼の送り方を教えられるのよお」
そういうと、ちらりと流し眼を送る、確かに凄い色気だ。
「そうやって、ツェルプストーでは、それこそ息をするように誘惑することを覚えさせられるのよ。
杖を構えるしぐさ、歩く姿、髪をかきあげる仕草、その全てが洗練され体に叩き込まされたわあ」
遠くを見るような眼をしている、お母様は厳しかったのよおと嘆く。
「でも、お前凄いもてるじゃないか、夜中にだって男が忍び込んでくるし、
すぐに抱きついたり、胸押し付けたり、…それに恋人だって沢山いるじゃないか」
「恋人なんかじゃないわあ、彼らが勝手にいいよってくるのよー、「おいしいお菓子はどうか?」とか、
「この宝石は君にこそふさわしい」とか、そして、決まって私はこういうのよ「ウィ」って」
キュルケなんて恐ろしい子。
「でもお前、そんなことして、本当に襲われたりしたら危ないじゃないか
男はみんな狼なんだぞ、もぐらじゃないんだぞ」
襲っておいて、何をいいだすサイトさん。
お前にそれを言う資格はない。
「あら、心配してくれるの?だから、夜になると1時間おきぐらいに沢山のお友達とデートの約束をするわあ、
良いところでも人がいたら、何かする気にならないでしょぉ?たいていは酔わせてしまうし、最後には杖があるわあ
おかげでゲルマニアの学院を退学になっちゃったんだけどね
わたしだって、初めてに夢をみたりするのよお、いけないことかしら?
貴族のなよなよっとしたお坊ちゃんやじいさんはいやよ」
サイトも結構人生繰り返して、それなりにキュルケと信仰を深めていたが初めて聞いた衝撃の事実だった。
「だから、本当に初めてだったのよお?ああ、本当にびっくりしたわあ。
それにしても……こんなことあなたのご主人様が知ったら、どう思うかしら?
鞭打ち?爆発?あららサイトったら死んじゃうかもねえ」
ニヤニヤと不敵な笑みをたたえてこちらを見ている。
完全復活したようだ、サイトはもう完全にキュルケの手のひらの上だった。
「あぅ、ごめんなしゃい。なんでもしますから、許してくだしゃい」
サイトはもう完全にもぐらだった。
「ふぅん、なんでもねえ?…そうねえ、そしたら、こっちにきてもらおうかしら」
びくびくとサイトはキュルケに近づいていく。サッと右手をあげ、平手打ちの構えをする。
サイトはぎゅっと目をつぶり衝撃に備えた、いつまでも来ない衝撃にいぶかしげにしているとチュッと唇が重ねられる。
驚き目を開けて、キュルケをみると真っ赤にしてシーツに埋もれている。
ずきゅうううんと音がした。もう見事に心臓打ち抜かれていたのだった。
所詮サイト学習せずにまた人を好きになるのだった。しかしそれは泣けるくらい幸せで不幸で素敵なことだった。
「これで、サイト満足したわけじゃないんでしょ?
きっと色気たっぷりのきゅるけは無理やり犯されてどぴゅどぴゅ種付けされちゃうのよお
それもこれもわたしのからだがわるいんだわあ、これは、けっしてサイトのせいじゃないの」
シーツからメロンのような見事胸があふれ、舐めかましい褐色のすらりとした脚がのばされる。
一度経験して自信のついたキュルケに死角はなかった。
「きゅる…きゅる……きゅる…きゅる……」
よくもあんなキチガイレコードを!!とでもいうようにきゅるきゅる繰り返すサイトに、キュルケは優しく手招きするのだった。
「きゅ、きゅきゅきゅるけえええええ」
そんなとんでもない物言いにサイトはかくも見事なルパンダイブで返すのだった。
「きゃぁああああ♪」
その後も密会を続けるキュルケとサイトの仲は良好で、
それからしばらくしてルイズにばれたサイトは、
見事にハルゲニアの花火とでも言うように打ち上げられるお仕置きがまっているのだった。
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いかがだったでしょうか?
そんなわけで、本作品の本編副編のきゅるけは、
耳年まで娼婦のようであり、初心で処女な二律背反を抱えたきゅるけなのでした。
原作キュルケからは外れてますが、
違和感あっても、そこはまぁ見逃してやってください。
今回のフーケは、死闘を交わすサイトの敵になってしまいました。
前回が前回だっただけに、そのショックははかり知れません。
それでも人を本気で好きになれるサイトさんはまだループ回数が少ないからでしょうね。
サイトがんばれ、超がんばれ!!