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No.18350の一覧
[0] 【逆行】ゼロの使い魔の悠久【ゼロの使い魔】[紫陽花](2012/08/30 19:03)
[1] ■現在1「終わりの始まり、全ての始まり」[紫陽花](2012/10/20 12:03)
[2] ●過去1「再帰呼び出し、またはオルダーソンループ的な」[紫陽花](2012/10/22 17:37)
[3] ■現在2「虚無の使い魔」[紫陽花](2012/10/22 17:39)
[4] ■現在3「宵闇が陰る前に」[紫陽花](2012/10/27 19:29)
[5] ■現在4 * 「それはとても幸せな契約」[紫陽花](2012/10/29 16:24)
[6] ■現在5「使い魔とのとある一日」[紫陽花](2012/11/05 06:45)
[7] ●過去2「run away or run a way?」[紫陽花](2012/11/05 07:35)
[8] ●過去3-1「護るべきもの」[紫陽花](2010/05/03 19:57)
[9] ●過去3-2「護りたかったもの」[紫陽花](2012/08/26 17:58)
[10] ●過去4 「きみは太陽」[紫陽花](2010/05/07 21:14)
[11] ●過去5-1「魔法学院の幽霊」[紫陽花](2010/05/03 20:09)
[12] ●過去5-2 * 「姉、ちゃんとしようよ」[紫陽花](2010/05/03 20:45)
[13] ●過去6 * 「ちょこれぃと・くらっしゃー」[紫陽花](2010/05/03 21:01)
[14] ●過去7「土の貴公子」[紫陽花](2010/05/03 21:16)
[15] ■現在6「ヴェストリ広場での導き」[紫陽花](2010/05/03 22:14)
[16] ■現在7 * 「おいしいちょこれぃとのつくりかた1」[紫陽花](2010/05/03 22:37)
[17] ■現在8「捕獲のための下準備」[紫陽花](2010/06/21 23:08)
[18] ■現在9「使い魔の失敗魔法講座(応用編)」[紫陽花](2010/05/03 22:46)
[19] ■現在10「盗賊の正しい捕まえ方」[紫陽花](2010/05/16 23:32)
[20] ■現在11 * 「姉弟ごっこ」[紫陽花](2010/05/04 18:05)
[21] ■現在12 * 「おいしいちょこれぃとのつくりかた2」[紫陽花](2010/05/04 23:24)
[22] ■現在13「勘違いチェルノボーク」[紫陽花](2010/05/05 18:54)
[23] ■現在14「その花の価値は」[紫陽花](2010/05/07 02:37)
[24] ■現在15 * 「鳥籠の鳥は空の夢を見る」[紫陽花](2010/05/09 05:30)
[25] ■現在16「ロシェール渓谷の策略」[紫陽花](2010/05/10 01:49)
[26] ■現在17「ワルドくずし」[紫陽花](2010/05/13 00:32)
[27] ■現在18「中身のない襲撃戦」[紫陽花](2010/05/14 02:08)
[28] ■現在19 * 「アンコンディショナル」[紫陽花](2010/05/16 23:47)
[29] ■現在20「ニューカッスル決戦前夜」[紫陽花](2010/05/20 04:21)
[30] ■現在21「決戦!ワルドエンド」[紫陽花](2010/05/23 15:53)
[31] ■現在22「決戦!ニューカッスル包囲戦」[紫陽花](2010/07/18 16:39)
[32] ■現在23 * 「蜘蛛の糸」[紫陽花](2010/06/03 02:10)
[33] ●過去8「風の悔恨」[紫陽花](2010/06/03 02:13)
[34] ●過去9-1「最強の使い魔」[紫陽花](2010/06/09 20:45)
[35] ●過去9-2「本当の強さとは」[紫陽花](2010/08/23 17:22)
[36] ■現在24「良い国作るよ、ワン・ツー・さん・しっ!」[紫陽花](2010/06/12 23:17)
[37] ■現在25「良い国作るよ、ごー、ろく、なな、テン!」[紫陽花](2010/06/13 23:40)
[38] ■現在26「始祖の祈祷書」[紫陽花](2010/06/17 08:34)
[39] ■現在27 * 「メイドの午後」[紫陽花](2010/06/20 17:32)
[40] ■現在28 * 「王家の椅子」[紫陽花](2010/06/29 00:35)
[41] ■現在29「可弱い生き物」[紫陽花](2010/07/02 03:12)
[42] ■現在30 * 「ちょこれぃとぴーぴんぐ」[紫陽花](2010/07/07 00:18)
[43] ■現在31「卑劣な罠」[紫陽花](2010/07/11 03:06)
[44] ■現在32 * 「シエスタの草原」[紫陽花](2010/07/18 16:36)
[45] ■現在33「戦争の火蓋」[紫陽花](2010/07/26 02:38)
[46] ■現在34「襲来」[紫陽花](2010/08/03 07:34)
[47] ■現在35「詰めタルブ」[紫陽花](2010/08/11 22:58)
[48] ■現在36 * 「虚無に響く音は、朝に続く永遠は」[紫陽花](2010/08/23 18:50)
[49] ●過去10 * 「エルザ症候群」[紫陽花](2010/08/27 07:43)
[50] ●過去11 * 「酩酊コンチネス」[紫陽花](2010/10/18 00:56)
[51] ■現在37 * 「魔宴」[紫陽花](2010/11/01 04:42)
[52] ■現在38「タバサの秘密」[紫陽花](2010/11/21 23:36)
[53] ■現在39 * 「小瓶」[紫陽花](2010/12/01 08:17)
[54] ■現在40「惚れ薬の力」[紫陽花](2011/01/02 08:01)
[55] ■現在41 * 「ちょこれーとすのーぼーる」[紫陽花](2011/01/03 06:58)
[56] ■現在42 * 「水の精隷」[紫陽花](2011/11/09 09:09)
[57] ■現在43 * 「甘い香りの堕ちる時」[紫陽花](2011/11/16 01:03)
[58] ■現在44 * 「王宮の調べ」[紫陽花](2011/12/12 04:34)
[59] ■現在45 * 「不自由な選択」 [紫陽花](2012/08/26 07:20)
[60] ●過去12 「童話病」[紫陽花](2012/08/31 00:15)
[61] ■現在46「運命の一振り」[紫陽花](2012/09/14 00:03)
[62] ■現在47 * 「寂寥マッチポンプ」[紫陽花](2012/10/03 03:36)
[63] ■現在48 「嵐の前の」[紫陽花](2012/10/16 08:57)
[64] ■現在49「戦争の終わった日」[紫陽花](2012/10/30 02:15)
[65] ■現在50「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」[紫陽花](2012/10/31 19:38)
[66] ■現在51 * 「お口の恋人」[紫陽花](2012/11/09 01:11)
[67] 【設定】攻略進行表[紫陽花](2012/10/22 17:40)
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[18350] ●過去1「再帰呼び出し、またはオルダーソンループ的な」
Name: 紫陽花◆a4abb9b7 ID:c457f379 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/22 17:37
サイトが元の世界へと帰るための方法を探してあげたい。でも、サイトに帰ってほしくない。
そんな気持ちに揺れ動き、実際にその方法を見つけてしまってもなおルイズは悩み続けていた。
これまでの短くも激動の日々は、ルイズを大きく成長させ世界を繋ぐ事さえ可能にさせていた。


(なぜ!こんな短い時間しか一緒にいれないの・・・?
どうして「違う世界の住人」なのよォオオオ~ッ!!)


とても大切なサイト、故郷を思い涙したサイト。
普段はスケベでちょっと頼りないところもあるけれど、
大切な場面でいつもわたしを守ってくれた。

何時だってわたしの使い魔でいてくれた。
離れたくない、ずっと傍にいてくれるっていったじゃない。その言葉は本当じゃないの?
嘘つき・・・嫌い、大嫌いよ!



違う、本当は大好き。わかってる。
サイトがいなくなってしまった1度目は自殺してしまうところだった。
2度目は、記憶を消してもらい全て忘れ貴族の名誉に殉ずるところだった。

サイトがいるだけで、優しい気持ちになった。
サイトがいない世界なんて、耐えられない。
だからこそ、思う・・・元の世界に帰してあげよう、わたしと同じようにサイトを必要としている人がいる。
サイトの家族から、サイトを奪ったのは私だ。
周りに戦争のない平和な世界から、サイトを奪い人殺しをさせてしまったのは私だ。


ごめんなさい。


才人は英雄になった。タルブでの戦い、七万の兵を一人で足止めしたこと。
エルフと対峙したことだって、ガリアとの戦争だってサイトは何時だって運命を切り伏せてきた。
イーヴァルディの勇者の再見だともいわれている才人のあげた功績は、信じられないようなものばかり。
トリステインに留まらず、世界レベルでの偉業といえる。


しかし、それがいったい何になるというの?
サイトが活躍する度に、死ぬような思いをさせてしまった。
実際に1回死んだようなものだし、何度も無縁のはずの命の危険にあわせてしまった。


ごめんなさい。


サイトは一人で何でも生きていけるくらい強い、意地を張り迷惑しかかけた覚えがない。
「お前の使い魔だろ?ずっと守ってやるって」
それでも笑ってなんでもないかのように、いってのけるのだ。

心から強くて、誇れるような使い魔・・・虚無よりも最良といえるはじめて成功した魔法。
私の騎士(シュヴァリエ)・・・私の使い魔。
だからサイトを元の安全な世界に返し、この思いを胸に私は生きていこう。そう決めたのだ。








平賀才人(ヒラガサイト)は思った。
元の世界に戻ることは悲願だったし、何度故郷を思い涙したかわからない。
けれども・・・本当にこのまま元の世界に戻っていいのかとも考えはした。

皆と仲良くなって、本当にぎりぎりなんとかやってこれた。
辛いことも沢山あった、でもそれ以上に楽しいこともあった。
かけがえのない仲間も出来た、なんだかんだいって最愛のご主人様もいる。
ルイズは、そりゃ色々不満はあるけれど、
本当に頑張っている守ってあげなきゃいけない女の子なのだ。

虚無の魔法をつかえたとしても、俺がいなくなって本当に大丈夫なのだろうか。
皆がいてくれるし世界が平和になったといえど、やっぱり心配なのは変わりない。
散々迷ったが親になにも言わずに来てしまったことも後悔していた。
歩けばコンビニがあり、パソコンでも何でもそろっている便利すぎる世界。
違いすぎる世界にまだ骨を埋める覚悟も、それを覆す出来事も無かった。

元の世界にもどるということはルイズとの約束なんだ。
一度訪れたことのある世界だ、また訪れることも出来るかもしれないという楽観もあった。
ちゃんと両親に告げたら、今度こそハルケギニアに永住してもいい。
今生の別れにはならない予感もあったのだ、それが元の世界に戻ると決めた理由だ。


そして皆との別れが近づいていた。






「……サイトさん」


シエスタ。この世界に来て、周りに助けてくれる人が誰もいない
そんな不安な生活で最初に優しく接してくれた女の子。


「俺、感謝してもしたりないよ、料理だけじゃないよ、
その優しさに何度救われたか分からないんだ」


サイトさん…いかないで、一番じゃなくてもいい、贅沢は言わない。
只のメイドでもいいから、傍にいさせてほしい。
いかないで、その一言が言葉にならなくて涙があふれ出てくる。



「本当にいっちゃうの?サイト」

彼に会って、明るく強いその在り方を知ってお友達になりたいと思った。
恐れられるはずのエルフなのに、最初から全然こわがられなくてとても嬉しかった。
ティファニアはサイトのお陰で友達が沢山出来たし、こうして外の世界も見ることができた。
ずっと諦めていたことが出来た、感謝しても感謝しきれない。


「テファ向こうにいっても忘れないよ。
せっかく沢山できた友達と仲良くな、まっ優しいテファなら心配ないか」


最初のお友達、ううん今はそれ以上の気持ちだってもっているのに・・・
私はサイトに笑顔を作ろうとして、失敗した物悲しい笑顔にしかならない。



「サイト・・・」
「きゅい、きゅい」


タバサは、サイトの洋服の袖をつかむ。
私の勇者(イーヴァルディ)未だ認めてくれないけれど。
サイトの事を殺そうとした私を許してくれて頭をなでてくれた。
囚われた私を助けてくれた。母様を救ってくれた。私は誓った。今度は私の番、一生を掛けて貴方に仕えると。
それなのに・・・約束も守らせてもらえず本当の思いもつげられない。
想いをこめて掴んだ指をそっと離す。


「タバサはもうちょっと笑顔にな、今までの分これから沢山幸せになるんだぞ?シルフィードと仲良くな」


そういうとタバサは、小さくコクンとうなずいた。



「ゲルマニアに来ちゃえばいいのに、わたしが一生面倒みてあげるわよ」


キュルケはそうやって、笑うが目じりに涙が溜まっていつもの妖艶さが出ていない。
サイトが来てから、退屈する暇が全然なかった。周りにどれだけ良い影響を与えたか計り知れない。
それなのに馬鹿な事ばかりして出来の悪い手のかかる弟ができたみたいで嬉しかった。


「キュルケ…ありがと、コルベール先生とも仲良くな」


キュルケにも随分世話になった、振り回されただけのような気もするが楽しかった。



「サイトくん、いつか君の世界にいったら、ぜひ案内してくれ」

何も知らない世界から、彼をさらってしまったようなもんと後悔したが彼は何時だってまっすぐ歩いてきた。
私のような贖罪だらけの人間からみればとてもまぶしく見える。
そして彼の世界の技術は興味が尽きず自分も一緒にいってみたかったが、今のトリステインを見捨てていくこともできない。


「コルベール先生、本当にお世話になりました。
地球につれていけなくてすいません」


大人の中で一番世話になった人だ、
教師としても人としても、とても尊敬している。



「サイト、こっちは僕等に任せて安心してくれたまえ。君がいなくなるのは少し寂しいがね」


彼と馬鹿みたいな理由で決闘したことが、それほど時間はたっていないのに凄く昔のことのように思える。
僕はサイトのことを平民ながら、親友だと思っているし、尊敬もしている。
恥ずかしくって一度もいったことがないけれどね。


「ああ、頼んだぜ。でもお前少し抜けてるからな。
それと余所見ばかりしないでモンモンとも仲良くな」


そういって、お互いの拳を軽く合わせる。ギーシュ、キザでアホだけど信頼している親友だ。
二人して馬鹿やってばかりだけど、本当楽しかった。




未練を振り切るように頃合いをみてルイズが、杖を振るうとそこに煌びやかな扉が現れた。
サイトを世界に戻す、戻してしまう”世界扉”だ。


「ルイズ、俺・・・」


サイトは何か言おうとして、口を開いたものの言葉にならなかった。


「早く行っちゃいなさいよ、サイトの家族がまっているわ。
アンタがいなくても十分やっていけるわ、寂しくなんかないんだからね!?」


泣いちゃだめ、泣いちゃだめ。
ここで泣いたら、サイトは帰らないかもしれない。
私はサイトのご主人様だ。笑って送り出してあげなければ。


「ああ、わかった、ありがとな、ルイズ。じゃあな元気でな!」


本心じゃないと判っているルイズらしい発破の掛け方だった。
最後まで素直じゃないなと笑いながら、やり取りに安心して元気に手を上げた。

そして扉に消えていくサイトの背中。
サイトは仲間と別れる悲しみと焦がれた帰郷の念が叶うことのうれしさ、
複雑な思いを胸に、光の中に包まれ奥へ奥へと進んでいった。


「あっ・・・」


ルイズは何かにすがるように指先を伸ばす、まるで最初から誰もいなかったかのように消えてしまった。
扉が消える。最後までお互いを思ってすれ違った心。半身どころか全身を奪われたような喪失感。
我慢していた涙がとめどなくあふれ出す、ルイズは止める事さえしなかった。
女の子達は寄り添い、そして誰もが別れを惜しみ涙していた、望めるならもう一度サイトに会いたい。
先のことは判らない、いつかは立ち直り歩きはじめなくてはならない。でも今はただただ悲しかった。




























「あんた誰?」


あれ?ここは日本じゃないのか?家に戻るつもりだったのに。
俺の家は?退屈でかけがえのない毎日は?てりやきバーガーは!?
そこは見知った草原。見知った建物。そして見知ったさっき涙ながらに分かれたご主人様。


「誰って、平賀才人。覚えてないのか?さっきまで一緒にいたじゃないか」


何が起こっているんだろう。意味が全然わからない。なんだこれは?あの断腸の思い出やった別れはどうした、これが感動の再開?
違う・・・自分にはこの景色に見覚えがあった、これってもしかして・・・
周囲の生徒達が、ルイズの失敗を騒ぎ立て、ルイズがコルベールにサモン・サーヴァントのやり直しを要求している。
サイトは取りあえず成り行きに身を任せることにした。


「あんた、どこの平民?少し馴れ馴れしいわよ」


平民?今は曲りなりにも貴族だったような…というか、これは覚えがある。
この妙にツンツンとした棘のある態度、こんな顔だっけと見間違うような余裕のなさそうなつりあがった目。
何か悪い夢でも見ているのだろうか、あの時に戻ってきてしまったのか?
呆けている間に周りの状況は流れていく。


「あんた感謝しなさいよね、貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだからね」


それにしてもやっぱりルイズは、怒っていても可愛いよな。
いきなり近づいてきたルイズに、そんな事を考えていたまだ状況のつかめていないサイトだった。
あまりの出来事、理解できない状況にいきなり放り出され冷静に混乱していた。


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔とせよ」


ルイズの唇が、サイトの唇に触れる。
まったくしょうがないご主人様だな・・・こんな皆の前でなんて。
なんて思いながら、舌を絡めていく。腰に手を廻していく。順調に混乱していくサイトだった。


「んー、んーー!?んんぅー!!!!」


なんなの、なんなの!この失礼な使い魔はとルイズは思った。
混乱し続けるサイトは徐々に落ち着き始め、持ち前の楽観さと好奇心と前向きな思いで考えた。
訳のわからないことが起きているけれど、結局前とやることは変わらない。
またルイズをこの愛すべき便りないご主人様を守ろう、そう心に強く誓った。


「お前は、俺が守るから!」


サイトは相変わらずヌケていた。
ルイズは、キッとサイトを見据える。


「ここっこ、ここここ…」


「鶏?」


「この、馬鹿犬ぅーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


そして、サイトはご褒美という名の懐かしい爆発をくらい、かりかりのもふもふになって飛んで行った。




「もしあの時ああしていれば・・・」誰もが一度は思う夢物語。

サイトは、前回の記憶を持っているゆえに悩んでいた。結論としてはここは前とまったく同じハルケギニアだった。
前は仲の良い皆と生きて笑って別れることができたが、後悔したことも多い。
この記憶を使えば、誰もが幸せな結末を望めるんじゃないのか?
死んでしまう人を救えることも、皆が危ない目にあうことも、誰かが悲しみ涙を悲しむことがなくなるかも知れない。
でも、そこでハッと思い当った。未来を変えて、前以上に酷い事にならないだろうか?
誰も保障してくれない未来が怖かった、前に映画でみた内容の過去を変えて碌な目にあってない主人公のことを思い出したのだ。

ルイズ、アンリエッタ、シエスタ、タバサ、テファ・・・
悲しい事は確かにあった、でもみんな笑顔で生きていたのだ。それが未来を変えてしまうことで死んでしまったら?

このままいけば沢山痛いことや辛いことが待ち受けている。
でも悲しみも痛みも全部受け止め、本当に大切なものを守るため、
見捨ててしまう罪を抱えることにした。それは修羅の道なのかもしれない。

馬鹿な事だ、酷い事だ、体が傷つくことも心が傷つくことも全部知っている孤独・疎外感も全てが前以上。
もしこの事を誰かが知っていたらとめただろうか?
しかし、誰も彼を宥め止めることができる人も本当の意味で慰めることもできなかった。

知っていて変えないということがどれだけ辛いことか誰も知らないしサイトも言うつもりがなかった。
サイトは、どんなにひどい扱いされても、傷つけられても、薄くやわらかく笑っているだけだった。ただ一つの希望と強い信念を胸に。

そして、サイトはやり遂げた。
ギーシュに腕を折られぼろぼろになり、ワルドの稲妻に打たれ、右手が火傷に水膨れで酷い事になり、
アンリエッタの思い人である王子を見殺しにし、姫と王子の魔法に体を切り刻まれ、
七万の軍に挑み、矢や魔法で死の寸前まで追い込まれて、彼は信念を守り通した。



体も心も壊れてしまう程の事をやり遂げた、回避しようと思えばできたかもしれないこと。
皆を守りたい、ただそれだけで・・・何時か別れることも知っていた、でもただ守りたかった。
本当に自分をほめてあげたい。生半可なことじゃ成し遂げられないと自分を誇った。

過去を知っていて落ち着いて周りをみれたサイトは、前以上に皆を好きになり優しくする事が出来た。
そしてそんな落ち着いたサイトのことを、ルイズを含め周りの少女たちは前回以上にサイトが好きになった。
優柔不断でヌケていることは変わらなかったけれども。



「今度こそ、俺帰るよ」


最後まで、戻ってきたことは誰にも言わなかった。こんなことを知ってるのは俺一人でいい。
万感の思いで、今”世界扉”をくぐった。

前の約束どおり元の世界に戻る。本当に必死で生きて、日本のこともおぼろげになりつつあった。
本当は、日本での事なんか夢なんじゃないのかそんな風に思い涙する夜もあった。
そんな故郷を思い出すことも少なくなっていった。

それでも前の世界のルイズとの約束だ。


やっと俺は元の世界に戻る。


光に包まれ、そして光の先に出た。


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