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Act.0 This is a "Fantasy."
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思うところあって書いてみました。
こんなの書いている場合じゃないような気もしますが。
気が付いたら変な部屋にいた。
なんだか良く分からない機械が並んでいて、ちかちかと赤色に光っている。
俺は確か……ええと、コンビニに夜食を買いにいこうとして暴走したトラックにはねられて……死んだはずだ。そう、そうだった。
しかし、体のどこにも傷はない。服も破れていないし、血の一滴もついていなかった。どういうことだ?
そんなことを考えながら辺りを見回すと、いつの間にか俺の目の前に十代後半くらいの女の子が現れた。
「ご、ごめんなさい」
女の子は突然謝って来た。何のことかよく分からん。
俺が首をかしげて女の子を見つめていると、女の子はもう一度謝罪を繰り返した。
「ほんとうにごめんなさい! すみませんでした!!」
「あの、どういうことなの? ってか、俺たちって、初対面のはずだよな。謝られる心当たりがないんだけど」
俺がそう言うと、女の子は事情を説明してくれた。よく分からない単語がたくさん出てきて要領を得なかったが、要するに彼女は下っ端神さまで、予定を間違って俺を殺してしまったらしい。
このままでは上位の偉い神様に見つかって大変なことになってしまうので、ばれる前に適当な世界に転生してもらいたいと言うことだった。
「って、なんだよそれ? 要するにお前の尻拭いじゃないか! 転生とかじゃなくて普通に生き返らせろよ」
「すみません、それは無理なんです。一度死んだ人間はどんな理由があっても生き返らせてはいけない決まりなので」
「決まりとか、勝手なこと言うなよ。じゃあ、せめて転生先は選ばせてくれ。あと、能力くれよ、チートな奴」
俺がそう言うと女の子……下っ端神? は、難しい顔をして唸り始めた。
「おいおい、何悩んでるんだよ。それくらい責任取れよ」
「その……責任は、わたしにありますし、なるべく希望は聞いてあげたいんですが、わたしは神といっても下っ端なのであんまりすごいことは出来ないんです」
「具体的には?」
「まず、転生先は選べません。よっぽど上位の方でないと複数の世界を管轄していなくて、わたしが転生させられるのは一つだけです」
どんな世界なのかと聞いてみると、どうやら俺の希望そのものの世界だった。
「なんだ、それなら選べなくていいや」
その世界とはなのはやフェイトやはやてのいる世界だ。
俺がずっといってみたいと思っていた世界にいけるなら、別に他の世界に転生できなくても構わない。
「それで、能力の方は?」
俺が聞くと、下っ端神は今度は困った顔で目を逸らした。
おいおい、なんだよそれ。あんな危険な世界に行くんだったら、能力がないとやっていけないじゃないか。
「これは能力、と呼ぶべきでしょうか。いえ、いずれにしてもわたしがあなたに与えられる力は一つだけ。と言うより、これは転生の副作用のようなものです」
「良く分からんけど、何もないわけじゃないんだな?」
「はい。あなたに与えられるのは不老不死を可能とする力です」
充分チートです。
本当に有難う御座いました。
「あ、でも、不老不死でも弱かったら意味ないじゃん。魔力は最低でもSくらいないと。あと、デバイスも欲しい」
「……多分、それも何とかなると思います。わたしが与えられるわけじゃないですが、きっとそうなると思いますから」
「???」
何か良く分からないが、詳しく聞いてみると少なくとも魔道師にはなれるらしい。
魔力やデバイスについては、俺が望めば恐らく可能とのこと。
今一チートには弱い気がするが、この辺でよしとすべきか。
出来ればSSSクラスの莫大な魔力とか、伝説のユニゾンデバイスとかが欲しかったが、考えてみればチートしまくってゲームしても途中で飽きるし。
望めば手に入るってのは、ある意味最高の環境かも知れないしな。
「なるほど、納得した。それで、転生ってどうすればいいんだ?」
「あ、はい。よろしければ直ぐにでも転生作業にかかれますよ。どうしますか?」
「よし、じゃあすぐに始めてくれ」
俺がそう答えると同時に俺の視界は真っ白になった。
周りの音も殆ど聞こえなくなっていって、いつのまにか俺は意識を失っていた。