「ハァ…今日1日は色々有り過ぎたわ…」「まったくです」疲れ果てた椿と沙耶自宅である九條邸で今日1日の事を整理するが、様々な『出来事』があって、精神的に疲労がきていた 「白銀武中尉か…まさか…彼の入隊が『母様』まで関わっていたとは…」「由佳里様らしいと言えばそれまでですけどね…」深く溜め息を吐く椿そんな椿に温かいお茶を差し出す沙耶 ずずず…とお茶を飲みながら今日の事を思い出す 新OSのテストパイロットを終えたタケルは『だいぶ使い易くなってきた』と発言し、椿達中隊が驚愕する『だいぶ…って事は…まだ『あれ以上』の機動が可能なの…?』椿が顔を引きつりながら質問すると…『あんなモンじゃないですよ、新OSの力は』…とケロッとした発言をするタケルに対し、全員が『コイツ…何処の星の超人?』…などと、タケルに生暖かい目で見ていた そして、シミュレーター訓練を終えると、神野大将から解散を命じられ、その後タケル・椿・沙耶には『共同開発の打ち合わせをするから、シャワーを浴びた後に会議室に来るように』と命じられる しかし---実際に会議室で話を聞くと、『共同開発の打ち合わせ』は嘘で、実際は『重要機密情報』の話だった 回想---- 『重要機密情報…?』『ウム、済まなかったな、嘘をついてしまって…じゃが、こうでもせんと、怪しまれる故にああ言ったのだ…』神野大将が説明した後、頭を下げて、タケル達に謝罪する。勿論タケル達は、慌てて神野大将に頭を上げてもらおうと説得する 『さて、椿様…此度椿様と沙耶殿には『特殊任務』を与えるのだが…此度の特殊任務は、九條家現当主の『九條由佳里様』からの推薦故、椿様と沙耶殿が選ばれた』『母様からの推薦…ですか?』『ウム…』と頷く紅蓮大将その事を知り、緊張する椿と沙耶 『此度の特殊任務の内容は…『白銀武中尉の期間限定の共同計画と護衛』です』『『『は…ハァァァァッ!!?』』』紅蓮大将から告げられる『特殊任務』の内容に驚愕する椿と沙耶タケルも流石に大声で驚愕する 『ぐ、紅蓮大将っ!!一体どういう事ですかっ!!?』『慌てるな、白銀中尉今ちゃんと説明する。』慌てるタケルを落ち着かせる紅蓮大将椿と沙耶は余りの事に未だに混乱していた 『実は白銀中尉は『オルタネイティヴ計画』の重要人物の一人でな、その事もあって、殿下や香月博士から『護衛』を付けるようにと頼まれてたのだ』『ええっ!?』『オルタネイティヴ…計画…!?』驚愕した椿は思わずタケルと沙耶を見るいきなりの展開に驚いてるタケルと…顔面蒼白している沙耶だった 『…最初はのぅ…ワシ等も椿様や沙耶殿にこの任務は酷だと言ったのだが…丁度その場に居た由佳里様が『あの子達にこの任務を任せる』と厳しい表情で申してたのだ…』『幾らオルタネイティヴ計画の重要人物とはいえ、『五摂家』の者に護衛させるなど大問題だと反対する声もあったのだが…由佳里様が『五摂家だからといって、『甘えた事』はさせてはいけませんむしろ五摂家として人を導く先導者の一人として、厳しい任務を与えるべきです』…と頑固を貫くのだ…』困り果てた紅蓮大将と神野大将を見て、『申し訳ありません』と謝罪する椿『そして同時に時折白銀中尉が行う特殊任務に一緒に参加して貰うのも、任務内容のひとつだ』『例えば、どのような任務でしょうか?』説明する紅蓮大将に質問する椿、すると紅蓮大将はその質問に対して説明する 『まだ詳細な事は知らないが…例えば、新OSの任務で白陵基地に向かう際は、白銀中尉の護衛と開発任務を行って貰う事になります。戦地へ向かう際は、白銀中尉の生還を重視として任務を遂行して貰う事。他に何かの特殊な任務な場合、護衛をしながら任務遂行を目指す事になります』『期間は2002年頃、任務終了は…まあ、その時は三人共一時的に国連軍に出向されてる筈じゃから、香月博士から告げられる事になってます』『こ、国連軍に…一時的に出向…?』突然の事に精神的にゴリゴリと削られる椿特に『一時的に国連軍に出向』という言葉に一番戸惑う(沙耶大尉…?)先程から何か沙耶から『親近感』があったタケル。(沙耶大尉の『事情』…?オルタネイティヴ計画に関係してるのか…?)先程の事を思い出すタケル。 (さっき紅蓮大将が『オルタネイティヴ計画』って言った時、沙耶大尉の顔色が悪かったな…それに沙耶大尉の『事情』も関係してるのか…?)推理するタケルだが、やはり簡単には分からなかった。 (沙耶大尉ってやっぱり『誰か』に似てるんだよな~…あの容姿…あの雰囲気…)『何か』が引っかかるタケルひとつひとつキーワードを組み込むと---- (容姿…『銀色の髪』…そうかっ!!『霞』に似てるんだっ!!)ひとつのキーワードを解くと、解けた紐のように『謎』が解けだす。(そうだよ、霞に似てるんだっ!!あの髪の色といい、あの『謎めいた雰囲気』といい…アレ?)タケルの脳裏にある『仮説』が浮かび上がってくる。 (オルタネイティヴ計画と沙耶大尉の事情…そして、霞に似ている…まさかな…)一度頭を振るが、やはり沙耶大尉の反応が気になるタケル。 そして、沙耶大尉もタケルをチラチラと気にしていた (…気まずい空気だなぁ…失礼を覚悟して聞いてみるか…)決意を決めたタケル罪悪感もあったが、沙耶との関係を解決する為に行動をとる。 『紅蓮大将、ひとつ質問が…』『なんだ、白銀中尉?』『---紅蓮大将や神野大将はオルタネイティヴ計画に詳しいのですか…?』タケルの質問に反応する四人特に沙耶からは大きな反応があった 『ウム、一応大体の事はなワシも神野大将も知っておる』『そうでしたか、ありがとうございます』紅蓮大将に質問を終わらせると、今度は沙耶の方を向くタケル。 『スミマセン…大尉もし…違っていたら謝っておきます。』『な、なんだ…?』タケルの対応に戸惑う沙耶…『大尉は---『第三計画』の出身ですか…?』『『『『-----ッ!!!』』』』この瞬間----空気が凍りだすっ!! 『な、何故そのような事を…?』『いや…大尉は、オレの知り合いに似ていたもので…そして、先程紅蓮大将が『オルタネイティヴ計画』と『沙耶大尉の事情』と口にした際、顔色が悪かったもので…間違ってるかもしれませんが、大尉が『第三計画』の出身ではないかと思ったのです。』『し、知り合い…?』タケルが口にした『知り合い』に反応する沙耶。『はい、その知り合いも『第三計画』の出身です以前、オレが『第三計画』の事を知った時に、『彼女』が怯えるように逃げ出した時がありました彼女にとっても、知られたくは無い事実でしたが、オレにとっては『彼女は彼女』でしたので、必死に探して、説得…というか…話し合いをして、お互いの事を理解しあった事があったんです。』『…………そうか』タケルの口にした内容に驚きながらも、少し落ち着きを見せる沙耶 『白銀中尉は…『怖く』はないのか…彼女とやらを…?』『怖い………考えた事もなかったな…ウサギみたいな可愛らしい奴だし、彼女の『能力』も慣れっこ…って言うより、内緒話したり同意を求めたりする時にも使ったりするし…正直、今は能力に関しては全然気にしてませんむしろ、ひとつの『長所』として見てますよ。』『な…なんだと…?』タケルの返答に驚きを隠せない沙耶紅蓮大将や神野大将は『大した若者ぢゃ』と関心し、椿に関しては、タケルの話を聞いて、ホッと安心する 『もし違っていたら謝りますけど、もしそうならば----怖がらないで下さいオレは…貴女の『味方』です…!!』『----ッ!!』タケルの言葉に陥落する沙耶そして、沙耶の口から告白する。『そうだ…白銀中尉の察する通り、私は『ESP能力者』だ…まさか…こうも簡単に見破られるとはな…』『謎めいた雰囲気とか髪の色も同じでしたからね、出逢った時から、なんか引っかかっていたんです』『そうか…』落ち着き直した沙耶椿が『良かったわね』と沙耶の下に駆け寄ってくる。そして、沙耶はタケルの方に顔を向けて、声をかける『白銀中尉…ひとつ質問したいのだが…いいか?』『なんでしょうか?』『実は…今日、貴殿に出逢った時に、用心の為に一度『リーディング』したのだが…その際、不可解な『記憶』を見たのだが…それに問いたいのだが、良いかな…?』『げっ!?』既にリーディングされて記憶を覗かれていたタケル『ど…どのへんまで覗きましたか…?』『今より成長している冥夜や殿下が、貴殿を囲むように仲良くしてた所とか…貴殿が国連軍に所属していて、冥夜と一緒に訓練してた所や、ハイヴのような場所で戦っている場面とかの記憶を見たのだが…不可解過ぎて訳が分からなかったのだ』『うわぁ………見事に致命的デスネ~…。』重要な記憶を見られていて、落ち込んでいたタケル。そばで『す、済まない…』と謝る沙耶 『ほ、他にも見ましたか…?』『……………済まない』『グフッ!!』もう駄目だ…と諦めるタケル 『…スミマセンが、沙耶大尉…巻き込むカンジになってしまいますけれど…覚悟OKデスカ?』『ま、巻き込むって…引き返せないの…?』『無理です…例えるならば…底無し沼に全身埋まった状態?』『ええぇぇぇぇっ!?』不安になって、引き返せないかと訪ねる椿だが、『無理、絶対に逃げられない』と、ズバリとタケルに言われてしまう。『ええと…ホラ、底無し沼に全身埋まった状態でも助けに行けば----』『無理、香月夕呼という番人が存在してるから、救出不可能ですそれに最近、煌武院悠陽殿下という戦力も増え、万全な防衛になってますよ?』『ゴメンね…沙耶…力の無い私を許して…』『椿様っ!?』救出不可能とわかり、沙耶に詫びる椿後々、香月博士が『アラアラ、秘密…知ったんだ…ヘェ~…』…と良いカンジにステキでドス黒い笑みで二人を巻き込んだ事は後の話だったりする… 現在---- 「はふぅ…内容が濃すぎるわよね…」「も、申し訳ありません!!」ペコペコと椿に謝る沙耶『良いわよ、気にしないで』と謝る沙耶を落ち着かせる あの後、タケルには沙耶が九條家に引き取られるまでの話を伝える 沙耶は数年前、とあるハイヴ攻略の際、第三計画として、BETAの思考や意思を探る為に、彼女達『ESP発現体』は、戦術機に乗り込み、複座として衛士達に守られながら出撃したしかし、生還率は僅か6%そして、沙耶も本来はその6%から漏れた者だった… しかし、其処に『奇跡』は存在していたその時、無意識の内にSOSの信号--自分の居る場所のイメージをプロジェクションを飛ばした所、偶々特殊任務として参加し、帰還の途中だった帝国軍特殊任務部隊の一人である『辻間英治大尉』が沙耶を発見する衛士は無惨にも死亡していたが、複座だった事もあり、下に座ってた沙耶は無数の傷はあったものの、命には別状は無かった即座に救出し、帰還して沙耶を治療そして気づいた沙耶と話をすると---沙耶の能力を知り、ESP能力者としる辻間大尉 重大な機密性を知った辻間大尉は、沙耶をそのまま日本に連れて行き、帰国そして、かつての上官だった当時の九條家当主の『九條元泰准将』に相談し、話し合いの結果、九條准将に沙耶を預ける結果になる そして、九條准将は第三計画の内容を知り、事の重大さと、人間としての大罪を知る人工的にESP発現体を創り、戦場へと送り出す狂った科学者達の生み出した大罪に九條准将は怒り、同時に沙耶を哀れんだ『このような子供が親の愛情も知らず、そして身勝手な科学者達に創られ、自分の意思を無視し、戦場へと送り出される--これは、人間として許される事ではないそして、同時に彼女に償わなければならない。』九條准将は同時の政威大将軍である『煌武院雷電』と、その側近でもあった紅蓮大将と神野大将そして、当時の五摂家の当主達を集めて緊急会議を行い、説得していた そして、九條准将は懸命に説得し、その姿を見て感服した煌武院雷電は、九條准将の意見を聞き取り、結果は『九條家の養子として世話をする事』になったそして、この事は将軍家及び五摂家と紅蓮大将・神野大将の秘密という事になった 『彼女にも、『人としての幸せ』を与えねばならぬ彼女も---『人間』なのだから』そして、沙耶は九條家に養子として入る妻・由佳里や娘・椿も大いに大歓迎し、沙耶を『家族』として迎える本来は沙耶が椿より一つ年上だったが、養子だった事もあり、歳を一つごまかして『椿の妹』となるその事に恩義を感じ、九條家に絶対の忠誠を誓う沙耶『沙耶』という名もこの頃に付けられるのだった…「それにしても良かったわね、沙耶白銀中尉が沙耶の事理解してくれて。」「ハイ…少しまだ戸惑ってますが…安心しました…」タケルが沙耶をESP能力者と知っても変わらない態度で接してくれる事に嬉しく思う沙耶つい、思わず笑みが浮かんでいた 「アラアラアラ~♪沙耶が笑ってる~!!珍しいわね~、九條家や五摂家の一部の者にしか見せた事の無いのに、沙耶が笑ってる~」「つ、椿様っ!?」沙耶をからかう椿しかし、内心とても嬉しかった事で、つい沙耶をいじくってしまう 「アラアラ…沙耶ちゃん、『恋』でもしたの?」「うわぁっ!?」「母様っ!?」背後から突如現れた九條家現当主・九條由佳里「沙耶ちゃん、誰に恋したの?お母さんに教えて頂戴♪」「由佳里様っ!!」からかって来る由佳里につい、怒鳴ってしまう沙耶 「『由佳里様』だなんて家では止めなさいって言ってるでしょ?家では私は貴女の『母』なんだから」「うっ…か、母様」照れながら由佳里に『母様』と呼び直すと、『沙耶ちゃ~ん☆』…と沙耶を抱きしめる…その姿は、九條家現当主とは思えない接し方をする由佳里 「…ところで、誰が沙耶ちゃんをこんなにも可愛らしい笑顔にしたの?」「白銀武中尉よ、母様」「椿様!!」バラす椿に可愛らしくポカポカと叩いてしまう沙耶 そして、今日あった事を大体話す(タケルの記憶は秘密)椿…「…そっか、少し心配してたけど、安心したわ白銀中尉に感謝しないといけないわね…」「…ハイ」「けど、本当に今日は色々とあり過ぎたわ…本当に疲れた…」「ご苦労様…ああ、そうそう椿・沙耶、明後日の10:00から貴女達は白銀中尉と一緒に白陵基地に向かって貰うわ任務内容は新OSの開発よその際、今回は月詠真耶中尉も同行するから、ちゃんと任務をこなすのよ?」「「ハッ!!」」この瞬間だけ、軍人の姿に戻る椿と沙耶。「さてと…久々に晩御飯でも作りましょうか」「手伝います」腕まくりをして『母の味』を振るおうと立ち上がる由佳里その手伝いをしようと沙耶も立ち上がるが『今回はゆっくりしてなさい』と断る由佳里 台所に向かう最中、とある写真を見る由佳里 「貴方…沙耶があんなにも笑顔を出せるようになったわ…貴方も見てるかしら…?」愛する夫の『遺影』を見ながら報告する由佳里少し寂しそうな表情をするが、パンパンと頬を軽く叩いて台所に向かって行った 時同じくして---帝国陸軍白陵基地--- 『白銀影行大尉と白銀楓中尉、入ります』「開いてるから入んなさい」ウィィンと自動ドアが開き、『白銀』を名乗る2人が入ってくる 部屋に入ると、香月博士が書類を目を通していた 「博士がお呼びになってると聞いたのですが…?」「ええ、呼んだわ要件は一つ、明後日の午後に帝都から五摂家の九條椿少佐と九條沙耶大尉が来るわその護衛として、斯衛軍から月詠真耶中尉と…アンタ達の『息子』の白銀武中尉が来るわ」「タケルがっ!!」タケルの名前を聞いて反応する母・楓 「ええ、来るわ表向きは視察って事になってるけど、実際は白銀がメインの共同開発よそれにしても贅沢よね~白銀ったら、九條家の2人と五摂家に近い名家1人を『護衛』に付けるんだから驚きよね~♪」「「え、ええぇぇぇぇっ!?」」香月博士の爆弾発言に驚愕する白銀夫妻 その姿を見てニヤニヤする香月博士 「まっ、その際に九條家の2人と一緒に白銀の秘密もちゃんと打ち明けるわ…信じるか信じないかは…アンタ達次第だけどね」「「…………」」一応香月博士からタケルの事を聞いていた白銀夫妻やはり信じらんない事だったが、『一本のビデオテープ』を見て、2人の心が揺らぎだす 『一本のビデオテープ』…それは、偶然、防犯用の監視カメラが、悠陽殿下と真耶と斉御司大佐が渡り廊下でタケルと出逢った場面を写していた…そして、そのビデオテープを殿下から借り、白銀夫妻を説明する材料に使ったのだ その際、楓が香月博士に『このビデオテープに映ってるタケルは『本物』のタケルなの…?』と訪ねる香月博士は『確かに貴女達の息子の白銀武よただ、『別の世界の白銀武』と同化してるから、肉体が18歳まで成長してるけどね』…と聞き、ポカンと唖然としていた そして、タケルが並列世界を二度も移動し、ループしていた事を聞いて言葉が出て来なかった しかし、やはり言葉だけでは信用出来ず、自分の目と耳で確認したかったそんな事もあり、今回のタケルの任務は香月博士が仕掛けた任務でもあったのだ。 (さて、此処まで歴史を変えて…どう変化するかしら白銀…全てはアンタ次第よ…)今はそばに居ない『腐れ縁』に問いかける香月博士…タケルが望む『未来』の為に、白銀夫妻をいじくりながら、着々と計画を進めていた…