「……みんな…大丈夫?」「勿論…よ…!!」「当…然…!!」「まだまだ…イケるよ~…」例のシミュレータールームでまだ訓練していた千鶴達最早バテバテだったが、タケルに少しでも逢える時間を作りたいと健気にも頑張る彼女達だが、純夏や静、途中から来た冥夜ですら呆れたような表情で千鶴達を見る。 「……気持ちは分からんでもないが、榊達は明日から学校が始まるのだろ?」「私は…大丈夫よ…」「余裕…余裕…」「…………ゴメン、全然そうには見えないよ…」榊達を心配する冥夜だったが、榊達は『大丈夫』と言うが、疲れ果てた姿を見て説得力は皆無思わず純夏が涙しながら『みんな…説得力無いよ…』と呟く 「今日はもう訓練は終了です。タケルに逢いたいなら、素直に待ってるか逢いに行けば良いではないですか…?」「「「……………無理」」」「みんなも素直じゃないねぇ~…」静が強制的に訓練終了を告げ、タケルに逢いたいなら素直に逢えと告げられるが、やっぱり素直になれない千鶴達は揃って顔を赤らめて却下する。すると--- 「うわぁあぁぁぁっ!!!?」「到ォォ着ッ!!」「「「「「「ハイ?」」」」」」来やがった。待ち望んだ愛しの人が、何故か見知らぬ人を担いで爆走して来た 是には流石に純夏・冥夜・静もポカンと唖然としていた。 「ん?委員長達、まだ訓練していたのか。余り無理したら駄目だぜ?」そして相変わらず鈍感なセリフを吐くタケル乙女達の健気な気持ちを思いっきりブレイカーする。 「タケルちゃん…本当に少しは乙女心を学ぼうよ…」「………なぬ?」純夏の言葉を聞いて『アレ…?オレ地雷踏んじゃった?』と少し感づくが、肝心な所は相も変わらずニブチンだった。 「それ…どうしたの?」「ん?ああ…ちょっと色んな複雑な気持ちがあってな…鬱憤晴らしにシミュレーター訓練で晴らしては貰おうと拉致って来た。勿論先生の許可付きだ。」「良く分からぬが、まあ…わかった。しかしタケル…そろそろその者を降ろさぬと可哀想だぞ?」「ん?そうだな…。」冥夜に言われ、担いでたナスターシャを降ろすタケルしかし、此処まで来るまでに様々な人に見られ、『……ラトロワ中佐…私…お嫁に行けないかも…』などと小さな声で呟くが、勿論鈍感スキルEXのタケルには、まっっっったく聞こえなかったりする。そして純夏達女性陣から『南無~…』と合掌される。「それでタケルちゃん、その人は誰?」「名前はナスターシャ・イヴァノワ表向きは今期の新任訓練兵、つまりオレの教え子。けど本当の中身はソ連邦軍の衛士で大尉だったりする。」タケルの説明を聞いて驚く純夏達唯一静だけは冷静だったが、戸惑う千鶴は質問する。「ソビエト軍の…?それってつまりスパイ…?」「表向きはな。けど実はそれも建て前で、本当は先生の協力者であり、『第四計画』側の人間なんだ。」「つまり…日本にスパイとして訓練兵に入ったのは、香月博士に協力する為のカモフラージュだという事ですか?」「そういう事。」『なる程…』と納得する静ナスターシャに対しての警戒心を解く「白銀大尉…この者達は…?」「勿論第四計画側の人間だよしかも静さん以外は殆ど『ループ』した奴等だ。」「な、何だとっ!?」千鶴や冥夜達の事を知り、驚くナスターシャ 「ちなみにナスターシャ大尉はオレ達と同じ『ループ』した人で、なんと先生と一緒にループしたらしい。ちなみにナスターシャ大尉は『前の世界』では、ヴァルキリーズのメンバーでもあったんだ。」「ヴァルキリーズのっ!?」ナスターシャがループした者であり、『前の世界』ではヴァルキリーズのメンバーだった事に驚愕する純夏達そんな事もあり、純夏達の警戒心も薄れていく。「…一年半ぐらいの期間だったが、本当に心地良い部隊だった…。まるでジャール大隊に居た時のように、皆が『家族』として接する事が出来た…特に美冴や祷子・茜・あきらには色々と世話になった。」「あきら?あきらって誰ですか?」「『伊隅あきら』大尉聞いた話だと、ヴァルキリーズの名前にも付いている伊隅みちる大尉の四姉妹の末っ子らしい。」「伊隅大尉の妹さんっ!?」「『みちるちゃんのヴァルキリーズに恥じない衛士になるんだ』といつも口癖のように呟いて、突撃前衛長の茜に張り合っていたぞ?」「茜が突撃前衛長…そう…。」親友である茜が突撃前衛長までに成長した話を聞いて喜ぶ千鶴冥夜達も、無事に復帰した美冴や祷子の話を聞いて我が事のように喜ぶ。 「実は静さん以外のみんなも『前の世界』ではヴァルキリーズのメンバーだったんだ。特に純夏と冥夜・委員長は『桜花作戦』でオレと一緒にオリジナルハイヴ突入部隊に参加してたんだ。」 「なっ…!!そうか…ならば礼を言わねばならないな。ありがとう…貴殿等のおかげで『前の世界』は人類に希望が出て来た…。『前の世界』の未来から来た者として、感謝の言葉を贈らせてくれ…!!」「そ、そんな勿体無い言葉です。」「そうですぞ、大尉ですから頭を上げて下さい。」冥夜達に感謝の言葉を贈るナスターシャ敬礼ではなく、頭を下げて本心で感謝を表現していた。冥夜達も戸惑いながらもナスターシャに頭を上げるように説得する。「ナスターシャ、向こうの扉が更衣室だから俺は後に着替えるから、先に強化装備に着替えてくれ。強化装備は一番手前のロッカーにサイズ別にダンボールの中に入っているから、選んでくれ。」「ハァ…まったく強引だな…」諦めたナスターシャは『了解』と呟き更衣室に向かう。 「さて、ナスターシャが着替えてる内に話すが…純夏、済まないけど、ちょっと頼みがある」「何?」「実はな…」タケルはナスターシャの事を説明するそして過去にクリスカ達によって、自分の部隊が壊滅され、自分にとって母親当然であるラトロワ中佐を失った事に対し、深い憎悪を持つ事を説明した 「…って訳で、クリスカ達と一緒に居る事の多い純夏に頼みたいんだ。」「成る程ね…だから鬱憤晴らしなんだね?」「まーな。出会ったばかりの俺にはそれぐらいしか出来る事は無い。けど純夏なら、ナスターシャの心の闇を解決出来る力になると思ってな…」「そ、そうかな…ううっ…緊張してきたよぅ~…」「別に緊張する事はねぇよ。普段の純夏として接すればいいからよ。」「無論、私達もサポートはするから安心するがいい。」「そ、それなら大丈夫だけど…」ちょっと緊張する純夏だが、冥夜達の言葉やタケルに頭を撫でられながら励まされると、緊張がほぐれる。 するとナスターシャが強化装備に着替えを終えて戻って来る。 「待たせた。…それで、何の話をしてたんだ?」「別に?ただナスターシャの事を話しただけだ。」「……普通…そういう事は隠さないか?」「隠して気分悪くするよりはマシだ」自分が強化装備を着替えてる間に自分の事を話してるだろうと悟っていたナスターシャだが、予想外にも素直に答えるタケルに対し、戸惑う。 そしてタケルが強化装備に着替えに向かうと、純夏達のミッションが始まる 「それで、何を言われた?」「別に~?ただ、クリスカ達と仲悪いからサポートしてくれって言われただけだよ?」ニコニコしてナスターシャに近づく純夏そんな純夏にちょっと驚くが---この後、彼女にとって予想外な事が起きる 「私、白銀純夏って言うんだ、純夏って呼んでも良いよ♪宜しくね、ナスターシャさん」「あ、ああ…宜しく。」純夏独特の雰囲気に飲まれるナスターシャそして--純夏のターンはこれから始まりだった。 「私とお友達になろうよ?」「友達!?」「そ、友達」「し、しかし一応上官だぞっ!?」「けどナスターシャさんって侵入捜査で国連軍の訓練兵として入ってるんだよね?なら、私は先輩だし上官だよ♪」「そ、それはそうだが…」純夏の怒涛な『友達になろうよ☆』攻撃に対し、頬を少し赤らめながら困惑するナスターシャその様子を見てクスクス笑う冥夜達 「ならば私達も友達という事になるな」「そうだね~♪純夏さんの友達はボク達にとっても友達だからね~☆」「……照れるな照れるな。」「諦めた方が楽よ、ナスターシャさん。」「はうっ!?」更に冥夜達の支援攻撃に更なる困惑するナスターシャ唯一まともそうな静に視線を合わせてヘルプを求めると--- 「諦めた方が良い。私もこちら側だからな」ニコニコ笑顔でトドメを刺す静の一言にガックリと跪くナスターシャそして---純夏の強烈な攻撃がナスターシャを襲う。「なっ…わぷっ!?」「可愛いね~♪ナスターシャさんの髪の毛って、結構綺麗だね♪」母性の象徴たる純夏の豊満な胸にナスターシャの顔を当てるように抱き締める純夏 その際、ナスターシャの髪の毛を見て誉めると、ナスターシャの顔が赤く染まる。 (この感じ…初めての感覚だな…ラトロワ中佐…『ママ』とはちょっと違うけど…優しい感じがする…)優しく抱き締められ、心地良い雰囲気に入るナスターシャ 「って、違う違う違う!?」「どうしたの、ナスターシャさん?」純夏の胸から脱出し、雰囲気に飲まれそうになるナスターシャ首をブンブンと降りながら正気に戻る 「おやおやぁ~?なんか面白い事やってるみたいだけと…」「し、白銀大尉!?」「純夏にまだ甘えたいなら、甘えても良いんだぞ?」「けけけけ…結構だっ!!」すると、着替え終わったタケルがナスターシャの背後に近づきながらニタニタとしながら冗談を言う。 勿論ナスターシャはアワアワと慌てる「さて冗談はここまでにして--やろうか、ナスターシャ?」「無論だ」タケルの一言で表情が変わり、既に戦闘モードに切り替わるナスターシャそして管制ユニットに乗り込み、シミュレーター訓練が始まる。 (私だって、XM3を使いこなしていたんだ。差がそれ程あるとは思えない---)そう思っていたナスターシャしかし、それは間違いだと早々に思い知らされる(なっ…なんだコレはっ!?)開始早々タケルの機動性を体験して困惑するナスターシャ縦横無尽に舞う姿を見て言葉すら出す暇がなかった。 (ロックオン機能が…定まらない!?例え定めれても、攻撃に移る前にロックオンから外れるだと…!?)困惑しながらも必死にタケルの攻撃を回避し、反撃しようとするナスターシャだが、ロックオンが追いつかなかったり、例えロックオン出来ても、障害物に遮られたり、倒立反転などのアクロバットで死角に移動されてしまい、ロックオン解除をされてしまうのだ。 機体は同じ不知火・改XM3も搭載されてるにも関わらず、これほどの差を見せつけらされ、驚愕する。 (油断した…!!しかし、この機動…どこかで見た記憶が…)その際、ナスターシャの脳裏に掠める記憶---タケルとは初めての対戦にも関わらず、ナスターシャは『初めて見た感覚』ではなかった。 そして---思い出す。 「白銀大尉…白銀…そうかっ!!『プラチナ・コード』かっ!!」『プラチナ・コード』元々は『桜花作戦』を攻略した際に得たデータ後に『ヴァルキリーズ・データ』と呼ばれる中にある、とあるデータに注目された事から始まったとされる。衛士として理想な機動として公開された謎のデータ 一体誰のデータかは謎のままだったが、その真相を知る者は居ない。 いや--正確にはいた。横浜基地にいた『魔女』とまで呼ばれた人物香月夕呼博士---後に横浜基地の基地司令にまでのし上がる彼女そして、この『プラチナ・コード』を作って世に出した人物とも影で言われてる。 以前ナスターシャはXM3の改良版と共に問い質した事があった。その際彼女からの口からは--- 『ガキ臭い英雄からよ♪』これだけしか口にしなかった。しかし、今のナスターシャなら、その意味を理解する。 (そうだ…白銀大尉は桜花作戦の英雄…!!あの時の『ガキ臭い英雄』とは、白銀大尉の事だったんだ…!!)今、この時答えに辿り着く。しかし、ここに更なる問題があった (あの頃に体験した『プラチナ・コード』より機動が鋭く速い…!!)過去に体験した『プラチナ・コード』以上の機動を見せつけるタケルその事に驚愕しながらも必死に足掻くナスターシャは手も足も出ず--- 『ナスターシャ機、機関部被弾・大破』「……掠らせる事すら出来なかった…」純夏から敗北宣言を受け、力が抜けるナスターシャ反撃らしい反撃が出来ず、茫然自失とする。 『どうする?まだやるか?』「……いや、いい…今やっても、同じ事の繰り返しだ…。」『そっか、挑みたい時は声をかけろよ?』「ああ…」流石に力の差を見せつけられ、ムキになる事すら失せてしまった。 しかし--この後に聞くとある言葉にナスターシャに火を付ける事になる。 「大丈夫か?」「ああ…」訓練用の管制ユニットから降りて来るタケルとナスターシャ「ハイ、タオルナスターシャさんもどうぞ」「サンキュ、美琴」「ありがとう…」美琴から貰ったタオルで汗を拭くナスターシャだが、今だに茫然としていた。 すると作業を終わらせた純夏が走ってよって来る。 「お疲れ様、二人共」「おう」「ねぇねぇ、タケルちゃん、ちょっと質問して良い?」「なんだ?」不思議そうな顔をしてタケルに質問する純夏その内容は--- 「なんでタケルちゃん、『自分の不知火・改』使わなかったの?」「「「はっ?」」」純夏の言葉に反応する美琴と慧そして茫然としていたナスターシャも同じ反応だった。 「自分の…不知火・改…?」「あ、ナスターシャさんや彩峰さん達は知らなかったか。元々タケルちゃんの機動特性の成長が凄いから、普通の不知火・改でも追いつけないのだからタケルちゃんの不知火・改はね、普通の不知火・改よりハイスペックな機体なの」「嘘…」「つまり…あの機動は…白銀の本気の機動じゃない?」「うん。普通の不知火・改だと、本来のタケルちゃんの機動は『八割』ぐらいしか出せないんだ。」 「----っ!?」純夏の言葉に驚愕するナスターシャ・美琴・慧逆に納得していた冥夜・千鶴・静は冷静な態度で返事をかえした。 「やはりな。いつものタケルの機動ではなかったから、そうではないかと思ったぞ」「さっき私達の訓練の時に出た白銀のデータに比べたら、なんとなく遅く感じたからおかしいとは思ったけど…」「まあ、なんとなく考えはわかりますが…。」冥夜達の言葉を聞いて、ナスターシャは勢い良くタケルの方に視線を向けると--- 「さっき先生が言っただろう、ナスターシャ?『叩き潰せ』って」この言葉を聞いて驚愕するナスターシャ同時にナスターシャに火が灯る。 「それにオレの不知火・改を使って勝っても『機体性能の差』だなんて思われても嫌だからな。だから今回は同じ機体で挑んだんだよそれに---」チラッとナスターシャを見るタケルすると先程とは違い、射殺すような視線でタケルを睨みつける 「---しろ」「ん?」「もう一度だっ!!!今度は自分の機体を使ってだっ!!!」爆発したナスターシャそれを見て驚く純夏達だが、意外にもタケルは笑みを浮かべていた 「良いぜ。純夏、もう一回頼む」「えっ?えっ!?」「次こそ勝ってみせるっ!!」勢い良く立ち上がり、再び管制ユニットに乗り込むナスターシャ 「ふぅ…貴方も大変ね、タケルわざわざ『悪役』を演じるなんて」「えっ?悪役?」タケルの企みに気づいていた静未だに混乱する純夏に説明をする 「要はクリスカ達に対する憎悪で溜まった鬱憤を自分に向けたんですよ、タケルは…ああやって『手加減しましたよ』って見せつければ頭に血が登り、タケルに何度でも挑むのは目に見えてますそれを利用して憎悪に対する鬱憤も晴らす魂胆なのでしょう?」「けど…それって、かえって溜まる一方じゃ…」「要は問答無用に完膚無きまでに叩きのめせば良いのです。反論も鬱憤も微塵にも残らないぐらい叩きのめせば、むしろ逆にスッキリしますよ」「…さっきみたく茫然自失に?」静の言葉に対し慧が質問すると、クスリと笑みを浮かべながら答える「一時的には。その後はすぐにタケルを標的にしますがね。」「……要は速瀬少尉みたくなるみたいな?」「そうですね。あんな感じになります」『なる程ねぇ~…』と納得する純夏達ちなみに--- 「クシュンッ!?」「おや?風邪ですか、速瀬少尉?」「うーん…おかしいな~…昨日はちゃんと暖かくして寝たんだけどなぁ~…」「ならば今夜は鳴海少尉と一緒に寝てみてはどうですか?」「「な゛っ!?」」「…そうね、それでいきましょう。」クシャミをする水月に対し冗談で答える美冴それを聞いて驚愕する遙と孝之だが、むしろ水月はヤル気満々で採用する。……何に対してヤル気なのかは言うまでもないが… 『待たせて済まないな。』「遅いぞっ!!」タケルも管制ユニットに乗り込み、準備完了する。 ナスターシャに関しては、待たされた事に対し怒鳴る。 だが---- 「あ--とう…」『ん?なんか言ったか?』「何でもないっ!!」『うおっ!?そんなに怒鳴らんでも…』ナスターシャの小さな声が途切れ途切れしか聞こえず、聞き返すタケルだが、ナスターシャにガアァァッ!!と噛みつかれそうな表情で否定され、ビビる。 そして、お互いの通信が切れると--- 「…お前の魂胆なんぞ…ミエミエだ…………………ありがとう」不器用ながらもタケルに小さな声で礼を言うナスターシャだった…あとがき~~~ しばらくぶりです、騎士王です。今回は『プラチナ・コード』についてです。『プラチナ・コード』についてですが、名前だけは公開されてるものの、どういったものかは調べても出てきませんでした。ただ、様々なSSでヴァルキリー・データ(ヴァルキリーズ・データだったかな?)からタケルのデータを取って創ったモノとされてたので、今回はその設定にしました。もし、ちゃんとした設定がありましたら教えて下さい。ちゃんと修正したいのでお願いしますm(_ _)m