2000年・2月1日京都・帝都城--- 「……何だよ、これ」横浜基地から帰って来た霞から『例の頼みモノ』を受け取る結城最初の『タケルに頼まれたモノ』は、まだ理解出来る。 しかし---後者である『最新のハイヴ攻略用のデータ』に問題があった。 流石の結城もコレを見て驚愕し、ゴクリと息を呑む。 「…洒落にならないよ…夕呼…一体何処からこんなデータを…!?」画面に映るハイヴ攻略用のデータの名称を見て、震える結城その名称とは--- 『甲1号・カシュガルハイヴ別名・オリジナルハイヴ』「オリジナルハイヴのデータだって…!?」全身に衝撃を受ける結城そしてその重大性に気づき、霞の方に顔を向ける。 「霞ちゃん…このデータは一体…?」「…博士は、今回攻略に成功した『横浜ハイヴ』の反応炉に注目し、とある方法で情報を得る事に成功しました。」「反応炉から?」「ハイ…」霞は結城にある程度の機密情報を公開するその情報を聞き、流石にいつもの飄々とした表情に結城はなれなかった。「ハァー…なんつー重い話だよ…オルタネイティヴ4だっけ…?夕呼がその計画の最重要人物なのはわかったけど…やっぱり霞ちゃんもそうなの?」「ハイ…あと白銀さんもそうです…」「成る程~…道理で専用機なんてモン用意する訳だ。確かにそれだけ重要人物なら理解出来る。」深い溜め息を漏らし、椅子に座る結城そんな結城に霞が『ゴメンナサイ…』と呟くが『良いって』と霞の頭を撫でる (違うんです…さっきのオリジナルハイヴの話…『嘘』なんです…)先程結城に説明した『反応炉をとある方法で調べて』という話が『嘘』と心の中で呟く霞 (それは…純夏さんの中にいる『スミカさん』から得た情報です…)実はこのオリジナルハイヴのデータ純夏に憑依している『スミカ』から得た情報であるつまり、このデータは横浜ハイヴ攻略後から作り始めたデータで、最近完成したばかりのデータだった。未完成ではあるが、『零型特殊強化装備』を装備した純夏から『スミカ』がデータを送り、作成したのだった。 とはいえ、憑依した『スミカ』では、完全なデータを送る事が出来なかった為、それを補うのに時間がかかったのだ 補うデータは横浜基地に到着した後、速攻で『量子電導脳』を作成し、完成させてリーディングし、データを完成したのである。『生体反応ゼロ・生物的根拠ゼロ』の非炭素系疑似生体についても、『零型特殊強化装備』とそれを補う装置を使い、鑑純夏を『非炭素系生体』として誤認させたのだ まぁ、まるっきり全てが『嘘』という訳でもないのだが、霞にしてみれば真実を教えられなかった事に対して罪悪感があったのだ。「……で?コレをどうするんだい?」「博士からは、一部の者に公開の許可を貰ってます…。白銀さんは勿論ですが、椿さんや孝志さん達にも公開しても大丈夫かと…」「…成る程…なら第17大隊の実力者と紅蓮大将とか辺りが良いね。俺は所属して間もないから、人員配置は霞ちゃんと白銀君に任せるよ。」「…わかりました。決まり次第、連絡を入れます…。」ウサミミをヒョコッと動かして部屋を出る霞結城は、そばにあった合成珈琲を一口飲んでから、再び深い溜め息を吐く。 「全く…一応開発責任者だけど…これは重いよ…夕呼。」事の重大さを理解してるからこそ、のしかかる重圧。 「成る程…タイムリミットが来年の12月って事は---その近々にオリジナルハイヴを攻略するつもりなんだな…。」鋭い眼光をしながら憶測する結城そして、導かれる結果は---- 「腹を……くくるしか無いね…コレは。」何時になく真剣な表情になる結城再び合成珈琲を一口飲んで、カタカタとキーボードを打ち込む。 そして、その数時間後--- 「…どうやら、みんな集まったようだね?」結城の前に集まったのは、タケル・霞は勿論。冥夜・椿・沙耶・孝志・政弘・駿・真那・真耶・まりもの第17大隊のエース級の衛士十人。他には紅蓮大将・神野大将・悠陽殿下・巌谷中佐・斉御司大佐・エルヴィンまでもが居た。 「…霞ちゃん…何故殿下まで居るの?」「…紅蓮大将や神野大将にも参加して貰う為、今回は一緒に来て貰いました…。護衛は斉御司大佐と巌谷中佐に頼んであります。」「今回は重要な件と聞いております。私もその話について聞きたく思い、ついて参りました。」「そ、そうでしたか…」流石に悠陽殿下まで来るとは予想外だった結城失礼無いように気をつけながら喋る。 「…今回みんなに来て貰ったのは、夕呼からとんでもないモノが来たから召集して貰ったんだ。」「香月博士から…?」「とは言っても…」「毎回とんでもないモノばかりだからなぁ…。」結城の言葉を聞いて、『毎回とんでもない事ばかりなんだけどなぁ…』…と呟く真那・まりも・孝志「けどね、今回はその程度のレベルじゃないんだ。どれぐらいとんでもないかっていうと…世界レベルの機密情報クラスだよ。いつもの悪戯とか、前回の電磁投射砲程度のレベルとか、問題にならないぐらいのシャレにならないレベル」「えっ…?」真剣な表情をしながら説得する結城を見て、漸く唖然とする椿達いつもの結城を見てるだけあって、今回の結城の真剣な態度を見て緊張感が五割増しになる。 「夕呼から送られて来た『頼みモノ』は2つ来たんだけど…一つは白銀君が夕呼に頼んでいたモノ。これ自体は大した事じゃない。」「タケル様が香月博士に頼んでいたモノとは?」「うーん…とね…『通信式管制ユニット』って物でね、要は離れた基地同士に特殊な回線を繋いでシミュレーター訓練をする事を目的とした物なんだ。例えば、各基地の衛士を対戦させる事で、衛士のレベルの底上げを狙ったり、ハイヴ攻略等の作戦時における大規模なシミュレーター訓練をする事で連携を上げたり…と色々な事に使えるんだって。」結城の一つ目の情報の公開に驚きの声が上がる。勿論タケルが発案者な為、タケルに注目が集まる。 「流石はシロガネ大尉…素晴らしいアイデアだ。」「相変わらず、とんでもない事を思いつくな…」これにはエルヴィンや政弘も脱帽し、タケルを賞賛する。 「話の続きをするよ。このぐらいなら、みんなを呼ぶ必要は無いんだけど…問題はもう一つの頼みモノの方なんだ。」「もう一つの方?」「そ、もう一つの方これはとあるシミュレーター訓練用のデータなんだけど…ハッキリ言って、シャレにならない程の内容だよ。」まりもの疑問に対し、素直に答える結城そして、遂に公開する。 「送られたシミュレーター訓練用のデータの内容は…対オリジナルハイヴ攻略用のシミュレーターのデータだよ。」「「「「!!!!!!」」」」結城の言葉を聞いて驚愕する一同唯一タケルだけは、霞から聞いていた為、驚愕の表情は無いものの、その表情は深刻そうな顔だった。「詳しい話は霞ちゃんから説明するよ。霞ちゃん、お願い。」「ハイ…」結城に頼まれ、みんなの前に立ち、説明を始める。 「今回のこのデータについてですが、コレは『明星作戦』が終了し、横浜ハイヴにBETAが残存してない事を確認してから始まりました…横浜基地建築より早くに開始し、重点的に進めた結果、とある方法で反応炉から重大な情報を得ました…。」「とある方法とは…聞いて大丈夫かな?」「済みません、政弘さん…『とある方法』については極秘故に公開出来ません…。」「そうか…いや、わかった。こちらこそ済まなかった。」『とある方法』について質問する政弘だったが、『00ユニット』の事を喋る訳にはいかないので、謝りながら断る霞 「…重大な情報のうちの一つが、幾つかのハイヴの全容マップを得られました。そして…運が良い事に、その一つがオリジナルハイヴのデータでした…。それを発見した博士は即座にオリジナルハイヴのシミュレーター訓練用のデータを作成し、つい最近完成致しました。」「どれぐらいの精密なデータなのだ?」「マップに関しては、これから新しい『横坑』ドリフト等を作らない限り、ほぼ100%再現出来ました。ただ、オリジナルハイヴに存在するBETAの数や配置に関しては、可能な限り…としか言えません。」「可能な限り?」真那の質問に対して答えた霞の内容に疑問を持つ。 「…今わかる大体の数ですが…少なく見ても…BETAの数は『40万以上』はオリジナルハイヴに存在する事がわかりました。」「なっ…!?」「40万っ!?」「ハイ…しかし、あくまでもこの数は『現時点』の数です…。勿論今後この数が増える事は間違いないです…。」「「「………ッ!!」」」霞の残酷な言葉に痛々しく沈黙する椿達唯一オリジナルハイヴを体験した事のあるタケルや冥夜は苦々しい表情を浮かべるしかなかった。 「……その為、シミュレーター訓練とはいえ、オリジナルハイヴを体験して貰おうと思い、皆さんに集まって貰いました…。」「成る程…確かに今から訓練をしておけば、今は無理でも、力を蓄え、準備出来た時に挑む事が出来るわ。」霞の言葉を聞き、納得する一同そしてまりもの考えに『成る程』と同意する孝志達… しかしその時、霞の表情が暗くなり、残酷な言葉を言い放つ。 「まりもさん…残念ですが、そんな悠長な時間はありません…。」「えっ…どういう事…?」「先程言った『重大な情報』の中の一つに問題がありまして…時間が無い事がわかりました…。」「えっ…時間が無い…?」「ハイ…皆さんは、BETAの組織図はオリジナルハイヴの『あ号標的』を頂点とした『ピラミッド型』という事を知ってますね…?」「え、ええ…知ってるわ…」「実はその組織図は間違いである事がわかりました…。正確には『あ号標的』を頂点とした『箒型』であって、全ての反応炉が同列の位置にして、その頂点に『あ号標的』である事がわかりました…。つまり、戦闘で生き残ったBETAが反応炉に戦闘情報を報告すると、真っ直ぐ『あ号標的』に報告して対応策を考えて貰い、『あ号標的』が考えた『対応策』を、他のハイヴで試験的にテストし、有効的な案であれば『あ号標的』は全てのハイヴに報告し『対応』するのです…そして、その間にかかる時間が…『19日間』です…。」「「「なっ!!!」」」「そ、それじゃ…」「ハイ…戦えば戦う程『対応』され…人類がBETAに滅ぼされる可能性は高くなってしまうのです…。」「「「………ッ!!」」」霞の言葉に言葉すら失い、その絶望の意味を知る孝志達 「…ですから…このシミュレーター訓練を受ける事は、『オリジナルハイヴ攻略に参加する』事を意味します…しかし…皆さんにも、大切な人や家族があります…。ですから…参加出来ないと思う方は参加しなくてもいいです良く……考えて決めて下さい…。」手を震わせながら、二者択一(オルタネイティヴ)を出す霞こんな選択を迫る自分に対し---みんなの『幸せ』を奪うかもしれない事に対し---- 複雑な感情が湧き上がり、涙をポロポロと流す。そんな霞に---優しく抱きしめ、慰めるまりもがいた--- 「泣かないで、霞別に貴女が悪い訳ではないわ。」「で…でも…」「私達は『衛士』よ?戦場で死ぬ可能性なんて当然あるし、勿論『死ぬ事』は怖いわ…」涙を拭い、霞を慰めながら説明するまりも誰の目から見ても、この時のまりもは『母親』として見えていた。 「けどね、だからって逃げる訳にはいかないの。戦わなければ人類に明日は無いそして、自分にとって大切な人達も守る事は出来ないのだから、私は自分に言い聞かせ、そして教え子達にこの言葉を教えるの。」霞の目を見つめ、『あの言葉』を口にするまりも 「『臆病でも構わない---勇敢だと言われなくてもいい---それでも、何十年と生き抜いて、ひとりでも多くの人を救って欲しい。そして、最後の最後で人としての強さを見せてくれれば良い…。』…この言葉を常に心に刻んで自分に言い聞かせ、そして私の教え子達にもこの言葉を教え、生き残って欲しいのその為には教え子達に嫌われたって良いその代わり、教え子達が生き抜いて『幸せ』を守り抜いてくれるんなら、私は悪役になってでも厳しく鍛えるわその結果、教え子達の未来に光があるならば『本望』なのよ」涙を拭い終え、優しく霞の頭を撫でるまりも そして---その決意を口にする。 「だから私は前に進むわ。霞…私はオリジナルハイヴ攻略に参加するわよ。教え子達の未来を守る為に…そして、大切な人達の為に戦うわ。」「---ッ!!」まりもの誇らしい姿に驚き、そして見つめる霞その『強さ』に心を救われる。 「見事ですな、まりも殿。この老骨な身に再び熱き血を沸かせる御言葉でしたぞ。」「ガッハッハッ!!全くだっ!!このような若者が居るからこそ…我々が守らねばならん。」すると、まりもの言葉に感銘し、賞賛する神野大将と紅蓮大将 「霞殿よ、我々2人に対して戦場を『辞退する』などという言葉は無い。私と紅蓮はこの日本の『剣』であり『牙』でもあるこの年寄りの力が必要ならば何時でも申すが良い、幾らでも力を貸そうではないか、のぅ紅蓮よ?」「勿論だっ!!我等はまだまだ現役だ、若い者にはまだ負けんよ!!」「…そういう事じゃ。我々2人も参加するぞい。」「あ…ありかとう…ございます。」紅蓮大将や神野大将の心強い言葉を貰い、嬉し泣きをする霞 「オレもOKだぜ♪こんな所で引いちゃ、オレじゃねぇっ!!」「…という訳だ、私も参加する。元より引くつもりは無いけどね。」孝志と政弘の参加を聞き、更に涙を溢れ出す霞孝志が霞の頭を撫でながら『泣くな泣くな♪』と慰める。「私も参加するわよ、霞ちゃん。」「無論私もだ。」「霞…泣くな。我等は元より戦う覚悟が出来てる者達だ、遠慮する事はない。」そして秘密を知る椿・沙耶・真耶も名乗り出て、参加を告げる。 「大丈夫ですよ、霞ちゃん。もし辞退するぐらいだったら、前回の明星作戦には参加してませんよ。」「そういう事だ。」「安心するがいい、霞我等は必ず生き残ってみせる。」そして駿・真那が参加を告げ、オリジナルハイヴを体験者である冥夜も名乗り出る。 そして---自然と、みんなの視線はひとりの人物に集まり、名乗り出る事を信じていた。 「ん?オレか?オレは元々オリジナルハイヴ攻略に参加する事自体は随分前から決まってる事だぜ?---なら、答えはわかるよな、霞」「ハイ…白銀さんが参加しないと…困ります。」優しく霞の頭を撫でるタケルみんなの気持ちと決意を知り、涙を拭い、笑顔が戻る。 「つーかタケル…サラリと問題発言をした訳だが…いつから決まってたんだ?」「ん?オレが第17大隊に所属する以前からですよ、孝志さん元々オレは先生や霞と一緒に『計画』に参加してますからね。その時点で元々オリジナルハイヴを攻略する予定はしてましたけど、まあ…今回の事に関しては予想外でしたけどね。」「なろぅ…とんでもない秘密持ってやがって…」「成る程…だから来年国連軍に一時的に所属する話が出てた訳か…。」タケルの爆弾発言に愚痴る孝志そして以前から国連軍に一時的に所属する話が出てた事に対し、理解する政弘「さてと……みんなの覚悟を聞いた所で先に進もうか。」一部始終を見て、みんなの覚悟を知り、少し笑みを浮かべる結城まだ少し泣いている霞に変わって話を進める。 「今回のシミュレーター訓練は特別ルールを入れるよ。」「特別ルール?」「今回はオリジナルハイヴを知って貰う為、普段なら有り得ない設定で挑んで貰うよ。今回の設定は、全機不知火・改長刀及び短刀の『耐久力・切れ味無限』と、突撃砲・滑空砲の『弾無限』と『燃料及び、推進材無限』…というチート設定だ。勿論撃墜されれば、それまでだけど、その代わり撃墜されても全滅しない限り別視点の映像を見て貰うよ。」「ず、随分な設定だな…」「仕方ないでしょ今回挑むのは中隊規模だし、幾ら紅蓮大将や神野大将が居るといっても、40万のBETA相手じゃ自殺行為だよ?今回はあくまでもオリジナルハイヴを知って貰う為の特別設定だよ。」予想外な特別設定に驚く孝志達しかし、タケルと冥夜にしてみれば、そんな設定をしていても、オリジナルハイヴを攻略する事は無理だと知っている。 完全武装じゃなかったとはいえ、凄乃皇四型と武御雷5機でさえ、ギリギリ攻略したのだ。 様々な奇跡と要因そしてみんなの想いと犠牲があってオリジナルハイヴを攻略する事が出来たのだ。 たかだか弾無限や推進材無限にした所で成功率が1%も上がらない事は百も承知だった。それ故にタケルと冥夜は今回の設定に対し『無意味』と判断していた。「さて、これから準備するから、みんなも準備してよ~」パンパンと手を叩き、一時的に解散させる結城そして---- 「…………最悪だね。」数時間後、オリジナルハイヴのシミュレーター訓練を終えたタケル達素直な感想を呟く結城の言葉が見学していた者達に苦痛な表情を与える。 結果は予測通り惨敗。『主広間』メインホールの中間地点で全滅する結果になる。 メインホール到達時の生き残りはタケルと冥夜のみ紅蓮大将や神野大将は、途中で後方からの10万のBETA相手に殿をして撃墜する椿・孝志・政弘も、途中で奇襲を仕掛けてきた『母艦級』から現れた要塞級等の大群に敗れる 真那・駿も善戦するが、『物量』というBETA最大の武器により撃墜まりも・真耶も再び来た10万以上のBETA相手にS11で自決し、時間を稼ぐ。 タケルと冥夜は『経験者』故になんとか生き残る事が出来た。しかし、満身創痍な状態で---あの地獄を再び体験する 「メインホールに到達してみれば……数万単位のBETAが床・壁・天井で待ち受けてるとは…鬼畜もいい所だ。」結果、タケルと冥夜も『母艦級』の出現により、悪化し、撃墜される。それと同時に20万近いBETAが後方から来ていた事を知り、タケルと冥夜の冷静さを失わせる結果にも繋がっていた。 「流石はオリジナルハイヴ…か…新種の『母艦級』迫って来る『物量攻撃』そしてあのメインホールで待ち構える大群のBETA……最悪としか言いようがないね。」流石の結城もお手上げ状態になる今回タケルと冥夜がメインホールに到達出来たのも、例の特別設定を生かしてBETAとの戦闘を控えた結果、辿り着いた。 しかし、メインホールはそう簡単には突破出来ない事は良く知っている二人『門級』の脳を操作して開閉作業をしなければならないし、その後脳を破壊しないと後続のBETAを侵入を許してしまう為、破壊作業もしなければならない。 それをたった二人で作業をする事は不可能但し、鎧衣美琴が入れば可能だが、残念だが今回は居ない。「………まあ、今回の目的はオリジナルハイヴを知る事だから、まだ良いけど…このままじゃ駄目だね…」結城の呟きを聞き、苦痛な表情をする孝志達歴戦の武人である紅蓮大将や神野大将ですら、表情を曇らせる。 「……大丈夫です。その対策を今博士が頑張って開発しています…。」「「「えっ!?」」」霞の言葉に驚愕の表情を浮かべる孝志達結城ですら唖然としていた。 「霞ちゃん…それは一体…?」「博士は元々計画上ハイヴ攻略は必要不可欠だった為、『対ハイヴ攻略用』を開発してました。そして、それはオリジナルハイヴ攻略を想定した開発です…」カタカタとキーボードを打ち込む霞そして、画面に表示された映像を見て、タケルの表情に笑みが戻る。 「……これが人類最強の切り札の『戦略航空機動要塞・凄乃皇』です。そして、現在横浜基地でこれを『製作中』です。」映像に表示された凄乃皇を見て、言葉を失いながら、ただ画面に注目する結城達だった…---あとがき--- しばらくぶりです、騎士王です。 今回は遂に公開されたオリジナルハイヴと凄乃皇の話です。 読者様の中には『なんでイキナリ公開したの?』と思った方も居るでしょう。 オリジナルハイヴについては、『全員生還』するには、1ヶ月前から訓練しても遅いと考え、この時期から公開しました。一応佐渡島ハイヴも攻略する予定に入ってるのだから、これぐらいの時期じゃないと、来年は忙しい時期になるので、今回公開しました。 凄乃皇はオリジナルハイヴの件とセットだった為、公開しました。……幾らチートキャラが三人・四人居ても攻略は難しいので、『オリジナルハイヴ攻略+凄乃皇=全員生還が可能になる』……という考えを騎士王は思ってるので、凄乃皇を公開しました。