1月15日・帝国陸軍白陵基地----「「お待ちしておりましたようこそ、白陵基地へ!!」」ヘリで帝国陸軍白陵基地へやってきたタケル達表向きは護衛のタケルと真耶が先に出て、椿と沙耶を先導する そして、出迎えとして白銀夫妻が敬礼しながら待っていた 「ようこそ白陵基地へ私は帝国陸軍第6中隊所属の白銀影行大尉でありますこちらは副官の白銀楓中尉であります。」「白銀楓中尉です、よろしくお願いします。」「えっ…白銀…?」白銀夫妻の自己紹介を聞いて、思わず後ろにいるタケルを見る椿 「…オレのオヤジと母さんです。」「まあ、そうでしたか」タケルの両親と知ると、少し驚く三人『また先生の仕業かよ…』と香月博士のイタズラに頭を抱えるタケル「…タケル、話したい事は山ほどあるが…後にしとくぞ」「わかった、オレもそのつもりだ」少しジト目で見る父・影行だが、覚悟を決めていたタケルは、真摯な表情で父・影行に答える 「…まさか中尉とはね…数日で母さんと同じになるとは…」「しかも斯衛軍だなんて…なんで私達と同じ帝国陸軍に入らなかったの?」「いや、オレの所属や階級は殿下や斉御司大佐や先生…香月博士が決めた事だから…」歩きながら会話をする白銀親子本来はこんな会話は出来ないのだが、椿の御好意により、許可された。 「タケル、アンタ衛士って事は戦術機に乗れるんでしょ?ポジションは何処よ?」「突撃前衛だよオヤジや母さんは何処なんだ?」「父さんは迎撃後衛母さんは強襲掃討だよまっ…母さんの場合は突撃前衛並みに突撃してBETAをミンチにするけどな」「はっ…?」影行の発言に唖然とするタケル 「普通、そんな事したら隊が崩れるんだが、母さんの場合は逆に合理的でな…母さんは接近戦以外なら何でもこなせてしまってな…なんて言うか…強襲掃討でありながら、制圧支援・砲撃支援も一流にこなし、突撃前衛並みに突撃するんだ…接近戦以外ならば誰にも負けないよ。」「……なんですか…そのチートっぷりは…?」母・楓のチートっぷりに唖然とするしかないタケル楓も顔を真っ赤にしながら『影行さんったら…恥ずかしいじゃない…』と小さな声で呟く (…白銀中尉の戦術機の才能は此処から来てるのね…)(親子共々『天才衛士』の血筋…ですね。)ボソボソと小さな声で本音を語る椿と真耶しかし、ちゃっかり白銀親子に聞こえたりするのはお約束だ そして、香月博士の待つシミュレーター室に入ると、まだ幼い姿の社霞と、タケルの見た事の無い少女2人が居た。 「待ってたわよ、白銀~さっさと強化装備に着替えてXM3のテストをするわよ。」「えっ…その前に話は…?」「あのねぇ…白銀…一応建前は『共同開発の視察』なのよ九條家のお二方に共同開発の視察をする『フリ』をしてもらわないと、怪しまれるでしょうに…」「…さいですか…せめて前もって連絡下さい」香月博士から国連軍の強化装備を貰い、更衣室に着替えてくるタケル 「…どう?まだ信じられないかしら…?」「…まだ戸惑っている最中です確かに…あれは私達のタケルだ。」「けど…なんか違和感があるけど…何かしら?」タケルが去った後に白銀夫妻に声をかける香月博士影行は香月博士の話が本当だった為、戸惑っている最中楓は『知っているタケル』とは違う違和感を気にしていた 「多分、それは『別の世界の白銀武』が同化してるせいよ『この世界の白銀武』とは違うモノを持っているから、そう感じるのよ例えば…この世界の白銀武は衛士じゃないけど、別の世界から来た白銀武は、ループした事によって、衛士としての経験が豊富になり、一流の衛士になったわそんな『アンタ達の知らない白銀武』を知った為、アンタが感じる『違和感』として現れたのよ」「…なる程…一理あるわね」香月博士の答えを聞いて納得する楓そして、それから数分後に強化装備を着たタケルがやってきた 「先生、お待たせしました」「さて、取りかかるわよ帝都で取ったデータのバグは取り除いたわ以前より動きは良くなってる筈だから、思いっきり動きなさい」「思いっきり…スミマセン、先生…機体は一体…?」「話には聴いてるから大丈夫よ今回は不知火に搭乗して貰うから、瑞鶴よりはマシよ…それに、不知火の方が動かし易いでしょ、アンタは」香月博士の気遣いに感謝するタケル冗談半分で『武御雷でも良かったのに…』と呟くが、『まだ完成されてない機体頼んでも無理よ』とキッパリと断れてしまう 「さて、始めるわよ白銀やるんならド派手な機動を見せつけてやりなさい」『了解!!』そして、XM3の開発テストが始まる「ウオォォォォッ!!」縦横無尽に飛び回り、仮想敵(アグレッサー)の不知火や吹雪を次々と撃破していく白銀機 空中での倒立反転しながら短刀を装備し、着地と同時に短刀投擲と水平噴射跳躍をし、短刀を回避した仮想敵は接近して来る白銀機の長刀に両断される「----なんだコレは…!?」「コレがタケルの機動…倒立反転しながらの短刀装備し、着地と同時に短刀投擲と水平噴射跳躍を同時にこなすなんて…」モニター室から見たタケルの機動制御に驚愕する白銀夫妻そして、2日前の開発テスト時より上回る機動制御を見せつけられて、驚愕と同時に真剣にモニターに食い込むように見る椿達「フフッ…やっぱりアイツじゃなければXM3は完成しないわそれに---フフッ…どうやらお気に入りになったようね…」香月博士の視線の先には、椿達と一緒にタケルの機動を注目する少女2人が居た 「クリスカ・イーニァ、白銀の機動…どうかしら?」「タケルすごい…どうやったら、あんなうごきできるの!?」「…悔しいけど…今の私達には、出来ない機動制御です。」香月博士が第3計画から追加で連れてきた『紅の姉妹』のクリスカ・ビャーチェノワとイーニァ・シェスチナイーニァは瞳を輝かせながら、タケルの機動制御の仕方を香月博士に質問し、クリスカは悔しそうにタケルの機動を見つめる 「アンタ達もアイツから機動制御を学ばせる時があるから、それまで待ちなさい。」「うぅ~…」(かっ、可愛い…!!)お預けを喰らったペットのように、拗ねるイーニァその姿を見て、楓や椿達が母性本能を動かす「けど、あれで満足したらダメよ?白銀の機動制御は、XM3が完成してからこそ発揮出来るのつまり…『これ以上』の機動制御を持ってるのよ。」「えっ…?」全員が驚愕し、言葉を失うイーニァは違う意味で驚愕し、キラキラと眼を輝かせながらモニターに夢中になる。 「博士…訓練が終わりました…」「そう、それじゃこのデータの解析とバグの処理を後でするわよ、社」「…ハイ」香月博士の言葉に反応し、トレードマークのウサ耳の髪飾りをピョコピョコ動かす霞「社…楽しみ?」「……わかりませんけど、期待する自分があるのは確かです…」「良い思い出が出来ると良いわね」「ハイ…」『思い出』という言葉に反応して、笑みを浮かべる霞 モニターに映るタケルを一旦見て、直ぐに香月博士の後ろについて行く 「ふぅ~…スッキリした~」シミュレーター訓練を終えて、シャワーを浴びて汗を落とすタケル着替えてシャワー室を出ると、クリスカが待っていた」「あれ、キミはさっきの…」「クリスカ・ビャーチェノワだ」「ああ…俺は白銀武だ、宜しくな」笑顔で握手を求めるタケル戸惑いながらも、そっと握手に応えるクリスカ 「…タケルは私達の事を知ってるのだろう…?」「ん?もしかして『出身』の事か?」コクリと頷くクリスカ『なる程…』と思うタケルに更に質問が飛んでくる 「…怖くないのか、タケルは…?考えを見透かされ、ヒトとは違う能力(チカラ)を持つ私達に…」「ハァ…なんでそんな風に後ろ向きに考えるかな~…」「なっ…にゃにふる!?」溜め息を吐くタケル後ろ向きなクリスカに、お仕置きの意味を込めて両側の頬を引っ張る「ダメだなぁ~…クリスカそんな後ろ向きばかりになってはダメなのだよっ!!」「は…離せっ!!」引っ張ってた頬をさすりながらジト目で睨むクリスカ 「良いか、ESP発現体だろうと何だろうと、クリスカはクリスカだそして俺や先生と同じ『人間』だ違うか?」「えっ…?」本心で語るタケルを見て戸惑うクリスカ 「俺にリーディングしたいなら、すればいいただ、他の奴には任務以外では滅多にやらないでくれ俺は別にお前達を怖がる理由も無いし、そんな事する必要も無い…まあ、先生みたく笑顔で黒いオーラを放つ事だけは止めてくれ…」「そっ、そんな事するワケ無いだろう!!」があっ!!と怒るクリスカを見てクスクス笑うタケル そして、クリスカの頭に手を乗せて、優しく撫でる「あっ…!!」「だから仲良くしような、クリスカ」優しく頭を撫でられて、頬を赤くするクリスカタケルをリーディングするが、『暖かい色』が見えた為、嘘偽りが無い事を知る 「わ…わかった…宜しく…タケル…」「宜しくな、クリスカ。」素直な気持ちで返事を返すクリスカその返答に嬉しく思い、クリスカの頭を再び撫でるタケル そして、香月博士達が居る研究室に入ると---- 「随分と遅い御到着ね、白銀…おやおやぁ…クリスカが随分と懐いてるわね…流石は白銀、『恋愛原子核』も絶好調に発動してるって訳か…」「な゛ぁっ!?」入室して速攻にいじくられるタケル香月博士の一言で、真耶・沙耶・霞の視線が『<◎><◎>』という風に睨みつけていた「流石は白銀女性を惹きつける事に関しては天下無双ね…殿下には一刻も早く『一夫多妻制』を実現する事を強く言っておくわフフッ…ついでに『まりも』も嫁に嫁いでやってよ…アンタの下にね」「ちょっ…先生…いきなり何を……!!」「「「白銀(さん)…ちょっと…別の部屋て『お話』しようか(しましょう)…?」」」「ちょっ…待って下さいっ!!」タケルの両腕を抱きかかえて拘束する真耶と沙耶霞も背中から抱きかかえるように拘束し、連行する 「た…た~す~け~てぇ~………!!」そのまま三人に連行されて、隣の部屋でタケルをボコボコにフルボッコする「……コワイヨ…コワイヨ…」その様子を騒音で理解し、トラウマが蘇ってブルブルと部屋の隅で震えている父・影行震えている影行を「だいじょうぶ?」と頭を撫でてるイーニァを見て、恥ずかしくも悲しくもある楓 「やっぱり白銀が居ると飽きないわねぇ~♪」タケルをいじくって楽しんでいた香月博士だった…「タケル…だいじょうぶ?」「だいじょばない…」ボロボロのタケルを心配するイーニァクリスカも心配してるのだが、また火の粉が降りかかりそう(主にタケルが)なので、近寄れなかった 「アンタ達、ヤキモチするのは良いけど、まだ白銀には用事があるんだから手加減しなさい。」「むっ…」「ヤ、ヤキモチ等では…」「…スミマセン。」イタズラの根源である香月博士に注意を受ける三人素直にはなれない真耶と沙耶だが、霞1人だけは素直に謝る。「まぁ…白銀はそのまま話を聞いてなさいさて、白銀がボコボコにされて気を失ってる最中に、リーディングとプロジェクションで『白銀の記憶』を見た訳だけど…どうかしら?」「……………」香月博士から問われるが、想像を絶する事に言葉が出てこないでいた。二度のループを繰り返し、様々な試練に巻き込まれたタケルに、慰めの言葉すらかける事が出来なかった。並列世界を移動し地獄のような結末を迎えた一度目の世界ループし、10月22日に戻る事が出来、歴史を変更するものの、タケルの大切な人達を失う結果になった二度目の世界そして、元々住んでた世界で波瀾万丈な生活を楽しんでた、元の世界 その3つの世界の記憶を知り、白銀夫妻や椿達は香月博士の言う事が真実である事が証明され真耶はタケルの言ってた事が真実と証明されたのだった 「今回白銀の記憶を見せたのは特別よ今後誰にも見せるつもりは無いわ…例え殿下でもねそれぐらい白銀の存在は重要機密の塊とも言えるの人類の未来が『希望と地獄』の2つに選択されるぐらいにね…」ゴクリと息を呑む一同タケルの重要性を今初めて理解する。 「並列処理装置の根本理論…『奇跡のOS』と呼ばれるXM3…『歴史』という情報…後は異性だろうが同性だろうが、惹きつけまくる白銀の人徳最初と最後のヤツは置いといても、これだけの機密を白銀は握ってるのよ?白銀の重要性がわかったでしょう?」コクリと無言で頷く一同…すると、イーニァが挙手する 「ユーコ、さいしょとさいごのは、なんでなの?」「最初の並列処理装置の根本理論は、今回は私が覚えてるから『元の世界』に取りに行く必要が無くなったからよ白銀の人徳に関しては、結構莫迦には出来ないモノよ現に政威大将軍・煌武院悠陽殿下を始め、五摂家の斉御司家と九條家斯衛軍大将の紅蓮大将に神野大将そして五摂家に近い武家の月詠家今現在だけでもこれだけの日本の重要人物達と親しくしてるのよ?この後には将軍家縁の御剣冥夜を始めに…内閣総理大臣の娘の榊千鶴帝国陸軍中将の娘の彩峰慧国連事務次官の娘の珠瀬壬姫帝国情報省外務二課課長の娘の鎧衣美琴これらの豪華メンバーに出逢うのよ?此処まで来たら、白銀の人徳も莫迦には出来ないわ。」「タケル…お前…」「ハハハ…今考えてみると…凄いメンバーと出逢ってるんだな…オレ。」「凄過ぎるわよ…」香月博士の話を聞いて驚愕すら通り越して、呆れてしまう白銀夫妻タケル自身も『オレ…そんな人達に馴れ馴れしく接してるんだな…』と再確認する 「あとね、白銀の人徳に惹かれた人物がこの白陵基地に居るわ」「へっ?」「以前、アンタが月詠中尉と対決した時のデータと前回の帝都でのXM3のテストデータを見せたの…そしたら、ソイツ興奮しちゃってさ~、仕舞いには『日本に帰化しても良い』なんて事まで言ったのよ~♪」「だ…誰ですか…その人」タケルに惹かれて白陵基地にやってきた人物が凄く気になるタケル… 「---米国の戦術機開発メーカー『ノースロック社』の技術開発者の『エルヴィン・ロックウェル』あの『世界一高価な鉄屑』と呼ばれた戦術機・YF-23ブラックウィドウⅡを開発した技術開発者の一人よ」「「「---ッ!!!」」」噂に名高いYF-23の名前を聞いて驚愕する椿達と白銀夫妻「白銀の変態機動見たら興奮しちゃってさ~急にブツブツ言い出して『彼の機動特性を生かせる機体を創ってみせる!!』って言って、今現在ハンガーでブツブツ言いながら開発に取りかかってるわ」 「開発って…何を…?」恐る恐る質問するタケル…すると、香月博士は良いカンジに笑みを浮かべて答える。「不知火の改良型を今開発してるのよ。帝国軍の改良とは違うけど…此方の不知火は、アンタの機動特性やXM3を重視した機体に取りかかってるのよ。後々A-01の主力機として目指しているわ。そして、その機体のテストパイロットにアンタを予定してるわ。」「ええぇぇぇぇっ!!?」突然の爆弾発言に驚愕するタケル。他の者達すら言葉が出て来ない状態だった…