「ただいま~。」「あ、おかえりなさい柏木さん」「珠瀬さんにビックニュースだよ☆」「ビックニュース?」街から帰ってきた晴子寮の相部屋の住人である『珠瀬壬姫』がその帰りを迎える。「実はさっき街中でね、白銀見かけたんだ。」「タ、タケルさんをっ!?」「うん、多分仕事中だったと思うな。軍服着た女の人二人連れて歩いてたけど、間違いないと思う。あと白銀、すこーしカッコ良くなっていたよ。」「タケルさんがカッコ良く……ふにゃあ~☆」にやけた顔で『カッコ良くなったタケル』を想像するタマ最初は『女性二人を連れて歩いてた』という言葉を聞いて『ラ・ライバルですかっ!?』とビビったが、『カッコ良くなったタケル』という言葉を聞いた瞬間、先程の不安は吹っ飛び、ニヤニヤと妄想をしていた。「けど、白銀ったら斯衛の黒の軍服着てたな。」「えっ、斯衛軍のですか?」「そうなんだよねぇ~…『この世界』の白銀は斯衛軍なのかな…?それともーーー」「それともっ!?」「ーーーー私達と同じで『ループ』してる白銀なのかもしれない…。」予想外な事にも、晴子の口からループ関連の言葉が出てくる。そしてタマも知ってるかのような反応を見せる。「『違う世界』の社さんが言ってたヤツ…ですよね。」「ウン。…しっかし、白銀が凄い理由が良くわかったよ…。一般人だった白銀がループなんてモノのおかげで、本来居るべき世界から突然絶望的な世界に放り投げられて尚、戦おうと前へ進もうとする白銀は本当に凄いよ…。」「ウン、私達ですら、『平和な世界』に一時的だったけど、生活して『自分達の世界』との違いにビックリしたもんね…。」『元の世界』に一時的に飛ばされてた会話をする二人。そして其処で霞からタケルの秘密を教えて貰う。それは二人に衝撃的な事だったが、同時に『白銀武の物語』を聞き、涙を流す。そしてーーー『お願いします…。もし、白銀さんがまたループしていたら……助けて下さい…。』涙を大粒にしてポロポロと流し、二人にタケルを助けて貰うように頼む霞その姿に心を動かされ、『勿論だよ。』と引き受ける。「白銀も罪な男だよね~。大勢の女性から好意を寄せてるんだから。」「あの~…柏木さんはどうなんですか?」「ん?私?」からかうようにモテモテのタケルの話題を出すと、タマの口からとんでもない爆弾発言が放たれる。しかし、以外にも晴子の反応はのほほんとしていた。「うーん、確かに白銀の事は好意は持ってるよ。『好き』って感情だと思うけど…珠瀬さんみたいに『愛』ではないと思う。まあ、ぶっちゃけちゃえば、恋愛事は未体験だから、良くわかんないんだよね~☆」「そ、そうなんですか…。」晴子の持ち前の軽さの返答に『そ、そんな軽い返答で良いの…?』と内心思うタマ「安心しなよ、珠瀬さん。少なくとも、私に『愛情感情』が芽生えるまでは珠瀬さんを応援するし大体この世界の日本って一夫多婦制だから大丈夫だよ~☆」「そ、そういえば…。」この世界の日本が一夫多婦制だという事を思い出すタマ策士・晴子のイタズラのペースにハマり、『しまったぁぁ…。』とへこむ。「もうこんな時間か…珠瀬さん、食堂に行って晩御飯食べようか。」「ハイ。」丁度晩御飯頃の時間帯になり、部屋から出て食堂へと向かう二人。『あれぇ~?あれは壬姫さんと晴子さん?』食堂へと向かう途中、偶々二人を見つける美琴ちょっとしたイタズラ心で尾行を実行する。流石は父・左近直伝のスニーキング親子揃って段ボール使用し、尾行する。『タケルさん……斯…軍………してるのは驚き……た。』『私……っくり…よ。』「あれ、この会話って……。」そこで美琴は二人の異変に気付く。そして更に近寄り、会話を確認する。「はぁ~…私もタケルさんに逢いたいなぁ~…。カッコ良くなったタケルさん…はふぅ…☆」「コラコラ、こんな所でデレデレとニヤけた顔したら、教官に怒られるよ。」「ハッ!!すみません、つい…タケルさんの顔を思いだしちゃて…」「こりゃ重症だね。」タマのタケルへの愛情っぷりに苦笑いする晴子タマは晴子の一言に対して笑って誤魔化す。その様子を後ろで聞く美琴はーーー 「……ちょっと…仕掛けてみようかな?」そう決心した後、即座に行動に移る。勿論段ボールを被った状態で…。「はあ~お腹一杯です。」「今日は中華丼が有ってラッキーだったな。」食堂から出てきた二人晴子は好物の中華丼を食べれた事に満足そうな顔をする。「この後どうします」「うーん…とりあえず予習でもしよーーー」この後の予定の話題に返答してる最中に出来事は起きた。突如足元に何か引っ掛かり倒れる二人。だかその瞬間、二人の顔を布のような物で巻かれ、腕で抱えるようにそのまま引き摺られてしまう。そして誰も居ない一室に連れてかれると、解放され、顔に巻かれてた布を取って貰う。「なななな…なんですかイキナリ…………って……!?」「イタタ…何なのもう…………えっ?」「ゴメンねぇ~☆イキナリこんな事してビックリしたよね。」解放された二人が見たものは…二人が良く知る人物、鎧衣美琴だった。「よよよ…むぐっ!?」「な、何するのかな一体?(駄目だよ、珠瀬さん。)」突然の美琴登場に慌て名前を呼びそうになったタマだが、晴子が口を抑え、冷静に対応する。「あれ?おかしいなぁ~…。確か千鶴さんと慧さんを狙った筈なんだけどなぁ~…?」「「!!?」」「うーん…………間違えちゃった。ゴメンねぇ~☆」千鶴と慧の名前を聞いて驚愕する二人勿論その様子を美琴は見逃さなかった。「せっかくタケルや香月博士に頼まれたイタズラ仕掛けたのに…失敗しちゃった。」(いい…今、何て言ったのっ!?)(榊さんや彩峰さんは分かるとしても…白銀と香月博士まで知ってる!?)美琴の爆弾発言に戸惑う二人そしてーーー 「ねぇ、ちょっと質問して良いかな?」「な、何…?」美琴の質問に対して恐る恐る答える晴子… 「『ループ』って何か知ってる?」「「!!!!」」流石の晴子も、この一言に驚愕する。そして、その様子を見て美琴はーーー「へぇ~…『ループ』の意味知ってる所を見ると…何処の世界から来たの?」笑顔で質問する美琴だが、二人からすれば心臓を鷲掴みにされるぐらいの緊張感が襲って来る。「はぁ~…やっぱりかぁ~…。壬姫さんは予想してたけど、まさか晴子さんまでループするとはビックリしたよ~。」「「へっ?」」この瞬間、一気に空気が軽くなり、先程の緊張感が無くなる。「ど…どういう事…?」「駄目だよ、二人共~。これぐらいのハッタリに引っ掛かったら、拉致られた時に簡単に誘導尋問されるよ?」「ま…まさか…。」「そうだよ、二人から情報を聞き出す為に『誘導尋問』したんだよ。」「「ええっ!?」」この瞬間、美琴に誘導尋問をされた事に気付く。「ま…まさか…鎧衣さんも…?」「ループして来たのっ!?」「うん、そうだよ~☆」やっっと美琴の真意が伝わり、緊張感がへなへなと無くなっていく。「千鶴さん、慧さん、もう入って良いよ~。」「「えっ?」」「………はぁ。」「おひさ…?」美琴から呼ばれると、入り口のドアが開き、千鶴と慧が入って来る。実は先程二人を倒した際、布をかぶして拉致したのは千鶴と慧であり、二人を部屋に連れた際に逃亡防止に部屋の外で待機していたのだ。「久し振り……で良いのやら、ちょっと戸惑うわね。」「そだね…『久し振り』かもしれないし、二人はもしかすると『数日ぶり』かもしれないし…。」「あ、私達は『暫くぶり』かなぁ~?」「うん…『暫くぶり』だね…。」落ち着きを取り戻した晴子とタマそして美琴から今回の事情を喋り、今回の作戦を実行したと説明され、納得する。「……それで、二人は何処の世界から来たの?」「私達は『二度目の世界』から来ました…って言えばわかりますか?」「---ッ!?え、ええ…『桜花作戦』のあった世界でしょう?私もその世界から来たのよ。」「本当ですかっ!?」二人が『二度目の世界』から来たと知り、驚く千鶴そして自分も『二度目の世界』から来たと告げると晴子とタマは驚く。「鎧衣は『元の世界』から来て、『二度目の世界』の鎧衣の記憶を継承したの彩峰はこの世界の彩峰なんだけど、鎧衣と同じく『二度目の世界』の彩峰から記憶の継承したの。」「ほぇ~…記憶の継承ですか…。」「あと……香月博士や御剣も『二度目の世界』からループして来た…鑑も『二度目の世界のカガミスミカ』が憑依…したみたい。」「ふぇぇ…香月博士までループしちゃったんだ…。」流石に驚きを隠せずにいる晴子タマに至っては……硬直していた。「それじゃ、今日見かけた白銀って----」「そうよ、私達の良く知る白銀よ。つまり、白銀も数回ループして来た存在なの。」千鶴の一言で決定的になる晴子とタマそして----「実はさ……私達、この世界に移る前に『元の世界』に行ってたんだ。」晴子の一言で驚愕する千鶴達だった…。