「フンッ!!」「甘いよ。」止まる事なく敵を切り裂く天狼とsu‐37M2天狼は特殊短刀で両腕を切り裂き、止めにsu‐37M2のモーターブレードで胸部を貫き、大破させる。搭乗するまりもとラトロワは、互いに視線を合わせ、ニヤリと笑みを浮かべる。互いに己の腕を競い、そして自然と背中を合わせ、守り合う。「お見事です、ラトロワ中佐」「なに、即席とはいえ、凄腕の相棒のおかげだよ。」「御謙遜を。」「謙遜などではないさ…。しかし―――」睨み付けるように敵を見るラトロワその不自然さに疑問視する「余りにも脆過ぎる…。何か隠してるな…?」「同意します。機体性能やOSの差が有るにしても、容易過ぎます。」「ああ…それに動きがなんとなくだが…躊躇いが無さすぎる」「…そうですね。」未だに所属がわからないでいる事に不気味な空気を生む敵達…。『イグニス1からジャール1へ』「むっ、こちらジャール1、どうした?」すると、椿からラトロワに通信が入る。『今こちらの戦闘は終了しました。そちらの方は?』「こちらの方は、あと半数以下だ。マリモ大尉が居たおかげで、部隊に被害が出ずに済んだよ。」『そうでしたか…。では、こちらが敵についてわかった事を報告します。』ジャール大隊にまりもが居た事に少し驚く椿だったが、すぐに表情を戻し、報告をする『今回の敵部隊は『無人機』による部隊です。』「む、無人機だと!?」『ハイ。正確には、数人程は衛士が搭乗していましたが、その殆どか無人機でした。』「なんと…。」敵部隊の中身を知り、流石のラトロワも驚愕する。『なんとか敵衛士を捕虜する事が出来ました。その際、尋問(沙耶のリーディング)により、敵部隊の目的がわかりました。』沙耶のリーディングで、情報を得た椿。その内容に驚愕する事になる。『敵の目的は新開発されたばかりの吹雪・改正確には、それに搭載されたXM3です。』「……それでは、敵の正体は…」不安そうに訪ねるラトロワ敵の正体に心辺りがあり、複雑な心境だった。『流石にそこまでは…スミマセン、ラトロワ中佐』「いや…気にしないでくれ。」しかし、未だ敵の正体は不明だった為、とりあえず気を落ち着かせる結果になる。『あと、敵部隊がまだ一個大隊程の戦力が潜んでるようで、現時点での敵の総戦力は四個大隊その内我々とジャール大隊の敵を覗けば、残り二個大隊です。』「そうか…ならば早々に此方も終わらせる必要があるな。」『ハイ。先程ですが、白銀大尉の方も戦闘を開始したようです。私達も早急に白銀大尉達の下に合流するようにします。』「わかった。此方も早くに終らせるとしよう。」敵戦力に当初わかっていた戦力より一個大隊分多い事がわかった。椿達第17大隊も既にタケル達と合流しようと向かっていた。そして通信を終え、ラトロワはジャール大隊とまりもに対し通信を送る。「ジャール1から各機へ。敵の目的と正確な戦力がわかった。敵の戦力は四個大隊、その内一個大隊は既に第17大隊が撃破したと報告があった。そしてその殆どの戦力が無人機と発覚した。」「無人機ですか!?」「そうだ、キーラ更に言うならば、敵の目的は、訓練兵達の乗る吹雪・改正確には、吹雪・改に搭載されてるXM3だ。」「なんだって!?」「…………」ラトロワから情報を聞き、驚愕するキール達しかし、何故かまりもだけは無言で表情を険しくしていた。「…それで、何処まで知ってるのかな、マリモ大尉?」それを見て感じたのか、まりもが今回の件に対し、情報を持っていたとラトロワは察する。黙秘は無理と察し、諦めたかのように、まりもも答える。「…私も昨日突然その情報を得ただけなので、全てはわかりません。ですが、今ラトロワ中佐が報告した内容は知ってました。」「成る程。では聞くが、今回の件はソビエト軍の犯行か?」「「「!!?」」」情報を知っていたまりもに、『ソビエト軍の仕業なのか?』と訪ねるその言葉に驚愕するキーラ達だが、まりもは落ち着いて返答をする。「一応…ソビエトも関わってるとは聞いてますが、本命は別にいると聞いてます。」「それは何処の勢力なのだ?」「それは…私にもわかりません…。」「しかし、コウヅキ博士辺りならば知っているという事か…。」「恐らくは…。」流石に今回の大元の勢力は知らないまりもしかし、ラトロワ達ジャール大隊は、ソビエトも一応関わってると聞き、落胆の表情を見せる。「…まあ、その件は後回しにしよう。訓練兵達が狙われてるとなれば、急ぐしかあるまい。」「ハイ。それでは、さっさと片付けるとしましょう…!!」訓練兵達が危ないと知り、更に動きが鋭くなるまりもとラトロワ「……すげぇよ…。」「ラトロワ中佐はわかるとしても、マリモ大尉もハンパじゃないわね…。」二人の動きを見て唖然とするキーラとトーニャ敬愛するラトロワに関しては理解出来るが、そのラトロワと互角以上の動きを見せるまりもの実力に驚く。(ターシャ…私が向かうまで無事でいてくれ…!)我が子に等しいナスターシャの身を案じながら、次々と敵機を撃破していく…。――――――――――――――――――――――「ウォオォォォッ!!」襲いかかって来る敵機を神威で音速機動で縦横無尽に撃破していく。十機程密集していた所に音速機動で飛び込み、同時に長刀で敵一機を腹部から一刀両断その勢いを殺さずに、しゃがみ反転しながら側に居た一機の脚部を両断、体勢を崩す一機に短刀で胸部に突き刺すそれと同時にバク転し、後方に居た敵に短刀を投擲する。敵も短刀を回避し、神威に突撃砲を向けるが―――既に姿は無く、代わりに背中から長刀を貫かれ、大破する。「……凄い…これが白銀大尉の実力…。」「あんな動き……初めて見た…。」後方でタケルの戦闘を見て唖然とする祷子達神威に搭乗した事もあり、その機動の凄みが更にアップしている為、訓練兵である祷子達には尊敬の眼差しと、驚愕故の唖然とするしかなかった。「お前等なんかに……負けて…られるかぁぁぁっ!!」音速機動で敵を翻弄しつつ、突撃砲と長刀で次々と撃墜していく。敵機はロックオンすら出来ずに翻弄され、音速機動故に動きについていけず、その隙をつかれ撃墜していく。「…って、アレ?」『白銀君…早速音速機動使うとは…やっぱり君もチートなんだね…戦闘開始から速攻で音速機動使って強制解除って…アンタ…。』「ゆ、結城さんっ!?」突然…というか、当たり前なのだが、初っぱなから音速機動を使っていた為、強制解除され、しばらくは音速機動不可になる すーーっかり、その事忘れて暴れてたので、戸惑い、結城の一言にグサリッと刺さる。『まあ、強制解除したのが丁度戦闘終了後だったから良いけど…。』「スンマセン」『これは…改良の余地アリだね。これだけ無茶するんなら、完成はまだまだだね。』神威の改良が必要と判断し、少しだけガッカリする結城夢に描いた戦術機の完成が遠退いたのだから、当たり前である。『…ゴホン、宜しいでしょうか?』『あっ、ゴメンねぇ~☆』「スミマセン」途中、ピアティフがワザとに咳を一つし、『報告…良いでしょうか?』とちょっと睨み気味に答える。『先程、第17大隊から連絡があり、敵部隊の情報を得たとの事です。』ピアティフは椿から報告を貰った内容をそのまま伝える。情報を知らない真耶や冥夜達そして敵に標的にされたナスターシャ達も驚愕する内容だった。ただし、タケルだけは既に知っていた内容であり、冷静に聞いていた。実はタケルは香月博士から詳しい情報(鎧衣課長経由)を得ていた。そして今回の敵の正体―――反対勢力である『第五計画派』だった。第五計画派は前回『明星作戦』でG弾発射失敗を下に段々と力を弱めていた。第五計画派達はG弾失敗は『香月博士の仕業』と考えてるが、証拠が無い為どうしょうもなかった。しかも今は発射失敗のせいもあり、G弾に対し反対派が大多数な為、力が弱く、先の『明星作戦』の件の真実がバレれば、世界中を敵にするかもしれない為、公には出来ないでいた。そんな時に日本で新OSが開発され、従来のOSに比べ、衛士の生還率が倍以上に上がり、その成果は『本土防衛戦』『明星作戦』で証明されているそんな理想的な新OSにとある噂が流れた。『新OSを開発したのは、香月博士だ』その時ふと浮かんだのが、新OSを使った罠直接新OSに罠を張るのではなく、間接的…つまり、新OSを『餌』にして他の勢力でぶつければいい。そして自分達はその隙に香月博士に大打撃を与えればいい。そして今回―――都合の良い事にソビエト軍が新OSの件で問題があったらしく、『餌』には丁度良かったらしい。そこで第五計画派はソビエト軍に甘い話を持ちかける。同時に各国のテロ組織等にも情報を与え、とりあえず帝国や極東国連軍の目眩ましになる。そして自分達は香月博士にとって、大打撃とは―――― (横浜基地に…行かせてたまるかよっ!!)そう――第五計画派の最大の狙いは、『横浜基地襲撃』である。第五計画派は今回の襲撃者達にはこう情報を与えていた。『もし――訓練兵の乗る戦術機を奪えなかった場合は――横浜基地と厚木基地を襲えば良い。厚木基地は今の戦力は脆弱横浜基地も出来たての基地故に戦力的にまだ怪しい。ならば、厚木基地を抑え、横浜基地から来る部隊を撃破したのち、戦術機を奪えば良い。』勿論、ソビエト軍やテロ組織達も第五計画派の言う事を全て信じてる訳ではないしかし、嘘はついていないし、何よりリスクは高くても、得るモノも高い為、悩むだけ悩み、今回四個大隊という数を揃える事が出来た。戦術機は裏ルート等で揃えたが、とあるテロ組織は、国連のユーコン基地から盗み出すという大技までしでかしたのだ。…まあ、それに乗って、ソビエト軍も『戦術機が盗まれた』と言って、日本にコッソリと送ったのだが…。そして、第五計画派は、それに準じて横浜基地を襲撃する予定だか、けして『襲撃』であって『殲滅』ではない。横浜基地を襲撃した、第四計画に影響する程度にダメージを与えれば御の字なのだ。そうすれば第五計画が息を吹き返し、その時こそ香月博士を完膚なき叩き潰せる。――という情報を鎧衣課長から得たのだった。(やらせるかよ…絶対に守ってみせる!!)ギリリッ…と歯を喰いしばり、横浜基地を守る事に強い意志を見せる 「タケル~♪タケルの専用機って、ちょっと変わってるよね~?」「ん、なにかだ?」すると、相変わらず呑気な声でタケルに話しかける美琴シリアスな場面をブチ壊されてしまうが『まあ…美琴だしな…』と内心苦笑いする。「だってさ、本来背部にはマウントが付いてるけど、タケルの機体は『シールドが装備』されてるでしょう?」「ああ、そういう事か。これは『可変式飛行シールド』って言ってな。盾でもあり、もうひとつの跳躍ユニットでもあるんだ。」「「「へっ?」」」タケルの返答に唖然とする一同。「普段は背部に装備して跳躍ユニットとして使うんだ。…といっても使う時は、音速機動の時だけどな。そして背部に装備してる際は、シールド内に付いてるマウントで武器を装備出来るんだ。元々折り畳んで少し小さくして背部に装備してるから、盾として使う際は、広げて使うんだ。」「それじゃ、盾として使う際は、マウントを使って後方に狙撃する事出来ないんじゃない?」「まーな。確かにそれは欠点だけど、盾として使う際は内にマウントが付いてるから、武器交換が通常より素早く出来るのが長所でもあるんだ。」可変式飛行シールドの説明をするタケル千鶴の疑問に答え、他の性能についても説明する。「防御力に関しては、36mmは無効化120mmに関しては、一点に集中で連射でもしない限り、破壊される事は無いんだ。」「ふえぇぇ…凄いです…。」「しかし、それだけ頑丈な素材を使ってるなら、戦術機に使った方が良いのでは…?」「残念だけど、かなり希少な素材で高価な物でな、戦術機丸々一機に使う事は出来ないんだ。」高い防御力に驚く壬姫唯依がふとした疑問には、高価で希少な素材な為、無理だと返答を返す。「―――っ!さてと…敵のお出ましみたいだぞ…。」すると、レーダーに敵影のマーカーが映り、同時に警報が鳴り出す。「ん…ファントムか…?その割には何かかわってるような…?」「いや違う…あれはファントム等ではないっ!!」発見した敵部隊の機体がファントムに似ていた為勘違いするタケルだが、真耶が敵の機体の正体に気付く。「あれは…戦術歩行攻撃機『A‐10・サンダーボルトⅡ』だっ!!」敵機の正体に驚愕する真耶『大砲鳥』カノーネンフォーゲルと称されるサンダーボルトⅡが圧倒的な存在として現れた…。