2000年・8月20日横浜・横浜基地ーーーーーー「遅いねぇ~…夕呼は何してるかな?」「さぁ…?」現在、タケルと結城・美琴・晴子の四名は横浜基地に来ていた。ドーバー基地での通信後、涙と笑いの別れを告げ、タケル達は日本に帰還した。特に霞に関しては、ドーバー基地内では爆発的な人気な為、多くの者達が涙した。また、タケルの体調も回復し、訓練出来るまで回復していた。そして今日ーーーー秘密裏にタケル達は横浜基地にやってきた。本来は来年迄は来ない予定だったが、内容が内容な為、仕方無く来ていた。「ハ~イ。遅くなってしまってゴメンねぇ~♪」「謝ってるセリフじゃないですよね…それ。」遅刻して来た香月博士が明るい声で謝罪するが、勿論言葉だけで、これっぽっちも気持ちが籠もっていなかった。「会議が思ったより長引いたのよ。かと言って、アンタ達は秘密裏に来てるから、おいそれと連絡出来ないし、ピアティフに頼もうにも、今ちょっと野暮用でいなかったから、アンタ達に遅れる事が伝えられなかったのよ。」「…まあ、それならば仕方ないけどさ…。」遅刻して来た理由を聞き、納得するタケル達。結城も渋々納得する。「こんな所に居ても話は始まらないわ、移動しましょう。」香月博士の後に続くタケル達。しばらく地下に降り、とある部屋に入ると、一際大きい装置が有り、そのそばで純夏・クリスカ・イーニァとタケル達と一緒来た霞が何やら見慣れぬ小型な装置を作業をしていた。「あっ、タケルちゃんだ~♪」「タケルしばらくぶり~♪」「…タケル…しばらく振り…。」タケルにしばらく振りに会えて喜ぶイーニァトテトテと小走りしながらタケルに抱き付く。その後ろでクリスカがデレながらタケルに近寄る。その姿を純夏と霞は笑みを浮かべながら作業を進めていた。「夕呼~?この大きい方の装置は何なの~?」「説明するからちょっと待って頂戴。」大きい方の装置に興味を持ち、質問する結城だが、香月博士は質問を一旦置くと、作業を終えた小型装置をカートでガラガラと押して来る純夏に指示を出す。「…ナニコレ?」「簡単に言えば、この装置の小型で簡易版にしたヤツよ。言葉より実際に見せた方が信用性がアンタの場合はあるでしょ?」「まあ…ね。」カートに乗っている小型の装置に大量のケーブルを繋ぎ、準備をする純夏達最後の一本のケーブルをパソコンに繋ぎ、準備完了する。「…さて、これからこの小型の方の実験をするけど…この装置の中央に注目して。」「中央って、この二つのガラスの事?」「そ。その中に有るのは『コーヒー入りのカップ』と『何も無い状態』よ。今からこのコーヒー入りのカップを、こちらの『何も無い方』に移すわ。…勿論、手で移すなんてボケは無しよ。」「…………へっ?」香月博士の説明を聞き、思考が停止する結城そんな結城を無視して装置を稼動する。「…まだ足りないわ…社、電力を上げて頂戴。」「…ハイ。」香月博士と霞が装置を操作する。そして、香月博士の指示通りに霞が電力を上げるとーーーーー「あっ、ガラスの中が光出したよ!?」「えっ?」美琴の声に反応した結城がガラスの中を注目するとーーーー「………えっ?」『コーヒー入りのカップ』が一旦消え、『何も無い方』のガラスの中からコーヒー入りのカップが光と共に現れた。「…転移…だって…?」「そういう事。けど、この装置はね『ワンピース足りない』から、すぐに元に戻るのよ…ホラ、こんな風にね。」転移したカップは再び光出し、何も無かったかのように元のガラスの中に戻っていった。「まあ、装置の詳しい説明すると今日中に終わらないから省くけど、今回結城達に来てもらったのは、こっちの大きい方の転移装置を使う為よ。」「こっちの転移装置を?けどワンピース足りないんじゃないの?」香月博士の説明を聞き、理解する結城。しかし、先程の小型の転移装置と香月博士の発言を聞いた状態で大型の転移装置を起動する理由が理解できず、質問する。「そうね、確かにこっちの小型の方は足りないわ。けど、この大型の方は有るのよ…アンタの隣にね。」「へっ?」香月博士の言葉に反応して、周囲をキョロキョロする結城しかし、周囲にあるのは…後方にクリスカとイーニァ右後ろに美琴と晴子前方には、香月博士と移動してきた純夏左側にはーーーーーータケルとトテトテと移動してきた霞がいた。「…えっ?」「そうよ。白銀と社これが小型の方に足りなかった『ワンピース』よ。」「ハイ……?」流石の結城も思考停止する。当たり前だ。結城にしてみれば『何かしらの装置』だと思って辺りを見回したのだ。しかし、香月博士の返答はタケルと霞『人間』だとは流石に想定外もいい所だ。そして、結城がとった行動はーーーーー「…駄目だよ、夕呼…。そんなに無理しちゃって…ホラ、仮眠室は何処だい?僕が手を貸して連れてってあげるからさ…。」「またそれかーーーー!!」香月博士の腕をつかみ、仮眠室迄連れてこうとする結城目尻には涙を溜めながら、可哀想な目線で香月博士を見る「別に寝不足でも仕事による疲れでも何でも無いわっ!!今回は真面目も真面目よっ!!」「けどさ~…いくらなんでもそれはないよ?確かにこの転移装置は凄いよ?完成すれば物資の運搬や戦場に戦術機とか色々運べるかもしれない。…けど、その装置を完成するには白銀君と霞ちゃんが必要だなんて、どういう事だい?」「それは見てみれば分かるわよ。それと、この転移装置はもう完成してるわよ。ただ、さっきも見た通り、転移したモノが直ぐに戻る原因を取り除くには、白銀と社の力が必要なのよ。」「何で?霞ちゃんは夕呼のサポートという意味なら分かるよ?けど白銀君は違うでしょう?白銀君が頭悪いなんて微塵も思ってないけど、けど彼の本領発揮するのは戦術機関連だ。決してこういった事じゃないよ?」「あぁ~もう~!さっきも言ったけど、詳しい説明すると1日じゃ足りないわよっ!!大体説明したって、アンタの場合眉唾以上の話になるから難しいのよ。」「眉唾以上って、例えば?」「…実は私は平行世界からやって来た「うわぁ~…眉唾以上どころの話じゃないよ…。」…だから難しいのよ。」結城の説得に難航する香月博士。例えじゃなく本当の話をしたのだが、100%否定した為表情を苦々しくする。「ええい、埒があかないわ、結城、ぶっちゃけて言うわよ。アンタ、白銀・鎧衣・柏木と一緒に転移して来て頂戴。そこで神威の件の解決策が出てくるかもしれないわ。」「ハッ?」「安心なさい、ちゃんと人間を転移する事は成功してるから。白銀と柏木がそうよ。」「いや、なら僕が行く必要は「アンタが行かないと話にならないのよ」…だけど」ギャアギャアと言い争う香月博士と結城。その様子を生暖かい目で見守るタケル達そしてーーーー!!「ええい、仕方無いわ。プランBに移るわ。」「プランB?…っていうか、クリスカちゃんとイーニァちゃん?何で僕の腕を掴むのかな?」香月博士がプランBを発令すると、クリスカとイーニァが結城の腕を掴む。クリスカは申し訳なさそうな表情だが、イーニァは楽しそうに『かくごしてね、ユウキ♪』と呟く。そしてーーーー純夏が申し訳なさそうな表情で結城の前に立ち、革手袋をギュッと履く。「………純夏ちゃん…一体何を…「ゴメンねぇ~…結城さん。一応手加減するから安心してね~。」ヤッパリィィィィッ!!僕白銀君みたいに補正入ってないから死んじゃうよぉぉぉっ!!」純夏の拳が自分に唸ると悟る結城。逃げようと暴れるが、女性とはいえ、クリスカ達軍人には叶わない。「いくよ~…ボディッ!!」「グハァッ!!」キレイに結城のボディに純夏の拳が入る。意識は有るものの、身体に力が入らない状態の結城は某宇宙人のようにクリスカ・イーニァに引きずられ、転移装置の中に入れられる。「ホラ、結城の荷物よ。あと、例の件忘れてないでしょうね?」「ハイ、ちゃんと覚えてますよ。」懐のポケットから財布を取り出すタケル。中身は、かなりの金額のお札が入っていた。「元の世界でつかえそうなモノ色々買って来て頂戴。以前柏木達が持ってきたゲームとかでも役に立てば何でも良いわ。XM3みたいに戦術機や兵器関連に役立つヒントがあれば、使う手はないわ。」『元の世界』での娯楽から生まれたタケルの機動特性とXM3そして晴子とタマが持って来たゲームガイや各ソフトを調べ、様々な技術やアイデアに香月博士は目を付けていた。こちらの世界とは違い、娯楽にも様々な技術をつぎ込んでる様子を予想した香月博士は、こちらの世界より柔軟な考えをむこうの世界は持っている…と考える。現に前の世界の時は、自分が行き詰まっていた理論をむこうの世界では、クソゲーをやって閃いたと聞く。つまり、この世界には無い技術と発想が有るという事。そして、それを手に入れれば、XM3のような発明や『何か』を手に入れれると考えていた。「さて、白銀達も入って頂戴。あと、社と…『スミカ』…頼むわよ。」「…ハイ」『任せて下さいッ!!』スケッチブックや写真を用意する霞と、軍服を脱ぎ出し、その下に着ていた 零型特殊強化装備が姿を見せる。「先生、もしかして…。」「そうよ。今回は人数が人数だから、スミカも付けるわ。ただ、スミカの能力は零型特殊強化装備無しだと社以下になるし、本人の負担がかなりかかるから、今回は 零型特殊強化装備を使うわ。 」「大丈夫だよ、タケルちゃん。」『霞ちゃんも居るし、大丈夫だよ。』「…無理すんなよ。」純夏の頭に手をのせて、優しく撫でるタケル霞にも撫でながら『純夏を頼む』と言い、霞も『任せて下さい…。』と笑顔で答える。そして、美琴・晴子・タケルの順に転移装置に乗り込み、扉が閉まる。すると、転移装置の内部スピーカーから香月博士の声が聞こえる。『聞こえるかしら?今から転移させるから、柏木・鎧衣は白銀にガッチリと捕まりなさい。鎧衣は白銀のサポートで元の世界を強くイメージしなさい。柏木は、アンタが行った元の世界をイメージして、その世界に行けるようにしなさい。白銀は結城と荷物をシッカリと掴みながら、以前通り強く元の世界に戻れるようにイメージしなさい。上手く行けば、以前柏木と珠瀬が行った元の世界に行けるわ。万が一行けなくても、向こうの私に会って説得しなさい。今回の任務は、むこうの世界で神威の材料の調査と交渉、上手く行けば調達の準備とかもして頂戴。あと、向こうの世界の使えるモノの購入よ。これは最悪入手失敗しても構わないけど、神威の件に関しては失敗は許されないわ、良いわね?』「「「了解!!」」」香月博士の任務内容を聞き、返事を返すタケル達。すると、少し動けるようになった結城が少し混乱する。「えっ?えっ?本当に装置を起動するつもり!?」『するつもりじゃなくて、してる最中よ。ホラ、パラポジトロニウム光が現れたわ、結城も白銀にガッチリと掴んでて頂戴。』 パラポジトロニウム光の光量がドンドン増していく。混乱する結城だが、香月博士の言うとおりにタケルを掴んでた方が良いと悟り、タケルの腕をガッチリと掴む。『向こうに着いたら、詳しい話は白銀に聞いて頂戴。あとーーーー巻き込んでゴメン。』「えっーーーーー?」香月博士の最後の一言に驚く結城それと同時に光量が最大迄高まりーーーーーー転移する。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「……うーん……イテテッ!?」純夏のボディブローされた痛みで目が覚める結城お腹をさすりながら辺りを見回してみるとーーーー辺り樹木が生い茂っていた。「…ここ…何処?」先程まで横浜基地の地下に居たはず。それがこんな所に自分が居るという事は…。「転移は…一応成功なのかな?まぁ…着いた場所が山の中って所を除けばねぇ…。」皮肉そうに呟く。確かに転移はしたが、山の中では成功しても微妙な気持ちになる。「あっ、結城さん気付きましたか?」「純夏ちゃんのキツ~イ一発のおかげでね…イテテッ」「ハハハ…スミマセン。」茂みからタケル達が現れ、少しホッとしながらイヤミを言う結城晴子や美琴が心配そうに『大丈夫ですか?』と声をかけてくれる事に少し感謝しながら大丈夫と答える。「ところでここは何処なの、白銀君」「あそこの大木わかります?」「大木?あの周りが見渡し良さそうな所の?」「ハイ」タケルの指差す場所を見てみると、見渡しの良い場所に一本の大木が見えていた。「あそこに行けば、ここの場所が何処なのか分かりますよ。」「ふ~ん、なら行こうか。」痛みに耐えながら、目的地まで歩いて行く結城そしてーーーーー茂みを抜け、大木の下に辿り着くと、驚愕と困惑が待っていた。「………………………えっ?」その光景はーーーーーーかつて自分と親友達が過ごしていた町そして、今は滅びて無くなった筈の大切な町がーーーーそこにはあった。「これは…どういう事かな…?」震えながらタケルの方を見る結城「何で『柊町』がここにあるんだいッ!?」信じられない出来事に戸惑いながらも、タケルの襟を掴みながら質問すると、苦笑いしながらタケルが答える。「落ち着いて下さい、結城さん。今ちゃんと説明しますから」結城を落ち着かせ、襟を掴んでた手を離させ、ゴホンと一度咳を出す。「まずは、説明する前に一言」「な、なんだい?」ゴクリと息を呑む結城そしてーーーーーー「ようこそ、『元の世界』へ。ここは俺達が居た世界とは別な世界…並列世界と言えば通じるかな?」「ハ…ハアァァァァァァッ!?」タケルの言葉に結城の大声が辺りを響かせていた。あとがき騎士王です。今回も読んで頂き、ありがとうございますm(__)m今回、この話を作ってる最中に知った事ですか…(皆さんは知ってると思いますが…orz)ラトロワさん…生きてたorzそしてーーーーーータケルちゃんの母親の名前って、『白銀光(風守光)』って名前で白の斯衛だったんですね…orzしかも影行は技術者で唯依の父親や巌谷中佐と面識あるときたもんだ(だったかな?)しかもそれが明らかになったのは、ゲーム版のTE(だっけ?)騎士王はゲーム版のTEは持ってなかったので、全然知りませんでした。ラトロワさんの設定や影行夫婦の件はTEが発売する前に作った設定なのでどうしょうもありません。…もう、ここ迄きたら修正は難しいので、孝之や慎二の時と同じく、このままの設定で行きますので、御了承下さい。ハア…orz影行夫婦よりラトロワさんの件が一番イタイなぁ…。