「う…ん……………ん?」目を覚ますと、見知らぬ天井が見え、起き上がりながら辺りを見る「此処は…何処だ…?」寝ぼけながらも脳をフル回転させるタケルそして出た結論は--- (…もしかすると『御剣家』の一部屋か…?)以前、御剣冥夜と御剣悠陽の実家の御剣家に訪ねた時があり、(強制連行だが…)その内の一部屋に似ている記憶があった (やっぱり、悠陽や冥夜の実家----痛っ!!)すると、突然の頭痛が襲い、膨大な『記憶』が流れて来る!! (BETA……横浜基地…?戦術機…G弾…凄乃皇四型…!?)徐々に流れて来る『記憶』に少しずつ『理解する』タケル…そして--- (柏木…伊隅大尉…速瀬中尉…涼宮中尉…!!)そして、尊敬すべき先任達の記憶と悲しき別れの記憶…(神宮司軍曹…委員長…彩峰…美琴…タマ…)そして、最も尊敬すべき恩師と苦楽を共にした仲間達の様々な記憶…(冥夜-----!!純夏-----!!)そして、こんな自分の事を最も愛してくれた二人の記憶----- 「ハァ…ハァ…コレは…もしかして…!!」今、タケルの脳裏にひとつの『考え』が浮かび上がる 「『帰って来た』…のか…?『BETAのいる世界』に…?」『三度目』のループだと答えを見つけるタケル記憶が『全て』思い出すと同時に涙が溢れてきた「やった…やったぞ…白銀武…!!」記憶を思い出したタケルにとって----『三度目のループ』は…望むべき『願望』だった…「これで…みんな…みんなを…救える…!!」納得のいかなかった『一度目と二度目』のループ一度目は力が無かった----二度目は覚悟が足りなかった---- だが、今回は違う----!! 「今回こそ…今回こそみんなを救ってみせるっ!!絶対に…あんな悲劇は二度とゴメンだっ!!!」右手を拳にし、力強く握り締める。決意は決まった----やる事も決まった----力も覚悟もある----次する事は----!!「……まずは情報を集めよう…ここが『三度目の世界』であるならば、『御剣家』では無い筈……という事は----」記憶を振り絞って出した結論は----「…帝都…なのか…?」以前までのループと違い、『白銀家』でのスタートでない事に少し戸惑うタケル。しかし、このような豪華絢爛な和風な部屋は滅多に有るモノではない特に『BETAの居る世界』ならば尚更まず浮かび上がる答えは『帝都城』帝都城ならば、この作りは納得する日本を象徴とする帝都城ならば、この豪華絢爛な部屋も当然の事「…という事は…京都か仙台の帝都城…なのか…?それとも高位の武家の家なのか…?」益々わからなくなってきたタケル混乱しそうだったので、考えを切り替える事にする (とりあえず…場所は保留にしとこう…次は…今は何時頃の時代なんだ…?)普通に考えれば『2001年10月22日』なのだが、今回のループは違う。目覚める場所が違う為、何か『違う』気がしたタケル。辺りを見回してみるが、カレンダーは無く、唯一骨董品みたいな古い柱時計があった (日付は9日…時間は夜中の2時12分か…)日付は違う時間帯も違う年号はわからないこの部屋では情報が全く無い為、難航するタケル (参ったな~…情報が少な過ぎる)ボリボリと頭をかきながら寝台から起き上がる事にしたタケル。すると----!! 「目覚めたようですね…タケル様…」「悠陽…殿下…?」知っている『煌武院悠陽殿下』とは少し『幼い感じ』がした為、一瞬戸惑うタケル 「殿下…先に入られては困ります」「大丈夫ですよ、真耶さん」すると、悠陽殿下の後ろから真那中尉が現れ、悠陽殿下の前に立ち、タケルを警戒する(あれは月詠さんの従姉妹の月詠真耶さん…だっけ?)タケルも数回程度しか合った事が無い為、少し困惑する。「貴様…白銀武か…?」「ハイ、オレは白銀武です…。スミマセンが、今の年号と日付を教えてくれませんか…?」真耶中尉に質問に正直に答え、タケルも真耶中尉に質問する。「…今は『1998年1月9日』だ」「せ、1998年ッ!?」予想外な年号が出た為戸惑うタケル 「そ、それじゃ、此処は何処ですか!?」「仙台の第二帝都城の一室だ」「えっ、ええぇぇえぇぇっ!?」更なる返答に混乱するタケル 「今度は此方からの質問だ正直に答えよ」鋭い眼光を放ちながら、タケルに問いただす「貴様は何者で何故光と共に現れたのだ?」「…その時の詳しい状況を教えて下さい…」タケルの心の中で『やっべー…もしかして大勢の人に見られた…?』と嫌な汗を流しながら真耶中尉の返答を待つ 「数時間前…殿下がその日の作業を終えて、寝室に向かう際、とある渡り廊下で帝国斯衛軍大佐の斉御司兼嗣殿と出逢い、少し話をしてた際、貴様が我等の目の前で光と共に現れたのだ」「ノゥ…やっちまった…」目撃者が三人だったのは幸いだが、少なくとも『斉御司大佐』の事は全く知らない人故に焦りが生まれる「大丈夫ですよ、タケル様…斉御司大佐には此度の事は内密にと言って起きましたので、他の方には漏れる事はありませんわ」「ふぃ~…有り難う御座います…殿下…」少し安心したタケルそして、真耶中尉の問いに答える 「オレは『この世界』とは違う並列世界から来ましたただ、以前『BETAのいる世界』に飛ばされた事があり、『二度の結末』を見て『元の世界』に帰りました…」「違う『並列世界』だと?詳しく話すのだ」「良いですけど…眉唾的な話ですよ?」「それでもだ」「……わかりました…これから話す事は…全て『真実』です」タケルの真っ直ぐな眼を見て『嘘では無い』と悟る悠陽殿下と真耶中尉… 「始まりは…オレん家から始まりました…」2001年10月22日---全ての『始まり』は其処から始まった---- 『一度目』は何が何だかわからない自分は混乱し、横浜市柊町をうろつき、廃墟とした光景に唖然とした… 幼なじみの家は撃震で破壊され、周りの建物も同じように破壊されていた 辿り着いた場所は『国連軍横浜基地』その場所は自分の通ってた学校の有った場所だった…その後、正門前の衛兵に怪しまれ、捕まるが、此処である人物に出逢う。『国連軍横浜基地副司令・香月夕呼』皮肉にも、『元の世界』での知ってる人物であり、お互いに切っても切れない『縁』である彼女に出逢い、拾われたのだ「…あの『魔女』の知り合いとは…」「確かに先生は他の人にしてみれば『油断出来ない人物』ですが、『中身』を見れば『優しくて頼りがいのある人物』なんですよ堅い考えと偏見な見方を止めて、よ~く中身を見れば理解出来ますよ…ただし、それまでにどんな理不尽な『イタズラ』が待ち受けてますけどね…」「な、何故泣く!?」夕呼の事を理解してるタケルが真耶中尉に『香月夕呼』の事を説明するが、その最中に『悲しき記憶』が蘇り、るーるー…と涙を流す …それからタケルに『生きる術』を教える為に『訓練兵』として学ぶ事になった その際、『元の世界の恩師』である神宮司まりもに出逢い、『207B分隊』に配置される。 そして、其処でかけがえの無い仲間達と出逢う----榊千鶴彩峰慧鎧衣美琴珠瀬壬姫そして…『御剣冥夜』『元の世界』でも仲の良かった友でもあり、『BETAのいる世界』では大切な仲間だった。「冥夜…様だと…?」 この事に驚愕する真耶中尉だが、冷静に話を聴く悠陽殿下…それから、悪戦苦闘の毎日が続いた。みんなの足を引っ張りながらも、『総戦技演習』をクリアし、衛士になるべく戦術機の訓練をしていた。その際、『元の世界』でのゲームが役に立ち、戦術機の腕前では『天才衛士』と言われるまでに評価されたしかし、様々な事件が起こり出す群馬・新潟沖に佐渡島のBETAが上陸し、『新潟沖BETA襲撃』が発生横浜基地を目標とし、突撃するが、なんとか最終防衛線にて阻止する爆薬満載なHSSTによる『横浜基地強襲』この時は訓練兵でありながら『極東一のスナイパー』である珠瀬壬姫が『1200mmOTHキャノン』を使い、撃墜に成功噴火目前の天元山による『災害救出活動』この時は冥夜と二人で力を合わせ、『第3世代機高等練習機・吹雪』にて御守岩を両断し、マグマの進路を変えて麓の村を救う事に成功する----だが…しかし…『12月25日』----オルタネイティヴ4は失速し、オルタネイティヴ5が発動。選ばれた10万人だけ宇宙の何処かにある惑星に逃げ、地球は残った全人類によるG弾による殲滅作戦が始まった。 「そんな…!?」「ふっ、ふざけてるっ!!G弾による殲滅作戦だとっ!?」「…その後の結果はオレにはわかりません…途中で死んで『二度目のループ』に行った為、『人類の勝利』か『滅亡』かは知りません…けど、『対応』をするBETAの事を考えれば…『滅亡』の可能性の方が遥かに高いでしょう…」タケルの言葉を聞き、絶句する二人だった…「そして、次に『2度目の世界』です…」『二度目の世界』はオルタネイティヴ5を避ける為、『未来を変更する』手段を取った普通ならば絶対に不可能だが、タケルだけは違った 『未来』を唯一知る人物---だからこそ『未来の変更』が可能になった 幸いな事に『一度目』で鍛えた肉体と知識、そして衛士としての腕前は継承していた為、多少の日にちを早め、少しずつ『未来を変更』していた。『新潟沖BETA襲撃』も香月夕呼の力を使い、帝国軍をBETAが上陸する付近に配置し、前回より被害の少ない未来に変更した--- HSSTによる『横浜基地強襲事件』も、前もって監視と脅しを入れ、阻止する 天元山の『災害救出活動』も、強引な手段とは言え、民間人の救出に成功する そして、タケルの機動特性を元に作った新OS・『XM3』を開発後に『全衛士の半数を救うOS』とまで呼ばれる事になる…だが…予期せぬ事態が起きた…帝都でのクーデター事件煌武院悠陽殿下をも巻き込んでの大事件を始めとして、横浜基地に現れたBETAの『トライアル襲撃事件』そして、佐渡島を消滅という結果になったが、『佐渡島ハイヴ攻略』に成功するその3日後にBETA達が陽動などを使い、『横浜基地防衛戦』を発生そして…息を吹き返したオルタネイティヴ5の危機を回避する為-----『桜花作戦』を開始する-- 「…桜花作戦とは…何だ…?」緊張感が張り詰める中、質問する真耶中尉… 「桜花作戦の作戦内容は…『オリジナルハイヴ攻略戦』です…そして…多大な犠牲がある中…桜花作戦は成功しました…。」「「------ッ!?」」人類の念願の夢のひとつである『オリジナルハイヴ攻略』それが現実になったと知り、衝撃が二人を襲う!! ーーーしかし…タケルの表情は暗いまま。『オリジナルハイヴ攻略』を成功したというのに『笑顔』が消えた… 「しかし…桜花作戦で…かけがえの無い仲間達を失いました。委員長に彩峰に美琴にタマ…そして----幼なじみの純夏や…冥夜まで、オレを生かす為に……戦い…二度と逢うことは叶いませんでした…」「-----ッ!?」「冥…夜……が……?」『御剣冥夜の死』を知り、衝撃を受ける二人…タケルの説明を終えて言葉を失う悠陽殿下と真耶中尉「…結論を言うと…半信半疑だな…いきなり佐渡島ハイヴだの…未来だの言われても、貴様の言う通り『眉唾的』な話ばかりだ…」「それは仕方ない事ですよ『証拠』を出せと言われても『物』として有る訳でないから出せませんし…」「そうですわね…」流石に証明するモノが無く、決定的な実証が出来なかったタケル 「…だが、貴様が嘘を言ってる節は見えなかった…だから、とりあえず『話を聞いておく程度』にしておく……でなければ…私は貴様を『殺して』しまいそうだ…冥夜様が…死ぬなど…許されるハズが無い!!」内心怒り心頭の真耶中尉…やはり『御剣冥夜死亡』の話はかなり揺らいだようだ… だが… 「月詠中尉、頼みが有ります…」「…なんだ…?」「オレをーーーー気が済むまで殴って下さい」「「なっ!?」」タケルの突拍子も無い言葉に驚愕してしまう真耶中尉と悠陽殿下 「何故…と聞いて良いか?」「オレは…自分が許せません…仲間達を救えずに…逆に守られる身だった自分に…そしてーーー冥夜の命を……この手で『奪った』自分が許せません…」「…えっ?」予想外な返答に唖然とする悠陽殿下そしてーー!! 「グハッ!!」「貴様ーーーッ!!!!!」一気に怒りが爆発した真耶中尉が渾身の一撃をタケルの顔面に叩き込む!! 「貴様が…貴様が…冥夜様を……ッ!!!!!」タケルの首筋を左手で鷲掴みにし、狂ったようにタケルの顔面を殴り続ける真耶中尉 「や…やめなさいっ!!止めるのです、真耶さん!!」「貴様のせいで……貴様のせいで…冥夜様は…!!!」悠陽殿下の言葉すら届かず、『殺意』を持ってタケルを殴り続ける真耶中尉「駄目ですっ!!このままではタケル様が……死んでしまいますっ!!」「殿…下…?」身体を張って真耶中尉を止める悠陽殿下その際に正気に戻る真耶中尉… 「良いんだ……止めなくても良いんだ……」「しかし、このままでは…」『死んでしまう』---そう口にする前にタケルに頭を優しく撫でられる悠陽殿下 「オレは許せない---幾ら『元の世界』に帰り、記憶を失っていても……こんな自分を『愛してくれた』冥夜を…殺し…その罪を『忘れた事』を……」「えっ…冥夜様が……貴様を…?」タケルの言葉を聞き、ピタリと反応する真耶中尉 目の前の男は少なくとも--自分の利益や保身の為に仲間を裏切る者ではないむしろ、自分が何でも背負い込むタイプに見えなくも無い 「………白銀武『冥夜様の死』を詳しく教えろ…」「ハイ…」タケルは機密情報(凄乃皇等)の事は伏せながら話す…… 桜花作戦時---遂に『あ号標的』のいる間まで辿り着いたタケルだが、しかし…『あ号標的』の攻撃により、『決戦兵器(凄乃皇)』の行動を封じ込め、幼なじみの純夏や同じ搭乗者の霞まで『あ号標的』により、気を失っていた だが、タケル達の瞬間に、『紫の武御雷』に搭乗していた冥夜がタケル達を救い出すものの、『あ号標的』には適わず、触手攻撃により、武御雷ごと、決戦兵器に貼り付けられる S11の自害も封じられ、冥夜の全身に『あ号標的』の触手攻撃により『乗っ取られてしまう』のだった 「そん…な…」絶句する真耶中尉あまりの絶望的状況に言葉すら発する事が出来ない悠陽殿下 「そして…冥夜は……オレに『自分ごと、あ号標的にトドメを刺せ』と言ったんです……」「ーーーーーッ!!」なんて残酷な選択を選ばされたのだ自分を愛してくれた人物を『殺せ』と言われる絶望自分ならば……どうするのだろう… 真耶中尉は…残酷な選択に判断が出来ないでいた… 「そして……冥夜は言ったんです……『御剣冥夜は最も愛したソナタの手で……殺して欲しい…のだ』…と…」ガタリと跪いて戦意喪失になる真耶中尉…あまりの真実に絶望し…力が抜けてしまう 「冥夜…様…」「だから……オレは自分を許せないんです……冥夜を……みんなの『幸せ』を守れず…自分だけ生き残った事に……」涙をこらえながら、食いしばって語るタケル…初めてタケルの『苦しみ』を理解する二人…「…………」言葉を発する事が出来ない状況になり、無言の時間が経つ…… 「……………殿下…話の続きはまた今度にしましょう…時間ももう遅い……お休み下さい……」「ハイ…わかりましたわ…」苦痛な程空気が重くなる……それから逃れるように話を中断する三人… 「…白銀武よ…しばらく待っておれ殿下を寝室まで送って来る」「ハイ…わかりました」部屋を出て、悠陽殿下を寝室まで送る…… そして……時間がしばらく経ち---- 「失礼する…白銀武?」再び部屋に入る真耶中尉しかしタケルからは言葉が出てこなかった 「白銀武…気を失っていたか……」真耶中尉の怒りの猛攻に気を失っていたタケル…気を失っていたタケルの顔に『塗り薬』を塗り、湿布薬や絆創膏を貼り、治療する 「私は---この者の『苦しみ』を理解出来なかった…」先程の出来事に深い反省をする「この者とて---苦しみながらも戦い続けたのだ…なのに…私は…怒り任せに暴れるだけ…」タケルの『覚悟と贖罪』を知った真耶中尉… ボコボコに腫れ上がるまで殴り続けた自分に深い後悔が真耶中尉の背中にのしかかって来た… 「月詠…さん…?」腫れの痛みで起き出すタケル、そして--- 「ん………」「!!!?」優しくタケルの唇に触れ合う真耶中尉の唇予想外の出来事にタケルも驚愕する 「済まなかった…やり過ぎた…コレは…私なりの『償い方』だ…だからと言って勘違いするなよ!?…別に『恋愛感情』で唇を合わせた訳ではないぞっ!!」顔を真っ赤にしながらも誤魔化す真耶中尉… 「…だから……自分を…許してやれ…」優しくタケルの頭を抱え込んで慰める優しく……豊満な胸にタケルの顔を少し埋める「休むが良い……話は後日またしよう…」「………ハイ…スミマセン…でした……」そのまま再び深い眠りにつくタケル…今度はゆっくりと眠りにつけれるように…そっと休息を与える真耶中尉だった…