「タケ…ル…」「えっ…」涙を滲ませながら、タケルの名前を呟く冥夜。その事に驚き、呆然としてしまう「す、済まぬ。人違いでし…」「いや、冥夜…か…?」「-----ッ!!」『冥夜』と呟いた瞬間、冥夜の瞳から涙が溢れ出し、タケルに抱きついてくる。「タケルゥゥッ!!!」「うわっ、ちょっ…冥夜!?」「逢いたかったぞ…そなたに、再び…逢いたかったぞ…。」ワンワンとタケルの胸元で泣く冥夜だが、ニブチンのタケルは、何故突然泣き出したかも解らずに戸惑い、そして周りの人達に『アラアラ…あんな可愛らしい子泣かせて…』と冷たい視線をされてしまう 「め、冥夜、泣き止もうな、ここ…目立つし…」「えっ…す、済まぬ。」やっと気づき、すぐに泣き止む冥夜そして、タケルは冥夜に『確認』をする。 「冥夜…ひとつ確認する…オレと最後に会ったのは…『横浜基地』か…?それとも『桜花作戦』か…?」「…?変な事を聞くな…最後に会ったのは『桜花作戦』ではないか…」冥夜の返答を聞いて『二度目の冥夜』と理解するタケル。そして、次に取った行動は---- 「冥夜、済まないが月詠邸に来てくれ。これ以上の話はかなりヤバい話だからな」「月詠の…?うっ、うむ、わかった…。」タケルの言う事を聞き、月詠邸に向かうタケル。 「ただいま~」「白銀…随分と遅…冥夜様!?」「久し振りだな、月詠。」冥夜来訪に驚き、言葉を失う真耶。「スミマセン、真耶さん。『緊急事態』発生したので、ちょっと付き合って下さい。あと、真那さん…居たりします…?」「真那は任務でしばらくは帰って来ないそれより『緊急事態』とは一体…!?」「それはオレの部屋で話します。」「……わかった。ささっ…冥夜様、上がって下さい。」「うっ、うむ…失礼する。」突然の事に戸惑う真耶だが、すぐに冷静に戻り、冥夜を部屋に案内する。 「…待たせたな、やちるには、急な用事で無い限り近づかないように言ってあるから、安心するがいい。」「ありがとうございます。」「…ところでタケル。何故月詠の家に住んでるのだ…?」「えっ…?」拗ねた感じに質問する冥夜だが、その様子を見て、異変に気づく真耶。 「冥夜様…何故白銀中尉を御存知なのですか…?」「白銀…中尉…?それに何故斯衛の軍服を着てるのだ…?」「あ゛~…今、纏めて説明するから、ちょっと落ち着け」混乱する真耶と冥夜を落ち着かせる「まずは…真耶さん。実は冥夜は…オレと同じく『ループ』した可能性が有ります」「な、なんだとっ!?」タケルの一言に驚愕する真耶。先程の違和感の理由にやっと気づく。「先程確認をした所、冥夜は『二度目の世界』からループして来たようです。…あくまでも推測ですが、冥夜のループの原因のひとつとして、『荷電粒子砲』のエネルギーが原因だと思います」「…成る程、香月博士と同じような理由か…」「こ、香月博士だとっ!?私達の知る博士がこの世界に居るというのかっ!?」「ああ、先生もこの世界にループしてる」冥夜のループの原因を予測し、納得する真耶。自分の知る香月博士まで、この世界に来てる事に驚愕する冥夜。「次は冥夜の質問何故俺が月詠邸に住んでるのかっていうと…先生の仕業だ。因みに中尉や斯衛軍に所属してる理由は、先生や殿下達が話し合った結果…という事だ。」「成る程…それならば分かる…」冥夜もタケルが月詠邸に住み込んでる理由を知り、納得する。そして、タケルは冥夜に自分が三度のループをしてる事を説明し、そして現在香月博士や殿下達と共に『歴史を変更』してる事を説明する 「…そうか…そうだったのか…今やっとタケルの『特別』の意味を知った…それに訓練兵時代の数々の怪しい行動は、そういう意味だったのか…」「まあ…ネタばらししちまうと、そういう事だ。」「道理で…訓練兵時代の兵科や座学が優秀な理由は『既に衛士だった身』とは…もしや、戦術機の機動特性もそうなのか?」「半分正解、半分不正解。俺の機動特性は『元の世界』のゲームで鍛えた物だ。そこから『一度目の世界』で鍛えた結果がアレさ」「ムゥ…なんと…」タケルの説明を聞いて納得する冥夜だが、その瞬間、冥夜の表情が曇りだす。 「…そうか…あの時、神宮司軍曹が亡くなった時…そういった理由で自分自身を責めてたのか…」今やっと気づき、あの頃のタケルの苦悩と悲しみの理由がわかった冥夜。自分の不甲斐なさ、そして自分が『歴史を変えた事』により、恩師である神宮司軍曹を死なせてしまったと、責めてたタケルの悲しみの理由を知る「済まぬ…タケル…あの時の…にゃ、にゃにふるっ!?」謝る冥夜の頬を引っ張るタケル「んな事冥夜が謝る必要なんて、ねーよ…けど、二度と『あんな真似』はするな…もう二度と…お前を…お前達を失う事なんて…耐えられるかよ…!!」冥夜の頬を引っ張りながら、悲しみに落ちるタケル。引っ張ってた手も離れ、力無く垂れ下がる。 「もう二度と…お前等を失わせたりするかよ…もう二度と…この手で、お前の命を…奪わせるな…!!」「タ…タケル…」「もう…おまえ等を死なせてたまるかよ…ゴメン…守れなくてゴメン…」「----ッ!!」自分が行った行為に気づき、タケルに詫びる冥夜。タケルを抱きしめ、涙を流しながら謝罪する。 「…済まねぇ、カッコワリィ所見せちまって。」「そのような事は無い…」泣き止むタケルにフォローを入れる冥夜。冥夜の涙を真耶が拭う。 「ヨシ、気持ちを切り替えて、話を進めよう」「うむ…そうだな」涙を拭い、話を進めるタケル「…まず、この事は先生や殿下達に知らせる必要があるな」「殿下にこの話を伝えるのは、明日にしよう。今日は政務などで忙しいから、明日の午前中にでもしよう。香月博士に関しては、白銀に任せる。」「わかった、先生については任せてくれ。」今後の方針を少しづつ決めていくタケル達「私は何をすれば良いのだ、タケル。」「…冥夜はしばらくは動けないな…」「うむ、冥夜様が動いてしまうと、怪しまれてしまう可能性がある。…少なくとも、冥夜様が戦場に出るのは、明星作戦以降かと…」「ぬっ…そうか…」満足に動けない身である事に無念を感じる冥夜だが… 「冥夜様、ご安心を…極秘では有りますが、冥夜様の身代わりの任の件…『変更』の方向に動いている所です」「変更?」「ああ、殿下の復権と冥夜様の『身代わり及び将軍職の引き継ぎをしない』という条件に解放する動きを進めてるのだ。」「えっ!?」「なんだとっ!?」真耶の一言に衝撃が襲うタケルと冥夜。