1998年・5月11日京都・帝都城---- とある一室に集まったのは、普段お互いに顔を見合わせる事が出来ないメンバー。 極東国連軍・帝国軍白陵基地・オルタネイティヴ4最高責任者の香月夕呼博士 元・ノースロック社技術者・現極東国連軍・帝国軍白陵基地技術最高責任者のエルヴィン 帝国斯衛軍大将であり、最強の武人・紅蓮醍三郎帝国陸軍中佐であり、伝説のテストパイロットと呼ばれる、巌谷榮二そして、そんな中に我等の白銀武がポツリと存在していた。 「…なんでこの中にオレが居るんだ…?」「アンタも上を目指すならば、こういう重要会議に参加するハメになるわよ?それに、今回の会議は今現在開発中の戦術機関連の話よ、別にアンタが居ても大丈夫よ。」「むしろ、居てくれると助かります。シロガネ中尉のアイデアは、時折予想外な斬新なアイデアを出す、そういう意味でも、私にとっては助かります。」香月博士とエルヴィンの発言で『ウムウム…』と頷く紅蓮大将と巌谷中佐を見て、『ええ…』とうなだれるタケル。そんなタケルを放置して、会議は始まる。 「まず今回の題は、現在開発中の不知火の改良機である『不知火・改』について、お話します。」エルヴィンが書類を持ち、説明すると、モニターに映る不知火・改・図面が公開される。 「現在開発中の不知火・改は、通常のタイプ94(不知火)とは違い、機動力を重視した機体になっております。勿論、接近戦・射撃能力に関しても、通常の不知火よりアップしてます。」肩部・脚部スラスターユニットの説明や、二連式跳躍ユニットの説明をし、不知火・改の機体性能についても説明する。「タイプ94の問題点であった、設計上余裕の無い問題については、機体自体を少し大きくし、尚且つ巨大な推進剤のタンクを取り付け、そして、米国製ではありますが、消費電力の少ないパーツを使い、問題点をクリアしました。」「ほぅ…従来の不知火より2mちょっと大きくなったか…しかし、二連式跳躍ユニットとやらで、推進剤の消費が激しいのでは…?」「それについては解決してます。勿論二連式にするという事は、推進剤の消費が激しい事を意味します。そこで、主機であるジャンプユニットを少し小さくし、尚且つ推進剤の消費を抑えるパーツを取り付ける事で、従来の跳躍ユニットより出力は有り、二連式にした事による推進剤の消費の問題も解決しました。最大速度も850キロまで出す事が可能例えシロガネ中尉が全力機動をしても、問題無い程の稼動時間を約束出来ます。」「まっ、元々は白銀を乗せるつもりで開発した計画だから、稼動時間の問題をクリアする事は当たり前なんだけどね。それが、帝国軍の次期主力戦術機にまで話が進むとは…良かったわね、白銀。アンタ、また帝国軍に貢献が出来たわよ?」ニヤニヤする香月博士に心の中で『嘘つけっ!!』と呟くタケル。タケルは知っている---以前、香月博士から聞いた話ではあるが、タケルが『二度目の世界』から居なくなってから、撃震に代わる主力戦術機が現れた『タイプ04・不知火・弐型』を--- そして、その不知火・弐型を香月博士の記憶の有る限り再現したのが、この『不知火・改』なのだそして、エルヴィンをノースロック社から引き抜いた事により、以前から考えていた不知火改良計画を実行したのだ 勿論、香月博士の性格上、不知火・弐型の複製だけでは満足する訳なく、『超えるモノ』を創ろうと考えてた所、タケルの突然の発言とかにより、機動力に関しては超える事は出来たのだ。