「真耶さん…其処までにしないと…『白銀』が本当に死んでしまいますよ…?」「ハァ…ハァ…ハッ…殿下が望むのであれば…」流石にこれ以上はマズイと判断した悠陽殿下は真耶中尉を止める周りに人がいた為『タケル様』ではなく『白銀』と呼び変える タケルはというと…屍と化していた… 「殿下や斉御司様の目の前で…無様な敗北を見せてしまった…」「けど、あれは月詠中尉が『悪い』わよ?」「何…?」落ち込んでいた真耶中尉に追い討ちをかけるように香月博士が語ってくる 「先程の白銀の奇襲攻撃だけど…あれは別に白銀は悪くはないわよ?むしろ『油断』していた真耶中尉が悪いわだって、戦いはいつ何時何が起きるかはわからないわ…そしてそれは戦術機の戦闘方法も同じ事よ?」「ぐっ…」香月博士の言葉に反論出来ない真耶中尉香月博士の言っている事がわかるからだ戦術機の戦闘方法が『銃火器類で撃つか』『刀剣類で斬るか』の2つだけではない場合によっては殴ったり、先程の真耶中尉のように蹴ったりもする 戦術機は人間が出来る行動は全て出来、人間が出来ない事を戦術機は出来るのだ…勿論『投げ技』や『関節技』だって出来るただ、『やらないだけ』だ 戦術機は基本、BETAとの戦闘を基本とする時には人間同士の戦いで、戦術機とも戦う事もある だが、『素手による打撃』や『投げ技』や『関節技』は確かにBETAには有効ではないしかし、戦術機にはどうだろう?人間の兵士だって格闘訓練はする幾ら銃火器での戦闘が最も有効とはいえ、弾数には制限がある接近戦に持ち込めば、銃火器も場合によっては邪魔になる事もある 接近戦して投げ技で動きを鈍らせたりする事も出来る締め技で窒息死や首の骨を折る事も出来る関節技に持ち込んで折れば、戦力を削ぐ事も出来るし、場合によっては『殺害』しないで『捕獲』する事も出来るのだ …そして、それは戦術機にも言える事 投げ技で地面に叩き落とす事が出来れば、機体に大きな損傷を与える事も出来る関節技で手足を折れば戦力を削ぐ事も中で操縦する衛士を捕獲する事も出来るのだただ、実戦でする事は無いだけ相手は大軍で攻めて来るから実用的では無いからた「…………」「今回のアナタの敗因は勝手な思い込みによる『油断』よそして、白銀の奇襲攻撃は成功し、アナタを撃破する事に繋がったわこれが本当の『殺し合い』ならば『捕獲』されてるか………死んでるわよ?」「クッ…!!」流石にグウの音も言えない程香月博士に正論を言われてKOされる真耶中尉 『恥ずかしい気持ちは分からんでもないけどね~♪』と呟きながらイイ感じに笑顔になる香月博士である…うん、あくまだ 「月詠中尉…反論はあるかな?」「…ありませんつい…恥ずかしい場面を殿下と斉御司様に見せて、頭に血が上ってました…」斉御司大佐の問いに素直に答える真耶中尉…香月博士に諭されて、血の気がかなり下がったが……既に遅かった 「これは『罰』を与えなければいけませんねなんせ勝利者の白銀に八つ当たりでボコボコにしてるんだから~♪」イイ感じに笑顔で『でびるふぇいす』になる香月博士弱みをヅケヅケと突かれて真耶中尉のライフポイントがゴリゴリと削られていく そしてーーーー香月博士が下した『罰』はーーー 「月詠真耶中尉、罰として白銀の住居場所を『アナタの家』にしてもらうわ期間は2001年頃に白銀を国連軍に転属するまでよ?それまで白銀と『同棲』して貰うわよ~♪」あくまの宣告を受けてパタリと倒れる真耶中尉「そ…そんな事…受け入れられるか…」「香月博士…それは幾ら何でも…」流石にマズイと感じた悠陽殿下だがーーーーー 「殿下…ちょっとお耳を…」「ハイ?」ゴニョゴニョ…と殿下の耳元で呟く香月博士…次第に悠陽殿下の表情が明るくなり、最終的に笑顔になるほどだ 「真耶さん」「ハイ…」「香月博士の提案した罰…私も賛同致しますわ♪」『バタリ』「つ、月詠中尉っ!?」ライフポイントが0になり、バタリと気を失い倒れる真耶中尉… そんな倒れた真耶中尉を心配してか、心配しながら抱える斉御司大佐 ーーーーちなみに、悠陽殿下が香月博士から聞いた話はーーーー 『殿下…私の目から見ても白銀は『ウブ』な奴でどうしようも無い程の『鈍感』です…このままでは、殿下の好意も気付く事も無く、尚且つ殿下のアタックからも逃げてしまい無念する事になります…それを避ける為に月詠中尉と『同棲』させる事で『乙女心』や『好意』に気付き易くなるように『荒治療』をする必要がありますわ…あとは…殿下が『一夫多妻制』でも法律を改正すれば、月詠中尉とも衝突する事もありませんし…上手くいけば、妹君の御剣冥夜殿との『姉妹としての生活』も可能になるかも知れません』ーーーそのあくまの囁きに悠陽殿下は陥落したのであった (フフフ…恋愛原子核か……面白そうだから、まりもにも参加してもらおうかしら♪)以前聞いた『恋愛原子核』という言葉を思い出す香月博士…どうやら、タケルをハーレムにしたいらしい……「……さて、斉御司大佐、先程の白銀の機動特性はどうでしたか?」「う、うむ……確かに驚くべき機動特性だ…あのような機動…思いつく事すらしなかった…」「そうですか、なによりです…ところで、もし…あの機動が誰にでも出来るようになったら……どうします?」「それは戦力も生存率も…………………まさか…」この時、香月博士の『企み』に気付く斉御司大佐 「そうですわ、斉御司大佐あれ以上の機動を誰にでも可能にするのがーーーー『XM3』ですわ『奇跡のOS』とまで呼ばれ、世界中の衛士の死亡率を半分にまで減らし、幾多のハイヴを攻略に貢献した新OS…それがXM3ですわ」「ーーーーーッ!!!」話に聞いていたXM3が予想以上の効果になる事を知り、ゴクリと息を呑む斉御司大佐それが可能ならばーーー日本の…いや世界中の衛士達の命を救う事になるそして、日本を侵略せんとするBETAや米軍からも守る事も大幅に可能になったのだ 「殿下…そして斉御司大佐…帝国軍…そして極東国連軍による共同開発を提案しますわそれはXM3に限らず、様々な部門に関しての共同開発を意味します」「「!!!!」」香月博士の言葉に衝撃が走る悠陽殿下と斉御司大佐「国連軍の開発したデータは問題の無いモノであれば、そちらに提出しますそして、それらの開発データを見て『純国産製』を飛躍させるのも良しですが、代わりにそちらの開発したデータを問題の無いモノで宜しいので提出してください場合によっては、それらを改良したモノなどや要求して来たモノを製作し、そちらに渡す事もありますのでご了承下さい」「…………」腕を組み考え込む斉御司大佐… 確かに美味しい話だ勿論向こうも『何か』を狙っての事だろうが、それにしても、此方側にすれば良い話になる ーー今問題になっている『不知火の改良』の問題についても、恐らくは大幅に改善する可能があるだろう 国連軍から寄越してくる開発データを元にして純国産製の底上げに貢献すれば、飛躍的に上がる可能もあるのだ そうすれば『純国産製の戦術機』も可能になるし、場合によっては頭の固い連中を説得させる事も可能なのかも知れない …いや、先程の機動特性を見て作られるXM3を創り、見せつければ本当に説得させる事が出来るかもしれないそれ程インパクトのあるモノなのだ… 「…香月博士…貴殿の狙いは何なのだ…?」香月博士にソレを問いただすとーーーーー 「政治的な事を言うならば…米国の計画を木っ端微塵に粉砕する事そしてーー個人的の意見を言うならーーーーー」一旦目を閉じて言葉を止めるそして再び目を開くと同時にーーーー純粋な笑顔で答える 「『ガキ臭い英雄さん』の望みを叶える為に後押しする為ですわ」クサいセリフを口にしながらも、思わず笑ってしまう香月博士 そして心の中で呟く(私もーーーーー誰かさんのおかげで甘くなったわね)そんな事を考えながら少し苦笑してしまう香月博士 (まりもーーー今度は死なせないわよーーー)二度と友を死なせない為に心に誓う そしてーーーーー 「斉御司殿…」「…仰せのままに…」全ての決断を悠陽殿下に託す斉御司大佐斉御司大佐の考えも悠陽殿下と同じようだ「…香月博士…そなたの提案…お受け致しますわ…」「ハッ、有り難き幸せで御座います…」こうして、この日帝国軍と極東国連軍との共同開発計画が始まったのである…