1999年・1月15日「ゴホン…楽にして良いわよ」国連軍代表として、香月博士が訓練兵達の前に現れ、マイクに近づき、語り出す。 「卒業おめでとう今日からアナタ達は訓練兵を卒業し、衛士になる事が決まったわ。」珍しくお堅い喋り方で、卒業生である速瀬達の前で演説をする。そして香月博士から少し離れた位置に、タケルとまりも・伊隅・碓氷が、卒業生達を見守る。 今日は速瀬達訓練兵が無事に卒業する日そして、この後香月博士直属の特殊任務部隊であるA-01に入隊する日でもあった。その為、今日は帝国軍の施設内にある体育館に集まり、解隊式を行っていた。「これまでの訓練を生かすのはアンタ達次第。これから地獄へ向かうアンタ達を助けるのは、仲間達でもあり、これまで訓練兵として、学んで来た事でもあるわそれを生かすか、無駄にしてくたばるかはアンタ達にかかってるわ。」香月博士の暴言らしい演説に、内心ハラハラしているまりもしかし、表情には出していないから、流石だ。「神宮司まりも軍曹や白銀武中尉の今までの教えを忘れない事その身体に刻まれた二人の教えを、忘れる事は決して有ってはならないわ。今まで教わった事を戦場で生かし、誇らしく戦いなさい、以上よ。」「気をつけェッ!!香月博士に対し、敬礼ッ!!」伊隅がマイクの前に立ち、速瀬達に敬礼をさせる。 「引き続き、衛士徽章授与を行う」「涼宮遙訓練兵」「ハイッ!!」「只今を以て、貴官は国連軍衛士になったわ。おめでとう」「ありがとうございますッ!!」香月博士から衛士徽章を授与し、敬礼するその後、水月・孝之・慎二と続き、他の訓練兵達に授与されていくそして、衛士徽章授与がおわると、伊隅がマイクの前で語り出す。「以上を以て、帝国軍白陵基地衛士訓練学校、第207衛士訓練小隊解隊式を終わる。」そして、まりもが一歩前に歩き、『教官』としての最後の号令を出す「207衛士訓練小隊、解散!!」「「「「ありがとうございましたッ!!」」」」涙を流し、感動の解隊式を迎えた速瀬達そして、香月博士が退室したあと、タケルとまりもが続くように退室する 「この後新任少尉達は、第2ブリーフィングルームに集合し、今後の配属部隊の通達や軍服の支給方法、事務手続きの説明などが行われる予定だ、以上!!」「敬礼!!」遙がみんなに敬礼の号令を出すと、全員が伊隅や碓氷に対し、敬礼する。 そして、敬礼を確認すると、伊隅・碓氷も敬礼し、退室する。「やった…やったわよっ!!」「遂に…衛士だね…」全員が涙を流しながら、感動する遙達。念願の衛士になり、溢れる涙を止める事が出来ないでいた。「みんな…外に出ようか…ブリーフィングルームにも行かないといけないし…」「そうね、行こう…みんな。」そして、体育館の外に出ると、タケルとまりもが待っていた。そしてまりもが少尉となった遙達にお祝いの言葉を贈る。そして、全員から感謝の言葉を貰う。 そして、タケルの前に遙達が並び、敬礼する。「少尉昇進おめでとう。これから少尉達は国連軍衛士として、この日本を守っていく事になる。…所属は違うが、少尉達とは戦場で共に戦う事もあるだろう…その時は、オレの背中は任せるぞ…!!」「「「----ッ!!」」」やっと『衛士』として認めてくれたタケルに対し、心の底から感動する。やっと『衛士』として認めてくれた---やっと同じ戦場で戦う事が許される---そして、いつか---中尉の背中を追うように戦う事が出来るのだとそして、彼女達はまだ知らない…その時は意外にも近い事を--- 感動的な解隊式を終えて、タケルとまりもは速瀬達が使っていた教室で、急いで準備を行っていた。今日は速瀬達の解隊式の日でもあったが、午後から新たに訓練兵となる者達が『入隊式』を迎える日でもあったのだ。 しかも今回の入隊式は『国連軍・帝国軍・斯衛軍との混合』で、選ばれた各四人ずつ計12人が入隊する事になっていた教官は国連軍代表のまりもが教える事となり、時折特別教官として、斯衛軍からタケルが教える事になった。しかし、そんな話は全然知らないタケルとまりもは大慌て、そんな事もあり、今現在猛スピードで教科書類や軍服・部屋の準備等の用意していたのだ。「へにゅうぅ~…終わった…」「疲れ…たわ…」背中合わせに座り込むタケルとまりも。入隊式開始一時間前になんとか用意が完了する。この事を知ったのは、今日の早朝。『でびるふぇいす』の香月博士から告げられた事実に、大慌てになるタケルとまりも。「せっかくの感動的な解隊式をぶち壊しにするとは…流石は先生、油断していた…」「無理よ…夕呼のイタズラを未然に防止する事なんて…」「「ハァ…」」深いため息を吐く二人…因みに、これがイタズラで疲れてなければ、二人っきりで良い雰囲気になってたかもしれない事に後から気づいた香月博士は、『チッ…私とした事が…失敗したわ…』と愚痴を漏らす事になる。そして、一時間後---再び体育館に移動し、入隊する者達全員が集まる。中には、純夏達や宗像美冴・篁唯依の姿もあった。 そして、入隊式を終えて、教室へと移動する。「起立ッ!!…敬礼ッ!!」まりもが最初に手本として敬礼すると、入隊する者達全員が起立し、敬礼する。 「楽にして、着席して良いわよ」まりもの命に従い、敬礼を解き、着席する。 「初めまして、私は今日から貴様達の教官をする事になった、神宮司まりも軍曹だそして、此方に居るお方は、時折貴様達の教官として参加する帝国斯衛軍所属の白銀武中尉殿だ。基本的に貴様達を教官を勤めるのは私だが、白銀武中尉殿は、教鞭を握って教える事は少ないが、貴様達がもし『総戦技演習』で、見事合格した場合、戦術機の教官を勤める事になる。」まりもからの説明を終えると、タケルと入れ替わるように、新しい訓練兵達に声をかける。 「初めまして、帝国斯衛軍所属の白銀武中尉だ。中にはオレを知ってる者も居るが、まず最初に言う事は---」タケルの言葉にゴクリと息を呑む訓練兵達純夏達ですら、緊張して、その言葉を待つ。 「----プライベートや休憩時間の時は「白銀」や「タケル」で構わない授業中や訓練中はそうはいかないが、それ以外は呼び捨てでも構わない。」カキンッ…と硬直する訓練兵達まりもは頭を抱え込みながら『やはりか…』と呟き、純夏は『……タケルちゃん…アンタある意味大物だよ…』と少し呆れる。「一応意味はあるぞ?幾ら上官相手とはいえ、ガチガチになってては、お互いに分かり合える事は難しい。ならば、プライベートや休憩時間の時ぐらい、そんな固い考えは捨てて、まずはお互いの事を理解し合う事が大切だ。理解し合い、仲間との絆を深め、そして全体の連携等を向上させようというのが、理由の一つ」タケルの説明を聞いて数名の訓練兵が納得するが、まりもや純夏達に限っては、『本当の理由はもっと単純なクセに…』と心の中で呟く。 「2つ目は、至って簡単。香月博士はそういう形式ばった行動は嫌いなんだ。固い挨拶や敬礼・軍人っぽい喋り方は、あの人は好きじゃないんだ。だから今の内に慣れた方がいい。…ちなみに『私は国連軍じゃないから関係無いわ』…なんて考えをしたら、痛い目に遭うから、今の内にやめた方がいい…マジで…」タケルの最後のセリフを呟いた時の暗い表情を見て、『ええ~…』とビクビクする訓練兵達。 「最後の理由は2つ目と似た理由だが…オレ自身、余りそういう形式ばった行動とかは苦手でな、出来ればプライベートや休憩時間の際は、仲間達と同じ接し方の方が嬉しい。」『『『はあ?』』』最後の理由に訓練兵達は唖然となる。まりもや純夏達は『うわっ…本音を語ったよ…』と驚き、宗像に関しては、タケルのイメージを『接し易い人』と気に入る。 この瞬間、タケルが宗像にからかわれる標的になった瞬間だった。 「間違っても、神宮司軍曹には、呼び捨ては禁止だ。そんな事したら……明日の太陽は拝めない事を約束する。」「し~ろ~が~ね~中~尉~?」『きゅぴーん』と紅い眼光を放つまりもを見て、『狂犬』の恐怖の一片を知り、『この人だけは、怒らせては駄目だッ!!』と心に刻み込んだ訓練兵達勿論タケルは、その殺気を受けてビクビクと震えていた。「白銀中尉…変わった人だったな…」『そうだね~…』教室での説明が終わり、明日から訓練開始となる訓練兵達。指定された部屋に行き、自分達の荷物を整理し、軍服に着替えた後、PXで全員集合する。そして、美冴の一言に多数の訓練兵達が頷く。「まあ、白銀中尉の話は後回しにして、私達の自己紹介をしないか?」「さんせ~♪」美冴の提案に賛成する純夏に続き、他の者達も賛同する。 「まずは私から行く、私は宗像美冴だ、所属は国連軍だが、所属とか関係無しに宜しく頼む。」自己紹介をしながら敬礼する美冴。それに続いて純夏が立ち上がる。 「私は鑑純夏、所属は国連軍。みんな、宜しくお願いします。因みに私はタケルちゃんの幼なじみです♪」『『『オオォッ!!』』』純夏の一言に驚き、注目します訓練兵達美冴や唯依も『鑑純夏』という人物に好印象に感じる。 「わたしは、イーニァ。イーニァ・シェスチナです。よろしくね♪」「私は国連軍所属のクリスカ・ビャーチェノワだ、宜しく。」「2人はね、ソビエトから来たんだよ。」「ホゥ…ソビエトからか…」「…………」クリスカ・イーニァの自己紹介をした後に、純夏が付け加える。そして、クリスカと唯依の2人が、ジッとお互いを見つめる。そして、次は帝国軍所属に変わる。「私は帝国軍所属の『伊隅まりか』と言います。皆さん宜しくお願いします。」「次はオレだな、オレは帝国軍所属の『前島正樹』だこれから宜しく頼む。」まりか・正樹の自己紹介が終わり、他の帝国軍所属の訓練兵達も自己紹介を終える「では、最後は我々斯衛の番だな。」自分達の番という事で、起立し、敬礼しながら自己紹介をする。「帝国斯衛軍所属の篁唯依訓練兵だ。今後とも、宜しく頼む。」凛とした姿勢で自己紹介をする唯依その姿を見て、『綺麗で格好いいなぁ~…』と呟く純夏(タカムラ・ユイ…か…何だろう…この気持ちは…?)唯依に注目するクリスカ。唯依もクリスカの視線に気づいているが、自然な振る舞いで着席する。「次は私だね、私は『雨宮佳織』と言います。これから宜しくお願いします。」唯依・雨宮が自己紹介を終えると、他の訓練兵達も自己紹介を終える。「さて、自己紹介を終えた事だけど…」各自自己紹介を終えた頃に、ひょっこりとタケルがやって来た。「いたいた、ふぅ~…探した探した…」「タケルちゃん?どうしたの?」「お前達を探してたの、あと純夏、これから真面目な話をするから、『タケルちゃん』と言ったらビニールスリッパの刑な。」「う、うん…」全員が真剣な表情で注目すると、タケルの口から告げられる。「先程決まった事だが、今回陸軍予備学校の成績や生活面・周りの評価などを調べ、各所属の小隊長を決定した。勿論、これからオレや神宮司軍曹の目で判断し、変更する可能性はあるが、これから名前を呼ばれる者達は、各所属の小隊長に任命する。」「「「………」」」小隊長の任命という責務に、訓練兵達は沈黙する。 「まずは国連軍所属、小隊長は宗像美冴訓練兵」「ハイッ!!」起立し、敬礼して返事を返す美冴。 「今日より貴様は衛士訓練中隊『第207A小隊』の小隊長に任命する。」「了解しましたッ!!」「ヨシ、着席して宜しい」小隊長に任命された美冴タケルの着席の命を受けて、着席する。 「次、帝国軍所属、前島正樹訓練兵」「ハッ!!」「貴様は、衛士訓練中隊『第207B小隊』の小隊長を命じる。」「ありがとうございますっ!!」タケルからB小隊の小隊長を命じられた正樹。敬礼して返事を返すと、タケルから着席の命を受ける。 「最後に…斯衛軍所属、篁唯依訓練兵」「ハイッ!!」「貴様に衛士訓練中隊『第207C小隊』の小隊長を命じる。」「ハッ!!」タケルからC小隊の小隊長を命じられる唯依そして着席許可を出したあと、説明を続ける。「明日の予定は、午前中は体力向上を目的としたランニング等の基本的な訓練を行い、午後は今までの陸軍予備学校でのおさらいや、重火器などの兵科をする事になっている。明日はオレは出られないが、神宮司軍曹がみっちりと貴様達を鍛えてくれるから、覚悟しとけ!!」「「「「ハイッ!!」」」」「神宮司軍曹は、衛士としても、教官としても優秀な御方だ、多くの優秀なエース級の衛士達を世に送り出し、その衛士達全てが、例え上官職に着いても、神宮司軍曹には頭が上がらない程、尊敬されし方だ。そして、同時に『鬼軍曹』とまで呼ばれた方だから、生半可な気持ちで訓練をすれば…鉄拳制裁が待っていると知れッ!!」「「「りょ、了解!!」」」訓練兵達に、まりもの偉大さと恐怖を刻み込むタケルそして--- 「んもぅ…最後のは余計よ…」PXの入り口付近でタケルの話を盗み聴きする形になってしまったまりもがいた…あとがき雨宮中尉登場しました(訓練兵時代)『佳織』という名前は、オリジナルですので、御了承を(雨宮中尉の名前が記載されてないので、オリジナルの名前を付けました。)