「出て来なさい、ヒヨッコ共ッ!!」「『出て来い』と言って出る訳無いでしょう、速瀬少尉?」「ムッ、その声は宗像って奴ね?」お互いに隠れながら、狙撃しあう二人「ホウ、何故私の名前を?」「アンタ有名よ。白銀中尉に『特大なお仕置き』を受けたって話…まあ、広げたのは香月博士だけど…」「う゛っ…」トラウマを抉られてしまい、少し精神ダメージを受ける美冴。(唯依…みんな…)(なんだ?)狙撃をしながら、唯依や純夏達に小さな声で語りかける美冴(みんなは先に行け、此処は私が持つ。)(しかし…!!)(今回の件は、私に責任が有る罠の警戒不足で、みんなを危機に陥れてしまった。)今回の建物への侵入に強く指示した美冴その為仲間全員が危機に陥り、激しく後悔するが、『今はそれどころではない』と、冷静に対応する。(それを言ったら、私だって…!!)(良いから行けッ!!今は合格をする事を専念するんだっ!!)まりかも純夏から散々危険だと言われてたのに関わらず、油断していた自分を責めるが、『今は任務遂行に専念すれ』と美冴に言われる。 (早く行けッ!!)(---済まない…!!みんな、宗像を残して脱出ポイントに向かうぞっ!!)(((----ッ!!)))苦汁の選択を選ぶ唯依純夏・クリスカ・イーニァ・まりかに指示を出す。 (宗像…必ず追いかけて来いよ…!!)(なんなら、私が一番乗りしてやるさ。)(フッ…言ってろ。)お互いに他愛の無い会話をする二人そして、唯依は脱出ポイントに向かって走り出す。 その後を追うようにクリスカ・まりかと追いかけ、最後に純夏・イーニァと立ち去る。 すると、純夏達が建物から離れると、美冴と水月の二人から、銃声が消える「弾切れでしょ、宗像最後はお互いに肉弾戦でケリをつけましょう。」「やれやれ…バレてましたか…」建物の影や森の茂みから水月と美冴が現れ、対峙するお互いに刃を潰した模擬用のナイフを構え、ジリジリと間合いを詰める。「一応『先任』として言うけど…背中に隠してる『スタンガン』…捨てた方が良いわよ?それ、電力の無い状態だから。」「---おやおや、バレてましたか…」口では平然としていた美冴だが、内心では舌打ちする。背中に隠していたスタンガンで水月を倒そうとしたが、先程会話の最中に確認すると電力が無い事が発覚した。ならば、せめてハッタリをかます材料になれば---そう思い、背中に隠していたのだが、無駄だったようだ。 背中に隠してたスタンガンを捨てて、ナイフを装備して構える「さて、お喋りもここまでにして、さっさとやられなさい、宗像」「嫌です、倒されるのは速瀬少尉ですよ。」「なら決定アンタはトコトンいたぶって倒してあげるッ!!」会話を終えて、最初に突撃する水月腰を低くして構えて待ち構える美冴ナイフを逆手に持った水月の一撃を美冴の持つナイフで受け、その隙に右回し蹴りを放つ。 狙うは水月の頭部、強化装備で唯一ダメージが通る場所を狙う。 「フッ!!」「何ッ!?」だが、水月は回し蹴りを回避は愚か、防御すらしないで美冴の懐に入り込む。「でぇぇぇいっ!!」「なっ---ガハッ!!」そして、そのまま美冴を抱えるように密着して、そのまま強引に地面に叩きつける!! 「貰った!!」「グッ…!!」美冴の頭部にナイフを叩きつけようと一撃を放つが、転がり込み、回避するが、その隙に水月のしゃがみ下段蹴りが入り、美冴の背中にヒットする。「喰らえッ!!」「---ッ!!」美冴の顔面目掛けて放つ水月の強烈な拳の一撃 すかさず両腕でガードするが、水月の拳も、純夏程では無いものの、強化装備を纏ってる美冴の身体にダメージが通る。 「なんて人だ…強化装備を着てもダメージが通るとは…ゴリラですか?」「…なんですて?」美冴の一言に眉間がピクピクと動く水月そして、美冴の毒舌攻撃は更に続く。 「そんなに乱暴な性格では、『女らしさ』が欠けて、随分と苦労してるのではないですか?」「な、なんですって!?」「これでは意中の男性が居ても、告白が出来ないですし…」「うぐぅッ!?」戦闘自体は水月が押してるのだが、精神的ダメージは水月が遥かに負っていた。 「どうしました、速瀬少尉?先程のキレの良い動きはどうしました?」「五月蝿いわね、アンタッ!!」「ふぅ…その上ガサツとは…大変ですね…」「ぶっ潰すッ!!」美冴の精神的攻撃(毒舌)により、動きが単調になる水月そして---- 「フンッ!!」「しまっ---」 「隙アリッ!!」単調の動きになった水月の攻撃を回避し、しゃがみ回し蹴りを入れる美冴その攻撃を受けて転倒し、トドメを刺されそうになる水月が---笑っていた。 「--た、とでも言うと思った?」「えっ?」突然の一言に驚く美冴その瞬間、美冴の頭部に衝撃が走る。 「なっ--!?」美冴の頭部にはペイントが付着し、『失格』判定を貰うすると、茂みから一人の『追跡者』が現れる 「隙アリは宗像さんだったね♪敵は『一人』とは限らないんだから。」「クッ…」「ナイス支援よ、遙」美冴を狙撃したのは涼宮遙だった実は、スタンガンの会話をしていた辺りから茂みに隠れてて、水月には通信で知らせていた。 水月が熱くなっていても、通信でフォローを入れ、少しでも水月に冷静さを残していた功労者であり、美冴の仕掛けて来るタイミングすら見極め、水月に伝えていたのだ。 「さて、遙残りの訓練兵を追うわよっ!!」 「うん、任せて水---」パシュンと遙の頭部にペイントが付着する。 「えっ?」「何処ッ!?」撃たれた方角を水月が強化装備の望遠機能で捜索すると--- 「…ゴメンね、ミサエたすけられなくて…」美冴の救援に戻って来たイーニァが、水月達の所から300m離れた所から、遙を狙撃したのだ。 「イーニァ…!?」「よくも遙をっ!!」予想外のイーニァの狙撃に驚く美冴だが、猛獣の如く、イーニァを追いかける水月その様子を見てすぐさま逃げるイーニァ 「ハッ…ハッ…ハッ…スゴく速いよ…」「待てぇぇっ!!」罠の存在を無視して逃げるイーニァ全速力で逃走するが、後ろから追いかける水月の尋常じゃないスピードに追いつかれ始める。そして、その距離が30…20…10…と近づく水月途中イーニァの反撃をされるが、樹木を上手くつかい、全て回避する、その際距離は伸びるが、直ぐに追いつかれてしまうそして、イーニァと水月の距離が数センチまで近付いた所で--- 「でぇぇぇいっ!!」「何ッ!?」突然の奇襲攻撃を受ける水月だが、とっさに回避すると--- 「イーニァちゃん、此処は私に任せてっ!!」「スミカ!!」イーニァの危機を救ったのは、純夏だった。純夏の攻撃を回避した水月は、警戒しながら純夏を観察する。 「駄目だよ、イーニァちゃん。突然居なくなっちゃって…心配したよ?」「ゴメンね…スミカ…ミサエたすけようとしたけど…ダメだった。」「そっか…イーニァちゃんは先に行ってて。此処は私が抑えておくから。」純夏の強い眼差しを見て、ホッと安心するイーニァ「ゴメンね、スミカ…」本当は一緒に居たいが、足を引っ張ってはいけないと判断し、純夏を残して立ち去る。「…アンタが鑑純夏ね…逢いたかったわよ…!!」純夏に遭遇して戦闘モードに切り替える水月拳を構えながら、ジリジリと近寄る。 「遙の仇を討ちたい所だけど…アンタを倒さないと『マズイ』と本能が告げてるわ。」水月の本能が告げる--- コイツに背中を見せたら、やられるのは私だ--- 背筋に悪寒が走る程、純夏の実力を悟る。 「アンタを倒して『孝之と結婚』するってご褒美を追加するんだからっ!!」「けっ、結婚!?」水月の一言にポカンと唖然とする純夏だが、水月本人はヤル気満々だったりする。 「そういう事で倒れなさいッ!!」「嫌ですッ!!」『訳のわからない理由で倒されるのは御免』とばかりに、水月の猛攻を捌く純夏水月の頭の中には『孝之と結婚…孝之と結婚…孝之と…ラヴラヴに結婚…!!』と脳内妄想をしながら、実力以上の力を引き出す水月『先程の美冴との戦いで、これを行っていれば、あっさり勝ったのでは?』と言われんばかりの強さを見せつける。 「私だって、16歳になったら、タケルちゃんと結婚してやるんだからっ!!」「な、なんですって!?」負けじとラヴパワーで対抗する純夏。『タケルちゃんと結婚する』の一言で驚きを隠せないでいる水月 …もし、第三者がこの光景を見たら『何…この微妙なカオス空間に満ちたバトルは…』と言わんばかりに、マジバトルを繰り出していた。 バトルだけを見れば、白熱とした戦いだが、セリフを聞けば、お互いの萌えバトルを繰り広げている為、ビミョーなカオス空間が漂っていた。 「訓練兵のままじゃ…結婚なんて出来ない…タケルちゃんと結婚するには…合格するしかないんだからっ!!」「私だって…孝之と結婚するには…ご褒美で想いをぶつけるしかないんだからっ!!」お互いに想い人に苦労している様子が見て解る程、本音をぶつけ合っている。第三者がいれば、間違い無く同情の涙を誘う事間違い無しだった。 水月の野獣のような猛攻に対して、純夏は破壊的パワーを持つ『拳』で対抗する。まるで大砲でも掠めたかのような空気抵抗が頬を掠め、後ろの細い木に純夏の拳でヘシ折るのを見て、ゾッとする細い木といっても、男性の腕程の太さがあるのをヘシ折ったのだ、誰だってビビる。「なんて威力してるのよッ!?アンタ本当に人間!?」「失礼なっ!?これでも、もうすぐ16歳になる乙女だよっ!!」そんなギャアギャアと騒ぎながらも、純夏はジャブを交えた右ストレートを放ち、回避する水月は回し蹴りを放ち、純夏の脇腹を蹴る!! 「チッ、強化装備してるからダメージは無しか…明らかに私が不利よね…」冷静に分析する水月このままでは、間違い無く自分が負けると悟る。 勝つには---必殺の『アノ技』しかない。 「……やるしかないわね。」主に孝之に放つ『対孝之用お仕置き最終兵器』である一撃---『ゼロレンジスナイプ』拳を強く握り締め、力を溜めながら、腰を低く構える。 「むっ…」そして純夏も悟る。あれは自分の持つ必殺の一撃と『同類』であると。アレに対抗するには、自分の必殺を出さなければ負ける---そう考え、自分も必殺の構えを取る。 「ぬっ…あれは--!!」ピーカーブスタイルになった純夏、左右にユラユラとステップを踏む姿を見て悟る水月 あれが噂の『どりるみるきぃぱんち』---!! 自分にとって、尊敬と畏怖する恩師の一人である白銀中尉を、幾度となく『電離層』まで飛ばす必殺の『右』その威力は戦術機すら大破するとまで言われてる程だ。 「………」「………」ゴクリと息を呑みながら、ジリジリと摺り足をして、徐々にお互いに近寄る。そして---!! 「どりる……みるきぃ---!!」「ゼロレンジ……!!」互いの必殺の右を振りかぶり、全力全壊で放つ一撃--!!「ぱぁぁんちッ!!」「スナイプッ!!」互いの拳がぶつかり合い、その衝撃でお互いに吹っ飛ぶ!! 「うわぁあぁぁっ!?」「きゃあぁぁぁっ!?」後ろの樹木にぶつかり、強い衝撃が身体全体に伝わる。 本来『ゼロレンジスナイプ』も『どりるみるきぃぱんち』も、『アッパー系』の一撃しかし、アッパーにすると、どうしてもストレートより遅れてしまう。それ故に今回は威力を犠牲にしてスピード重視にして、ストレート系に変えて放ったのだ。「なんてパンチよ……えっ?」ふらつきながらも、先に復活するのは水月そして、水月が見た光景は---- 「あう…あうあうあう~…」強い衝撃で目を回している純夏だった。 「今だッ!!」「し、しまっ---」 ヨロヨロしながらも、全速力で接近する水月、純夏が、その事に気づいた頃には---第二撃目のモーションに入っていた。「これで終わりよッ!!」腰を低くして、必殺の右が、下に振りかぶる「させないわよっ!!」「何ッ!?」「えっ?」予想外の乱入者間髪入れて水月のゼロレンジスナイプを封じるようにタックルする。 「い…伊隅さん…?」「今よ、純夏さん!!『思いっきりぶっ放して』!!」純夏の危機に現れたのは、なんとまりか。ゼロレンジスナイプを放つ前に、タックルをして水月を抱いて拘束する。 そして、この時のまりかの一言で、予想外な結末が決まってしまった。「は、放しなさいよ、この…このっ!!」「は、早く放ってぇぇっ!!」「う、うん…わかった。『本気』でいくよ…」再びピーカーブスタイルに構える純夏しかし---ユラユラとテンプシーな動きを徐々にスピードを速めていく!! 「「はっ?」」先程逝った孝之や慎二の時とは桁違いに違う動き。それは--先程の『ぱんち』すら凌駕する意味を示していた---!! 「どりるみるきぃ~~~~~ッ!!」残像で出来る拳の『壁』その中心から---螺旋を描く『伝説級の左』が放たれ--- 「ふぁんとーーーむッ!!」輝かしい黄金の閃光が天を貫き、水月が吹っ飛ばされ、星になった。勿論タックルして拘束していたまりかも、一緒に巻き込んで星となった。「伊隅さん、やったよ♪…って…あれ…伊隅さ~ん~!?何処に行ったの~?」先程までピヨッていた純夏治りかけに、まりかの一言の『思いっきりぶっ放して!!』で、『ぱんち』から『ふぁんとむ』に変わってしまったのだ。…結果として、水月と一緒に仲良く星になったまりかそして、その着地点は--- 仙台の月詠別邸に着地(落下)したと、翌日にタケル達に連絡が入った…