「フンッ!!」最初に攻撃を仕掛けたのは純夏左ジャブを入れながら、ショートレンジの右フックを入れる。まりもに対して、大振りな攻撃は危険と判断し、隙の少ない攻撃を重視して、攻撃を仕掛ける。 「なかなかやるなぁ~…だがまだ甘いッ!!」「わぁぁぁっ!?」しかし、まりもは左ジャブを小さなバックステップで回避し、右フックを利用して、背負い投げで純夏を投げ飛ばす!! 「ぎゃふっ!?」「ハァッ!!」「うわっ!!」地面に叩きつけられた純夏に追撃として、拳を叩きこむまりも純夏も咄嗟に転がって回避し、まりもとの距離を離す。「逃がすかっ!!」「来るなッ!!」「グッ!?」咄嗟に逃げた純夏を追いかけるが、腹部に純夏の蹴りが入り、後退する。「…拳の方は、天下一品の威力だが、他はまだまだ未熟だな~…鑑?」「ぐっ…」ダメージはあるものの、戦闘には影響は無いまりも『パンパンッ』と蹴られた腹部の汚れを払い、再び構える。 純夏の格闘技術は光るモノが有る。だが、まだ現在の技術は未熟に過ぎない。 純夏が今現在重視として鍛えていたのは、やはり一番の武器である拳による戦闘技術昔から、タケルを相手(サンドバック)にして、拳の威力に関しては、数年もの歳月を掛けて磨いていた。まりもとタケルの下で無駄の無い戦闘方法を学び、拳の力加減を重視として鍛えてた。その為、『どりるみるきぃシリーズ』をタケル以外にも放つ事が可能にはなった。(そのたんびに男性陣は電離層へと吹っ飛んでいた。)---しかし、そのせいもあって、他の格闘技術は普通の訓練兵程度の技術だった。その為、格闘訓練をする際は、みんなに必ず『ソコ』を突かれて、追い込まれたりする。…まあ、それでも八割方は純夏の勝ちだが…だが、今相手にしてるのは、自分達の教官である神宮司まりも軍曹---実力は高く、並み居る衛士や兵士でも適わない程の実力を持つ人 タケル曰わく『本来ならば、まりもちゃんは大尉か少佐の階級を持っててもおかしくは無いそれ程凄くて優秀な人』…らしい。「ふふん♪パンチに気をつければ、どおって事は無い。他はまだまだ未熟だから、其処を突けば良い…ヒクッ♪」「ハァ…ハァ…」まりもに猛攻撃を仕掛ける純夏だが、悉く回避され、捌かれ、カウンターを入れられ、逆にダメージを負う事になる。 戦闘技術では、神宮司軍曹には適わない---ならば、必殺の一撃で逆転するしか無い。 「---やる気か…良いだろう…『どりるみるきぃぱんち』を放ってみろ、鑑ッ!!」「「「----ッ!!?」」」突然の発言に驚愕する純夏失格になっていた唯依やクリスカでさえ、驚いていた。 『どりるみるきぃぱんち』を放って来い---誰一人そのような台詞は吐ける者は居なかった為、戸惑う純夏。 ---しかし、まりもの表情は、自信と笑みに満ち溢れいた。少しだけ腰を下ろし、左半身を前方に向けるように構える。右腕を背中で隠れるようにし、純夏の『どりるみるきぃぱんち』に備える。 「----ッ!!」『ドクン…ドクン…』と鼓動が高まり、緊張感がドンドン上がっていく純夏… 絶大な信頼を持つ必殺技『どりるみるきぃぱんち』を放つにも関わらず、今でかつて無い程の緊張が全身に走りまわる。 ジリジリと間合いを詰め、『どりるみるきぃぱんち』の射程距離に入った瞬間---それは起きた。 「どりるみるきぃ~~~~!!」全身全霊を込めた一撃。手を抜く事を許され無い相手に、放つ必殺の一撃。 右の拳が唸りを上げて、抉るように鋭くアッパースイングを描く。 「ぱぁぁぁんちッ!!」最高のスピードとパワーが乗った一撃が、まりもの顎を狙うように放たれた一撃。 だが---「…白銀直伝…ッ!!ビニールスリッパ…カウンタァァッ!!!」「へっ…ぶへらっ!!!」快音が辺りに響く程の一撃純夏の顔面に放たれるのは、『対純夏用お仕置きアイテム・ビニールスリッパ』であった。『どりるみるきぃぱんち』をクロスカウンターするように、まりもの右腕が交差する。 純夏の『どりるみるきぃぱんち』は、まりもの右頬を掠め、まりもの放つ『ビニールスリッパ・カウンター』が純夏の顔面に入り、1m程後方に吹っ飛ぶ。 「はうあうあ~~…!!?」強烈な程に顔面に入ったビニールスリッパの一撃で、ピヨリ状態になる純夏。----そんな隙を逃すまりもではなかった。 「喰らえ…鑑ッ!!」「ほえっ…?」無理やり純夏を屈ませ、その状態から純夏を『逆さま』にするように持ち上げる。 「フンッ!!」「ぐえっ!!」そして、その態勢から放つ業は---パワーボム地面に叩きつけるように放ち、更にダメージを与える!! 「まだまだァァッ!!」そして、次の業はジャーマン・スープレックス純夏を持ち上げるように、勢い良く抱え--- 「ハァッ!!」---投げた。地面に叩きつけずに、そのまま勢い良く純夏を投げた。 そのまま勢い良く投げた為、茂みに突っ込み、ゴツンと樹木に頭部がぶつかる。 「むっ…勢い付け過ぎたか…茂みでダメージが削減されてしまったようだな…。」「「………」」失格者である唯依とクリスカは、言葉を失う。敵無しだった『どりるみるきぃぱんち』が破れてしまい、尚且つ純夏に多大なダメージを負わせた事に圧倒されていた。『ビニールスリッパ・カウンター』でピヨリ状態にし、その隙に純夏に大ダメージを与えるまりもの猛攻に、ただ唖然としていた。「ふぅ…流石に危なかったか…」掠めた頬を触るまりも。微かにだが、血が滲み出ていたが、拭き取り、携帯していた四角い絆創膏を貼る。 「神宮司軍曹…もしや---!!」「気づいたか、篁」「…既に酔いは覚めてたんですね…」既にまりもが酔いから覚めてた事を見抜く唯依少し苦笑いをしながら肯定するまりも。 「私とて、鑑相手は怖いからな……以前夕…香月博士に言われた『狂犬』を思い出してな…試してみたのだが…効果は抜群だったようだな…。」少し複雑そうに話すまりも。以前、レストランで『狂犬』になった話を聞いて試してみたが、効果抜群だった為、尚更複雑な気持ちになる。 「いつから覚めたのですか…?」「…正確に言えば、まだ半分酔ってる。…先程貴様達を倒した時点で、殆ど覚めたが、鑑と戦う前に飲んで酔いを補充したが…流石にあのパンチを頬を掠め時には酔いが半分覚めたよ。」クリスカの質問に答えるまりも。鑑が迫って来るまで、警戒しながら唯依・クリスカと会話をする。 「痛たた…タンコブが出来たよぉ…」ガサガサと茂みから現れる純夏頭に出来たタンコブを撫でながら、まりもの前に現れる。 「出て来た事は誉めてやる。だが…『どりるみるきぃぱんち』を破られた今…何が出来る?」「うっ…」図星を言われ、反論出来ないでいる純夏『どりるみるきぃぱんち』が破れた今、『ふぁんとむ』も破られる危険性がある。威力やモーションは違うものの、最後に放つ一撃は同じ。『ふぁんとむ』の場合、左の拳が、螺旋を描きながら放つ業だが、結局は『ストレート系かアッパー系かのどちらか』を放つ事に関しては同じなのだ。 アッパーにしろ、ストレートにしろ、結局は先程の『ビニールスリッパ・カウンター』の餌食になる。そして、その問題が純夏の脳裏で悩ませていた。(タケルちゃんのバカバカバカバカバカッ!!…なんであんな技教えたの…?)純夏は知らない…タケルがまりもに教えたのは、『純夏が何か問題を起こしたら、これで殴って下さい。』とビニールスリッパを渡しただけ。 そして、その際実演として、純夏をビニールスリッパで殴ってる姿を見せただけ。つまり、『使い方と殴り方』しか教えてないのだ。『ビニールスリッパ・カウンター』は単なるまりもオリジナルの技つーか、単にビニールスリッパを持ってクロスカウンターしただけなのだ。 (うぅ~…どうすれば…)悩む純夏。すると、『とある記憶』を思い出す--- ----回想----『あいた~~~ッ!!』『バ~~カ、そんな猪突猛進ばっかりしてるから、そうなるんだよ。』訓練が終わり、月詠家別邸で晩御飯を食べた後、庭でタケルと純夏の二人で格闘訓練をしていた。先程の結果も、純夏が突撃した所、ヒラリと純夏の攻撃を回避し、背後に回って背中に蹴りを入れられ、吹っ飛ぶ純夏叫ぶ純夏にいつも通りに罵声を入れるタケル。『純夏…真面目な話、少しは頭を使って戦う事を覚えろ。猪突猛進ばっかりしてたら、いつかみんなの足を引っ張るぞ?』『うぅ~…そんな事言われても…』『篁や宗像にどやされるぞ?』純夏の為を思って心配するタケル。良い例として『榊と彩峰との関係』のような事態を考えて、純夏に忠告を入れる。 (あそこまでは酷くはならんだろうが…このままだど、部隊内での問題に繋がる可能性もあるからな…今の内に手を打った方が良いだろう。)先手を打つタケル。しかし、当の本人は頭から煙を出しながら考えていた。 『ヤレヤレ…仕方無いな…純夏、口で言うより実戦で教えてやるから、構えろ。』『えっ…うん…』タケルに言われて構える純夏すると、先程の純夏と同じく、両拳を前に構えながら突撃するタケル (さっきの私と同じぢゃん!!…なら、返り討ちにしてやるッ!!)待ち構える純夏タケルは純夏との距離が縮まり、間合いに入った途端右の拳を突き出す。 (ここだっ!!)左に回避する純夏---だが、それこそがタケルの『罠』だった。『ほえっ…?』『何処見てるんだ?』最初に放った右の拳はフェイク回避行動を取った純夏の足を刈り取るように、しゃがみながら、後ろ回し蹴りで、純夏の足を払い、バランスを失った純夏は地面に倒れ、仰向けになった所にタケルがマウンドポジションを取り、拳を放つ。 『ッ!?』『一本。どうだ、純夏?こういう風にフェイクなどを入れるのも効果的だぞ?』コツンと純夏の額に軽く叩くタケルそのまま立ち上がり、純夏を起こしてから説明する『単に突進ばかりするんじゃなくて、フェイントなどを入れる事もひとつの手だぞ?』『……それはわかったけど、タケルちゃん…いつの間にそんなに強くなったの?』『…紅蓮大将や神野大将に強制的に鍛えられたんだよ…』純夏の質問に対して答えるタケル何故かタケルの目尻にはキラリと輝く水滴があった… -----現在-----「----ッ!!」ほんの一瞬の出来事随分前の記憶を思い出し、閃く純夏 そして、やる事はひとつ--- 「……まだ分からんのか、鑑…」「やってみなきゃ、わからないんだからっ!!」呆れ顔で答えるまりもそして、『諦めが悪い』を演じる純夏両拳を構えながら、ユラユラとテンプシーロールを描く。 「---ッ!!コレが『ふぁんとむ』か…」まりもが感じるプレッシャーで『ふぁんとむ』だと悟る。そして再び腰を引く下ろし、構えながら反撃に備える。 「どりる……みるきぃ----ッ!!」激しくテンプシーロールを描きながら繰り出す『拳の壁』その威圧感と恐怖に耐えながら、その『一撃』に備えるまりも 「ふぁんとーーーーーっむ」放つのは幻の『左』伝説級の『一撃』に挑むのは、ビニールスリッパによるクロスカウンターストレート系の一撃にタイミング良くカウンターを発動するまりもだからこそ---絶好なタイミングで、純夏の『奇襲』は成功する事になる。「---なんちって☆」「はっ?」「とぉぉぉうっ!!」突如『ふぁんとむ』をキャンセルし、そのまままりもの胴体にタックルする。悪戯っぽくペロッと舌を出す純夏の顔を見て唖然とし、カウンターが止まってしまう。「うわぁぁっ!?」仰向けに地面に倒れるまりもしかし、純夏の攻撃はまだ終わってなかった!! 「うんしょ…ウシシシッ…覚悟は良いかなぁ~?」腹黒い笑みをしながら、まりもの両足をガッチリと抱え、ブンブンと遠心力を付けて『ジャイアントスイング』をかける。「うわぁぁっ!?」ぐるぐると回るまりも目が鳴門のように渦巻き状態になっていた。 「あうあう…とうッ!!」「ガハッ!!」自分も気持ち悪くなり、手を離す純夏すると、偶然にも地面に叩きつける形になり、ダメージを負うまりも 「あうあう…目が回る~…」「うう…気持ち悪い…うぷっ」ジャイアントスイングを仕掛けた純夏と、酔ってたせいもあり、ブンブン回されて酸っぱいモノが喉までこみ上げながら、千鳥足をするまりも 「負けない…んだから…」ふらつきながらも、まりもに近づく純夏自分の間合いに入ると、踏ん張ろうとして、まりもの足を『偶々』踏み--- 「ハァァァッ!!」「グッ!?」まりもの脇腹に突き刺さる、純夏のフック本来ならば、その威力で吹っ飛ぶのだが、まりもの足を踏んでるので、正に『サンドバック状態』になっていた。 「いっっけぇぇぇぇッ!!」それを知らすにフックの嵐を入れる純夏2・3発入れると、純夏の足がふらつき、踏んでいた足が離れ、お互いに倒れてしまう。 「ま…負ける…ものか…」「絶対に…合格するん…だから…ッ!!」フラフラしながらも、立ち上がろうとする二人すると--予想外な事態が起きる。 『其処までだ、お前達。』「「……えっ…?」」「タケルちゃん…?」『先生から説明があるから、それまで待て。』純夏・唯依・クリスカに突如タケルからの通信が来て戦闘を中断する事になる純夏まりもの方も、携帯していた通信機から、香月博士からの連絡が入り、全員が香月博士の一言に驚愕する。 『まりも、ご苦労様。残念だけど、それまでよ。』「ど、どういう事?」突然の出来事に戸惑うまりもすると、呆れる感じに答える香月博士『そんなの決まってるでしょう?演習が『終了』したのよ。訓練兵が脱出ポイントに『到着』する形にね。』「「「----ッ!!?」」」「な、なんだとっ!!?」香月博士の一言に全員が驚愕する。 『脱出ポイントに到着したのは、イーニァよ。』「イ、イーニァが!?」予想外な人物が脱出ポイントに到着した為、全員が驚く。 『そういう事だから、まりも達は脱出ポイントに集合する事。通信終わり。』プツンと通信を着る香月博士予想外な結末に、しばらく全員が茫然としていた…。