純夏side--- 『お~い、起きろ私~!!』「うーん…此処どこぉ……………へっ?」突然意識が無くなり、真っ暗になる視界。次の瞬間、誰かに呼ばれ、目が醒めると……………もう一人の『私』が居た。 「あれ……アレレッ…!?ななななな…なんで『私』が目の前に居るのっ!?……しかも、なんでか私より身長と……胸が大きいし…。」『………目覚めて第一声がその一言は…無いよね…。』だって、いきなりもう一人の『私』が現れて、私より身長が高くて、胸が大きいなんで……なんか負けた気分…。 『はぁ~…なんか雰囲気ブチ壊しになっちゃったけど…まぁいいっか。』すると『私』はコホンと一度咳を出してから話を進める。 『始めまして、鑑純夏さん。…なんか自分に『さん』付けは変な気持ちだけど……『私』は『違う並列世界』の『カガミスミカ』です。この世界の鑑純夏に頼みがあって、貴女に逢いに来たの。』「私に…頼み?」私に頼みって何だろう…?そのまま『スミカ』の話を聞くと---色んな『謎』が解けた。 今、私の世界に居るタケルちゃん---実は色んな並列世界を渡り歩いて、想像が出来ないぐらい悲劇を体験してた事が解った。以前、篁さんからタケルちゃんの話で『大切な仲間を失った話』を聞いて疑問に思った。だって、タケルちゃんが軍人になったのは去年の1月の中頃。けど、篁さんがタケルちゃんと出会ったのは、去年の2月の始め---その頃既に中尉だったと聞いて、疑問は大きくなる。だって、タケルちゃんは私には『今はまだ訓練兵だけどな』と語ったからだ。最初は例によって、香月先生の仕業だと考えたけど、やはりおかしかった。だって、僅か1ヶ月で衛士になる事なんてムリだし、例え出来たとしても、そんな素人当然なタケルちゃんが役に立つとは思えなかった。 けど---現実は違った。去年のタケルちゃんの誕生日の日---タケルちゃんと同じ部隊の五十嵐少尉の話だと、タケルちゃんが部隊に入隊したのは去年の1月の中頃。これは以前、タケルちゃんが電話で『訓練兵に入った』と連絡を入れた時と重なる。つまり、タケルちゃんは私に『嘘』をついた。 最初は少しショックを受けたけど、タケルちゃんが私に『嘘』をついた『理由』を考えた結果は『私にも話せない事だったから』と考える。そして、それに香月先生が関わってると考えれば納得する。だって、タケルちゃん嘘を隠すのヘタだからね。 『嘘』ついた事は良い。けど、タケルちゃんが『衛士として活躍』するのは、幾らなんでもおかしかった。 去年の7月に起きた『本土侵攻戦』---タケルちゃんは大活躍をし、『白銀の守護者』なんて呼ばれるぐらい有名人になった。そして五十嵐少尉の話だと、タケルちゃんは入隊初日から『天才衛士』として、『凄腕』だったと話してた。 これだけは、ど~しょうもないぐらい謎だった。私とずーっと一緒に居たタケルちゃんが、入隊初日から凄腕衛士だったなんて、信じられなかった。けど、私が訓練兵に入隊し、宗像さんが『お仕置き変態全力機動』を受けた時に『事実』だと知った。 ずーーーっと、解らなかった謎が、今やっっっと解けた。今のタケルちゃんは、複数の『違う並列世界のタケルちゃん』と同化して、結果身体も大きくなって、『衛士だったタケルちゃん』が同化した為、『凄腕の天才衛士』になった。………こうして纏めると、今のタケルちゃんって…………かなり反則だよね……。 けど、タケルちゃんの体験した悲劇は、壮絶で…残酷で…地獄だった。 一般人だったタケルちゃんは、香月先生に拾われて、神宮司軍曹に鍛えられた『教え子』だった。タケルちゃんが神宮司軍曹を、あれほど尊敬する理由が、少しだけ解った…。 そして、2001年・12月25日---この日、『オルタネイティヴ5』が発動し、人類は地球を放棄し、10万人だけが、宇宙へと逃げ、残った人類でG弾を使った最終決戦を挑んだ--- その際、タケルちゃんは私じゃない『恋人』を宇宙へ逃がし、『永遠の別れ』を体験する。そして、それから数年後---タケルちゃんは死んで『二度目の世界』へとループした。 けど、『二度目の世界』は、タケルちゃんにとって、残酷な体験だった。自分が『歴史』を変えた為に、『大切な人達』が大勢亡くなった。 神宮司軍曹・伊隅大尉・柏木少尉・速瀬中尉・涼宮中尉・榊少尉・珠瀬少尉・彩峰少尉・鎧衣少尉……そして冥夜に…………私。 タケルちゃんは、みんなを救えなかった事に後悔していた----タケルちゃんは、冥夜を自分の手で殺めた事を悔やみ、悲しんでた----タケルちゃんは、『脳髄の姿』だった『人間の鑑純夏』を結果、殺めてしまった事を--『00ユニット』へと姿を変えた『カガミスミカ』を愛し、結果…守れなかった事を絶望していた--- ……今のタケルちゃんがボロボロな状態で戦ってるのを知って、悲しかった……。大切な人達を守る為に、この世界で命を全うする事を選んだ。 そして、大切な人達を守る為、毎日可能な限り、訓練をして強くなっていた。「タケルちゃん……」今、自分がとっても恥ずかしく思う。私が訓練兵になった理由は『タケルちゃんと一緒に居る為』けど、タケルちゃんの戦う理由は『大切な人達を守る為』自分はなんて軽い気持ちでいたのだろう…あのタケルちゃんが、ボロボロになっても、前へと懸命に進んでるのに……今、自分がとても情けない気持ちで一杯だった。あの日---私がシミュレータールームにタオルを忘れた日…タケルちゃんが私達に『覚悟や責任』の話をしてくれた日--タケルちゃんの後ろ姿がとても寂しい姿だったのを覚えてる…。あの姿を見てから、私は『強くなろう』と決めた。香月先生に頼んでみると、『零型特殊強化装備』を貰い、始めて真剣に『強くなろう』と訓練をした。 『零型特殊強化装備』を使った感想は凄かった!!操縦桿を動かさなくても、戦術機が自由自在に操れたんだよっ!!『歩くイメージ』をすれば歩くし、『跳ぶイメージ』をすれば、ジャンプユニットを噴射して跳ぶから、スッゴいよ!! けど…『スミカ』に出会って解ったけど、『零型特殊強化装備』の本来の姿は『00ユニット』という人間の姿をした『機械人間』だった…そして、『スミカ』は『脳髄の鑑純夏』から『00ユニット』にコピーした姿が『00ユニット・カガミスミカ』だった。 多分…予想だけど、タケルちゃんが香月先生に頼んで、『零型特殊強化装備』を作って貰ったのかもしれない…。私を『人間の鑑純夏』でいられるように… そして、スミカは私にお願いをして来た。 『タケルちゃんを助けてあげて---そして…『幸せ』にしてくださいっ!!』今までツラい日々を過ごして来たタケルちゃんを『救って欲しい』とお願いしてきた。そんな事当たり前だよっ!!鑑純夏にとって、タケルちゃんは大切な人であり、『半身』なのだから。だから私はスミカに答える。「任せてッ!!今まで辛かった事や悲しかった分以上に、すっっっっごく幸せにするんだからっ!!」『ウン…ありがとう。』涙を流しながら感謝するスミカ。……うん、やっぱりスミカは『人間』だよ…。身体は機械でも、中身(ココロ)や想いは人間だよ。 その後、今回の世界のタケルちゃんの話をすると、スミカはすっっごく複雑そうな顔になる……気持ちは凄く解るんだけどね。 特に『白銀ハーレム計画』の話を聞くと、スミカは『ふぁんとむ』を放ちそうな程怒っていた。『……タケルちゃん…ちょ~~~っと、オシオキしないと駄目みたいだね…。』「…香月先生のせいでもあるから、『ぱんち』で許してあげて…。」『フフフ…00ユニットバージョンの『どりるみるきぃふぁんとむ』を喰らわせてあげるからね…☆』…駄目だ…タケルちゃん……今回は助ける事は出来ないよ…… 戦場で戦ってるタケルちゃんに、謝罪の言葉を心で伝えるしか出来なかった私… 『そうだ、純夏にもう一つ『お願い』があるんだ。』「お願い?」スミカの『もう一つのお願い』を聞いて速攻でOKを出す私言い出しっぺのスミカも、その速さに『はやッ!!』と驚いた程だ。 そして、『もう一つのお願い』を聴いた後、私は『あの場所』に向かい、タケルちゃん達を見つける。そして、スミカと『一緒』に力いっぱい声をかける。 『「タケルちゃん!!返事をして、タケルちゃんッ!!」』そして、タケルちゃんが居る突入部隊が進軍を止めて天井を見る。蒼白く光る複数の『脳髄の柱』の中央から、『私達』はタケルちゃんの下へと降りて行く…。 純夏side end『「タケルちゃん!!返事してよ、タケルちゃん!!」』「す…純夏…!?」タケルは今、混乱していた。見上げる視線の先。其処には『蒼白く光る脳髄の柱』が有る別にタケル自身は『其れが此処に有る事』は知っている為、多少驚きはしても、それは当たり前の事。しかし---流石に其処から純夏が裸でゆっくりと降りてくれば、話は別問題だ。 「す、純夏!!?っていうか、何故裸で浮いてるッ!?」最初は歴史通り、BETAに捕らわれ、脳髄の柱の中にいるのかと『恐怖』したが、即座に『裸の純夏』を見て、安心&混乱が同時にやってきて、只今タケルの頭の中はパニクっていた。 すると、タケルの搭乗する不知火・改に『透き通る』ように侵入して、タケルの下にやってくる。 そして、純夏が侵入したと同時に通信を切るタケル『タケルちゃん、無事で良かったよぉ~~』「純夏…何故此処に…?っていうか何故裸なんだ!!?」『ほえっ?……うわぁぁぁぁぁっ!!!!?ななななな…何で裸になってるの、私っ!!?』「気付けよっ!!」裸だった事に気付いてなかった純夏タケルに言われて気付くと、アワアワと慌てて恥ずかしい場合を隠しながら、座席の後ろに隠れる。 『ううっ……タケルちゃんに思いっきり見られたよぉ…。』「……………はぁ…。」溜め息をして呆れ顔になるタケルそれでも純夏が無事な事を知り、少しだけ安心する。 「どうすんだよ、お前。みんなにモロ見られてたぞ?」『あわわわ…』タケルの一言に不安になる純夏だが--- 『大丈夫だよ、タケルちゃん。『私達』の姿は、タケルちゃんにしか見えないから☆』「へっ?」『本当っ!?ハァ~~…良かったよぉ~…。』『もう一つの純夏の声』が聞こえ、戸惑うタケルと、一安心する純夏 「……何が起きてるんだ、純夏?」『…落ち着いて聴いてね、タケルちゃん…』混乱するタケルに詳しく説明する純夏 『今、私は『肉体』から離れて『魂』だけが此処にあるの。香月先生風に言えば、『精神』って言えば通じるかな?そんな状態の私に『もう一人のスミカ』が『憑依』してるの。』「もう一人の純夏…まさか…!?」『うん、タケルちゃん風に言えば『二度目の世界に居た鑑純夏』だよ。』「なっ…!?」流石に驚くタケルそして、純夏の説明は続く。 『今の私と『スミカ』は『同化』に近い憑依してて、まあ…『二重人格』に近い感じになってるの。だから、今の私は『鑑純夏の本体』に『00ユニット・カガミスミカが居候』してるような状態なの。』「は、ハァァァッ!!!?」あまりの出来事にさっきより混乱するタケル 「…マジっすか………?」『うん、本当』「なんてお約束なんだ…」『タケルちゃんには言われたくないよ…』余りの出来事に、驚きをブチ抜いて、呆れるしかない二人(三人?)「まぁ…先生に連絡を入れるか…純夏が此処に居るって事は、『本体』の方は倒れてるだろうからな。」『みんなに迷惑かけちゃったな~…』『御免ね、純夏』この事を連絡を入れようと通信を入れるタケルそれからしばらく経ってから、秘匿回線で香月博士と通信を始める。 『無事で何よりよ、白銀やっと『脳髄の間』に到着したみたいね。』「ところで先生、純夏に異変無かったですか?」『なっ、なんでアンタが知ってるのよ!?』突然のタケルの質問に珍しく戸惑う姿を見せる香月博士「いや…純夏の奴…今此方に居るんですよ…」「……………………………………………………ハァ?」「うーんと…『精神だけ』こっちに居るんですよ、ぶっちゃけると、『純夏のユーレイ』みたいのが、此処に居るんですよ。」『……………アンタ、頭大丈夫?』「酷ッ!?」タケルの一言で唖然とする香月博士本心で思った事をサラリと口にする。 『タケルちゃん、ちょっとまってて。』「えっ?何するんだ、純夏?」するとスミカは操縦席のパネルに手を据えだす 『香月先生~♪見えますか~?』『か、鑑!?』すると、香月博士側のモニターに小さな動画の中にスミカが映る『今、タケルちゃんの戦術機のコンピューターをちょこっとハッキングして、香月先生『だけ』に見えるようにしたよ。』『ハ、ハッキングって、どういう事…?』戸惑う香月博士に詳しく説明をするスミカすると、深い溜め息を吐いて呆れ顔になる。 『まったく…呆れるしかないわ…まさか、『二度目の世界の鑑純夏』までこの世界に来るとは…』『えへへ…』『とりあえず…鑑、アンタは『00ユニット』としての能力を持ってるの?』『うーんと、一応『ある程度』は持ってます。リーディング・プロジェクション・ハッキングは使えます。リーディング・プロジェクションは霞ちゃんよりは劣ってる状態ですけど、先生が創った『零型特殊強化装備』を改良してくれれば、完全な力で使えると思います。ただ、ハッキングだけは、『零型特殊強化装備』無しでは使えません。今回のハッキングは私が『精神体』だったから出来たけど、『肉体を持った状態』じゃ使えないです。』『リーディングとプロジェクションに関しては、後々なんとかするつもりだったから安心なさい。ハッキングについては、『量子伝導脳』を持ってないから仕方ないわ。大体にして、量子伝導脳自体、この横浜ハイヴの反応炉を手に入れなきゃ完成出来ないもの』『えっ!?それじゃあ、零型特殊強化装備は!?』『そうよ、あれはまだ『未完成』なの横浜ハイヴを攻略し、反応炉を手に入れなきゃ零型特殊強化装備も完成しないわ。』『そっかぁ~…なら絶対に反応炉を手に入れなきゃ!!』香月博士の色々な質問を答えるスミカすると、『脳髄の柱』を調査していた部隊が帰還して来た。 「先生、『脳髄の柱』を調査していた部隊が終えて帰って来ました。これから進軍を再開します。」『わかったわ。鑑、帰って来たら色々話があるから、白銀と一緒に無事に帰還しなさい。それまでは、白銀を出来る限りサポートでもしてあげなさい。』『『了解♪』』戦闘中とはいえ、タケルと一緒に居る事が出来、嬉しさをみせる二人の純夏そして、タケルの膝の上に座り込む。『『タケルちゃん、いこうっ!!』』「おう!!」ペダルを踏み、噴射跳躍をして進軍を再開するタケル達突入部隊 希望を目指して、反応炉がある最深部へと向かうのだった…