「お前等邪魔なんだよっ!!」「この日本から…出ていけッ!!」崇宰の剣を振るい、幾多の屍の山を作る孝之機と隼人機数百という残骸の中心に『修羅』は存在していた。 「あんまり無茶は駄目よ、孝志…私達だって、居るのだからあてにして欲しいわ」「椿…ワリィ…」少し後方で椿機と沙耶機が戦いながら、孝志機と隼人機に近づく不安そうな椿の表情を見て、素直に謝る孝志すると、会話に参加する沙耶がいた。「孝志様…お気持ちは判りますが、椿様の事もお考えになって下さい。」「沙耶まで……………ゴメンナサイ、そんな怖い笑顔は止めて下さい。」………もの凄く不機嫌だった。笑顔で黒いオーラを放つ沙耶の姿が、モニターに大迫力で映っていた…。「………………(ガクガクプルプル)」「あの…言い難いのだが…沙耶殿…タケルが震えているぞ…。」「えっ…………タ、タケル!?いえ、是はタケルにではなくて…!!」その恐怖の笑みを見てしまったタケルは、器用にも戦術機ごとプルプルガクガクと震えていた事を冥夜が報告。それを知った沙耶は慌てて黒いオーラを解き、『ち、違うんです、タケルッ!!』…と謝る。 「設置状況はどうだ?」「反応炉に装置を全て設置する事が出来ました。現在、反応炉と装置を接続して起動するだけです。」「そうか…クレスト1から全ての部隊へ是より装置を接続する作業に取りかかる。四つある通路から現れて来るBETAを殲滅し、反応炉及び装置を絶対に死守するのだっ!!」「「「了解ッ!!」」」伊織の指示に全員が気迫を込めて返答する。「オーディン5(孝之)フォックス3!!」「オーディン7(慎二)フォックス3!!」「ハアァァァッ!!」まりもが長刀で要撃級を斬り裂く中、まりもに迫って来る戦車級や突撃級を孝之と慎二が突撃砲や滑空砲で次々と撃破し、援護する。 「やるじゃない、新米共。いいか、ヴァルキリー0(まりも)は我等の『母親』だ。その花道を作るのは、我等『子供』の作業だ。今まで育てて下さった恩義と成果を見せてやれっ!!」「「「了解ッ!!」」」そして、まりも・孝之・慎二に碓氷大尉率いるオーディン隊が参戦し、まりもの援護にまわる。「もう…少し言い過ぎよ、碓氷。そんなに私を感動で涙を流させたいのかしら?」 「いえ、しかし私は伊隅大尉と同じく最古参の『子供』です。『子供』が『親』に親孝行をするのは当たり前かと?」「相変わらず口は上手いわね、碓氷…けど、『親』として、その気持ちはとても嬉しいわ。」まりもの隣りに碓氷大尉が並び、共闘する碓氷の言葉に涙を少し滲ませるが、拭い取り、素直な感想を碓氷に告げる。 「さぁ、後ろで援護をし続けてる『子供達』の為にも、頑張るとしますか。」「お供します、神宮司大尉」「俺も行きます」「連れてって下さいよ、『教官』」笑みを浮かべながら、先頭に立つまりもその隣りに碓氷が並び、エレメントを組み、孝之・慎二、そして他の『子供達』が後に続く「よし、着いて来い!!楔参型(アローヘッド・スリー)で反応炉と装置を死守するぞ!!」「「「了解ッ!!」」」まりもとオーディン隊が楔参型(アローヘッド・スリー)に陣形に変え、反応炉に迫って来るBETA達を殲滅していくそして、反応炉で防戦をして10分後--- 『反応炉に接続を完了しました!!後は装置を起動するだけです!!』「良し!!良くやった。早速装置を起動して、反応炉を停止させるのだ。」『了解ッ!!是より装置を起動します。』遂に装置を接続する作業を終えて、伊織に連絡する作業班伊織は早速装置を起動するように指示を出す。 すると、反応炉から放たれていた蒼白い光が弱まり、遂に光が消える。 それと同時にBETA達全ての動きが停止し、反応炉に顔を向ける。 『反応炉、停止しました!!作戦は成功ですっ!!』「良くやった!!是より反応炉周辺にいるBETAの殲滅作業に移る。我々第16大隊とヴァルキリーズは反応炉を防衛し、第17大隊とオーディン隊は反応炉周辺のBETA殲滅を命ずる!!イグニス10・イグニス26・ヴァルキリー5は遊撃として、各部隊のサポートをせよっ!!」「「「了解ッ!!」」」「紅蓮大将、済ぬがオーディン隊と一緒に殲滅作業に向かって下さぬか?」「わかりました。この紅蓮、BETAを蹴散らしてみせましょう!!」「頼む。」「ハッ!!」伊織の指示に従い、紅蓮大将がオーディン隊に加わり、反応炉周辺のBETAを殲滅作業に参加する。 「ウオォォォォォォッ!!!我が無現鬼導流の剣、見るがいいっ!!」 まりもや碓氷大尉の前方に着地し、『鬼神』と化した紅蓮大将が問答無用にBETAを一閃していく!!突撃級が攻めてくれば、脚を片側斬り落とし、または強固な装甲殻と剥き出しの肉体の繋ぎ目を狙い、両断する。要撃級には、頭部から身体ごと、文字通り縦に『一刀両断』し、真っ二つにしたり、前腕部を斬り落としたのち、蹴り飛ばして壁に叩きつけたりと『鬼神』のような戦いを見せる。 「これが帝国斯衛軍の『鬼神』の力…!!」「……絶対に敵には回したくは無いですね…。」紅蓮大将の後方で戦っていたまりもと碓氷が、素直な気持ちで感想を口にする。紅蓮大将の参加によって、まりもや碓氷達オーディン隊が戦うBETAの数が『三割』減っていた。 単騎で三割---あくまでも突撃級・要撃級のみの数だが、それでも今攻めて来てる数を鑑みれば、その『三割』という言葉は脅威だ。「…わかったでしょう、神宮司大尉俺が以前『紅蓮大将や神野大将に勝てる日が来るのかなぁ~…』って…この二人に比べれば、俺なんかまだまだ卵の殻を頭に被った雛(ひよこ)に過ぎません。今の紅蓮大将と戦えば、間違いなく負けますし、中破判定すら危ういですよ。」「……今、その言葉の意味を知ったわ…。」すると、タケルが通信に参加してくるあのタケルでさえ、今の紅蓮大将には足元程度しか及ばない--まりもやオーディン隊は紅蓮大将の強さに息を呑むしかなかった。 すると--- 「紅蓮大将、勝負ですっ!!」「「「ハッ?」」」「水月!?」水月が突然紅蓮大将に勝負を叩きつけて来た。その出来事にまりもやオーディン隊のみんなは、頭が真っ白になり、巻き添えを喰らってる遙は水月の暴走(?)に戸惑い、涙を流していた。「ほほぅ…ワシに勝負を挑むとは…流石は白銀の教え子…その度胸だけは誉めておこう。」「私は強くならなくちゃならないんです。大切なみんなや尊敬する人達を守る為にっ!!その為には…紅蓮大将、アナタを『踏み台』として乗り越えてみせるッ!!」水月の爆弾発言に驚愕するまりも達しかし、当の紅蓮は大笑いをしながら誉め讃えていた。「ガーハッハッハッハッ!!その心意気良し!!気にいったわ!!その素直な気持ちに免じて、お主の勝負受けて立つ!!」「ありがとうございます!!」「では、勝負は簡単。反応炉周辺のBETAが居なくなるまで、突撃級・要撃級の撃破した数で決めるぞ。」「了解ッ!!」またもや勝負が始まり、タケルやまりもの頭を抱える事となる。「ヌウゥゥゥン!!」「クッ…まだまだよっ!!」長刀や拳を操り、BETAを粉砕する紅蓮大将に対し、水月はタケル直伝の機動を操り、的確な攻撃を繰り出す。水月機に迫って来る突撃級の攻撃を噴射地表面滑走で円を描くように回避したのち、背後から長刀で斬り裂き、背後に居る要撃級を背面飛びするような状態で攻撃を回避し、回避中に担架に装備している突撃砲で撃退する。新人少尉とは思えない活躍をする水月だが、その遥か前方では、紅蓮大将の機体・瑞鶴改・烈火がBETAの屍の道を作り続ける。「ハッハッハッ!!先程の勢いは何処へ行った?」「クッ…これから逆転してみせてやるッ!!」「その意気だ!!」懸命に戦う水月だが、やはり紅蓮大将には適わず、倍近い差をつけられる結果となるが、水月に悔いは無かった。同時に紅蓮大将も口にはしないが、水月を評価する。反応炉を停止して十分後---反応炉周辺にいたBETAは、反応炉停止と共に退却し、現在は反応炉周辺の守備に徹していた。 その際、影行達『銀の戦車』シルバーチャリオッツ隊が補給部隊を連れて来た為、タケル隊突入部隊は順番に補給をする。「随分と早かったな、オヤジ」「最初の内は戦闘はしたんだが、中階層辺りでBETAとの接触が減ってな順調に進む事が出来たんだ。」「けど、他のルートで行った部隊達は、かなりのBETA群と接触してたみたいよ?」父・影行と母・楓と通信をするタケル影行達も、BETA群との接触があまりなかった為、かなりのスピードで制圧をしながら、進行をしていた。その際、補給部隊と合流し、急遽補給部隊の護衛として、タケル達の居る最下層まで進行していた。「地上部隊の方は、大部分のBETA群が退却した為、ハイヴ周辺は僅かな数だけらしい。今はその残存しているBETAと、佐渡島ハイヴへ退却しているBETA群の殲滅するのと二手に別れて戦闘が行っている。」「佐渡島ハイヴか…」影行から現状の情報を聞き、佐渡島ハイヴの言葉に反応するタケル自然と操縦桿を強く握り、僅かに表情が険しくなる。 (…絶対にみんな生還してみせる…!!)あの日の悔しさと無念…決して忘れはしない---!!『タケルちゃん…その時は、私も頑張るよッ!!』『もう…あの時のような事は…絶対にしないよっ!!』(純夏…ありがとう…。)そばでタケルを支える二人の純夏二人の言葉に勇気づけられ、誓いを一層強くする。 「良し、次は我々が補給の番だ。白銀大尉、あとは頼みます。」「了解。さっ、早く補給を済ませるんだ、タケル」「わかったイグニス10、これより補給に入ります。」椿の指示に従い、補給にまわるタケルそのそばを影行率いるシルバーチャリオッツ隊やオーディン隊が警戒態勢を引きながら、護衛する。 そして補給が終わったのち、他の部隊がやってきて、反応炉の護衛を変わって貰う。『サイバー1からクレスト1へ。済みませんが、今中階層辺りで帝都防衛軍がBETAと戦闘をしている情報がありました。帰還する途中で援軍に回って貰えないでしょうか?』「クレスト1了解。これより、我々突入部隊は、帝都防衛軍の援軍にまわる。全速力で救助に行くぞっ!!」「「「了解ッ!!」」」反応炉の護衛部隊に帝都防衛軍の援軍要請依頼を受けて、帰還する途中に救助に向かう事になったタケル達。 「仕方無いか…約束したしな…。」「ウム、彩峰の頼みだ。絶対に救出してみせようぞ」慧との約束を果たす為に、ペダルを全開まで踏み、全速力で出撃するタケルと冥夜(沙霧…アンタはこんな所でくたばるタマじゃないたろ…俺達が着くまで、死ぬんじゃねぇぞ…!!)複雑な気持ちを抑えながら、沙霧の居る帝都防衛軍の元を目指すタケルだった…