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No.21061の一覧
[0] 東方交差点 ※更新無し(お知らせ)[or2](2010/10/26 23:03)
[1] 原始編 一話[or2](2010/09/17 18:02)
[2] 原始編 二話[or2](2010/09/17 18:02)
[3] 原始編 三話[or2](2010/09/01 05:27)
[4] 原始編 閑話 3.5話[or2](2010/09/23 07:49)
[5] 原始編 四話[or2](2010/09/01 05:27)
[6] 原始編 五話[or2](2010/09/01 05:28)
[7] 原始編 六話[or2](2010/09/01 05:28)
[8] 原始編 七話[or2](2010/09/01 05:28)
[9] 原始編 八話[or2](2010/09/01 05:28)
[10] 原始編 九話[or2](2010/09/01 05:28)
[11] 原始編 十話[or2](2010/09/01 05:28)
[12] 原始編 十一話[or2](2010/09/01 05:29)
[13] 原始編 十二話[or2](2010/09/01 05:29)
[14] 原始編 十三話[or2](2010/09/01 05:29)
[15] 原始編 十四話[or2](2010/09/02 07:29)
[16] 原始編 十五話[or2](2010/09/02 07:29)
[17] 原始編 十六話[or2](2010/09/04 00:21)
[18] 原始編 十七話[or2](2010/09/06 00:00)
[19] 原始編 十八話[or2](2010/09/08 00:01)
[20] 原始編 十九話[or2](2010/09/13 00:00)
[21] 原始編 最終話[or2](2010/09/18 01:04)
[22] 原始編 閑話 16.5話[or2](2010/09/23 12:55)
[24] 誰得用語集&人物紹介【ネタ】 それなりに更新[or2](2010/09/23 12:57)
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[21061] 原始編 三話
Name: or2◆d6e79b3b ID:45d7fd94 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/01 05:27
ここはとある人間達の集落。その中心。
そこでは最近現れた新しい種族、『妖怪』について話し合う、所謂会議が行われていた。


「皆のものも知っていると思うが、最近『妖怪』と名乗る者たちが現れたようじゃ。
奴らは化獣のような力を持ち、さらに我々人間の姿を模しているといわれておる。
何より恐ろしいのは妖怪を従えている黒髪の妖怪じゃ。
今より妖怪への対策をとるための話し合いをしたいと思う。
妖怪の目撃を、誰かしたものはおらんか?」

 長老と思わしき人物が辺りを見回す。彼自身、直接妖怪と出会ったことがあるからこそ分かる。こうして対策を立てなければ
 簡単に人間は殺されてしまう。だからこそ、長老は集落の人間達から情報を集め、これ以上の犠牲者を出さないために
 も、近づいてはならないモノを特定したいと考えているのだ。


 近づいてはならないモノ。つまり、倒すわけでもなく、ただ放置し、自分たちは安全な場所に逃げようということである。
 彼自身は、戦う術を持たなかった訳ではない。人類全体で見ても希少な霊力を扱える人間であり、且つ神々から直接知恵
 を授かったこともあるほどだ。そんな彼だからこそ、妖怪と対峙して尚生きていられた。


「私は、大きな角を持ったヒトを見たわ。遠目で見たけど、きっと妖怪だわ。」
「俺が見た奴は羽を持ってた!そして、奴!弟を空へ持ってって突き落としやがった!」
「うちの旦那もやられたよ……変な色の髪をした、狼みたいな耳と尻尾を持ったでかい女さ……」
「私の息子が黒い髪のやつにやられたわ!手で頭をつかんで……そうしたら、息子がどんどん骨になっていったのよ……う、うぅ……」

「うちのは!―――」
「こっちも!―――」
「――!――!」


 被害は、多い。


 長老は目撃情報を纏めつつ、周りを鎮めながらも、始めて妖怪に出会った五日前の日を思い出していた……





 その日、彼は隣にある集落へ向かうことになっていた。昨夜隣の集落から遣いの者が来たことが原因だ。遣いの者が言うには、
 六日前、つまり今から七日前に妖怪と名乗る者たちによって殺しが行われ、次の日、その次の日も妖怪による被害が増えていた。
 これ以上の被害の拡大を恐れた隣の集落の民たちは、賢人である彼の力を借りようと遣いを出すことに決めたらしい。

 他にも、妖怪とは人の形をした人ならざる者、人間の姿をした化獣という、長年生きた彼にもよくわからない情報であったが、
 遣いの者がよほど切羽詰まっていたので、新たな化獣が出てきたのかとあたりを付けていた。
 彼は遣いの者に隣の集落へは彼と彼の弟子の一人が行くことを伝え、遣いの者を休ませ旅の準備をするのだった。

 隣といっても彼の集落から二日かかる距離だ。それなりの準備は必要である。当然、夜間は危険なので移動することは
 できないが、丁度間にある洞窟で寝泊まりできるおかげで、大がかりな準備を必要とせず、少人数での行動が可能と
 なっていた。水と食料、武器と少々の薬草を人数分用意したあと、彼も休み、夜が明けるのを待っていた。


 旅は順調であった。予定通りの時間に洞窟へつき、荷をおろし一休みをして食事をとっていた。いつもなら、一緒にいる者と
 少々の雑談をして眠りに付くはずであったが、洞窟の奥に奇妙な気配を感じ取ってしまった。感じ取ったのは勘、としか言いようがない。
 長老は昔、名をはせた戦士であった。強く、賢く。たった一人で化獣にすら勝つほど力を持っていたが、歳には勝つことが出来なかった。
 しかし、まだまだ若い者には負けることはなく、時間に制限を付ければ彼に勝てる人間など居はしなかった。
 そんな彼が、洞窟の奥に不穏な気配を感じとったのだ。遣いの者と弟子に声をかけた後、自ら先頭に立ち洞窟の奥へと進む彼。


 そこで見た景色は、一生忘れることはできないだろう。なぜならば、ヒトがヒトをタベテイルノダカラ……



 彼はがむしゃらであった。ヒトに襲われたと思ったら、気が付いた時には遣いの者も、弟子も、軽くではあるが怪我を負っていた。命に別状がなさそうなのが幸いである。
 彼自身にも大きな傷は無かったが、足元には血だまりがあった。覚えのない傷でも負ってしまったのかと、目を凝らして体を見ようとすると、
 視界の端に引っ掛かる違和感。目を、向ける。そこには、なぜ気が付かなかったのかと思えるほどにすぐそばにあった、ヒトの死体。

 何故?

 彼自身、人間を殺したことがない訳ではない。いついかなる時代にも悪人は居るし、弱いものを襲う者もいる。
 逆に守る者も存在し、それが彼だっただけの話。

 しかし彼が動揺しているのは、ただ殺したからではない。自身に、覚えがないからだ。今まで殺した悪人は、自らが責任を持って、命を絶った。
 守るべき存在を胸に、同じ人間同士で争う悲しさを胸に、いつだって意味を持たせてきたのだ。死んでいった者達のことを忘れないために。
 しかし、どうだ。この有様は。


 彼は、この日初めて、自分が殺した者の顔も声も想いも何も知らないまま、相手を殺したのだった。




 殺した存在が妖怪だと知ったのは次の日の朝だった。あの後は遣いも、弟子も、彼でさえ、傷の手当てをした後、疲労ですぐに眠ってしまった。
 本来ならば、相手を弔おうとする善人な三人である。すぐに食べられていた人間を土に埋め、次に殺した相手を弔おうとしたとき、
 彼らは見慣れぬ羽を見つけた。すなわち、殺した相手の背中にある、翼を。
 幸か不幸か、遣いには心当たりがあり、最近襲ってきた妖怪と特徴が一致していることから、彼らは殺した相手が妖怪だと判断したのだった。


 彼は恐怖した。人間の姿を持った妖怪に。あそこまで似ているとは思わなかったのだ。暗かった、というのもあるだろう。
 しかし、それだけではない。化獣独特の、あの雰囲気。それがない。むしろ、人間が持つ雰囲気の方が近い。
 そして、その強さ。

 記憶がなくとも、いや、記憶する余裕すらなかったからこそ、恐ろしい相手だということが分かる。妖怪とは、皆このような存在なのか。
 それとも、今出会ったモノが特別なのか?そんな疑念を胸に旅を再開させた彼の心には、小さく、されど深い闇を残していったのだった。

 彼は、自らの集落へ戻ったとき、妖怪への警戒を呼び掛けなければと考えていた。









 初めて妖怪として名乗りを上げ、水浴びをしてから早九日と三日。はて、九の次の数字はなんだっただろうか。
 百?十?どっちかなのは覚えているが。百二日、十二日、どちらだろうか。千と万は無いだろう。こいつらは大きい数字だったから。
 あの日から各地をめぐり、途中出会った化獣を妖怪に変え、人間を襲わせるということを繰り返し過ごしていった。
 そんなことをしている内に、ようやく私の能力の使い方も様になってきたようで、人間程度ならば
 強制的に寿命を『終わらせる』ことが出来るようになったのだ。掴まなければ、できないのだが。

 他に変わったことと言えば、いつも横に着いて来て、私に指示を仰いでいた奥理が一人狩りをするようになったのだ。
 遠くに居る人間を見つけ、襲い、食べるか見逃すかをしているようだ。わざわざ私が指示を出さなくとも、
 きちんと妖怪としての役割を果たせているのはうれしい限りである。人間を捕まえてきて、私のところに持ってくるのは
 反応に困るのでそろそろやめて欲しいのだが。ついでに今は、奥理の狩りを眺めている最中である。


 そんな奥理であるが、最近感じられる力が大きくなったように思える。どうも私のように異能を有するようになったらしいのだ。
 異能。それは化獣がたびたび持っている力である。ある化獣は火を操り、またある化獣は風を操る。すべてがすべて、異能を
 持っている訳ではないが、変わった現象を起こせるモノは総じて力が強かった。異能を持たない化獣でも霊力の塊を相手
 にぶつけ、動きを止めてから狩りをすることができる。これが獣と化獣の大きな差であり、故に、化獣は他を恐れず、人間・獣・植物
 あらゆるモノを食糧とし、化獣を糧とするものは化獣しか居なかった。このままではいずれ化獣が増えすぎて、他の存在が
 減ってしまうので、やはり人間のみを食べる妖怪を作り出す必要がある。

 話を戻すとしよう。奥理は異能を手に入れた。その異能は『離れた相手でも襲うことができる』という異能。霊力が塊となって、奥理の
 動きを先行するようだ。例えば、奥理が離れた相手を踏みつけようとする。この場合、霊力が先行して、奥理の形を模倣した
 霊力が相手を踏みつける。その間に、奥理自身が近づき、実際に踏みつける。この一連の流れに取り込まれた人間は、逃げること
 は叶わないであろう。私でも、突然やられれば気が付くことはできないだろうから、吃驚すると思う。

 狩りを終え、戻ってきた奥理に前々から気にしていること話しかけるとする。私は正直な妖怪なのだ。

「なあ奥理。お前、いつまで私に付いてくるのだ」
「それは……」

「……まあ、別に構わないのだが」

 真剣に悩みだしそうな気がしたので、先手を打っておく。奥理は考えてから口に出すまでの時間が長いので、そんなこと
 に時間を割くくらいならば私の名前の一つでも考えたいところだ。

「そうだ、次の名前の提案なのだが、『ハジ』なんてどうだろうか。
お前が却下してきた名前を考えるに、妖怪、と付いておらずに、短ければいいのだろう?
始まりの妖怪のハジ、どうだ。文句の出しようもあるまい」
「ハジ、ですか。ようやく名前っぽくなりましたね。あなたの名付け感覚には涙が出そうでした」
「なんだと」

 奥理もなんだかなまいきになってきたようだが、別に気にしないことにする。私は度量の大きい妖怪なのだ。

「ふむ。では私の名前が決まった記念に、異能にも名前を付けてみるか。私たちは妖怪なのだから、化獣のようなただ使うだけ
の存在ではない。もっと知的に、扱っている感じを出していかなければ」
「異能に、名前……ですか。例えばどんな?」
「しばし待て」

 とは言ってみたが、大地からの情報にある私の異能の内容は、『始まりと終わりの地点を操作する』といった具合である。
 始まりと終わりを操作する。実は詳細が良く分からないのだが、この異能は始まりの妖怪である私にこそふさわしいのであろう。
 この異能では、始まりと終わりの境界など分からないが、物の端(始まり)と端(終わり)を見ることはできるし、
 両端まで距離を変え、重ねたりする程度のことはできる。過程には干渉できないが、結果を持ってくることはできるのだ。

 出発点と終着点と操り、森羅万象を我がものとするには、私の理解力がまだ足りない。現状、祈っているだけであり、抽象的、
 概念的なことは操れないのだ。目に見える、それこそ人間の死(終着点)のような物でなければ、私はまだ操れない。
 とりあえず、そのまま始まれ、終われ、と祈り使っているのだが、この異能は考え方次第で大きく変わりそうだというのが正直なところだ。
 まずは分かりやすい、離れた相手でも襲える異能を持っている奥理の能力の名前を考えるか。そのままでもいい気がしてきたが。

「奥理、お前の異能を言ってみろ」
「はい。私は離れている相手を襲うことができます。私の思った通りに襲えますが、襲うこと以外はできませんし、
 自分の体でやろうとすることと変わりがないので、私が出来る以上のことはできません」
「そうなのか?もっと便利な異能かと思っていたが、その程度だったか」
「その程度……はい、その、程度です」

 ふむ。襲う以外はできない。自分が出来る以上のことはできない、と。つまり、人間を襲う程度しか出来ないのか。
 奥理は、そこまで強くはないし。

「そう耳を垂れ下げるな。どうせ奥理は人間を襲う事しか出来ないのだから。
そうだ。お前の異能は『人間を襲う程度の異能』、いや、この際『能力』、と名付けてみようではないか」
「人間を襲う程度の、能力、ですか。たしかに、それくらいしか出来ませんが……」
「なんだ、不満か」
「いえ。その通りなのですが、程度、と付くのが」

 なんだ。そんなところが不満なのか。確かに程度と付けられれば、軽んじられているように感じられるのだろう。
 今まで異能を持たなかった奥理が初めて手にした異能だ。誇りたい気持ちもあったのだろう。
 だが実際に、私から見ればその程度でしかないし……

 ここは程度と付けることによって、謙虚さを出すことが出来るとでも言っておけばいいだろうか。我が物顔で偉ぶるだけの
 化獣とは違い、広い心を持っているように見えるかもしれないので、悪いことばかりではないだろう。ただ怠慢なだけではない。
 私は謙虚さも持っている妖怪なのだ。

「ふむ。では私の能力にも『程度』と付けてみるか。妖怪は皆偉ぶっていると思われるのもどうかと思うからな」
「そういえば、ハジの能力は一体どんなものなのですか」
「私か。私の能力は……」

 なんと言うべきか。始まりと終わりの地点を操作する程度の能力?まだそうだと言えるほど、私は能力を使いこなしていない。
 なにより、長い。もっと短いのがいい。
 ならば……

「そうだな。私の能力は端を操る程度の能力。物事の端を操るだけの能力だ。
将来的には目に見えないモノも操りたいとは思っているが」
「端を操る程度の能力、ですか。あなたにしては、まともな名前ですね。
どんな能力かは分かりませんが」
「うるさいな。それと能力は見せてやる」

 うまく能力を使うには、感覚ではなく、理屈で使えるようにならなければなるまい。その為には能力を使うたくさんの経験が必要だ。
 たくさん使う。それが一番の近道だろう。とりあえず、千年くらい専念すれば、分かるかもしれない。
 さて今日は、どこへ行こうか。人間の集落はまだ一つしか見つけてないし、それ以外を探すのもいいかもしれないな。
 前の集落は水場の近くにあったから、他のも案外そうなのかもしれない。










「奥理、見ていろ。能力練習の手始めに今から湖に行くぞ」

「? はぁ。」

「いいか。ここは草原だが、ここはあの湖だ。そうだ、そう思い込め。

移動は既に、「始まり』そして『終わっている』。そう、思い込め」

 ハジ は のうりょくの つかいかたを すこし りかい した!

 もくてきち を あやつれるように なった!











――――――――――――――――――

あとがき

早くも書き溜めが終了するため更新が遅くなるかもしれません。
いろいろと試してみるので、ご勘弁を。
手始めに私はプロットの意味を調べてきました。やばいです。

能力についてはこじ付けです。
一応作中で語った気にはなっているんですけど、結構穴がありますよね。思い込みって怖いです。

なぜ始まりの妖怪と言っているのに、終わりもつけたし。と謎に思われた方も多いかもしれません。
一応、作者は始まりと終わりは一緒に無くてはならない物。という考えを持っているので、纏めて付けました。
あくまでも作者の考えなので、作中で明確に表現するのは避けました。考え方の一つとして受け取っていただければ幸いです。

本音は強そうだから。

次、時間進めます。結構跳ぶよ?


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