「あほかー!」
「きゃん!!」
ずかずかずか、とダークは家に押し入り、きゃんきゃんにげんこつを食らわす。
「馬鹿か!お前は。なんでよりによってここにいるんだ!」
「食べ物のいい匂いがしたから。」
頭にげんこつを食らい、涙目の癖に、Vサインを出すきゃんきゃん。
ダークはまさかの事態に重いため息をついた。
きゃんきゃんを探しがてら、ちゃんと昔の自分が存在しているか、
シィルが元気にやっているか、ちらっとだけ、家を覗いたダーク
そこに、きゃんきゃんがいたときには思わず、
盛大にずっこけてしまった。
ここで何かあったら確実に歴史が変わる。
当初の予定を変更して『かなみ』をここまで送ってやったのが
無駄になってしまう。
「とっとと出るぞ。」
「あ、あの~。」
視界に写るピンクの女の子。
戸惑いと怯えの様子を見せながら慎重に声をかけてくる。
「ひょ、ひょっとして、強盗の方ですか?」
なぜそうなる、と言いたかったが。
良く考えてみれば、勝手に家に押し入り、顔は
かなみから奪ってきた布で隠している。
確かにそう思われても仕方ない。
顔をさらしたほうが問題なのだが、強盗と勘違いされるのも問題だ。
さっさと誤解を解いて、さろうと思っていたダーク。
しかし、思わぬ伏兵がいた。
ランスの横の『きゃんきゃん』の目がキラーン、と光る。
「いや、そういう…」
「その通りだぁー!!私たちは強盗だぁ。
動くと命がないぞぉ、死にたくなければ手を上げろぉ!!」
「や、やっぱりー、ひーん。」
『きゃんきゃん』の宣言に
涙目で、手を上げて降参ポーズをするシィル。
「あははは、動くと命はないぞぉ~それ~♪」
「あーれー。」
何処から取り出したか、手際よくロープでシィルを体中ぐるぐる巻きに縛る
きゃんきゃん。
ぐるぐる巻きにされたシィルは、バランスを崩し、
こてり、と倒れる。
「きゃは、きゃはははは。もう抵抗できないぞぉ。
ダーク様は怖いぞぉ。強姦魔だぞぉ。性欲の権化だぞぉ。」
「…おい!」
きゃんきゃんは自分の首下に、冷たいものが当たるにあたって、冷や汗を浮かべる。
すでに首筋にはうっすら赤い線が入っている。
「あ、あは、あはは、なんか今日は、いつもより
迫力があるよね。剣で突っ込むなんて、あは、あははは……。」
「…そうだな。」
本気だ!これ以上、何かやったら殺される。顔を青くさせ、
先程のシィルのように降参ポーズをとる『きゃんきゃん』
「あー、今のはただの冗談だ。俺たちは直ぐに…」
「ひっ、申し訳ありません。お金はないんですぅ。」
ダークのきゃんきゃんへの行為が、逆にシィルをびびらす事になる。
下手をしたら命をとられると思ったシィル
血相を変えて命乞いをする。
「いや、あのな。」
「あの、家にあるもなら何でもとっていいですから、どうか命だけは…。」
「だから話を…。」
「ほんとに、ほんとにお金ないんです~」
「ちょっと」
「信じて、信じてくださぁ~い。お願いしますぅ~。」
「話を聞……」
「ランス様が、ランス様が働かないから、私の内職だけでは…」
ぷちっ、ダークが切れた。
「おい、こらテメェ。シィル。人の話はしっかりと聞いとけよ。」
「ひぃぃぃぃ。わか、わかりま……。」
「あぁ?わかってねぇじゃねぇか!てめぇ!奴隷の癖に、」
「ごめ、ごめんなさい。ひ、ひぃ。」
「俺様が働かないだと~。」
「ちっ、違います違います、働かないのはランス様ですぅ~。」
「俺様のことじゃねぇか!お仕置きだ~。」
「ひ~ん」
縛られ、もぞもぞと動いているシィルをぐりぐりと足蹴にする。
「いたいいたいです~。」
シィルの上に馬乗りになり、お尻と胸をもみしだく。
「あ、ああん。ああん。許してくださぁい。強盗様~」
「きゃははは、性欲の権化ダーク様、御降臨~。」
「はっ、いかん、いかん。こんなことやっている場合ではない。」
楽しそうなきゃんきゃんの声でダークがわれに返る。
涙で頬をぬらし。ランス様~と、か弱い悲鳴を上げるシィル。
…本当に襲っちまおうかな、
おどおどびくびくしているシィルを見。股間がうずきだしたダーク。
偶然、その股間のふくらみをみてしまったシィル恐怖で顔をゆがませる。
「ふん別に俺様はただ、こいつがいたから連れ戻しにこの家に入っただけだ。
別に強盗でもなければ、強姦魔でもない。」
きゃんきゃんを指差し害を与える気がないことを宣言する。
「ほれ、『きゃんきゃん』不法侵入した事を謝れ。」
「あはは、ごめんなさい、おねぇさん。どうもダーク様虫の居所が悪くって、
ダーク様に代わって謝るよ。」
「は、はぁ。」
ロープで縛り、足蹴にし、体をまさぐるった男。
今更、他意はないと言われたとて信じられるわけがないと思うのだが…。
「なんで俺様のかわりなんだ。まぁ、いい。
これ以上いると、なんだかやばいことになりそうだと
俺様の灰色の脳細胞が告げているからな。
とっととずらかるぞ。」
「あははは、まったねぇ、おねぇさん。」
ロープで縛られたシィルをおいて去る二人。
なんだったんだろう、あの人達、と思いをめぐらすまもなく
直ぐ後、シィルの後ろから声が聞こえる。
「おいシィル。なんだか騒がしいようだが、なんかあったのか~。」
「……さぁ、なんなんでしょう。」
「あっ、おい、こら飯がまだできてないじゃないか。
今日は久々に朝早く飯が食べたいといっといたはずだぞ。」
「ご、ごめんなさい、ランス様。ですが、縄で縛られて動けないんですぅ。」
「何を一人で遊んでいるか。ええい、言い訳はいいお仕置きだ~。」
「きゃあぁああああ」
間一髪だった。
………
「ねぇ、ダーク様。」
「なんだ?」
「さっきの娘とダーク様って知り合い?」
「なぜそう思う。」
「なんとなく。」
「…どうかな。」
「ふーん。…なんかおもしろくない。」
「知るか。」
こうして、なんとか、此度のリーザスのごたごたを
避けることに成功したダーク。
「ダーク様、あのお城で何する気だったの?」
「『ハウレーン』って女の救出さ。いったろ?
まぁごたごたのせいで、俺様がかっこよく助けるはずが、
『やもりん』と『セクシーナイト』に任せることになっちまったがな。」
「本当?本当にそれだけ?」
「ほかに何があるってんだ?」
「別に…。」
「今日のお前、なんか変だぞ。」
首をかしげるダーク。
「それで、これから何をするの?」
「そうだな。仲間を集めるか。人間でも魔物でも俺様に忠誠を誓う奴なら
問題はない。」
「いよいよ。だね。」
「ああ、しっかりついてこいよ。お前は俺様の使徒第一号だからな。」
「きゃはは、てれちゃうよ。楽しく楽しく世界征服しようねぇ。」
「征服じゃない。何度行ったらわかるんだ。お仕置きするぞ。」
「やめてー、あは、あははははは♪」
歴史が、変わろうとしていた。
ダ~クランス(いいかげん)~fin~
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
一応ここで話は終わりですが。まだ読んでやろうという
太っ腹な方は、『その他』でこの続き、鬼畜王編を
スタートさせてますので、よろしくお願いします。
ただ、鬼畜王編は、途中で放置になる可能性が高いです。
このいいかげんな文章を最後まで読まれた『強者』である
貴方様なら大丈夫かと思われますが、くれぐれも
過分な期待せずに読んで頂ける事を願います。
批判覚悟で、てけと~に更新していきます。いい加減万歳!
追記
…ついでに、最後まで読んでくれた稀有な方、
自分の好きなキャラを感想にちょっと記していただきたい。
登場するかもしれません、というかするでしょう、きっと
…私が知っていうキャラならですが
(ゾーン意外と狭いです。すんません)
登場のさせ方等参考程度に軽く書いていただけるともっと助かります。
話の展開詰まりそうなので、…どうぞよろしく。