『やもりん』がザラックにより酷い目に合わされているであろうころ。
『セクシーナイト』と『きゃんきゃん』はどうしているか。
こちらも負けず劣らず酷い目に合わされているのでは…と思いきや、
意外にも人道的に扱われていた。
「あなたたちのような、悪人に話すことは何もありません。」
きっぱりと言い放ちぷいっと横を向くセクシーナイト。
「そんなことを言わずに。」
「なら、まずはこれをほどきなさい。」
「いや、すまんがそれはできない規則で…」
「それでしたら、話すことは何もありません。」
台詞は聴かず、状況だけ見れば、『セクシーナイト』の扱いは良いとはいえない。
あの、大胆な服を全員に見られ、手首を拘束され、天井から吊り下げられている。
そう、まるで、アニメのやけに露出の多い正義の女の子が悪人に捕まり、
酷い目に合わされているの図である。
しかし、兵達は何もできないでいた。それというのも
モンスターであるか人間であるか、判別がつかないからだ。
本人は自供しているが『セクシーナイト』というモンスターはいまだ確認されていない。
頭のねじの弱ったか弱い女の子、という線が捨て切れないのだ。
兵達は、口頭での説得と、セクシーナイトのグラマーな体を
生唾を飲み込んで、見まもること意外できることはないのであった。
さて『きゃんきゃん』はどうだろう。
馴染み深いモンスターであり、セクシーナイトとは違い、知らぬものは
まずいない。
しかし、ひどいことはされていない。
なぜなら、所詮『きゃんきゃん』だからだ。
脅威になることは一つとしてなし。
部屋に幽閉されているだけで体を拘束すらされていない。
いや、幽閉という言葉には誤解があるかもしれない。
他の二匹とは違い、じゅうたんも敷いてあれば、椅子もベットもある。
というのも『きゃんきゃん』は黙秘をしていない。
食べ物と、部屋を与えてくれればなんでも話す、といい。
おいしい人参を、ほおぼりながら、部屋で兵達と談笑していた。
「そうそう、そのダーク様ってのがね~。
大きいことばっか言ってるくせに、部下の『やもりん』にすら勝てないんだぁ。」
「まじかよ。なせけねぇなぁ」
「ぼこぼこやられちゃってね。実践じゃないからだ、とか
本当の生き死にの勝負なら負けない、とかぁ言い訳ばっかいってんのぉ。」
「ははははははは」
万が一この場にランスが登場したら間違いなく、最高級のお仕置きをされるであろう。
『やもりん』がこの光景を見ても、やるせなさがこみ上げ、拳がうなるかもしれない。
まぁ何はともあれ、長い一夜が始まろうとしていた。