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No.2262の一覧
[0] ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/20 14:03)
[1] Re:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/19 14:12)
[2] Re[2]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/19 18:22)
[3] Re[3]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/20 00:21)
[4] Re[4]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/23 12:22)
[5] Re[5]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/21 22:23)
[6] Re[6]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/29 00:41)
[7] Re[7]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/02 16:11)
[8] Re[8]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/02 18:35)
[9] Re[9]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/03 23:45)
[10] Re[10]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/03 23:36)
[11] Re[11]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/03 23:50)
[12] でーた戦闘力(いいかげん)[ひから](2005/12/11 14:44)
[13] でーた登場人物(いいかげん)[ひから](2005/12/04 16:02)
[14] Re[12]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/12 16:11)
[15] Re[13]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/12 16:12)
[16] Re[14]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/20 22:31)
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[2262] Re[6]:ダーク・ランス(いいかげん)
Name: ひから 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/11/29 00:41
魔法を使えぬ者の扱いの酷いゼス王国や、貧富の差の激しいヘルマン帝国から
移り住む者も少なくないようで、現在リーザス王国の人口は爆発的に増加している。

リア=リーザス=パラパラが王女として即位して以来、
安定政権が続いているためだろう。

市場は活発化し、当然その首都であるリーザス城、城下町は人で賑わっていた。

宿の数も、増え続け、
それぞれ独自のサービスを取り入れたりなどして、宿屋同士の客の取り合いが激化している。

ランスは、数ある宿屋から、別段迷うことなく一つを選んだ。
そこは、特別でもなんでもない、二階建てのこじんまりした建物。
強いて特徴を挙げるなら、JAPAN模式であることか。

さびれている、とはいわないが、
新たに乱立する宿屋に押されたのだろう。客の入りはまばらだった。

部屋はテーブルに座布団、そして寝巻きが置かれているだけの簡素な作り。
テーブルの上には、お茶を入れるきゅうすと小さなコップが置かれ、
茶菓子が少量申し訳程度に皿に入っている。


ランスは座布団を三枚重ね、その上にあぐらをかいて瞑想をしていた。

今後の自分の行動を、考えるためである。
ランスは思考する。

当面、自分の目的は、均衡した世界情勢を保つこと。
その為に動く。求めるは中庸の世界。そうすれば、世界崩壊の危機は避けられる。

くそクジラの機嫌を伺うような吐き気のする行為だが、
必要なのは時間。究極的にはそれが、創造神ルドラサウムを倒す手立てになる。

これからのリーザスでの自分の行動は、恐ろしく危険である。
なまじ知識を持っているだけに、それがわかる。

此度の戦争はただの国と国との領土争いに納まらない。
魔人の勢力や、今後の世界情勢に大きく関わる。

故に今回、自分は静観するが正しい。

アイゼル・ノスという魔人の死により、ホーネット側が幾分弱ってしまうのが難点だが、
そこまで言うのは贅沢というもの、一歩間違えれば魔王ジルによる絶対政権が始まってしまうのだから。

史実道理が一番、均衡を保ちやすい。
未来が予測しやすいというメリットもある。


既にこちらに来て二ヶ月が過ぎようとしている。
本来ならリーザスに近寄らず、
今だ三名しかいないという
遅れをとりすぎている、何処にも属さない『俺様軍』の編成を急ぐべきである。

しかし、である。
可愛い女、しかも自分の部下であったものの不幸を見過ごすのは忍びない。
それが貞操の危機なればなおさらだ。

それにこれは、
ハウレーンという将に恩義を感じさせる最大のチャンスでもある。


ハウレーンはバレスという優れた父親にコンプレックスを抱いている。
どうしても『優秀な将軍の娘』と見られてしまうがそれを嫌っている、

今度の救出劇に加えそこをうまくつつけば本人の意思で
リーザスを出奔し自分の下にくるという事も十分にありえる。

元リーザス軍白の副将ハウレーンが部下になるのである。

ハウレーンは特別秀でた将とはいえなくとも、ネームバリューはそこそこあるし。
将軍としても兵法を全く知らぬ魔物や、
そこらの名もなきザコモンスターにまかせるよりは遥かに安心できる。
なにより、作戦が失敗したとき
責任を取らせる(お仕置き)も彼女だと一層楽しい事だろう。

後はハウレーンが自分の下に来る状況をいかに作り上げるか、
ランスの灰色の脳細胞は活性化されていく。
ヘルマン侵攻により彼女がつかまり、恐怖を体験し、
ピンチになって泣き叫ぶ所を、タイミングよく現れ、
敵をぼこぼこにし、ヒーローのように助け出す。

さすれば、あの気難しいハウレーンも自分になびくことは間違いあるまい。


まずは危機的状況に追い込まれた
ハウレーンを助けるという行為に問題はあるか?

歴史に影響を与えるか、という点には
問題ない。前回俺様はリーザス陥落時ハウレーンに会っていない。
あいつを助けたからといって、事が大きく動くとは思えん。

リーザス城への侵入は容易だ。ヘルマン侵攻時、
ヘルマン兵の鎧を着て、ヘルマン兵に混じって行けばいい。

ハウレーンを見つけ出すのも難しくはない。
あいつが個人行動さえしていなければ
白い鎧が多いところに行けばいいだけだ。
俺様は、美女を見逃さない。すぐにわかるだろう。

助け出すのもこれまた輪をかけて簡単だ。
俺様の実力で、軽々と…、軽々と…
そこまできてランスの自分に都合の良い
大味かつ楽観的思考がとまった。思い出される、数日前の部下の台詞。


『正直、あなたは弱い。』


黙れ!
ランスはすぐさま自分の頭から追い出そうとするも
呪いの言葉は頭にこびりついて離れない。


『行動がなければそれに付随する力は得られない。
       現状が全てを物語っているのではないか?』

黙れ!

『やもりん』の吐いた台詞が、鋭いナイフとなりランスを突き刺す。

自分が強いということは。
自身の一つのアイデンティティとなっている。
今の弱い自分を直視してはいけない。
すれば、ランスは今のままで、ランスでいられない。


『…果たして、それであなたの目的は達せられるのか?』

「ええい!!黙れといってるだろうが!!!」

かっと眼を見開き、座っていた布団にこぶしを叩き込む。
ランスは吠えた。

「てめぇが、たかが一モンスターのてめぇが俺の何を知る。
 人類最強、人界の統一王、最強の魔王、神とも渡り合った俺様が『弱い』!?」
 

現に俺様は、まだ負けていないではないか。
こちらにきて、俺様は敗北していない。

―当然だ。勝てそうな奴を選んで闘っているのだから。


俺様は最強だ。どんな相手だろうが、俺様は勝利してきた。、

―幻想だ、お前は神に負けた。

黙れ!俺様はまだ負けていない。倒すまでいつもより時間がかかるだけだ。

―嘘だ。お前は逃げている。明らかに恐れている。


「やめろぉおおおおおおお!」

頭を抱え込む。呼吸が荒い、汗は噴きでて、体は痙攣する。
それは精神的なとこからくる、発作。

「はぁはぁ、はぁ、……久しぶりに出やがったか。」

荒い息をつきながらランスはひざを突く。

落ち着け、俺様。神に、あのくそクジラに勝てる手段はある。
愚かにも、あのクジラは、その手段を残した。


『正直、あなたは弱い。』

知っている。
今の俺様に力が無いことくらい、だがそれがどうした。
それは第一神級や、くそクジラに、悟られず行った逆行の代償。
多くの力を失った、しかし、それゆえに神を欺けた。
神の隙をつくチャンスを得る為ならそれくらい安いものだ。


冒険者時代より弱いこの身は、しかし、実に多くの可能性を秘めている。
首を洗って待っているがいい、くそクジラ。てめぇの命も刈り取ってやる。

そのための、逆行だ。だが物には順序というものがある。
順序などいつも飛ばしてきた俺様だが、今回ばかりは、ひとつひとついかなければならない。
まずは………。そして……。

「……ふぅ、」

想像の中でルドラサウムを100度殺したころ、ようやくランスの動悸が治まった。
落ち着きは既に取り戻しており、全身を流れる汗を置いてあったタオルでぬぐう。

「恐怖からくる発作で倒れかけるなど、…情けなさすぎる。
 部下には絶対に見せられんな。」

ため息をつき窓を見る、長い間瞑想していたのか。
すでに日は暮れようとしていた。

「…ん?そういえば、昼までには帰ってこいといったのに。
 遅いな。あいつらどうしたんだ?」

なにやら途中、外が騒がしかったが、何かあったのだろうか?
ヘルマンの侵攻が始まったのなら、その程度の騒ぎではすまないだろうが…

部下がいれば、偵察に出すところだが…。
あいにく、その部下がいない。
こんなときあいつが、俺様のただ一人の奴隷がいれば…

「…そういえば、いつでも俺様のかたわらにいたなぁ。」

ランスは今はもういない、かいがいしく自分の世話をしていた一人の奴隷を思い浮かべた。

「あいつは、今なにしているんだ?」

もう一人の俺様ではないランスと共にいて、
文句の多いランスにいいように使われているのだろう。
それでも笑顔を浮かべているのだろう。

なんともいえぬ寂しさを感じていたランスは、ドアの荒々しく開かれる音で現実に戻される。
部屋に二人の衛兵が入ってきた。ランスは剣を手に取る。

「お前がダークという男か。」
「なんだ、てめぇら。」
「リーザスのものだ。女の子モンスターを飼う事は法令で禁止されている。
 その上、放し飼いにしたお前のモンスターが街で暴れた。貴様に逮捕状が出ている。
 大人しくついて来て貰おうか。」
「いやだ。」

「なんだと…ぐぁああ。」
「貴様、刃向かう気…ぐぁ」

いくら剣を持っているからといって、いきなり切りかかってくるとは思わなかったのだろう。
ランスの不意打ちにより、二人の若き男の命が失われる。

「街で暴れただと?何やってんだあいつら。殺されてねぇだろうな。」

目の前の死体には一瞥もくれず、立てかけてあった鎧を着込む。

もし。ここに神が、もしくは悪魔がいたら驚きに言葉を失うだろう。
殺された二人の魂はルドラサウムへと戻らず、ランスへと吸収されたのだから。


「さて、さて、なさけねぇ部下を助けにいってやるか。
 死体になってねぇといいが、な。
 俺様自ら動くのは、これが最後にしたいものだ。」

救出劇が始まる。


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