<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.2262の一覧
[0] ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/20 14:03)
[1] Re:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/19 14:12)
[2] Re[2]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/19 18:22)
[3] Re[3]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/20 00:21)
[4] Re[4]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/23 12:22)
[5] Re[5]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/21 22:23)
[6] Re[6]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/11/29 00:41)
[7] Re[7]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/02 16:11)
[8] Re[8]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/02 18:35)
[9] Re[9]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/03 23:45)
[10] Re[10]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/03 23:36)
[11] Re[11]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/03 23:50)
[12] でーた戦闘力(いいかげん)[ひから](2005/12/11 14:44)
[13] でーた登場人物(いいかげん)[ひから](2005/12/04 16:02)
[14] Re[12]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/12 16:11)
[15] Re[13]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/12 16:12)
[16] Re[14]:ダーク・ランス(いいかげん)[ひから](2005/12/20 22:31)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[2262] Re[9]:ダーク・ランス(いいかげん)
Name: ひから 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/12/03 23:45
「ふむ、全員無事のようで何よりだ。」

『やもりん』は再起不能『きゃんきゃん』は死亡
なぜかそんな設定が頭をよぎっていたため、少々不安だったランス。

これも、女の子モンスターが好きなやつら(読み手)のおかげだろう。
よくわからないことを考えながら、全員無事であることに満足する。


「さて、俺様たちはこれより……」

ランスが作戦を告げようとした矢先、騒がしくなる。

「敵襲だ~!」
「ヘルマンが攻めてきたぞ~!!」
「魔物魔物だ~!!」
「みな起きろ~!!」

カーンカーンカーン、と緊急を知らせる鐘が鳴り響く。

はじめは、自分たちが脱走したことがばれ、追っ手が来るのかと
警戒した三人も、なにやら具合がおかしいことに気づき、首をかしげる。

ランスだけは何のことか察したらしい。口をゆがめる。

「ふん、そろそろとは思っていたが、まさか今日とはな…。」

・・・・・・


●メナド預言者に会う●


「な、どうなってるの?これ。」

青い髪をショートカットにしたボーイッシュな女の子
メナド=シセイは、驚きに目を丸くしていた。

リーザス城が燃えている。

「こ、こうしちゃいられない。」

自宅の窓から見た非現実的な一大事に、
あわてて、飾ってあった剣を手に取る。

「借りるね。」

亡き弟の形見の剣である。
子供の頃から剣士を目指していていた弟。
その弟に付き合っていたため、特別な剣の指導を受けてはいないが、
メナドも剣を扱える。

魔法の加護もかかっていない、どこにでもある無骨な剣であるが、
メナドにとってこの剣は特別だ。
腰に納めると、それだけで守られている気がする。

メナドは事態の把握に街へと繰り出す。

血を垂れ流しぴくりとも動かない人達。頭と胴体の繋がっていない人達。
やけただれ、人と判別するのも難しい黒い塊。その数のなんと多き事か。
街の中央に出るとそこは阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

悲鳴と泣き声は街中いたるところで聞こえてくる。

「う、うあ…」

メナドはこの世の地獄を見たような気分だ、恐怖で声もうまく出せない。
と、一匹の魔物と目が合ってしまう。
魔物はメナドを獲物と判断したのかじりじりとにじり寄ってくる。

な、なんで魔物が…
な、なんだっけ。見たことある、あの魔物
そう強くないはずだ。大丈夫、ぼくなら倒せる。

メナドは自らを鼓舞し、剣を抜くも、
手が震え、うまく構えることができない。

大丈夫、大丈夫、大丈夫。

心の中で何度も繰り返す、しかし、
手は思うように動かない、足も動かない、のどはからからだ。

鋭い爪を新たな獲物に振り下ろさんと魔物が腕を振り上げ、駆けてくる。

そう、それは、大して強くもない雑魚モンスター。
平常時のメナドなら、例え同じモンスター二匹に囲まれたとて対処出来たろう。
しかし恐怖に飲まれた今のメナドにこの厄災を振り払うだけの気力がない。


や、やばい。だめだ-。

来るべき衝撃に、目をぎゅっと瞑る。
ザシュ、メナドは体を貫く音が確かに聞こえた。

ああ、ぼく、しんじゃうんだ。だって体を貫く音が聞こえたもん
うぅ。もっと生きたかったな、弟の分まで生きるってあの時決めたのに……
あれ?でも痛みがないのはなんでだろう…

不振に思いうっすらと目を開く。
開いた視界。映る魔物の無残な亡骸。

「う、うわぁ~。」

目と鼻の先にころがる死体に驚き。
尻餅をつき、ずるずるとあとずさる。すると背中にどん、と衝撃を受けた。
恐る恐る振り向くと、そこにはリーザスのではない鎧を着た兵士がいた。

兜をかぶっているので、顔は詳しくわからないが、
不敵な笑みと、鋭い目つき、それだけで
彼が悪人であろうことはわかってしまう。

「あなたが、人助けとは、珍しい。」
「ふん。俺様はいつでも正義の味方だ。」

男の後ろに佇むのは、魔物だ。尻尾がそれを証明している。

魔物とお友達?
でも、口ぶりからしてぼくを助けてくれたのはこの人。

メナドはそう理解すると、素直に男にお礼をいう。

「あの、ありがとうございます。」
「あぁ?気にすんな。本当に気まぐれだ。
 見殺そうと思ってたんだ、運がよかったな。」

あんまりな台詞。
興味ないとばかりに、メナドにはもはや目もくれず、
後ろの尻尾の生えたモンスターに何事かを話す。
後ろのモンスターは頷くと地を蹴り、壁を蹴って家の屋根に消えた。

「す、すごいや。」

あまりの身軽さに驚くメナド。

「ああ、あれはすごいな。思わぬ拾い物だ。」

頷く男。

男とメナドの二人しかいなくなったところで
メナドはもういちど感謝の旨を伝え、
気になっていたことを男に尋ねる。

「あの、この街で何が起こってるんですか。」
「…知ってるが、それをお前に話す道理はないな。
 面倒くさいし。そんなことしても、俺様は何の特にもならん。」

「そ、そんなことをいわずにお願いだよ。」
「がきは、帰って家の中でくそして寝てろ。街に出ると危険だぜ。」

口は悪いが、自分の身を案じてくれているのだろう。
人のいいメナドはそう解釈した。

「さて、俺様はもういくぜ。その剣は飾りじゃねぇんだろ。
 自分の身は自分で守れ、じゃぁな。」
「あ、あの。待って。助けてもらったお礼を…。」
「そんなもんいらん。」
「じゃあ、名前だけでも教えてよ。」

あまりにつれない態度に、やや、強い語調で尋ねてしまうメナド。
男は別段気分を害した風もなく、返事を返す。

「俺様はダークさまだ。」
「ダークサマ?変な名前だね。」
「な、なんだとガキ。」
「あ、ごめんなさい。変わった名前っていいたかったんだ。
 ぼくはメナドっていいます。さっきは本当に助かりました。」

お前の名前なんか知るか、といいかけた男。
だが、名前を聞き、驚くように目を見開く。

「メナド?お前メナド=シセイか。」
「えっ僕を知っているの?」

・・・・・・


「気づかなかったぜ。というか女とわからなかった。」
「うぁ、ひどいな。男みたいってよく言われるけど。」
「ああ、いや、悪い意味じゃねぇ。うん十分かわいいぜ。」
「えっ、あっ。」

がっはっは、豪快に笑い、乱暴にメナドの頭をなでる男。

「しかし、それなら、なおさらお礼を言われる筋合いはねぇな。
 俺様がいなくとも、なんとかなってたろう。」
「えっえっ、どういうこと?」

男の意味不明の言葉に首をかしげるメナド。
なんでもねぇ、男はぶっきらぼうに返す。

「ねぇ、なんでぼくを知ってたの、ぼく、おじさんの事知らないよ。」
「お、おじさん。馬鹿か。メナド。俺様のどこがおじさんだ。」

「え、あれ?違うの?結構年いっているようにみえたんだけど。」
「俺様は永遠に20歳だ。だから今後はお兄さん若しくはお兄様と呼べ。」

30くらいに、というメナドに、
頑固譲らん、と口をへの字にするランス。
そんな、姿に似合わぬ子供っぽい様子に、メナドは笑ってしまう。

「くすくす、わかったよ。お兄さん。」
「…うっやはり、結構かわいい。」

無邪気に笑うメナドに、ちょっと見とれてしまったランス。
思わず口から本音が出てしまう。

「そういうこといってくれる人初めてだよ、ありがとう。」
「う、うむ。それよりお前はもう家に帰れ。ここは危険だ。」

「何が起こっているの?」
「そうだな。特別に教えたやろう。
 これはヘルマンが仕掛けた戦争だ。
 『パットン』という馬鹿が血迷って起こした。」
「へ、ヘルマン帝国が…。お、大事じゃないか。」
「そうだな。」

他人事のように話すランス、メナドは事実を知らされ驚愕する。

「あれ、ヘルマン?でもいたのは魔物だったけど。」
「だからそのヘルマンが魔人と手を組んでおこしたんだよ。」
「魔人、魔人ってあの…?」
「そうだ。だから当然魔物もいる。」
「なおさら大事じゃないか。こうしちゃいられない。」
「どうするんだ?」
「う、そ、それは……。」

言葉に詰まってしまうメナド。
モンスター一匹対処できなかった自分に何かできるとは思えない。
思案に暮れようとしたところで、男の着ている服がなんなのか
気づく。

「あ、それって…。ヘルマンの…。」

口に手を当て男の鎧を指差す。

「ま、まさか。ヘルマン兵?えっでも助けてくれたし…
 えっえっ?」
「落ち着け。これはヘルマン兵だと思わせる
 カモフラージュだ。これを着ていれば、一々魔物や
 そこらを闊歩してるヘルマン人の相手しなくてすむだろ?」
「へぇなるほど、お兄さん頭いいんだね。
 ぼくだったら、そんなこと思いつきもしないよ」

俺様は天才だからな、と言い、馬鹿笑いを済ませたところで、
びしっと二本の指を突き出しメナドに宣言する。

「二ヶ月待て」
「え、何が?」
「正確には一ヶ月とちょっとか?お前は家でじっとしてろ。
 そうすれば全ては終わってる。」

自信満々に宣言する男。
メナドはわけもなく圧倒される。

「…全てが?」
「そう、リーザスはヘルマンの占領下に置かれるだろうが、
 それはあくまで一時的、
 二月たたずにヘルマンは撤退を余儀なくされ、
 魔人は死ぬ。まぁ。一人逃げ帰るやつもいるがな。」

メナドは男に興味を抱いた。
自分を助けてもくれたし。
それを恩に着せない気さくなところもある。
会ったこともない自分の名前も知ってるし、未来までも予言した。

強くて、やさしくて、ミステリアス。

よくよく考えれば、大して強くないモンスターを一匹倒しただけだし。
メナドと知るまでは、口も悪ければ態度も最悪、
確たる証拠もない発言はミステリアスと言うよりは、変な人といった印象のが強い。

だが少なくともメナドは目の前の男にそういう印象を描いた。

人がよく、男運のないメナドのなせる業だろう。

「その話は本当?」
「ああ、本当だ。誓ってもいい。」
「じゃあ指切りをしよう。」
「ゆ、ゆびきり?」

とっぴな発言に、さすがのランスも顔をしかめる。

結局指切りをさせられ、
メナドは逆にランスに、そのあいだこの事件にはかかわらず
家にいる、もしくは
家の裏手で剣の修行をしていることを誓った。

「気をつけてよ。ダークサマ。」
「それは俺様の台詞だ。」

ダークランスとの一度目の出会いは偶然、だが、
メナドの人生に大きな影響を与える事となる。

二月がたち、男の宣言道理になったとき、メナドは、男に
改めて強い興味を持つようになる。

リーザス開放戦争において、
ダークの名が呼ばれることはなかったが
メナドは確信していた。

「きっと、ダークサマさんが解決したんだ。
 すごいやダークサマさん、ぼくはあなたに弟子入りしたい。」

とんでもない勘違いである。
ダークはあの後用事を済まして、その日のうちにとっととリーザスから離れていた。

まぁ、昔とった杵柄(きねづか)というやつだろうか…。

ともあれ、尊敬し、目を輝かせ、ダークに少しでも近づこうと
今日も鍛えるメナドの姿があった。

騎士隊に入隊し、
リーザス第三軍、通称、赤の軍の副将に抜擢される日は近い。

…がんばれメナド。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022794961929321