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No.2281の一覧
[0] 鬼畜召喚師ランス第四部[Shinji](2006/05/22 05:19)
[1] Re:鬼畜召喚師ランス1[Shinji](2006/05/24 07:40)
[2] Re:鬼畜召喚師ランス2[Shinji](2006/05/24 22:38)
[3] Re:鬼畜召喚師ランス3[Shinji](2006/05/26 05:06)
[4] Re:鬼畜召喚師ランス4[Shinji](2006/05/26 22:59)
[5] Re:鬼畜召喚師ランス5[Shinji](2006/05/29 06:12)
[6] Re:鬼畜召喚師ランス6[Shinji](2006/05/29 23:56)
[7] Re:鬼畜召喚師ランス7[Shinji](2006/05/31 09:37)
[8] Re:鬼畜召喚師ランス8[Shinji](2006/06/01 19:07)
[9] Re:鬼畜召喚師ランス9[Shinji](2006/06/02 15:47)
[10] Re:鬼畜召喚師ランス10[Shinji](2006/06/02 21:28)
[11] Re:鬼畜召喚師ランス11[Shinji](2006/06/05 02:54)
[12] Re:鬼畜召喚師ランス12[Shinji](2006/06/07 04:06)
[13] Re:鬼畜召喚師ランス13[Shinji](2006/06/08 22:19)
[14] Re:鬼畜召喚師ランス最終話[Shinji](2006/06/11 08:49)
[15] Re:あとがき(第四部)[Shinji](2006/06/11 08:31)
[16] Re:ランス一行の旅路[Shinji](2006/06/12 20:51)
[17] Re:エピローグPart1[Shinji](2006/06/16 16:45)
[18] Re:エピローグPart2[Shinji](2006/06/17 23:37)
[19] Re:エピローグPart3[Shinji](2006/06/23 13:43)
[20] Re:エピローグPart4[Shinji](2006/06/27 01:08)
[21] Re:エピローグPart5[Shinji](2006/06/29 00:16)
[22] Re:Last Part[Shinji](2006/06/30 19:26)
[23] Re:鬼畜召喚師ランス あとがき[Shinji](2006/07/01 03:56)
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[2281] Re:鬼畜召喚師ランス9
Name: Shinji 前を表示する / 次を表示する
Date: 2006/06/02 15:47
第9話:大魔法


……翌日、ランスは一旦朝6時に目を覚ました。

リアが起きる前に部屋に戻りたい……と言ったマリスに声を掛けられたからだ。

よって二度寝し、10時頃に武装したランスが部屋から出てきた。


「ダーリン、おはよ~。」

「おはようございます。」

「(バレてねぇみて~だな)……おう、それじゃ早速行くぞぉ?」

「はいはいは~い! 私の魔法の出番ですねー!?」

「念のために言っておくが~、体の方は平気なのか?」

「……それについては心配ない。」

「おっさん。」

「とりあえずツケにしておいてやろう、今回も生きて帰ってくるのだぞ?」

「ふん、当たり前だッ。」


昨日と同じくリアとマリスだけでなく、治療を終えたアニスも出迎える。

露出した肌から見える包帯は殆ど無くなっているが、
頬にシップが残っている事から、まだ病み上がりを思わせた。

しかしアニス本人は絶好調のようであるのだが、
道場主はかなり治療に魔力を使ったのか、げんなりとしていた。

余談だが、道場主の妻は疲れた為か自室で休んでいるようだ。


「それじゃ、早速都庁に"トラポート"しますよ~?
 え~~……駆け込み乗車は~~ご遠慮くださ~~い。」

「おい、"都庁北の塔40階"だぞ? 大丈夫なんだろうなッ?」

「それではッ! うぃ~……うぃっ、うぃ~……」

≪ぶいいいぃぃぃんっ……≫

「こらッ、まだ返事を聞いてないぞッ!?」

「そ、それでは私は避難……いや、休んでいる。」

「"あっち"に飛んだ直後は、警戒したほうが良いですね……」

「り、リア……今回だけお留守番しようかなぁ~。」

「それでは発車しますッ、トラポ~~ト!!」

「てかおい! 今度は早いな……うぉッ!?」

≪ばしゅうううぅぅぅっ!!!!≫


……


…………


「…………」

「…………」

「…………」


アニスの体調がよかったのか、トラポートは直ぐに放たれた。

上級魔法なので誰もが唱えれるワケでは無いが、
トラポートそのものは、そんなに難しい魔法では無いらしい。

ハンティ・カラーが何の事も無く瞬間移動を使うようなものだ。

よって転送したランス達だったが、彼らは地面にうつ伏せになって張り付いていた。

マリスとリアもであり、頬をムギュりと圧迫させている。

その張り付いた格好のまま動かず、ランスは顔を顰(しか)めて言い放つ。


「……これは、どう言う事だ?」

「むぎゅっ……」

「さぁ……何故でしょう?」

「いやあ~、前は転送地点を少々高くしてしまったので、
 低い場所にしようとしてみたら、こうなってしまったみたいです。」

「これは低すぎるだろッ、なんで這いつくばらにゃ~ならんのだ。」

≪むくり≫

「いやまあ、地面にめり込まなかっただけマシじゃないですか~?」

「そんな事されてたまるか! それじゃ戦う前に全滅だろうがッ!」


三人より少し離れた場所で這い蹲(つくば)っているアニスが答える。

前回は高かったが、今回は低くしようとしてこうなったらしい。

……だが、結果として転送できた事には変わりないので、
ランスは起き上がるとハンドへルドコンピュータに手を掛けた。

戦いもハイレベルになり、仲魔の力無くしては戦えないから。


……


…………


「ハヌマーン、ここが約束の場所だったよなァ?」

『ふむ……確かに間違いないようですな。』

「よしお前ら! 狙うのは"鬼女"だ、それ以外は叩くぞッ!
 初見の悪魔は"テトラジャ"と"マカラカーン"は必ず掛けろッ。」

「うんっ。」

「はい……定石ですしね。」

「そんで、先手はカミーラが叩け! 反射されても痛く無ぇ程度にな。」

『……わかった。』

『わらわは、無理せずにゆくとするかのう。』


数分後、召喚されるカミーラ・キクリヒメ、そして妖魔ハヌマーン。

これでおおまかな配置として前衛は左からカミーラ・ランス・ハヌマーン。

後衛は左からリア・マリス・アニス・キクリヒメ……となる。

仲魔にする条件であったハヌマーンを出すのは当然として、
今回は香姫を下げてキクリヒメを出す事によって、
編成的には物理攻撃と回復魔法に偏ったものとなっている。

魔法の火力は、それが一番得意な香姫が下がっているので乏しいと思われるが……


「最後に……アニスなんだが。」

「はい! もう体調はバッチリですから、ガンガン行きますよーっ。」

「ガンガン行くのは構わんが……お前、"万能魔法"以外にも攻撃魔法は使えるよな?」

「……え? あぁ~、勿論色々と使えますがッ?」

「なら"万能魔法"は絶対に使うな、使おうとしたら即"マカジャマ"だ。」

「そんなあ、私は"万能魔法"が一番得意ですのに……
 ――――さては! これは新手の苛めですかッ!?」

「いや苛めとかそう言うのじゃなくてだな……
 他の魔法もだが、特に"万能魔法"だけは"こっち"に当てられると困るんでな。」

「困る? ランスさん達は丈夫そうですし、死にはしないと思いますが。」

「アホか! 死ななくても瀕死の重症にはなるだろうが!!
 とにかく万能魔法は一切禁止だ、使おうとしたら折檻だッ。
 他の"攻撃魔法"なら好きなように唱えても良いから、頼んだぜ?」

「(折檻は嫌だけど……た、頼まれたッ!?)
 ――――はっ、このアニス、頑張って万能魔法以外を使います!!」

「だ、大丈夫なのぉ~っ?」


忘れてはいけないのが、アニス・沢渡。

彼女一人で、今居るメンバーの魔力に匹敵する威力の攻撃魔法を使える。

……だが、使い方にとても問題があり、
このまま好きなように戦い方を任せてしまう訳にはいかない。

それをランスは理解しており、同じく理解しているマリスを見て言う。

マリスの配置を、アニスの横にしていた理由が明かされる。


「おい、マリス。」

「はい。」

「面倒だとは思うが、アニスの"お守り"は任せたぜ?
 あいつが魔法を使ったら、"マカラカーン"を忘れるな。」

「わかりました、それしかありませんからね。」

「万が一"メギド"を使いそうになったら、わかってるな?」

「ふふ……勿論です。」


……


…………


『クケケケケケッ!!』
 
『グッグッグッグッ……』

「(ピピッ)"幽鬼 ヴェータラ"か、こいつは確か……リアッ。」

「数を減らせれば、楽になりますね。」

「うんっ! マハンマぁ~!!」

≪バヒュウウゥゥッ!!≫


都庁40階、カオス側の散策を開始して数分。

7人の前に、複数の"幽鬼 ヴェータラ"が出現する。

初見の悪魔なのだが、種族名を聞いて今までの経験から考えると弱点がある筈。

よってリアが最初に"破魔"の魔法を唱え、
実体化した複数の護符が、一直線にヴェータラ達を襲うが……


≪――――バヅンッ!!≫

「ありゃっ?」

「あれぇっ? き、効かない……」

「確かに当たっていましたが……」

『ならば、正攻法しか無いようですなッ!』

『……ッ。』

≪ババッ!!≫

「面倒臭ぇなッ、援護しろよお前ら~ッ!?」


"マハンマ"はヴェータラに命中したにも関わらず、弾かれてしまった。

そう、ヴェータラは幽鬼の種族に位置付けられているのだが、
"破魔系の魔法を弱点としない相性"を持っているのだ。

よって、ヴェータラ達は牙を剥いて飛び掛かり、
それにハヌマーンとカミーラが迎え出る事によって対抗する。

そして、同じ前衛であるランスも愚痴を漏らすと、雷神剣片手に突貫する。


「ダ~リン、すっごーい。」

『強くなったものじゃのう。』

「もはや"あちら"のランスさんと同じ程、強くなっているかもしれませんね。」


……それからの戦いはなかなか押しているようであり、優勢だ。

都庁の戦いの前線に出ておらず、中層に居る悪魔が、
突然進入したランス達7名に勝てるのか? いや、勝てる筈が無い。

確かにメシア側に居たハヌマーンは、戦っている様子からとても強いが、
現れたのは彼を入れてたったの3体だったので、
被害は少なからず出たかもしれないが、多勢に無勢だったろう。

そんな中、ヴェータラの数が減っていくと、魔法の詠唱が完了した者が居た。


≪キュオオオォォォーーッ……≫

「それでは皆さん、いきますよぉ~ッ?」

「(来たわねッ?)……マカラカーンッ!!」

「来るぜ!? カミーラ・ハヌマーン、下がれッ!!」

『…………』

『承知したッ。』

≪ばばっ……≫

「マハラギダイ~ンッ!!」

≪ずがああああぁぁぁぁ~~んっ!!!!≫


アニスの放った"最強火炎全体攻撃魔法"、マハラギダイン。

それらはヴェータラの頭上に降り注ぎ、肉体を蒸発させる。

しかし放ったのがアニスなのでコントロールが定まっておらず、
一部味方に降り注いではいたが、反射され壁に命中するなどしてやり過していた。

"メギド"などの"万能魔法"をアニスに使用の許可をしなかったのは、
マリスの"マカラカーン"で反射する事ができないから。

もし"こちら"に魔人のような特性の悪魔が居たとしても、
"万能魔法"だけは効いてしまうので、まさに万能……と言う訳だ。


「う、うわあ~……これも魔法なのッ?」

「物凄ぇ威力だな。」

「……使い方さえ、間違えなければですが。」

「う~んッ、決まりました! この調子でアニスにお任せをッ!」

『しかし、派手にやったのぉ。』

「そうだな……さっさと仲魔を見つけて帰らねぇとヤベぇぜ。」

『(本当に、挑まなくて良かったものだ……)』


……


…………


30分ほど経過する中、悪魔との遭遇率が徐々に上がってきている。

何度か放たれたアニスの"大魔法"の爆音を聞き付けた悪魔が出現しているのだ。

都庁内の建物の強度はやはり魔力で高いのだが、
流石にアニスの魔法には耐えれないか、所々焦げたり崩れたりしている。

そんなアニスの使う魔法から、戦いは大分楽になっているのだが、
派手にやり過ぎているので、さっさと"鬼女"を仲魔して引き上げなければならない。

よって初めて遭遇した"鬼女"相手に、ランスは直ぐ様交渉を開始した。

"何があったか"を調べに単身でやってきた"鬼女 ランダ"に対してである。


『!? な、なんじゃッ、お主らはッ!!』

「あん? 俺様は"ガイア教徒"のサマナーだがッ?」

『ほぅ、ガイアの者か……ところで、この有様はなんなのじゃ?』

「なんだか、とんでもねぇ"メシア"の悪魔が入り込んできやがってなァ。
 なんとか倒したんだが、この有様ってワケだ。」

『倒したというのか? 人間にしてはよくやるのぉ。』

「……ところでな、俺様は仲魔を探してるんだが――――」


自分達がこんなに荒らしてしまった犯人では、仲魔に引き入れるのは難しい。

そこでランスはガイア教徒に成り済まして交渉を行った。

まずは架空の"メシアの悪魔"の話を挙げ、
次にデビルサマナーとして"ランダ"を仲魔にしたいと言う話に移る。

"鬼女 ランダ"は物理を反射する特殊な相性を持っているが、
見てくれが獣のような、美しくない姿なのが、
アルケニーのような鬼女を期待していたランスには悔やまれるが、仕方無い。

そのランダは、いきなりの引き込みを受け入れはしなかったが、
ランスが近付き、"合体"で生まれ変わる"種族"を言われた時、
若干考えはしたが、ランスの仲魔になる事を決意するのだった。


……


…………


『……これより御身(おんみ)は我が主人、宜しくお頼み申す。』

「うむ、それじゃ"この中"に入っていろ。」

『御意。』

≪バシュウウゥゥッ≫

「これで、三身合体が可能になりましたね。」

「ダーリン……良かったねッ。」

「うむ、そんなワケで戻るぞ~っ!!」

「は~い、"トラポート"……いきますよぉーッ?」

「気が早ぇ奴だな、仲魔を戻すから待ってろ。」

「……うぃ~っ……うぃ~、うぃ~……」

≪ぶいいいぃぃぃんっ……≫

「ぐぁッ? 聞いてねぇ~、お前らさっさと戻るんだッ。」

『急かすでないわッ。』

『……また呼べ。』

『戦いの場を頂いて、感謝する。』


……こうして、最後の悪魔を仲魔にしたランスは都庁を引き上げる。

各"都庁の塔"に現れた、突然の侵入者である"ランス"を知る者は、
結局メシアとガイア互いに一人も居なかったが、
どちらも相手側が刺客を送ってきたと言う事で納得し、元の戦いに戻るに至った。

そして、この数日後……何者かに都庁の兵を纏める"魔神 ヴィシュヌ"と、
"天魔 ラヴァーナ"とその息子"天魔 インドラジット"が倒れるのだった。


……


…………


ついでだが、アニスの"トラポート"で無事帰還したランス一行。

対して前日の事から"回復道場の広間の隅"で客を待っていた道場主だったが……

今回も、何故かしっかりと彼は4人に踏み潰されていたりした。


「ぐふっ……あ、アニス殿……私に何か、怨みでもあるのか……?」

「いえ、怨みなどッとんでもないです!
 此処(回復道場)を転送場所に思い描く時、師範の顔が出て来てしまっただけですッ。」

「だそうだ、良かったなオッサン。」

「そ、そういう問題でも無いぞ……ぐふっ。」


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