二
やわらかな朝日が窓からそそぎ、小鳥の鳴き声が耳に心地よい。久しぶりにすがすがしい思いで目が覚めたルイズは、思い切り伸びをすると窓をあけた。朝のまだひんやりとした空気が肌に心地がよい。
「うーん、なんか今日は一日よい事がありそう」
と、そこまではいつも通りといってもよい目覚めではあった。
意識がはっきりしてくるにつけ、すえたアルコール交じりの臭いのかたまりが部屋の一隅に転がっているのが目に入る。時々頭を抱えて身じろぎしているからには、生きているのは間違いないだろう。机の上には空になった酒瓶が二本転がり、空の水差しが何か荒廃した雰囲気をかもし出している。
「えーと、昨日は、春の召喚の儀式があって、それでわたし、平民を召喚して……」
そしてコルベールの研究室で三人でこれからを話し合い、この部屋の片隅に転がっている女性と対外的には使い魔、普段の生活においては使用人として契約をしたはずであった。
「……お目覚めですか、お嬢様。お早うございます」
どろりと光の無い死んだ魚のような目をした女が、片手で顔を抑えつつゆらりと幽鬼の様に立ち上がる。
「……おはよう。きがえは?」
「こちらに」
彼女が指差した先には、きちんとたたまれた下着から制服、マントまで一式がそろえられている。
「そちらのたらいに洗顔用の水も用意できております。今、タオルをお持ちします」
「ううん、じぶんでとるからいいから」
ルイズは、何かが起きている、でも何が起きているのか分からない、分かりたくない、という表情でぶんぶんと首を左右にふった。少なくとも、今この瞬間、この幽鬼に半径三メート以内に近づいて欲しくは無い。
「ええと、あなた、だいじょうぶ?」
見れば大丈夫じゃないのは判るが、大丈夫じゃないのなら速攻医務室に追い出し、否、休ませにいかせたい。少なくともこの状態の彼女を、使い魔と称して身近にはべらせるのは絶対に嫌だ。
「ただの二日酔いです。もう少しすれば落ち着きますので、ご心配いただかなくても大丈夫です」
「そう、むりはしなくていいから」
まったく、最低の朝だった。
「で、フェイト、あなた本当に大丈夫?」
「二日酔いの薬が無いのは残念ですが、今はもう大丈夫です」
廊下に差す朝の日差しの中で、ルイズがフェイトと呼んだ女性は、先ほどの幽鬼の様な姿とうって変わってどこから見ても非の打ち所の無い完璧なメイド姿となって彼女のを一歩後ろに控えている。
暖かみのあるやわらかい色合いの腰まである金髪の先端を黒いリボンでまとめ、すらりと通った鼻筋と切れ長の眼。抜けるようなしみひとつない白磁の肌に、唇の朱色が大人を感じさせる。ルイズよりも頭ひとつ背の高い彼女は、すっきりと背筋を伸ばして足音を立てずついてくる。
これで深紅の瞳がどろりと濁って光が無いのでなければ、どれほど良かったことか。精霊を召喚したと言っても通じるくらいの美女がメイド服を着て傍らに控えているのだ。平民だのなんだの悪口雑言を浴びせかけられようと、鼻で笑い返してやれるのに。だが、この死んだ様な眼を見れば、彼女が精霊ではなく幽鬼であると言われても反論のしようがない。
さて食堂に、と歩き出そうとしたところで、隣の部屋の扉が開く。
中から、褐色の肌と燃え上がるような赤毛の美少女が、虎程もある巨大なサラマンダーを連れて廊下に進み出た。
「おはよう。ルイズ」
「おはよう。キュルケ」
キュルケと呼んだ少女の制服のブラウスのボタンが二つ三つ外されて、豊かなそれがのぞいているのから眼をそらしつつ、ルイズも挨拶を返す。
くそっ、なんで今この瞬間に。
内心で大貴族の令嬢にあるまじき言葉が浮かぶが、あくまで優雅にド・ラ・ヴァリエール公爵家令嬢に相応しく振舞う。多少口の端がゆがんでいたり、声が震えていたり、眉がよったりしたかもしれないが、それはまあそれとして。
「あなたの使い魔って、それ?」
「そうよ」
ルイズは切なくなって心の中で身構えた。
どうせこのキュルケに笑われて、からかわれるに違いないのだ。
「……ふーん、人間を召喚するなんてすごいじゃない。……へえ、額にルーンがあるの。珍しいわねえ」
ルイズにとって以外な事に、キュルケは真剣な目つきでフェイトに遠慮なく視線を投げかけ、上から下まで何かを探るような目つきで見つめている。
かといって、当のフェイトはキュルケと視線を合わさないようにしつつ、わずかに口の端を持ち上げて笑みめいたものを浮かべて黙って立っている。
何よ、この緊張感?
ルイズには、何が起きているのかが全く理解できない。
「使い魔さん、お名前は?」
「フェイト、と申します」
「そう。本当にルイズの使い魔なんだ」
「はい」
「……あっそう。じゃ、ルイズをよろしくね」
「ありがとうございます、ミス」
「キュルケ・フォン・ツェルプトー。キュルケでいいわよ~。じゃ」
おいでフレイム。
そう声をかけてキュルケは、腰まである癖の強い赤毛をかき上げて立ち去った。なんというか、とてつもない疎外感をルイズは感じる。自分だけがこの使い魔の本当の価値を判らなくて、周りだけが理解している、という疎外感。とりあえず、持ち前の癇癪が爆発しかけるのを押さえ込んで、後ろに控えるフェイトに向き直った。
「なによ、今の?」
「さて、判りかねます。値踏みをされたのは事実でしょうが」
うー
それはまあ、そうだろう。キュルケがフェイトの何が気になったのか、彼女本人でもなければ判らないのであって。
「まあいいわ、とりあえず食堂までついてきて」
さて、このトリステイン魔法学院は、裕福な貴族の子弟に教育をほどこす事を目的として建てられた教育機関である。当然、内部の調度もそれ相応に格式のあるものとなっている。
ルイズとフェイトが到着した食堂は、机には豪華な飾りつけがなされ、ロウソクやら花やら果物を盛り付けた籠やらが並んでいる。壁のそれも見事なもので、さらには壁際には多数の自動人形が並べられている。
机にかけられたリネンのテーブルクロスに染みひとつ無いのを確認して、フェイトはこの学院の機能を維持するために投入されている労力の事を思い、皮肉とも自嘲ともつかない笑みを浮かび上がらせた。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
まるで自分の屋敷を自慢するかのように、胸をはり、鳶色の瞳を輝かせているルイズ。
「メイジはほぼ全員が貴族なの。「貴族は魔法をもってしてその精神をなす」のモットーのもと、貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ。だから食堂も、貴族の食卓にふさわしいものでなければならないの」
「はい」
ずらりと並んだ豪勢な食事に視線を走らせ、フェイトはつい一言、口にしてしまう。
「大変に見事な朝食ではありますが、起きぬけに皆様、これを残さず召し上がられるのですか?」
「ううん、さすがに全部は無理よ。でもハルケギニアの正餐は朝なのよね。あなたのところでは夕飯が正餐なんだったっけ?」
「はい。昼飯が正餐の地方もありましたが。大体は朝はお昼までもてばいい、という程度でした」
「ふーん。夕飯が正餐なんて、おなかがもたれて夜眠れなくなったりしないの?」
「ですから、夜食は食べない方が多かったですね」
世界が違うと食事も違うのねー
ルイズはほほに指をあて、鳶色の瞳をくるくると回している。
フェイトは、この朝食が奢侈のひとつであるかと思ったのであるが、どうやら違う様子である。そこで一旦思考を切り離し、肝心の事を質問する。
「それでは私も食事に参りますが、使用人の食卓はどちらでしょう?」
「食堂の裏に厨房があるから、そこで食べて。私の使い魔だって言えばなんか出してくれるでしょ」
「了解しました。それでは後ほど」
一礼して、フェイトはさっさと食堂を出た。
文化の違いとはいえ、こうして子供が無駄に甘やかされているのを見ると、まるで自分が義理の娘のヴィヴィオを甘やかしていた頃の事を思い出させられる。そのことでは何度も親友の高町なのはと言い争いになったが、なのはが隊付として前線に出る事が多く、結局はフェイトが主に義娘を育てる事になっていた。
かつての自分が、良かれと思ってヴィヴィオを甘やかし、後に反抗期を迎えてからは百八十度変わって厳しく当たるようになった事は、娘にどんな影響を与えたのだろうか。それを思うと、ようやく収まりかけている頭痛がぶり返してきそうになる。
ぐらりと視界がゆがみ、まっすぐに立てない。
フェイトは、廊下の壁に身体をあずけると、こみ上げてくる吐き気を必死になって押さえ込もうとした。
「大丈夫ですか?」
フェイトは、はっとして声の方に視線を向けた。いくらアルコールに耽溺しているとはいっても、ここまで近づかれるまで気配を察知できなくなっている自分に、腐臭にも似た感情が湧き上がり、ぎちり、と、奥歯が鳴る。
ぼやける視界の焦点を合わせようと努力した先には、黒髪を切りそろえたメイドの少女がおびえた様子で立っていた。
「……あ、あの」
「ごめんなさい、驚かせるつもりはなかったわ。私はフェイト、ミス・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔です。貴女は?」
「シ、シエスタといいます。あの、本当に大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですけど」
「ありがとう。色々あって身体が疲れているのね。食事を摂れば良くなりますから」
優しげな笑顔という仮面をかぶり、目前の怯えている少女にあたりさわりの無い答えを返す。
「食事ですね! こちらにいらっしゃってください。賄い食ですけれど、温かいものがありますから」
本当に良い子。
見ず知らずの他人である自分の手を引いていく彼女が、とてもまぶしくて美しいものに見える。
フェイトは、自身の腐臭がシエスタに移ってしまう恐怖に手を振りほどきたくなる衝動をなんとか押さえ込みながら、彼女に連れられて行った。
授業は使い魔と一緒に受けるもの。
そう言い渡されてフェイトは、ルイズと一緒に教室に入っていった。そんな二人を見て、先に教室に入っていた生徒達が一斉に振り向き、くすくす笑い何やら思わせぶりに噂話を始める。ゼロだの百合だの、あまり芳しくない単語が聞こえるあたり、二人を嘲笑しているのであろう。こういうところはどこの学校でも変わらないと思いつつ、フェイトは教室の一番後ろの壁際に下がろうとした。
「何そっちいっているのよ。あなたはわたしの使い魔なんだから、隣に座りなさいよ」
ちょっとむっとした表情で、ルイズがフェイトに振り向いた。
「よろしいのですか?」
「メイジの実力はその使い魔を見よ、っていうの。あなたが傍にいないと使い魔だって判らないでしょ」
「確かにおっしゃるとおりですね。それでは失礼を」
フェイトは、柔らかな笑顔という仮面をかぶり、視線だけで教室内を観察し始めた。
室内は、なんというか、これぞファンタジー世界といわんばかりに各種の幻獣やらなんやらがひしめき合っている。バシリスク、バグベアー、スキュア、etc、etc。さすがに竜種はいないか、と、知人の召喚士の事を思い出し、もう一度視界がゆがみそうになる。
と、一瞬だけ、朝出会ったキュルケという少女と視線が絡む。周囲に多くの少年をはべらせ女王のごとく振舞っている彼女がフェイトに向ける視線は、感情ではなく意思のこもった強い視線。その強い視線は、彼女のかぶっている仮面を貫き通し、周囲を冷徹に観察している本当の彼女自身を見つめているように思える。
フェイトは、あえて両手の平をキュルケに見せて、害意はありませんよ、と、ジェスチャーで示した。それに合わせてキュルケも軽く鼻を鳴らして、周囲の少年らをあしらうのに戻る。
「何キュルケとやってるのよ」
不機嫌そうに視線をぶつけてくるルイズに、フェイトは、困惑したかのような微笑みを浮かべてみせた。
「心当たりはないのですが、ミス・ツェルプトーは私に何か含むところがおありの様子です」
「あなた、別に彼女に何もしてないわよね? それとも何かやったの?」
「ですから、心当たりはない、と」
うーむ、と腕を組むルイズ。
そんなこんななやり取りをしていると、扉が開いて中年の女性が入ってきた。紫色のローブに身をつつみ、帽子をかぶっている。ふくよかな頬が優しい雰囲気を漂わせている。
「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、さまざまな使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
うつむきそうになるルイズに、フェイトはそっとささやいた。
「ご安心を」
へ?
ぽかんとした表情で顔を上げたルイズに、フェイトは優しげに微笑んでみせた。
「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いていた平民を連れてくるなよ!」
教室中がどっと笑いに包まれる。
ルイズがきっとした表情で立ち上がろうとするのを、片手で制し、フェイトは優雅に立ち上がるとルイズをゼロ呼ばわりした少年の目をまっすぐに見据えた。ただし、表情はあくまで柔らかく優しく、年齢相応に年上の女性の余裕を見せて。
「お初にお目にかかります、ミスタ。ミス・ド・ラ・ヴァリエールお嬢様の使い魔として召喚されましたフェイトと申します。よろしければミスタの使い魔にもご挨拶を申し上げ、親交を深めたいのですが」
顔全体に浮かべた笑みはそのままに、視線に徐々に力を込めていく。ただし、あくまで殺気は乗せず、少年の視線をずらさせないように気をつけて。
「あー、ぼ、ぼくは、マリコルヌ、二つ名は「風上」だ。それで、僕の使い魔は……」
今や教室中の生徒らは、このフェイトと名乗る女性が、マリコルヌを視線だけで圧倒し、格の違いを見せ付けていることを思い知らされていた。あくまで表情は優しく態度は丁寧で優雅であるが、その静かな声の迫力と、どろりと濁って底の見えない瞳の深淵からにじみ出る何かが、皆の本能的な何かを刺激する。
「はいはい、使い魔同士の自己紹介は後になさい。それにミスタ・マリコルヌ、お友達をゼロと呼んではいけません。わかりましたか?」
凍りついた空気の教室に、穏やかなシュヴルーズの声が響き、フェイトとマリコルヌの間にあった緊張感は胡散霧消した。フェイトはシュヴルーズに向かって優雅に一礼し、何もなかったかのように席に座り、マリコルヌは脂汗を顔全体に浮かべながら、腰を抜かすように自席にへたりこんだ。
「えー、よくやったわ、とほめるべきなのかしら」
どこか棒読み調なルイズの小声に、フェイトはわずかに口の端をゆがめる様な笑みを浮かべて小声で答える。
「大人気ない真似をしました。が、お嬢様の名誉のためです。お許しください」
ルイズは、一瞬ぽかんとした表情を浮かべたが、すぐ軽く顔を上気させて黒板に視線を向けた。
「さすがはわたしの使い魔ね」
「光栄です」
少なくとも自分の主人は馬鹿ではない。その事実を確認したフェイトは、仮面ではない素の感情の笑みを浮かべた。それはあくまで昏く、歪んではいたが、しかし笑みではあった。
その笑みを見ていたのは、離れた席に座って気配を殺してフェイトを観察していたキュルケだけであった。
それはとても見事な爆発であった。
フェイトは親友の高町なのはの家でテレビで見たニュース映像で、ゲリラのこもるビルの一室を戦車が砲撃し吹き飛ばすシーンを見た事があったが、そのゲリラが見ていたのは今の情景なのだろうな、と、何故か微笑みが浮かぶ。
「だから言ったのよ! あいつにやらせるなって!」
「もう! ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
「俺のラッキーがヘビに食われた! ラッキーが!」
ちなみにシュヴルーズといえば、倒れたまま動かない。たまに痙攣しているから、死んではいないようだ。
煤で真っ黒になったルイズが、むくりと立ち上がる。見るも無残な格好だった。ブラウスが破れ、華奢な肩がのぞいている。スカートが破け、パンツが見えていた。
「ちょっと失敗したみたいね」
顔についた煤を、取り出したハンカチで拭きながら、淡々とした声で言う。
「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないか!」
蜂の巣をつついたような大騒ぎの教室の中で、フェイトは冷静に何が起きたか時系列にそって振り返ってみていた。
まず、ルイズがシュヴルーズに指名されて錬金の魔法を行う事になった。ここでキュルケが止めに入るが、シュヴルーズがそれをおしてルイズに魔法を使わせ、錬金の対象の小石に彼女が魔法をかけると、かくのごとく大爆発が起きた。以上。
子供らはぎゃんぎゃん大騒ぎをしているが、フェイトはルイズから放射される魔力の流れを思い出し、今の現象が失敗というよりも、何か別の結果であるということを結論として導きだしていた。
フェイトの使用する魔法の体系は、ミッドチルダ式といわれるこのハルケギニア世界のそれとは全く別のものである。しかし、万物を構成する根源である魔力を自らの意思で抽出し、その意に沿った形に変換する、という過程においては違いは無い。その体系によって向き不向きはあるとして、根本的なところは変わってはいない事は今のルイズの魔法行使で確認できた。
問題は、呪文という自己暗示によって導き出されるはずの結果が、意図したものとは別の結果に終わった事にある。呪文とは、共同幻想を共有した上での自己暗示によって、魔力に一定の方向性を持たせるための行為に他ならない。だが、ルイズだけがその共同幻想の共有がなされていないとするのであれば、彼女はそもそもがハルケギニア式とは別の形態の魔法体系を、自覚しないまま行使しているということになる。
「これが、わたしがゼロと呼ばれる理由よ」
つかつかと席に戻ってきたルイズがフェイトの隣に座ると、まっすぐ黒板を見つめたままそう呟いた。
「何故爆発という結果にいたるか、指摘されたことは?」
「?」
フェイトのいつになく真面目な口調に、ルイズはきょとんとする。
「物事には、必ず原因、経過、結果という過程が存在します。そして結果だけが意図しない形で発生する。しかもそれが限りなく常に、ということであれば、そこには何か齟齬が発生しているはずです。その齟齬について指摘された事は?」
「……無い、わ」
何故?
フェイトは隣のルイズを、観察の対象として見つめる。魔力を行使する上で肉体的になんらかの変異があるようには見えないし、人為的に何らかの改造が加えられたようにも見えない。四肢を循環する魔力の流れも、この世界の他のメイジらと変わるところは無いように見える。
「これついては、後日」
「う、うん」
フェイトの瞳に浮かんだ冷徹な観察者としての色彩に、ルイズは、初めて自分の使い魔に恐怖を覚えた。