モニターには、海の上で儀式魔法の用意のしているフェイトの姿が映っている。どうやら強制的に海の中にあるジュエルシードを覚醒させて回収するつもりのようだ。
「しかし、あれはどう見ても無謀だ!!どう足掻いても彼女たちは自滅する。あんな魔法は個人で扱えるような物では無いんだ!!」
そこに、現場にから戻って来たなのは達がコックピットに駈け込んで来た。
「あの、早く急いで、私を現場に!!!」
しかしクロノはそれを否定する。
「その必要は無い。彼女は勝手に自滅する。その時に叩くべきだ。仮に自滅しなくとも疲れ果てている所を襲えば一溜りもないさ。」
それが正しい選択なのだろうが納得できないなのは。しかしクロノ達は自分を現場に送ってはくれないだろう。なのはが途方に暮れていると・・・
(大丈夫だよ、なのは。僕があそこまで送るよ。だから自分の好きにすると良い。)
(でも・・・それじゃあユーノ君が。)
ユーノが念話でなのはを現場まで送ると言うのだ。しかしユーノに多大な迷惑を掛けてしまうことになってしまう。
(僕を助けてくれた君のように僕も君の力になりたいんだ。だから僕に協力させてくれ。)
(そうだぜ、なのは。俺も協力してやるからさ自分の好きなようにしろよ。あの餓鬼と話をしたいんだろう。)
(ていとくん・・・)
(というか、なんで垣根なんでに念話に参加できてるの?たしか君リンカーコア無かったよね?)
(この俺に常識は通用しねぇ。)
そんな事を念話で話しながら、ユーノは転送の準備を始める。それに気付いたクロノは、止めようとするが垣根に阻まれる。
「ごめんなさい。高町なのは出撃します。」
偶然反応できたクロノを除いて、止める事の出来たものは居なかった。クロノは阻止するのを妨害した垣根を睨みつける。
「垣根ェ・・・」
「おっと、悪いがこっから先は先は進入禁止だ。お前らは大人しくあの二人を見物でもしてるんだな。それが嫌なら俺と遊んでるかい?」
「・・・どうやら君とは、決着を着けなければ成らない様だ。」
やはりクロノも男の子と言うべきか、一撃で気絶させられてしまった事はかなり気にしているらしい。
「決着?もう着いてるだろう?俺の勝利でなぁ!!!」
「上等だ!!!あの時の様には行かないぞ!!!」
垣根は翼を展開し、クロノはデバイスを起動させる。艦の中だろうと構わず戦い始めそうな雰囲気だ。まさに一触即発の空気の中、ユーノは垣根とクロノを別の場所に転移する。
「・・・良いんですか、艦長?」
「・・・帰ってきたらなのはちゃんも含めて皆にOHANASHIをしなきゃね。」
リンディは笑顔でそう告げる。だがその感情の読めない笑顔が怖い。
皆、ご愁傷様っとエイミィは思った。
二つのモニターの内、一方のモニターには二人の少女の協力による儀式魔法を、もう一方モニターには馬鹿一人と一台が激戦を繰り広げている映像が映っていた。二人の少女の方は、儀式魔法を完成させジュエルシードを無事封印できた所だ。
もう一方は、クロノが必要最小限の動きで飛び回り絶妙なタイミングで魔力光弾を打ち出していた。それを垣根は翼ですべて叩き落としたり、そもそも翼に触れていないのに勝手に光弾が垣根を避けて行ったりしていた。
「どうした、どうした!!!そんな情けない攻撃じゃあこの俺の純白のボディに傷一つ付けられないぜぇ!!!大人しくママの元に帰りな。」
「勝負はまだこれからさ!!!そもそも、お前の中身何が入っているんだ!?どうせ君の頭の中と同じように空っぽなんだろう?」
「あっ!!!てめぇ!!!冷蔵庫ディスってんじゃねぇぞ!!!決めた!!!てめぇは俺が直々に買ったは良いけど使わない家電のファックスにしてやんよ。」
「お断りだね!!!君の方こそ、僕がスクラップにして粗大ゴミとして出しといてあげるよ。君の場合、回収できませんって帰ってきそうだけど。」
高度な戦闘の割に、話してる内容は非常に幼稚だった。リンディは溜息をついており、エイミィはあんなにハッチャけているクロノを珍しそうに眺めている。なのは達の方は、海中にあった、封印した六個のジュエルシードを二人で仲良く半分に分け合おうとしようとしているところだった。
そこに突然、アースラ内部に警報が響き渡った。
「本艦と戦闘区域に次元干渉と魔力攻撃が来ます!!!」
「なんですって!!!」
どこからともなく雷がアースラに直撃した。大破こそしなかったが色々な機能が暫くは使い物にならなくなってしまった。おかげで雷が放たれた場所を特定しようにも計器が使い物にならない。
「あの子たちは!?」
リンディが叫び、モニターを見てみるとフェイトに雷は直撃し、なのははかすりはしたが何とか直撃は避けたようだ。一方バカ一人と一台は流石と言うべきか完璧に防いでいた。
なのはが、ダメージから回復し辺りを見回すといつの間にかに来ていたのか六個のジュエルシードの内二つを確保したユーノが居たが残りのジュエルシードとあの少女達の姿は無かった。