時の庭園から何とか逃げ出せた、フェイトの使い魔アルフは海鳴市を歩き回っていた。しかし彼女は体力的にも精神的にも限界だった。プレシアから喰らった攻撃が予想以上に響きもういつ倒れてもおかしくなかった。(現在は犬の姿をしている。)
だがそれでも倒れずに町を歩き回っていたのは、誰でも良いからフェイトを助けてくれるような者を探しているからだ。いい加減フェイトは限界だ。あのままだったら何時か近いうちに大怪我をするか最悪死んでしまう。だが自分ではフェイトを助けることが、出来なかった。
(待っててね・・・フェイト、絶対あそこから助け出してあげるからね・・・)
しかし、流石の彼女も疲労がピークに達したのかその場で倒れてしまう。薄れゆく意識の中、彼女が最後に見たものはいつ見てもよく分からん純白の話す冷蔵庫だった。
なのは達は驚いてた。垣根が何かを拾ってくるのはいつもの事だが、フェイトの使い魔を持ってくるとは予想外だったからである。
「え!?え!?てっていとくん?一体その子どこから、連れて来たの?」
「落ちてた。」
「そんな、落し物拾ったみたく気軽に言わないでよ・・・」
アルフが、大分怪我をしていたので久しぶりに[〜未元傷薬〜メルヘン120%配合]を使った。暫くして、見ていて気持ち悪くなるくらいの速度で治ったアルフが目を覚ましなのは達に自分が倒れていた理由を話す。フェイトがジュエルシードを集める理由、フェイトの母親プレシアについて、自分が襲い掛かったが返り討ちに在ってしまった事など・・・
「あんた達が聞いて居るって事は管理局の連中も聞いて居るんだろう?虫の良い話だとは、分かっている。けれどこんな事頼める相手なんてあんたたち位しか、居ないんだよ・・・。頼むよ、フェイトを・・・あの子を救ってやってくれ!!」
なのは達は、それに微笑みながら頷き了承した。モニターの向こう側のクロノ達も同じく了承し、そのための準備に取り掛かる。垣根がアルフに話掛ける。
「その時の庭園って所に今の所、居るのはプレシアとフェイトフェイトだけか?」
「いや。もう一人プレシアがどこからか連れて来た科学者が居た筈なんだけど・・・正直ほとんどそいつに関して知らないんだよ・・・あたし達はなんとなく、そいつが気に入ら無いからほとんど関わろうとした事無いし、向こうからも関わろうとしてこなかったからねぇ・・・」
正直、冴えない中年の男位しか覚えてないらしい。申し訳なさそうな顔をしているアルフを慰め、なのは達はアルフから聞いた情報を元にフェイトを助けるための作戦を話し合うのだった。
翌朝、なのは達は家を出て海に向かう。ここでなら存分にフェイトと戦う事が出来るだろう。
「・・・ここなら、存分に戦える。出てきてフェイトちゃん。」
[scythe form]
デバイスの声が響き渡り、そちらの方を向いて見るとそこには既に臨戦体系のフェイト・テスタロッサが居た。アルフがフェイトを説得しようとするが、フェイトは聞き入れ無い。なのははフェイトを目を逸らさずに、じっと見つめ言葉を紡ぐ。
「フェイトちゃん、これで最後だね・・・決着を着けよう!!!」
決戦の幕は上がり、二人の最後の戦いが今始まる。