[六枚羽]から機銃の嵐が吹き荒れ、なのは達を愉快な挽肉にしようと襲い掛かる。なのは達はそれを、なんとかギリギリで躱しきるが、[六枚羽]は即座に休ませる時間を与えない。目標が原型を保っていることを確認すると機銃では効果が薄いと判断したのか、ミサイルをぶっ放してきた。
「くっ!でも、これ位なら!!」
動きが直線的だったため軽い動作で避け反撃に移ろうとした、なのはだったが
ミサイルが空中で分解し大量の小型の爆弾が降ってきた。
突然の出来事に防御に回るのが遅れ、次の瞬間には轟音が響き渡った。
プレシアが、目を覚ますとそこにはズタボロの冷蔵庫があった。自分との戦いではほとんど無傷だったくせに、なぜそんなにボロボロなのか気になっていた。
「あぁ。これは、暴走しているジュエルシードを無理矢理押さえつけてたら、めっちゃ苦労してな。でもまぁ、なんとかなったぜ!」
そう言いつつ、垣根の示す方向には真っ白な物質に覆われたジュエルシードがあった。暴走している沢山のジュエルシードをこんな短時間であっさりと封印するなんて、非常識過ぎると思ったが冷蔵庫が話したり動いてたりしているのだから、今さらだろうと突っ込むのはやめておいた。
「わりぃな。まぁ、これでお前さんの目的は達成出来なくなっちまた訳だがどうする?まだやるかい?」
プレシアは、無気力な声でそれを否定する。
「・・・私の目的は、アリシアともう一度会う事だけ。その望みが叶わないのならば、もう全てがどうでもいい・・・」
物凄く、疲れたような感じで話すプレシア。その姿は先ほどまで垣根と激戦を繰り広げていた同一人物だとはとても信じられなかった。そんな彼女に垣根は話を続ける。
「なぁ・・・プレシア。」
「何よ?もう、あんた達と戦う理由は無いのだから煮るなり焼くなりなんなりしなさい。」
「お前は、俺を何だと思っているんだ・・・。まあいい、それよりも俺が言いたいことはフェイトの事だ。」
「あの人形が、どうしたの?あんなのが欲しいのならばあげるから、好きにしなさい。」
垣根は、その言葉に対して首を振り珍しく真面目な口調で言葉を紡ぐ。
「それは、魅力的な提案だが遠慮しておく。俺が言いたいのは、あの餓鬼と決着を着けてほしいんだよ。」
「は?」
「だから、別れるなり寄りを戻すなりどちらにせよせめて、ちゃんと話会ってからにしてくれよ。こんな別れ方じゃあの餓鬼が悲惨すぎる。」
「あんたは、私があの人形を捨てる事に対して何も言わないの?」
「それは、俺が言える事ではねぇ。それに、何とかしてあの餓鬼の事を愛そうとしてた位俺には分かる。だから、何も言わない。後はお前ら親子の問題だよ。」
プレシアは何も言わずに、黙りこくっていた。しかし言いたい事は、伝わったみたいだし、恐らく大丈夫だろう。そして垣根は、それとと続けると
「天井以外の協力者は何処にいる?」
轟音が収まり煙が晴れると、なのははまだしっかりと生きていた。なのはが爆発に飲み込まれた瞬間、ユーノが全力のシールドを張ってくれていたお陰で何とか生き延びられたのだ。
「ありがとう。ユーノ君、助かったよ。」
「ああ、でもごめん・・・僕はもう限界みたいだ・・・」
広範囲を攻撃するミサイルであり、威力は多少低かったがミサイルはミサイル。真正面から受け止めたユーノはもう限界だった。それになのはも無傷と言う訳では無かった。完全に防げていたのでは無く、多少の爆発の余波を受け大分ダメージを受けていた。
「大丈夫だよ、ユーノ君。私が何とかするから・・・」
しかし、それでも一切加減をしない殺戮兵器[六枚羽]は攻撃を続ける。ボロボロのなのはは、頑張って凌いでいたがもう限界だった。またミサイルの爆風に吹き飛ばされ、体勢を崩された所に機銃を向けられた。ユーノが何かを叫んでいるが、聞こえ無い。なのはが避けようの無い中、最後まで足掻こうとすると
いきなり、ヘリが吹き飛んだ。
突然の出来事に目を見開くなのはだったが、我に返り[六枚羽]を吹き飛ばした者の姿を見た。そこには、ジュエルシードを奪い合い幾度となく戦った金髪の少女フェイト・テスタロッサがいた。
「フェイトちゃん!!!」
そうなのはが叫び、フェイトは微笑み言葉を紡ぐ。
「話は後、まずはあのヘリを倒してからだよ。」
見ると、即座に吹き飛ばされた筈のヘリが体勢を立て直しておりまたこちらを狙っている。話をしている暇は無さそうだ。
「うん、まずはアレをやっつけようか!!!」
そして、また一人魔法少女が参戦し仕切り直しとなった。しかし、今度は負ける気など微塵もしなかった。