六枚羽を撃墜したなのは達はプレシアの居る、大広間に向かっていた。
力尽きたユーノ(*死んでません)はアルフに看てもらっており、現在はなのはとフェイトだけである。
「この扉の向こう側に居るんだね?」
「うん。此処から、母さんの魔力を感じるからほぼ間違え無いと思う。」
遂にプレシアが居る大広間の前まで来た。なのはがフェイトを見てみると、震えていた。また拒絶されるかもしれない、そして更に酷いことを言われるかもしれないという事もあり怖いのだろう。だけどなのはには、何も言えない。この問題は親子二人だけの問題だ。受け入れられるにしろ、拒絶されるにしろフェイトは立ち向かわなければならない。
「フェイトちゃん・・・」
「私は、大丈夫。・・・行こう、母さんが待ってる。」
そう言うと、大広間の扉を開け二人は部屋の中に入っていた。
部屋の中には、プレシアが床に転がっていた。その隣によく分からない白い物体が有ったが、恐らくアレは垣根が封印したジュエルシードだろう。という事は、ほとんど事件は解決してしまっているらしい。そこに、ボロボロのクロノがフラフラとやって来た。
「一体何なんだ・・・この庭園は、行き成り怪物のようなヘリが襲ってきたぞ・・・」
どうやら彼も、六枚羽と遭遇してきたらしい。あのヘリを一人で撃墜するとは流石は執務管と言うべきか、だがしかし、流石にきつかったのかそのまま地面に倒れ伏せてしまった。
そんなクロノをスルーして、フェイトはプレシアと話し始める。
「あなたに言いたい事があります。」
「・・・」
そっと、フェイトは息を吐き言葉を紡ぐ。
「私の名前はフェイト・テスタロッサ。あなたの娘、アリシアのクローンです。でも私はアリシア・テスタロッサではありません。私は、あなたの造りだした人形なのかもしれません。だけど、私はあなたの娘です。」
「だから何?私にあなたを愛せと言うの?」
「それをあなたが望むのならば。私はどんな脅威からもあなたを守ってみせる。私があなたの娘だからじゃない。貴方が私の母さんだから!」
そう言いながらフェイトはプレシアの近くまで近寄り、そっと手を差し伸べる。その目に迷いは無かった。
それに、対してプレシアは思いを告げる。
「無理ね。私が娘と認めるのはアリシア・テスタロッサ唯一人よ。それにクローンだから当たり前だけど、お前は娘とそっくりすぎる。お前をアリシアとは別の者として愛そうにも、不可能よ。お前が、その顔ででその声で話す度にどれだけアリシアを渇望したか。」
そこで、プレシアは言葉を区切り差し伸べられた手を掴むことなく、
「・・・だから、お前は私の事を忘れて好きに生きるが良いわ。私は私で、アリシアの事だけを思っ」
そこまで言いかけた時、プレシアは先ほど気絶させた天井の目が覚めた事に気づいた。天井は気絶させる時に浴びせた電流のせいかふらついており目の焦点も合っていない。そしてその手には、銃を持っていた。
「・い・・も・馬・・」
何かを呟いているが聞こえない。そして自分以外の部屋の人間はこちらの方に注目しており誰一人気づいていない。そしてその銃口はフェイトを狙っている。
「どいつもこいつも俺の事を馬鹿にしやがってっぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
そう天井が叫んだ時に、やっと気が付いた様だ。クロノが飛び掛かろうとするが連戦に次ぐ連戦で既にボロボロであり、そして何よりも遅かった。
パン!っと乾いた音が響き渡った。
「ところで、お前ら此処で何してるんだ?もしかして天井に、脅されてたりして仕事でもしてるのか?」
垣根は、ミサカ0000一号に対して疑問を投げかけていた。確かに[妹達]が[この世界]に居る事も驚いたが、自分という例外も居る事だし後回しにすることにした。
「いいえ、ミサカ達が此処に居るのは紛れもなく自分たちの意志ですよ、とミサカは冷蔵庫が話すというメルヘンな事態からようやく慣れつつその問いに対して否定します。」
その言葉に対して、垣根は疑問に思う。正直言ってプレシアは犯罪者だ。更にほとんど失敗するような計画に対して自分から参加しようとする人間はほとんどいないだろう。なのに、自分の意志で手伝っている理由は何なのだろう?(単に、住む場所が無いからと言う理由も考えられるが。)
「天井から聞いたんですが、どうやら絶対能力進化実験は中止になったようですね、とミサカは冷蔵庫の問いを無視して話題を変更します。」
「いや、無視すんなよ。まぁいい、そうだ。確か第10032次実験で中止になったらしいぜ。」
質問の内容を無視されて少し悲しいが、まぁこちらばかりから質問をするのもアレなのでそれぐらいは答えても良いだろう。
「そうですか・・・ではミサカ達は何の為に死んだのでしょうか?、とミサカは疑問を投げつけます。」
いきなり話の空気が変わったミサカに対して垣根は反応出来ない。故に何も答えられないでいると、
「ミサカ達は、[一方通行]をレベル6に進化させるために造られました。ミサカ達の無数の屍の山は唯その為だけに築かれました。そのこと自体には後悔はありません。ミサカ達の短い一生には意味があったと断言できます。しかし中止ですか・・・」
ここで、[複雑そうな顔]をするミサカは話を続ける。
「実験の失敗でも成功でも無く[中止]。ならば、ミサカ達は何の為に死んだのですか?唯の無駄死にですか?成功と失敗と言う、結果も生み出せずに唯無駄に死んだだけですか?」
そう言うと、部屋に明かりが着く。垣根が改めて周りを見てみると同じ顔をした少女が居た。それも一人や二人などでは無い。右を向いても左を向いてもミサカミサカミサカミサカミサカミs・・・
同じ顔をした少女たちが一斉に話し始める。
「あの深海に」「体が沈むような恐ろしい」「思いも、自分に襲い掛かるあの」「激痛も全てが」「無駄だったの」「ですか?」
「全てが無駄だったのですか?」「ミサカ達が生きてきた証は、意味は全てが存在しないのですか?」「ミサカ達はそんなのまっぴら御免です。」「ミサカ達は、この世界に生きた証が欲しい。」「いかなる事をしてでも、善悪関係なく」「多くの人達にミサカ達の名前を刻みこむのです。」
垣根帝督は、何も言い返せない。そして〇〇〇〇一号が代表して話続ける。
「ミサカ達は、生きた証が欲しい。ただそれだけです。そしてここでプレシアに協力しているのは、ミサカ達の[計画]に必要だったからです、とミサカは返事をしなくなった冷蔵庫に対して丁寧に説明します。」
まぁ、想定外な事が多すぎて目的が達成出来ませんでしたが、とミサカは続けたが垣根の耳には入ってこない。
「まぁ、そろそろミサカ達も引き上げるので。ではさようなら。また会える日を心待ちにしております、と心にも無い事を言いながらミサカは撤退します。」
ミサカ達が去っていく中、垣根は身動き一つできずにただ突っ立ていただけだった。
血が滴る音がする。銃口を向けられていたフェイトはそっと自分の腹をなでる。だがそこには発射された筈の銃弾が存在しなかった。疑問に思い恐怖で閉じてしまった目を開けてみると、
そこには、腹に風穴を開けた血まみれの自分の母親プレシア・テスタロッサがいた。
気が狂わんばかりに悲鳴をあげるフェイト。精神的なショックと肉体的なダメージもあるせいかその場にへたり込む。
「・・・の・・手を・・」
プレシアが何かを言っているような気がするが天井は無視し怒りのままに、フェイトに向かって発砲しようとしている。そしたら、目の前に雷が飛んだ。
「私の、私の娘に手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
「ひぃ!?」
天井は情けない悲鳴を上げながら、標的をプレシアに変えて乱射する。プレシアはその身に何発かの銃弾を受けながら狙いをつけて雷を飛ばす。
「ぎゃっ!?」
天井は、雷が直撃し気絶する。それを確認したプレシアは力を使い果たしたかのように崩れ落ち、もう二度と動かなかった。
あとがき
後もう少しで無印編が終わります。連載を始めて結構経ちますが、未だに小説がうまくなりません・・・
こんな私がここまで来れたのは応援して下った皆様のおかげであります。
と言う訳でもうすぐ無印が終了するので、記念して番外編をやりたいのですが何かリクエストが有ったら感想に書いて下さい。できるだけ頑張って書いて見ますので宜しくお願いします。