赤髪の少女は無理矢理、なのはのレイジングハートから自分のハンマーを引き離し距離を取る。どうやら得体の知れない翼を警戒しているようだ。なのはは、話かけるチャンスと考える。
「あなたは誰!?なんで私を襲うの!?」
「・・・」
しかい赤髪の少女は全く返事をしない。どうやら聞こえていない訳では無く、単純に会話をするつもりが無い様だ。そして、少女は埒が開かないと判断したのか前回と同じ様に、こちらに全速力で突っ込んでくる。
「グラーフアイゼン!!」
「Jawohl。」
ただし、前回と違うのはグラーフアイゼンと呼ばれるハンマーの形をしたデバイスが変形した事だ。ハンマーヘッドの片方がの片方がスパイクにもう片方に噴射口となり貫通力がかなり増したようだ。あまりの速さに回避は不可能と判断した、なのはは受け止めようとシールドを展開する。
「レイジングハート!!」
「protection。」
ハンマーとシールドが激突する。なのはの展開したシールドとレイジングハートが展開している翼は恐ろしく頑丈で突破力に秀でてるであろうグラーフアイゼンも突破出来ないでいる。焦りを感じたのか少女は、
「グラーフアイゼン!!カートリッジロード!!」
「Jawohl。」
デバイスが水蒸気みたいな物を噴出し、カートリッジを吐き出す。その瞬間今までよりも強力な負荷がなのはを襲う。なのはだけのシールドならば既にやられていただろう。しかし今回は、なのはに軍配が上がった。
「ちぃ!!」
シールドを粉砕出来なかった少女が、なのはから一旦距離を取ろうとするがそれを見逃す程なのはも甘くは無い。
「バインド!!」
「なっ!?」
かなり強力なバインドで縛られ身動きの取れない少女。何とか解こうとはするが、先程かなりの負担を己に掛けたためにうまくいかない。
「くそっ!離せ!!」
「少し…頭冷やそうか…。スター・ライトォ!!!」
莫大な魔力がなのはのデバイスに集まってゆく。フェイトにぶっ放した時よりもデバイスの調子が良いからやりすぎてしまうかもしれないが、今は考えないでおく。
「ブレイ「ヴィータ!!!させるか!!!」えっ!?きゃ!!」
最凶の一撃を見舞おうとしたその瞬間、これまた赤い髪をしたポニーテールの女性がなのはに向かって剣の形をしたデバイスで薙ぎ払ってきた。完全な不意打ちなためレイジングハートの翼でも完全に防ぐ事は出来ず、吹き飛ばされビルに突っ込んでしまうなのは。
「大丈夫か?ヴィータ?」
「あぁ、わりぃ。助かった。」
吹き飛ばされてしまっている間に、バインドで縛っていた少女は拘束を解いてしまったようだ。これで2対1。強大な魔力を持っているとは、未だ小学生。そもそも一人相手でもかなり手こずっていたのに、そこに一人増えては絶望的だ。
「それでも、戦わなきゃね・・・行くよ、レイジングハート。」
「All right my master。」
じりじりと近寄ってくる二人。しかし、それでもなのはは引かない。ここで逃げてしまえば、誰かが彼女たちに襲われて怪我をしてしまうかもしれない。その事が分かっていながら逃げるだなんてなのはに出来る筈が無かった。なのはが覚悟を決め、あの二人に挑もうとした時、
目の前に、金色の閃光が走った。
近寄ってきた二人を攪乱し、その金色の閃光の様な少女は自分の目の前で止まった。突然の乱入者に対してポニーテールの女性が警戒しながら尋ねる。
「貴様、何者だ?」
金髪の少女は臆することなく答える。
「フェイト・テスタロッサ。この子の・・・友達だ。」