なのは達は魔力蒐集を続けるヴォルケンリッター達を追って、別の次元世界まで来ていた。砂漠の真ん中でなのはは艦に居るリンディに通信で確認を取る。
「ここに彼女たちが居るんですか?」
「ええ、確かに此処から彼女たちの魔力反応があったのよ。逃げてしまった可能性も有るけど優秀な魔導師達でもある管理局の局員を危険を承知で襲ってくるかもしれないから気を抜かないでね。」
リンディが質問に答え、なのははヴォルケンリッター達の襲撃に対して気を引き締める。前回は何とか撃退出来たとはいえ[あのレイジングハート]が無ければほぼ間違いなく敗北していただろう事から気は抜けない。この次元世界はほとんどが砂漠であるが故に大変見晴らしが良い。前回の様に不意打ちされる事は無いだろう。
「それじゃあ、なのはちゃんはこの周辺を捜索して見て。クロノとフェイトちゃんは少し離れた所を捜索してみるから。」
「分かりました。フェイトちゃん達に気を付けるように伝え解いて下さい。」
リンディは微笑みながら通信を閉じ、なのはは辺りを探索しようと行動を起こそうとした。
その瞬間砂の中から赤い服を着たヴォルケンリッター、ヴィータが現れた。不意打ちは無いと考えていたなのはは完全に虚を突かれ行動が遅れた。その隙を見逃す訳の無いヴィータは前回の奇妙な翼に阻まれてしまった事も考え全力でハンマーを振りぬこうとしている。翼を展開しようが、翼ごと粉砕しそうな勢いである。
「行き成りで悪いがこれで終いだぁ!!!グラーフアイゼン!!!」
「Jawohl。」
彼女のデバイスから水蒸気が上がり更に威力が上がったような気がした。レイジングハートから純白の翼が展開され、なのはがシールドを展開するが出だしが遅れた事もあって押し切られてしまいそうだ。
じりじりと迫ってくるハンマーに対してこのままでは破られると感じた、なのはは魔力を更に篭めシルードを頑丈にするのではなく、敢えて吹き飛ばされた。吹き飛ばされた事によりかなりのGが幼いなのはの体に掛るが何とか彼女の攻撃を凌げた彼女は少し距離を取る。
「くそっ!!逃げられちまったか!!まぁあの奇妙な翼が絶対防御って訳でも無いって事が分かっただけでも収穫か。」
「・・・ねぇ、なんで貴方たちは人を襲ってまでそんなに魔力を蒐集しようとするの!?」
ヴィータが悔しそうにしつつだが収穫があったような顔で呟やいた。 そんなヴィータに対してなのはは疑問を投げつける。しかしヴィータは敵と語る言葉など持ってはいないといった態度でなのはの言葉を無視し臨戦体系を取る。
「私はなんでこんな事をするのか聞きたかっただけなんだけどなぁ・・・。じゃあ、[後で]ゆっくり話を聞かせてもらうよ・・・。」
そうなのは言い更にヴィータから距離を取る。ある程度距離を取った所でなのはは
「行くよ!レイジングハート!!!」
「All right。」
魔力を杖の先に集中しだした。それを見てヴィータはチャンスと思う。多少距離が離れているにせよ、自分にとってほとんど近距離である位置で最大級の魔法を使用しようとしている事だ。最大級の魔法を使う時にはかなりの魔力のコントロールと集中力がいる。つまり放つまでは殆ど無防備なのだ。
「ベルカの騎士に対して、それは愚策だぜ!!!」
恐らく魔法の構築が恐ろしく早いのか、または最初の不意打ちの時に焦りでもして勝負を急ごうとしたのだろう。ヴィータは自身に出せる最高速度でなのはにまで接近する。
「スターライトォ!!!!!」
「おせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
睨んだ通りかなり構築が速い。ほとんど呪文が完成してたがヴィータの方が少し早い。ヴィータが無防備ななのはに対して決着を着けようとすると、
突然なのは物凄い速度でヴィータの後ろを取った。目的がいきなり目の前から消えた事でハンマーを空ぶってしまう。慌てて後ろを振り向くとレイジングハートに生えていた翼が羽ばたいていた。つまりさっきの高速移動はレイジングハートがやっていたのだ。なのはは完全に呪文に集中することで詠唱を早め、レイジングハートは一切魔力を使う事無く高速移動をすることでヴィータを罠に嵌めたのだ。
「くそぉ!!!」
何とか回避しようとするヴィータだが、おまけに翼がヴィータに絡みつき動きが取れない。それでも足掻いていると、
「ブレイカァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
「ごっ、がァァァァァァアアアあああアあああああああああああああッッッ!?」
前回は邪魔されたが全力全開のスターライトブレイカーが直撃した(更にゼロ距離)。
そのまま砂漠に墜落していくヴィータ。意識の有無の確認などする必要もない。