垣根帝督が家に来てから半年がたった。意外と事件らしい事件は起きず(軽いトラブルは、百を超えた辺りで数えるのをやめた)平穏?な日々が過ぎっていった。
現在放課後、友人のアリサとすずかと一緒に談笑しながら帰宅している所だ。
「それでね、ていとくんが「俺の作るケーキに常識は通用しねぇ!!」って叫びながら作ったケーキがね目も眩むような金色してたの。」
「なのは、あんたそれ食べて無いでしょうね・・・というか、あのばか冷蔵庫何してんのよ・・・」
「まぁ、ていとくんだし・・・」
アリサちゃんもすずかちゃんも、最初は正体不明すぎるていとくんに対して警戒してしていたがアリサちゃんが悪い人達に誘拐されかけていた時に、たまたま空を飛んでいたていとくん(海鳴市名物の天駆ける冷蔵庫、目撃できたら一日メルヘンな気分になれる)が誘拐犯をぼこぼこにした時から(この時に、悪いことをすると冷蔵庫が襲ってくるという都市伝説が誕生した。)警戒心が和らぎ今では、仲良く遊ぶような仲である。
そんな感じでなのは達が帰宅していると突然、なのはの[頭の中]に声が響いた。
(たすけて、だれか・・・)
なのはは声のする方へ駈け出した。後ろでアリサちゃんやすずかちゃんが、ちょっとなのは!?と叫んでいたような気がするが今は気にしてはいられない。一刻も早く、と思いながら全力で走り、そこにいたのは
一匹の傷だらけのフェレットだった。
息を切らせながらも、ようやく追いついたアリサとすずかがいきなり走り出したなのはに文句を言おうとするが、傷だらけのフェレットを見て文句を言う代わりになのはに尋ねた。
「これフェレット・・・よね?なんでこいつがここにいるのが分かったの?」
「よく分からないんだけど・・・強いて言うならなんとなくかな?何か頭の中に声が響いたような気がしたの。でもこの子どうしたらいいのかな?やっぱりお医者さんに早く診せた方がいいかな?」
そう言って横たわるフェレットをそっと両手で持ち上げて医者に連れて行こうとする、なのはだが・・・
「いやその必要はない。この俺に任せろ!」
ここにいるはずの無い人物?の声を聞いて振り返ってみるとそこには、やはりというべきか一台の冷蔵庫が有った。
冷蔵庫が話しているという何度見ても、シュールすぎる光景にアリサとすずかは少しの間呆気にとられるが、すぐに我に返りアリサが半ば叫びながら垣根に訪ねる。
「なんであんた此処にいるのよ!?いくらなんでも非常識すぎるでしょう!!!」
そんなアリサの叫びを「心配するな、自覚はある。」と軽くスルーしてなのはの方に顔?を向けた。
「そいつを助けたいんだろう。なら俺に任せておけ!フェレットを助けたいならばこれ!!未元傷薬〜」
などと訳の分からないことを叫びながら冷蔵庫のドアが開き、中から〜未元傷薬〜メルヘン120%配合、などと書かれている謎の物体Xを取り出してきた。なのは達がそれを怪しげな目で見ながら、垣根に質問をした。
「えーと?この怪しい謎の物体Xは一体何かな?」
「これは俺の自信作、未元傷薬だ!!安心しろよ効果は抜群だぜ。気持ち悪いくらいの速度で怪我が治る優れもんだぜ!」
いろいろ突っ込みたいところはあったが、フェレットの怪我が予想よりも結構深く時間が無くなってきた。躊躇っている時間は無いとばかりに謎の物体Xをフェレットに丁寧に塗っていく。
結論から言うと傷薬は確かに効いた。傷口が目に見える速度で治ってきたからだ。ぶっちゃけなんか・・・ぐろかった。
なのは達は悲鳴あげて震えてるし垣根は、まさか成功するとは、と物騒なことを言っている。
結局、逆に治る速度が速すぎて不安になったなのは達は、フェレットを病院に連れて行ったのだった。