幸い、お医者さんに診てもらった結果何も問題がなかった様なので、なのは達は一息つけた。(獣医は本当に怪我をしていたのか疑っていたが)
首にアクセサリーが付いていることから、誰かのペットである可能性が高く飼い主を先生が探してくれるそうだ。
なのは達は、その後別れて皆それぞれの家に帰った。
家族みんなに、今日フェレットを拾ったこと、そのフェレットが傷だらけだった事、ていとくん特製の謎の物体Xの効き目が凄過ぎてグロかった事などを話した。(傷薬について語ったらなんかお父さんとお兄ちゃんが「アレを使ったのか・・・」とか呟いてたけど使ったことがあるのかな?)
夜、なのはが今日は不思議な体験をしたなぁ、とぼんやりしていると下校中に聞こえた[あの声]がまた頭に響いてきた。
(たすけてください。誰かこの声が聞こえる人がいたら・・・だれかか力を貸してください・・・)
なのはは、パジャマから普段着に着替えこっそりと家を抜け出し声のする方向に走って行った。
声の発信源にまで到着すると、そこは病院が有った所だった。なぜ過去形なのかというとそこに在るべき病院が廃墟と呼ぶにふさわしいものになっていたからだ。
「・・・一体何が起きているの?」
普段から、垣根のやる非常識な行為に慣れていなかったら、間抜けにも叫んでいたかもしれない。辺りを見回してみると、そこには昼間助けたフェレットが倒れていた。慌ててフェレットの傍まで近づき、抱きかかえると
「ありがとう。来てくれたんだね。」
突然フェレットが話し始めた。しかし、なのは冷蔵庫が話すのだからフェレットも話すのだろうと納得してしまった。(なんだか、なのはにも常識が通用しなくなっている気がする・・・士郎談)その時、病院(という名の廃墟)の壁がいきなり砕け散り中から[黒い何か]としか表現できないようなものが現れた。流石のなのはも、これにには驚き慌ててフェレットを抱えて全力全開で走りながらに質問する。
「何!?何なの!?あの化け物!?家にもよく分からない人が居るけどあれは一体何なの!?」
「君には、資質がある。僕の名前はユーノ・スクライア。僕はある探し物の為に違う世界からやってきたんだ。だけど僕だけでは無理だったんだ。迷惑だとは思っているんだけど、お願いします。僕に力を貸してください。魔法のちからを!!」
「・・・魔法?」
その時追いついてきた[黒い何か]がなのはに追いつき、なのはに体当たりを仕掛けてきた。なのはは間一髪で避け怪物は壁に突っ込んでもがいている。もがいてる時間を利用して、なのははユーノに何をすべきか訪ねる。
「・・・どうすればいいの?」
「はい、この赤い宝石を持って心を清ませて呪文を唱えるんです。」
「なるほど。そして俺が時間を稼げばいいと、いう事か。」
「分かったの、ってなんでていとくんが此処にいるの!?」
「何なんですか!?あなたは!?一体!?」
「そんな些細な事は後回しだ。とりあえずなのはは、早く呪文とやらを唱えるんだ。時間稼ぎは俺に任せろ。ほら来るぜ。」
突然現れた垣根がそう言った途端壁から脱出した[黒い何か]がこっちに全速力で突撃してきた。それを見た垣根が叫ぶ。
「来いや!!化け物!!」
そう叫ぶと、垣根の背中から[三枚]の純白の羽が出現した。一瞬呆然としていた、なのはとユーノだがすぐに我に返り呪文を詠唱し始める。
「いい?いくよ!」
「うん」
「「我、使「俺の未元物質に常識は通用しねぇ!!」者なり。」」
「「契約の「異物の混じった空間。ここはテメェの知る場所じゃねえんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」を解き放て。」」
「「風は「ナメてやがるな。 よほど愉快な死体になりてえと見える!!」の心はこの胸に。」」
「「この「これでとどめだぁ!!!」トアップ!」」
そうなのはが詠唱を終えた瞬間に、なのはから桃色の光が溢れ出した。
「すごい魔力だ・・・」
ユーノが思わず呟く程の莫大な魔力。こんな莫大な魔力がたった一人から出ているなんて信じられなかった。しかし彼女ならばあの化け物を倒せるかもしれないと後ろを振り返ってみると・・・
「・・・ふう。意外と大したことなかったな。」
そこには一仕事終えた感が漂う冷蔵庫一台と、さっきまで暴れていた化け物だった物が転がっていた。
「「・・・」」
ユーノとなのはは、解決したはずなのになんだかやるせない気持ちに成りかけたがユーノがジュエルシードを封印しなくてはならない事を思い出して、僅かだが変身した事が無駄にならずに済み、少しだけだが気持ちが楽になった。